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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】静的真空溶接炉
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
B23K1/008 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024515707
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2023074776
(87)【国際公開番号】W WO2024119603
(87)【国際公開日】2024-06-13
【審査請求日】2024-03-11
(31)【優先権主張番号】202211556779.6
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520230640
【氏名又は名称】シャンドン ツァイジュー エレクトロニック テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】リー シャンドン
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-89121(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114466585(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/008
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静的真空溶接炉であって、
供給排出装置(2)と、搬送装置(3)と、溶接室と、蓋開閉装置(5)と、を含み、複数の溶接室が間隔を空けて並設され、溶接室には、溶接室を開閉する蓋開閉装置が接続され、溶接室の一方の側に供給排出装置(2)が設けられ、供給排出装置(2)と各溶接室との間に搬送装置(3)が設けられ、各溶接室に加熱装置及び冷却装置が接続され、
前記供給排出装置(2)は、材料片押込装置と、材料片押出装置と、材料片位置決め装置と、を含み、材料片位置決め装置の両側のそれぞれに材料片押込装置及び材料片押出装置が設けられ、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間にカセットを配置する空間が設けられる、ことを特徴とする静的真空溶接炉。
【請求項2】
前記材料片押出装置は、材料片押出板(13)と、押出緩衝装置と、材料片押出動力装置と、を含み、材料片押出板(13)は、材料片押出動力装置に接続され、材料片押出板(13)は、材料片位置決め装置に接近又は離間する方向に沿って移動し、押出緩衝装置は、材料片押出板(13)と材料片押出動力装置との間に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の静的真空溶接炉。
【請求項3】
前記押出緩衝装置は材料片押出バネ(35)を含み、材料片押出板(13)と材料片押出動力装置は、材料片押出板(13)の移動方向に平行な方向に沿って相対的に摺動可能であり、材料片押出バネ(35)は、材料片押出動力装置と材料片押出板(13)との間に設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の静的真空溶接炉。
【請求項4】
前記材料片位置決め装置は、上向きに開口する材料片位置決め溝(17)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の静的真空溶接炉。
【請求項5】
前記供給排出装置(2)は、カセット供給装置と、カセットジャッキング装置と、カセットホルダーと、カセット押出装置と、をさらに含み、カセットジャッキング装置は前記空間内に設けられ、カセット押出装置及びカセットホルダーは、それぞれカセットジャッキング装置の両側に設けられ、かつカセット押出装置はカセットホルダーに正対して設けられ、カセット供給装置は、カセットジャッキング装置の一方の側に設けられ、かつカセット供給装置及びカセットホルダーは縦方向に間隔を空けて設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の静的真空溶接炉。
【請求項6】
前記カセットジャッキング装置は、カセットジャッキング動力装置と、ジャッキングフレーム(19)と、加締め装置と、を含み、カセットジャッキング動力装置は、ジャッキングフレーム(19)に接続され、ジャッキングフレーム(19)を昇降させ、ジャッキングフレーム(19)の底部にカセット支持部が設けられ、加締め装置はジャッキングフレーム(19)の頂部に取り付けられ、加締め装置はカセット支持部に正対して設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載の静的真空溶接炉。
【請求項7】
前記供給排出装置(2)は調節装置をさらに含み、調節装置は、カセットジャッキング動力装置に取り付けられ、ジャッキングフレーム(19)に接続され、調節方向がカセット押出装置の押出方向と同じである、ことを特徴とする請求項6に記載の静的真空溶接炉。
【請求項8】
前記カセット押出装置は、カセットプランジャ(18)とカセット押出動力装置を含み、カセットプランジャ(18)は複数本並設され、カセット押出動力装置は、各カセットプランジャ(18)のいずれにも接続され、各カセットプランジャ(18)は、カセットホルダーに接近又は離間して同期して移動する、ことを特徴とする請求項5又は7に記載の静的真空溶接炉。
【請求項9】
複数組の前記溶接室は間隔を空けて並設され、各組の溶接室は、縦方向に間隔を空けて設けられた2つの溶接室を含み、各組の溶接室には、蓋開閉装置(5)が接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の静的真空溶接炉。
【請求項10】
各前記蓋開閉装置(5)は、第1蓋開閉装置と第2蓋開閉装置を含み、第1蓋開閉装置及び第2蓋開閉装置は、それぞれ、同一組の2つの溶接室に接続され、第2蓋開閉装置は第1蓋開閉装置に取り付けられる、ことを特徴とする請求項9に記載の静的真空溶接炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静的真空溶接炉に関し、真空溶接炉の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
