(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241203BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241203BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241203BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241203BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20241203BHJP
【FI】
H02J7/00 L
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H02J7/00 302C
H02J7/00 303C
B64C39/02
B64D27/24
(21)【出願番号】P 2020073475
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鵜久森 南
(72)【発明者】
【氏名】小西 大助
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222031(JP,A)
【文献】特開2018-020719(JP,A)
【文献】特開2015-198543(JP,A)
【文献】特開2012-161190(JP,A)
【文献】特開2017-108506(JP,A)
【文献】国際公開第2019/232472(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/207968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
B64C 39/02
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体に用いられる蓄電システムであって、
複数の蓄電装置と、
前記複数の蓄電装置に接続されており、前記複数の蓄電装置の間で電力を転送する電力転送回路とを備え、
前記複数の蓄電装置は、
夫々に異なる負荷へ電力を供給する蓄電装置
と、
負荷に接続されておらず負荷への電力供給を行わない蓄電装置とを含む
蓄電システム。
【請求項2】
前記複数の蓄電装置は、
いずれも太陽電池に接続されている
請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記複数の蓄電装置の状態に基づいて前記電力転送回路を制御する制御装置を更に備える
請求項1
又は2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、低温の蓄電装置から高温の蓄電装置へ電力を転送させることにより、高温の蓄電装置から負荷への電力供給を減少させ、低温の蓄電装置から前記負荷への電力供給を増加させる
請求項
3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、放電電圧の高い蓄電装置から放電電圧の低い蓄電装置へ電力を転送させる
請求項
3又は
4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、充電率の高い蓄電装置から充電率の低い蓄電装置へ電力を転送させる
請求項
3乃至
5のいずれか一つに記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、健全度の高い蓄電装置から健全度の低い蓄電装置へ電力を転送させる
請求項
3乃至
6のいずれか一つに記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記電力転送回路は、双方向型DCDCコンバータを用いている
請求項1乃至
7のいずれか一つに記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電装置を備えた蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動の飛行体が開発されている。例えば、電動の飛行体に無線中継局を搭載することによってHAPS(High-altitude platform station,高高度プラットフォーム局)を実現することが構想されている。HAPSとして用いられる飛行体は、太陽電池と蓄電装置とを備え、半年等の長期間、無着陸で飛行を継続することが求められる。HAPSとして用いられる飛行体は、昼間には、太陽電池により発電された電力を利用して飛行し、かつ蓄電装置の充電を行い、夜間には、蓄電装置に充電された電力を利用して飛行する。特許文献1には、HAPSを利用して通信ネットワークを構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行体では、通常予見されない事由により蓄電装置に故障、劣化又は電力不足等の不具合が発生した場合には、蓄電装置からの電力供給が困難になり、動作に支障をきたす。蓄電装置には、飛行体の動作に支障をきたさないように、高い信頼性が要求される。蓄電装置に不具合が発生した場合に備えて、予備の蓄電装置を飛行体に備えることが考えられる。しかしながら、不具合が発生しない場合は、予備の蓄電装置は無駄な設備となる。また、充電された状態で未使用状態を継続することは、蓄電装置の劣化を招く。
