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特許7596696生体情報監視装置、生体情報監視システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】生体情報監視装置、生体情報監視システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241203BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/113
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020166944
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059291
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-004315(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013801(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0380653(US,A1)
【文献】国際公開第2020/003910(WO,A1)
【文献】特開2017-127620(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196119(WO,A1)
【文献】特表2017-535300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
G08B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出手段が検出した患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視装置であって、
前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出手段と
記生体情報値が異常であるか否かを判定するための臨床的閾値の入力を受け付ける受付手段と、
前記算出手段による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する第二判断手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記第二判断手段が判断した場合、前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記機械的閾値及び前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御手段と、を備える生体情報監視装置。
【請求項2】
前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値が、前記機械的閾値の範囲内であるか否かを判断する第一判断手段を備える、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値が前記機械的閾値の範囲内ではないと前記第一判断手段が判断した場合、その旨を報知手段に報知させる、請求項2に記載の生体情報監視装置。
【請求項4】
前記制御手段は、受け付けた前記臨床的閾値が前記機械的閾値の範囲内ではないと前記第一判断手段が判断した場合、前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値を前記機械的閾値の範囲内となるように変更する、請求項2又は請求項3に記載の生体情報監視装置。
【請求項5】
前記制御手段は、受け付けた前記臨床的閾値が前記機械的閾値の範囲内であると前記第一判断手段が判断した場合、受け付けた前記臨床的閾値を設定する、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の生体情報監視装置。
【請求項6】
前記検出手段は、呼吸センサーであり、
前記機械的閾値は、6~35bpmの範囲内である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の生体情報監視装置。
【請求項7】
前記機械的閾値は、前記検出手段が検出した前記生体情報信号の波形データから、前記算出手段が、呼吸の成分、心拍の成分、体動の成分、及びノイズ成分のうちの少なくともいずれかの成分を分離することが可能となる限界値である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の生体情報監視装置。
【請求項8】
患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視システムであって、
前記患者の生体情報信号を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出手段と
床的閾値の入力を受け付ける受付手段と、
前記算出手段による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する判断手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記判断手段が判断した場合、前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記機械的閾値及び前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御手段と、を備える生体情報監視システム。
【請求項9】
検出手段が検出した患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視装置の制御部に、
前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出処理と、
前記生体情報値が異常であるか否かを判定するための臨床的閾値の入力を受け付ける受付処理と、
前記算出処理による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付処理と、
前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する判断処理と、
前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記判断処理が判断した場合、前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定処理と、
前記設定処理が設定した、前記算出処理における演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値、及び前記受付処理において受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御処理と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報監視装置、生体情報監視システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の生体情報信号に基づく生体情報値(例えば、呼吸数や心拍数)が閾値を超えたか否かを監視し、値が閾値を超えた場合に患者に異常が生じた旨を通報する技術が従来知られている。
