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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】光トランシーバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20241203BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20241203BHJP
   H01S 5/02212 20210101ALI20241203BHJP
   H01S 5/02251 20210101ALI20241203BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/022
H01S5/02212
H01S5/02251
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020188918
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077866
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 邦幸
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0161681(US,A1)
【文献】特開2018-081767(JP,A)
【文献】特開2014-092604(JP,A)
【文献】特開2004-087790(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111443441(CN,A)
【文献】中国実用新案第205301632(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/24-6/27
G02B 6/30-6/40
G02B 6/42-6/43
G02B 6/46-6/54
H01S 5/022
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びた直方体状の形状を有し、互いに前記長手方向と交差する短手方向に並ぶ第1側壁部および第2側壁部を備え、前記長手方向で外部装置のケージに挿抜可能な筐体と、
前記筐体に対して前記長手方向に所定の距離内で移動可能な状態で前記筐体に取り付けられる可動部材と、
湾曲した板状の形状を有する第1ばね部材と、
を有し、
前記第1側壁部は、前記長手方向に延び、前記第1ばね部材を収容する溝状の第1収容部を備え、
前記第1収容部は、
前記長手方向で互いに離隔した第1面および第2面と、
前記第1収容部の底を形成し、湾曲して前記第1面と前記第2面とをつなぐ第3面と、
を備えたU字状の第1内面を有し、
前記第1面は、前記第2面から前記長手方向において前記筐体を前記ケージに挿入する向きに離隔し、
前記可動部材は、前記第1収容部に突出する第1突出部を有し、
前記第1ばね部材は、
前記第1突出部を前記第1面に向けて押圧する第1押圧部と、
前記第2面を前記長手方向において前記第1面から離隔する向きに押圧する第2押圧部と、
湾曲して前記第1押圧部と前記第2押圧部とをつなぎ、前記第3面に接する第1連結部と、
を有し、
前記第1ばね部材の前記第1押圧部側の端部は、前記第1押圧部から離隔するほど前記長手方向において前記第1面から離隔するように湾曲している、光トランシーバ。
【請求項2】
前記第1連結部は、前記第1ばね部材が前記第1収容部に収容されているとき、前記第1押圧部および前記第2押圧部を互いに離隔する方向に付勢する、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記第1押圧部につながる平板状の平板部を有し、前記第1ばね部材の前記第1押圧部側の端部は、前記平板部を基準にして50°以上70°以下の角度で前記第2押圧部に向かって湾曲している、請求項1または請求項2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記第1ばね部材は、
前記第1押圧部から前記第3面に向けて延びる第1スリットと、
前記第2押圧部から前記第3面に向けて延びる第2スリットと、
を有し、
前記第1スリットの幅は、前記第1連結部から前記第1押圧部に近づくほど広く、
前記第2スリットの幅は、前記第1連結部から前記第2押圧部に近づくほど広い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記第1収容部は、前記第2面から前記第1面に向けて突出するとともに前記第2スリットを貫通して前記第1ばね部材の移動範囲を制限する制限部を有する、請求項4に記載の光トランシーバ。
【請求項6】
前記第1収容部は、前記第1面の前記第3面とは反対側の端部につながる第4面を有し、
前記第4面は、前記第1面の前記端部から離隔するほど、前記長手方向において前記第2面から離隔するように傾斜する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項7】
前記第1突出部は、
前記第1押圧部が接触する第5面と、
前記第3面に対向する第6面と、
を有し、
前記第5面と前記第6面とが交わる部分に面取りが施されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項8】
前記第1連結部は、前記第3面に接触する部分において第1曲率半径で湾曲し、
前記第3面は、前記第1連結部が接触する範囲内に、前記第1曲率半径よりも大きい第2曲率半径で湾曲する曲面を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項9】
