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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B41J2/175 309
B41J2/175 115
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020054530
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021154518
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】上柳 雅史
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-284953(JP,A)
【文献】特開2003-237101(JP,A)
【文献】特開2016-175294(JP,A)
【文献】特開2004-203028(JP,A)
【文献】特開平09-015025(JP,A)
【文献】特開平10-193640(JP,A)
【文献】特開2017-003456(JP,A)
【文献】特開2016-172353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、
前記電極部の断線による接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とをそれぞれ判定可能な判定部と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、第1の抵抗値を有する第1の抵抗と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記液体の量により変化する、第2の抵抗値を有する第2の抵抗と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とはそれぞれ、前記液体容器の上側から前記液体容器内にまで延びる部材であり、前記第2の電極は、前記第1の電極よりも前記液体容器の底部に近い位置まで延在し、
前記判定部は、
前記第1の抵抗および前記第2の抵抗と、前記判定部との間に設けられる測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第1の閾値とを比較することにより、前記電極部の前記断線による前記接続不良の有無を判定し、
前記測定ポイントにおける前記電圧と、予め定められた第2の閾値を比較することにより、前記液体の有無を判定し、
前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きい、液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記第1の抵抗値は、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記液体に浸っている状態における前記第2の抵抗値の最大値よりも大きい、液体噴射装置。
【請求項3】
液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、
前記電極部の断線による接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とを判定可能な判定部と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる第1のコンデンサーと、
前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記液体の量により変化する、第2の抵抗値の有する第2の抵抗と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とはそれぞれ、前記液体容器の上側から前記液体容器内にまで延びる部材であり、前記第2の電極は、前記第1の電極よりも前記液体容器の底部に近い位置まで延在し、
前記判定部は、
前記第2の抵抗および前記第1のコンデンサーと、前記判定部との間に設けられる測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第1の閾値とを比較することにより、前記電極部の前記断線による前記接続不良の有無を判定し、
前記測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第2の閾値とを比較することにより、前記液体の有無を判定し、
前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きい、液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記液体容器は、前記液体を注入可能な注入口を備える、液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の電極を液体容器に設け、両電極間に電圧を印加して電極間の抵抗値を用いて液体容器内のインク残量を検出するインク残量検出装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-270410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、電極間の抵抗値を検出する場合において、電極に接続不良が生じていた場合においても、インク残量が無い場合と同程度の抵抗値となる。これにより、電極間の抵抗値を用いて、電極に接続不良が生じているのか否かを判定することは困難であった。このような課題は、液体容器のインク残量を検出する技術に限られず、インク以外の他の液体の残量を検出するために2本の電極を用いる技術に共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示の一形態によれば、液体を噴射する液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、前記電極部の接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とをそれぞれ判定可能な判定部と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、第1の抵抗値を有する第1の抵抗と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記液体の量により変化する、第2の抵抗値を有する第2の抵抗と、を備える。