【0005】
本発明の目的は、複数の蓄電装置を均等に利用することにより、信頼性を向上させた蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、飛行体に用いられる蓄電システムであって、複数の蓄電装置と、前記複数の蓄電装置に接続されており、前記複数の蓄電装置の間で電力を転送する電力転送回路とを備え、前記複数の蓄電装置は、夫々に異なる負荷へ電力を供給する蓄電装置を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、蓄電システムでは、一部の蓄電装置に不具合が発生した場合であっても、他の蓄電装置から電力が転送されるので、電力供給の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】蓄電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】制御装置及びBMUの内部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。
【
図5】予備の蓄電装置から他の蓄電装置へ電力を転送する状態を示すブロック図である。
【
図6】複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。
【
図7】複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第3の例を示すフローチャートである。
【
図8】複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第4の例を示すフローチャートである。
【
図9】負荷に接続されている複数の蓄電装置の間で電力を転送する状態を示すブロック図である。
【
図10】複数の蓄電装置から他の蓄電装置へ電力を転送する状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
飛行体に用いられる蓄電システムは、複数の蓄電装置と、前記複数の蓄電装置に接続されており、前記複数の蓄電装置の間で電力を転送する電力転送回路とを備える。
【0010】
蓄電システムは、複数の蓄電装置を備え、複数の蓄電装置の間で電力を転送する。一部の蓄電装置において負荷へ供給すべき電力が不足した場合であっても、他の蓄電装置から電力が転送される。一部の蓄電装置に不具合が発生した場合であっても、他の蓄電装置から電力が転送され、負荷への電力供給が継続される。このため、蓄電システム全体での電力の利用効率が向上し、電力供給の信頼性が向上する。
【0011】
前記複数の蓄電装置は、負荷への電力供給を行わない第1の蓄電装置と、負荷への電力供給を行う第2の蓄電装置とを含んでもよい。蓄電システムは、負荷への電力供給を行わない第1の蓄電装置から、負荷への電力供給を行う第2の蓄電装置へ、電力を転送できる。予備となる第1の蓄電装置を含む複数の蓄電装置が均等に利用されるようにしてもよい。予備の蓄電装置が有効に利用され、予備の蓄電装置が未使用状態を継続することが無くなる。
【0012】
前記複数の蓄電装置は、前記第2の蓄電装置が電力を供給する負荷とは異なる負荷へ電力を供給する第3の蓄電装置を更に含んでもよい。複数の蓄電装置が互いに異なる負荷へ電力を供給することにより、満充電容量を負荷に応じた値にする等、個々の蓄電装置の性能を各負荷に応じて適切に設計できる。
【0013】
蓄電システムは、前記複数の蓄電装置の状態に基づいて前記電力転送回路を制御する制御装置を更に備えてもよい。電池温度の差異又は不具合の有無等の蓄電装置の状態に基づき、制御装置が電力転送回路を制御することにより、電力の必要な蓄電装置へ他の装置から電力が転送され、複数の蓄電装置が均等に利用される。
【0014】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、低温の蓄電装置から高温の蓄電装置へ電力を転送させることにより、高温の蓄電装置から負荷への電力供給を減少させ、低温の蓄電装置から前記負荷への電力供給を増加させてもよい。熱ごもり等を原因としてある蓄電装置の温度が相対的に高温である場合、制御装置によって、当該蓄電装置による負荷への負担率を下げる制御を行ってもよい。すなわち、制御装置は、温度が高い蓄電装置から負荷への電力供給を減らし、温度が低い蓄電装置から負荷への電力供給を増やすよう、電力転送回路を制御してもよい。これにより、温度が高い蓄電装置の温度を低減でき、当該蓄電装置が相対的に早く劣化することを防止できる。
【0015】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、放電電圧の高い蓄電装置から放電電圧の低い蓄電装置へ電力を転送させてもよい。故障等の原因によって一の蓄電装置の放電電圧が低下した場合であっても、蓄電システムは、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。