真空溶接炉(真空共晶炉)は、真空環境で製品を高品質で溶接するもので、昇温又は降温プロセス中に還元性システム(N、ギ酸、N、H)を導入して、製品とはんだを酸化から保護すると同時に、製品とはんだの表面の酸化物を反応させ、溶接表面の品質を向上させ、溶接の空洞率を減少させる。
【0003】
従来の真空溶接炉は、通常、2種がある。一方は、溶接対象のワークピースを昇温ステーション、溶接ステーション及び冷却ステーションの順に移動させることで、ワークピースの溶接を行う連続式真空溶接炉であるが、このような真空溶接炉では、使用中に以下の問題が存在する。1)設備は長すぎて、大きな空間を占めてしまい、顧客のスペース要件を満たすのが難しい。2)ワークピースの搬送過程で、ワークピースの溶接対照となる2つの部分が相対的に移動しやすく、その結果、ワークピースの溶接対照となる2つの部分が正確に位置合わせできなくなり、溶接されたワークピースの歩留まりが低下する。他方は、ワークピースを溶接炉に入れて、溶接炉内で所定の温度に加熱した後、溶接炉を真空吸引することで、ワークピースの溶接を行う固定式真空溶接炉であり、このような真空溶接炉では、使用中に以下の問題が存在する。溶接時のワークピースの温度が高く、溶接完了後、空気との接触によるワークピースの酸化を回避するために溶接炉を開く前にワークピースを所定の温度に冷却する必要があるが、溶接炉の温度が高く、ワークピースの冷却速度が遅いので、溶接速度が非常に低い。
【0004】
したがって、従来の真空溶接炉は、溶接速度と溶接後のワークピースの歩留まりとを両立させにくく、かつ従来の固定式溶接炉の自動化の度合が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠点を解決して、材料片の供給及び排出の自動化を実現し、溶接後のワークピースの歩留まりが高く、かつ溶接速度が速い静的真空溶接炉を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明がその技術的課題を解決するために採用する技術的解決手段は以下の通りである。静的真空溶接炉であって、供給排出装置と、搬送装置と、溶接室と、蓋開閉装置と、を含み、複数の溶接室が間隔を空けて並設され、溶接室には、溶接室を開閉する蓋開閉装置が接続され、溶接室の一方の側に供給排出装置が設けられ、供給排出装置と各溶接室との間に搬送装置が設けられ、各溶接室に加熱装置及び冷却装置が接続され、
前記供給排出装置は、材料片押込装置と、材料片押出装置と、材料片位置決め装置と、を含み、材料片位置決め装置の両側のそれぞれに材料片押込装置及び材料片押出装置が設けられ、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間にカセットを配置する空間が設けられる、ことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記材料片押出装置は、材料片押出板と、押出緩衝装置と、材料片押出動力装置と、を含み、材料片押出板は、材料片押出動力装置に接続され、材料片押出板は、材料片位置決め装置に接近又は離間する方向に沿って移動し、押出緩衝装置は、材料片押出板と材料片押出動力装置との間に設けられる。材料片押出動力装置は、材料片押出板を押して移動させ、材料片押出板を介してカセット内の材料片を押し出し、押出緩衝装置は、緩衝の効果を果たし、材料片を所定の位置に送るとともに、材料片へのダメージを回避することができる。
【0008】
好ましくは、前記押出緩衝装置は材料片押出バネを含み、材料片押出板と材料片押出動力装置は、材料片押出板の移動方向に平行な方向に沿って相対的に摺動可能であり、材料片押出バネは、材料片押出動力装置と材料片押出板との間に設けられる。材料片押出動力装置は、材料片押出バネによって材料片押出板を押して移動させることで、材料片押出板を押すとともに、材料片押出動力装置と材料片押出板との間の相対移動を可能にし、緩衝を実現する。
【0009】
好ましくは、前記材料片位置決め装置は、上向きに開口する材料片位置決め溝を含む。材料片位置決め溝による材料片の位置決めによって、搬送装置は材料片を正確に吸い取りしやすく、また、溶接後の材料片をカセットに押し込む際には、材料片とカセットが位置合わせすることは確保される。
【0010】
好ましくは、前記供給排出装置は、カセット供給装置と、カセットジャッキング装置と、カセットホルダーと、カセット押出装置と、をさらに含み、カセットジャッキング装置は前記空間内に設けられ、カセット押出装置及びカセットホルダーは、それぞれカセットジャッキング装置の両側に設けられ、かつカセット押出装置はカセットホルダーに正対して設けられ、カセット供給装置は、カセットジャッキング装置の一方の側に設けられ、かつカセット供給装置及びカセットホルダーは縦方向に間隔を空けて設けられる。カセット供給装置は、材料片が詰まったカセットをカセットジャッキング装置に送ることができ、カセットジャッキング装置は、カセットを駆動して材料片押出装置に正対するように移動させ、溶接対象の材料片を押し出したり溶接後の材料片を押し込んだりすることを容易にし、カセット押出装置は、カセットをカセットホルダーに押すことができ、それによって、材料片の投入及び回収の自動化を実現する。
【0011】
好ましくは、前記カセットジャッキング装置は、カセットジャッキング動力装置と、ジャッキングフレームと、加締め装置と、を含み、カセットジャッキング動力装置は、ジャッキングフレームに接続され、ジャッキングフレームを昇降させ、ジャッキングフレームの底部にカセット支持部が設けられ、加締め装置はジャッキングフレームの頂部に取り付けられ、加締め装置はカセット支持部に正対して設けられる。加締め装置は、カセットをカセット支持部に加締め、移動中のカセットをより安定的にすることができる。
【0012】
好ましくは、前記供給排出装置は調節装置をさらに含み、調節装置は、カセットジャッキング動力装置に取り付けられ、ジャッキングフレームに接続され、調節方向がカセット押出装置の押出方向と同じである。調節装置は、ジャッキングフレームにおけるカセットが材料片位置決め装置に正対するように、ジャッキングフレームの位置を調節することができる。
【0013】
好ましくは、前記カセット押出装置は、カセットプランジャとカセット押出動力装置を含み、カセットプランジャは複数本並設され、カセット押出動力装置は、各カセットプランジャのいずれにも接続され、各カセットプランジャは、カセットホルダーに接近又は離間して同期して移動する。カセット押出動力装置は、カセットプランジャによってカセットを押して移動させ、カセットをカセットホルダーに供給することによって、材料片を連続的に送り出すことを可能とする。
【0014】