【0006】
(2)本開示の他の一形態によれば、液体を噴射する液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、前記電極部の接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とを判定可能な判定部と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる第1のコンデンサーと、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記液体の量により変化する、第2の抵抗値の有する第2の抵抗と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の液体噴射装置の外観斜視図。
図2】ユニットカバーを取り外した状態の液体容器ユニットを示す斜視図。
図3】液体噴射装置をさらに説明するための図。
図4】液体検出機構の一例を示す図。
図5図4の液体検出機構の等価回路図。
図6】液体検出機構の動作の一例を示すタイミングチャート。
図7】測定ポイントにおける検出出力のシミュレーション結果を示す図。
図8】第2実施形態の液体噴射装置を示す図である。
図9】測定ポイントにおける検出出力のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の液体噴射装置1の外観斜視図である。図2は、ユニットカバー21を取り外した状態の液体容器ユニット20を示す斜視図である。図1および図2には互いに直交する座標軸であるX軸、Y軸、Z軸を付している。これ以降に示す図についても、必要に応じて同様の座標軸を付す。本実施形態では、X軸とY軸に平行な水平面に液体噴射装置1が配置されて使用される。Z軸方向は鉛直方向に沿った方向であり、+Z軸方向が鉛直上方向であり、-Z軸方向が鉛直下方向である。液体噴射装置1の+Y軸方向の面を前面、-Y軸方向の面を後面と称する。
【0009】
液体噴射装置1は、液体34としてのインクを用紙などの媒体12に噴射して画像を形成するインクジェットプリンターである。液体34は、顔料系インクや染料系インクなどを用いることができる。本実施形態では、液体34は顔料系インクである。液体噴射装置1は、液体容器ユニット20と操作部13と排紙部11とケース14とを備えている。ケース14は、液体噴射装置1の外殻の一部を構成している。ケース14の内側には、液体噴射装置1の図示しない機構ユニットが収容されている。機構ユニットは、液体噴射装置1において、印刷動作を実行する機構部分である。
【0010】
液体容器ユニット20は、ユニットカバー21とユニット底部22を備え、ケース14の外側に設置されている。液体容器ユニット20には、複数の液体容器30が収容可能である。液体容器30には印刷に供される液体34が貯留され、液体噴射装置1の印刷時に、液体34が液体容器30から印刷ヘッド17に供給される。
【0011】
液体容器30は、少なくとも一部が透過性の材料で形成されており、貯留された液体34が外部から視認できる。ユニットカバー21は、収納される液体容器30の透過性の部位に面した位置に、透過性の窓部24を備える。ユーザーは、液体噴射装置1の外部から窓部24を介して液体容器30の液体34の量を視認することが可能である。
【0012】
液体噴射装置1の前面には、操作部13と排紙部11とが配置される。操作部13には、電源ボタン、設定ボタンおよび表示パネルなどが設けられる。液体噴射装置1は、制御基板15に実装された制御部16を備える。制御部16は、操作部13から入力される指示等に基づいて前述の機構ユニットを動作させ、媒体12の搬送や印刷ヘッド17の駆動などを行って媒体12に印刷を行う。印刷された媒体12は、排紙部11から排出される。制御基板15は、ケース14内に収容されている。
【0013】
図2に示すように、液体容器ユニット20は、ユニット底部22と、基板支持部27と、液体容器30を取り囲むユニットカバー21とを備える。ユニット底部22および基板支持部27は、液体噴射装置1に固定されて設置される。
【0014】
液体容器ユニット20は、ユニット底部22に面して、複数の液体容器30が並べられて装着可能である。本実施形態では、4つの液体容器30が装着される。4つの液体容器30には、それぞれ色や素材などの種類の異なる液体34が貯留されてもよい。4つの液体容器30の内の一つは他と比べてサイズが大きく、より多くの液体34を貯留できる。サイズの大きな液体容器30には、例えば、使用頻度の高いブラックの液体34を貯留させ、他の液体容器30には、それぞれイエロー、マゼンタおよびシアンなどの液体34を個別に貯留させることができる。
【0015】
図2に示すように、ユニット底部22の鉛直上方向の基板支持部27は、液体容器30が液体容器ユニット20に並べて装着された時、液体容器30に接触するよう配置される。そのため、液体容器30は、ユニット底部22と基板支持部27とに挟まれて液体容器ユニット20に装着される。
【0016】
また、液体容器30は、ネジ28によって、基板支持部27に固定される。基板支持部27は、後述する交流生成回路40を含めた回路が実装される回路基板26を備える。液体容器30が基板支持部27に固定されると、液体容器30は回路基板26とも固定される。回路基板26には、信号配線FFC(Flexible Flat Cable)19が接続され、回路基板26上に実装される回路と液体噴射装置1の制御基板15に実装される回路とが電気的に接続される。なお、液体容器30は、液体容器30が備える注入口32から外れた領域において、基板支持部27および回路基板26と接触する。
