(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】異常対処データ集約システム、異常対処データ集約方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241203BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241203BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20241203BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241203BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G06F3/12 344
G06F3/12 310
G03G21/00 386
G03G21/00 500
G03G21/00 510
B41J29/393 105
B41J29/38 301
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2020142544
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マジュンダー タンモイ
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-061187(JP,A)
【文献】特開2012-078795(JP,A)
【文献】特開2020-019206(JP,A)
【文献】特開2013-247658(JP,A)
【文献】特開2003-110786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
G03G21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段と、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得し、取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして前記記憶手段に記憶保持させる取得手段と、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶手段により記憶されている前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記異常解決データを出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とする異常対処データ集約システム。
【請求項2】
前記対処情報には、対処時における注意事項が含まれる、請求項1記載の異常対処データ集約システム。
【請求項3】
前記異常画像データは、前記出力画像から前記画質異常の検出部分を抽出した画像のデータであることを特徴とする請求項1又は2記載の異常対処データ集約システム。
【請求項4】
前記対処情報には、前記画質異常を解決する処理手順に係る情報が含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項5】
前記対処情報には、前記画質異常の発生部位に係る情報が含まれることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項6】
前記対処情報には、前記画質異常を生じる前記画像形成装置の問題点についての説明が含まれることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項7】
外部からの前記対処情報の出力要求に対する出力可否を判断する第1認証手段を備えることを特徴とする請求項
1~6のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項8】
前記記憶手段により記憶されている前記対処情報の編集を受け付ける編集手段と、
前記編集手段による前記編集の受付可否を判断する第2認証手段と、
を備えることを特徴とする請求項
1~7のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項9】
前記対処情報には、前記画質異常を解決する処理手順に係る情報と、当該処理手順の難易度に係る情報とが含まれ、
前記出力手段は、前記難易度が所定の基準より低い場合には、前記画像形成装置のユーザーによって対処が可能であることを示唆する出力を行う
ことを特徴とする請求項
1~8のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項10】
前記対処情報には、前記画質異常を解決する処理手順に係る情報と、当該処理手順の難易度に係る情報とが含まれ、
前記出力手段は、前記難易度が所定の基準より高い場合には、専門の担当者への対処の依頼を示唆する出力を行う
ことを特徴とする請求項
1~9のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項11】
前記出力手段が出力した前記対処情報を画像形成用データに変換する変換手段を備えることを特徴とする請求項
1~10のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システム。
【請求項12】
異常対処データ集約システムの制御部により実行される異常対処データ集約方法であって、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得する取得ステップ、
取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして記憶保持する記憶ステップ、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶ステップで記憶された前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択ステップ、
前記選択ステップで選択された前記異常解決データを出力する出力ステップ、
を含み、
前記出力ステップでは、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とする異常対処データ集約方法。
【請求項13】
コンピューターを、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得する取得手段、
取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして記憶保持する記憶手段、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶手段により記憶されている前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択手段、
前記選択手段により選択された前記異常解決データを出力する出力手段、
として機能させ、
前記出力手段は、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異常対処データ集約システム、異常対処データ集約方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に色材を付与して各種画像などを形成する画像形成装置がある。画像形成装置では、各部の異常が生じると、正常な画質で画像が形成されなく成り得る。この場合、ユーザー、画像形成装置の管理者、又はメンテナンス業者などが異常の原因を判別して対処する必要がある。特許文献1には、画像形成装置において画質異常の原因及びメンテナンス方法を表示部に表示させて、対処を容易にする技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異常の原因や内容は多彩で、対処する者の経験や知識によっては対応が難しかったり、更には、原因が絞り込めなかったりする場合がある。これにより、最終的に十分な知識や経験を有する者による判断や対処が得られるまでに長い時間と手間を要する場合があるという課題があった。
【0005】
この発明の目的は、画質異常に対してより迅速かつ手間をかけずに解決策を得やすくなる異常対処データ集約システム、異常対処データ集約方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