【0016】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、充電率の高い蓄電装置から充電率の低い蓄電装置へ電力を転送させてもよい。一の蓄電装置の充電率が低下し、一の蓄電装置から負荷へ供給すべき電力が不足する場合でも、蓄電システムは、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。
【0017】
前記制御装置は、前記電力転送回路に、健全度の高い蓄電装置から健全度の低い蓄電装置へ電力を転送させてもよい。蓄電装置が劣化した場合、健全度は低下する。一の蓄電装置が劣化し、負荷へ供給すべき電力が不足する場合でも、蓄電システムは、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。
【0018】
前記電力転送回路は、双方向型DCDCコンバータを用いてもよい。双方向型DCDCコンバータは、一方から他方へ、又は他方から一方へ電力を転送できる。双方向型DCDCコンバータを用いることにより、蓄電システムは、必要に応じて、一の蓄電装置から他の蓄電装置へ適切に電力を転送できる。
【0019】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
<実施形態>
図1は、蓄電システム1の配置例を示す模式図である。蓄電システム1は、飛行体2に設けられている。例えば、飛行体2はHAPSである。飛行体2は、モータ及び通信機器等の負荷21と、太陽電池22と、蓄電システム1とを備えている。負荷21及び太陽電池22は、夫々に蓄電システム1に接続されている。蓄電システム1は、複数の蓄電装置を含んでいる。蓄電システム1に含まれる蓄電装置は、太陽電池22が発電した電力を供給され、充電される。蓄電装置は、放電し、負荷21へ電力を供給する。負荷21には、飛行体2を飛行させるための動力を発生させるモータが含まれており、太陽電池22が発電する電力と、蓄電システム1が放電する電力とがモータへ供給される。負荷21に、太陽電池22と蓄電システム1とが並列に接続されてもよい。例えば、昼間には、太陽電池22により発電された電力が蓄電システム1及び負荷21へ供給される。
夜間には、蓄電装置の電力が負荷21へ供給される。
【0020】
図2は、蓄電システム1の構成例を示すブロック図である。蓄電システム1は、複数の蓄電装置11、12及び13を備える。蓄電装置11、12及び13の夫々は、複数の蓄電モジュール32を備えており、複数の蓄電モジュール32を直列に接続したバンクを構成している。複数の蓄電モジュール32には、並列に接続された蓄電モジュール32が含まれていてもよい。夫々の蓄電モジュール32は、複数の蓄電セル33を直列に接続して構成されている。
図2では、蓄電モジュール32の中には単一の蓄電セル33が記載されているものの、実際には、蓄電モジュール32には複数の蓄電セル33が含まれている。蓄電モジュール32は、並列に接続された蓄電セル33を含んでいてもよい。蓄電セル33又は蓄電モジュール32は、夫々に充電及び放電を行う蓄電素子である。例えば、蓄電セル33はリチウムイオン電池である。
【0021】
蓄電装置11、12及び13の夫々は、BMU(Battery Management Unit;電池管理部)31を備えている。BMU31は、蓄電装置に含まれる複数の蓄電モジュール32の状態を測定し、複数の蓄電モジュール32の動作を制御する。蓄電システム1は、蓄電装置11、12及び13を制御する制御装置5を備えている。蓄電装置11、12及び13の夫々が備えるBMU31は、制御装置5に接続されている。
【0022】
蓄電装置11、12及び13は、いずれも太陽電池22に接続されており、太陽電池22から電力を供給され、充電を行う。蓄電装置11、12及び13の内、蓄電装置11は、負荷21に電力線で接続されておらず、負荷21へ電力を供給しない。蓄電装置11は、他の蓄電装置を補助する予備の蓄電装置として機能する。蓄電装置11は第1の蓄電装置に対応する。
【0023】
蓄電装置12及び13は、負荷21に電力線で接続されており、放電し、負荷21へ電力を供給する。負荷21に含まれる複数の負荷の中で、蓄電装置12は一部の負荷へ電力を供給し、蓄電装置13は、蓄電装置12が電力を供給する負荷とは異なる負荷へ電力を供給する。例えば、蓄電装置12がモータへ電力を供給し、蓄電装置13が通信機器へ電力を供給する。蓄電装置12は第2の蓄電装置に対応し、蓄電装置13は第3の蓄電装置に対応する。複数の蓄電装置が互いに異なる負荷へ電力を供給することにより、満充電容量を負荷に応じた値にする等、個々の蓄電装置の性能を各負荷に応じて適切に設計することができる。
【0024】
蓄電システム1は、複数の蓄電装置11、12及び13の間で電力を転送する電力転送回路4を備えている。