【0017】
図3は、液体噴射装置1をさらに説明するための図である。図2および図3を用いて主に液体容器30の構成について説明する。図3に示すように、液体容器30は、内部が中空の容器であり、中空部分である液体収容室301に液体34を貯留することができる。また、液体容器30は、鉛直上方向の面に液体34を注入可能な注入口32を備えている。液体34の残量が少なくなった時は、注入口32から液体容器30へ液体34の再充填が可能である。注入口32の開口には、通常、図示しないキャップ部材が気密に取り付けられる。液体噴射装置1のユーザーは、キャップ部材を取り外すことによって、注入口32を介して液体容器30内に液体34を補充することができる。
【0018】
各液体容器30は、少なくとも一部が透過性の外壁で形成される。本実施形態においては、X軸方向の外壁の一部が透過性である。この外壁面には残量の目安となる図2に示すマーク31が設けられている。ユーザーは、マーク31を目印にして残量を把握することができる。
【0019】
図3に示すように、液体容器30は、液体供給部33と、電極部37と、第1の抵抗R1とを備える。液体供給部33は、液体容器30に収容された液体34を印刷ヘッド17に送り出す。電極部37は、液体容器30の液体残量を判定するために用いられる。電極部37は、第1の電極35と、第2の電極36とを有する。液体容器30が、ユニット底部22と基板支持部27に挟まれて液体容器ユニット20に装着されたときに、液体容器30の外部に突出した第1の電極35と第2の電極36は、基板支持部27に配置された回路基板26と接触するように配置される。
【0020】
第1の電極35および第2の電極36は、液体容器30の外部から液体収容室301まで延びる棒形状である。第1の電極35および第2の電極36は、導電性部材、本実施形態ではステンレス鋼で形成される。第1の電極35の長さは、第2の電極36の長さよりも短い。第2の電極36は、第1の電極35よりも液体収容室301の底部近傍まで延在する。これにより、少なくとも液体34が液体収容室301を満たす程度に充填された場合、第1の電極35および第2の電極36の両電極が液体34に浸漬する。その後、印刷が行われ液体34が消費されて液体の量が減ってくると、第1の電極35が液体34の外に露出し、第2の電極36のみが液体34に浸漬する状態となる。
【0021】
上述したように、液体容器30は、ユニット底部22と基板支持部27とに挟まれて、液体容器ユニット20に装着される。また、回路基板26は、基板支持部27上において、液体容器30の第1の電極35および第2の電極36に対向して接触可能な位置になるよう配置される。回路基板26には、第1の電極35および第2の電極36に対向する位置に、第1端子38および第2端子39が形成される。これにより、液体容器30が液体容器ユニット20に装着された時、第1の電極35と第1端子38とが接触して電気的に接続され、第2の電極36と第2端子39とが接触して電気的に接続される。
【0022】
また、図2に示すように、基板支持部27と液体容器30とがネジ28によって固定されることによって、第1の電極35は第1端子38に圧着され、第2の電極36は第2端子39に圧着される。そのため、電極35,36と端子38,39との電気的な接続が確実に形成される。さらに、回路基板26上に実装される回路と液体噴射装置1の制御基板15上に実装される回路とは、信号配線FFC19を介して相互に接続される。制御基板15上に実装される回路には、制御部16が含まれるため、回路基板26上の回路は、制御部16と相互に通信が可能である。なお、第1の電極35および第2の電極36と回路基板26との電気的な接続は上記に限定されるものではない。例えば、信号線とコネクターとを用いて第1の電極35と第2の電極36とを回路基板26に電気的に接続してもよい。具体的には、第1の信号線の一方を第1の電極35にハンダ付けなどによって取り付け、第1の信号線の他方をコネクターに取り付ける。また、第2の信号線の一方を第2の電極36にハンダ付けなどによって取り付け、第2の信号線の他方をコネクターに取り付ける。コネクターが回路基板26の接続部に接続されることで、第1の電極35および第2の電極36が回路基板26に電気的に接続される。
【0023】
第1の抵抗R1は、電気回路上について、第1の電極35と第2の電極36との間に設けられ、第1の抵抗値RV1を有する。第1の抵抗R1は第1の電極35と第2の電極36とに電気的に接続されている。具体的には、本実施形態では第1の抵抗R1の一端が第1の電極35のうち液体収容室301の外側に位置する部分に接続され、第1の抵抗R1の他端が第2の電極36のうち液体収容室301の外側に位置する部分に接続されることで、第1の抵抗R1は第1の電極35と第2の電極36との間に設けられる。
【0024】
液体収容室301の液体34は、第2の抵抗R2として機能する。液体34は、第1の電極35と第2の電極36との間の量により変化する第2の抵抗値RV2を有する導電性である。このため、第1の電極35および第2の電極36の両電極が液体34に浸漬する場合、第1の電極35と第2の電極36とは、液体34を介して電気的に接続された状態となる。
【0025】
第1の抵抗R1と第2の抵抗R2とは、第1の電極35と第2の電極36とに並列に接続された抵抗である。第1の抵抗値RV1は、第2の抵抗値RV2の最大値よりも大きい。本実施形態では、第1の抵抗値RV1は50kΩである。
【0026】
制御部16は、電極部37の断線などによって生じる接続不良の有無と、液体容器30の前記液体の有無とをそれぞれ判定可能な判定部161を有する。
【0027】
