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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】バッテリの搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241203BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241203BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20241203BHJP
【FI】
B62D25/20 J
B60K1/04 Z
H01M50/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020142455
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038128
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内田 勇翔
(72)【発明者】
【氏名】北村 亮介
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032247(JP,A)
【文献】特開2021-004025(JP,A)
【文献】特開2018-090014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60K 1/04
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に沿って設けられたクロスメンバと、
前記クロスメンバの車両前後方向後方において前記クロスメンバと間隔を空けて前記車両幅方向に沿って設けられたリアフレームと、
前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設けられ、前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設置されるバッテリを支持する支持フレームと、
を備え、
前記支持フレームは、前記バッテリの設置領域を含み、車両前後方向に延びるバッテリ設置部と、当該バッテリ設置部と一体で設けられ、前記バッテリ設置部の後端から立ち上がり前記リアフレームに向けて上下方向に延び、当該バッテリ設置部の後端と前記リアフレームとを接続するリアフレーム接続部と、を有し、
前記バッテリ設置部は、前記リアフレーム接続部よりも車両前後方向の剛性を高めるための補強要素を有し、
前記補強要素は、車両上下方向下方に向けて突出する突出部である、
バッテリの搭載構造。
【請求項2】
前記補強要素は、前記バッテリ設置部の車両前後方向全域に延びて突出する突出部である、
請求項1に記載のバッテリの搭載構造。
【請求項3】
前記バッテリは、前記支持フレームに設置される底面に対して車両前後方向前方に向けて漸次低くなる傾斜面を有する一方、
前記バッテリが有する前記傾斜面に当接する当接面を有し、前記バッテリの車両前後方向前方に設置されたブラケットを備える、
請求項1又は2に記載のバッテリの搭載構造。
【請求項4】
前記バッテリの車両前後方向前方となる前面と当接する当接面を有し、前記バッテリの車両前後方向前方に設置されたストッパを備える、
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリの搭載構造。
【請求項5】
前記支持フレームは、車両幅方向に間隔を開けて設けられた一対の支持フレームであって、
前記一対の支持フレームのうち車両幅方向外側の支持フレームの前端部に前記ストッパが設置される、
請求項に記載のバッテリの搭載構造。
【請求項6】
前記支持フレームは、車両幅方向に間隔を開けて設けられた一対の支持フレームであって、
前記一対の支持フレームのうち車両幅方向外側の支持フレームよりも車両幅方向内側に前記ブラケットが設置される、
請求項に記載のバッテリの搭載構造。
【請求項7】
車両幅方向に沿って設けられたクロスメンバと、
前記クロスメンバの車両前後方向後方において前記クロスメンバと間隔を空けて前記車両幅方向に沿って設けられたリアフレームと、
前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設けられ、前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設置されるバッテリを支持する支持フレームと、
を備え、
前記支持フレームは、前記バッテリの設置領域を含み、車両前後方向に延びるバッテリ設置部と、当該バッテリ設置部と一体で設けられ、前記バッテリ設置部の後端から立ち上がり前記リアフレームに向けて上下方向に延び、当該バッテリ設置部の後端と前記リアフレームとを接続するリアフレーム接続部と、を有し、
前記バッテリ設置部は、前記リアフレーム接続部よりも車両前後方向の剛性を高めるための補強要素を有し、
前記補強要素は、前記バッテリ設置部の車両前後方向全域に延びて突出する突出部である、