前記可動部材は、前記長手方向と交差する前記筐体の短手方向で前記筐体を挟むようにして前記筐体に取り付けられた一対の板材を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項10】
前記一対の板材をつなぐ橋部を有する請求項9に記載の光トランシーバ。
【請求項11】
湾曲した板状の形状を有する第2ばね部材を有し、
前記第2側壁部は、前記長手方向に延び、前記第2ばね部材を収容する溝状の第2収容部を備え、
前記第2収容部は、
前記長手方向で互いに離隔した第7面および第8面と、
前記第2収容部の底を形成し、湾曲して前記第7面と前記第8面とをつなぐ第9面と、
を備えたU字状の第2内面を有し、
前記第7面は、前記第8面から前記長手方向において前記筐体を前記ケージに挿入する向きに離隔し、
前記可動部材は、前記第2収容部に突出する第2突出部を有し、
前記第2ばね部材は、
前記第2突出部を前記第7面に向けて押圧する第3押圧部と、
前記第8面を前記長手方向において前記第7面から離隔する向きに押圧する第4押圧部と、
湾曲して前記第3押圧部と前記第4押圧部とをつなぎ、前記第9面に接する第2連結部と、
を有し、
前記第2ばね部材の前記第3押圧部側の端部は、前記第3押圧部から離隔するほど前記長手方向において前記第7面から離隔するように湾曲している、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項12】
前記第2収容部は、前記筐体の前記短手方向の中心を通る平面について前記第1収容部と面対称となっている、請求項11に記載の光トランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
プルタブを初期位置に戻すためのばねを筐体とプルタブとの間に備えた光トランシーバが開示されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-508046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホストシステムのケージに活性挿抜可能な光トランシーバは、ケージに挿入されたときにケージと係合する。ケージと係合しているとき、ケージから露出しているプルタブは初期位置にあり、光トランシーバをケージから引き抜くことはできない。プルタブを初期位置から挿入方向と反対の方向に引くことでケージとの係合が解除されて光トランシーバをケージから抜去することができる。光トランシーバをケージから引き抜くとき以外は、プルタブは初期位置に維持されるよう、ばねには予荷重が与えられる。つまり、プルタブが初期位置にある状態においても、ばねは自然状態から変形した状態にある。このため、従来、光トランシーバを組み立てる際には、ばねの変形による反力を受けつつ、ばねを筐体とプルタブとの間に取り付けている。取り付け時にばねを過剰に変形させた場合には、ばねにへたりが生じることもある。また、光トランシーバを小型化するためには、小型のばねを狭い空間内に取り付ける必要がある。例えば、素手では扱えない程の小型のばねを適度に変形させつつ狭い場所に収容させなければならない。従って、従来の光トランシーバの組み立て作業は煩雑である。特に圧縮コイルばねが用いられる場合、作業の煩雑さが顕著である。
【0005】
本開示は、簡便に組み立てることができる光トランシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一観点によれば、光トランシーバは、長手方向に延びた直方体状の形状を有し、互いに前記長手方向と交差する短手方向に並ぶ第1側壁部および第2側壁部を備え、前記長手方向で外部装置のケージに挿抜可能な筐体と、前記筐体に対して前記長手方向に所定の距離内で移動可能な状態で前記筐体に取り付けられる可動部材と、湾曲した板状の形状を有する第1ばね部材と、を有し、前記第1側壁部は、前記長手方向に延び、前記第1ばね部材を収容する溝状の第1収容部を備え、前記第1収容部は、前記長手方向で互いに離隔した第1面および第2面と、前記第1収容部の底を形成し、湾曲して前記第1面と前記第2面とをつなぐ第3面と、を備えたU字状の第1内面を有し、前記第1面は、前記第2面から前記長手方向において前記筐体を前記ケージに挿入する向きに離隔し、前記可動部材は、前記第1収容部に突出する第1突出部を有し、前記第1ばね部材は、前記第1突出部を前記第1面に向けて押圧する第1押圧部と、前記第2面を前記長手方向において前記第1面から離隔する向きに押圧する第2押圧部と、湾曲して前記第1押圧部と前記第2押圧部とをつなぎ、前記第3面に接する第1連結部と、を有し、前記第1ばね部材の前記第1押圧部側の端部は、前記第1押圧部から離隔するほど前記長手方向において前記第1面から離隔するように湾曲している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光トランシーバを簡便に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。
図3図3は、第1収容部を示す断面図である。
図4図4は、第1収容部および第2収容部を示す斜視断面図である。
図5図5は、板ばねを示す斜視図である。
図6図6は、第1収容部および板ばねを示す斜視図である。
図7図7は、スライダを示す斜視図である。
図8図8は、上筐体、スライダ、第1収容部および板ばねを示す断面図である。
図9図9は、プルタブが前側に引っ張られた時の板ばねを示す断面図である。
図10図10は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その1)である。
図11図11は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その2)である。
図12図12は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その3)である。