図2は、電力転送回路4の回路図の例を含んでいる。蓄電装置11、12及び13は、電力転送回路4を介して互いに接続されている。電力転送回路4は、一対の中継バス線43を備え、蓄電装置11、12及び13に接続された複数の双方向型DCDCコンバータ41を備える。双方向型DCDCコンバータ41は、一対の電力線を二組有し、一方の一対の電力線は、蓄電装置11、12及び13の何れかに接続されており、他方の一対の電力線は、一対の中継バス線43に接続されている。他方の一対の電力線の間には、平滑コンデンサ42が接続されている。蓄電装置11、12及び13の夫々は、双方向型DCDCコンバータ41及び平滑コンデンサ42を介して、一対の中継バス線43に接続されている。一対の中継バス線43の間には、バッファコンデンサ44が接続されている。
【0025】
双方向型DCDCコンバータ41は、トランス411と、スイッチング素子412及び413とを有している。スイッチング素子412及び413は、例えば、FET(field effect transistor )を用いて構成されている。蓄電装置11、12及び13の何れかに接続された一方の一対の電力線の間に、トランス411及びスイッチング素子412が接続されている。一対の中継バス線43に接続された他方の一対の電力線の間に、トランス411及びスイッチング素子413が接続されている。蓄電装置11、12及び13の夫々と、一対の中継バス線43との間で、トランス411を介して電流が流れ、電力が転送される。スイッチング素子412及び413の動作に応じて、双方向型DCDCコンバータ41は、一方から他方へ電力を転送でき、他方から一方へ電力を転送することもできる。
【0026】
平滑コンデンサ42は、電流に含まれる高周波成分を平滑する。バッファコンデンサ44は、電力を一時的に蓄積する。制御装置5は、電力転送回路4を制御する。制御装置5は、スイッチング素子412及び413をオン又はオフにする制御を行う。制御装置5は、スイッチング素子412及び413を制御することにより、双方向型DCDCコンバータ41に、一方から他方へ、他方から一方へ電力を転送させる。
図2に示す双方向型DCDCコンバータ41の回路構成は一例である。双方向型DCDCコンバータ41は、その他の回路構成を有していてもよい。
【0027】
図3は、制御装置5及びBMU31の内部の機能構成例を示すブロック図である。BMU31は、複数の蓄電モジュール32の状態を測定し、蓄電装置11、12又は13を制御する。BMU31は、演算部311と、メモリ312と、記憶部313と、電圧取得部314と、電流取得部315と、温度取得部316と、通信部317とを備えている。演算部311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリ312は、演算部311での演算に必要な情報を記憶する。記憶部313は、不揮発性であり、プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部313は不揮発性の半導体メモリである。演算部311は、記憶部313が記憶するプログラムに従って処理を実行する。
【0028】
電圧取得部314は、複数の蓄電モジュール32の夫々の電圧、複数の蓄電セル33の夫々の電圧、又は蓄電装置11、12若しくは13の放電電圧を取得する。電流取得部315は、複数の蓄電モジュール32に流れる電流を取得する。例えば、電流取得部315は、直列に接続された複数の蓄電モジュール32に流れる電流を取得するか、又は夫々の蓄電モジュール32に流れる電流を個別に取得する。温度取得部316は、蓄電装置11、12又は13の内部の温度を取得する。例えば、蓄電装置11、12及び13には、熱電対等の、温度を測定するための測温素子が設けられており、温度取得部316は、測温素子を用いて温度を取得する。温度取得部316は、複数の蓄電モジュール32の夫々の温度、又は複数の蓄電セル33の夫々の温度を取得してもよい。通信部317は、制御装置5に接続される。通信部317は、制御装置5との間で通信を行う。演算部311は、通信部317に、取得された電圧及び電流を示す情報を制御装置5へ送信させる。
【0029】
制御装置5は、演算部51と、メモリ52と、記憶部53と、通信部54と、電力調整部55とを備えている。演算部51は、例えば、CPUである。メモリ52は、演算部51での演算に必要な情報を記憶する。記憶部53は、不揮発性であり、プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部53はハードディスクである。演算部51は、記憶部53が記憶するプログラムに従って処理を実行する。通信部54は、複数のBMU31に接続される。通信部54は、夫々のBMU31との間で通信を行う。電力調整部55は、複数の双方向型DCDCコンバータ41に接続される。電力調整部55は、複数の双方向型DCDCコンバータ41の動作を制御する。
【0030】
図4は、複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。夫々のBMU31において、電圧取得部314は夫々の蓄電モジュール32の電圧、夫々の蓄電セル33の電圧、又は蓄電装置11、12若しくは13の放電電圧を取得する。通信部317は、取得された電圧を示す情報を制御装置5へ送信する。制御装置5は、複数のBMU31から送信された電圧を示す情報を通信部54で受信することにより、蓄電装置11、12及び13の夫々に係る電圧を取得する(S11)。
【0031】