バッテリの搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両リアフロアと、車両リアフロアに形成された凹部に収容されるバッテリとを備えるバッテリの搭載構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6528674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するバッテリの搭載構造では、車両が追突された場合にバッテリが載置された支持フレームが変形することで、バッテリが損傷する虞がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、車両が追突された場合でもバッテリを保護できるバッテリの搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一実施形態に係るバッテリの搭載構造は、車両幅方向に沿って設けられたクロスメンバと、前記クロスメンバの車両前後方向後方において前記クロスメンバと間隔を空けて前記車両幅方向に沿って設けられたリアフレームと、前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設けられ、前記クロスメンバと前記リアフレームとの間に設置されるバッテリを支持する支持フレームと、を備え、前記支持フレームは、前記バッテリの設置領域を含み、車両前後方向に延びるバッテリ設置部と、前記バッテリ設置部の後端から前記リアフレームに向けて上下方向に延び、当該バッテリ設置部後端と前記リアフレームとを接続するリアフレーム接続部と、を有し、前記バッテリ設置部は、前記リアフレーム接続部よりも車両前後方向の剛性を高めるための補強要素を有する。
【0007】
上記構成によれば、バッテリ設置部のほうがリアフレーム接続部よりも車両前後方向の剛性が高いので、車両が追突され支持フレームが変形する場合でも先にリアフレーム接続部が折れ曲がり、バッテリ設置部の折れ曲がりが回避される。これにより、バッテリの損傷が回避されるので、車両が衝突された場合でもバッテリを保護できる。
【0008】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記補強要素は、前記バッテリ設置部の車両前後方向全域に延びて突出する突出部である。
【0009】
上記構成によれば、低コストかつ省スペースでバッテリ設置部の車両前後方向の剛性をリアフレーム接続部よりも高めることができる。
【0010】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記補強要素は、車両上下方向下方に向けて突出する突出部である。
【0011】
上記構成によれば、バッテリ設置部の上面が平坦な面となるので、バッテリ設置部にバッテリを安定させて設置することができる。
【0012】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記バッテリは、前記支持フレームに設置される底面に対して車両前後方向前方に向けて漸次低くなる傾斜面を有する一方、前記バッテリが有する前記傾斜面に当接する当接面を有し、前記バッテリの車両前後方向前方に設置されたブラケットを備える。
【0013】
上記構成によれば、ブラケットの当接面にバッテリの傾斜面が当接するので、車両が追突され、バッテリが車両前後方向前方に押されてもブラケットがバッテリを支持する。これにより、車両が追突されバッテリが車両前後方向前方に押されてもバッテリを保護できる。
【0014】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記バッテリの車両前後方向前方となる前面と当接する当接面を有し、前記バッテリの車両前後方向前方に設置されたストッパを備える。
【0015】
上記構成によれば、ストッパの当接面にバッテリの前面が当接するので、車両が追突され、バッテリが車両前後方向前方に押されてもストッパがバッテリを支持する。これにより、バッテリが車両前後方向前方に飛び出すのを防止できるので、車両が追突されバッテリが車両前後方向前方に押されてもバッテリを保護できる。
【0016】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記支持フレームは、車両幅方向に間隔を開けて設けられた一対の支持フレームであって、前記一対の支持フレームのうち車両幅方向外側の支持フレームの前端部に前記ストッパが設置される。
【0017】
上記構成によれば、支持フレームの車両前後方向延長線上にストッパが設置されるので、車両が追突され、バッテリが車両前後方向前方に押された場合にストッパがバッテリを効率的に支持する。これにより、バッテリが車両前後方向前方に飛び出すのを効率的に防止できるので、車両が追突されバッテリが車両前後方法前方に押されてもバッテリを効率的に保護できる。
【0018】
本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造は、上記の構成において、前記支持フレームは、車両幅方向に間隔を開けて設けられた一対の支持フレームであって、前記一対の支持フレームのうち車両幅方向外側の支持フレームよりも車両幅方向内側に前記ブラケットが設置される。
【0019】
上記構成によれば、一対の支持フレームのうち車両幅方向外側の支持フレームよりも内側においてブラケットの当接面にバッテリの傾斜面が当接するので、車両が追突され、バッテリが車両前後方向前方に押されてもブラケットからバッテリへの力の入力が抑制される。これにより、車両が追突されバッテリが車両前後方向前方に押されてもブラケットがバッテリに侵入するのを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、車両が追突され支持フレームが変形する場合でも先にリアフレーム接続部が折れ曲がり、バッテリ設置部の折れ曲がりが回避されるので、バッテリの損傷が回避され、バッテリを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造が採用された電池パックを概略的に示す図である。
