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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241203BHJP
   B41J 2/18 20060101ALN20241203BHJP
   B41J 2/19 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 305
B41J2/14 607
B41J2/18
B41J2/19
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020180720
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071651
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】垣内 徹
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103601(JP,A)
【文献】特開2020-40292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルプレートに形成され、第1方向に配列された複数のノズルと、
前記ノズルプレートの、前記第1方向と直交する第2方向における一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第1方向に配列された複数の圧力室と、
前記第2方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第1方向に配列され、前記第2方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、
前記複数の圧力室と接続される第1共通流路と、
前記流路基板に形成され、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記複数のディセンダと重なり、前記流路基板によって形成される隔壁で前記複数のディセンダと隔てられた第2共通流路と、
前記複数のディセンダと、前記第2共通流路とを接続する接続流路と、を備え、
前記接続流路は、
前記ノズルプレートに形成され、前記複数のディセンダに対して個別に設けられ、対応する前記ディセンダと接続された複数の第1流路部分と、
前記流路基板に形成され、前記第1流路部分及び前記第2共通流路に接続され、前記第2共通流路よりも前記第2方向の長さが短い第2流路部分と、を有し、
前記第2方向が鉛直方向であって、
前記第2流路部分が、前記第2共通流路の前記第3方向における端面に接続され、
前記第2流路部分の上側の内壁面である天井面が、前記第2流路部分の長さ方向において前記第2共通流路に近づくほど上方に向かうように、前記第2流路部分の長さ方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記天井面は、
前記傾斜面の、前記第3方向における前記第2共通流路側の端に接続された接続面、を有し、
前記傾斜面と前記接続面とのなす角度が鈍角であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
ノズルプレートに形成され、第1方向に配列された複数のノズルと、
前記ノズルプレートの、前記第1方向と直交する第2方向における一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第1方向に配列された複数の圧力室と、
前記第2方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第1方向に配列され、前記第2方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、
前記複数の圧力室と接続される第1共通流路と、
前記流路基板に形成され、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記複数のディセンダと重なり、前記流路基板によって形成される隔壁で前記複数のディセンダと隔てられた第2共通流路と、
前記複数のディセンダと、前記第2共通流路とを接続する接続流路と、を備え、
前記接続流路は、
前記ノズルプレートに形成され、前記複数のディセンダに対して個別に設けられ、対応する前記ディセンダと接続された複数の第1流路部分と、
前記流路基板に形成され、複数の前記第1流路部分のうち、隣接する2以上の前記第1流路部分にわたって前記第1方向に延び、当該2以上の前記第1流路部分及び前記第2共通流路に接続され、前記第2共通流路よりも前記第2方向の長さが短い第2流路部分と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第2方向が鉛直方向であって、
前記第2流路部分が、前記第2共通流路の前記第3方向における端面に接続され、
前記第2流路部分の上側の内壁面である天井面が、前記第2流路部分の長さ方向において前記第2共通流路に近づくほど上方に向かうように、前記第2流路部分の長さ方向に対して傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記天井面は、
