(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】通信機
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20241203BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20241203BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q1/22 A
H01Q1/52
(21)【出願番号】P 2020180825
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小出 士朗
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特許第6590132(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 1/22
H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナで受信した信号を処理するための通信モジュール(31)を備える通信機であって、
前記通信モジュールが設けられる回路基板である第1基板(3)と、
前記第1基板以外に設けられるアンテナ(21,21a,21b,21c,21d)と、
前記第1基板の面のうちの前記通信モジュールが配置される面側に、前記第1基板と離間して設けられる回路基板である第2基板(4)と、
前記第2基板に設けられる、前記アンテナへの給電に用いられるパターン線(43,43a,43b,43c,43d)と、
前記第2基板に設けられる、前記パターン線に接続される導電体である第1導電体(41,41a,41b,41c,41d)と、
前記第1基板に設けられる、前記通信モジュールから配線される給電ポート(32,32a,32b,32c,32d)とを備え、
前記第1導電体と前記給電ポートとが接触するように配置されており、
前記アンテナは複数設けられるものであって、
それぞれのアンテナ別に、前記パターン線、前記第1導電体、及び前記給電ポートが設けられ
、
前記パターン線は、前記第2基板のうちの前記通信モジュールと向き合わない面である非対向面に設けられるものであって、
前記第1導電体は、前記パターン線に接続される前記非対向面側から、前記第2基板のうちの前記通信モジュールと向き合う面である対向面側に、前記第2基板を貫通して突き出るように設けられており、
前記第1導電体のうちの前記対向面側に突き出る部分と前記給電ポートとが接触するように配置されている通信機。
【請求項2】
アンテナで受信した信号を処理するための通信モジュール(31)を備える通信機であって、
前記通信モジュールが設けられる回路基板である第1基板(3)と、
前記第1基板以外に設けられるアンテナ(21,21a,21b,21c,21d)と、
前記第1基板の面のうちの前記通信モジュールが配置される面側に、前記第1基板と離間して設けられる回路基板である第2基板(4)と、
前記第2基板に設けられる、前記アンテナへの給電に用いられるパターン線(43,43a,43b,43c,43d)と、
前記第2基板に設けられる、前記パターン線に接続される導電体である第1導電体(41,41a,41b,41c,41d)と、
前記第1基板に設けられる、前記通信モジュールから配線される給電ポート(32,32a,32b,32c,32d)とを備え、
前記第1導電体と前記給電ポートとが接触するように配置されており、
前記第1基板及び第2基板を併せて蓋う筐体(2)と、
前記第2基板に設けられる、前記パターン線のうちの前記第1導電体と接する端点とは別の端点と接する導電体である第2導電体(42,42a,42b,42c,42d)とを備え、
前記アンテナは、前記筐体に設けられるとともに、前記第2導電体と接触するように配置されており、
前記アンテナは複数設けられるものであって、
それぞれのアンテナ別に、前記パターン線、前記第1導電体、前記第2導電体、及び前記給電ポートが設けられ
、
前記パターン線は、前記第2基板のうちの前記通信モジュールと向き合わない面である非対向面に設けられるものであって、
前記第1導電体は、前記パターン線に接続される前記非対向面側から、前記第2基板のうちの前記通信モジュールと向き合う面である対向面側に、前記第2基板を貫通して突き出るように設けられており、
前記第1導電体のうちの前記対向面側に突き出る部分と前記給電ポートとが接触するように配置されている通信機。
【請求項3】
請求項2において、
車両で用いることが可能なものであって、
前記アンテナは、前記筐体のうちの、前記車両に設置される場合のその車両の天井方向に位置する面である筐体上面(2U)に設けられる通信機。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項において、
前記第2基板は、前記アンテナと前記第1基板との間に、前記第1基板側から見て前記アンテナを遮るように配置されるものであって、