例えば特許文献1には、生体情報算出手段が生体情報として呼吸数を算出し、呼吸数の下限閾値と上限閾値とを記憶する条件判定テーブルを更に有し、呼吸数が上限閾値以上であると条件判定手段が判定した場合には第1の基準を用いて通報を行い、呼吸数が下限閾値以下であると条件判定手段が判定した場合には第2の基準を用いて通報を行う異常通報システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6556783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者の異常の有無を判定するための閾値は、臨床的閾値と呼ばれる。この臨床的閾値は、通常、医師又は医師の指示のもと看護師によって設定される。
一方、臨床的閾値に基づいて患者の異常の有無を判定する装置には、信頼性が担保される(装置として正確であると保証できる)生体情報値の範囲というものがある。そして、多くの装置は、この範囲を特定する機械的閾値と呼ばれる数値を記憶している。
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の異常通報システムの多くは、臨床的閾値を機械的閾値の範囲を超えて設定することができてしまう。このため、機械的閾値の範囲を超える(信頼性を担保できない)臨床的閾値が設定されていることに医師や看護師が気づいていない状態で、装置が監視を開始してしまうことがあった。
そして、このような状態で監視を開始しても、装置が行う異常報知は信頼性に欠けたものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、機械的閾値の範囲を超える臨床的閾値が設定された場合であっても、患者の異常の有無の監視を信頼性が担保された形で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る生体情報監視装置は、
検出手段が検出した患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視装置であって、
前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出手段と
記生体情報値が異常であるか否かを判定するための臨床的閾値の入力を受け付ける受付手段と、
前記算出手段による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する第二判断手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記第二判断手段が判断した場合、前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記機械的閾値及び前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御手段と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る生体情報監視システムは、
患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視システムであって、
前記患者の生体情報信号を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出手段と
床的閾値の入力を受け付ける受付手段と、
前記算出手段による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する判断手段と、
前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記判断手段が判断した場合、前記第二受付手段が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記機械的閾値及び前記受付手段が受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御手段と、を備える。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、
検出手段が検出した患者の生体情報信号に基づいて前記患者の異常の有無を監視する生体情報監視装置の制御部に、
前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する算出処理と、
前記生体情報値が異常であるか否かを判定するための臨床的閾値の入力を受け付ける受付処理と、
前記算出処理による演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値の入力を受け付ける第二受付処理と、
前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値が、設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する判断処理と、
前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値が、前記設定可能範囲の範囲内であると前記判断処理が判断した場合、前記第二受付処理が受け付けた前記機械的閾値を設定する設定処理と、
前記設定処理が設定した、前記算出処理における演算の信頼性が担保される前記生体情報値の範囲を特定する機械的閾値、及び前記受付処理において受け付けた前記臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械的閾値の範囲を超える臨床的閾値が設定された場合であっても、患者の異常の有無の監視を信頼性が担保された形で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る生体情報監視システムを示すブロック図である。
図2図1の生体情報監視システムが備える生体情報監視装置を示すブロック図である。
図3図2の生体情報監視装置が実行する基本動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図2の生体情報監視装置が実行する基本動作の流れの他の例を示すフローチャートである。
図5図2の生体情報監視装置が実行する基本動作の流れの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0012】
〔1.生体情報監視システム〕
まず、本実施形態に係る生体情報監視システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1は、システム100を示すブロック図である。
【0013】
システム100は、センサー1と、生体情報監視装置(以下、監視装置2)と、を備えている。
また、本実施形態に係るシステム100は、モニター3と、入力装置4と、を備えている。
各装置1~4は、有線又は無線で互いに通信可能となっている。
【0014】
(センサー)
本実施形態に係るセンサー1は、患者の生体情報信号を検出する検出手段をなすものである。
センサー1には、患者の呼吸を検出する呼吸センサー、患者の心拍を検出する心拍センサー等が含まれる。