図13図13は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その4)である。
図14図14は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す断面図(その1)である。
図15図15は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す断面図(その2)である。
図16図16は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す断面図(その3)である。
図17図17は、突出部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る光トランシーバは、長手方向に延びた直方体状の形状を有し、前記長手方向に延びる溝状の収容部を備え、前記長手方向で外部装置のケージに挿抜可能な筐体と、前記筐体に対して前記長手方向に所定の距離内で移動可能な状態で前記筐体に取り付けられる可動部材と、湾曲した板状の形状を有し、前記収容部に収容されたばね部材と、を有し、前記収容部は、前記長手方向で互いに離隔した第1面および第2面と、前記収容部の底を形成し、前記第1面と前記第2面とをつなぐ第3面と、を有し、前記第1面は、前記第2面から前記長手方向において前記筐体を前記ケージに挿入する向きに離隔し、前記可動部材は、前記収容部に突出する突出部を有し、前記ばね部材は、前記突出部を前記第1面に向けて押圧する第1押圧部と、前記第2面を前記長手方向において前記第1面から離隔する向きに押圧する第2押圧部と、湾曲して前記第1押圧部と前記第2押圧部とをつなぎ、前記第3面に接する連結部と、を有し、前記ばね部材の前記第1押圧部側の端部は、前記第1押圧部から離隔するほど前記長手方向において前記第1面から離隔するように湾曲している。
【0012】
ばね部材は第1押圧部、第2押圧部および連結部を有し、連結部が収容部の底を形成する第3面に接触する。従って、光トランシーバを組み立てる際には、連結部が第3面に接触するようにばね部材を収容部に挿入すれば、第1押圧部および第2押圧部に外部から荷重を負荷せずとも第1押圧部が第1面に接触し、第2押圧部が第2面に接触し、ばね部材に予荷重が付与される。また、ばね部材の第1押圧部側の端部が、第1押圧部から離隔するほど長手方向において第1面から離隔するように湾曲している。従って、可動部材の突出部を容易に第1押圧部と第1面との間に挿入することができる。このように、簡便な作業でばね部材および可動部材を筐体に取り付けることができる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記連結部は、前記ばね部材が前記収容部に収容されているとき、前記第1押圧部および前記第2押圧部を互いに離隔する方向に付勢することができる。この場合、光トランシーバをケージから取り外した後に可動部材を取り外し前の位置に戻しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記連結部は、前記第1押圧部につながる平板状の平板部を有し、前記ばね部材の前記第1押圧部側の端部は、前記平板部を基準にして50°以上70°以下の角度で前記第2押圧部に向かって湾曲していてもよい。この場合、突出部をばね部材の端部と第1面との間に挿入しやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記ばね部材は、前記第1押圧部から前記第3面に向けて延びる第1スリットと、前記第2押圧部から前記第3面に向けて延びる第2スリットと、を有し、前記第1スリットの幅は、前記連結部から前記第1押圧部に近づくほど広く、前記第2スリットの幅は、前記連結部から前記第2押圧部に近づくほど広くてもよい。この場合、連結部に作用する応力の均一性を向上し、応力集中に伴うばね部材の劣化を抑制しやすい。
【0016】
〔5〕 〔4〕において、前記収容部は、前記第2面から前記第1面に向けて突出するとともに前記第2スリットを貫通して前記ばね部材の移動範囲を制限する制限部を有してもよい。この場合、制限部により、ばね部材の回転等の移動の範囲を制限し、ばね部材の収容部からの離脱を抑制しやすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記収容部は、前記第1面の前記第3面とは反対側の端部につながる第4面を有し、前記第4面は、前記第1面の前記端部から離隔するほど、前記長手方向において前記第2面から離隔するように傾斜してもよい。この場合、突出部をばね部材の端部と第1面との間に挿入しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記突出部は、前記第1押圧部が接触する第5面と、前記第3面に対向する第6面と、を有し、前記第5面と前記第6面とが交わる部分に面取りが施されていてもよい。この場合、突出部をばね部材の端部と第1面との間に挿入しやすい。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記連結部は、前記第3面に接触する部分において第1曲率半径で湾曲し、前記第3面は、前記連結部が接触する範囲内に、前記第1曲率半径よりも大きい第2曲率半径で湾曲する曲面を有してもよい。この場合、可動部材の移動に伴うばね部材の変形を可能にしながら、ばね部材の回転を制限することができる。
【0020】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記可動部材は、前記長手方向と交差する前記筐体の短手方向で前記筐体を挟むようにして前記筐体に取り付けられた一対の板材を有してもよい。この場合、光トランシーバをケージから引き抜く際に可動部材に作用する荷重を分散することができる。
【0021】
〔10〕 〔9〕において、前記一対の板材をつなぐ橋部を有してもよい。この場合、両板材の間の荷重の偏りを抑制することができる。