前記第2基板には、グランドとして機能する平板状の金属導体が設けられている通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、アンテナが筐体内に収容された通信機が知られている。また、通信機として、同じ回路基板上にアンテナとアンテナで受信した信号を処理するための通信モジュールとを配置したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じ回路基板上にアンテナと通信モジュールとが配置される場合、アンテナ及び通信モジュール以外の電子部品を配置できるスペースが狭くなってしまう。他にも、同じ回路基板上にアンテナと通信モジュールとが配置される場合、通信モジュールとアンテナとを繋ぐパターン線を、この回路基板上に配置される電子部品を避けて配線しなければならない煩わしさが生じる。また、これらの電子部品からのノイズがこのパターン線及びアンテナに入りやすいため、問題も生じる。
【0005】
この開示のひとつの目的は、通信モジュールとアンテナとを繋ぐ配線を容易にするとともに、通信モジュールを配置する回路基板上での電子部品を配置できるスペースをより広くし、且つ、アンテナで受信した信号及びアンテナにこの電子部品からのノイズが影響を与えにくくすることを可能にする通信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の通信機は、アンテナで受信した信号を処理するための通信モジュール(31)を備える通信機であって、通信モジュールが設けられる回路基板である第1基板(3)と、第1基板以外に設けられるアンテナ(21,21a,21b,21c,21d)と、第1基板の面のうちの通信モジュールが配置される面側に、第1基板と離間して設けられる回路基板である第2基板(4)と、第2基板に設けられる、アンテナへの給電に用いられるパターン線(43,43a,43b,43c,43d)と、第2基板に設けられる、パターン線に接続される導電体である第1導電体(41,41a,41b,41c,41d)と、第1基板に設けられる、通信モジュールから配線される給電ポート(32,32a,32b,32c,32d)とを備え、第1導電体と給電ポートとが接触するように配置されており、アンテナは複数設けられるものであって、それぞれのアンテナ別に、パターン線、第1導電体、及び給電ポートが設けられ、パターン線は、第2基板のうちの通信モジュールと向き合わない面である非対向面に設けられるものであって、第1導電体は、パターン線に接続される非対向面側から、第2基板のうちの通信モジュールと向き合う面である対向面側に、第2基板を貫通して突き出るように設けられており、第1導電体のうちの対向面側に突き出る部分と給電ポートとが接触するように配置されている。
上記目的を達成するために、本開示の第2の通信機は、アンテナで受信した信号を処理するための通信モジュール(31)を備える通信機であって、通信モジュールが設けられる回路基板である第1基板(3)と、第1基板以外に設けられるアンテナ(21,21a,21b,21c,21d)と、第1基板の面のうちの通信モジュールが配置される面側に、第1基板と離間して設けられる回路基板である第2基板(4)と、第2基板に設けられる、アンテナへの給電に用いられるパターン線(43,43a,43b,43c,43d)と、第2基板に設けられる、パターン線に接続される導電体である第1導電体(41,41a,41b,41c,41d)と、第1基板に設けられる、通信モジュールから配線される給電ポート(32,32a,32b,32c,32d)とを備え、第1導電体と給電ポートとが接触するように配置されており、第1基板及び第2基板を併せて蓋う筐体(2)と、第2基板に設けられる、パターン線のうちの第1導電体と接する端点とは別の端点と接する導電体である第2導電体(42,42a,42b,42c,42d)とを備え、アンテナは、筐体に設けられるとともに、第2導電体と接触するように配置されており、アンテナは複数設けられるものであって、それぞれのアンテナ別に、パターン線、第1導電体、第2導電体、及び給電ポートが設けられ、パターン線は、第2基板のうちの通信モジュールと向き合わない面である非対向面に設けられるものであって、第1導電体は、パターン線に接続される非対向面側から、第2基板のうちの通信モジュールと向き合う面である対向面側に、第2基板を貫通して突き出るように設けられており、第1導電体のうちの対向面側に突き出る部分と給電ポートとが接触するように配置されている。
【0008】
これによれば、アンテナへの給電に用いられるパターン線が、通信モジュールが設けられる第1基板とは別の第2基板に設けられるので、通信モジュールを配置する回路基板上での電子部品を配置できるスペースをより広くすることが可能になる。また、このパターン線は、通信モジュールが設けられる第1基板とは別の第2基板に設けられるので、通信モジュールを配置する回路基板上の電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。アンテナも、第1基板以外に設けられるので、この電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。よって、アンテナで受信した信号及びアンテナが、この電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。さらに、第1基板に設けられる、通信モジュールから配線される給電ポートと、第2基板に設けられる、パターン線に接続される第1導電体との接触によってアンテナに給電がなされるので、通信モジュールから給電ポートまでの配線を短くしても給電を行うことができる。よって、通信モジュールを配置する回路基板上の電子部品を避けて配線しなければならない煩わしさを低減することが可能になる。その結果、通信モジュールとアンテナとを繋ぐ配線を容易にするとともに、通信モジュールを配置する回路基板上での電子部品を配置できるスペースをより広くし、且つ、アンテナで受信した信号にこの電子部品からのノイズが影響を与えにくくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】通信機1の概略的な構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0011】