演算部51は、取得した電圧に基づいて、放電電圧の低い蓄電装置があるか否かを判定する(S12)。蓄電装置の放電電圧を取得する場合は、演算部51は、放電電圧が所定電圧以下である場合に、放電電圧の低い蓄電装置があると判定する。蓄電モジュール32の電圧、又は蓄電セル33の電圧を取得する場合は、演算部51は、取得した電圧に基づいて、蓄電装置の放電電圧を特定し、特定した放電電圧が所定電圧以下である場合に、放電電圧の低い蓄電装置があると判定する。所定電圧は予め記憶部53に記憶されている。代替的に、演算部51は、放電電圧が所定電圧未満である場合に放電電圧の低い蓄電装置があると判定してもよい。代替的に、演算部51は、複数の蓄電装置の放電電圧の差が所定の閾値以上、又は閾値を超過する場合に、放電電圧の低い蓄電装置があると判定してもよい。
【0032】
放電電圧の低い蓄電装置が無い場合は(S12:NO)、演算部51は、処理を終了する。放電電圧の低い蓄電装置がある場合は(S12:YES)、演算部51は、放電電圧の高い蓄電装置から放電電圧の低い蓄電装置へ電力を転送するための処理を行う(S13)。S13では、演算部51は、電力を転送すべく、電力調整部55に、電力転送回路4を動作させる。
【0033】
図5は、予備の蓄電装置11から他の蓄電装置12へ電力を転送する状態を示すブロック図である。蓄電装置12に接続されている負荷での電力需要が大きい場合、又は蓄電装置12が故障した場合等に、蓄電装置12の放電電圧が低下することがある。蓄電装置11は、負荷に接続されていないので、放電電圧は安定している傾向にある。蓄電装置11の放電電圧が高く、蓄電装置12の放電電圧が低下した場合、演算部51は、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力を転送するように、電力調整部55に電力転送回路4を動作させる。電力調整部55は、蓄電装置11に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、スイッチング素子412及び413を制御することにより、蓄電装置11から中継バス線43へ電流を流すべく、動作させる。また、電力調整部55は、蓄電装置12に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、中継バス線43から蓄電装置12へ電流を流すべく、動作させる。
【0034】
図5に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置11から蓄電装置12へ電流が流れ、電力が転送される。電流に含まれる高周波成分は、平滑コンデンサ42により平滑され、ノイズが抑制される。転送された電力により、蓄電装置12は充電される。又は、転送された電力は、蓄電装置12に接続された負荷へ供給される。蓄電装置13の放電電圧が低い場合は、同様に、蓄電装置11から蓄電装置13へ電力が転送される。
【0035】
S13が終了した後、制御装置5は処理を終了する。一の蓄電装置の放電電圧が低下した場合であっても、蓄電システム1は、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。例えば、一時的に負荷の電力需要が増加した場合、又は一の蓄電池が故障した場合でも、継続的に電力が負荷へ供給される。
【0036】
図6は、複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。夫々のBMU31において、電流取得部315は、蓄電モジュール32に流れる電流を取得し、通信部317は、取得された電流を示す情報を制御装置5へ送信する。制御装置5は、複数のBMU31から送信された電流を示す情報を通信部54で受信することにより、蓄電装置11、12及び13の夫々に係る電流を取得する(S21)。
【0037】
演算部51は、取得した電流に基づいて、蓄電装置11、12及び13の充電率(SOC:State of Charge )を計算する(S22)。S22では、例えば、演算部51は、これまでに取得した電流の値を積算することにより充電率を計算する。演算部51は、電流値を積算する方法以外の方法で充電率を計算してもよい。代替的に、蓄電システム1は、S21及びS22の処理を行わず、BMU31は、電流取得部315で取得した電流に基づいて蓄電装置の充電率を計算し、計算した充電率を制御装置5へ送信し、制御装置5は充電率を取得してもよい。
【0038】
演算部51は、次に、充電率の低い蓄電装置があるか否かを判定する(S23)。S23では、演算部51は、計算した充電率が所定の閾値以下である場合に、充電率の低い蓄電装置があると判定する。閾値は予め記憶部53に記憶されている。代替的に、演算部51は、充電率が閾値未満である場合に充電率の低い蓄電装置があると判定してもよい。代替的に、演算部51は、複数の蓄電装置の充電率の差が所定の閾値以上、又は閾値を超過する場合に、充電率の低い蓄電装置があると判定してもよい。
【0039】
充電率の低い蓄電装置が無い場合は(S23:NO)、演算部51は、処理を終了する。充電率の低い蓄電装置がある場合は(S23:YES)、演算部51は、充電率の高い蓄電装置から充電率の低い蓄電装置へ電力を転送するための処理を行う(S24)。S24では、演算部51は、電力を転送すべく、電力調整部55に、電力転送回路4を動作させる。