本実施形態に係るセンサー1は、患者の生体情報信号を検出し続けることにより、横軸が時間、縦軸が生体情報信号の強度として表される波形データを生成する。
【0015】
(生体情報監視装置)
監視装置2は、センサー1が検出した患者の生体情報信号に基づいて患者の異常の有無を監視するものである。
本実施形態に係る監視装置2は、生体情報信号の波形データに基づいて、患者の異常の有無を継続的に監視するようになっている。
監視装置2は、PCや専用の装置で構成されている。
この監視装置2の詳細については後述する。
【0016】
(モニター)
モニター3は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、監視装置2から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
【0017】
(入力装置)
入力装置4は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、モニター3の表面に積層されたタッチパネル等で、ユーザーが操作可能に構成されている。
そして、入力装置4は、ユーザーによってなされた操作に基づく制御信号を監視装置2に出力するようになっている。
【0018】
(生体情報監視システムの概略動作)
なお、図1には、モニター3と、入力装置4と、を備えるシステム100を例示したが、これらの装置3,4のうちの少なくとも一方を備えずに、監視装置2が表示部及び操作部のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。
【0019】
〔2.生体情報監視装置〕
次に、上記システム100が備える監視装置2の詳細について説明する。
図2は監視装置2の具体的構成を示すブロック図、図3は監視装置2が実行する基本動作の流れを示すフローチャートである。
【0020】
(生体情報監視装置の構成)
監視装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えている。
【0021】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成されている。
そして、制御部21のCPUは、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、生体情報監視装置2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0022】
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部22は、制御部21が各種処理を実行するためのプログラムや、プログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
なお、記憶部22は、センサー1から受信した生体情報信号の波形データを記憶することが可能となっていてもよい。
【0023】
また、記憶部22は、機械的閾値を記憶する記憶手段をなしている。
この「機械的閾値」は、制御部21による演算の信頼性が担保される(監視装置2として正確であると保証できる)生体情報値(詳細後述)の範囲を特定する閾値である。
本実施形態に係る機械的閾値には、正確に算出することができる生体情報値の上限値である第一機械的閾値と、正確に算出することができる生体情報値の下限値である第二機械的閾値と、が含まれる。
機械的閾値は、センサー1が検出した生体情報信号の波形データから、前記算出手段が、呼吸の成分、心拍の成分、体動の成分、及びノイズ成分のうちの少なくともいずれかの成分を分離することが可能となる限界値である。 波形データからの各種成分の分離は、波形の振幅、周波数、波形の形状等に基づいて行うことができる。
【0024】
例えば、センサー1が呼吸センサーである場合、機械的閾値は、例えば6~35bpmの範囲内とするのが好ましい。
ここで、上限値を35bpmとするのは、患者の心拍の周波数が35bpm以上になると、呼吸の周波数が通常40bpm以下であることから、波形としての分離が困難になってしまうためである。従って、機械的閾値を35bpm以下に設定することで、心拍の周波数との分離を比較的容易に行うことができる。
一方、下限値を6bpmとするのは、患者が2秒程度の長さの呼吸を6bpm未満の頻度で行うと、呼吸と呼吸との間で10秒程度の沈黙が続く等、呼吸の連続性がほぼなくなり、単発的に発生するノイズとの分離が困難になってしまうためである。従って、機械的閾値を6bpm以上に設定することで、単発的に発生するノイズとの分離を比較的容易に行うことができる。
【0025】
通信部23は、有線通信モジュールや無線通信モジュール等で構成され、他の装置(センサー1、モニター3、入力装置4等)との間で各種信号や各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
【0026】
(生体情報監視装置の動作)
このように構成された監視装置2の制御部21は、所定条件が成立したことを契機として、例えば図3に示すような基本動作を実行する機能を有している。
所定条件の成立には、例えば、監視装置2の電源がオンにされたこと、アプリケーションが起動したこと、他の装置(センサー1等)から生体情報信号を受信したこと、入力装置4に所定操作がなされたこと等が含まれる。
【0027】
この基本動作において、制御部21は、まず、受付処理を実行する(ステップS1)。
この受付処理において、制御部21は、臨床的閾値の入力を受け付ける。
この「臨床的閾値」は、制御部21が算出する生体情報値が異常であるか否かを判定するための閾値である。
本実施形態に係る臨床的閾値には、正常な生体情報値の上限値である第一臨床的閾値と、正常な生体情報値の下限値である第二臨床的閾値と、を含む。
本実施形態に係る受付処理において、制御部21は、入力装置4から受信した制御信号に応じた数値を臨床的閾値として受け付けるようになっている。
なお、本実施形態に係る受付処理において、制御部21は、受け付けた臨床的閾値をモニター3に表示させるようになっていてもよい。
制御部21は、以上説明してきた受付処理を実行することにより受付手段をなす。
【0028】
臨床的閾値の入力を受け付けた後、制御部21は、制御処理を実行する(ステップS2)。
この制御処理において、制御部21は、記憶部22に記憶されている機械的閾値及び受付処理において受け付けた臨床的閾値に基づいて、異常通報の信頼性を担保するための制御を実行する。
【0029】
制御処理において、制御部21は、まず、判断処理を実行する(ステップS21)。
この判断処理において、制御部21は、受付処理において受け付けた臨床的閾値が、記憶部22に記憶されている機械的閾値の範囲内であるか否かを判断する。
上述したように、本実施形態に係る機械的閾値には第一,第二機械的閾値があり、臨床的閾値には第一,第二閾値があるため、本実施形態に係る判断処理において、制御部21は、第一,第二臨床的閾値がそれぞれ第二機械的閾値以上第一機械的閾値以下となっているか否かを判断する。
なお、第一,第二臨床的閾値の少なくとも一方が第二機械的閾値以上第一機械的閾値以下となっていれば、臨床的閾値が機械的閾値の範囲内であると判断するようになっていてもよい。
【0030】
この判断処理において、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではないと判断した場合、制御部21は、報知処理を実行する(ステップS22)。