(実施形態1)
<通信機1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、通信機1は、筐体2、第1基板3、及び第2基板4を備える。この通信機1が通信機に相当する。
図1では、説明の便宜上、実際は接触している部材間の距離を離すなどして、通信機1を模式的に示している。
図1の点線の矢印で示している部材間は、実際は接触している。本実施形態では、通信機1が車両で用いられる場合を例に挙げて説明する。通信機1は、例えば車両のダッシュボードの内部若しくは下部で用いる。
【0012】
<筐体2の概略構成>
筐体2は、第1基板3及び第2基板4を併せて蓋う。筐体2としては、例えば樹脂を用いればよい。
図1の例では、筐体2は、底のない箱型の形状である。この場合、第1基板3を箱の底にして、筐体2によって第1基板3及び第2基板4を蓋う構成とすればよい。
図1の例での筐体2、第1基板3、及び第2基板4の配置は、箱の底にあたる方向を下方とした場合、上方から、上蓋としての筐体2、第2基板4、底としての第1基板3の順に配置される。以降では、この上方が車両の天井方向,下方が車両の床方向であるものとする。
【0013】
筐体2には、アンテナ21が設けられる。つまり、通信機1は、アンテナ21も備える。
図1の例では、アンテナ21は、筐体2のうちの車両の天井方向に位置する面(以下、筐体上面)2Uに設けられている。より詳しくは、アンテナ21は、筐体上面2Uのうちの筐体2の内側の面に設けられる構成とすればよい。アンテナ21は、筐体2と一体構成される構成とすればよい。例えば、アンテナ21はインサート成形によって筐体2と一体構成される。
図1の例では、アンテナ21として、アンテナ21a、アンテナ21b、アンテナ21c、及びアンテナ21dを備える。つまり、
図1の例の通信機1は、複数のアンテナを集中管理する統合通信機である。これらのアンテナ21の例としては、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナ,電話アンテナ,Wi-Fi(登録商標)アンテナ等が挙げられる。アンテナ21には、異なる周波数の電波を送受信する複数の電話アンテナを含んでもよい。
【0014】
<第1基板3の概略構成>
第1基板3は、回路基板である。第1基板3は、例えば略長方形をなす平面形状とする。第1基板3には、絶縁性を有する基材の面に所定の配線パターンが形成されている。第1基板3は、筐体2にビスなどの固定部材で固定される。第1基板3は、通信機1において、第2基板4よりも下方に配置される。第1基板3の面から筐体上面2Uまでの高さは、例えば20mm程度とすればよい。
【0015】
第1基板3には、
図1に示すように、通信モジュール31及び給電ポート32が設けられる。つまり、通信機1は、通信モジュール31及び給電ポート32も備える。通信モジュール31及び給電ポート32は、第1基板3の面のうちの上方の面(以下、表面)に設けられる。
【0016】
通信モジュール31は、アンテナ21で受信した信号を処理する。通信モジュール31は、複数の電子部品により構成されるモジュールとする。通信モジュール31には、通電すると発熱する発熱素子も含む。
【0017】
給電ポート32は、通信モジュール31から配線される。給電ポート32は、第1基板3の表面に設けられたパターン線によって通信モジュール31と接続されている。パターン線とは、銅箔などにより形成され、電気信号が流れる信号線である。給電ポート32は、導体を素材として用いる。給電ポート32は、箔を含む金属導体のパターンであってもよいし、第1基板3に設けられるスルーホールの周囲に設けられた金属導体であってもよい。給電ポート32は給電点と言い換えることができる。給電ポート32は、グランド(以下、GND)に電気的に接続される。このGNDは、第1基板3の面のうちの下方の面(以下、裏面)に設けられるものであってもよいし、表面に設けられるものであってもよい。
【0018】
給電ポート32としては、
図1に示すように、複数のアンテナ21a~21dに対応して、給電ポート32a~32dが設けられる。給電ポート32は、通信モジュール31からの配線が容易になるように、通信モジュール31の近傍に設けることが好ましい。
【0019】
<第2基板4の概略構成>
第2基板4も、回路基板である。第2基板4も、例えば略長方形をなす平面形状とする。第2基板4には、絶縁性を有する基材の面に所定の配線パターンが形成されている。第2基板4も、筐体2にビスなどの固定部材で固定される。第2基板4は、通信機1において、第1基板3よりも上方に配置される。つまり、第2基板4は、第1基板3の面のうちの通信モジュール31が配置される表面側に、第1基板3と離間して設けられる。第2基板4の面から筐体上面2Uまでの高さは、例えば5mm程度とすればよい。