【0040】
蓄電装置12が負荷へ電力を供給し続けた結果、蓄電装置12の充電率が顕著に低下することがある。蓄電装置11は、負荷に接続されていないので、充電率は低下し難い。蓄電装置11の充電率が高く、蓄電装置12の充電率が低下した場合、演算部51は、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力を転送するように、電力調整部55に電力転送回路4を動作させる。
図5に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力が転送される。転送された電力により、蓄電装置12は充電される。又は、転送された電力は、蓄電装置12に接続された負荷へ供給される。蓄電装置13の充電率が低い場合は、同様に、蓄電装置11から蓄電装置13へ電力が転送される。
【0041】
S24が終了した後、制御装置5は処理を終了する。一の蓄電装置の充電率が低下した場合であっても、蓄電システム1は、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。例えば、一の蓄電装置から負荷へ供給すべき電力が不足する場合でも、他の蓄電装置を利用して、継続的に電力が負荷へ供給される。
【0042】
図7は、複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第3の例を示すフローチャートである。夫々のBMU31において、電圧取得部314は蓄電装置11、12又は13に係る電圧を取得し、通信部317は、取得された電圧を示す情報を制御装置5へ送信する。制御装置5は、複数のBMU31から送信された電圧を示す情報を通信部54で受信することにより、蓄電装置11、12及び13の夫々に係る電圧を取得する(S31)。
【0043】
演算部51は、取得した電圧に基づいて、蓄電装置11、12及び13の初期の満充電容量に対する実際の満充電容量の割合を示す健全度(SOH:State of Health )を計算する(S32)。S32では、例えば、演算部51は、これまでに取得した電圧の時間経過に応じた変化を特定し、予め記憶部53に記憶されている電圧の変化と健全度との関係に従って、電圧の変化に応じて健全度を計算する。演算部51は、その他の方法で充電率を計算してもよい。代替的に、蓄電システム1は、S31及びS32の処理を行わず、BMU31は、電圧取得部314で取得した電圧に基づいて蓄電装置の健全度を計算し、計算した健全度を制御装置5へ送信し、制御装置5は健全度を取得してもよい。
【0044】
演算部51は、次に、健全度の低い蓄電装置があるか否かを判定する(S33)。演算部51は、計算した健全度が所定の閾値以下である場合に、健全度の低い蓄電装置があると判定する。閾値は予め記憶部53に記憶されている。代替的に、演算部51は、健全度が閾値未満である場合に健全度の低い蓄電装置があると判定してもよい。代替的に、演算部51は、複数の蓄電装置の健全度の差が所定の閾値以上、又は閾値を超過する場合に、健全度の低い蓄電装置があると判定してもよい。
【0045】
健全度の低い蓄電装置が無い場合は(S33:NO)、演算部51は、処理を終了する。健全度の低い蓄電装置がある場合は(S33:YES)、演算部51は、健全度の高い蓄電装置から健全度の低い蓄電装置へ電力を転送するための処理を行う(S34)。S34では、演算部51は、電力を転送すべく、電力調整部55に、電力転送回路4を動作させる。
【0046】
健全度の低い蓄電装置は、劣化の進行した蓄電装置である。蓄電装置12が充電及び放電を繰り返した結果、蓄電装置12が劣化し、健全度が低下することがある。蓄電装置11は、負荷に接続されていないので、比較的に劣化は進行し難い。蓄電装置11の健全度が高く、蓄電装置12の健全度が低下した場合、演算部51は、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力を転送するように、電力調整部55に電力転送回路4を動作させる。
図5に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力が転送される。転送された電力は、蓄電装置12に接続された負荷へ供給される。転送された電力により蓄電装置12が充電されてもよい。蓄電装置13の健全度が低い場合は、同様に、蓄電装置11から蓄電装置13へ電力が転送される。
【0047】
S34が終了した後、制御装置5は処理を終了する。一の蓄電装置の健全度が低下した場合であっても、蓄電システム1は、他の蓄電装置から電力を転送することにより、負荷への電力供給を継続できる。例えば、一の蓄電装置が劣化し、負荷へ供給すべき電力が不足する場合でも、他の蓄電装置を利用して、継続的に電力が負荷へ供給される。
【0048】
図8は、複数の蓄電装置の間で電力を転送する処理の手順の第4の例を示すフローチャートである。夫々のBMU31において、温度取得部316は蓄電装置11、12又は13の内部の温度を取得し、通信部317は、取得された温度を示す情報を制御装置5へ送信する。制御装置5は、複数のBMU31から送信された温度を示す情報を通信部54で受信することにより、蓄電装置11、12及び13の夫々の内部の温度を取得する(S41)。