好ましくは、複数組の前記溶接室は間隔を空けて並設され、各組の溶接室は、縦方向に間隔を空けて設けられた2つの溶接室を含み、各組の溶接室には、蓋開閉装置が接続されている。溶接室と蓋開閉装置がモジュールとして取り付けられることによって、溶接速度の要件を満たすために、溶接室の数は、お客様のニーズに応じて増減してもよい。
【0015】
好ましくは、各前記蓋開閉装置は、第1蓋開閉装置と第2蓋開閉装置を含み、第1蓋開閉装置及び第2蓋開閉装置は、それぞれ、同一組の2つの溶接室に接続され、第2蓋開閉装置は第1蓋開閉装置に取り付けられる。第1蓋開閉装置及び第2蓋開閉装置は、それぞれ同一組の2つ溶接室の蓋を開閉することができ、制御がより柔軟である。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
本発明の静的真空溶接炉では、搬送装置は材料片位置決め装置における溶接対象の材料片を1つずつ各溶接室内に送り、また、溶接後の材料片を溶接室内から材料片位置決め装置に送ることができ、各溶接室は個別に作動し、複数の材料片を同時に溶接することができ、しかも、冷却装置は、溶接室を冷却し、溶接後の材料片を所定の温度に迅速に冷却することができ、材料片の溶接速度を速めることができ、材料片の加熱、溶接、冷却が同一溶接室内で行われるので、プロセス全体にわたって材料片が移動せず、それによって、溶接後の材料片と芯片との間の良好な導通効果が確保され、材料片押込装置は、カセット内の材料片を材料片位置決め装置に1つずつ押すことができ、また、溶接後の材料片をカセット内に押し込むことができ、それによって、材料片の押出及びカセットへの詰めの自動化を実現し、自動化の度合が高く、作動速度が速く、また、溶接後の材料片の歩留まりが高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】静的真空溶接炉の立体模式図である。
図2】静的真空溶接炉の模式的な後面図である。
図3】供給排出装置の立体模式図である。
図4図3におけるA部の部分拡大図である。
図5】供給排出装置の別の視角からの立体模式図である。
図6図5におけるB部の部分拡大図である。
図7図5におけるC部の部分拡大図である。
図8図5におけるD部の部分拡大図である。
図9】搬送装置の立体模式図である。
図10図9におけるE部の部分拡大図である。
図11】溶接室ベースの立体模式図である。
図12】溶接室ベースの模式的な正面断面図である。
図13】内板の立体模式図である。
図14】溶接室のトップカバーの立体模式図である。
図15】蓋開閉装置の立体模式図である。
図16】蓋開閉装置の模式的な左面図である。
図17】凝縮ユニットの立体模式図である。
【符号の説明】
【0019】
1 スタンド
2 供給排出装置
3 搬送装置
4 循環水タンク
5 蓋開閉装置
6 凝縮ユニット
7 濾過ユニット
8 溶接室トップカバー
801 吸気口
9 溶接室ベース
10 凝縮器
11 下部パレット
12 コンベヤタイミングベルト
13 材料片押出板
14 プラテン
15 材料片押込板
16 材料片押込ラック
17 材料片位置決め溝
18 カセットプランジャ
19 ジャッキングフレーム
20 材料片押込タイミングベルト
21 材料片押込バネ
22 材料片押込ガイドレール
23 上部パレット
24 コンベヤモータ
25 カセットプッシュシリンダ
26 カセットジャッキングモータ
27 カセットジャッキングスクリュー
28 調節シリンダ
29 調節ラック
30 ジャッキングベース
31 カセット加締めシリンダ
32 カセットプッシュラック
33 材料片押出タイミングベルト
34 材料片押出ラック
35 材料片押出バネ
36 並進ガイドレール
37 並進ラック
38 ピラー
39 昇降ラック
40 伸縮ラック
41 ノズル
42 伸縮タイミングベルト
43 伸縮駆動モータ
44 断熱カバー
45 支持板
4501 外板
4502 内板
4503 給気溝
46 ベース本体
47 加熱管
48 給気管
49 第1蓋開閉シリンダ
50 第1蓋開閉ラック
51 第2蓋開閉ガイドレール
52 第2蓋開閉ラック
53 取り付けベース
54 第1蓋開閉ガイドレール
55 下部冷却チャネル
56 第2蓋開閉シリンダ
57 分離管
58 収集瓶
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、図面を参照してここで示される詳細な説明は、より良い説明のために過ぎず、本発明の構造はこれらの限定された実施例に限定されるものではなく、いくつかの同等の代替案又は一般的な手段については、本明細書ではもはや詳細には述べないが、本願の保護範囲に含まれることを当業者は理解する。
【0021】
図1~17は、本発明の最適な実施例であり、以下、図1~17を参照して本発明についてさらに説明する。
【0022】
静的真空溶接炉は、供給排出装置2と、搬送装置3と、溶接室と、蓋開閉装置5と、を含み、複数の溶接室が間隔を空けて並設され、溶接室には、溶接室を開閉する蓋開閉装置が接続され、溶接室の一方の側に供給排出装置2が設けられ、供給排出装置2と各溶接室との間に搬送装置3が設けられ、各溶接室に加熱装置及び冷却装置が接続され、供給排出装置2は、材料片押込装置と、材料片押出装置と、材料片位置決め装置と、を含み、材料片位置決め装置の両側のそれぞれに材料片押込装置及び材料片押出装置が設けられ、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間にカセットを配置する空間が設けられる。本静的真空溶接炉では、搬送装置は、材料片位置決め装置における溶接対象の材料片を1つずつ各溶接室内に送ることができるとともに、溶接後の材料片を溶接室内から材料片位置決め装置に送ることができ、各溶接室は個別に作動し、複数の材料片を同時に溶接することができ、しかも、冷却装置は、溶接室を冷却し、溶接後の材料片を所定の温度に迅速に冷却することができ、材料片の溶接速度を速めることができる。材料片押込装置は、カセット内の材料片を1つずつ材料片位置決め装置に押すことができ、また、溶接後の材料片をカセット内に押し込むことができ、それによって、材料片の押出及びカセットへの詰めの自動化を実現し、自動化の度合が高く、作動速度が速く、また、溶接後の材料片の歩留まりが高い。
【0023】
具体的には、図1~2に示すように、本静的真空溶接炉は、スタンド1をさらに含み、溶接室は、スタンド1に取り付けられ、複数組の溶接室は間隔を空けて並設され、各組の溶接室は、間隔を空けて並設された2つの溶接室を含み、本実施例では、3組の溶接室は間隔を空けて並設され、各組の溶接室には、蓋開閉装置5が接続されている。
【0024】