記憶手段と、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得し、取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして前記記憶手段に記憶保持させる取得手段と、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶手段により記憶されている前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記異常解決データを出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とする異常対処データ集約システムである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、対処時における注意事項が含まれる、ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記異常画像データは、前記出力画像から前記画質異常の検出部分を抽出した画像のデータであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、前記画質異常を解決するい処理手順に係る情報が含まれることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、前記画質異常の発生部位に係る情報が含まれることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、前記画質異常を生じる前記画像形成装置の問題点についての説明が含まれることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
外部からの前記対処情報の出力要求に対する出力可否を判断する第1認証手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記記憶手段により記憶されている前記対処情報の編集を受け付ける編集手段と、
前記編集手段による前記編集の受付可否を判断する第2認証手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、前記画質異常を解決する処理手順に係る情報と、当該処理手順の難易度に係る情報とが含まれ、
前記出力手段は、前記難易度が所定の基準より低い場合には、前記画像形成装置のユーザーによって対処が可能であることを示唆する出力を行う
ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項1~9のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記対処情報には、前記画質異常を解決する処理手順に係る情報と、当該処理手順の難易度に係る情報とが含まれ、
前記出力手段は、前記難易度が所定の基準より高い場合には、専門の担当者への対処の依頼を示唆する出力を行う
ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載の異常対処データ集約システムにおいて、
前記出力手段が出力した前記対処情報を画像形成用データに変換する変換手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、
異常対処データ集約システムの制御部により実行される異常対処データ集約方法であって、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得する取得ステップ、
取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして記憶保持する記憶ステップ、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶ステップで記憶された前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択ステップ、
前記選択ステップで選択された前記異常解決データを出力する出力ステップ、
を含み、
前記出力ステップでは、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とする異常対処データ集約方法である。
【0020】
また、請求項13記載の発明は、
コンピューターを、
画像形成装置で発生した画質異常を解決するための対処情報と、前記画像形成装置による前記画質異常を含む出力画像に係る異常画像データとを取得する取得手段、
取得された前記対処情報と前記異常画像データとを対応付けて異常解決データとして記憶保持する記憶手段、
画像形成装置で発生した画質異常を含む出力画像に係る前記異常画像データと、前記記憶手段により記憶されている前記異常解決データに含まれる前記異常画像データとを比較して、互いに類似する前記画質異常に係る前記異常解決データを選択する選択手段、
前記選択手段により選択された前記異常解決データを出力する出力手段、
として機能させ、
前記出力手段は、複数の前記異常解決データが選択された場合に、前記画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で前記異常解決データを配列したリストデータを出力する
ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従うと、画像形成装置で発生した画質異常に対してより迅速かつ手間をかけずに解決策を得やすくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置の表示部により一覧表示される異常の検出状況の表示画面の例を示す図である。
【
図4】解決レポートの入力画面の表示例を示す図である。
【
図5】異常解決時の解決レポート登録までの処理の流れを示す図である。
【
図6】画像形成装置で実行される画質検査制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】解決レポートの表示について説明する図である。
【
図8】画像形成装置で画質異常が生じた場合の類似件の表示について説明する図である。
【
図9】画質検査制御処理の制御手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図10】レポート編集制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の異常対処データ集約システムである画像形成システム1の構成図である。
【0024】
画像形成システム1は、画像形成装置100と、端末装置200、300と、サーバー装置400と、データベース装置500などを備え、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。画像形成装置100は、形成対象の画像データに基づいて、媒体上に画像を形成する動作を行う。形成対象の画像データは、外部から取得されてもよいし、あるいは、自身で読み取って生成したものであってもよい。すなわち、画像形成装置100は、複写機能を有していてもよい。端末装置200は、画像形成装置100により画像を形成させる命令をジョブデータ(画像形成命令)として画像形成装置100に出力するPC(Personal Computer)などである。ジョブデータには、形成対象の画像データと、画像形成に係る各種設定、例えば、出力サイズ、出力方向、出力枚数、カラー画像形成の有無、予め設定された各種画像形成モードの選択データなどのうち一部又は全部が含まれ得る。なお、形成対象の画像データは、ジョブデータ内に直接含まれず、ポインターやリンクなどで指定されてもよい。サーバー装置400及びデータベース装置500に対して、画像形成装置100及び端末装置200は、それぞれ複数台あってもよい。
【0025】
端末装置300は、画像形成装置100の専門のメンテナンス担当者などが携帯可能なものであり、例えば、ノートPC、タブレット端末、スマートフォンなどである。また、端末装置300には、上記メンテナンス担当者が職場や自宅などからアクセス可能な各種PCなどが含まれていてもよい。端末装置300は、制御部310と、記憶部320と、通信部330と、表示部351と、操作受付部352などを備える。制御部310は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などを有する。制御部310は、端末装置300の全体動作を統括制御する。記憶部320は、プログラム321と、各種設定データなどを記憶する。プログラム321は、サーバー装置400とアクセスして画像形成装置100の画像形成における画質異常に係るデータの送受信を行うプログラムを含む。通信部330は、外部機器との通信を行い、これを制御する。通信部330は、例えば、無線LANに係る通信規格に従って通信を制御する。表示部351は、文字を含む画像を表示可能な表示画面を有し、制御部310の制御に基づいて各種表示を行う。表示画面は、例えば、液晶表示画面である。操作受付部352は、ユーザーなどによる外部入力操作を受け付けて入力信号として制御部310に出力する。操作受付部352は、例えば、キーボード、各種ポインティングデバイス、及び/又は表示画面に重なって位置するタッチパネルなどを有する。
【0026】
サーバー装置400は、画像形成装置100で発生した画質異常を解決した際に生成された解決レポート(対処情報)のデータと、当該画質異常を含む形成画像に係る異常検出画像データ(異常画像データ)を外部から取得して、これらを異常解決データとして対応付けてデータベース装置500に記憶させる。また、サーバー装置400は、異常検出画像データに基づいて類似する登録済みの解決レポートを検索して、検索情報を出力する。
【0027】