前記傾斜面の、前記第3方向における前記第2共通流路側の端に接続された接続面、を有し、
前記傾斜面と前記接続面とのなす角度が鈍角であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記接続流路が、
複数の前記第1流路部分に対して個別に設けられた複数の前記第2流路部分を有することを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
1つの前記第1流路部分と、当該第1流路部分に対応する前記第2流路部分とによって形成される流路の流路抵抗が、前記ノズルの流路抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記接続流路が、
複数の前記第1流路部分のうち、隣接する2以上の前記第1流路部分にわたって前記第1方向に延び、当該2以上の前記第1流路部分に接続された前記第2流路部分を有することを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第2流路部分が、
前記第1方向に並ぶ全ての前記第1流路部分にわたって前記第1方向に延び、当該全ての第1流路部分に接続されていることを特徴とする請求項2又は7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記流路基板が、シリコンによって形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記ディセンダが、
前記流路基板を前記第2方向に貫通し、
前記第3方向と平行な内壁面を有し、
前記第2流路部分が、前記第3方向に対して傾斜した方向に延びていることを特徴とする請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記流路基板の結晶方位の(110)面の法線ベクトルの方向が、前記第2方向と平行であり、
前記第2流路部分は、前記第3方向に対して50~60°傾斜した方向に延びていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの一例として、特許文献1には、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドが記載されている。特許文献1に記載の液体噴射ヘッドでは、供給流路と連通する複数の圧力室が、それぞれ、連通路を介してノズルと接続されている。また、複数の連通路は、それぞれ、回収路を介して回収液室に接続されている。また、ノズルが形成されたノズルプレートに回収路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-166705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液体噴射ヘッドでは、圧力室に液体とともに流入した空気を連通路のノズル近傍の部分に接続された回収路を介して回収液室に排出することができる。ただし、回収路の長さが長いと、回収路の流路抵抗が大きくなり、液体が、連通路から回収路を介してスムーズに回収液室に流れなくなってしまう。この場合、上記の空気の排出がスムーズに行われない。
【0005】
一方で、回収路の流路抵抗を小さくするために、回収路の長さを短くした場合には、連通路と回収液室とを隔てる隔壁が薄くなってしまい、ある圧力室内の液体に圧力を付与してノズルから液体を吐出させるときに、当該圧力室に対応する連通路内の液体の圧力変化が、この隔壁が変形することによって他の連通路内の液体に伝達してしまう、いわゆるクロストークが生じてしまう虞がある。
【0006】
また、特許文献1の液体噴射ヘッドでは、回収路は、厚みの薄いノズルプレートに形成されており、複数の回収路が並んで配置されているため、回収路の、ノズルプレートの厚み方向の長さ、及び、複数の回収路が並ぶ方向の長さのいずれかを長くして、回収路の長さ方向と直交する断面の断面積を大きくすることによって回収路の流路抵抗を小さくすることも難しい。
【0007】
本発明の目的は、流路に流れ込んだ空気をスムーズに排出することができるようにしつつも、クロストークが生じにくい液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドは、ノズルプレートに形成され、第1方向に配列された複数のノズルと、前記ノズルプレートの、前記第1方向と直交する第2方向における一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第1方向に配列された複数の圧力室と、前記第2方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第1方向に配列され、前記第2方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、前記複数の圧力室と接続される第1共通流路と、前記流路基板に形成され、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記複数のディセンダと重なり、前記流路基板によって形成される隔壁で前記複数のディセンダと隔てられた第2共通流路と、前記複数のディセンダと、前記第2共通流路とを接続する接続流路と、を備え、前記接続流路は、前記ノズルプレートに形成され、前記複数のディセンダに対して個別に設けられ、対応する前記ディセンダと接続された複数の第1流路部分と、前記流路基板に形成され、前記第1流路部分及び前記第2共通流路に接続され、前記第2共通流路よりも前記第2方向の長さが短い第2流路部分と、を有し、前記第2方向が鉛直方向であって、前記第2流路部分が、前記第2共通流路の前記第3方向における端面に接続され、前記第2流路部分の上側の内壁面である天井面が、前記第2流路部分の長さ方向において前記第2共通流路に近づくほど上方に向かうように、前記第2流路部分の長さ方向に対して傾斜した傾斜面を有し、前記天井面は、前記傾斜面の、前記第3方向における前記第2共通流路側の端に接続された接続面、を有し、前記傾斜面と前記接続面とのなす角度が鈍角である