各溶接室は、溶接室ベース9と、溶接室トップカバー8と、を含み、溶接室トップカバー8は、溶接室ベース9の上側に結合され、溶接室ベース9の頂部を密閉させ、溶接室ベース9と溶接室トップカバー8との間に溶接キャビティが形成されている。蓋開閉装置5は、溶接室トップカバー8に接続され、溶接室トップカバー8を昇降させることで、溶接室トップカバー8を開閉する。加熱装置は、溶接室ベース9内に設けられた下部加熱装置と、溶接室トップカバー8内に設けられた上部加熱装置と、を含む。
【0025】
供給排出装置2は、溶接室の一方の側に設けられ、供給排出装置2は、スタンド1に取り付けられ、搬送装置3もスタンド1に取り付けられ、搬送装置3は、供給排出装置2と溶接室との間に設けられ、搬送装置3は、供給排出装置2における溶接対象の材料片を1つずつ各溶接室内に送り、各溶接室内の溶接後の材料片を1つずつ供給排出装置2内に戻す。
【0026】
冷却装置は、凝縮器10と、冷却ポンプと、循環水タンク4と、溶接室に設けられた下部冷却チャネル55及び上部冷却チャネルと、を含み、各溶接室内には、上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55が設けられ、各溶接室の下部冷却チャネル55の出口が上部冷却チャネルの入口に連通している。本実施例では、凝縮器10は溶接室に1対1で対応し、冷却ポンプ及び循環水タンク4は1つしかない。凝縮器10、循環水タンク4、及び冷却ポンプは、いずれもスタンド1に取り付けられ、凝縮器10は、循環水タンク4の上側に並設され、各溶接室の上部冷却チャネルの出口は、いずれも、対応する凝縮器10のチューブ入口に連通し、各凝縮器10のチューブ出口は、いずれも、循環水タンク4の頂部に連通する。冷却ポンプの入口は、循環水タンク4の下部又は底部に連通し、冷却ポンプの出口はまた、各溶接室の下部冷却チャネル55の入口に連通し、各凝縮器10のシェルには、循環冷却水が連通している。
【0027】
溶接室を冷却する際には、溶接室の温度が高いため、循環水が気化され、気化された循環水蒸気は凝縮器10内に入って凝縮されてから、循環水タンク4内に戻り、このように、水のリサイクルが実現される。
【0028】
冷却装置は、平衡管と排水管をさらに含み、各溶接室の上部冷却チャネルの出口は、排水管の入口及び平衡管の入口の両方に接続され、平衡管の出口は、循環水タンク4に連通し、排水管の出口は、凝縮器10のチューブ入口に連通する。平衡管の入口と上部冷却チャネルの出口との間、及び排水管の入口と上部冷却チャネルの出口との間のいずれにも、遮断弁が設けられ、冷却ポンプの出口と各下部冷却チャネル55の入口との間にも遮断弁が設けられる。
【0029】
溶接室を冷却する際には、平衡管の入口と上部冷却チャネルの出口との間の遮断弁を閉じるとともに、冷却ポンプと下部冷却チャネル55の入口との間の遮断弁を開き、排水管の入口と上部冷却チャネルの出口との間の遮断弁を開き、このようにして、冷却ポンプにより、循環水タンク4内の循環水は、下部冷却チャネル55、上部冷却チャネル、及び排水管を順次経て、凝縮器10のチューブに入り、凝縮されて循環水タンク4に入る。
【0030】
溶接室を加熱する際には、上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55内には循環水の一部が残留するので、この場合、冷却ポンプと下部冷却チャネル55の入口との間の遮断弁を閉じ、排水管の入口と上部冷却チャネルの出口との間の遮断弁を閉じるとともに、平衡管の入口と上部冷却チャネルの出口との間の遮断弁を開き、加熱の過程で、上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55内の循環水は液化して平衡管を経て、循環水タンク4内に入り、このような水が少ないため、循環水タンク4内に直接入った蒸気が循環水タンク4内の水と接触して凝縮される。
【0031】
冷却装置には、循環水タンク4、凝縮器10、及び冷却ポンプが設けられるのではなく、循環水は上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55内へ直接導入されてよい。冷却装置は、半導体冷却装置をそのまま利用してもよい。
【0032】
抽真空装置は、凝縮ユニット6と、濾過ユニット7と、真空ポンプと、を含み、真空ポンプの入口は凝縮ユニット6の出口に連通し、凝縮ユニット6の入口はまた、各溶接室の溶接キャビティに連通する。凝縮ユニット6の出口と真空ポンプの入口との間に濾過ユニット7が設けられ、濾過ユニット7は複数直列接続され、本実施例では、濾過ユニット7は3つ直列接続される。濾過ユニット7としては、従来の濾過器をそのまま使用してもよいが、ここでは濾過ユニット7の構造について詳述しない。
【0033】
図3~5に示すように、供給排出装置2は、材料片押込装置と、材料片押出装置と、材料片位置決め装置と、を含み、材料片押込装置及び材料片押出装置は、それぞれ、材料片位置決め装置の両側に設けられ、かつカセット供給装置及びカセット押出装置は、高さが同じであり、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間にカセットを配置する空間が設けられる。材料片押込装置の押込方向は材料片押出装置の押出方向に平行である。
【0034】
供給排出装置2は、カセット供給装置と、カセットジャッキング装置と、カセットホルダーと、カセット押出装置と、をさらに含み、カセットジャッキング装置は、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間の空間内に設けられ、カセット押出装置及びカセットホルダーは、それぞれカセットジャッキング装置の両側に設けられ、かつカセット押出装置及びカセットホルダーは正対して設けられ、カセット供給装置は、カセットジャッキング装置の一方の側に設けられ、かつカセット供給装置及びカセットホルダーは縦方向に間隔を空けて設けられ、カセット供給装置は、カセットホルダーの真下に設けられる。カセット押出装置の押出方向は材料片押出装置の押出方向に垂直である。
【0035】
カセット供給装置は、下部パレット11と、下部パレット11に設けられた供給動力装置と、を含み、供給動力装置は、コンベヤモータ24及びコンベヤタイミングベルト12を含み、下部パレット11の両端共にコンベヤタイミングベルトプーリが回動可能に取り付けられ、コンベヤタイミングベルト12の両端のそれぞれは、対応する側のコンベヤタイミングベルトプーリと噛み合い、コンベヤモータ24の出力軸は、コンベヤタイミングベルトプーリの何れかに接続され、コンベヤタイミングベルト12は、頂部が下部パレット11から上方へ凸出して設けられ、それによって、下部パレット11におけるカセットはコンベヤタイミングベルト12を介して搬送される。
【0036】