サーバー装置400は、例えば、通常のPC(プログラムを実行するコンピューター)であってもよい。サーバー装置400は、制御部410と、記憶部420と、通信部430と、表示部451と、操作受付部452などを備える。制御部410は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などを有する。制御部410は、サーバー装置400の全体動作を統括制御する。記憶部420は、プログラム421と、各種設定データなどを記憶する。プログラム421は、画像形成装置100や端末装置300などとアクセスして画像形成装置100の画像形成における画質異常に係るデータの送受信を行うプログラムを含む。通信部330は、外部機器との通信を行い、これを制御する。通信部330は、例えば、無線LANに係る通信規格に従って通信を制御する。表示部351は、文字を含む画像を表示可能な表示画面を有し、制御部310の制御に基づいて各種表示を行う。表示画面は、例えば、液晶表示画面である。操作受付部352は、ユーザーなどによる外部入力操作を受け付けて入力信号として制御部310に出力する。操作受付部352は、例えば、キーボードやマウスなどの各種ポインティングデバイスを含む。
【0028】
データベース装置500は、異常解決データ記憶部510(記憶手段)を有する。異常解決データ記憶部510には、サーバー装置400から入力された上記異常解決データを記憶保持する。
【0029】
図2は、画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、制御部10と、記憶部20と、通信部30と、入出力インターフェイス40(I/O)と、表示部51と、操作受付部52と、形成動作部60と、画像読取部70などを備える。
【0030】
制御部10は、画像形成装置100の全体動作を統括制御するコントローラーである。制御部10は、CPU11(Central Processing Unit、ハードウェアプロセッサー)と、RAM12(Random Access Memory)を有する。CPU11は、各種演算処理を行う。RAM12は、CPU11に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12には、例えば、ジョブリスト121などが記憶される。制御部10は、ジョブリスト121に従って順番に画像形成動作を行い、また、画像形成に係る異常検出及びその検出結果の表示などに係る処理を行う。
【0031】
記憶部20は、例えば、大容量の一時データを記憶する揮発性メモリー(DRAMなど)と、電力供給状況によらずに保持される生成データ、設定データ及びプログラム23を記憶する不揮発性メモリー及び/又はHDD(Hard Disk Drive)などを有する。不揮発性メモリーは、例えば、フラッシュメモリーなど(SSD(Solid State Drive)を含む)である。一時データとしては、例えば、各画像の形成に係るジョブデータ21及びその処理データが含まれる。生成データとしては、例えば、異常検出画像データ22及びその元となる出力画像の撮像データなどが含まれる。プログラム23は、後述の画像形成制御処理を制御部10に実行、制御させるためのプログラムを含む。
【0032】
通信部30は、外部機器とのネットワークを介したデータの送受信を制御する。通信部30は、所定の通信規格、例えば、TCP/IPなどのプロトコルに従ってデータの送受信の制御動作を行うネットワークカードなどを有する。
【0033】
入出力インターフェイス40は、周辺機器などと接続してデータの送受信を行うためのインターフェイスである。入出力インターフェイス40は、例えば、USB端子などを有し、対応する通信規格に従ったデータの送受信を可能とする。
【0034】
入出力インターフェイス40には、ここでは、表示部51と、操作受付部52などが接続されている。表示部51は、制御部10の制御に基づいて、画像形成動作に係るステータスやメニュー、所定の報知内容などを表示させる表示画面を有する。また、表示部51は、所定の報知動作を行うためのLEDランプなどを有していてもよい。操作受付部52は、ユーザーなどの外部からの入力操作を受け付けて、入力信号として制御部10に出力する。操作受付部52は、例えば、表示画面に重なって位置するタッチパネル、押しボタンスイッチ、ロッカースイッチ、スライドスイッチ、テンキーやキーボードの一部又は全部などを有している。
【0035】
形成動作部60は、ジョブデータ21で指定されて形成対象とされる画像データに基づいて、記録媒体(媒体)上に画像(出力画像)を形成する動作を行う。形成動作部60は、特には限られないが、電子写真方式により、所定速度で搬送される記録媒体上にトナーを付与して定着させる動作を行う。記録媒体は、特には限られないが、各種印刷用紙であって、厚さやコーティングの有無などによって形成動作部60の動作が調整されてよい。
【0036】
画像読取部70は、記録媒体の表面を撮像して撮像データを生成する。画像読取部70は、例えば、RGB各色で撮像を行うラインセンサーを有し、形成動作部60による画像形成動作位置を通過して搬送される記録媒体の表面を順次撮像することで二次元画像データ(撮像データ)を生成する。形成動作部60により記録媒体の表面に画像が形成されている場合には、形成された画像の撮像データが得られる。
【0037】
次に、本実施形態の画像形成装置100における形成画像の異常検出動作について説明する。画像形成装置100では、所定の命令により、対象画像データに基づいて形成動作部60により画像形成が行われると、形成された画像(形成画像)を画像読取部70により読み取って撮像データを生成する。そして、対象画像データと撮像データとの差異に基づいて、撮像データから画像形成動作時に生じた異常部分を検出、特定する。異常としては、例えば、色材の不適切な付着(異物などによる付着異常個所の発生、形成動作部60の動作異常に応じた汚れや欠損)、記録媒体を移動させる搬送ローラーなどによる局所的な汚れ、定着不良による剥離などが挙げられる。上記差異の検出のために、対象画像データのフォーマットや解像度などを適宜撮像データに合わせる処理を行ってもよい。撮像データのうち検出された異常部分(画質異常の検出部分)のみ(ここでいう「のみ」には、検出精度などを考慮して、微小幅の周囲領域が含まれていてもよい)を抽出して当該異常の発生位置に示す異常検出画像データ22が生成される。
【0038】
図3は、画像形成装置100の表示部51により一覧表示される異常の検出状況の表示画面W1の例を示す図である。
【0039】
この一覧表示の表示画面W1では、例えば、3つの画像についての異常検出状況が示されている。各ファイル名及び画像形成日時(すなわち、撮像データ及び異常検出画像データ22の作成日時)に関連付けられて、撮像画像F1と異常検出画像F2とが容易に比較可能に並んで示されている。ここでは、ファイルAについては異常が検出されておらず、異常検出画像は全面白色である。ファイルB及びファイルCについては、撮像画像中から検出された異常が抽出されて、異常検出画像に示されている。ファイルBについては、黒のドット及び線が生じており、ファイルCについては、縦筋が生じている。
【0040】
表示画面W1では、これらの画像の表示欄に加えて、解決方法と表示された欄(列)と、入力と表示された欄(列)が示されている。解決方法の欄には、「見る」と表示された操作ボタンB1が示されており、入力の欄には、「編集」と表示された操作ボタンB2が示されている。
【0041】
解決方法の欄は、異常が検出された場合に当該異常を解決するための方策を閲覧するためのものである。したがって、ファイルAのように異常が検出されていない場合には、表示がなされない。また、ここでは、異常が検出されているファイルCについても操作ボタンB1の表示がなされていない。関連する異常の解決方法が登録されていない場合には、操作ボタンB1が表示されなくてもよい。なお、後述のように、操作ボタンB1の選択操作がなされてから実際に解決方法の有無を検索する場合には、表示画面W1の表示の際には、解決方法の有無を判断せずに一律に操作ボタンB1を表示させてもよい。
【0042】
入力の欄は、検出された異常に対する解決方法を新たに入力又は入力済みの解決方法について補足訂正などを行う場合のものである。したがって、ファイルAのように異常が検出されていない場合には、表示がなされない。
【0043】
次に、画質異常の解決について説明する。
上記のように、画質異常には、画像形成装置100のハードウェア上の異常が影響しやすく、これらの解決には、人の手によるメンテナンス処理や部品の交換などの対処がしばしば必要になる。これらの対処には、まず、画質の異常内容から実行されるべきメンテナンス内容を判断する必要がある。また、実行されるべきメンテナンス内容にも、一般の画像形成装置100のユーザーでも容易に可能なものから、ある程度の専門知識及び技術が必要なものまである。
【0044】
画質の異常内容からメンテナンス内容を判断するための知識量には、画像形成装置100の一般ユーザー、管理者、メンテナンス業者の新人から熟達者まで知識や技術の幅がとても広く、知識量の多い少数の者に毎回問い合わせていては負担が大きい。本実施形態の画像形成システム1では、メンテナンス業者(特に、知識の多い熟達者などの一部に限定してもよい)により画像形成装置100の異常が解決された場合に、対処した者に対して解決方法に係るレポート(解決レポート)の入力を要求する。入力された解決レポートは、サーバー装置400が異常検出画像データと対応付けて取得し、データベース装置500に集約して記憶させる。そして、画像形成装置100で画質異常が生じた場合に、一般ユーザー、管理者、メンテナンス会社の相談受付窓口の担当者や未熟なメンテナンス担当者などがレポートを検索することで、適切な異常の解決手順を知得することが可能となる。