また、本発明の液体吐出ヘッドは、ノズルプレートに形成され、第1方向に配列された複数のノズルと、前記ノズルプレートの、前記第1方向と直交する第2方向における一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第1方向に配列された複数の圧力室と、前記第2方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第1方向に配列され、前記第2方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、前記複数の圧力室と接続される第1共通流路と、前記流路基板に形成され、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記複数のディセンダと重なり、前記流路基板によって形成される隔壁で前記複数のディセンダと隔てられた第2共通流路と、前記複数のディセンダと、前記第2共通流路とを接続する接続流路と、を備え、前記接続流路は、前記ノズルプレートに形成され、前記複数のディセンダに対して個別に設けられ、対応する前記ディセンダと接続された複数の第1流路部分と、前記流路基板に形成され、複数の前記第1流路部分のうち、隣接する2以上の前記第1流路部分にわたって前記第1方向に延び、当該2以上の前記第1流路部分及び前記第2共通流路に接続され、前記第2共通流路よりも前記第2方向の長さが短い第2流路部分と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
図2】ヘッド11の平面図である。
図3】(a)は図2のIIIA-IIIA線断面図であり、(b)は(a)のIIIB部の拡大図である。
図4図3(b)のIV-IV線断面図である。
図5】変形例1の図4に対応する図である。
図6】変形例2の図4に対応する図である。
図7】(a)は変形例3の図3(a)に対応する図であり、(b)は(a)のVIIB部の拡大図である。
図8図7(b)のVIII-VIII線断面図である。
図9】変形例4の図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
<プリンタ1の全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、4つのヘッドユニット2と、プラテン3と、搬送ローラ対4,5とを備えている。4つのヘッドユニット2は、後述するように搬送ローラ対4,5によって記録用紙Pが搬送される水平な搬送方向(本発明の「第3方向」)に並んで配置されている。各ヘッドユニット2は、8つのヘッド11(本発明の「液体吐出ヘッド」)とヘッド保持部材12とを備えている。
【0012】
ヘッド11は、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。複数のノズル10は、水平で且つ搬送方向と直交する紙幅方向(本発明の「第1方向」)に配列されることによってノズル列9を形成している。また、ヘッド11は、搬送方向に並んだ2列のノズル列9を有している。搬送方向の上流側のノズル列9を構成する複数のノズル10と、搬送方向の上流側のノズル列9を構成する複数のノズル10とは、各ノズル列9におけるノズル10同士の間隔の半分の長さだけ、紙幅方向にずれている。
【0013】
また、8つのヘッド11のうち、4つのヘッド11は、紙幅方向に間隔をあけて並んでいる。また、上記4つのヘッド11から搬送方向の下流側にずれた位置に、8つのヘッド11のうち残り4つのヘッド11が、紙幅方向に間隔をあけて並んでいる。また、搬送方向の上流側の4つのヘッド11と下流側の4つのヘッド11とは、紙幅方向の位置がずれている。これにより、1つのヘッドユニット2を構成する8つのヘッド11の複数のノズル10が、記録用紙Pの紙幅方向の全長にわたって配置されている。
【0014】
ヘッド保持部材12は、紙幅方向を長手方向とする長方形の板状の部材である。ヘッド保持部材12は、8つのヘッド11を上記位置関係で保持している。
【0015】
また、4つのヘッドユニット2を構成するヘッド11の複数のノズル10からは、搬送方向の上流側のヘッドユニット2を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0016】
プラテン3は4つのヘッドユニット2の下方に配置されており、4つのヘッドユニット2の複数のノズル10と鉛直方向(本発明の「第2方向」)に対向している。プラテン3は、紙幅方向において記録用紙Pの全長にわたって延び、搬送方向において4つのヘッドユニット2にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。