【0020】
第1基板3と第2基板4とは、
図1に示すように、お互いの面が並行するように配置される。なお、第1基板3と第2基板4とは、後述する第1導電体41と給電ポート32とが接触できる位置関係であれば、一方の面が他方の面に対して傾いて配置されても構わない。第2基板4は、アンテナ21と第1基板3との間に、第1基板3側から見てアンテナ21を遮るように配置されることが好ましい。
【0021】
第2基板4には、
図1に示すように、第1導電体41、第2導電体42、及びパターン線43が設けられる。つまり、通信機1は、第1導電体41、第2導電体42、及びパターン線43も備える。第2導電体42及びパターン線43は、第2基板4の面のうちの上方の面(以下、表面)に設けられる。第2基板4の表面が非対向面に相当する。第1導電体41については後述する。第2基板4の面のうちの下方の面(以下、裏面)には、GNDが設けられる。第2基板4の裏面が対向面に相当する。このGNDは、箔を含む平板上の金属導体であることが好ましい。また、このGNDは第2基板4の裏面全体に設けられていることが好ましい。第2基板4が、第1基板3側から見てアンテナ21を遮るように配置され、裏面にGNDとして機能する平板上の金属導体が設けられることで、アンテナ21に対しての、第1基板3に設けられる電子部品からのノイズの影響をシールドすることが可能になる。
【0022】
第1導電体41は、パターン線43に接続される導電体である。第1導電体41は、通信機1において、給電ポート32と接触するように配置されている。第1導電体41は、筐体2に第1基板3及び第2基板4が組み付けられた状態において、第1基板3に設けられた給電ポート32と接触するように配置されている。なお、給電ポート32が、通信機1において、第1導電体41と接触するように配置されていると言い換えることもできる。本実施形態の例では、第1導電体41は、パターン線43に接続される第2基板4の表面側から裏面側に、第2基板4を貫通して突き出るように設けられている。そして、第1導電体41のうちのこの裏面側に突き出る部分と給電ポート32とが接触するように配置されている。第1導電体41としては、導体で構成されるガスケット,ばね接点,ピン,プレスフィット端子等を用いることができる。一例として、第1導電体41はピンであるものとする。
【0023】
第1導電体41としては、
図1に示すように、複数のアンテナ21a~21dに対応して、第1導電体41a~41dが設けられる。第1導電体41aは、給電ポート32aに接触する。第1導電体41bは、給電ポート32bに接触する。第1導電体41cは、給電ポート32cに接触する。第1導電体41dは、給電ポート32dに接触する。
【0024】
第2導電体42も、パターン線43に接続される導電体である。第2導電体42は、パターン線43のうちの第1導電体41と接する端点とは別の端点と接する。第2導電体42は、通信機1において、アンテナ21と接触するように配置されている。第2導電体42は、筐体2に第2基板4が組み付けられた状態において、筐体2に設けられたアンテナ21と接触するように配置されている。なお、アンテナ21が、第2導電体42と接触するように配置されていると言い換えることもできる。第2導電体42としては、導体で構成されるガスケット,ばね接点等を用いることができる。一例として、第2導電体42はばね接点であるものとする。
【0025】
第2導電体42としては、
図1に示すように、複数のアンテナ21a~21dに対応して、第2導電体42a~42dが設けられる。第2導電体42aは、アンテナ21aに接触する。第2導電体42bは、アンテナ21bに接触する。第2導電体42cは、アンテナ21cに接触する。第2導電体42dは、アンテナ21dに接触する。
【0026】
パターン線43は、アンテナ21への給電に用いられる。本実施形態の例では、パターン線43は、第2導電体42を介した間接的なアンテナ21への給電に用いられる。パターン線とは、銅箔などにより形成され、電気信号が流れる信号線である。パターン線43は、RF線と言い換えることができる。
【0027】
パターン線43としては、
図1に示すように、複数のアンテナ21a~21dに対応して、パターン線43a~43dが設けられる。パターン線43aは、一方の端点で第1導電体41aに接触し、他方の端点で第2導電体42aに接触する。パターン線43bは、一方の端点で第1導電体41bに接触し、他方の端点で第2導電体42bに接触する。パターン線43cは、一方の端点で第1導電体41cに接触し、他方の端点で第2導電体42cに接触する。パターン線43dは、一方の端点で第1導電体41dに接触し、他方の端点で第2導電体42dに接触する。
【0028】
通信機1は、筐体2に第1基板3及び第2基板4が組み付けられた状態においては、以下のように電気的に接続されることになる。アンテナ21aは、第2導電体42a、パターン線43a、第1導電体41a、及び給電ポート32aを介して、通信モジュール31と電気的に接続されることになる。アンテナ21bは、第2導電体42b、パターン線43b、第1導電体41b、及び給電ポート32bを介して、通信モジュール31と電気的に接続されることになる。アンテナ21cは、第2導電体42c、パターン線43c、第1導電体41c、及び給電ポート32cを介して、通信モジュール31と電気的に接続されることになる。アンテナ21dは、第2導電体42d、パターン線43a、第1導電体41d、及び給電ポート32dを介して、通信モジュール31と電気的に接続されることになる。