【0049】
演算部51は、取得した温度に基づいて、高温の蓄電装置があるか否かを判定する(S42)。演算部51は、取得した温度が所定温度以上である場合に、高温の蓄電装置があると判定する。所定温度は予め記憶部53に記憶されている。代替的に、演算部51は、取得した温度が所定温度を超過する場合に高温の蓄電装置があると判定してもよい。代替的に、演算部51は、複数の蓄電装置の温度の差が所定の閾値以上、又は閾値を超過する場合に、高温の蓄電装置があると判定してもよい。
【0050】
高温の蓄電装置が無い場合は(S42:NO)、演算部51は、処理を終了する。高温の蓄電装置がある場合は(S42:YES)、演算部51は、低温の蓄電装置から高温の蓄電装置へ電力を転送するための処理を行う(S43)。S43では、演算部51は、電力を転送すべく、電力調整部55に、電力転送回路4を動作させる。
【0051】
蓄電装置は、内部の温度が高いほど劣化が進行し易い。複数の蓄電装置に温度差がある場合は、相対的に高温である蓄電装置は相対的に早く劣化する。蓄電装置12において熱ごもりが発生した場合、又は電力供給の負担が蓄電装置12において高い場合は、蓄電装置12の内部の温度が高温になることがある。蓄電装置11は、負荷に接続されていないので、比較的に内部の温度が低くなりやすい。蓄電装置12が高温であり、蓄電装置11が低温である場合、演算部51は、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力を転送するように、電力調整部55に電力転送回路4を動作させる。
図5に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置11から蓄電装置12へ電力が転送される。蓄電装置13が高温である場合は、同様に、蓄電装置11から蓄電装置13へ電力が転送される。
【0052】
演算部51は、高温の蓄電装置から負荷へ供給する電力を低下させる(S44)。S44では、演算部51は、電力を低下させるための制御信号を、高温の蓄電装置のBMU31へ通信部54から送信する。BMU31では、通信部317で制御信号を受信し、演算部311は、制御信号に従って、蓄電装置からの供給電力を低下させる制御を行う。例えば、低温の蓄電装置から転送された電力と同等の電力が供給電力から削減される。低温の蓄電装置から転送された電力は、高温の蓄電装置に接続された負荷へ供給される。
【0053】
S44が終了した後、制御装置5は処理を終了する。一の蓄電装置が高温である場合に、蓄電システム1は、低温の蓄電装置から高温の蓄電装置へ電力を転送し、高温の蓄電装置から負荷へ供給する電力を低下させる。低温の蓄電装置から転送された電力が負荷へ供給され、負荷への電力供給は継続される。結果として、高温の蓄電装置から負荷への電力供給が減少し、低温の蓄電装置から負荷への電力供給が増加する。負荷への電力供給が減少することにより、高温の蓄電装置の負担が低下し、蓄電装置の内部の温度が低下する。複数の蓄電装置の温度の差が小さくなり、いずれかの蓄電装置が高温である状態は持続しない。このため、複数の蓄電装置の中のいずれかの蓄電装置が相対的に早く劣化することが防止される。
【0054】
蓄電システム1は、負荷に接続されている複数の蓄電装置の間で電力を転送することもできる。
図9は、負荷に接続されている複数の蓄電装置12及び13の間で電力を転送する状態を示すブロック図である。蓄電装置12の放電電圧が高く蓄電装置13の放電電圧が低い場合、蓄電装置12の充電率が高く蓄電装置13の充電率が低い場合、蓄電装置12の健全度が高く蓄電装置13の健全度が低い場合、又は蓄電装置12の温度が低く蓄電装置13の温度が高い場合、制御装置5は、蓄電装置12から蓄電装置13へ電力を転送するように電力転送回路4を動作させる。電力調整部55は、蓄電装置12に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、蓄電装置12から中継バス線43へ電流を流すべく、動作させる。また、電力調整部55は、蓄電装置13に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、中継バス線43から蓄電装置13へ電流を流すべく、動作させる。
【0055】
図9に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置12から蓄電装置13へ電流が流れ、電力が転送される。転送された電力により、蓄電装置13は充電される。又は、転送された電力は、蓄電装置13に接続された負荷へ供給される。蓄電装置12及び13の状態に応じて、蓄電システム1は、蓄電装置13から蓄電装置12へ電力を転送することも可能である。
【0056】
蓄電システム1は、複数の蓄電装置から他の蓄電装置へ電力を転送することもできる。
図10は、複数の蓄電装置11及び12から他の蓄電装置13へ電力を転送する状態を示すブロック図である。蓄電装置11及び12の放電電圧が高く蓄電装置13の放電電圧が低い場合、蓄電装置11及び12の充電率が高く蓄電装置13の充電率が低い場合、蓄電装置11及び12の健全度が高く蓄電装置13の健全度が低い場合、又は蓄電装置11及び12の温度が低く蓄電装置13の温度が高い場合、蓄電装置11及び12から蓄電装置13へ電力の転送ができる。制御装置5は、蓄電装置11及び12から蓄電装置13へ電力を転送するように電力転送回路4を動作させる。