【0017】
搬送ローラ対4は、4つのヘッドユニット2よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ対5は、4つのヘッドユニット2よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ対4,5は、それぞれ、鉛直方向に並んだ2つのローラによって構成され、これら2つのローラによって記録用紙Pを挟んだ状態で回転することで、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0018】
そして、プリンタ1では、搬送ローラ対4,5により記録用紙Pを搬送方向に搬送させながら、各ヘッドユニット2を構成する8つのヘッド11の複数のノズル10からインクを吐出させることによって、記録用紙Pに記録を行うことができる。
【0019】
<ヘッド11の構成>
次にヘッド11の構成について説明する。図2図3(a),(b)、図4に示すようにヘッド11は、流路基板21、ノズルプレート22、2枚のダンパプレート23、及び、圧力室プレート24を備えている。
【0020】
流路基板21は、シリコンによって形成された直方体形状の部材である。ノズルプレート22は、シリコンによって形成され、流路基板21の下面の搬送方向における中央部に配置され、紙幅方向において流路基板21のほぼ全長にわたって延びている。
【0021】
2枚のダンパプレート23は、合成樹脂材料などによって形成され、流路基板21の下面の、搬送方向における上流側及び下流側の端部に配置され、紙幅方向において流路基板21のほぼ全長にわたって延びている。ダンパプレート23は、ノズルプレート22等よりも薄く、弾性変形することによって、後述する第1共通流路36内のインクの圧力変動を抑える。
【0022】
圧力室プレート24は、シリコンによって形成され、流路基板21の上面に配置されている。これにより、圧力室プレート24は、ノズルプレート22の上側(本発明の「第2方向の一方側」)に配置され、流路基板21がノズルプレート22と圧力室プレート24との間に配置される。
【0023】
流路基板21とノズルプレート22とダンパプレート23と圧力室プレート24との積層体には、複数のノズル10、複数の圧力室31、複数のディセンダ32、複数の第1絞り33、複数の第2絞り34が形成されている。
【0024】
複数のノズル10は、ノズルプレート22に形成されており、上述の2列のノズル列9を形成している。複数の圧力室31は、圧力室プレート24に形成されている。複数の圧力室31は、複数のノズル10に対して個別に設けられており、搬送方向における内側の端部が、対応するノズル10と鉛直方向に重なっている。また、圧力室31は、鉛直方向に投影した形状が、搬送方向を長手方向とし、搬送方向と平行な1組の対向辺を有する平行四辺形である。また、複数の圧力室31は、圧力室プレート24の上端部を除いた部分に形成されており、圧力室プレート24の上端部の、複数の圧力室31にわたって延びた部分が、複数の圧力室31を覆う振動板24aとなっている。
【0025】
複数のディセンダ32は、流路基板21に形成されている。ディセンダ32は、互いに対応するノズル10と圧力室31との組毎に設けられている。ディセンダ32は、流路基板21を鉛直方向に貫通して延びて、対応するノズル10と圧力室31の搬送方向における内側の端部とを接続する。
【0026】
また、ディセンダ32は、鉛直方向に投影した形状が、平行四辺形であり、上記平行四辺形の1組の対向辺を形成する、紙幅方向の両側の内壁面32aが、搬送方向と平行である。
【0027】
複数の第1絞り33は、複数の圧力室31に対して個別に設けられている。第1絞り33は、流路基板21の上側の部分において鉛直方向に延び、その上端において、対応する圧力室31の搬送方向における外側の端部と接続されている。また、第1絞り33は、鉛直方向に投影した形状が、搬送方向と平行な1組の対向辺を有する平行四辺形である。
【0028】
複数の第2絞り34は、複数のディセンダ32に対して個別に設けられている。第2絞り34は、第1流路部分34aと第2流路部分34bとを有する。
【0029】
第1流路部分34aは、ノズルプレート22の上側の部分に形成されている。第1流路部分34aは、搬送方向と平行に延び、搬送方向における外側の端が、対応するディセンダ32の下端に接続されている。
【0030】
第2流路部分34bは、流路基板21の下側の部分に形成されている。第2流路部分34bは、搬送方向に延びている。第2流路部分34bの搬送方向の外側の端は、第1流路部分34aの搬送方向の内側の端と接続されている。
【0031】
第2流路部分34bは、流路基板21の下側の部分に形成されている。第2流路部分34bの天井面34b1は、紙幅方向と直交する断面において、傾斜面34b2と接続面34b3とを有する。傾斜面34b2は、搬送方向の内側に向かう(後述する第2共通流路37に近づく)ほど上側に向かうように搬送方向に対して傾斜している。接続面34b3は、傾斜面34b2の搬送方向の内側の端に接続されている。また、傾斜面34b2と接続面34b3とのなす角度K2は、鈍角(例えば110~180°程度)である。ここで、接続面34b3は、例えば、搬送方向と平行な面であってもよい。あるいは、接続面343bは、搬送方向の内側に向かうほど上側に向かうように搬送方向に対して傾斜しており、且つ、搬送方向に対する傾斜角度が傾斜面よりも小さい面であってもよい。
