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特許7596617リレーアセンブリ及びこれを有する電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】リレーアセンブリ及びこれを有する電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20241203BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241203BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241203BHJP
   H01H 50/56 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H02H7/00 K
H02H7/00 L
H02J1/00 309R
H01M10/44 P
H01H50/56 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023532382
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 KR2022014355
(87)【国際公開番号】W WO2023068579
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0142030
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ラエ
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-183097(JP,A)
【文献】特開2020-129489(JP,A)
【文献】特開2006-309997(JP,A)
【文献】特開昭63-069112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H02H9/00-9/08
H01H1/06-1/66
H01H9/54-9/56
H02J1/00-1/16
H01M10/42-10/48
H01H50/00-50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを動力源として駆動されるデバイスのインバーターと前記バッテリーを連結するリレーアセンブリであって、
前記バッテリーと前記インバーターを連結または解除するためのスイッチング部と、
前記スイッチング部を作動させるように配設される電磁石部と、
を備え、
前記スイッチング部は、
前記電磁石部の磁力により回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点を備え
前記スイッチング部は、
前記電磁石部の磁力により回転する、主接点バー、および、接点抵抗を含むプレチャージ接点バーと、
前記主接点バーおよび前記プレチャージ接点バーと接触可能なように配置される接触バーと
を有し、
前記主接点バーおよび前記プレチャージ接点バーにはそれぞれ、前記接触バーに接触するための接点が設けられ、
前記主接点バーの前記接点および前記プレチャージ接点バーの前記接点は、互いに異なる方向に延伸している、
リレーアセンブリ。
【請求項2】
前記主接点バーおよび前記プレチャージ接点バーは、前記電磁石部の磁力により回転する方向において、前記電磁石部の側から前記主接点バー、前記プレチャージ接点バーの順に、互いに所定の間隔だけ離れて配置され、
前記電磁石部の動作に際して前記プレチャージ接点バーが先に前記接触バーと連結されて電力経路を形成し、
次いで、前記プレチャージ接点バーが前記接触バーとの接触を保持したまま前記主接点バーが前記接触バーと連結されて電力経路を形成し、
次いで、前記主接点バーが前記接触バーとの接触を保持したまま前記プレチャージ接点バーが前記接触バーから分離される、
請求項1に記載のリレーアセンブリ。
【請求項3】
前記スイッチング部は、
前記バッテリーと連結されるバッテリー接続端子と、
前記インバーターと連結されるインバーター接続端子と、
前記バッテリー接続端子の終端から一方向に延びるレバーと、
を備え、
前記主接点バーは、前記レバーの終端に連結され、前記一方向と交わる他方向に傾斜するように延び
前記プレチャージ接点バーは、前記レバーの終端から離れて連結され、前記他方向に傾斜するように延び
前記接触バーは、前記インバーター接続端子の終端から一方向に延び、前記レバーと向かい合うように配置される
請求項1に記載のリレーアセンブリ。
【請求項4】
前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーは、それぞれの少なくとも一部が磁力部材を備え、
前記電磁石部は、前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーを向く方向に前記磁力部材と同じ極性を形成するためのコイルを備え、