【0045】
図4は、解決レポートの入力画面の表示例を示す図である。
図4(a)に示すように、上記表示画面W1で操作ボタンB2が選択操作された場合には、まず、認証画面W2を表示させて、レポートの入力適格者であるか否かの認証を行う。これにより、質の低いデータの入力を排除することができる。
【0046】
入力適格者の認証がなされると、
図4(b)に示すように、解決レポートの入力画面W3が表示されて、予め設定された各項目への入力が可能になる。なお、画像形成装置100の表示画面にこの入力画面W3が表示されている場合など、メンテナンス担当者が十分な入力時間を確保しづらい場合には、所定の保存動作によりレポートの番号(識別情報)と異常検出画像データとの対応付けのみが行われて、後に改めて当該レポートの識別情報に基づいて別途端末装置300などから各項目の入力が可能とされてよい。なお、識別情報が画像形成装置100とは独立にサーバー装置400で付与される場合には、当初の入力欄にはレポートの番号が表示されなくてよい。
【0047】
解決レポートの入力項目には、例えば、用紙サイズ、用紙タイプ、トナー種別、異常発生色、プリンター機種、問題の内容(問題点についての説明)、問題発生部位、解決手順(処理手順)、注意事項、難易度、交換部品などが含まれる。用紙サイズは、通常のA版B版などの各サイズに加えて、はがき、封筒などの変形サイズが含まれていてもよい。用紙タイプは、普通紙、上質紙、コーティング紙などに加えて、裏紙などの使用上の種別が含まれていてもよい。これら及びトナー種別、異常発生色、プリンター機種などは、必ずしも発生した異常に特有の要因であるとは限らないので、参考情報とされてよい。
【0048】
問題の内容及び問題発生部位は、判断の結果及び解決により確定した内容が記録される。すなわち、当初の判断の結果が誤っていた場合には、最終的に正しく認識された内容及び部位が記録されればよい。なお、試行錯誤などにより異常は解消されたものの、結局原因が不明であった場合などには、レポートの作成が行われなくてもよい。
【0049】
解決手順の記載方法は、特には限られないが、処理ステップごとに箇条書きなどで示されるとよい。また、解決手順には、対象箇所の写真などの画像を付すことができる。上述のように、画像データのアップロードを他の処理より後に別個に行うことが可能であってもよい。なお、画像データは、画質異常への対処時のものである必要はなく、一部又は全部が後ほど又は予め他の用途などで、正常に動作する画像形成装置などで撮影されたものであってもよい。
【0050】
注意事項は、記録する担当者の主観に基づいて記載されてよく、例えば、ミスをしやすい部分、間違えやすい部分の他、作業時に必要な工具などが挙げられる。特になければ記載がなくてもよいし、「なし」などと記載されてもよい。
【0051】
難易度は、知識量や技術量に基づいてどの程度のレベルの者が対処可能かを示す。ここでは、任意に記述可能としているが、例えば、プルダウンメニューなどで予め設定された選択肢の中から選択されるものであってもよい。また、予め「容易」が一般ユーザーで可能、「難しい」が熟達者のみ可能、などのように明確に対応付けておき、「容易」、「難しい」などの記載だけで済ませることが可能とされてもよい。
【0052】
交換部品は、対処中に実際に交換された部品を示す。交換部品がない場合には、記載がなくてもよいし、「なし」などと記載されてもよい。
【0053】
この入力画面W3では、右下に更新履歴が表示されている。当初の解決手順よりも効率的な解決手順が判明したり、この解決レポートを見て対処を行ったものが気づいた注意事項があったりした場合などには、随時追記可能とすることで、情報が古くなって役に立たないデータが残るのを抑制することができる。この場合、入力画面には、先に記載された内容も記載される。この内容を他の者が無断で消去すると、トラブルのもとになる場合もあるので、追記を中心とし、また、更新した者が特定できるように履歴が表示されるとよい。また、先に記載した者と同一の者以外は登録済みの記載内容を消去できないこととされてもよい。
【0054】
入力画面W3内の下方に位置する「登録」と表示された操作ボタンB31が選択操作されることで、入力内容がサーバー装置400に送信されて登録される。一方「キャンセル」と表示された操作ボタンB32が選択操作されると、入力内容は消去され、サーバー装置400に送信、登録されない。左下の「エクスポート」と表示された操作ボタンB33が選択操作されると、現在入力中の内容を含むデータがドキュメントデータやPDFデータなどの所定のフォーマットのファイルに変換されて出力される。ファイルフォーマットの変換処理は、画像形成装置100(又は端末装置300)で行われてよいが、サーバー装置400に要求して行わせてもよい。この場合でも、変換処理後にサーバー装置400で入力途中のデータを保持しておく必要はない。
【0055】
端末装置300では、この出力ファイルを再度編集可能に開くことが可能であり、編集後にサーバー装置400に送信され得る。これにより、異常解決の担当者は、例えば、画質異常の解決直後には忘れない程度のメモを入力し、その後落ち着いてから適正な文章として書き直し、また、状況によっては画像データなどを付加することができる。このような入力では、最終的に読みやすい解決レポートを登録することが可能となり、後に検索、閲覧された場合に役に立てられやすくなる。
なお、エクスポートされたファイルを編集するには、専用のプログラム(アプリケーションソフトウェア)が必要であってもよいし、出力されたフォーマットデータを汎用エディターなどで直接編集が可能であってもよい。
【0056】
図5は、異常解決時の解決レポート登録までの処理の流れを示す図である。なお、左側の担当者の処理は、画像形成装置の表示内容を担当者が視認して直接対応する場合と、担当者が手元の端末装置を介して出力を取得し、また、入力を行う場合とを含む。
【0057】
図5(a)のシーケンス図に示すように、画像形成装置100で画質の異常が検出されると、画像形成装置100で画質異常が検出された旨を示す情報が表示部に表示される。表示部は、画像形成装置100の表示部51だけではなく、端末装置300の表示部であってもよい。両方の表示部で同時に表示が可能であってもよい。端末装置300は、画像形成装置100に直接アクセス可能であってもよいし、サーバー装置400にアクセスして間接的に画像形成装置100の画質異常に係る情報を要求してもよい。後者の場合には、サーバー装置400が画像形成装置100の異常に係る情報を取得し、端末装置300は、当該サーバー装置400から画質異常に係る情報を得て表示部351により表示させる。
【0058】
担当者は、表示された異常検出画像に基づいて異常の原因を判断し、当該原因に対する適切な対処を行う。対処の結果、画像形成装置で異常が解消されたと確認された場合には、画像形成装置100から解決レポートの入力が要求される。要求に対して、担当者が入力を行い、その登録操作が行われると、入力及び登録の操作が画像形成装置100に対して行われた場合には、当該画像形成装置100が入力データをサーバー装置400に送信する。登録操作が端末装置300に対して行われた場合には、端末装置300から直接入力データがサーバー装置400に送信される。
【0059】
サーバー装置400は、解決レポートのデータが受信されると、このデータをデータベース装置500に送信し、異常解決データ記憶部510に記憶させて登録する。解決レポートには識別情報(ここでは番号)が付与される。解決レポートの内容は、データベースの種類に応じて、後に固有の識別情報に応じて再構成可能に、項目ごとに分解されて記憶されてもよい。
【0060】
図5(b)は、サーバー装置400で実行されるレポート登録処理の制御手順を示すフローチャートである。このレポート登録処理は、画像形成装置100から解決レポートのデータが受信されるごとに起動される。
【0061】
レポート登録処理が開始されると、制御部410(CPU)は、受信した解決レポートのデータを取得する(ステップS401;取得手段、取得ステップ)。制御部410は、取得した解決レポートのデータをデータベース装置500に出力し、異常解決データ記憶部510に記憶させる(ステップS402;記憶手段、記憶ステップ、編集手段)。このとき、解決レポートに識別情報が付与されていない場合には、制御部410は、解決レポートに識別情報を付与してよい。そして、制御部410は、レポート登録処理を終了する。
【0062】
図6は、画像形成装置100で実行される画質検査制御処理の制御部10(CPU11)による制御手順を示すフローチャートである。
この画質検査制御処理は、画像形成装置100において、例えば、多数の同一画像の形成を開始する前や所定枚数の形成ごとに呼び出されて起動される。また、多数の同一画像の形成中に、担当者が目視で画質異常に気付いた場合に所定の入力操作に基づいて開始されてもよい。これにより、不良部分を含む形成画像の廃棄ややり直しなどによるコストや時間の低減を図る。