【0032】
また、本実施形態では、第2絞り34が上記のような構造となっていることにより、第1流路部分34aと第2流路部分34bとによって形成される第2絞り34の流路抵抗が、ノズル10の流路抵抗よりも小さくなっている。例えば、ノズル10の流路抵抗が、4×1013Pa・s/m3程度であるのに対して、第2絞り34の流路抵抗が2×1013Pa・s/m3程度である。
【0033】
そして、ヘッド11では、対応するノズル10と圧力室31とディセンダ32と第1絞り33と第2絞り34とによって、個別流路20が形成されている。また、ヘッド11では、複数のノズル10が2列のノズル列9を形成しているのに対応して、複数の個別流路20が、紙幅方向に配列されることによってそれぞれ形成され、搬送方向に並んだ2列の個別流路列19を形成している。なお、本実施形態では、各個別流路列19を構成する複数の個別流路20の第2絞り34を合わせたものが、本発明の「接続流路」に相当する。
【0034】
また、流路基板21とノズルプレート22とダンパプレート23と圧力室プレート24との積層体には、上述したような複数の個別流路20のほかに、2つの第1共通流路36の下側の部分である2つの下側流路部分36aと、1つの第2共通流路37の下側の部分である1つの下側流路部分37aとが形成されている。
【0035】
2つの下側流路部分36aは、2列の個別流路列19に対応して設けられている。下側流路部分36aは、搬送方向において、対応する個別流路列19の外側に位置している。下側流路部分36aは、対応する個別流路列19を構成する複数の個別流路20にわたって紙幅方向に延びている。また、下側流路部分36aは、搬送方向の外側の端部を除いた部分が、流路基板21の下側の部分に形成されており、各個別流路列19を構成する複数の個別流路20の第1絞り33の下端が、下側流路部分36aに接続されている。
【0036】
また、下側流路部分36aは、搬送方向における外側の端部において、流路基板21及び圧力室プレート24を鉛直方向に貫通して延びている。また、上述のダンパプレート23は、下側流路部分36aの下側の壁を形成しており、ダンパプレート23が弾性変形することによって、下側流路部分36a内のインクの圧力変動が抑えられる。
【0037】
下側流路部分37aは、搬送方向における2列の個別流路列19の間に配置されており、流路基板21及び圧力室プレート24を鉛直方向に貫通して延びている。これにより、第2流路部分34bの鉛直方向の長さが、第2共通流路37の鉛直方向の長さよりも短い。そして、このように配置された下側流路部分37aは、複数のディセンダ32と搬送方向に重なっており、流路基板21の下側流路部分37aと複数のディセンダ32との間に位置する部分が、下側流路部分37aと複数のディセンダ32とを隔てる隔壁21aとなっている。また、2列の個別流路列19を構成する複数の個別流路20における、第2流路部分34bの搬送方向の内側の端が、下側流路部分37aに接続されている。
【0038】
また、ヘッド11は、流路基板21、ノズルプレート22、ダンパプレート23及び圧力室プレート24のほかに、2つの圧電アクチュエータ25、保護基板26及びカバー部材27を備えている。
【0039】
2つの圧電アクチュエータ25は、2列の個別流路列19に対応している。各圧電アクチュエータ25は、圧電層41、共通電極42及び複数の個別電極43を備えている。
【0040】
圧電層41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料によって形成され、圧力室プレート24(振動板24a)の上面に配置され、対応する個別流路列19を構成する複数の圧力室31にわたって紙幅方向に延びている。
【0041】
共通電極42は、圧力室プレート24(振動板24a)と圧電層41との間に、その全域にわたって延びている。共通電極42は、図示しない配線部材などを介して図示しない電源に接続され、グランド電位に保持されている。複数の個別電極43は、圧電層41の上面に配置されている。各個別電極43は、1つの圧力室31に対応しており、対応する圧力室31の中央部と鉛直方向に重なっている。複数の個別電極43は、図示しない配線部材などを介して図示しないドライバICに接続されている。複数の個別電極43には、ドライバICにより個別に、グランド電位及び所定の駆動電位(例えば20~30V程度)のいずれかが選択的に付与される。
【0042】
また、共通電極42及び複数の個別電極43がこのように配置されているのに対応して、圧電層41の各個別電極43と共通電極42とに挟まれた部分が、それぞれ、鉛直方向に分極されている。
【0043】
ここで、圧電アクチュエータ25によりノズル10からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ25では、複数のノズル10からインクを吐出させないときには、全ての個別電極43にグランド電位が付与されている。あるノズル10からインクを吐出させるときには、そのノズル10に対応する個別電極43の電位をグランド電位から駆動電位に切り換える。すると、圧電層41のこの個別電極43と共通電極42とに挟まれた部分に、分極方向と平行な鉛直方向の電界が発生し、この電界によって、圧電層41のこの部分が分極方向と直交する水平方向(紙幅方向及び搬送方向)に収縮する。これにより、振動板24a及び圧電層41の圧力室31と鉛直方向に重なる部分が圧力室31側に凸となるように変形する。その結果、圧力室31の容積が小さくなることで、圧力室31内のインクの圧力が上昇し、圧力室31に連通するノズル10からインクが吐出される。また、ノズル10からのインクの吐出後、個別電極43の電位が駆動電位からグランド電位に戻される。これにより、振動板24a及び圧電層41が変形前の状態に戻る。
