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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】海中変電所システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 7/06 20060101AFI20241202BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20241202BHJP
   H01F 27/12 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H02B7/06
H01F27/02 G
H01F27/12 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024533909
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022081975
(87)【国際公開番号】W WO2023110262
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】21214086.7
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレトハイム、ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】マルティンセン、オイスタイン
(72)【発明者】
【氏名】インゲブリグトセン、スティアン
(72)【発明者】
【氏名】モリツグ、ビトル
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0098468(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280577(US,A1)
【文献】特開2017-11913(JP,A)
【文献】特開2015-80402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H01F 27/00 - 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中変電所システム(100)であって、
油で満たされた水不透過性の筐体(102)と、
AC変圧器(104)と、
前記AC変圧器(104)に電気的に接続された少なくとも1つの過電流デバイス(106a-d)と、を備え、前記少なくとも1つの過電流デバイス、前記AC変圧器、およびそれらの間の電気接続(108、136、138)が、前記油で満たされた水不透過性筐体内に収容され、
前記筐体は、前記筐体内に熱ゾーン(110、112)を備え、前記AC変圧器は、前記筐体の第1の熱ゾーンに配置され、前記過電流デバイスは、前記筐体の第2の熱ゾーンに配置され、少なくとも1枚の木材またはプレスボードから作製された機械的バリアは、前記第1の熱ゾーンと前記第2の熱ゾーンとを分離する熱層(111)を形成し、前記機械的バリアは前記筐体の壁に対して封止されず、少なくとも1つの熱層は、異なる熱ゾーンを可能にするのに十分に低い、前記筐体の前記壁と前記機械的バリアとの間のエリアにおける前記熱ゾーン間の油流を可能にするように構成される、海中変電所システム。
【請求項2】
前記第1および第2の熱ゾーンのうちの少なくとも1つのそれぞれの壁に接続された少なくとも1つの放熱器(126)をさらに備え、前記少なくとも1つの放熱器は、海中位置に配置されたときに前記海中変電所システムの周囲の水と熱を交換するように適合される、請求項1に記載の海中変電所システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの放熱器は、前記筐体のそれぞれの熱ゾーンの壁部分の表面積を増加させるために、前記筐体の前記壁に接続されたパイプまたは突出中空構造として設けられる、請求項2に記載の海中変電所システム。
【請求項4】
前記第1の熱ゾーンは、第2のゾーンから垂直に位置する、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項5】
前記熱ゾーンの間に電磁遮蔽層(130)をさらに備える、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項6】
前記AC変圧器は、二次側で少なくとも6kVのACで、一次側で少なくとも11kVのACで動作可能である、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの過電流デバイスは、6kVから250kVの電圧レベルで動作し、少なくとも16kAの高い故障電流を遮断するように構成される、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項8】
前記第1の熱ゾーンは、前記第2の熱ゾーンが適応されるものよりも高い温度に耐えるデバイスを収容するように適応される、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項9】
前記AC変圧器は、前記少なくとも1つの過電流デバイスに接続された少なくとも1つの二次巻線(123、133)を備える、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項10】
前記過電流デバイスのそれぞれは、前記筐体内の電気的故障、絶縁故障、温度故障、または水漏れの少なくとも1つを検出し、前記過電流デバイスに接続された前記海中変電所システムの電気回路を切断するように構成されたセンサを備える、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項11】
前記故障を示す前記センサからの信号を受信し、前記受信した信号に応答して前記少なくとも1つの過電流デバイスの動作を制御するように構成された制御ユニット(150)をさらに備える、請求項10に記載の海中変電所システム。