図2図1に示した電池パックの内部構造を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造を概略的に示す斜視図である。
図4図3に示したバッテリの搭載構造を概略的に示す断面図である。
図5】フロントフレーム、リアフレーム及び一対の支持フレームを車両斜め前方から視た斜視図である。
図6】フロントフレーム、リアフレーム及び一対の支持フレームを車両斜め後方から視た斜視図である。
図7図4に示したバッテリの搭載構造を概略的に示す断面図であって、車両が追突された後の状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るバッテリの搭載構造を概略的に示す斜視図である。
図9図8に示したバッテリ搭載構造の詳細を示すIX-IX線断面図である。
図10図8に示したバッテリ搭載構造の詳細を示すX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1を概略的に示す図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造を採用が採用された電池パック1は、車室内に設置される電池パックであって、三列シートの下方域、又は荷室の下方域に車両幅方向に沿って設置される。
【0024】
本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1には、バッテリ冷却用の空気を取り入れるための入口(図示せず)と、入口から取り入れた空気を排出するための出口(図示せず)とが設けられている。電池パック1に設けられた入口には、インレットダクト13が接続される。インレットダクト13は、バッテリ冷却用の空気を車室内から電池パック1に導入するためのダクトであり、電池パック1に設けられた入口に接続された端部と反対側の端部は車室内、例えば、三列シートに着座する乗員の腰の位置に開口する。電池パック1に設けられた出口には、アウトレットダクト(図示せず)が接続される。アウトレットダクトは、電池パック1から排出された空気を車室内に循環させるためのダクトであり、電池パック1に設けられた出口に接続された端部と反対側の端部は車室内、例えば、三列シートに着座する乗員の足元の位置に開口する。
【0025】
また、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1には、電池パック内部で発生したガスを排出するための排気口(図示せず)が設けられている。電池パック1に設けられた排気口には排気管15が接続される。排気管15は、電池パック内部で発生したガスを車室外に排出するための管であり、電池パック1に設けられた排気口に接続された端部と反対側の端部は車室外、例えば、フロアパネル2(図4参照)の下方域に延びて、車室外において開口する。
【0026】
図2は、図1に示した電池パック1の内部構造を概略的に示す斜視図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1は、バッテリトレー11とバッテリカバー12(図1参照)を備えている。バッテリトレー11は、バッテリ16を収納するための収納容器であり、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1では、車両幅方向に沿って延びる上面が開口した車両上方から視て矩形の底が浅い容器で構成される。バッテリカバー12は、バッテリトレー11に収納されたバッテリ16を覆うためのカバーであり、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1では、バッテリトレー11とほぼ同じ大きさであって、車両幅方向に沿って延びる下面が開口した車両上方から視て矩形の容器で構成される。
【0027】
図2に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1は、バッテリ16、DCDCコンバータ(図示せず)及びファン19を備えている。
【0028】
バッテリ16は、例えば、車両の減速エネルギーの回生によって得られる電気を充電する一方、車両の加速時にエンジンの負担を軽減すべくモータに電気を供給するものである。バッテリ16は、例えば、12Vのシステム電圧よりも高い48Vの電圧の電気が充電可能であって、例えば、複数のリチウムイオン電池が直列に接続された電池モジュールによって構成される。バッテリ16は、電池パック1の入口側に設置され、電池パック1に取り入れられたバッテリ冷却用の空気がバッテリ16のまわりを流れることでバッテリ16が冷却される。バッテリ16は、排煙カバー17を備えている。排煙カバー17は、ガスが車室内に漏出するのを防止するためのものであり、バッテリ16の損傷等によりバッテリ16の内部でガスが発生した場合でもガスが車室内に漏出することはない。
【0029】
DCDCコンバータは、例えば、バッテリ16から電装品に電気を供給する際に電圧を変換するためのものである。DCDCコンバータは、例えば、48Vの充電電圧を12Vのシステム電圧に変換可能である。DCDCコンバータは、電池パック1においてバッテリ16よりも下流側に設置され、バッテリ16を冷却した空気がDCDCコンバータのまわりを流れることでDCDCコンバータが冷却される。