【0044】
保護基板26は、シリコンによって形成され、2つの圧電アクチュエータ25が配置された圧力室プレート24の上面に配置され、2つの圧電アクチュエータ25を覆っている。より詳細には、保護基板26の下面の、2つの圧電アクチュエータ25と鉛直方向に重なる部分に凹部26aが形成されている。そして、凹部26a内に圧電アクチュエータ25が収容されている。
【0045】
カバー部材27は、2つの圧電アクチュエータ25及び保護基板26が配置された圧力室プレート24の上面に配置され、2つの圧電アクチュエータ25及び保護基板26を覆っている。
【0046】
また、カバー部材27には、2つの第1共通流路36の上側の部分を構成する2つの上側流路部分36bが形成されている。上側流路部分36bは、下側流路部分36aと鉛直方向に重なっており、下側流路部分36aの全長にわたって紙幅方向に延びている。また、上側流路部分36bは、カバー部材27の上端部を除いた部分にわたって鉛直方向に延びている。また、上側流路部分36bの紙幅方向における中央部には、カバー部材27の上端まで延びた接続口36cが形成されている。
【0047】
そして、2つの第1共通流路36に設けられた2つの接続口36cは、図示しないチューブなどを介して、ポンプ51aに接続されている。また、ポンプ51aは、インクタンク52に接続されている。ポンプ51aは、インクタンク52から接続口36cに向けてインクを送る。
【0048】
また、保護基板26及びカバー部材27には、第2共通流路37の上側の部分である上側流路部分37bが形成されている。上側流路部分37bは、下側流路部分37aと鉛直方向に重なっており、下側流路部分37aの全長にわたって紙幅方向に延びている。また、上側流路部分37bは、カバー部材27の上端部を除いた部分と保護基板26とにわたって鉛直方向に延びている。また、上側流路部分37bの紙幅方向における中央部には、カバー部材27の上端まで延びた接続口37cが形成されている。
【0049】
接続口37cは、図示しないチューブなどを介して、ポンプ51bに接続されている。また、ポンプ51bは、インクタンク52に接続されている。ポンプ51bは、接続口37cからインクタンク52に向けてインクを送る。
【0050】
そして、本実施形態では、ポンプ51a,51bを駆動させると、インクタンク52内のインクが、図示しないチューブなどを介して2つの接続口36cから2つの第1共通流路36に流れ込む。さらに、第1共通流路36に流れ込んだインクは、第1絞り33から複数の個別流路20に流れ込む。複数の個別流路20に流れ込んだインクは、第2絞り34から第2共通流路37に流れ出る。第2共通流路37に流れ出たインクは、接続口37cから流れ出て、図示しないチューブを介してインクタンク52に戻る。このように、本実施形態では、ヘッド11とインクタンク52との間でインクを循環させることができる。
【0051】
なお、ポンプ51a,51bのうち、片方のポンプはなくてもよい。この場合でも、当該片方のポンプを駆動させることにより、上述したのと同様に、ヘッド11とインクタンク52との間でインクを循環させることができる。
【0052】
<効果>
本実施形態では、第2絞り34を、ノズルプレート22に形成された第1流路部分34aと、流路基板21に形成された第2流路部分34bとを有するものとすることにより、第2絞り34の長さを長くしつつも、第2絞り全体をノズルプレート22に形成する場合と比較して第2絞りの流路抵抗を小さくすることができる。これにより、ディセンダ32から第2共通流路37にスムーズにインク中の空気を排出させることができるようにしつつ、ディセンダ32と第2共通流路37との間の隔壁21aの厚み(搬送方向の長さ)を確保してクロストークを発生しにくくすることができる。
【0053】
また、第2流路部分34bの鉛直方向の長さが、第2共通流路37の鉛直方向の長さよりも短いため、ディセンダ32と第2共通流路37との間の隔壁21aの厚みを確保したまま、第1流路部分34aの長さを短くすることができ、不必要に第2絞り34の流路抵抗を大きくなることを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態では、第2流路部分34bの天井面34b1が、搬送方向において第2共通流路37に近づくほど上方に向かうように搬送方向に対して傾斜して延びた傾斜面34b2を有している。これにより、第2流路部分34b内の気泡を、傾斜面34b2に沿ってスムーズに第2共通流路37に向けて流すことができる。
【0055】