【0063】
制御部10(CPU11)は、画像形成対象の画像データを取得し、形成動作部60の駆動動作に応じた処理を行う(ステップS101)。制御部10は、形成動作部60により対象画像の画像形成を行わせる(ステップS102)。制御部10は、形成された記録媒体上の画像を画像読取部70により読み取らせて撮像データを生成する(ステップS103)。
【0064】
制御部10は、撮像データと対象画像データとを比較して、差異が生じている部分について異常として検出する(ステップS104)。制御部10は、上記差異の部分を抽出した異常検出画像データ22を生成する(ステップS105)。
【0065】
制御部10は、異常検出の結果異常があったか否かを判別する(ステップS106)。異常がなかったと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、制御部10は、画質検査制御処理を終了する。制御部10は、表示画面W1におけるファイルAのように、終了前に異常がなかった旨を示す所定の出力を行ってよい。
【0066】
異常があったと判別された場合には(ステップS106で“YES”)、制御部10は、適宜異常があった旨の表示を表示部51により行わせ、担当者による異常への対処の終了を待ち受ける。制御部10は、異常への対処が終了したか否かを判別する(ステップS107)。制御部10は、例えば、操作受付部52などにより異常への対処が終了した旨の入力がなされたり、同一画像の画像形成動作を再度行う命令を取得したりした場合に、異常への対処が終了したものと判別する。異常への対処が終了していないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、制御部10は、ステップS107の処理を繰り返す。
【0067】
異常への対処が終了したと判別された場合には(ステップS107で“YES”)、制御部10は、現在保持している画像形成対象データに基づいて形成動作部60により再度画像形成動作を行わせる(ステップS108)。制御部10は、形成された画像を画像読取部70により読み取らせ、撮像データを生成する(ステップS109)。制御部10は、異常対処後の撮像データと対象画像データとを比較して異常の検出を行う(ステップS110)。
【0068】
制御部10は、検出の結果、異常があったか否かを判別する(ステップS111)。異常があったと判別された場合には(ステップS111で“YES”)、制御部10の処理は、ステップS107へ戻る。異常がなかったと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、制御部10は、解決レポートの入力要求を行う画面へ移行し、解決レポートの編集に係る認証情報を要求する(ステップS112)。なお、ステップS112の処理への移行は、入力画面W3などで操作ボタンB2が押下された場合のみに限定されてもよい。
【0069】
制御部10は、認証情報の入力を待ち受けて、正常に認証されたか否か(編集の受付可否)を判別する(ステップS113;第2認証手段)。正常に認証されなかったと判別された場合には(ステップS113で“NO”)、制御部10は、画質検査制御処理を終了する。
【0070】
正常に認証されたと判別された場合には(ステップS113で“YES”)、制御部10は、解決レポートの入力画面を表示部51により表示させる(ステップS114)。制御部10は、入力された内容を随時表示画面内の表示に反映させてよい。制御部10は、入力の終了操作が受け付けられたか否かを判別する(ステップS115)。受け付けられたと判別された場合には(ステップS115で“YES”)、現在の表示内容を破棄して画質検査制御処理を終了する。
【0071】
終了操作が受け付けられていないと判別された場合には(ステップS115で“NO”)、制御部10は、入力内容の登録操作が受け付けられたか否かを判別する(ステップS116)登録操作が受け付けられていないと判別された場合には(ステップS116で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS115に戻る。登録操作が受け付けられたと判別された場合には(ステップS116で“YES”)、制御部10は、新規入力画面に対して入力操作がなされた内容を新規な解決レポートデータとしてサーバー装置400に送信する(ステップS117)。なお、登録操作の受付時に画像形成装置100とサーバー装置400との通信接続が切断されている場合には、送信対象データを一時記憶して保持し、接続が再開された以降の適宜なタイミングでサーバー装置400に送信されればよい。また、上述のようにエクスポートされた場合には、出力データの編集後にサーバー装置400に再接続された端末装置300などから適宜なタイミングでサーバー装置400へ送信されればよい。
【0072】
このように、画像形成装置100による画質異常の解決に係る情報をサーバー装置400が一元的に管理することで、知識の散逸を防ぎ、容易に利用可能とすることができる。
【0073】
次に、上記のように集約された解決レポートの利用について説明する。
図7は、解決レポートの表示について説明する図である。
【0074】
上記したように、異常検出画像の一覧表示画面において、解決方法欄の「見る」を示す操作ボタンB1が選択操作されると、画像形成装置100は、対象の異常検出画像データ22に類似する異常に係る解決レポートのリストをサーバー装置400に出力要求し、取得して一覧表示させることができる。
【0075】
解決レポートの表示(サーバー装置400からの出力)に際しても、解決レポートの作成、編集時と同様に認証を要求してもよい。この場合の認証情報は、解決レポートの作成、編集に係る認証情報と異なっていてもよく、また、異常対処を行う可能性のある者に対して広く公開可能としてもよい。例えば、解決レポートの作成の対象ではない新人などの未熟なメンテナンス業者や、ユーザーからの電話などでの問い合わせを受けて手元の端末装置300などで一覧表示を行わせる受付担当者(自身では対処しない者)なども閲覧可能とされてよい。また、画像形成装置100のユーザー及び/又は管理者が広く利用可能であってもよい。あるいは、画像形成装置100からは、ユーザーによる認証情報の入力を経ずに解決方法が自由に閲覧可能であってもよい。
【0076】
操作ボタンB1が選択操作されると、表示画面には、得られている異常検出画像と類似する異常検出画像に対応付けられた解決手順が一覧表示された表示画面W4が示される。
図7(a)では、17件の検索結果がスクロールにより表示可能になっている。この場合、類似度合を定量的に評価して、類似度合の高い順に一覧表示が可能であってもよい。サーバー装置400から初期データとして類似度合の高い順での解決レポートのリスト(リストデータ)が出力されてもよいし、表示順は、画像形成装置100などの表示側で自由に入替可能であってもよい。また、上述のようにオプション項目である画像形成装置100の種別や記録媒体の種別などに基づいて検索結果を更に絞り込んだり、表示順を入れ替えたりすることが可能であってもよい。
【0077】
この一覧表示の表示画面W4では、検索により抽出された解決レポートに対応する異常検出画像F3と、解決手順の抜粋とが表示されている。表示画面の右側には、画像形成装置100で現在生じている異常に係る異常検出画像F2が併せて表示されることで、これに類似する異常検出画像F3を選択しやすくしている。
【0078】
各解決レポートには、「詳細」と示された操作ボタンB3がそれぞれ表示されており、これらのうちいずれかが選択操作されることで、選択された解決レポートの詳細内容が表示される。また、この一覧表示の表示画面W4にも「編集」と示された操作ボタンB2が示されているが、操作ボタンB2の操作受付は、現在の画質異常が解決された場合にのみ可能とされてもよい。
【0079】
詳細内容の表示画面W5では、
図7(b)に示すように、上記の解決レポートの入力画面W3で入力された内容が表示される。異常への対処担当者は、この内容を確認して適切な解決レポートか否かを判断する。なお、一覧表示で上位に位置する解決レポートのいずれが最適か判断しづらいような場合には、「前へ」と示された操作ボタンB4及び「次へ」と示された操作ボタンB5の選択操作により、順番に表示させていってもよい。また、いずれの解決レポートも現在の異常に該当しないと判断された場合には、「キャンセル」と示された操作ボタンB6などにより表示を取り消し、独力などで解決を試みてもよい。
【0080】
また、この表示画面W5には、「印刷」と示された操作ボタンB7が表示されている。この操作ボタンB7の選択操作により、表示されている解決レポートの内容が画像形成用データに変換されて、画像形成装置100の形成動作部60により画像形成されて出力される。異常の原因によっては、対処の際に画像形成装置100への電力供給を一度停止する必要する場合があり、この間、表示部51による表示内容を見ながら対処を行うことができない。解決手順を画像形成して出力しておくことで、出力された媒体を見ながら対処を行うことができる。このときの出力にも画質の異常が生じる場合があるが、この場合には内容が認識できればよい。
【0081】