コンベヤタイミングベルト12は間隔を空けて2本並設され、2本のコンベヤタイミングベルト12のコンベヤタイミングベルトプーリは同期軸によって接続され、それにより、2つのコンベヤタイミングベルト12は同期して移動し、かつ移動速度が同じであり、2つのコンベヤタイミングベルト12は、カセットの両端をもってカセットを搬送し、それによって、カセットの搬送がより安定的になる。
【0037】
本実施例では、カセットホルダーは上部パレット23であり、上部パレット23は、下部パレット11の上側に間隔を空けて設けられ、かつ上部パレット23及び下部パレット11は正対して設けられ、溶接対象の材料片を容れたカセットは、上部パレット23と下部パレット11との間を経由してカセットジャッキング装置に送られ、溶接後の材料片が詰まったカセットは、カセット押出装置によって上部パレット23に押され、それによって、材料片の連続的な供給及び排出が実現される。
【0038】
カセットを上部パレット23においてより安定的に送るために、上部パレット23の上側には、間隔を空けて並設された2つの制限板が設けられ、2つの制限板の間にある上部パレット23には、カセットを案内するチャネルが形成されている。
【0039】
カセットは両端が開口した長方形のボックスであり、カセットの対向する両端は開口しており、かつ、カセットの対向する両側の内壁には、外方へ凸状となる載置部が設けられ、両側の載置部は1対1で対応しており、材料片の両側は、それぞれ両側の載置部に載置され、材料片押出装置及び材料片押込装置は、それぞれカセットの両端から材料片を取り扱う。
【0040】
材料片押込装置及び材料片押出装置は、それぞれ上部パレット23の対向する両側に設けられ、かつ材料片押込装置及び材料片押出装置は正対して設けられる。
【0041】
材料片位置決め装置は、上部パレット23に取り付けられた材料片位置決め溝17を含み、材料片位置決め溝17は上方へ開口しており、材料片押込装置及び材料片位置決め溝17は、上部パレット23の同一側に設けられ、材料片押出装置は、上部パレット23の他方の側に設けられる。
【0042】
材料片押込装置は、材料片押込動力装置と、材料片押込板15と、押込緩衝装置と、を含み、材料片押込板15は、材料片位置決め溝17内に摺動可能に設けられ、材料片押込装置は、材料片位置決め溝17に取り付けられ、材料片押込板15は材料片押込装置に接続され、それによって、材料片押込板15は、材料片位置決め溝17に沿って往復して移動する。本実施例では、材料片押込動力装置は、材料片位置決め溝17の下側に設けられ、材料片位置決め溝17の底部には長孔が設けられ、それによって、材料片押込板15の材料片押込動力装置への接続が容易になる。材料片押込板15及び材料片押込動力装置は相対的に摺動可能であり、かつ摺動方向は材料片押込板15の移動方向と同じであり、押込緩衝装置は、材料片押込板15と材料片押込動力装置との間に設けられる。
【0043】
材料片位置決め溝17には、水平材料片押込ガイドレール22が取り付けられ、材料片押込ガイドレール22には、材料片押込ラック16が摺動可能に取り付けられ、材料片押込板15は材料片押込ラック16に摺動可能に接続される。材料片押込ラック16は材料片押込動力装置に接続される。
【0044】
材料片押込ラック16の頂部には押込緩衝ガイドレールが設けられ、材料片押込板15の下部は、長孔を貫通して、押込緩衝ガイドレールに摺動可能に取り付けられ、押込緩衝ガイドレールは、材料片押込板15の移動方向に平行に設けられる。本実施例では、押込緩衝装置は材料片押込バネ21であり、材料片押込バネ21の両端は、それぞれ材料片押込板15及び材料片押込ラック16に接続される。材料片押込ラック16が下部パレット23に接近して移動するときに、材料片押込バネ21は材料片押込板15を付勢して移動させ、かつ材料片押込バネ21は、材料片押込板15と材料片押込ラック16との間の相対的な移動を可能にし、このようにして、材料片を所望の位置に押し込むとともに、材料片へのダメージを回避することができる。
【0045】
材料片押込動力装置は、材料片押込モータと、材料片押込タイミングベルト20と、を含み、材料片位置決め溝17の両端共に押込タイミングベルトプーリが回動可能に設けられ、材料片押込タイミングベルト20の両端は、それぞれ、対応する側の押込タイミングベルトプーリと噛み合い、材料片押込モータは、材料片位置決め溝17に取り付けられ、材料片押込モータの出力軸は、押込タイミングベルトプーリのいずれかに接続され、材料片押込ラック16は、材料片押込タイミングベルト20の上側に接続される。
【0046】
材料片押込動力装置はリニアモジュールをそのまま使用してもよく、材料片押込タイミングベルト20は、スクリューナットペアに置き換えてもよい。
【0047】
図3図5及び図6に示すように、カセットジャッキング装置は、カセットジャッキング動力装置と、ジャッキングフレーム19と、加締め装置と、を含み、ジャッキングフレーム19は、スタンド1に昇降可能に取り付けられ、ジャッキングフレーム19では、上部パレット23に近い側の底部が外方へ凸状となり、カセット支持部が形成され、カセット支持部は、ジャッキングフレーム19の底部に設けられ、加締め装置は、ジャッキングフレーム19の頂部に取り付けられ、かつ、カセット支持部の真上に設けられ、加締め装置とカセット支持部との間には、カセットを収容する空洞が設けられる。カセットジャッキング動力装置は、ジャッキングフレーム19に接続されて、ジャッキングフレーム19を昇降させる。
【0048】
加締め装置は、カセット加締めシリンダ31及びプラテン14を含み、カセット加締めシリンダ31は、ジャッキングフレーム19の頂部に垂直に取り付けられ、プラテン14は、カセット加締めシリンダ31のピストンロッドに取り付けられ、カセット加締めシリンダ31のピストンロッドに同期して昇降し、プラテン14は、カセット支持部の真上に設けられ、カセット加締めシリンダ31は、プラテン14を降下させ、また、カセットをカセット支持部に加締める。
【0049】
カセットジャッキング動力装置は、カセットジャッキングモータ26及びカセットジャッキングスクリュー27を含み、カセットジャッキングモータ26は、スタンド1に取り付けられ、カセットジャッキングスクリュー27は、縦方向に設けられ、カセットジャッキングスクリュー27は、スタンド1に回動可能に取り付けられ、カセットジャッキングモータ26のピストンロッドは、カセットジャッキングスクリュー27に接続され、カセットジャッキングスクリュー27を回動させる。
【0050】
スタンド1には、縦方向のカセットジャッキングガイドレールが取り付けられ、カセットジャッキングガイドレールには、ジャッキングベース30が摺動可能に取り付けられ、ジャッキングベース30は、ジャッキングフレーム19に接続されて、ジャッキングフレーム19を昇降させ、カセットジャッキングスクリュー27は、ジャッキングベース30に螺合され、ジャッキングベース30を介してジャッキングフレーム19を昇降させる。