前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーは、前記電磁石部から加えられる斥力により前記レバーと連結されたそれぞれの一方の端を中心として前記それぞれの一方の端と対向するそれぞれの他方の端が一方向に回転して前記接触バーに接続できるように、前記それぞれの一方の端が前記レバーに回転自在に連結される、請求項3に記載のリレーアセンブリ。
【請求項5】
前記スイッチング部は、
非伝導性物質を含み、前記主接点バーと前記プレチャージ接点バーとの間の一方向への間隔を保持するために前記主接点バーと前記プレチャージ接点バーとの間に配置されるスペーサーを備える、請求項から4のいずれか一項に記載のリレーアセンブリ。
【請求項6】
前記接触バーは、
上端が前記インバーター接続端子と連結され、一方向に延びる第1の部材と、
一方の端が前記プレチャージ接点バーと接触できるように前記第1の部材の下端から他方向に延びる第2の部材と、
一方の面が前記プレチャージ接点バーと接触できるように、かつ、下端が前記主接点バーと接触できるように前記第2の部材から一方向に延びる第3の部材と、
を備える、請求項に記載のリレーアセンブリ。
【請求項7】
前記主接点バーの他方向への延長長さは、前記レバーと前記第3の部材の一方の面との間の離隔距離よりも長く、前記レバーと前記第3の部材の他方の面との間の離隔距離よりも短い、請求項6に記載のリレーアセンブリ。
【請求項8】
前記プレチャージ接点バーの他方向への延長長さは、前記レバーと前記第3の部材の一方の面との間の離隔距離に等しい、請求項6に記載のリレーアセンブリ。
【請求項9】
バッテリーと、
前記バッテリーの電力を電気モーターに印加するためのインバーターと、
前記バッテリーから前記インバーターへと電力を印加及び遮断するための請求項1から4のいずれか一項に記載のリレーアセンブリと、
を備える、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーアセンブリ及びこれを有する電気自動車に係り、さらに詳しくは、配設構造を単純化させることができ、配設スペースを省くことのできるリレーアセンブリ及びこれを有する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、バッテリーに蓄えられた電力を動力源としてモーターを駆動して走行する自動車である。電気自動車は、バッテリーの電力をモーターに印加及び遮断するためのパワーリレーを備える。
【0003】
一方で、電気自動車において用いられるバッテリーは、主として高出力、大容量の中大型バッテリーパックである。したがって、電気自動車の始動に際してバッテリーパックからモーターへと電力が印加されるとき、高電圧の突入電流が瞬時に導通されてしまう虞があり、突入電流によりパワーリレーが融着されてしまうなどのダメージが生じる虞がある。
【0004】
この理由から、従来には、突入電流によるパワーリレーのダメージを防ぐべく、さらにプレチャージリレーを設けてパワーリレーと並列に連結し、プレチャージリレーが優先的にバッテリーパックからモーターへと電力を導通させた後、順次にパワーリレーがバッテリーパックからモーターへと電力を導通させていた。
【0005】
このため、従来の電気自動車は、プレチャージリレーの機械的な締結及び電気的な接続のための部材をさらに必要としており、これらの部材に起因して配設構造が複雑になってしまうという不都合があった。なお、電気自動車の限られた内部空間内においてこれらの部材の配設スペースを確保しなければならないなどの理由により、スペース損失が起こってしまうという不都合があった。
【0006】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】KR10-2013-0034812 A
【0008】
【文献】KR10-2019-0064844 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、配設構造を単純化させることができ、配設スペースを省くことのできるリレーアセンブリ及びこれを有する電気自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係るリレーアセンブリは、バッテリーを動力源として駆動されるデバイスのインバーターとバッテリーを連結するリレーアセンブリであって、前記バッテリーと前記インバーターを連結または解除するためのスイッチング部と、前記スイッチング部を作動させるように配設される電磁石部と、を備えてなり、前記スイッチング部は、前記電磁石部の磁力により回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点を備えてなる。
【0011】