解決レポートのいずれが現在の画質異常に対応するかの判断がなされると、対処担当者は、難易度や交換部品などを見て自身がその場で対処可能であるかを判断し、必要に応じて対処可能なレベルの者にコンタクトしたり、交換部品を調達したりすることができる。なお、上述のように、解決レポートを見ることのできる範囲よりも記入可能な範囲が狭いので、難易度の表示において対処すべき者のレベルが明示されていない場合、慣れない画像形成装置100のユーザーであっても画像形成装置100のユーザー自身での対処が推奨されるか、どのレベルの専門メンテナンス業者に依頼すべきかが分かりやすいように、それぞれを示唆する表示に調整されてもよい。
また、相談窓口の受付担当者が該当する解決レポートを選択した場合には、当該受付担当者が、ユーザー(問い合わせ人)に説明して自身で対処を行わせるか、可能なレベルの担当者に担当させるかを決定することができる。すなわち、この場合には適切な技術及び知識レベルの担当者に速やかに作業を割り当てることができるので、必要以上にたらいまわしされたり、熟達者に過剰な負荷がかかったりするのを抑制することができる。
【0082】
図8は、画像形成装置100で画質異常が生じた場合の類似件の表示について説明する図である。
図8(a)は、画像形成装置100で画質異常が生じた場合に行われるデータの送受信について説明する図である。
図8(b)は、サーバー装置400で実行される類似件検索処理の制御部410による制御手順を示すフローチャートである。
【0083】
表示が端末装置300でなされる場合には、
図5(a)に示した場合と同様に、端末装置300は、画像形成装置100に直接アクセス可能であってもよいし、サーバー装置400にアクセスして画像形成装置100の画質異常に係る情報を要求してもよい。
【0084】
画質異常が検出されたことを示す表示がなされて、担当者により当該画質異常に類似する異常に対する解決レポートの要求が取得されると、画像形成装置100からは、サーバー装置400に対し、異常検出画像データ22が送信されるとともに、異常検出画像に類似するパターンの異常に係る解決レポートの検索要求がなされる。
【0085】
サーバー装置400は、データベース装置500にアクセスして、異常検出画像に類似するパターンの異常の検索処理を行う。検索処理は、例えば、各種画像処理などにより行われ得るが、要求があるごとに今回取得された異常検出画像データと記憶されている全ての異常検出画像データとの比較処理を行うと処理時間が長くなるので、予め特徴量などに基づいて特徴量が数値化、例えば、多次元ベクトルなどが算出されているとよい。数値の類似度合(多次元ベクトル間の相対距離など)に応じて、所定の基準以上類似するパターンの異常検出画像を抽出し、当該異常検出画像に対応する解決レポートを抽出する。画像形成装置100又は端末装置300での表示内容に係る表示データは、所定のフォーマットでサーバー装置400により生成されて出力され、画像形成装置100又は端末装置300では、受信した表示データを単に表示させればよいだけであってもよい。
【0086】
担当者は、表示内容から現在の画質異常に対応すると判断した件(対応件)を選択操作する。選択操作が画像形成装置100又は端末装置300によって受け付けられると、選択された対応件の詳細表示が表示部により行われる。この詳細表示用データは、一覧表示データとともに予め全てサーバー装置400から取得されていてもよいし、改めて画像形成装置100又は端末装置300からサーバー装置400に要求されて、サーバー装置400により生成された表示データが画像形成装置100又は端末装置300により取得、表示されてもよい。
【0087】
異常への対処がなされると、画像形成装置100では、異常の解消確認が行われる。その後の解決レポートの作成などに関しては、引き続き
図5(a)で示した流れに移行してよい。
【0088】
図8(b)に示す類似件検索処理は、上記のように、画像形成装置100又は端末装置300から操作ボタンB1の選択操作に応じた検索要求が必要に応じて異常検出画像データともに受信された場合に起動される。
【0089】
類似件検索処理が開始されると、サーバー装置400の制御部410(CPU)は、異常検出画像データを取得する(ステップS411)。制御部410は、異常検出画像データを解析して、特徴を数値化(特徴量を算出)する(ステップS412)。
【0090】
制御部410は、データベース装置500にアクセスし、記憶、登録されている解決レポートのうち、対応画像の特徴量と、算出された特徴量とを比較して、その差(多次元量の場合はユークリッド距離など。単位ベクトルである場合には角度差など)が所定の範囲内にあるもの(すなわち、互いに類似するもの)を抽出(選択)する(ステップS413;選択手段)。制御部410は、異常検出画像データの特徴量と抽出された各解決レポートに係る特徴量との差分が小さい順に配列して、一覧表示の順番を決定する。制御部410は、当該順番で一覧表示の表示用データを所定のフォーマットで生成する(ステップS414)。このとき、制御部410は、併せて抽出された各解決レポートの詳細表示用データも生成してもよい。
【0091】
制御部410は、生成された異常解決データに係る表示用データを要求元の画像形成装置100又は端末装置300に出力する(ステップS415;出力手段)。そして、制御部410は、類似件検索処理を終了する。
【0092】
図9は、上記の解決レポートの表示、選択に係る処理を含む場合の画質検査制御処理の制御部10による制御手順を示すフローチャートである。
この画質検査制御処理では、
図6に示した画質検査制御処理に対して更にステップS130~S142の処理が追加され、ステップS106の処理がステップS106aの処理に置き換えられている。また、ステップS112~S117の各処理のうちステップS112、S113、S115、S116の処理は、ステップS142として示されている後述のレポート編集制御処理(
図10参照)に含まれており、また、ステップS114、S117の処理は、当該レポート編集制御処理内でそれぞれステップS114a、S117aの処理に置き換えられている。その他の処理内容は、両制御処理で同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0093】
ステップS105の処理に続き、制御部10(CPU11)は、異常検出結果の一覧表示に係る表示画面W1を表示させる(ステップS130)。なお、検査直後の表示では、異常検出画像及び検出結果が保持されている全ての対象画像について一覧表示させる必要はなく、検査された対象画像に係る表示のみが行われてもよい。制御部10は、異常がある画像については、「見る」に係る操作ボタンB1と、「編集」に係る操作ボタンB2とを併せて表示させる。それから、制御部10の処理は、ステップS106へ移行する。
【0094】
ステップS106の判別処理で異常があったと判別されて“YES”に移行すると、制御部10は、検出された異常内容の解決に係る表示が選択されたか否か、すなわち、対象画像に係る操作ボタンB1の操作が受け付けられたか否かを判別する(ステップS131)。受け付けられていないと判別された場合には(ステップS131で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS140へ移行する。
【0095】
受け付けられたと判別された場合には(ステップS131で“YES”)、制御部10は、解決方法の表示に係るパスワードを要求する(ステップS132)。制御部10は、パスワードだけでなく認証用のIDの要求を併せて行ってもよい。制御部10は、正常に認証されたか否かを判別(出力可否を判断)する(ステップS133;第1認証手段)。正常に認証されていないと判別された場合には(ステップS133で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS140へ移行する。
【0096】
正常に認証されたと判別された場合には(ステップS133で“YES”)、制御部10は、異常検出画像データ22を含む異常検出データをサーバー装置400に送信し、類似する画質異常及びその解決レポートの検索を要求する(ステップS134)。制御部10は、サーバー装置400からの返信を待ち受けて、返信に含まれる検索結果を取得する。制御部10は、当該検索結果に基づく解決レポート及び対応する異常検出画像の一覧表示を表示部51により行わせる(ステップS135)。それから、制御部10の処理は、ステップS107へ移行する。
【0097】
ステップS107の処理で異常対処がいまだなされていないと判別されて“NO”に分岐すると、制御部10は、いずれかの解決レポートの選択操作(操作ボタンB3の選択操作)が受け付けられたか否かを判別する(ステップS136)。受け付けられていないと判別された場合には(ステップS136で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS107に戻る。
【0098】