【0051】
カセットジャッキング動力装置はリニアモジュールであってもよく、カセットジャッキングスクリュー27は、タイミングベルトに置き換えてもよい。
【0052】
供給排出装置2は調節装置をさらに含み、調節装置は、ジャッキングベース30とジャッキングフレーム19との間に設けられ、ジャッキングフレーム19は、ジャッキングベース30に摺動可能に接続され、かつ摺動方向が材料片押込板15の移動方向に垂直され、それによって、カセットが材料片押込板15及び材料片押出装置に正対して設けられるように、カセットの位置が調節される。
【0053】
調節装置は調節シリンダ28を含み、調節シリンダ28はジャッキングベース30に取り付けられ、調節シリンダ28のピストンロッドは、ジャッキングフレーム19に接続され、ジャッキングフレーム19を水平に移動させる。具体的には、ジャッキングベース30の上側には、水平調節ガイドレールが取り付けられ、調節ガイドレールには、調節ラック29が摺動可能に取り付けられ、調節シリンダ28のピストンロッドは調節ラック29に接続され、ジャッキングフレーム19は調節ラック29に固定して接続され、それによって、ジャッキングフレーム19に対する調節がより安定かつ確実になる。
【0054】
図3図5及び図7に示すように、カセット押出装置は、カセット押出動力装置及びカセットプランジャ18を含み、カセットプランジャ18は水平に設けられ、カセットプランジャ18は、上部パレット23よりも高く設けられ、かつジャッキングフレーム19の両側共に2つのカセットプランジャ18が設けられ、ジャッキングフレーム19におけるカセットは、カセットの両端をもって上部パレット23に押される。カセット押出動力装置はまた、各カセットプランジャ18に接続されて、これらを移動させる。
【0055】
カセット押出装置はカセットプッシュラック32をさらに含み、各カセットプランジャ18は、カセットプッシュラック32に固定して接続され、カセットプッシュラック32に同期して移動し、カセット押出動力装置は、カセットプッシュラック32に接続され、カセットプッシュラック32を移動させ、それによって、各カセットプランジャ18は同期して移動する。本実施例では、カセット押出動力装置はカセットプッシュシリンダ25であり、カセット押出動力装置は、リニアモジュールによって実装されてもよい。
【0056】
図3図5及び図8に示すように、材料片押出装置は、材料片押出板13と、押出緩衝装置と、材料片押出動力装置と、を含み、カセット押出板13は、材料片位置決め溝17に正対して設けられ、材料片押出板13は、上部パレット23に摺動可能に設けられ、材料片押出動力装置は、材料片押出板13に接続され、材料片押出板13を材料片位置決め溝17に接近又は離間して往復移動させる。材料片押出板13は、材料片押出動力装置に相対的に摺動可能であり、かつ摺動方向が材料片押出板13の移動方向と同じであり、押出緩衝装置は、材料片押出板13と材料片押出動力装置との間に設けられる。材料片押出板13は、材料片押込板15に正対して設けられる。
【0057】
上部パレット23には、材料片押出ガイドレールが取り付けられ、材料片押出ガイドレールには、材料片押出ラック34が摺動可能に取り付けられ、材料片押出ラック34は、材料片押出動力装置に接続され、材料片押出板13は、材料片押出ラック34に取り付けられ、かつ押出緩衝装置は、材料片押出板13と材料片押出ラック34との間に取り付けられる。
【0058】
本実施例では、押出緩衝装置は材料片押出バネ35であり、材料片押出ラック34には、案内軸が取り付けられ、材料片押出板13は、案内軸に摺動可能に接続され、材料片押出バネ35は案内軸に外嵌され、材料片押出バネ35の両端は、それぞれ材料片押出板13及び材料片押出ラック34に接続され、それによって、材料片推を所望の位置に押すとともに、材料片へのダメージを回避することができる。
【0059】
材料片押出動力装置は、材料片押出モータ及び材料片押出タイミングベルト33を含み、上部パレット23には、押出タイミングベルトプーリが回動可能に取り付けられ、押出タイミングベルトプーリは、材料片押出ガイドレールの両端に設けられる2つがあり、材料片押出タイミングベルト33の両端は、それぞれ2つの押出タイミングベルトプーリに接続され、材料片押出モータの出力軸は、押出タイミングベルトプーリの何れかに接続される。材料片押出ラック34は、材料片押出タイミングベルト33の上側に固定して接続される。
【0060】
材料片押出動力装置は、シリンダ又はリニアモジュールを用いてもよく、材料片押出タイミングベルト33は、スクリューナットペアに置き換えてもよい。
【0061】
材料片を溝から押し出す際には、材料片押出モータは、材料片押出タイミングベルト33を介して材料片押出板13を移動させ、材料片押出板13は、カセット内に伸び、材料片の端部が材料片押込板15に位置決めされるまで、対応する材料片を材料片位置決め溝17内に押し、材料片押出バネ35の存在により、材料片へのダメージを回避することができる。
【0062】
図9~10に示すように、搬送装置3は、並進装置と、昇降装置と、伸縮装置と、吸引装置と、を含み、並進装置は、スタンド1に取り付けられ、昇降装置は、並進装置に取り付けられ、並進装置に追従して供給排出装置2と各組の溶接室との間で往復移動し、伸縮装置は、昇降装置に取り付けられ、昇降装置に追従して昇降し、吸引装置は、伸縮装置に取り付けられ、伸縮装置に追従して水平に移動し、伸縮装置の移動方向は並進装置の移動方向に垂直である。
【0063】
並進装置は、並進動力装置及び並進ラック37を含み、スタンド1には、水平並進ガイドレール36が取り付けられ、並進ラック37は、並進ガイドレール36に摺動可能に取り付けられ、並進動力装置は、スタンド1に取り付けられ、並進ラック37に接続され、それを水平に移動させる。並進動力装置はリニアモジュールであるが、モータによってタイミングベルトを介して並進ラック37を移動させてもよい。
【0064】
昇降装置は、昇降動力装置及び昇降ラック39を含み、昇降ラック39は、並進ラック37に摺動可能に取り付けられ、昇降動力装置は、昇降ラック39に接続され、それを昇降させる。本実施例では、並進ラック37にはピラー38が取り付けられ、昇降ラック39は、ピラー38に摺動可能に取り付けられる。昇降動力装置はリニアモジュールであるが、モータによってタイミングベルトを介して昇降ラック39を昇降させてもよい。
【0065】