前記スイッチング部は、前記バッテリーと連結されるバッテリー接続端子と、前記インバーターと連結されるインバーター接続端子と、前記バッテリー接続端子の終端から一方向に延びるレバーと、を備えてなり、前記レバーの終端に連結され、前記一方向と交わる他方向に傾斜するように延びる主接点バーと、前記レバーの終端から離れて連結され、前記他方向に傾斜するように延び、接点抵抗を備えるプレチャージ接点バーと、前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーと接触可能なように前記インバーター接続端子の終端から一方向に延び前記レバーと向かい合うように配置される接触バーと、を備えてなることが好ましい。
【0012】
前記電磁石部は、他方向に延び、一方向に前記電磁石部、前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーの順に配置されてもよい。
【0013】
前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーは、それぞれの少なくとも一部が磁力部材を備え、前記電磁石部は、前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーを向く方向に前記磁力部材と同じ極性を形成するためのコイルを備え、前記主接点バー及び前記プレチャージ接点バーは、前記電磁石部から加えられる斥力により前記レバーと連結されたそれぞれの一方の端を中心として前記それぞれの一方の端と対向するそれぞれの他方の端が一方向に回転して前記接触バーに接続できるように、前記それぞれの一方の端が前記レバーに回転自在に連結されてもよい。
【0014】
前記スイッチング部は、非伝導性物質を含み、前記主接点バーと前記プレチャージ接点バーとの間の一方向への間隔を保持するために前記主接点バーと前記プレチャージ接点バーとの間に配置されるスペーサーを備えてなることが好ましい。
【0015】
前記接触バーは、上端が前記インバーター接続端子と連結され、一方向に延びる第1の部材と、一方の端が前記プレチャージ接点バーと接触できるように前記第1の部材の下端から他方向に延びる第2の部材と、一方の面が前記プレチャージ接点バーと接触できるように、かつ、下端が前記主接点バーと接触できるように前記第2の部材から一方向に延びる第3の部材と、を備えてなることが好ましい。
【0016】
前記主接点バーの他方向への延長長さは、前記レバーと前記第3の部材の一方の面との間の離隔距離よりも長く、前記レバーと前記第3の部材の他方の面との間の離隔距離よりも短くてもよい。
【0017】
前記プレチャージ接点バーの他方向への延長長さは、前記レバーと前記第3の部材の一方の面との間の離隔距離に等しくてもよい。
【0018】
本発明の実施形態に係る電気自動車は、バッテリーと、前記バッテリーの電力を電気モーターに印加するためのインバーターと、前記バッテリーから前記インバーターへと電力を印加及び遮断するための前記リレーアセンブリと、を備えてなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、リレーアセンブリが磁力により連動して回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点を備えるスイッチング部を用いて、バッテリーからインバーターへとプレチャージ電圧と主電圧を順次に印加することができる。
【0020】
このことから、従来のプレチャージリレーと、この機械的な締結及び電気的な接続のための部材を省くことができる。この理由から、リレーアセンブリの配設構造を単純化させることができ、リレーアセンブリの設置スペースを省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る電気自動車及びリレーアセンブリの概略図である。
【0022】
図2】本発明の実施形態に係るリレーアセンブリの作動図である。
図3】本発明の実施形態に係るリレーアセンブリの作動図である。
【0023】
図4】本発明の実施形態に係るリレーアセンブリの作動図である。
図5】本発明の実施形態に係るリレーアセンブリの作動図である。
【0024】
図6】本発明の比較例に係るリレーアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される筈である。単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するために、図面は、大きさが誇張されていてもよく、説明と無関係な部分は図面から省略でき、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
【0027】
1.本発明の実施形態に係る電気自動車
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る電気自動車及びリレーアセンブリの概略図である。図2から図5は、本発明の実施形態に係るリレーアセンブリの作動図である。
【0029】
本発明の実施形態に係る電気自動車1000は、バッテリー100と、バッテリー100の電力を電気モーター(図示せず)に印加するためのインバーター200と、バッテリー100からインバーター200へと電力を印加または遮断するための本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ300と、を備えてなる。このとき、リレーアセンブリ300は、バッテリー100の正極端子とインバーター200を連結することができる。