また、本実施形態では、第2流路部分34bの天井面34b1が、上記のように搬送方向に対して傾斜した傾斜面34b2と、傾斜面34b2の搬送方向における第2共通流路37側の端に接続された接続面34b3を有し、傾斜面34b2と接続面34b3との為す角度K2が鈍角となっている。これにより、傾斜面34b2と接続面34b3との接続部分に気泡を溜まりにくくすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、複数の第2絞り34が、複数のディセンダ32に対して個別に設けられている。これにより、ディセンダ32同士は、第2共通流路37を介してのみ連通する構成となる。したがって、圧電アクチュエータ25によってある圧力室31内のインクに付与され、対応する第2絞り34内のインクに伝達した圧力が、他の第2絞り34を介して、他の圧力室31内のインクに伝達してしまう、いわゆる流体クロストークを生じにくくすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、第2絞り34の流路抵抗が、ノズル10の流路抵抗よりも小さい。これにより、ヘッド11とインクタンク52との間でインクが循環する際に、ディセンダ32から第2共通流路37にインクが流れやすくなり、ノズル10からインクが漏れ出しにくくすることができる。
【0058】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0059】
上述の実施形態では、第2絞り34の流路抵抗が、ノズル10の流路抵抗よりも小さくなっていたが、これには限られない。例えば、上述したようにヘッド11とインクタンク52との間でインクが循環するときに、ノズル10からインクが漏れ出さない範囲であれば、第2絞り34の流路抵抗が、ノズル10の流路抵抗以上であってもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、第2流路部分34bの天井面34b1が、搬送方向(第2流路部分34bの長さ方向)において第2共通流路37に近づくほど上方に向かうように搬送方向に対して傾斜した傾斜面34b2と、傾斜面34b2の搬送方向における第2共通流路37側の端に接続された接続面34b3とを有し、傾斜面34b2と接続面34b3とのなす角度が鈍角であったが、これには限られない。
【0061】
例えば、天井面34b1は、接続面34b3を有しておらず、傾斜面34b2が、第2流路部分34bの搬送方向における第2共通流路37側の端まで延びていてもよい。
【0062】
あるいは、例えば、天井面34b1は、第2流路部分34bの搬送方向における全長にわたって、搬送方向と平行に延びていてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、複数の第1流路部分34aに対して個別に第2流路部分34bが設けられていたが、これには限られない。
【0064】
変形例1では、図5に示すように、第2流路部分101が、紙幅方向に隣接する2つの第1流路部分34a毎に設けられている。そして、各第2流路部分101が、対応する2つの第1流路部分34aにわたって紙幅方向に延び、これら2つの第1流路部分34aと第2共通流路37とを接続している。なお、変形例1では、各個別流路列19に対応する複数の第1流路部分34aと複数の第2流路部分101とを合わせたものが、それぞれ、本発明の「接続流路」に相当する。
【0065】
変形例1では、上述の実施形態の場合と比較して、接続流路の流路抵抗を小さくすることができる。これにより、ヘッド11とインクタンク52との間でインクが循環する際に、ディセンダ32から第2共通流路37に、インクをスムーズに流れさせることができる。
【0066】
また、変形例1では、第2流路部分101が、紙幅方向に隣接する2つの第1流路部分34a毎に設けられていたが、第2流路部分は、紙幅方向に隣接する3つ以上の一部の第1流路部分34a毎に設けられていてもよい。
【0067】
変形例2では、図6に示すように、第2流路部分111が、各個別流路列19を構成する複数の個別流路20の全ての第1流路部分34aに対して、それぞれ1つずつ設けられており、第2流路部分111が、対応する個別流路列19を構成する複数の個別流路20の全ての第1流路部分34aにわたって紙幅方向に延び、これらの第1流路部分34aと第2共通流路37とを接続している。なお、変形例2では、各個別流路列19に対応する複数の第1流路部分34aと1つの第2流路部分111とを合わせたものが、それぞれ、本発明の「接続流路」に相当する。
【0068】
変形例2では、変形例1の場合よりもさらに、接続流路の流路抵抗を小さくすることができる。これにより、ヘッド11とインクタンク52との間でインクが循環する際に、ディセンダ32から第2共通流路37に、インクをスムーズに流れさせることができる。
【0069】
また、上述の実施形態、変形例1及び変形例2では、ノズルプレート22に形成される第1流路部分34aをディセンダ32に接続されるものとし、流路基板21に形成される第2流路部分34b,101、111を第2共通流路37に接続されるものとしている。これにより、第2流路部分を、上述の実施形態のように各ディセンダ32に対して個別のものとしたり、変形例1及び変形例2のように2以上のディセンダ32に対して共通のものとしたりすることができる。これにより、後述する変形例3のように、第2流路部分をディセンダ32に接続されるものとする場合と比較して、第2流路部分の設計の自由度を高くすることができる。
【0070】
また、以上の例では、ノズルプレート22に形成された第1流路部分がディセンダ32に接続され、流路基板21に形成された第2流路部分が第2共通流路37に接続されていたが、これには限られない。
【0071】