伸縮装置は、伸縮動力装置及び伸縮ラック40を含み、伸縮ラック40は、昇降ラック39に摺動可能に取り付けられ、伸縮動力装置は、伸縮ラック40に接続され、それを水平に移動させる。
【0066】
伸縮動力装置は、伸縮駆動モータ43及び伸縮タイミングベルト42を含み、昇降ラック39の両端共に、伸縮タイミングベルトプーリが回動可能に取り付けられ、伸縮タイミングベルト42の両端は、それぞれ両伸縮タイミングベルトプーリに接続され、伸縮駆動モータ43は、昇降ラック39に取り付けられ、伸縮駆動モータ43の出力軸は、伸縮タイミングベルトプーリの何れかに接続される。伸縮ラック40は、伸縮タイミングベルト42の一方の側に固定して接続される。伸縮動力装置は、リニアモジュールを用いてもよいが、伸縮タイミングベルト42は、スクリューナットペアに置き換えてもよい。
【0067】
吸引装置は、吸引ラック及びノズル41を含み、吸引ラックは、伸縮ラック40の下側に取り付けられ、ノズル41は、吸引ラックの底部に取り付けられ、複数のノズル41は、間隔を空けて並設され、それによって、材料片が搬送される。
【0068】
図11~12に示すように、溶接室ベース9は、断熱カバー44及び支持板45を含み、断熱カバー44内には、ベース本体46が設けられ、ベース本体46の頂部には、上方に開口する下部取り付けキャビティが開けられ、断熱カバー44は直方体のものであり、支持板45は、ベース本体46内に設けられ、支持板45の底部は、ベース本体46の底部に支持され、かつ、ベース本体46に取り外し可能に接続される。支持板45の側部は、ベース本体46の内壁と間隔を空けて設けられる。ベース本体46の頂部にはシールリングが設けられ、シールリングは、下部取り付けキャビティを取り囲んで設けられる。
【0069】
下部加熱装置は、支持板45内に設けられた加熱管47を含み、加熱管47は、支持板45の長手方法に設けられ、加熱管47は、支持板45の短手方向に沿って間隔を空けて複数本並設され、本実施例では、加熱管47は、支持板45の短手方向に沿って間隔を空けて2本並設される。支持板45内には、温度センサがさらに設けられ、温度センサは、2つの加熱管47の間に設けられ、支持板45の温度をリアルタイムで検出し、材料片の温度は、支持板45の温度を反映する。
【0070】
さらに、支持板45は、外板4501及び内板4502を含み、外板4501は、内板4502の上側に設けられ、外板4501は内板4502に取り外し可能に接続され、温度センサ及び加熱管47は、いずれも、外板4501と内板4502との間に設けられ、それによって、加熱管47の着脱が容易になる。
【0071】
ベース本体46の底部には下部凹溝が設けられ、断熱カバー44の底部の内壁には上部凹溝が設けられ、下部凹溝及び上部凹溝は、下部冷却チャネル55を画定しており、下部冷却チャネル55は、溶接室ベース9内に螺旋状に設けられ、それによって、冷却面積が大きくなり、かつ、材料片を均一に冷却することができる。
【0072】
図12~13に示すように、支持板45の底部、すなわち、内板4502の底部には、複数の給気溝4503が設けられ、支持板45の底部はベース本体46に密着し、それによって、給気溝4503とベース本体の底部は、複数の給気チャネルを画定する。
【0073】
各溶接室には、保護ガス供給装置が接続されており、保護ガス供給装置は給気管48を含み、給気管48の出口は、断熱カバー44及びベース本体46の底部を貫通して、各給気チャネルの入口に連通し、それによって、各給気チャネルの出口は、支持板45を取り込んで設けられ、各給気チャネルは、支持板45とベース本体46との間の空間に連通し、このようにして、窒素が溶接キャビティ内に均一に入ることができる。
【0074】
図14に示すように、溶接室トップカバー8の構造は溶接室トップカバー8内に支持板45が設けられない以外、溶接室ベース9の構造と同じであるが、溶接室トップカバー8の構造については詳述しない。
【0075】
溶接室トップカバー8の頂部には、抽気口801が設けられ、抽気口801は凝縮ユニット6に連通し、溶接室内の真空吸引を可能にする。抽気口801は、溶接室トップカバー8の断熱カバー44及びトップカバー本体を貫通して、トップカバー本体内の上部取り付けキャビティに連通する。
【0076】
溶接室トップカバー8が溶接室ベース9の上側に結合された場合、上部取り付けキャビティ及び下部取り付けキャビティは、溶接キャビティを画定し、トップカバー本体の縁部はベース本体46の縁部を加締め、トップカバー本体は、ベース本体46と嵌合してシールリングを押え、それによって、溶接室トップカバー8と溶接室ベース9との間の良好なシール効果が確保される。
【0077】
上部加熱装置は、トップカバー本体内に設けられた加熱管47を含み、加熱管47は、トップカバー本体の長手方向に沿って設けられ、加熱管47は、トップカバー本体の短手方向に沿って間隔を空けて2本並設される。上部冷却チャネルは、トップカバー本体と溶接室トップカバー8の断熱カバー44との間に設けられる。
【0078】
図15~16に示すように、本実施例では、各蓋開閉装置5は、第1蓋開閉装置と第2蓋開閉装置を含み、同一組の2つの溶接室の溶接室トップカバー8は、それぞれ第1蓋開閉装置及び第2蓋開閉装置に接続され、それによって、同一組の2つの溶接室トップカバー8は個別に昇降する。
【0079】
第1蓋開閉装置は、第1蓋開閉シリンダ49及び第1蓋開閉ラック50を含み、スタンド1には、取り付けベース53が設けられ、取り付けベース53は、対応する組の溶接室の真下に設けられ、取り付けベース53には、縦方向の第1蓋開閉ガイドレール54が設けられ、第1蓋開閉ガイドレール54は、間隔を空けて2本並設され、第1蓋開閉ラック50は、取り付けベース53の一方の側に設けられ、第1蓋開閉ラック50は、第1蓋開閉ガイドレール54に摺動可能に取り付けられ、第1蓋開閉シリンダ49は、スタンド1に縦方向に取り付けられ、第1蓋開閉シリンダ49のピストンロッドは、第1蓋開閉ラック50に接続され、第1蓋開閉ラック50を昇降させる。
【0080】
第1蓋開閉ラック50の両側共に第1接続板が設けられ、2つの第1接続板は、間隔を空けて設けられ、2つの第1接続板の下端は、すべて第1蓋開閉ラック50に固定して接続され、2つの第1接続板の上端は、すべて溶接室に接近して曲げられ、かつ、上側にある溶接室の溶接室トップカバー8に接続され、この溶接室トップカバー8は、2つの第1接続板の間に位置し、それによって、この溶接室トップカバー8は、第1接続板に同期して昇降する。
【0081】