解決レポートの選択操作が受け付けられたと判別された場合には(ステップS136で“YES”)、制御部10は、選択された解決レポートの詳細表示を行わせる(ステップS137)。制御部10は、解決レポートの詳細表示内容の印刷命令を受け付けたか否かを判別する(ステップS138)。受け付けていないと判別された場合には(S138で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS107へ戻る。受け付けられたと判別された場合には(ステップS138で“YES”)、制御部10は、解決レポートの詳細表示内容を画像形成用データに変換し(変換手段としての動作)、これを形成動作部60により画像形成させて出力する(ステップS139)。それから、制御部10の処理は、ステップS140へ移行する。
なお、各処理からステップS107又はステップS140の処理へ移行する前に一時的に画像形成装置100への電力供給が中断されてもよい。中断からの復帰後は、自動的にステップS140の処理から本処理が再開されてよい。この場合に再開時に表示される画面は、表示画面W1、W4、W5などのうちいずれかであってもよい。
また、上記では、操作ボタンB4~B6の操作に係る処理を省略しているが、適宜追加されてよい。
【0099】
ステップS140の処理に移行すると、制御部10は、異常に対する対処がなされたか否かを判別する(ステップS140)。判別は、ステップS107と同一の処理により行われてよい。異常対処がなされていないと判別された場合には(ステップS140で“NO”)、制御部10は、ステップS140の処理を繰り返す。異常に対処がなされたと判別された場合には(ステップS140で“YES”)、制御部10の処理は、ステップS108へ移行する。
【0100】
ステップS108~S110の処理の後、ステップS111の判別処理で、異常があったと判別された場合には(ステップS111で“YES”)、制御部10の処理は、ステップS133に戻る。なお、ステップS133に戻った場合の判別処理は、先にステップS132で要求された認証情報に応じた結果に基づいてなされてよく、改めて認証の入力受付及び確認処理が行われなくてもよい。
【0101】
ステップS111の判別処理で異常がないと判別されて“NO”に分岐すると、制御部10は、解決レポートの編集要求に係る操作、すなわち、操作ボタンB2の選択操作がなされたか否かを判別する(ステップS141)。操作ボタンB2は、
図7(a)に示したように、既に登録されている解決レポートの編集に係るものであってもよいし、
図3に示したように、解決レポートを新規登録するためのものであってもよい。
【0102】
操作ボタンB2の選択操作がなされていないと判別された場合には(ステップS141で“NO”)、制御部10は、画質検査制御処理を終了する。操作ボタンB2の選択操作がなされたと判別された場合には(ステップS141で“YES”)、制御部10は、レポート編集制御処理を呼び出して実行する(ステップS142)。
【0103】
図10は、レポート編集制御処理の制御手順を示すフローチャートである。上述のように、レポート編集制御処理におけるステップS112、S113、S115、S116の処理は、いずれも
図6に示した画質検査制御処理での処理内容と同一であり、詳しい説明を省略する。なお、ステップS112の判別処理は、認証情報がステップS133で認証がなされた認証情報と同一であって、かつ編集の権限を有する認証IDであった場合には、改めて認証情報の入力を要求する必要はない。
【0104】
ステップS113の判別処理で、正常に認証されたと判別された場合には(ステップS113で“YES”)、制御部10は、選択された操作ボタンB2に対応する解決レポートの編集画面を表示させる(ステップS114a)。制御部10は、新規登録する解決レポートの編集画面を表示させる場合には、
図4(b)で示したように、全て入力項目が空欄の入力画面W3を表示させる。制御部10は、既に登録済みの解決レポートの編集画面を表示させる場合には、登録内容を記入欄に記載した状態の編集画面を表示させる。
【0105】
ステップS116の判別処理で、解決レポートの登録操作が受け付けられたと判別された場合には、制御部10は、編集された解決レポートのデータをサーバー装置400へ送信する(ステップS117a)。制御部10は、編集された項目のデータのみを選択して送信してもよい。制御部10は、履歴データを自動生成して付加してもよい。なお、履歴データは、サーバー装置400で生成されてもよい。そして、制御部10は、レポート編集制御処理を終了して、処理を画質検査制御処理へ戻す。
【0106】
以上のように、本実施形態の異常対処データ集約システムをなす画像形成システム1のサーバー装置400及びデータベース装置500は、サーバー装置400の制御部410と、異常解決データを保持するデータベース装置500の異常解決データ記憶部510とを備える。制御部410は、取得手段として、画像形成装置100で発生した画質異常を解決するための対処情報と、画像形成装置100による画質異常を含む出力画像に係る異常検出画像データ22とを対応付けて異常解決データとして取得する。異常解決データ記憶部510は、サーバー装置400により取得された異常解決データを記憶保持する。
このように、画像形成装置100のトラブル、特に、各所に存在する多数の画像形成装置100の画質異常の解決情報を一元的に記憶、管理することで、画質異常の発生時に必要な情報を容易に探索して利用ことが可能となる。よって、この異常対処データ集約システム(画像形成システム1)では、画像形成装置100で生じた画質異常に対してより迅速かつ手間をかけずに解決策を得やすくなる。
【0107】
また、サーバー装置400の制御部410は、選択手段として、画像形成装置100で発生した画質異常を含む出力画像に係る異常検出画像データ22と、異常解決データ記憶部510により記憶されている異常解決データに含まれる異常画像データとを比較して、互いに類似する画質異常に係る異常解決データを選択し、出力手段として、上記選択された異常解決データを要求元の画像形成装置100や端末装置300などに出力する。
サーバー装置400がこのような検索能力を有することで、問題が生じた現場や、現場からの問い合わせを受けた担当者などが、容易に原因を推測して対処することが可能となる。また、実際に発生した画質異常の画像データに基づいて類似度合を判断するので、異なる機種の画像形成装置などを跨いで多くの異常解決データを参照することができ、必要な情報にたどりつけない可能性を低減させることができる。
【0108】
また、異常検出画像データ22は、画像形成装置100における記録対象の画像の出力画像から画質異常の検出部分を抽出した画像のデータである。すなわち、本来の出力画像の情報は削除されるので、異常の内容や位置などの情報のみに基づいてぶれなく類似度合の判断を行うことができる。また、画像間での比較も容易である。また、第3者に対して本来の形成対象の内容を開示しないので、セキュリティ上安全である。
【0109】
また、解決レポートには、画質異常の解決手順に係る情報が含まれる。これによりメンテナンス担当者は、記載された手順に従って処理を行えばよいだけなので、容易に対処しやすい。
【0110】
また、解決レポートには、画質異常の発生部位に係る情報が含まれる。部品の多い画像形成装置において発生部位を明確に示すことで、異常への対処をしやすくすることができる。
【0111】
また、解決レポートには、画質異常を生じる画像形成装置の問題点についての説明が含まれる。どのような原因で問題が生じているかを明確にすることで、解決手順中で中心となる処理において、どのような目的でどのように処理を行えばよいかが明確になり、不十分な対処による手間の増大などを低減することができる。
【0112】
また、解決レポートには、対処時における注意事項が含まれる。多数の細かい部品を有し、また、電圧や熱などを発して色材を付与、定着させる画像形成装置では、感電、やけど、汚れ、部品損失などの危険があり、また、部品交換などの場所によっては、工具が必要になる場合もあるので、予め注意喚起しておくことで、安全かつ確実に一度の対処で画質異常を解決することが可能になる。
【0113】
また、制御部410は、出力手段として、複数の異常解決データが選択された場合に、画質異常の内容に対する類似の度合の高い順で異常解決データを配列したリストデータを出力する。異なる原因でも類似する画質異常が生じる場合もあり、このような異常検出画像の場合には、メンテナンスの担当者が適切なものを選択する必要があるが、全てのや解決レポートを確認すると手間がかかる場合もある。可能性が高いものを優先的に上位に配置して一覧表示させることで、担当者が早期に現在の画質異常に一致すると判断できるものを早期に見つけやすくし、残りの解決レポートなどを確認する手間を省略させることができる。
【0114】
また、画像形成システム1は、第1認証手段として、外部からの解決レポートの出力要求に対する出力可否を判断する認証を行う。このような情報は、完全に一般公開する必要はなく、対応する画像形成装置のユーザーやメンテナンス業者などの担当者だけに公開されればよい。したがって、情報の要求の際に認証要求を行うことで、適切に情報を提供することができる。また、画像形成装置100からに限らず、一般の端末装置300からのアクセスを適切に管理、制御することができる。
【0115】