【請求項12】
前記制御ユニットの遠隔制御を可能にし、前記AC変圧器の動作状態を示すデータを取得するように構成された通信装置(154)を備える、請求項11に記載の海中変電所システム。
【請求項13】
前記AC変圧器および前記少なくとも1つの過電流デバイスは、油と接触して動作するように構成される、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項14】
前記過電流デバイスは、前記AC変圧器への接続を制御するように構成された磁気アクチュエータを備える、請求項に記載の海中変電所システム。
【請求項15】
少なくとも1つの発電ユニットから電力の海中収集のための集電システム(10)であって、前記集電システムは、
少なくとも1つの発電ユニットと、
前記少なくとも1つの発電ユニット(12a、12b)から電力を収集するために前記少なくとも1つの発電ユニット(12a、12b)と接続されて海中に配置された、請求項1から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの海中変電所システム(100)とを備え、前記少なくとも1つの海中変電所システムは、前記集電システムの少なくとも1つの海中ケーブルによって、前記発電ユニットと、電力消費体(14)と電気的に接続される、集電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海中変電所システムに関する。本発明はさらに、発電ユニットからの電力の海中収集のための集電システムに関し、集電システムは、少なくとも1つの海中変電所システムを備える。
【背景技術】
【0002】
例えば、風車、太陽光発電デバイス、及び波力発電のような洋上発電設備は、近年、サイズ及び定格出力の両方が増大している。関連開発に伴う継続的なサイズ及び電力の増大は、それぞれの発電設備からの集電に関する課題に加えて、設置及び保守に関しての物流課題につながる。
【0003】
浮体式風力タービン、又は、例えば、浮体式太陽光発電等の他の浮体式発電設備では、設置及び集電における物流、並びに、関連のある場合は、配電 (distribution)が困難である。例えば、現在使用されている電力送出ケーブルは、発電設備に接続された浮遊変電所を利用するための力に耐えるのに十分な強度を有していないことが多い。
【0004】
この問題を軽減するために、海中動作用の電力システムが提案されている。しかしながら、そのような海中電力システムには、依然として改善の余地があるように思われる。
【発明の概要】
【0005】
先行技術の上述の及び他の欠点を考慮して、本発明の目的は、先行技術での欠陥を少なくとも部分的に軽減する海中変電所システムを提供することである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、油で満たされた水不透過性筐体と、AC変圧器と、AC変圧器に電気的に接続された少なくとも1つの過電流デバイスとを備える海中変電所システムが提供される。少なくとも1つの過電流デバイス、AC変圧器、およびそれらの間の電気接続は、油で満たされた水不透過性筐体内に収容される。筐体は、筐体内に熱ゾーンを備え、AC変圧器は、第1の熱ゾーンに配置され、過電流デバイスは、筐体の第2の熱ゾーンに配置される。少なくとも1つの熱層が、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとを分離し、少なくとも1つの熱層は、熱ゾーン間の熱の流れを低減しながら、熱ゾーン間の油の流れを可能にするように構成される。
【0007】
本発明は、少なくとも部分的に、AC変圧器および過電流デバイスが同じ筐体内に配置される場合に、よりコンパクトな海中変電所が提供されるという認識に基づく。さらに、筐体内の油の流れは、主に対流によるものであり、他の流れ強制機器を回避することができるので、海中変電所の複雑さおよびコストを低減する。さらに、単一の筐体を使用することにより、異なる筐体間の複雑なコネクタの必要性が低減され、または排除さえされ、システム動作の信頼性が向上する。さらに、単一の筐体を使用することは、システムの全体的な設置面積を低減でき、油充填を単純化できる。
【0008】
AC変圧器と過電流デバイスは、一般に、異なる熱動作特性及び要件を有し、例えば、AC変圧器は、通常、過電流デバイスよりもかなり暖かくなる。同じ筐体内のAC変圧器および少なくとも1つの過電流デバイスの配置は、異なる熱ゾーンによって軽減される。AC変圧器と少なくとも1つの過電流デバイスとを異なる熱ゾーンに配置することによって、異なる動作温度にもかかわらず、それらを同じ筐体内で動作させることが可能になる。
【0009】
異なる熱ゾーンを可能にするために、加熱された油は、過電流デバイスから離れて筐体壁に向かって加熱された油をガイドする機械部品の形態の設計または熱ガイドによって筐体壁に向かってガイドされる。これにより、AC変圧器によって加熱された油が過電流デバイスに到達することが少なくとも部分的に防止される。
【0010】
好ましくは、機械的バリアが、熱層を形成するように構成された筐体内に配置される。このような機械的バリアは、電気的に絶縁性であり、筐体内の油で含浸される。機械的バリアの例は、例えば、プレスボードまたは木材から作製される。このような場合、1つ以上のシートまたはボードが、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとの間に、ゾーン間のバリアとして配置される。油は、ゾーン間を流れることができるが、この油の流れは、2つの異なる熱ゾーンを可能にするのに十分に低い。より具体的には、例えば、機械的バリアによって提供されるような熱層は、封止層を形成せず、筐体壁に対して封止されない。言い換えれば、プレート、ボード、またはバリアを囲むエリアにおいて、油は、熱ゾーン間を依然として自由に移動することができるが、熱ゾーン間の全体的な熱の流れを依然として著しく低減することを可能にする。したがって、筐体は、両方の熱ゾーンを油で充填するために単一の油充填作業のみを必要とする単一の容積を形成する。単一の容積は、高温油を筐体壁に向かってガイドすることによって熱ゾーン間の高温油の流れを低減する機械的バリアを含み、高温油は、例えば放熱器を介して筐体を取り囲む水と熱を交換することができる。