第2蓋開閉装置は、第2蓋開閉ラック52及び第2蓋開閉シリンダ56を含み、第1蓋開閉ラック50の2つの第1接続板のいずれの内側にも、縦方向の第2蓋開閉ガイドレール51が取り付けられ、第2蓋開閉ラック52は、2つの第1接続板の間に設けられ、第2蓋開閉ラック52の両側は、それぞれ対応する側の第2蓋開閉ガイドレール51に摺動可能に接続され、第2蓋開閉ラック52の上側のいずれにも、第2接続板が設けられ、第2接続板は、間隔を空けて2つ並設され、2つの第2接続板の上端は、いずれも、溶接室に接近して曲げられ、下側にある溶接室の溶接室トップカバー8は、第2接続板の上端に固定して接続され、かつ、この溶接室トップカバー8は、2つの第2接続板の間に位置し、それによって、この溶接室トップカバー8は、2つの第2接続板に同期して昇降する。
【0082】
図17に示すように、凝縮ユニット6は、分離管57及び収集瓶58を含み、分離管57の入口及び出口は、いずれも側部に設けられ、分離管57の入口は、溶接室の溶接キャビティに連通し、分離管57の出口は、濾過ユニット7の入口に連通する。収集瓶58は、分離管57の下側に設けられ、収集瓶58の頂部は、分離管57の底部に連通し、かつ収集瓶58の頂部と分離管57の底部との間にシールが設けられ、分離管57の頂部は密閉して設けられる。
【0083】
溶接室を真空吸引する際には、ガスは分離管57内に入り、このとき、液体が重力作用により収集瓶58内に入り、気液分離が実現される。
【0084】
本静的真空溶接炉の作動過程は以下の通りである。溶接対象の材料片がカセット内に置かれ、コンベヤモータ24は、コンベヤタイミングベルト12を介してカセットをジャッキングフレーム19のカセット支持部の上側に搬送し、カセット加締めシリンダ31は、プラテン14を押して下方へ移動させ、かつ、カセットをカセット支持部に加締めする。
【0085】
カセットジャッキングモータ26は、カセットジャッキングスクリュー27を介してジャッキングベース30を上昇させ、ジャッキングフレーム19は、カセットの最上側にある材料片が材料片位置決め溝17に対正するように、ジャッキングベース30に同期して上昇し、このとき、調節シリンダ28は、調節ラック29を駆動してジャッキングフレーム19の位置を調節し、それによって、カセット内の材料片が材料片位置決め溝17に正対する。
【0086】
材料片押出モータは、材料片押出タイミングベルト33を介して材料片押出板13を移動駆動し、材料片押出板13は、材料片の端部によって、材料片をカセット内から材料片位置決め溝17内に送り、材料片の端部が材料片押込板15に支持されると、材料片押出モータは、材料片押出板13をリセットさせる。
【0087】
搬送装置3のノズル41は、材料片位置決め溝17内の材料片を吸引し、材料片を溶接室内に搬送する。また、カセットジャッキングモータ26は、カセットジャッキングスクリュー27によってジャッキングベース30を上昇させ、それによって、ジャッキングフレーム19を所定距離分上昇させ、さらにカセットの最上側にある材料片を材料片位置決め溝17に位置合わせさせる。このようにして、このカセット内の材料片はすべて溶接室内に送られる。
【0088】
溶接対象の材料片は溶接室の支持板45に置かれ、次に、昇降装置は溶接室トップカバー8を下方へ移動させ、溶接室ベース9に結合される。
【0089】
給気管48は、溶接室内に窒素を導入し、また、平衡管を介して上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55を循環水タンク4に連通させ、抽気口801と凝縮ユニット6との間の遮断弁も閉じられる。加熱管47は、溶接室を所定の温度に加熱する。
【0090】
給気管48における遮断弁は、給気管48を閉じ、このとき、真空ポンプは溶接室を真空吸引し、それによって、ワークピースの溶接が行われる。
【0091】
溶接完了後、上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55と平衡管との間の遮断弁が閉じられ、また、冷却ポンプは、循環水を上部冷却チャネル及び下部冷却チャネル55内に送り、それによって、溶接室を冷却する。
【0092】
搬送装置は、溶接が完了した材料片を材料片位置決め溝17内に送り、材料片押込モータは、材料片押込タイミングベルト20を介して材料片位置決め溝17内の材料片をカセット内に押し、次に、カセットジャッキングモータ26は、カセットジャッキングスクリュー27によってジャッキングベース30を所定距離分下方へ移動させ、ジャッキングフレーム19は同期して移動し、カセットを所定距離分降下し、それによって、カセットの両側にある空きの載置部は、再度材料片位置決め溝17に正対し、材料片位置決め溝17内の材料片をさらに受ける。
【0093】
カセット内に溶接後の材料片が詰まった後、カセットジャッキングモータ26は、カセットジャッキングスクリュー27によってジャッキングベース30を上昇させ、それによって、上部パレット23に位置合わせするまで、ジャッキングフレーム19によってカセットを上方へ移動させ、また、カセット加締めシリンダ31は、プラテン14を上方へ移動させ、カセットに対する加締めを解除し、このとき、カセットプッシュシリンダ25は、カセットプッシュラック32を移動させ、それによって、各カセットプランジャ18を移動させ、カセットプランジャ18は、ジャッキングフレーム19におけるカセットを上部パレット23に押す。
【0094】
以上は、本発明のより良い実施例に過ぎず、本発明を他の形態で限定するものではなく、当業者であれば、以上で開示された技術的内容を利用して同等の変化の同等の実施例に変更又は変形することができる。しかし、本発明の技術的解決手段の内容から逸脱していない場合、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して行われたいかなる簡単な修正、均等な変化及び変形は、本発明の技術的解決手段の保護範囲に属する。
【要約】
本発明は、静的真空溶接炉に関し、真空溶接炉の技術分野に属する。複数の溶接室が間隔を空けて並設され、溶接室には、溶接室を開閉する蓋開閉装置が接続され、溶接室の一方の側に供給排出装置(2)が設けられ、供給排出装置(2)と各溶接室との間に搬送装置(3)が設けられ、各溶接室に加熱装置及び冷却装置が接続され、材料片位置決め装置の両側のそれぞれに材料片押込装置及び材料片押出装置が設けられ、材料片押出装置と材料片位置決め装置との間にカセットを配置する空間が設けられる、ことを特徴とする。本発明の静的真空溶接炉は、複数枚の材料片を同時に溶接することができ、溶接速度が速く、材料片押込装置がカセット内の材料片を1つずつ材料片の位置決め装置に押し込むことができ、溶接後の材料片をカセット内に押し込むことができ、それによって、盒への材料片の押込や押出を自動的に行えるようにし、自動化の度合が高く、作動速度が速い。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17