液体供給部33は、液体容器30が使用される装着状態で液体容器30の下部に相当する部位に備えられる。注入口32から液体容器30に注入された液体34は、液体収容室301に貯留され、液体供給部33から外部へ送り出される。一方、液体噴射装置1には、液体移送経路としてのチューブ18が固定されて配置される。液体供給部33には、チューブ18の一端が繋がれ、チューブ18の他端は、印刷ヘッド17に繋げられる。これにより、液体容器30の液体34は、チューブ18を経由して印刷ヘッド17へ移送され印刷に供される。
【0028】
液体容器ユニット20は、液体容器30が装着される時、液体供給部33がチューブ18に接合するよう構成されている。
【0029】
以上のように、液体容器30は、液体供給部33がチューブ18に取り付けられ、第1の電極35および第2の電極36が、回路基板26上の第1端子38および第2端子39と電気的に接続される。これにより、液体容器30の液体収容室301に貯留された液体34が、液体噴射装置1において使用される状態となる。
【0030】
次に、液体検出機構60について、図4から図6を参照して説明する。図4は、液体検出機構60の一例を示す図である。図5は、図4の液体検出機構60の等価回路図である。図6は、液体検出機構60の動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図4において、VDDは、液体検出機構60を動作させる電源の高電位側の電位を示す。また、VSSは、電源の低電位側の電位を示し、基準電位であるグランドである。以降の図面においても、同様の符号を用いる。
【0031】
図4に示すように、液体検出機構60は、交流生成回路40と、検出出力生成部55と判定部161とを備える。交流生成回路40は、下記の要素を有する。
a)第1の電極35および第2の電極36を備える電極部37
b)所定の周期信号を発生する周期信号発生部41
c)所定電位供給部としてのpチャンネル型FET43
d)第1の電極35に一端が接続される第3の抵抗R3
e)第1の電極35と第3の抵抗R3とを接続する第1端子38
f)基準電位供給部を構成する第4の抵抗R4
g)第2の電極36と基準電位との間に接続されるコンデンサーCt
h)第2の電極36とコンデンサーCtとを接続する第2端子39
i)第1の電極35と第2の電極36に接続された第1の抵抗R1
【0032】
また、検出出力生成部55は、下記の要素を備える。
j)制御端子Sを備えたアナログスイッチ53、
k)積分回路54を構成する抵抗R54およびコンデンサーC54。
【0033】
液体検出機構60は、交流生成回路40において検出電圧V1を生成し、検出出力生成部55において検出電圧V1を波形成形して検出出力57を出力する。判定部161は、波形生成後の地点である測定ポイントMPの検出出力57を検出する。ここで、検出出力57は、測定ポイントMPの電圧である。測定ポイントMPは、電気回路上について、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2と、判定部161との間に設けられている。詳細には、測定ポイントMPは、電気回路上について、検出出力生成部55と判定部161との間に位置する。
【0034】
上述の交流生成回路40の各要素は、図4に示すように結線されて交流生成回路40を形成する。具体的には、pチャンネル型FET43のソース端子はVDDに接続される。pチャンネル型FET43のゲート端子は、周期信号発生部41の出力であるPWM出力42に接続される。pチャンネル型FET43のドレイン端子には、第3の抵抗R3と第4の抵抗R4とが接続される。ここで、ドレイン端子、第3の抵抗R3および第4の抵抗R4の接続点を第2の接続点と呼び、第2の接続点の電位をV2とする。第3の抵抗R3は、一端が第1端子38を介して第1の電極35に接続され、他端がドレイン端子に接続される。第4の抵抗R4は、一端がVSSに接続され、他端がドレイン端子に接続される。第2の電極36には、コンデンサーCtが接続される。コンデンサーCtは、一端がVSSに接続され、他端が第2端子39を介して第2の電極36に接続される。
【0035】
なお、周期信号発生部41は、液体噴射装置1の制御部16の制御に基づいて、種々のタイミングで周期信号の生成が可能な信号生成器で構成される。ここで、交流生成回路40は、例えば、第3の抵抗R3の抵抗値を10kΩ、第4の抵抗R4の抵抗値を1kΩ、コンデンサーCtの容量を1nFとして構成できる。
【0036】
検出出力生成部55は、交流生成回路40において生成される検出電圧V1を、アナログスイッチ53によって特定のタイミングで積分回路54に伝送し、積分回路54によって平滑化する。平滑化された積分回路54の出力が、判定部161で検出される検出出力57となる。図4に示すように、アナログスイッチ53の制御端子Sは、交流生成回路40における第2の接続点に接続され、第2の接続点の電位V2に基づいて、検出電圧V1が積分回路54に伝送される。アナログスイッチ53の入出力端子の一方は、交流生成回路40における第1の接続点に接続される。前述のように、第1の接続点は、第1の電極35と第3の抵抗R3との接続点であり、第1の接続点の電位が検出電圧V1である。アナログスイッチ53の入出力端子の他方は、積分回路54の入力である抵抗R54の一端に接続される。抵抗R54の他端は、一端がVSSに接続されたコンデンサーC54の他端に接続されて、抵抗R54とコンデンサーC54とで積分回路54が構成される。抵抗R54とコンデンサーC54との接続点の電位が、積分回路54の出力であり、検出出力生成部55の出力である検出出力57となる。なお、検出出力生成部55は、例えば、抵抗R54の抵抗値を66kΩ、コンデンサーC54の容量を0.01μFとして構成できる。
【0037】