【0030】
ファン19は、電池パック1の内部にバッテリ冷却用の空気を取り入れるためのものである。ファン19は、例えば、DCDCコンバータの下流側、例えば、電池パック1の出口側に設置される。本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造が採用された電池パック1では、DCDCコンバータの上に設置され、電池パック1の入口からバッテリ冷却用の空気を取り入れる一方、バッテリ16及びDCDCコンバータのまわりを通り温められた空気を電池パック1の出口から排出する。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造を概略的に示す斜視図である。図3に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、クロスメンバ3(図4参照)、リアフレーム4及び一対の支持フレーム5(図4参照)を備える。
【0032】
クロスメンバ3は、車両を構成する骨格部材であり、車両幅方向に沿って設けられている。例えば、クロスメンバ3は、下面が開口した溝形の部材31と上面が開口した溝形の部材32をフロアパネル2に接合することによって構成される(図4参照)。
【0033】
クロスメンバ3にはフロントフレーム33が取り付けられる。フロントフレーム33は、電池パック1をクロスメンバ3に取り付けるための部材であり、電池パック1の一部を構成する(図4参照)。例えば、フロントフレーム33は、車両幅方向に沿って設けられ、車両前後方向に横断する横断面は、クロスメンバ3の車両前後方向に横断する横断面に沿って階段状に形成される。そして、フロントフレーム33の上段部33aがクロスメンバ3の上面に固定され、フロントフレーム33の上段部33aと下段部33bとを繋ぐ段差部33cがクロスメンバ3の側面に沿って配置される。
【0034】
リアフレーム4は、電池パック1を車両に搭載するための部材であり、電池パック1の一部を構成する。リアフレーム4は、車両幅方向に沿って設けられ、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って延びる一対のサイドメンバー(図示せず)に架け渡される。リアフレーム4は、上面が開口した溝形であって、車両幅方向両端部よりも内側において一対のサイドメンバーよりも高くなり、車両幅方向両端部において車両前後方向に幅広となる。そして、リアフレーム4は、車両幅方向両端部に設けられた穴を貫通するボルト41によって一対のサイドメンバーに固定される。
【0035】
リアフレーム4にはフレームカバー42が取り付けられる。フレームカバー42は、リアフレーム4においてバッテリ16の設置領域と対応する領域を補強するものである。フレームカバー42は、車両幅方向に沿って設けられ、バッテリ16の設置領域と対応する車両左側約3分の2となる部分に渡って設けられる。フレームカバー42は、下面が開口した溝形であって、リアフレーム4の上面開口に嵌め込まれている(図4参照)。
【0036】
図4は、図3に示したバッテリ16の搭載構造を概略的に示す断面図である。図4に示すように、一対の支持フレーム5は、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に設けられ、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に設置されるバッテリ16を支持する。一対の支持フレームは車両前後方向に沿ってバッテリトレー11の内壁面に沿って設けられる。一対の支持フレーム5は、それぞれバッテリ設置部5aとリアフレーム接続部5bとを有する。バッテリ設置部5aは、支持フレーム5において車両前後方向に延びる部分であり、バッテリ16の設置領域を含む。バッテリ設置部5aは、バッテリ16の設置領域のほか、リアフレーム接続部5bが折れ曲がるための領域を含む。これにより、バッテリ設置部5aに設置されたバッテリ16とリアフレーム接続部5bとの間には所定の間隔が設けられ、バッテリ設置部5aに設置されたバッテリ16とリアフレーム接続部5bとは所定の間隔で離隔する。リアフレーム接続部5bは、支持フレーム5においてバッテリ設置部5aの後端からリアフレーム4に向けて上下方向に延びる部分であり、バッテリ設置部5aの後端とリアフレーム4とを接続する。これにより、リアフレーム接続部5bは、バッテリ設置部5aの後端に一端が接続され、リアフレーム4に他端が接続される。図4に示す例では、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に設置されるバッテリ16は、車両前後方向前側が後側よりも漸次高くなるように斜めに設置される。そして、バッテリ16を支持する支持フレーム5においてバッテリ設置部5aは車両前後方向前方から後方に向けて漸次低くなるように傾斜し、リアフレーム接続部5bは車両前後方向前方から後方に向けて漸次高くなるように傾斜する。そして、リアフレーム接続部5bの他端は、車両前後方向に沿って延び、リアフレーム4の下面に接続される。
【0037】