【0030】
一方で、本発明の実施形態に係る電気自動車1000は、バッテリー100の負極端子とインバーター200を連結する主リレー400をさらに備えていてもよい。
【0031】
1.1.バッテリー100
【0032】
バッテリー100は、電気自動車の動力源として用いられる電力を蓄える役割を果たす。バッテリー100は、充電及び放電可能な複数のバッテリーセルを備えていてもよい。このとき、複数のバッテリーセルは、複数の二次電池セルを備えていてもよい。なお、複数のバッテリーセルは、バッテリーパックのタイプに配設されてもよい。バッテリーパックには、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)が組み込まれていてもよい。
【0033】
1.2.インバーター200
【0034】
インバーター200は、バッテリー100の直流電流を交流電流に変換して、電気モーターに供給することができる。また、インバーター200は、交流電流の周波数及び電圧を制御して、電気モーターの出力を調節することができる。このとき、出力とは、回転数及びトルクのことを指し示すことがある。
【0035】
1.3.リレーアセンブリ300
【0036】
リレーアセンブリ300は、バッテリー100とインバーター200との間の電力の印加経路を連結または遮断する役割を果たす。リレーアセンブリ300は、バッテリー100の正極端子とインバーター200を連結するように配設されてもよい。リレーアセンブリ300は、磁力により回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点を備えるスイッチング部310を用いて、バッテリー100からインバーター200へとプレチャージ電圧と主電圧を順次に印加することができる。一方で、リレーアセンブリ300は、回路基板(図示せず)に搭載され、ハウジング(図示せず)により保護されてもよい。
【0037】
1.4.主リレー400
【0038】
主リレー400は、バッテリー100の負極端子とインバーター200を連結するように配設されてもよい。主リレー400の構成と方式は、種々であってもよい。
【0039】
2.本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ
【0040】
以下、本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ300について詳しく説明する。このとき、以下では、リレーアセンブリ300が電気自動車に適用される場合を例にとって、本発明の実施形態について詳しく説明する。いうまでもなく、本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ300は、バッテリーを動力源として駆動される様々なデバイスに適用されて、当該デバイスのインバーターとバッテリーを連結する場合に使用可能である。
【0041】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ300は、バッテリー100とインバーター200を連結または解除するために、電磁石部の磁力により回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点を備えるスイッチング部310と、スイッチング部310を作動させるように配設される電磁石部320と、を備えてなる。
【0042】
2.1.スイッチング部310
【0043】
スイッチング部310は、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、主接点バー314と、プレチャージ接点バー315と、接触バー316及びスペーサー317を備えていてもよい。ここで、バッテリー接続端子311、インバーター接続端子312、レバー313、主接点バー314、プレチャージ接点バー315及び接触バー316は、電気伝導性材質を含んでいてもよい。中でも、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315は、それぞれの少なくとも一部が磁力部材を備えていてもよい。このとき、磁力部材は、電磁石部320が生成する磁力と同一の極性を有していてもよい。一方で、スペーサー317は、非伝導性物質を含んでいてもよい。
【0044】
スイッチング部310は、第1及び第2の電力印加経路を備えていてもよい。第1の電力印加経路は、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、プレチャージ接点バー315と、接触バー316とが繋がれることにより形成されてもよい。また、第2の電力印加経路は、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、主接点バー314と、接触バー316とが繋がれることにより形成されてもよい。スイッチング部310は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315を接触バー316と分離することにより、第1及び第2の電力印加経路を遮断することができる。すなわち、スイッチング部310は、第1の電力印加経路を形成するように、第2の電力印加経路を形成するように、あるいは、これらの電力印加経路を遮断するように作動することができる。ここで、スイッチング部310の作動は、電磁石部320により制御されてもよい。