【0011】
したがって、熱ゾーンで発生した熱が他の熱ゾーンに実質的に影響を及ぼさないことを依然として確実にしながら、油が流れることができる筐体を有する提案された海中変電所システムでは、AC変圧器および過電流デバイスを同じ筐体内に配置することが可能である。
【0012】
変電所システムが海中変電所システムであるということは、海中変電所システムが、動作中に水中に沈められるように構成されることを意味する。水中配置では、筐体は完全に水中に、すなわち海面下に沈められる。
【0013】
筐体が油で満たされているとは、筐体が少なくとも満たされており、AC変圧器および過電流デバイスが油に沈められ、油と接触していることを意味する。筐体内には、油で満たされていないいくつかの小さなサブボリュームが依然として存在できる。しかしながら、筐体を油で満たす目的は、筐体を完全に満たすことであるが、油のないいくつかのポケットは許容される。好ましくは、筐体は、完全に油で満たされる。
【0014】
少なくとも1つの過電流デバイスがAC変圧器に電気的に接続されることは、AC変圧器と少なくとも1つの過電流デバイスとの間で電力伝送、例えば電流伝送が可能であることを意味する。
【0015】
AC変圧器は、交流電流の電圧を第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに変換するように構成されたデバイスである。
【0016】
筐体が不透水性であるとは、筐体が、AC変圧器および過電流デバイスが配置されている筐体の内部区画に水が入らないように適合されていることを意味する。好ましくは、筐体は金属製であり、筐体内への水漏れを回避するために完全に溶接される。筐体は、好ましくは、耐腐食性金属から作られる。
【0017】
実施形態では、海中変電所システムは、第1および第2の熱ゾーンのうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの放熱器をさらに備えてもよく、少なくとも1つの放熱器は、海中位置に配置されたときに海中変電所システムの周囲の水と熱を交換するように適合される。一般に、少なくとも1つの放熱器は、水にさらされる表面積を増加させて、熱ゾーンの少なくとも1つから熱を放散させるように適合される。
【0018】
例えば、筐体の壁に接続されたパイプまたは他の突出した中空構造が、表面積を増加させるために使用されてもよい。
【0019】
したがって、少なくとも1つの放熱器は、筐体のそれぞれの熱ゾーンの壁部分の表面積を増加させるように適合されてもよい。例えば、壁部は、筐体の区画に面する内側に、および/または筐体の外側の湿った側に、粗面が設けられてもよく、またはフランジもしくは他の構造を設けられてもよいが、それぞれの熱ゾーンと位置合わせされる。
【0020】
特定の構成にかかわらず、放熱器は、熱ゾーン間の熱伝達を低減し、代わりに筐体の外側の水との熱交換を増加させるように適合される。
【0021】
実施形態において、第1の熱ゾーンは、第2のゾーンから垂直に位置付けられてもよい。従って、高温耐性を有するAC変圧器を上部に配置することは、そこから過電流デバイスが位置する底部ゾーンへの熱の流れを低減する。
【0022】
実施形態では、海中変電所システムは、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとの間に電磁遮蔽層を備えてもよい。これは、電磁遮蔽層が、それを通る油の流れを可能にし、同時にAC変圧器と過電流デバイスとの間の電磁妨害を低減するように適合されてもよいので、単一の筐体を使用することをさらに軽減する。例えば、過電流デバイスにおける遮断電流は、AC変圧器によって悪影響を受ける場合があり、または過電流デバイスのセンサは、AC変圧器によって悪影響を受ける場合がある。これらの影響は、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとの間の電磁遮蔽層によって低減されてもよい。
【0023】
電磁遮蔽層は、金属メッシュなどの導電性メッシュを含むことができる。
【0024】
AC変圧器は、好ましくは、低電圧側、すなわち二次側で少なくとも6kVのACで、一次側である高電圧側で少なくとも11kVのACで動作する。
【0025】
少なくとも1つの過電流デバイスは、好ましくは、6kVから250kVの電圧レベルで動作し、少なくとも16kAの高い故障電流を遮断するように構成される。
【0026】
第1の熱ゾーンは、第2の熱ゾーンが適合されるものよりも高い温度に耐えるデバイスを収容するように適合されてもよい。
【0027】
実施形態において、AC変圧器は、少なくとも1つの過電流デバイスにそれぞれ接続された少なくとも1つの二次巻線を備えてもよい。好ましい実施形態では、AC変圧器は、複数の二次巻線を備える。
【0028】
実施形態において、各過電流デバイスは、故障を検出し、過電流デバイスに関連付けられた電気回路を切断するように構成されたセンサを備えてもよい。言い換えれば、過電流デバイスは、海中変電所システム内の、または筐体の外部の様々な故障を検出し、対応する回路を切断し、保護することができるセンサを装備する。センサは、電圧、電流、温度、絶縁測定、水漏れであってもよい。特定の負荷に対して、センサは、単一のセンサまたは一対の冗長センサとして設置されてもよい。これは、単一のセンサ故障がセンサ機能を失うことを意味しないので、システムの信頼性を高める。
【0029】
実施形態では、海中変電所システムは、故障を示す信号をセンサから受信し、受信された信号に応答して少なくとも1つの過電流デバイスの動作を制御するように構成される、制御ユニットをさらに備えてもよい。したがって、制御ユニットは、センサからの検知信号を処理し、少なくとも1つの過電流デバイスを開くかまたは閉じるために少なくとも1つの過電流デバイスに制御信号を提供するように構成される。
【0030】