変形例3では、図7(a),(b)、図8に示すように、複数の第2絞り121が、複数のディセンダ32に対して個別に設けられている。なお、変形例3では、各個別流路列19に対応する複数の第2絞り121が、それぞれ、本発明の「接続流路」に相当する。各第2絞り121は、第1流路部分121aと、第2流路部分121bとを有する。
【0072】
第1流路部分121aは、ノズルプレート22の上側の部分に形成されている。第1流路部分121aは、搬送方向と平行に延び、搬送方向における内側の端が、第2共通流路37に接続されている。
【0073】
第2流路部分121bは、流路基板21の下側の部分に形成されている。第2流路部分121bは、搬送方向に延びている。第2流路部分121bの搬送方向の内側の端は、第1流路部分121aの搬送方向の外側の端と接続されている。また、第2流路部分121bの搬送方向の外側の端は、対応するディセンダ32の下端部の、搬送方向における内側の端に接続されている。
【0074】
そして、変形例3でも、ディセンダ32と第2共通流路37との間の隔壁21aの厚みを確保してクロストークを発生しにくくしつつ、第2絞り121の流路抵抗を小さくすることができる。
【0075】
また、上述の実施形態では、第1絞り33が流路基板21に形成され、第1共通流路36が、流路基板21、圧力室プレート24及びカバー部材27にわたって形成されていたが、これには限られない。例えば、第1絞り33が圧力室プレート24に形成され、第1共通流路36が、圧力室プレート24及びカバー部材27にわたってのみ形成されていてもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、流路基板21に形成される第2流路部分34bが、搬送方向と平行に延びていたが、これには限られない。
【0077】
変形例4では、シリコンによって形成された流路基板21の結晶方位の(110)面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行である。そして、変形例4では、図9に示すように、第2絞り131が、第1流路部分131aと第2流路部分131bとを有する。第1流路部分131aは、上述の実施形態の第1流路部分34aと同様のものである。第2流路部分131bは、搬送方向の上流側に向かうほど、紙幅方向の右側に向かうように、搬送方向に対して角度K1傾いた傾斜方向に延びている。角度K1は、例えば55°程度である。第2流路部分131bの傾斜方向の外側の端は、第1流路部分131aの搬送方向の内側の端と接続されている。第2流路部分131bの傾斜方向の内側の端は、第2共通流路37に接続されている。
【0078】
変形例4では、流路基板21がシリコンによって形成され、流路基板21の結晶方位の(110)面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行である。一方で、流路基板21を鉛直方向に貫通するディセンダ32が搬送方向と平行な内壁面32aを有しているのに対して、流路基板21に形成される第2流路部分34bが、搬送方向に対して角度K1傾斜した傾斜方向に延びている。角度K1は55°程度である。これにより、ウェットエッチングによって、ディセンダ32及び第2流路部分131bを形成することができ、さらに、ウェットエッチングによって第2流路部分131bを形成したときに、流路基板21の結晶方位の(111)面がウェットエッチングのストッパー面となる。これにより、低コストで簡便に第2流路部分131bを作ることができる。
【0079】
また、変形例4ではでは、シリコンによって形成された流路基板21の結晶方位の(110)面の法線ベクトルの方向が、鉛直方向と平行であり、第2絞り131の第2流路部分131bが、搬送方向に対して55°傾斜して延びていたが、これには限られない。
【0080】
例えば、第2流路部分131bは、搬送方向に対して50~60°の範囲の別の角度傾斜して延びていてもよい。
【0081】
あるいは、流路基板21が、結晶方位の(110)面の法線ベクトルの方向が、鉛直方向と平行となる向きとは異なる向きで配置されていてもよい。この場合でも、流路基板21を鉛直方向に貫通するディセンダ32を、搬送方向と平行な内壁面を有するものとし、流路基板21の結晶方位の各面の向き、及び、第2流路部分131bの搬送方向に対する傾斜角度を適宜設定することにより、流路基板21の結晶方位に応じて精度よく第2流路部分131bを形成することができる。
【0082】
また、以上では、ノズルからインクを吐出するヘッドに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。インク以外の液体を吐出液体吐出ヘッドに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 ノズル
11 ヘッド
21 流路基板
21a 隔壁
22 ノズルプレート
24 圧力室プレート
31 圧力室
32 ディセンダ
34 第2絞り
34a 第1流路部分
34b 第2流路部分
34b1 天井面
34b2 傾斜面
34b3 接続面
36 第1共通流路
37 第2共通流路
101 第2流路部分
111 第2流路部分
121 第2絞り
121a 第1流路部分
121b 第2流路部分
131 第2絞り
131a 第1流路部分
132b 第2流路部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9