【0045】
2.1.1.バッテリー接続端子311
【0046】
バッテリー接続端子311は、一方の端がバッテリー100の正極端子と連結されてもよい。バッテリー接続端子311の一方の端と対向する他方の端は、インバーター接続端子312を向くように延びてもよい。バッテリー接続端子311の他方の端には、レバー313が連結されてもよい。
【0047】
2.1.2.インバーター接続端子312
【0048】
インバーター接続端子312は、一方の端がバッテリー接続端子311の他方の端と向かい合いながら離れていてもよい。インバーター接続端子312の他方の端は、インバーター200と連結されてもよい。
【0049】
2.1.3.レバー313
【0050】
レバー313は、バッテリー接続端子311の終端から一方向に延びてもよい。ここで、バッテリー接続端子311の終端をバッテリー接続端子311の他方の端と称することがある。一方向は、バッテリー接続端子311が延びた方向と交わる方向であってもよい。例えば、バッテリー接続端子311は、左右方向に延びてもよい。この場合、一方向は、前後方向もしくは上下方向であってもよい。以下では、一方向が上下方向であることを想定して本発明の実施形態について説明する。いうまでもなく、バッテリー接続端子311が延びた方向は種々であってもよく、これにより、一方向もまた種々であってもよい。一方で、バッテリー接続端子311が延びた方向を他方向と称することもある。
【0051】
レバー313は、上端が接続端子311の他方の端と連結されてもよく、下端が電磁石部320を上下方向に向かい合いながら離れていてもよい。
【0052】
2.1.4.主接点バー314
【0053】
主接点バー314は、一方の端がレバー313の終端に連結されてもよく、他方向に傾斜するように延びてもよい。ここで、レバー313の終端は、レバー313の下端であってもよい。主接点バー314の一方の端と対向する他方の端には、上方に突き出た主接点314aが形成されてもよい。主接点バー314が他方向を傾斜するように延びた長さは、レバー313と接触バー316の後述する第3の部材316cの一方の面との間の離隔距離よりも長く、レバー313と上述の第3の部材316cの他方の面との間の離隔距離よりも短くてもよい。
【0054】
主接点バー314は、電磁石部320から加えられる斥力によりレバー313と連結された一方の端を中心として他方の端が一方向に回転して接触バー316に接続できるように、一方の端がレバー313に回転自在に連結されてもよい。いうまでもなく、主接点バー314は、弾力を有する材質から形成されて、弾力により曲げ変形されながら接触バー316に接続されてもよく、弾性復元されて接触バー316から離れてもよい。
【0055】
主接点バー314は、回転有無に応じて、他方の端の高さが異なっていてもよい。このとき、回転とは、上述のように、主接点バー314の一方の端を中心として主接点バー314の一方の端と対向する他方の端が一方向に回転することを意味することがある。
【0056】
主接点バー314の他方の端は、主接点バー314が回転しない初期の状態で、接触バー316の下端から第1の高さに見合う分だけ離れていてもよい(図2参照)。また、主接点バー314の他方の端は、主接点バー314が第1の角度分だけ回転した状態である第1の回転状態で、上述の第1の高さよりも高い第2の高さに見合う分だけ上昇してもよく、接触バー316の下端から離れていてもよい(図3参照)。さらに、主接点バー314の他方の端は、主接点バー314が第1の角度よりも小さな第2の角度分だけ回転した状態である第2の回転状態で、上述の第2の高さよりも高い第3の高さに見合う分だけ上昇して接触バー316の下端と接触されてもよい(図4参照)。第3の高さは、接触バー316の下端の高さであってもよい。さらにまた、主接点バー314の他方の端は、主接点バー314が第2の角度よりも小さな第3の角度分だけ回転した状態である第3の回転状態で、上述の第3の高さよりも高い第4の高さに見合う分だけ上昇してもよい。第4の高さは、接触バー316の下端の縮まった高さであってもよく、主接点バー314の他方の端は、接触バー316の下端との接触を保持してもよい(図5参照)。すなわち、主接点バー314が第3の角度分だけ回転するとき、接触バー316の下端が上方に縮まることにより、主接点バー314と接触バー316のダメージが防がれることが可能になる。
【0057】
いうまでもなく、接触バー316の下端が縮まる代わりに、主接点バー314の一方の端と他方の端との間が曲げられることにより、主接点バー314と接触バー316のダメージが防がれることもできる。
【0058】