【0029】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、アンテナ21への給電に用いられるパターン線43が、通信モジュール31が設けられる第1基板3とは別の第2基板4に設けられるので、通信モジュール31を配置する回路基板上での電子部品を配置できるスペースをより広くすることが可能になる。また、このパターン線43は、通信モジュール31が設けられる第1基板3とは別の第2基板4に設けられるので、通信モジュール31を配置する回路基板上の電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。アンテナ21も、第1基板以外の筐体2に設けられるので、この電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。よって、アンテナ21で受信した信号及びアンテナ21が、この電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。よって、アンテナ21で受信した信号が、この電子部品からのノイズの影響を受けにくくなる。さらに、第1基板3に設けられる、通信モジュール31から配線される給電ポート32と、第2基板4に設けられる、パターン線43に接続される第1導電体41との接触によってアンテナ21に給電がなされるので、通信モジュール31から給電ポートまでの配線を短くしても給電を行うことができる。よって、通信モジュール31を配置する回路基板上の電子部品を避けて配線しなければならない煩わしさを低減することが可能になる。その結果、通信モジュール31とアンテナ21とを繋ぐ配線を容易にするとともに、通信モジュール31を配置する回路基板上での電子部品を配置できるスペースをより広くし、且つ、アンテナ21で受信した信号にこの電子部品からのノイズが影響を与えにくくすることが可能になる。上述した効果は、通信機1に設けられるアンテナ21の数が多くなるほど顕著となる。
【0030】
また、実施形態1の構成によれば、通信モジュール31等の第1基板3に設けられる電子部品で発生する熱が、例えば第1導電体41を通して第2基板4のGNDに移動しやすくなるので、放熱しやすくなる。
【0031】
(実施形態2)
前述の実施形態では、筐体2の筐体上面2Uにアンテナ21が設けられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、筐体2の面のうち、側面にあたる面にアンテナ21が設けられる構成としてもよい。他にも、第2基板4にアンテナ21が設けられる構成としてもよい。この場合、アンテナ21が第2導電体42と一体に設けられる構成としてもよいし、第2導電体42を設けずにアンテナ21とパターン線43とが直接接続される構成としてもよい。
【0032】
(実施形態3)
前述の実施形態では、通信機1にアンテナ21が複数設けられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、通信機1にアンテナ21が1つ設けられる構成としてもよい。
【0033】
(実施形態4)
前述の実施形態では、第2基板4の面のうちの、第1基板3の通信モジュール31と対向しない表面に、パターン線43が設けられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第2基板4の面のうちの、第1基板3の通信モジュール31と対向する裏面に、第1導電体41及びパターン線43が設けられる構成としてもよい。この場合、例えば第2導電体42は、第2基板4の表面から裏面に貫通して設けられることでパターン線43と接続される構成とすればよい。
【0034】
(実施形態5)
前述の実施形態では、第2基板4にGNDとして機能する平板状の金属導体が設けられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第2基板4に設けられるGNDが平板状以外の形状の金属導体であってもよい。また、第2基板4にGNDが設けられない構成としてもよい。
【0035】
(実施形態6)
前述の実施形態では、通信機1の上方が車両の天井方向を向いて用いられる例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、通信機1の上方が車両の床方向を向いて用いられる構成であってもよいし、他の方向を向いて用いられる構成であってもよい。
【0036】
(実施形態7)
前述の実施形態では、通信機1を車両で用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、通信機1を車両以外の移動体で用いる構成としてもよい。また、通信機1を移動体以外で用いる構成としてもよい。
【0037】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 通信機、2 筐体、2U 筐体上面、3 第1基板、4 第2基板、21,21a,21b,21c,21d アンテナ、31 通信モジュール、32,32a,32b,32c,32d 給電ポート、41,41a,41b,41c,41d 第1導電体、42,42a,42b,42c,42d 第2導電体、43,43a,43b,43c,43d パターン線