図6は、液体検出機構60の動作の一例を示すタイミングチャートTCであると共に、タイミングチャートTCに基づく検出電圧V1の電圧および検出出力57の電圧を示す。図6の(a)に示すPWM出力42および図6の(b)に示すPWM出力42は、共に周期信号発生部41の出力42を示す。図6の(b)に示すPWM出力42は、図6の(a)に示すPWM出力42の一部を時間的に拡大して表記した図である。具体的には、二点鎖線で囲った範囲Aを拡大した図である。図6の(c)は、アナログスイッチ53の動作を制御する第2の接続点の電位V2を示す。図6の(d)は、液体34に対する検出電圧V1を破線で示し、液体34が無い場合の検出電圧V1を二点鎖線で示す。図6の(e)は、アナログスイッチ53の出力56を示す。図6の(f)は、検出出力57を示す。
【0038】
周期信号発生部41は、制御部16からの制御信号により、周期信号発振の開始と停止が制御される。周期信号発生部41は、制御部16から発振の指示を受けている期間、PWM出力42として、VSSレベルである第1期間T1とVDDレベルである第2期間T2とを周期的に繰り返す信号を出力する。図6の(a)は、t1からt2およびt3からt4の期間は制御部から発振の指示を受けている期間である。各期間を周期信号区間という。この区間の長さは、1つの液体容器について、検出部がインクの情報を判定できる程度に検出出力57を取得可能な時間に設定されている。例えば、PWM出力42は、周期信号区間において、第1期間T1と第2期間T2とを同一デューティー比が50%で周期的に繰り返す。
【0039】
周期信号発生部は、t2~t3の期間において、制御部16から発振の停止の信号を受信すると、発振を停止して、出力42としてVddレベルの信号を出力する。
【0040】
図4に示す交流生成回路40においては、pチャンネル型FET43は、PWM出力42に基づいてON/OFFが制御される。具体的には、pチャンネル型FET43は、PWM出力42が第1期間T1の時にONとなり、第2期間T2の時にOFFとなる。その結果、ドレイン端子は、第1期間T1においてVDDとなり、第2期間T2において、ドレイン端子はハイインピーダンス状態となる。そのため、第1期間T1において、第1の電極35が、第3の抵抗R3を介してVDDに接続され、第2期間T2において、その接続が遮断された状態となる。このように、pチャンネル型FET43は、所定電位供給部として機能する。
【0041】
第1期間T1においては、第4の抵抗R4もVDDに接続されるため、第4の抵抗R4を介してVDDからVSSに電流が流れる。この電流は、交流生成回路40の消費電流を増加させることになるため、消費電流の増加を防ぐためには、第4の抵抗R4の値を出来るだけ大きくするのが好適である。
【0042】
前述したように、第1の電極35および第2の電極36の両電極が液体34に浸漬する状態において、両電極間は、第1の抵抗R1と液体34によって生じる第2の抵抗R2の合成抵抗を介して導通状態となる。そのため、第1期間T1において、VDD、pチャンネル型FET43、第3の抵抗R3、第1端子38、第1の電極35、液体34および第1の抵抗R1、第2の電極36、第2端子39、コンデンサーCt、VSSの経路で電流が流れる。この経路で電流が流れる時、コンデンサーCtが充電される。そのため、コンデンサーCtの電位が徐々にVDDに近づき、図6の(d)に示すように、第1期間T1において検出電圧V1が徐々にVDDに近づく。
【0043】
次に、第2期間T2では、pチャンネル型FET43がOFFする。そのため、VDDから流れる電流がなくなり、充電されたコンデンサーCtが、回路系において最も高電位となる。その結果、コンデンサーCt、第2端子39、第2の電極36、液体34および第1の抵抗R1、第1の電極35、第1端子38、第3の抵抗R3、第4の抵抗R4、VSSの経路で電流が流れる。これにより第2期間T2では、第1期間T1でコンデンサーCtに充電された電荷が放電される。したがって、第4の抵抗R4は、第3の抵抗R3を介して第1の電極35を、VSSに接続する基準電位供給部として機能する。この時、コンデンサーCtの電位が放電に伴って徐々に低下する。そのため、図6の(d)に示すように、第2期間T2において検出電圧V1が徐々にVSSに近づく。
【0044】
上述の説明から明らかなように、第1期間T1で液体34に流れる電流と第2期間T2で液体34に流れる電流とでは、電流の流れる方向が逆になる。つまり、PWM出力42が第1期間T1と第2期間T2とを周期的に繰り返す周期信号区間においては、液体34には交流電流が流れる。
【0045】
次に、図4に示す検出出力生成部55の動作を説明する。アナログスイッチ53を制御する電位V2は、図6の(b)に示すPWM出力42に基づいて、図6の(c)に示すように変化する。具体的には、PWM出力42がVDDレベルの時は、pチャンネル型FET43がOFFするため、電位V2は第4の抵抗R4を介してVSSに近づく。一方、PWM出力42がVSSレベルの時は、pチャンネル型FET43がONするため、電位V2はVDDとなる。アナログスイッチ53は、電位V2が、所定の閾値を越えてVDDに近づくとOFFし、所定の閾値を下回ってVSSに近づくとONするように構成されている。したがって、電位V2がVSSに近づく第2期間T2の時、アナログスイッチ53の出力56には検出電圧V1が伝送される。一方、電位V2がVDDになる第1期間T1の時は、検出電圧V1の伝送が遮断されるため、出力56は不定状態となる。図6の(e)はその状態を示し、具体的には、第2期間T2の時に出力56に図6の(d)に示す検出電圧V1が現れることを示す。
【0046】
上記のように、検出電圧V1は、電位V2の変化に基づいて切り出されてアナログスイッチ53の図6の(e)に示す出力56となる。次いで出力56は、積分回路54に伝送されて平滑化され、検出出力57が生成される。その結果、図6の(f)に示すように、安定した検出出力57が生成される。具体的には、液体収容室301に液体が無い場合の検出出力57の電圧は、液体収容室301に液体がある場合の検出出力57の最低電圧よりも低くなる。なお、液体34の第2の抵抗値RV2は、液体収容室301の液体残量に応じて変化する。これにより、液体収容室301に液体がある場合の検出出力57の電圧も、変化する。ここで、「液体収容室301に液体が無い」とは、液体収容室301の液面が第1の電極35よりも下側に到達した状態を指す。