ここで、上述の第1の高さ、第2の高さ、第3の高さ及び第4の高さは、接触バー316の下端を基準とする所定の高さであってもよい。また、第1の角度、第2の角度及び第3の角度は、レバー313と主接点バー314の上面との間の所定の角度であってもよい。一方、主接点バー314の回転は、電磁石部320により行われることができる。
【0059】
2.1.5.プレチャージ接点バー315
【0060】
プレチャージ接点バー315は、接点抵抗、例えば、プレチャージ抵抗を備えていてもよい。接点抵抗は、プレチャージ接点バー315が接触バー316に接触したときに突入電流によるプレチャージ接点バー315の融着を防ぐ役割を果たす。
【0061】
プレチャージ接点バー315は、一方の端がレバー313の下端から所定の高さだけ離れていてもよく、レバー313の上端と下端との間においてレバー313と連結されてもよい。プレチャージ接点バー315は、他方向に傾斜するように延びることにより、主接点バー314と並ぶように配置されてもよい。プレチャージ接点バー315の他方の端には、プレチャージ接点バー315が延びた方向にプレチャージ接点315aが突設されてもよい。プレチャージ接点バー315が他方向に傾斜するように延びた長さは、レバー313と上述の第3の部材316cの一方の面との間の離隔距離に等しくてもよい。
【0062】
プレチャージ接点バー315は、電磁石部320から加えられる斥力によりレバー313と連結された一方の端を中心として他方の端が一方向に回転して接触バー316に接続できるように、一方の端がレバー313に回転自在に連結されてもよい。いうまでもなく、プレチャージ接点バー315は、弾力を有する材質から形成されて、弾力により曲げ変形されながら接触バー316に接続され、弾性復元されながら接触バー316から離れてもよい。
【0063】
プレチャージ接点バー315は、回転有無に応じて、他方の端の高さが異なっていてもよい。プレチャージ接点バー315の他方の端は、プレチャージ接点バー315が回転しない初期の状態で、接触バー316の下端から第5の高さ分だけ離れていてもよい(図2参照)。また、プレチャージ接点バー315の他方の端は、プレチャージ接点バー315が第4の角度分だけ回転した状態である第4の回転状態で、上述の第5の高さよりも高い第6の高さに見合う分だけ上昇して、接触バー316と接触されてもよい(図3参照)。また、プレチャージ接点バー315の他方の端は、プレチャージ接点バー315が第4の角度よりも小さな第5の角度分だけ回転した状態である第5の回転状態で、上述の第6の高さよりも高い第7の高さに見合う分だけ上昇してもよく、接触バー316との接触を保持してもよい(図4参照)。さらに、プレチャージ接点バー315の他方の端は、プレチャージ接点バー315が第5の角度よりも小さな第6の角度分だけ回転した状態である第6の回転状態で、上述の第7の高さよりも高い第8の高さに見合う分だけ上昇してもよく、接触バー316との接触が解除されてもよい(図5参照)。
【0064】
ここで、第5の高さ、第6の高さ、第7の高さ及び第8の高さは、接触バー316の下端を基準とする所定の高さであってもよい。中でも、第5の高さは、接触バー316の下端よりも低い高さであってもよい。また、第6の高さ、第7の高さ及び第8の高さは、接触バー316の下端よりも高い高さであってもよい。さらに、第4の角度、第5の角度及び第6の角度は、レバー313とプレチャージ接点バー315の上面との間の所定の角度であってもよい。このとき、第4の角度は、上述の第1の角度と同一の角度であってもよく、第5の角度は、上述の第2の角度と同一の角度であってもよく、第6の角度は、上述の第3の角度と同一の角度であってもよい。
【0065】
一方で、プレチャージ接点バー315の回転は、電磁石部320により行われることができる。
【0066】
2.1.6.接触バー316
【0067】
接触バー316は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315と接触可能なようにインバーター接続端子312の終端、例えば、一方の端から一方向に延び、レバー313と向かい合うように配置されてもよい。接触バー316は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315の回転角度に応じて、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315と接離されてもよい。
【0068】
接触バー316の構造は、種々であってもよい。接触バー316は、例えば、上端がインバーター接続端子312と連結され、一方向に延びる第1の部材316aと、一方の端がプレチャージ接点バー315と接触できるように第1の部材316aの下端から他方向へと延びる第2の部材316bと、一方の面がプレチャージ接点バー315と接触できるように、かつ、下端が主接点バー314と接触できるように第2の部材316bから一方向へと延びる第3の部材316cと、を備えていてもよい。ここで、第2の部材316bの上面の高さは、プレチャージ接点バー315の一方の端の高さと誤差範囲内において同一であってもよい。