また、画像形成システム1は、編集手段として、異常解決データ記憶部510により記憶されている解決レポートの編集を受け付けることができる。また、この際に、画像形成システム1は、第2認証手段として、上記解決レポートの編集の受付可否を判断してよい。これにより、部外者や知識の少ない者による自己流での対処など、質の低いものや危険な情報などの混入を防ぎ、より確実に適切な情報を出力することができる。また、一度登録してから製品の改良などにより状況が変わった場合、記載し忘れていた情報を追記したい場合、より適切な解決手順が判明した場合などに対応した編集が可能となることで、最初に登録が古くなって早期に無駄になるのを抑制し、また、同時に古くなって不要となった情報が検索されて出力されるのを抑制することができる。
【0116】
また、解決レポートには、解決手順の難易度に係る情報が含まれる。この難易度が所定の基準より低い場合には、画像形成装置100のユーザーによって対処が可能であることを示唆する出力を行う。すなわち、必要以上にメンテナンス業者を呼ぶ必要がなく、メンテナンス業者の負担を軽減するとともに、メンテナンス業者が対処するまでの画像形成装置100の停止時間を短縮することができるので、作業効率が改善される。
【0117】
また、上記難易度が所定の基準より高い場合には、専門の担当者への対処の依頼を示唆する出力を行う。反対に、部品交換などが必要であって、知識や技術の乏しい一般ユーザーが対処するには難しいような場合には、ユーザーが無駄な時間を費やしたり、さらに事故が生じたり画像形成装置100が故障したりするのを抑制し、また、速やかに対処可能なスタッフに連絡を取ることで、メンテナンス業者を効率よく適切に割り振ることができる。
【0118】
また、画像形成装置100の制御部10は、サーバー装置400が出力した解決レポート(異常検出画像を含んでも含まなくてもよい)を画像形成用データに変換する変換手段として動作する。画像形成用データに変換してこれを形成動作部60により画像形成させることで、メンテナンス処理時に画像形成装置100への電力供給を遮断した状態でも担当者がプリントアウトした紙などを見ながら適切に対処することができる。
【0119】
また本実施形態の異常対処データ集約方法は、画像形成装置100で発生した画質異常を解決するための解決レポートと、画像形成装置100による画質異常を含む出力画像に係る異常検出画像データとを対応付けて異常解決データとして取得する取得ステップ、取得された異常解決データを記憶保持する記憶ステップ、を含む。
このように、画像形成装置の画質異常についての異常解決データを集約して記憶保持することで、画質異常が生じた現場にいる者が速やかに最善の判断を行い、効率よく対処可能な者が適正な対処を行うことが可能になる。
【0120】
また、本実施形態のプログラム421は、コンピューターを、画像形成装置100で発生した画質異常を解決するための解決レポートと、画像形成装置100による画質異常を含む出力画像に係る異常検出画像データとを対応付けて異常解決データとして取得する取得手段、取得された異常解決データを記憶保持する記憶手段、として機能させる。
このように、通常のプログラムにプログラムをインストールして制御動作させることで、特殊な構成を必要とせずに容易にインターネットなどを介して多数の画像形成装置における画質異常の解決情報を集約することができる。その結果、画像形成装置で新たな画質異常が発生した場合に、集約した情報からより容易に過去にあった画質異常に基づく情報を取得して、無駄なく対処することが可能になる。
【0121】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、異常検出結果の一覧表示画面において、出力画像と異常検出画像とを並列に並べて表示させたが、直近の結果以外の表示については、出力画像の表示を行わせなくてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、解決レポートをプリントアウト可能としたが、例えば、端末装置300で画像表示可能なフォーマット、例えば、PDFデータに変換し、画像形成させずに当該PDFデータを見ながら対処を行ってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、難易度により一般ユーザーに対処可能か否かが判別できるように定められたが、一般ユーザーの対処可否については、必ずしも難易度として定められなくてもよい。例えば、専用の工具や交換部品が必要な場合、容易ではあるが一般ユーザー自身にやらせるには問題がある場合などもあるので、難易度と切り離して定められてもよい。また、どの程度のレベルのメンテナンス担当者による対処が必要かについては、一般ユーザーが知る必要が必ずしもないので、メンテナンス業者内で判別可能な表現方法で記載されてもよい。
【0124】
また、上記難易度の他、実施の形態で示した解決レポートの入力項目とは異なる入力項目が定められていてもよいし、画質異常を解決可能な範囲で一部が省略されてもよい。また、解決手順などが記入欄に入りきらない場合には、適宜スクロール表示可能とされてよい。この場合、プリント時には、容易に全体が表示可能に整形されるとよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、異常検出画像の特徴量に基づいて類似の度合を算出したが、より一般的なパラメーター、例えば、異常の色の異同、異常の発生したエリアの形状やサイズ、個々の異常の形状やサイズなどを比較して類似度合を算出してもよい。また、算出された類似度合の数値などを一覧表示の表示画面W4などに併せて明示してもよい。また、算出した特徴量同士での比較ではなく、異常検出画像データを直接比較してもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100や端末装置300からの要求に対して、サーバー装置400が異常検出画像データの比較検索を行い、要求に伴って取得された異常検出画像データに類似する異常を有する解決レポートなどを出力するものとして説明したが、単純に端末装置300などからサーバー装置400にリモートアクセスし、担当者などが類似する異常に係る解決レポートを探してもよい。この場合、直接的な探索が容易なように、各解決レポートにインデックスなどが付されてもよい。あるいは、端末装置300から直接データベース装置500にアクセスして検索処理を行うことが可能であってもよい。
【0127】
また、実施の形態において、検索、抽出された解決レポートの一覧表示の表示画面W4において、解決手順の一部を表示させることとしたが、代わりに問題の内容や発生部位を表示させることとしてもよい。
【0128】
また、上記実施の形態では、異常対処データ集約システムとして、サーバー装置400とデータベース装置500を少なくとも含み、これに更に画像形成装置100と端末装置200、300などが含まれるものとして説明したが、このような構成に限られない。例えば、データベース装置500の異常解決データ記憶部510は、サーバー装置400に内蔵された記憶部又は周辺機器として外付けされた記憶部であってもよい。すなわち、異常対処データ集約システムは、単独のサーバー装置400であってもよい。。また、例えば、サーバー装置400と画像形成装置100及び端末装置200、300との間には、やり取りを仲介する中間サーバー装置などが位置していてもよい。また、サーバー装置400が一台に限られず、複数台のサーバー装置が並列的に分散動作してもよい。
【0129】
また、類似件の検索要求及び表示は、画像形成装置100と端末装置300とで同時並列的になされてよく、表示の切替やいずれかの候補の選択などは、別個になされてよい。なお、異常解消後の解決レポートの編集、登録操作は、いずれか一つの機器でのみ可能となるように排他制御されてもよい。
【0130】
また、上記実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置であるものとして説明したが、その他の方式で画像形成動作を行う画像形成装置であってもよい。
【0131】
また、以上の説明では、本発明の異常対処データの集約制御に係るプログラム421を記憶するコンピューター読み取り可能な媒体としてHDD、SSD、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーなどからなる記憶部420を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリーや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0132】
1 画像形成システム
10 制御部
11 CPU
12 RAM
121 ジョブリスト
20 記憶部
21 ジョブデータ
22 異常検出画像データ
23 プログラム
30 通信部
40 入出力インターフェイス
51 表示部
52 操作受付部
60 形成動作部
70 画像読取部
100 画像形成装置
200、300 端末装置
310 制御部
320 記憶部
321 プログラム
330 通信部
351 表示部
352 操作受付部
400 サーバー装置
410 制御部
420 記憶部
421 プログラム
430 通信部
451 表示部
452 操作受付部
500 データベース装置
510 異常解決データ記憶部
F1 撮像画像
F2、F3 異常検出画像
W1、W4、W5 表示画面
W2 認証画面
W3 入力画面