制御ユニットは、制御ユニットがより容易に回収可能であるように、別個の二次水不透過性筐体内に配置されてもよい。第2の水不透過性筐体は、好ましくは、油で満たされる。
【0031】
実施形態では、海中変電所システムは、制御ユニットの遠隔制御を可能にし、AC変圧器および/または過電流デバイスの動作状態を示すデータを取得するように構成された通信装置をさらに備えることができる。したがって、過電流デバイスは、このようにして、陸上または沖合の表面レベル指令センターから遠隔制御される、すなわち、開閉されることが可能である。
【0032】
AC変圧器および少なくとも1つの過電流デバイスは、油と接触して動作するように構成されてもよい。
【0033】
過電流デバイスは、AC変圧器への接続を制御するように構成された磁気アクチュエータを備えてもよい。磁気アクチュエータは、より少ない機械部品を可能にする。
【0034】
海中変電所システムは、AC変圧器および少なくとも1つの過電流デバイスに電気的に接続された、筐体の外側の湿式嵌合コネクタを備えてもよい。湿式嵌合コネクタは、海中ケーブルを介して外部電気的装置との電気接続を可能にする。あるいは、湿式嵌合コネクタがシステムに含まれて、海中ケーブルを介して外部の電気的装置との電気接続を可能にしてもよい。
【0035】
海底ケーブルは、海底に配置されてもよい。
【0036】
本発明の第2の態様によれば、発電ユニットからの電力の海中収集のための集電システムが提供され、システムは、少なくとも1つの発電ユニットから電力を収集するために、海中に配置され、少なくとも1つの発電ユニットに接続された、先行する請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つの海中変電所システムを備え、少なくとも1つの海中変電所システムは、発電ユニットに電気的に接続され、少なくとも1つの海中ケーブルによって電力消費体に接続される。
【0037】
システムは、少なくとも1つの発電ユニットと、海中ケーブルとを備える。
【0038】
従って、電力消費体は、電力を受け取り、電力を更に配電するエンティティであり得るか、又は電力の直接的な消費体であり得るか、又はバッテリ等の電力貯蔵装置であり得る。
【0039】
発電ユニットは、例えば、風力を電力に変換するための風力タービンを備える、浮体式風車であってもよい。しかしながら、発電ユニットは、例えば、浮体式太陽光発電モジュール、又は浮体式フォメーション(floating formation)において洋上に配置された浮体式波力発電モジュール若しくは潮力発電モジュールであっても、等しく好適であってもよいことを理解されたい。
【0040】
本発明の第2の態様の更なる効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して上記で説明したものと大部分が類似している。
【0041】
本発明の更なる特徴及び利点が、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討すると明らかになるであろう。当業者は、本発明の異なる特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、以下に説明される実施形態以外の実施形態を作り出すために組み合わされてもよいことを認識する。
【0042】
本発明のこれらのおよび他の態様を、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の実施形態による、例となる集電システムを概念的に図示する。
図2図2は、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
図3A図3Aは、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
図3B図3Bは、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
図4A図4Aは、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを垂直配置で概念的に図示する。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを水平配置で概念的に図示する。
図5A図5Aは、本発明の実施形態による、例となる放熱器を概念的に図示する。
図5B図5Bは、本発明の実施形態による、例となる放熱器を概念的に図示する。
図5C図5Cは、本発明の実施形態による、例となる放熱器を概念的に図示する。
図5D図5Dは、本発明の実施形態による、例となる放熱器を概念的に図示する。
図6図6は、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
図7図7は、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
図8図8は、本発明の実施形態による、例となる海中変電所システムを概念的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を実施するための形態では、本発明の様々な実施形態が、特定の実施形態を参照して本明細書で説明される。実施形態を説明する際に、明確にするために、特定の専門用語が用いられる。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図するものではない。特定の例示的な実施形態が説明されるが、これは例示を目的としてのみ行われることを理解されたい。当業者であれば、他の構成要素及び構成が、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることを認識されよう。
【0045】
図1は、発電ユニット12a-bからの電力の海中伝送のための集電システム10を概念的に図示する。
【0046】