【0069】
主接点バー314及びプレチャージ接点バー315は、接触バー316の第3の部材などの接触部分と接触して電流経路を形成するように主接点314a、プレチャージ接点315aが接触する。
【0070】
2.1.7.スペーサー317
【0071】
スペーサー317は、非伝導性物質を含んでいてもよい。スペーサー317は、主接点バー314とプレチャージ接点バー315を互いに離し合う役割を果たす。より具体的に、スペーサー317は、主接点バー314とプレチャージ接点バー315との間の一方向への間隔を保持するために、主接点バー314とプレチャージ接点バー315との間に配置されてもよい。スペーサー317によって、主接点バー314とプレチャージ接点バー315が同一の角度にて回転することができる。
【0072】
2.2.電磁石部320
【0073】
電磁石部320は、主接点バー314の下側に配置されてもよく、主接点バー314を上下方向に向かい合うことができる。したがって、下側から上側へと電磁石部320と、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315がこの順に配置されることが可能になる。
【0074】
電磁石部320は、バッテリー100のBMS(図示せず)もしくは電気自動車の統合電力制御装置(図示せず)から電流を供給されて磁力を生成することができる。このとき、電磁石部320において生成される磁力は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315にそれぞれ組み込まれる磁力部材の極性と同一の極性であってもよい。このために、電磁石部320は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315を向く方向に上述の磁力部材と同一の極性を形成するためのコイルを備えていてもよい。
【0075】
電磁石部320に電流が供給されて磁力が生成されれば、電磁石部320において生成される磁力により電磁石部320と主接点バー314及びプレチャージ接点バー315の間に斥力が形成されることができる。斥力によって、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315のそれぞれの他方の端が主接点バー314及びプレチャージ接点バー315のそれぞれの一方の端を中心として一方向に回転することが可能になる。このとき、電磁石部320は、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315に磁力を効果的に加えるために他方向に延びてもよい。
【0076】
3.本発明の実施形態に係る電気自動車及びリレーアセンブリの作動
【0077】
以下、図1から図5を参照して、本発明の実施形態に係る電気自動車及びリレーアセンブリの作動について説明する。
【0078】
電気自動車は、走行のために、リレーアセンブリ300を作動させてバッテリー100とインバーター200を電気的に接続する。このとき、主リレー400が先に作動してバッテリー100の負極端子とインバーター200を連結する。次いで、リレーアセンブリ300が作動してバッテリー100の正極端子とインバーター200を連結する。
【0079】
このとき、リレーアセンブリ300は、突入電流によりリレーアセンブリ300がダメージを受けないように、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、プレチャージ接点バー315のプレチャージ接点315aと接触バー316を連結して第1の電力経路を形成し、第1の電力経路を用いて、バッテリー100からインバーター200へとプレチャージ電圧を先に印加する。
【0080】
具体的に、図3を参照すると、電磁石部320に第1の電流を供給して主接点バー314及びプレチャージ接点バー315を回転させるための斥力を生成する。斥力によって、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315が第1の角度及び第4の角度にて回転し、回転によって、プレチャージ接点バー315の他方の端が第2の高さに上昇しながら接触バー316と接触されることが可能になる。このとき、主接点バー314の他方の端は第6の高さに上昇し、接触バー316から離れてもよい。
【0081】
このため、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、プレチャージ接点バー315及び接触バー316を経て、プレチャージ電圧がバッテリー100からインバーター200へと印加されることが可能になる。このことから、インバーター200のキャパシターに所定の電流が充電されることが可能になる。
【0082】
バッテリー100からインバーター200へとプレチャージ電圧が所定の時間の間に印加された後に、リレーアセンブリ300は、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、主接点バー314の主接点314a及び接触バー316を連結して第2の電力経路を形成し、第2の電力経路を用いて、バッテリー100からインバーター200へと主電圧を順次に印加してもよい。