【0047】
また、図6の(f)に実線で示すように、第1の電極35と第2の電極36との間が断線などにより接続不良が生じて回路がオープン状態になった場合の検出出力57の電位は、液体収容室301に液体が無い場合の検出出力57の電位よりも低くなる。
【0048】
次に、図5図6を参照して、より詳細に交流生成回路40の挙動を説明する。図5において、SWは、pチャンネル型FET43を示すスイッチである。SW53は、アナログスイッチ53を示すスイッチである。
【0049】
図7は、測定ポイントMPにおける検出出力57のシミュレーション結果を示す図である。図7の縦軸は電圧であり、横軸は経過時間である。図7に示すように、測定ポイントMPにおける電圧である検出出力57は、第1の電極35と第2の電極36とが液体34に浸っている状態である残量ありの場合には、第1の電極35よりも液面が下側に位置する状態である残量なしの場合よりも高くなる。残量ありの場合において、液体34の第2の抵抗値RV2が最大値をとる場合の抵抗は36kΩである。また、測定ポイントMPにおける電圧である検出出力57は、残量なしの場合には電極部37の接続不良の場合よりも高くなる。
【0050】
このシミュレーション結果をもとに、第1の閾値Vaと第2の閾値Vbとが予め定められる。第1の閾値Vaは、電極部37の接続不良の有無を判定するための閾値である。第2の閾値Vbは液体容器30の液体の有無を判定するための閾値である。第2の閾値Vbは、第1の閾値Vaよりも大きい。第1の閾値Vaと第2の閾値Vbは、例えば制御部16のメモリーに記憶される。判定部161は、検出出力57と第1の閾値Vaを比較することにより、電極部37の接続不良の有無を判定する。具体的には、判定部161は、検出出力57が第1の閾値Vaより小さい場合には接続不良が生じていると判定し、検出出力57が第1の閾値Vaよりも大きい場合には接続不良が生じていないと判定する。また判定部161は、検出出力57と第2の閾値Vbとを比較することにより、液体容器30の液体の有無を判定する。具体的には、判定部161は、検出出力57が第2の閾値Vbよりも大きい場合には液体容器30に液体があると判定し、検出出力57が第2の閾値Vbよりも小さい場合であって、かつ、第1の閾値Vaよりも大きい場合に液体容器30に液体が無いと判定する。接続不良の有無の判定は、例えば、液体噴射装置1の出荷前や、液体容器30の注入口32から液体34を再充填した場合に実行される。なお、液体の有無判定は、予め定めたタイミング、例えば印刷ジョブの終了時などに実行される。
【0051】
上記第1実施形態によれば、第1の電極35と第2の電極36との間に第1の抵抗R1を設けることで、液体の量が第1の電極35より下回る程度に少なくなった場合と、電極部37の接続不良が生じた場合とでは、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値を異ならせることができる。これにより、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値の違いによって、判定部161は接続不良の有無および液体の有無を判定できる。具体的には、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値が変化することで測定ポイントMPの電圧である検出出力57も変化する。これにより、判定部161は、測定ポイントMPの電圧と第1の閾値Vaとを比較することで電極部37の接続不良の有無を判定でき、測定ポイントMPの電圧と第2の閾値Vbとを比較することで液体の有無を判定できる。また電極部37の接続不良を判定する際に、更なる他の要素、例えば更なるダミー抵抗を配置する必要がないので判定時間を短縮できる。または、他の要素を配置するスペースを考慮する必要がないため、液体噴射装置1の設計の自由度が向上する。
【0052】
また上記第1実施形態では、第1の抵抗値RV1は第2の抵抗値RV2の最大値よりも大きい。これにより、電極部37の接続不良が生じた場合と液体が少なくなった場合とにおいて、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値RV1,RV2をより大きく異ならせることができる。これにより、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値の違いによって、判定部161は電極部37の接続不良の有無、および、液体の有無を精度良く判定できる。
【0053】
また上記第1実施形態によれば、液体容器30は注入口32を有する。これにより、判定部161は、注入口32から液体を再充填した場合などの液体噴射装置1が長期に使用される場合にも、接続不良の有無および液体の有無を精度良く判定できる。
【0054】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態の液体噴射装置1aを示す図である。図3に示す液体噴射装置1と液体噴射装置1aとの違いは、液体噴射装置1aが第1の抵抗R1に代えて第1のコンデンサーC1を備える点である。液体噴射装置1aにおいて、その他の構成については第1実施形態と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0055】
第1のコンデンサーC1は、第1実施形態の第1の抵抗R1と同様に、第1の電極35と第2の電極36との間に設けられている。第1のコンデンサーC1は第1の電極35と第2の電極36とに電気的に接続されている。第1のコンデンサーC1と液体34によって構成される第2の抵抗R2とは、第1の電極35と第2の電極36とに並列に接続される。第1のコンデンサーC1の容量は、例えば220pFである。判定部161は、電気回路上について、第2の抵抗R2および第1のコンデンサーC1と、判定部161との間に設けられる測定ポイントMPにおける電圧である検出出力57を検出する。