報知処理において、制御部21は、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではない旨、及び臨床的閾値の再設定を求める旨のうちの少なくとも一方を報知手段に報知させる。
この「報知手段に報知させる」には、例えば、モニター3に表示させること、図示しないランプを所定の態様で点灯させること、図示しないスピーカーから音声を出力させること等が含まれる。
【0031】
なお、判断処理において、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではないと判断した場合、制御部21は、変更処理を実行するようになっていてもよい(ステップS22A)。
変更処理を実行する場合、制御部21は、例えば図4に示すように、受け付けた臨床的閾値を機械的閾値の範囲内となるように変更する。
また、報知処理において、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではない旨を報知手段に報知させる場合、制御部21は、変更処理を並行して実行するようになっていてもよい。
【0032】
一方、判断処理において、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内であると判断した場合、制御部21は、図3,4に示したように、受け付けた臨床的閾値を設定する(ステップS3)。
制御部21は、以上説明してきた制御処理を実行することにより判断手段、制御手段をなす。
【0033】
異常通報の信頼性を担保するための制御を実行した後、制御部21は、監視処理を実行する(ステップS4)。
この監視処理において、制御部21は、まず、算出処理を実行する(ステップS41)。
この算出処理において、制御部21は、患者の生体情報信号を検出する検出手段が検出した前記生体情報信号に基づいて前記患者の生体情報値を算出する。
制御部21は、以上説明してきた算出処理を実行することにより算出手段をなす。
【0034】
生体情報値を算出した後、制御部21は、判定処理を実行する(ステップS42)。
この判定処理において、制御部21は、算出した生体情報値が、設定された臨床的閾値の範囲内であるか否かを判定する。
【0035】
この判定処理において、算出した生体情報値が設定された臨床的閾値の範囲内ではない判断した場合(ステップS42;No)、制御部21は、患者に異常が生じている旨を、通報手段に通報させる(ステップS43)
この「通報手段に通報させる」には、例えば、モニター3に表示させること、図示しないランプを所定の態様で点灯させること、図示しないスピーカーから音声を出力させること等が含まれる。
【0036】
一方、判定処理において、算出した生体情報値が設定された臨床的閾値の範囲内であると判断した場合(ステップS32;Yes)、制御部21は、所定時間経過後にステップS32の処理に戻る。
こうすることで、患者に異常が発生するまで監視処理が繰り返される(当該患者の監視が継続される)。
【0037】
なお、上記基本動作において、受付処理(ステップS1)を実行する前に、例えば図5に示すように、第二受付処理及び第二制御処理を実行するようになっていてもよい(ステップS5,S6)。
【0038】
第二受付処理を実行する場合、制御部21は、機械的閾値の入力を受け付ける。
本実施形態に係る第二受付処理において、制御部21は、入力装置4から受信した制御信号に応じた数値を機械的閾値として受け付ける。
【0039】
また、機械的閾値の入力を受け付けた後の第二制御処理において、制御部21は、第二判断処理を実行する(ステップS61)。
この第二判断処理において、制御部21は、第二受付処理において受け付けた機械的閾値が、記憶部22に記憶されている設定可能範囲の範囲内であるか否かを判断する。
【0040】
この第二判断処理において、受け付けた機械的閾値が設定可能範囲の範囲内ではないと判断した場合、制御部21は、第二報知処理及び第二変更処理のうちの少なくとも一方の処理を実行する(ステップS62)。
第二報知処理を実行する場合、制御部21は、受け付けた機械的閾値が設定可能範囲の範囲内ではない旨、又は機械的閾値の再設定を求める旨を報知手段に報知させる。
一方、第二変更処理を実行する場合、制御部21は、受け付けた機械的閾値を設定可能範囲の範囲内となるように変更する。
【0041】
一方、第二判断処理において、受け付けた機械的閾値が設定可能範囲の範囲内であると判断した場合、制御部21は、受け付けた機械的閾値を設定して(ステップS7)、ステップS1の処理へ進む。
【0042】
〔3.効果〕
以上説明してきた、監視装置2、及びこの監視装置2を備えるシステム100は、記憶部22に記憶されている機械的閾値及び受付処理において受け付けた臨床的閾値に基づく制御処理を実行するようになっている。
【0043】
この制御処理において、受け付けた臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではない旨を報知手段に報知させれば、ユーザー(医師又は看護師)は、入力した臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではないことに気づくことができる。このため、信頼性が担保されていない生体情報値や異常発生の報知に対し、これらが正確ではない可能性を意識することで、患者へ正確な処置を施すことができる。
また、制御処理において、臨床的閾値の再設定を求める旨を報知手段に報知させれば、多くの場合、入力した臨床的閾値が機械的閾値の範囲内ではないことに気づくことができるだけでなく、ユーザーが臨床的閾値を変更する可能性が高まる。このため、信頼性が担保されていない生体情報値が算出されたり異常発生が報知されたりする可能性を低減することができる。
また、制御処理において、受け付けた臨床的閾値を機械的閾値の範囲内となるように変更すれば、医師や看護師が特に意識しなくても、信頼性が担保されていない生体情報値が算出されたり異常発生が報知されたりするのを防ぐことができる。
【0044】
このため、監視装置2又はシステム100によれば、機械的閾値の範囲を超える臨床的閾値が設定された場合であっても患者の異常の有無の監視を信頼性が担保された形で行うことができる。
【0045】
〔4.その他〕
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、監視装置2が、判断処理、報知処理、変更処理等を実行するようになっていたが、これらの処理を監視装置2から独立した他の装置が実行するようになっていてもよい。
また、上記実施形態においては、センサー1と監視装置2とが分かれていたが、これらは一体になっていてもよい。
【0047】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体
としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0048】
100 生体情報監視システム
1 センサー(検出手段)
2 生体情報監視装置
21 制御部(受付手段、制御手段)
22 記憶部(記憶手段)
23 通信部
3 モニター
4 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5