【0083】
具体的に、図4を参照すると、電磁石部320に第1の電流よりも大きな第2の電流を供給して主接点バー314及びプレチャージ接点バー315を回転させるための斥力の大きさを増加させる。増加された斥力によって、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315が第2の角度及び第5の角度にて回転し、回転によりプレチャージ接点バー315の他方の端が第3の高さに上昇し、主接点バー314の他方の端が第7の高さに上昇することができる。これにより、プレチャージ接点バー315の他方の端は、接触バー316との接触を保持し、主接点バー314の他方の端は、接触バー316と接触されることが可能になる。
【0084】
このことから、バッテリー接続端子311と、インバーター接続端子312と、レバー313と、主接点バー314及び接触バー316を経て、主電圧がバッテリー100からインバーター200へと印加されることが可能になる。
【0085】
主電圧の印加が開始されれば、プレチャージ接点バー315を接触バー316から離してもよい。
【0086】
具体的に、図5を参照すると、電磁石部320に第2の電流よりも大きな第3の電流を供給して主接点バー314及びプレチャージ接点バー315を回転させるための斥力の大きさをさらに増加させる。さらに増加された斥力により、主接点バー314及びプレチャージ接点バー315が第3の角度及び第6の角度にて回転し、回転によりプレチャージ接点バー315の他方の端が第4の高さに上昇し、主接点バー314の他方の端が第8の高さに上昇することができる。このため、プレチャージ接点バー315の他方の端は、接触バー316と分離されることができ、主接点バー314の他方の端は、接触バー316との接触を保持することができる。このとき、主接点バー314の他方の端のダメージを防ぐために、主接点バー314の他方の端が上昇した分だけ、接触バー316の第3の部材316の下端が上方に縮まることができる。
【0087】
次いで、バッテリー100からインバーター200へと主電圧を印加し、インバーター200と連結された電気モーターを作動させて電気自動車が安定的に走行できるようにしてもよい。
【0088】
すなわち、本発明のスイッチ部を構成するリレーは、電磁石の動作に伴い、抵抗に連結されたプレチャージ接点315aが先に接触バー316の接点に連結され、次いで、プレチャージ接点315aと主接点314aとが同時に接触バー316の接点に連結され、以降には、プレチャージ接点315aは離れ、主接点314aのみが連結されるように制御される。
【0089】
4.本発明の比較例と実施形態に係る電気自動車及びリレーアセンブリの対比
【0090】
図6は、本発明の比較例に係る電気自動車及びリレーアセンブリの概略図である。
【0091】
図6を参照すると、本発明の比較例に係るリレーアセンブリ31、32は、複数の接点を備えていない構造である。このため、本発明の比較例に係るリレーアセンブリ31、32は、プレチャージ電圧と主電圧を印加できるように複数で設けられてもよい。
【0092】
したがって、本発明の比較例に係る電気自動車1000'は、プレチャージ電圧印加用のリレーアセンブリ31と、主電圧印加用のリレーアセンブリ32及び主リレー40の配設に相対的に広いスペースが用いられなければならず、バッテリー100とインバーター200との間の回路構造が複雑になる虞がある。
【0093】
これに対し、図1を参照すると、本発明の実施形態に係るリレーアセンブリ300は、磁力により連動して回転し、回転の度合いに応じて接続及び分離が制御される複数の接点314、315を備える構造であるため、一つのリレーアセンブリ300が設けられてもよい。
【0094】
したがって、本発明の実施形態に係る電気自動車1000は、一つのリレーアセンブリ300と主リレー400の配設に相対的に狭いスペースが用いられ、バッテリー100とインバーター200との間の回路構造が相対的に単純になることができる。
【0095】
本発明の上記の実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の上記の実施形態に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、これによる変形例もまた、本発明の範ちゅうに収まるものとみなせるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が該当する技術分野における業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0096】
100:バッテリー、200:インバーター、300:リレーアセンブリ、310:スイッチング部、311:バッテリー接続端子、312:インバーター接続端子、313:レバー、314:主接点バー、315:プレチャージ接点バー、316:接触バー、317:スペーサー、320:電磁石部
図1
図2
図3
図4
図5
図6