図5は、フロントフレーム33、リアフレーム4及び一対の支持フレーム5を車両斜め前方から視た斜視図であり、図6は、フロントフレーム33、リアフレーム4及び一対の支持フレーム5を車両斜め後方から視た斜視図である。図5及び図6に示すように、支持フレーム5においてバッテリ設置部5aはリアフレーム4よりも車両前後方向の剛性を高めるための補強要素を有する。例えば、補強要素はバッテリ設置部5aに形成される突出部5a1である。突出部5a1は、バッテリ設置部5aにおいて車両前後方向全域に延びる。例えば、突出部5a1は、車両上下方向下方に向けて突出する。例えば、突出部5a1はビードで構成されるが、突出部5a1はビードに限られるものではなく、例えば、バッテリ設置部5aに接合された補強部材であってもよい。
【0038】
図7は、図4に示したバッテリ16の搭載構造を概略的に示す断面図であって、車両が追突された後の状態を示す図である。図7に示すように、上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、バッテリ設置部5aのほうがリアフレーム接続部5bよりも車両前後方向の剛性が高いので、車両が追突され支持フレーム5が変形する場合でも先にリアフレーム接続部5bが折れ曲がり、バッテリ設置部5aの折れ曲がりが回避される。これにより、バッテリ16の損傷が回避されるので、車両が追突された場合でもバッテリ16を保護できる。
【0039】
また、上述したように補強要素がバッテリ設置部5aに形成される突出部5a1あって、バッテリ設置部5aの車両前後方向全域に延びる突出部5a1である場合には、低コストかつ省スペースでバッテリ設置部5aの車両前後方向の剛性をリアフレーム接続部5bよりも高めることができる。
【0040】
また、上述したように補強要素が車両上下方向下方に向けて突出する突出部5a1である場合には、バッテリ設置部5aの上面が平坦な面となるので、バッテリ設置部5aにバッテリ16を安定させて設置することができる。
【0041】
図8は、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造を概略的に示す斜視図である。図9は、図8に示したバッテリ16の搭載構造のIX-IX線断面図であり、図10図8に示したバッテリ16の搭載構造のX-X線断面図である。図8に示すように、バッテリ16は、支持フレーム5に設置される底面に対して車両前後方向前方に向けて漸次低くなる傾斜面16a1a(図9参照)を有する一方、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、ブラケット7を備える。ブラケット7は、バッテリ16が有する傾斜面16a1aに当接する当接面72aを有し、バッテリ16の車両前後方向前方に設置される。例えば、ブラケット7は、車両幅方向においてバッテリ16の車両幅方向外側約3分の1よりも内側に設置される。
【0042】
図9に示すように、バッテリ16は、バッテリ16の車両前後方向前方下端に設けられる突片16aに上述した傾斜面16a1aを有する。突片16aは、上述した傾斜面16a1aが設けられる傾斜部分16a1と傾斜部分16a1の端部から下方に延びる直立部分16a2とを有する。直立部分16a2の傾斜部分16a1に接続される端部と反対側の端部は開放され、傾斜部分16a1又は直立部分16a2が車両前後方向前方から押圧されると突片16aはバッテリ側に撓む。
【0043】
ブラケット7は、固定具71と支持具72とを有する。固定具71は、フロントフレーム33に固定されるものであり、例えば、車両前後方向に沿って設けられる。固定具71は、下方が開口した溝形の横断面を有し、その両側にそれぞれフランジ71a,71bが設けられている。また、固定具71の下面にはウェルドナット71cが設けられている。固定具71は、一方のフランジ71aがフロントフレーム33の上段部33aに接合され、他方のフランジ71bがフロントフレーム33の下段部33bに接合されることで、フロントフレーム33に固定される。支持具72は、固定具71に取り付けられてバッテリ16の上述した傾斜面16a1aを支持するものであり、例えば、車両前後方向に沿って設けられる。支持具72は、鈎状であって、先端にバッテリ16の傾斜面16a1aと当接する当接面72a(傾斜面)を有する一方、基端に谷形の折れ曲がり72bを有する。支持具72は、基端側に貫通穴を有し、該貫通穴を挿通するボルト73が固定具71に設けられたウェルドナット71cに嵌合することによって、固定具71に取り付けられる。
【0044】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、ブラケット7の支持具72の先端に有する当接面72a(傾斜面)にバッテリ16の傾斜面16a1aが当接するので、車両が追突され、バッテリ16が車両前後方向前方に押されてもブラケット7がバッテリ16を支持する。これにより、車両が追突されバッテリ16が車両前後方向前方に押されてもバッテリ16を保護できる。
【0045】
また、車両が追突され、バッテリ16が前方に押されても、バッテリ16の突片16aがバッテリ側に撓むので、車両が追突されることでバッテリ16に加えられる衝撃を緩和できる。
【0046】
図8に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、ストッパ8を備える。図10に示すように、ストッパ8は、バッテリ16の車両前後方向前方となる前面と当接する当接面8aを有し,バッテリ16の車両前後方向前方に設置される。例えば、ストッパ8は、車両幅方向においてバッテリ16の車両幅方向外側約5分の1の位置に設置される。
【0047】