システム10は、発電ユニット12a、12bから電力を収集するために、少なくとも1つの発電ユニット12a、12bと接続されて海中に配置された少なくとも1つの海中変電所システム100を備える。海中変電所システム100は、発電ユニット12a、12bから海中変電所システム100まで延在する海中ケーブル16を介して発電ユニット12a、12bと電気的に接続される。さらに、海中変電所システム100は、海中ケーブル16によって少なくとも1つの電力消費体14と電気的に接続される。海中変電所システム100は、ここでは、海底2に配置されて示されている。
【0047】
陸上電力グリッド又はハブ、洋上電力グリッド又はハブ、電力を必要とする洋上掘削装置、等のような、様々なタイプの電力消費体が考えられる。従って、電力消費体は、電力を受け取り、電力を更に配電するエンティティであってもよく、又は電力の直接的な消費体であってもよく、又はバッテリ等の電力貯蔵装置であってもよい。
【0048】
海中変電所システム100は、少なくとも1つの発電ユニット12a、12bから電力を受け取り、AC変圧器を使用して電力を変換し、変換された電力を電力消費体14に提供するように構成される。発電ユニットは、ここでは、洋上風車ファーム12aおよび陸上発電所12bによって例示される。しかしながら、本明細書で述べるように、他のタイプの発電ユニットも適用可能である。
【0049】
海中変電所システム100は、海面下の過酷な環境で動作し、水、多くの場合、塩水に沈められる。そのような海中変電所システム100の適切かつ信頼できる動作を確実にし、煩雑な保守を低減するために、海中変電所システム100の電子構成要素が周囲の水から十分に保護され、したがって、十分に封入されるべきであることが重要である。さらに、海中変電所システム100は、異なる熱要件を有する異なるタイプの電子部品を確実に収容することができなければならない。
【0050】
海中変電所システムの上記および他の課題に対処するために、本発明者らは、海中変電所システム100を提案し、その第1の実施形態が図2に概念的に図示されている。
【0051】
海中変電所システム100は、筐体102内の油の自由な移動を可能にするように構成された油充填水不透過性筐体102を備える。
【0052】
海中変電所システム100は、AC変圧器104と、AC変圧器104に電気的に接続された少なくとも1つの過電流デバイス106a-dとをさらに備える。過電流デバイス106a-d、AC変圧器104、およびそれらの間の電気接続108は、油で満たされた水不透過性筐体102内に収容される。電気接続108は、適切なケーブルである。
【0053】
さらに、筐体102は、筐体102内に熱ゾーンを備える。AC変圧器104は、筐体102の第1の熱ゾーン110に配置され、過電流デバイス106a-dは、第2の熱ゾーン112に配置される。少なくとも1つの熱層111が、第1の熱ゾーン110と第2の熱ゾーン112とを分離する。熱層は、熱ゾーン110と112との間の熱流を低減しながら、熱ゾーン間の油流を可能にするように構成される。
【0054】
電力消費体14は、少なくとも1つの過電流デバイス106a-dを介してAC変圧器104に接続される。過電流デバイスは、一般に、システムの健全な部分を動作させたまま、電力消費側または発電側のいずれかで回路内の故障を分離し、また、システムに接続された負荷を非通電にするように構成される。
【0055】
熱層は、様々な方法で達成されてもよく、少なくとも第1の熱ゾーンから第2の熱ゾーンへの熱流を低減するための手段として解釈されるべきである。熱層は、熱流を低減する効果を提供する物理的実体を含んでもよく、または第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとの間の熱境界の形態である仮想熱層を提供する他の手段によって提供されてもよい。断熱層を可能にするいくつかの例は、好ましくは電気絶縁タイプのプレスボードまたは木材の少なくとも1つの層を、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとの間に、しかし密封するようにではなく配置することによるものである。これにより、熱ゾーン間で少量の油の流れが可能になるが、油の大部分はそれぞれのゾーンに残る。
【0056】
油の流れは、対流および適切な熱ガイドのみによることが好ましい。しかしながら、ポンプ又は他のギアを補助機器として使用することも可能である。
【0057】
図3Aから図3Bは、海中変電所システム100の一実施形態を概念的に図示しており、この実施形態では、筐体102を一部分で狭めることによって、第1の熱ゾーン110と第2の熱ゾーン112とを接続する通路またはサブボリューム116を形成することによって、熱層111が達成される。このようにして、油の流れは、各熱ゾーン内で実質的に維持されることができる。狭くなった通路11には、例えば、プレスボード又は木材層又は別の適当な絶縁材料を設けることができる。
【0058】
図3Bは、第1の熱ゾーン110及び第2の熱ゾーン112に接続された狭くなったサブボリューム116を概念的に図示する。第1の熱ゾーン110は、筐体100の第1のサブ部分であり、第2の熱ゾーン112は、第2のサブ部分であり、ダクトの形態のサブボリューム116は、第3のサブ部分である。サブパーツのそれぞれは、それぞれのパーツへの水漏れを回避するために溶接される。サブボリューム116、第1の熱ゾーン110、および第2の熱ゾーン112は、単一のボリュームである。したがって、接続ダクト116と熱ゾーン110との間の接続は、エッジ接続部302(すべては図示せず)において溶接されるが、熱ゾーン110とサブボリューム116との間で油が流れることができるように、界面は開いている。さらに、接続ダクト116と第2の熱ゾーン112との間の接続は、エッジ接続部303(すべては図示せず)で溶接されるが、界面は、第2の熱ゾーン112とサブボリューム116との間で油が流れることができるように開いている。
【0059】