【0056】
図9は、測定ポイントMPにおける検出出力57のシミュレーション結果を示す図である。図9に示すように、測定ポイントMPにおける電圧である検出出力57は、第1の電極35と第2の電極36とが液体34に浸っている状態である残量ありの場合には、第1の電極35よりも液面が下側に位置する状態である残量なしの場合よりも高くなる。残量ありの場合において、液体34の第2の抵抗値RV2が最大値をとる場合の抵抗は36kΩである。また、測定ポイントMPにおける電圧である検出出力57は、残量なしの場合には電極部37の接続不良の場合よりも高くなる。
【0057】
このシミュレーション結果をもとに、第1の閾値Vaaと第2の閾値Vbaとが予め定められる。第1の閾値Vaaは、電極部37の接続不良の有無を判定するための閾値である。第2の閾値Vbaは液体容器30の液体の有無を判定するための閾値である。第2の閾値Vbaは、第1の閾値Vaaよりも大きい。第1の閾値Vaaと第2の閾値Vbaは、例えば制御部16のメモリーに記憶される。判定部161は、検出出力57と第1の閾値Vaaを比較することにより、電極部37の接続不良の有無を判定する。具体的には、判定部161は、検出出力57が第1の閾値Vaaより小さい場合には接続不良が生じていると判定し、検出出力57が第1の閾値Vaaよりも大きい場合には接続不良が生じていないと判定する。また判定部161は、検出出力57と第2の閾値Vbaとを比較することにより、液体容器30の液体の有無を判定する。具体的には、判定部161は、検出出力57が第2の閾値Vbaよりも小さい場合には液体容器30に液体があると判定し、検出出力57が第2の閾値Vbaよりも小さい場合であってかつ第1の閾値Vaaよりも大きい場合に液体容器30に液体が無いと判定する。接続不良の有無の判定は、例えば、液体噴射装置1の出荷前や、液体容器30の注入口32から液体34を再充填した場合に実行される。なお、液体の有無判定は、予め定めたタイミング、例えば印刷ジョブの終了時などに実行される。
【0058】
上記第2実施形態によれば、第1の電極35と第2の電極36との間に第1のコンデンサーC1を設けることで、液体の量が第1の電極35より下回る程度に少なくなった場合と、電極部37の接続不良が生じた場合とにおいて、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値を異ならせることができる。これにより、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値の違いによって、判定部161は接続不良の有無および液体の有無を判定できる。具体的には、第1の電極35と第2の電極36との間の抵抗値が変化することで測定ポイントMPの電圧である検出出力57も変化する。これにより、判定部161は、測定ポイントMPの電圧と第1の閾値Vaとを比較することで電極部37の接続不良の有無を判定でき、測定ポイントMPの電圧と第2の閾値Vbとを比較することで液体の有無を判定できる。また電極部37の接続不良を判定する際に、他の要素、例えばダミー抵抗を配置する必要がないので判定時間を短縮できる。または、他の要素を配置するスペースを考慮する必要がないため、液体噴射装置1の設計の自由度が向上する。また上記第2実施形態によれば、液体容器30は注入口32を有する。これにより、判定部161は、注入口32から液体を再充填した場合などの液体噴射装置1aが長期に使用される場合にも、電極部37接続不良の有無、および、液体の有無を精度良く判定できる。
【0059】
C.他の実施形態:
C-1.他の実施形態1:
上記各実施形態では、液体としてインクを収容する液体容器30を備える液体噴射装置1,1aを例に説明したが、本開示の技術はインク以外の他の液体を収容する液体容器と、液体容器を備える液体噴射装置に適用できる。例えば、プリンター以外の以下の液体噴射装置に本開示の技術は適用できる。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射記録装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を消費する液体噴射装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置
【0060】
C-2.他の実施形態2:
上記各実施形態において、第1の抵抗R1や第1のコンデンサーC1は、電気回路上において、第1の電極35と第2の電極36との間に設けられていれば上記各実施形態の配置に限定されるものではない。例えば、第1の抵抗R1や第1のコンデンサーC1は、回路基板26上に設けられていてもよい。この場合においても、第1の抵抗R1や第1のコンデンサーC1と、液体34によって形成される第2の抵抗R2とは、第1の電極35と第2の電極36との間に並列に接続される。
【0061】
D.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0062】
(1)本開示の一形態によれば、液体を噴射する液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、前記電極部の接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とをそれぞれ判定可能な判定部と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、第1の抵抗値を有する第1の抵抗と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記液体の量により変化する、第2の抵抗値を有する第2の抵抗と、を備える。この形態によれば、第1の電極と第2の電極との間に第1の抵抗を設けることで、液体の量が少なった場合と、電極部の接続不良が生じた場合とでは、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値を異ならせることができる。これにより、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値の違いによって、判定部は接続不良の有無および液体の有無を判定できる。