【0057】
電力調整部55は、蓄電装置11に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、蓄電装置11から中継バス線43へ電流を流すべく、動作させる。電力調整部55は、蓄電装置12に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、蓄電装置12から中継バス線43へ電流を流すべく、動作させる。また、電力調整部55は、蓄電装置13に接続されている双方向型DCDCコンバータ41を、中継バス線43から蓄電装置13へ電流を流すべく、動作させる。
【0058】
図10に実線矢印で示すように、電力転送回路4を介して、蓄電装置11及び12から蓄電装置13へ電流が流れ、電力が転送される。転送された電力により、蓄電装置13は充電される。又は、転送された電力は、蓄電装置13に接続された負荷へ供給される。蓄電装置11、12及び13の状態に応じて、蓄電システム1は、蓄電装置11及び13から蓄電装置12へ電力を転送することも可能である。
【0059】
S11~S13の処理、S21~S24の処理、S31~S34の処理、又はS41~S44の処理は、繰り返し実行される。このようにして、制御装置5は、蓄電装置11、12及び13の状態に基づいて電力転送回路4を制御し、電力の不足する蓄電装置へ他の蓄電装置から電力を転送する。蓄電装置11、12及び13の状態が変化した場合は、制御装置5は、電力の転送状態を変更する。例えば、蓄電装置12の放電電圧が低い状態から、蓄電装置13の放電電圧が低い状態へ、状況が変化した場合は、制御装置5は、電力転送回路4に、蓄電装置11から蓄電装置12への電力の転送を停止させ、蓄電装置11から蓄電装置13への電力の転送を開始させる。電力の転送が停止され、次に電力の転送が開始されるまでの間に、バッファコンデンサ44に蓄積された電力が放出され、電力転送回路4に電流が流れる。電力転送回路4に流れる電流が途切れず、電力の転送状態がスムーズに変更される。
【0060】
以上詳述した如く、蓄電システム1は、複数の蓄電装置を備え、複数の蓄電装置の間で電力を転送する。特に、負荷が接続された蓄電装置へ、負荷への電力供給を行わない予備の蓄電装置11から電力が転送される。一部の蓄電装置において負荷へ供給すべき電力が不足した場合であっても、他の蓄電装置から電力が転送されるので、蓄電システム1全体での電力の利用効率が向上する。一部の蓄電装置に不具合が発生した場合であっても、他の蓄電装置から電力が転送され、負荷への電力供給が継続されるので、電力供給の信頼性が向上する。複数の蓄電装置の間で電力が転送されることによって、予備の蓄電装置11を含む複数の蓄電装置が均等に使用されることになり、予備の蓄電装置11を含む全ての蓄電装置が有効に利用される。蓄電装置が充電された状態で未使用状態を継続することが無くなり、蓄電システム1の信頼性が向上する。また、複数の蓄電装置の中のいずれかの蓄電装置が相対的に高温である状態は持続しないので、いずれかの蓄電装置が相対的に早く劣化することが防止され、蓄電システム1全体の信頼性が向上する。信頼性の高い蓄電システム1はHAPSとして用いられる飛行体2に備える蓄電システムとして有用である。
【0061】
本実施形態では、蓄電システム1がS11~S13の処理、S21~S24の処理、S31~S34の処理及びS41~S44の処理を実行する形態を示した。代替的に、蓄電システム1は、S11~S13の処理、S21~S24の処理、S31~S34の処理、又はS41~S44の処理の内の少なくとも一つの処理を実行する形態であってもよい。例えば、S11~S13の処理、S21~S24の処理又はS31~S34の処理を実行し、S41~S44の処理を実行しない形態では、BMU31は温度取得部316を備えていなくてもよい。
【0062】
本実施形態では、蓄電システム1が蓄電装置11、12及び13を備える形態を示した。代替的に、蓄電システム1は、二つの蓄電装置を備える形態であってもよい。蓄電システム1は、四つ以上の蓄電装置を備える形態であってもよい。本実施形態では、蓄電セル33がリチウムイオン電池である形態を示した。代替的に、蓄電セル33は、リチウムイオン電池以外の二次電池であってもよい。本実施形態では、蓄電装置11、12及び13が複数の蓄電モジュール32を備えたバンクである形態を示した。代替的に、蓄電装置11、12及び13は、単一の蓄電モジュール32で構成されていてもよい。
【0063】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 蓄電システム
11、12、13 蓄電装置
2 飛行体
21 負荷
22 太陽電池
31 BMU
32 蓄電モジュール
33 蓄電セル
4 電力転送回路
41 双方向型DCDCコンバータ
411 トランス
412、413 スイッチング素子
42 平滑コンデンサ
43 中継バス線
44 バッファコンデンサ
5 制御装置