第1の熱ゾーン110および第2の熱ゾーン112のサブパーツを分離させることによって、それぞれの熱ゾーンの周囲の水と接触する表面積が増加する。筐体100の特定のレイアウトは変更してもよいが、第1の熱ゾーンを第2の熱ゾーンの隣に水平に配置することにより、第1の熱ゾーンが第2の熱ゾーンと積み重ねられる場合に起こり得るような過度に高くない筐体100が提供されることが理解される。しかしながら、このような積層レイアウトは他の利点を有することができる。サブボリューム116が熱ゾーン110に比較的高い垂直位置で接続することは、主に、AC変圧器を過電流デバイスに、および接地接続に接続するための電気回路レイアウトの観点からの利点による。
【0060】
サブボリューム116は、サブボリューム116内の油を循環させて、それによって熱層を形成するための手段を備えることができる。そのような手段は、加熱された油を過電流デバイスから離れるようにガイドする機械的プレートまたは他の機械的部品として設けられた熱ガイドであってもよい。例えば、好ましくは電気絶縁タイプのプレスボード又は木材の少なくとも1つの層が、サブボリューム116内に配置されてもよい。
【0061】
図4AからBは、2つの熱ゾーン110および112の形成を概念的に図示する。図4Aでは、第1の熱ゾーン110は、第2の熱ゾーン112から垂直に位置する。第1の熱ゾーンは、第2の熱ゾーンが適応されるものよりも高い温度に耐えるAC変圧器104などのデバイスを収容するように適応される。第2の熱ゾーンに収容されるデバイスは、過電流デバイス106a-dを含む。
【0062】
図4Aに示される垂直配置では、暖かい油は、筐体100の内部で矢印119によって示されるように、第2の熱ゾーン112に位置する過電流デバイスよりもはるかに高い動作温度を有するAC変圧器が位置する第1の熱ゾーン110に向かって自然に流れるか、またはその中に維持される。換言すれば、油が暖まると、油は垂直方向118に流れ、矢印118で示す垂直方向の熱の流れを引き起こす。さらに、加熱された油が少なくとも大部分第1の熱ゾーン110内に維持されるように、熱層111内に機械的バリアが配置される。したがって、最も高温の油は、最も垂直に位置する第1の熱ゾーン110内に維持される。機械的バリアは、第1の熱ゾーン110内の加熱された油を筐体壁に向かって誘導することができる。矢印121で示すように、いくらかの油がゾーン間を移動することができる。
【0063】
図4Bに示される水平配置において、油の流れは、機械的な熱ガイドまたはバリアによって、筐体壁に向かって熱層111内でガイドされる。さらに、第1の熱ゾーン110内の熱ガイドまたはバリア内、または熱層111内で、加熱された油を筐体壁に向かって誘導する。したがって、熱層は、第1の熱ゾーン110と第2の熱ゾーン112との間である程度の熱流のみが許容されるように、そのままである。
【0064】
図5A図5Cは、筐体102の壁部120を概念的に図示し、また、油を収容する筐体の内側122と、水が筐体102と接触する筐体102の外側124とを示す。
【0065】
ここで、筐体は、壁上のフランジの形態の放熱器を備える。図5Aでは、放熱器、フランジ126は、水と接触する外側124に配置される。図5Bでは、放熱器、フランジ126は、油と接触する内側122に配置される。図5Cでは、放熱器、フランジ126は、油と接触する内側122と、水と接触する外側124とに位置する。
【0066】
放熱器は、第1及び第2の熱ゾーンの少なくとも1つと関連付けられてもよく、これは、フランジ126が油側122に配置される図5Bに示すような筐体内部の特定の熱ゾーン、及び/又は図5Aに示すような水側124の壁の反対側のいずれかに配置されることを意味する。図5Cでは、フランジ126は、水濡れ側124と内側油側122の両方に配置されている。少なくとも1つの放熱器126は、海中位置に配置されたときに、海中変電所システムの周囲の水と熱を交換するように適合される。
【0067】
フランジ126のような少なくとも1つの放熱器は、筐体のそれぞれの熱ゾーンの壁部分126の表面積を効果的に増加させる。好ましくは、放熱器は、第2の熱ゾーン112に配置される。フランジ126のサイズおよび寸法は、手近な特定の実装に合わせて調整されてもよい。
【0068】
ここで、図5A図5Cでは、放熱器はフランジ126の形態で示されているが、表面積を増加させる粗い又は凸凹の表面を形成する他の構造などの他のタイプの放熱器も考えられる。さらに、図5Dに示すように、水124を通して油を導く筐体の壁120に入口128aおよび出口128bを有するパイプ128も放熱器として使用されてもよい。パイプ128は、水124と接触する筐体の表面積を増加させる。好ましくは、複数のパイプ128が、筐体102の外側に配置される。さらに、放熱器は、壁部120の表面積を増加させるために、壁部120において油側122に向かって内側に突出する窪みまたは谷の形態で設けられてもよい。
【0069】
例えば図3Aを参照すると、電磁遮蔽層130は、好ましくは、熱ゾーン110と112との間に配置される。このような電磁遮蔽層130は、例えば銅または任意の他の適切な金属を含む金属メッシュなどの導電性メッシュである。メッシュは、金属の穿孔シートであってもよい。電磁遮蔽層により、AC変圧器104から過電流デバイス106a-dへの妨害の影響が低減される。さらに、過電流デバイス106a-dからAC変圧器104への妨害の影響が低減される。
【0070】
好ましくは、AC変圧器は、二次側で少なくとも6kVのACで、一次側で少なくとも11kVのACで動作する。高電圧側は、発電ユニット12a-bの側であり、反対側、電力消費体14の側は、低電圧側である。発電ユニットから電力を収集するという意図された目的のために、AC変圧器は、これらの比較的高い電圧で動作しなければならない。同じ理由で、少なくとも1つの過電流デバイスは、6kVから250kVの電圧レベルで動作し、少なくとも16kAの高い故障電流を遮断するように構成される。
【0071】
例えば図2又は図3Aに示されるような、本明細書に記載されるAC変圧器104は、少なくとも二次巻線132、133と、高電圧側の少なくとも1つの一次巻線135とを備える。好ましくは、AC変圧器104は、複数の巻線を備え、本明細書に示される例では、AC変圧器104は、2つの二次巻線132、133を備えるが、2つよりも多い二次巻線も考えられる。
【0072】