【0063】
(2)上記形態において、前記第1の抵抗値は、前記第2の抵抗値の最大値よりも大きくてもよい。この形態によれば、電極部の接続不良が生じた場合と液体が少なくなった場合とでは、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値をより大きく異ならせることができる。これにより、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値の違いによって、判定部は接続不良の有無および液体の有無を精度良く判定できる。
【0064】
(3)上記形態において、前記判定部は、前記第1の抵抗および前記第2の抵抗と、前記判定部との間に設けられる測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第1の閾値とを比較することにより、前記電極部の前記接続不良の有無を判定し、前記測定ポイントにおける前記電圧と、予め定められた第2の閾値を比較することにより、前記液体の有無を判定してもよい。この形態によれば、測定ポイントの電圧と第1の閾値とを比較することで電極部の接続不良の有無を判定でき、測定ポイントの電圧と第2の閾値とを比較することで液体の有無を判定できる。
【0065】
(4)上記形態において、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きくてもよい。この形態によれば、第2の閾値を第1の閾値よりも大きく設定することで、電極部の接続不良の有無および液体容器の液体の有無を判定できる。
【0066】
(5)本開示の他の一形態によれば、液体を噴射する液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、前記液体を収容可能な液体容器に設けられ、第1の電極と第2の電極とを有する電極部と、前記電極部の接続不良の有無と、前記液体容器の前記液体の有無とを判定可能な判定部と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる第1のコンデンサーと、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記液体の量により変化する、第2の抵抗値の有する第2の抵抗と、を備える。この形態によれば、第1の電極と第2の電極との間に第1のコンデンサーを設けることで、液体の量が少なった場合と、電極部の接続不良が生じた場合とでは、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値を異ならせることができる。これにより、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値の違いによって、判定部は接続不良の有無および液体の有無を判定できる。
【0067】
(6)上記形態において、前記判定部は、前記第2の抵抗および前記第1のコンデンサーと、前記判定部との間に設けられる測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第1の閾値とを比較することにより、前記電極部の前記接続不良の有無を判定し、前記測定ポイントにおける電圧と、予め定められた第2の閾値とを比較することにより、前記液体の有無を判定してもよい。この形態によれば、測定ポイントの電圧と第1の閾値とを比較することで電極部の接続不良の有無を判定でき、測定ポイントの電圧と第2の閾値とを比較することで液体の有無を判定できる。
【0068】
(7)上記形態において、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きくてもよい。この形態によれば、第2の閾値を第1の閾値よりも大きく設定することで、電極部の接続不良の有無および液体容器の液体の有無を判定できる。
【0069】
(8)上記形態において、前記液体容器は、前記液体を注入可能な注入口を備えていてもよい。この形態によれば、注入口を備える液体容器を有する液体噴射装置において、判定部は接続不良の有無および液体の有無を判定できる。
【0070】
本開示は、上記形態の他に、液体噴射装置の製造方法、接続不良および液体残量の判定方法、判定方法を実行するためのコンピュータープログラムなどの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,1a…液体噴射装置、11…排紙部、12…媒体、13…操作部、14…ケース、15…制御基板、16…制御部、17…印刷ヘッド、18…チューブ、20…液体容器ユニット、21…ユニットカバー、22…ユニット底部、24…窓部、26…回路基板、27…基板支持部、28…ネジ、30…液体容器、31…マーク、32…注入口、33…液体供給部、34…液体、35…第1の電極、36…第2の電極、37…電極部、38…第1端子、39…第2端子、40…交流生成回路、41…周期信号発生部、42…PWM出力、53…アナログスイッチ、54…積分回路、55…検出出力生成部、56…出力、57…検出出力、60…液体検出機構、161…判定部、301…液体収容室、A…範囲、C…第1のコンデンサー、C1…第1のコンデンサー、C54…コンデンサー、Ct…コンデンサー、MP…測定ポイント、R1…第1の抵抗、R2…第2の抵抗、R3…第3の抵抗、R4…第4の抵抗、R54…抵抗、RV1…第1の抵抗値、RV2…第2の抵抗値、S…制御端子、T1…第1期間、T2…第2期間、TC…タイミングチャート、V1…検出電圧、V2…電位、Va,Vaa…第1の閾値、Vb,Vba…第2の閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9