図10に示すように、ストッパ8は、車両前後方向後方に向かって延びる腕部と該腕部の先端に設けられ、バッテリ16の車両前後方向前方となる前面に当接する当接部とを有する。腕部の基端には貫通穴が設けられ、フロントフレーム33の上段部33aの上面に設けられたスタッドボルト33a1が該貫通穴に挿通される。そして、貫通穴に挿通されたスタッドボルト33a1にナット81が嵌合することで、フロントフレーム33の上段部33aにストッパ8が固定される。
【0048】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、ストッパの当接面にバッテリ16の前面が当接するので、車両が追突され、バッテリ16が車両前後方向前方に押されてもストッパ8がバッテリ16を支持する。これにより、バッテリ16が車両前後方向前方に飛び出すのを防止できるので、車両が追突されバッテリ16が車両前後方向前方に押されてもバッテリ16を保護できる。
【0049】
図5及び図6に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に補強メンバー6を備える。補強メンバー6は、クロスメンバ3とリアフレーム4との間の間隔を保持するためのものである。補強メンバー6は、バッテリ16が設置される領域を避けて車両幅方向中央よりもやや右側に設置される。補強メンバー6は、横断面が矩形の角筒状の部材であって、一端がフロントフレーム33に接続され、他端がリアフレーム4に接続される。
【0050】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、補強メンバー6がクロスメンバ3とリアフレーム4との間隔を保持するので、車両が追突されても補強メンバー6がクロスメンバ3とリアフレーム4との間隔を保持する。これにより、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に設けられた支持フレーム5に設置されるバッテリ16を保護できる。
【0051】
図8に示すように、本発明の実施形態係るバッテリ16の搭載構造は、一対の支持フレーム5のうち車両幅方向外側の支持フレーム5の前端部にストッパ8が設置される。
【0052】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、支持フレーム5の車両前後方向延長線上にストッパ8が設置されるので、車両が追突され、バッテリ16が車両前後方向前方に押された場合にストッパ8がバッテリ16を効率的に支持する。これにより、バッテリ16が車両前後方向前方に飛び出すのを効率的に防止できるので、車両が追突されバッテリ16が車両前後方向前方に押されてもバッテリを効率的に保護できる。
【0053】
図8に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、一対の支持フレーム5のうち車両幅方向外側の支持フレーム5よりも車両幅方向内側にブラケット7が設置される。
【0054】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、一対の支持フレーム5のうち車両幅方向外側の支持フレーム5よりも内側においてブラケット7の当接面72aにバッテリ16の傾斜面16a1aが当接するので、車両が追突され、バッテリ16が車両前後方向前方に押されてもブラケット7からバッテリ16への力の入力が抑制される。これにより、車両が追突されバッテリ16が車両前後方向前方に押されてもブラケット7がバッテリ16に侵入するのを防止できる。
【0055】
図8に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造は、上述したブラケット7とストッパ8を備える場合、車両幅方向においてブラケット7がストッパ8よりも内側に設置される。
【0056】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリ16の搭載構造によれば、ブラケット7が補強メンバー6に近づくので、車両が追突された場合でもブラケット7からバッテリ16への力の入力が抑制される。これにより、クロスメンバ3とリアフレーム4との間に設けられた支持フレーム5に設置されるバッテリ16を保護できる。また、車両幅方向においてストッパ8がブラケット7よりも外側に設置されるので、車両が追突され、バッテリ16が車両前後方向前方におされてもストッパ8がバッテリ16を支持するので、ブラケット7からバッテリ16への力の入力が抑制される。これによってもクロスメンバ3とリアフレーム4との間に設けられた支持フレーム5に設置されるバッテリ16を保護できる。
【0057】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0058】
1 電池パック
11 バッテリトレー
12 バッテリカバー
13 インレットダクト
15 排気管
16 バッテリ
16a 突片
16a1 傾斜部分
16a1a 傾斜面
16a2 直立部分
17 排煙カバー
19 ファン
2 フロアパネル
3 クロスメンバ
31,32 溝形の部材
33 フロントフレーム
33a 上段部
33a1 スタッドボルト
33b 下段部
33c 段差部
4 リアフレーム
41 ボルト
42 フレームカバー
5 支持フレーム
5a バッテリ設置部
5a1 突出部
5b リアフレーム接続部
6 補強メンバー
7 ブラケット
71 固定具
71a,71b フランジ
71c ウェルドナット
72 支持具
72a 当接面
72b 折れ曲がり
73 ボルト
8 ストッパ
8a 当接面
81 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10