二次巻線132、133は、少なくとも1つの過電流デバイス106a-dに電気的に接続される。例えば、図2に示される二次巻線132は、電気接続136を介して、過電流デバイス106c-dの第1のセットと考えられ得る過電流デバイス106c-dに電気的に接続される。二次巻線133は、電気接続138を介して、第2のセットの過電流デバイス106a-bと考えられ得る過電流デバイス106a-bに電気的に接続される。
【0073】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、1つの二次巻線132が、電気接続136を介して単一の過電流デバイス106dに電気的に接続される。二次巻線133は、電気接続138を介して、第2のセットの過電流デバイス106a-cと考えられ得る2つよりも多い過電流デバイス106a-cに電気的に接続される。
【0074】
いくつかの実施形態では、過電流デバイス106a-dは、筐体内の故障を検出し、過電流デバイス106a-dに関連する電気回路を切断するように構成されたセンサを備える。センサは、変圧器の二次巻線上の電圧、および/またはスイッチ166と例えば過電流デバイス106aとの間の接続における電圧を測定する電圧センサ、対応する電流センサ、変圧器の近く、過電流デバイスおよび重要な電気接続点の近くなどの特定の点における筐体内の油の温度を測定する温度センサ、過電流デバイスの出力または変圧器の中性点における高インピーダンス検出測定を実行するように適合された絶縁測定センサ、油の静電容量変化を測定するように適合された水漏れセンサであってもよい。水漏れセンサは、好ましくは、水が蓄積する油で満たされた筐体の下部に配置される。
【0075】
特定の負荷に対して、センサは、単一のセンサまたは一対の冗長センサとして設置されてもよい。
【0076】
図7は、上述の故障のタイプを示す過電流デバイス106a-dのセンサからの信号を受信するように構成された制御ユニット150を備える本発明のさらなる実施形態を概念的に図示する。故障を示すセンサからの信号に応答して、制御ユニット150は、過電流デバイス106a-dの動作を制御するために、ワイヤレスまたは好ましくはハードワイヤード接続170を介して過電流デバイス106a-dに制御信号を提供するように構成される。
【0077】
好ましくは、制御ユニット150は、油で満たされた筐体152を開ける必要なく海中環境からそれを取り出すことをより容易にするために、別個の水不透過性筐体102内に配置される。
【0078】
海中変電所システム100は、制御ユニット150が配置された筐体152に属する通信装置154をさらに備える。通信装置154は、制御ユニット150の遠隔制御を可能にし、AC変圧器104および過電流デバイス106a-dの動作状態を示すデータを取得するように構成される。遠隔制御は、陸上のクライアント162によって実行されてもよい。
【0079】
図8に概念的に図示されるように、制御可能なスイッチまたは回路遮断器166は、二次巻線と少なくとも1つの過電流デバイス106a-bとの間に電気的に配置されてもよい。スイッチ166は、二次巻線133と少なくとも1つの過電流デバイス106a-bとの間の電気接続を開状態と閉状態との間で制御するように構成される。スイッチ166は、通信装置154を使用してクライアント162によって遠隔制御されてもよい。通信装置154は、例えばイーサネット(登録商標)又は同様のものに基づいてもよい。
【0080】
好ましくは、AC変圧器および少なくとも1つの過電流デバイスは、油と接触して動作される。
【0081】
過電流デバイスは、生産ユニットと電力消費体との間の電気接続を制御するように構成され、言い換えれば、過電流デバイスは、生産ユニットと電力消費体との間の電気接続を遮断または再接続することができる。
【0082】
一般に、AC変圧器は、過電流デバイスよりも長い動作寿命を有する。このことは、過電流デバイスの寿命を延ばして、筐体内部で故障するまでの時間を延ばすことが望ましいことを意味する。これを達成する1つの方法は、機械的部品の数を減らすことである。このために、過電流デバイスは、好ましくは、AC変圧器への接続を制御するように構成された磁気アクチュエータを備える。
【0083】
さらに、筐体102の外側の接続部160(例えば、図2参照)は、AC変圧器および少なくとも1つの過電流デバイスに電気的に接続された湿式嵌合コネクタであってもよく、海中ケーブルを介して外部電気的装置との接続を可能にする。しかしながら、湿式嵌合電気接続も適用可能である。
【0084】
制御ユニットが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ、又は別のプログラマブルデバイスを含んでいてもよい。制御ユニットはまた、あるいは代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ若しくはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、又はデジタルシグナルプロセッサを含んでいてもよい。制御ユニットが、上述のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルデジタルシグナルプロセッサ等のプログラマブルデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能コードを更に含んでいてもよい。
【0085】
本明細書で説明されるデバイス、制御ユニット、又は他のモジュール間の通信は、適宜、電気通信及び/又は光ファイバ通信に基づいて、ワイヤレス又はハードワイヤードであり、特定の場合についての好適なプロトコルを実装してもよい。
【0086】
本発明は、その特定の例示となる実施形態を参照して説明されてきたが、多くの異なる代替及び修正等が、当業者には明らかになるであろう。
【0087】
追加として、開示された実施形態に対する変形が、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の参酌から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解及び達成できる。特許請求の範囲において、「備える」という語は他の要素又は工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 海中変電所システム(100)であって、
油で満たされた水不透過性の筐体(102)と、
AC変圧器(104)と、
前記AC変圧器(104)に電気的に接続された少なくとも1つの過電流デバイス(106a-d)と、を備え、前記少なくとも1つの過電流デバイス、前記AC変圧器、およびそれらの間の電気接続(108、136、138)が、前記油で満たされた水不透過性筐体内に収容され、
前記筐体は、前記筐体内に熱ゾーン(110、112)を備え、前記AC変圧器は、前記筐体の第1の熱ゾーンに配置され、前記過電流デバイスは、前記筐体の第2の熱ゾーンに配置され、少なくとも1枚の木材またはプレスボードから作製された機械的バリアは、前記第1の熱ゾーンと前記第2の熱ゾーンとを分離する熱層(111)を形成し、少なくとも1つの熱層は、異なる熱ゾーンを可能にするのに十分に低い、前記筐体の壁と前記機械的バリアとの間のエリアにおける前記熱ゾーン間の油流を可能にするように構成される、海中変電所システム。
[2] 前記第1および第2の熱ゾーンのうちの少なくとも1つのそれぞれの壁に接続された少なくとも1つの放熱器(126)をさらに備え、前記少なくとも1つの放熱器は、海中位置に配置されたときに前記海中変電所システムの周囲の水と熱を交換するように適合される、[1]に記載の海中変電所システム。
[3] 前記少なくとも1つの放熱器は、前記筐体のそれぞれの熱ゾーンの壁部分の表面積を増加させるために、前記筐体の前記壁に接続されたパイプまたは突出中空構造として設けられる、[2]に記載の海中変電所システム。
[4] 前記第1の熱ゾーンは、第2のゾーンから垂直に位置する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[5] 前記熱ゾーンの間に電磁遮蔽層(130)をさらに備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[6] 前記AC変圧器は、二次側で少なくとも6kVのACで、一次側で少なくとも11kVのACで動作可能である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[7] 前記少なくとも1つの過電流デバイスは、6kVから250kVの電圧レベルで動作し、少なくとも16kAの高い故障電流を遮断するように構成される、[1]から[6]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[8] 前記第1の熱ゾーンは、前記第2の熱ゾーンが適応されるものよりも高い温度に耐えるデバイスを収容するように適応される、[1]から[7]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[9] 前記AC変圧器は、前記少なくとも1つの過電流デバイスに接続された少なくとも1つの二次巻線(123、133)を備える、[1]から[8]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[10] 前記過電流デバイスのそれぞれは、前記筐体内の故障を検出し、前記過電流デバイスに接続された電気回路を切断するように構成されたセンサを備える、[1]から[9]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[11] 前記故障を示す前記センサからの信号を受信し、前記受信した信号に応答して前記少なくとも1つの過電流デバイスの動作を制御するように構成された制御ユニット(150)をさらに備える、[10]に記載の海中変電所システム。
[12] 前記制御ユニットの遠隔制御を可能にし、前記AC変圧器の動作状態を示すデータを取得するように構成された通信装置(154)を備える、[11]に記載の海中変電所システム。
[13] 前記AC変圧器および前記少なくとも1つの過電流デバイスは、油と接触して動作するように構成される、[1]から[12]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[14] 前記過電流デバイスは、前記AC変圧器への接続を制御するように構成された磁気アクチュエータを備える、[1]から[13]のいずれか一項に記載の海中変電所システム。
[15] 少なくとも1つの発電ユニットから電力の海中収集のための集電システム(10)であって、前記集電システムは、
少なくとも1つの発電ユニットと、
前記少なくとも1つの発電ユニット(12a、12b)から電力を収集するために前記少なくとも1つの発電ユニット(12a、12b)と接続されて海中に配置された、[1]から[14]のいずれか一項に記載の少なくとも1つの海中変電所システム(100)とを備え、前記少なくとも1つの海中変電所システムは、前記集電システムの少なくとも1つの海中ケーブルによって、前記発電ユニットと、電力消費体(14)と電気的に接続される、集電システム。
【要約】
本発明は、海中変電所システム(100)に関し、海中変電所システム(100)は、油で満たされた水不透過性筐体(102)と、AC変圧器(104)と、AC変圧器(104)に電気的に接続された少なくとも1つの過電流デバイス(106aからd)とを備え、少なくとも1つの過電流デバイス、AC変圧器、およびそれらの間の電気接続(108、136、138)が、油で満たされた水不透過性筐体内に収容され、ここで、筐体が、筐体内に熱ゾーン(110、112)を備え、ここで、AC変圧器が、筐体の第1の熱ゾーン内に配置され、過電流デバイスが、筐体の第2の熱ゾーン内に配置され、熱層(111)が、第1の熱ゾーンと第2の熱ゾーンとを分離し、少なくとも1つの熱層が、熱ゾーン間の油の流れを可能にしながら、ゾーン間の熱流を低減するように構成される。
【選択図】図2
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8