【0022】
[本開示の実施形態]
本開示の実施形態は、例えばホストシステム(光伝送装置)のケージに挿抜可能な光トランシーバに関する。図1は、実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。図2は、実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。各図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。例えば、光トランシーバをケージに挿抜可能な方向は、X軸方向である。また、Y軸方向は、例えば、後述する2つの光レセプタクルが並ぶ方向である。本開示において、平面形状とは、Z軸方向から視たときの形状をいう。
【0023】
図1に示すように、実施形態に係る光トランシーバ1は、筐体91と、スライダ95と、プルタブ96とを有する。
【0024】
筐体91は、長手方向および短手方向を有する平面形状を有する。筐体91は、長手方向に長い概して直方体状の形状を有する。本実施形態では、長手方向はX軸方向に沿っており、短手方向はY軸方向に沿っている。長手方向は、例えば、光トランシーバ1をケージに挿抜する方向である。短手方向は、長手方向と交差する方向である。筐体91は、例えば、下筐体91Aと、上筐体91Bとを有する。下筐体91Aと上筐体91Bとは高さ方向に相対して配置される。高さ方向は、Z軸方向に沿っている。高さ方向は、長手方向および短手方向に交差する方向である。下筐体91Aは、内部に部品を収容するための内部空間を有する。内部空間は、+Z側に開口している。上筐体91Bは、下筐体91Aの開口を覆って閉じるように下筐体91Aに対して固定される。下筐体91Aおよび上筐体91Bは、例えば金属製である。
【0025】
下筐体91AのX軸方向の一方の端部(-X側端部)に、送信用の光レセプタクル92Tと、受信用の光レセプタクル92Rとが設けられている。筐体91は、ホストシステムのケージに+X側に挿入することができる。また、筐体91は、後述するプルタブ96を持ってケージから-X側に抜去することができる。光レセプタクル92Tおよび92Rは、例えばLC型のレセプタクルである。例えば、光レセプタクル92Tが光レセプタクル92Rよりも+Y側に設けられている。光レセプタクル92Tおよび光レセプタクル92RはY軸方向に並んで設けられている。光トランシーバ1は、光レセプタクル92Tに接続される光ファイバを介して光信号の送信を行い、光レセプタクル92Rに接続される別の光ファイバを介して光信号の受信を行う。光レセプタクル92Tおよび光レセプタクル92Rは、筐体91をケージに挿入したときにケージ内には収容されず、ホストシステムの外部に面し、光ファイバの先端に設けられた光コネクタと接続可能となっている。以降の説明では、X軸方向において、下筐体91Aが光レセプタクル92Tおよび92Rを有する側(-X側)を前側、その反対側(+X側)を後側ということがある。
【0026】
下筐体91Aは、筐体91の短手方向に並ぶ第1側壁部100および第2側壁部200を有する。第2側壁部200が第1側壁部100よりも+Y側に設けられている。第1側壁部100は光レセプタクル92Rの一部を構成し、第2側壁部200は光レセプタクル92Tの一部を構成する。下筐体91Aは、第1側壁部100および第2側壁部200の-Z側の端同士をつなぐ底壁部300を有する。底壁部300は光レセプタクル92Rおよび92Tの一部を構成する。第1側壁部100にX軸方向に延びる溝状の第1収容部110が形成され、第2側壁部200にX軸方向に延びる溝状の第2収容部210が形成されている。第1収容部110は、後述の板ばね150を収容し、第2収容部210は、後述の板ばね250を収容する。
【0027】
なお、筐体91は、筐体91のY軸方向の中心を通るZX平面について、概ね面対称の形状を有する。例えば、第1側壁部100は、第2側壁部200と面対称となっている。例えば、第1収容部は、第2収容部210と面対称となっている。例えば、光レセプタクル92Rは、光レセプタクル92Tと面対称となっている。このため、一方の側についての説明が他方の側についての説明を兼ねることがある。板ばね150、250、スライダ95等についても同様である。
【0028】
ここで、第1収容部110および第2収容部210について説明する。図3は、第1収容部110を示す断面図である。図4は、第1収容部110および第2収容部210を示す斜視断面図である。
【0029】
第1収容部110は、+Z側に開口するようにして第1側壁部100の外面に設けられている。第1収容部110は、X軸方向で互いに離隔した第1面111および第2面112と、第1面111と第2面112とをつなぐ第3面113とを有する。第3面113は、溝の底を形成する。例えば、第1面111、第2面112、および第3面113は、+Z方向に開いたU字状の内面を形成する。第1面111は、第2面112よりも後側(+X側)に設けられている。つまり、第1面111は、X軸方向(筐体91の長手方向)において第2面112からケージに挿入する向きに離隔して位置する。例えば、第1面111および第2面112は、それぞれX軸方向に垂直な面である。例えば、第3面113は、第2曲率半径で湾曲する曲面113Cと、曲面113Cと第1面111とをつなぐ平面113Aと、曲面113Cと第2面112とをつなぐ平面113Bとを含む。
【0030】
第1収容部110は、Y軸方向で互いに離隔した第1壁面121および第2壁面122を有する。第1壁面121は、第2壁面122よりも+Y側に設けられている。例えば、第1壁面121および第2壁面122は、Y軸方向に垂直な面である。第1壁面121および第2壁面122は、第1面111、第2面112及び第3面113につながる。第2壁面122のZ軸方向の寸法は、第1壁面121のZ軸方向の寸法よりも小さい。例えば、平面113Aと曲面113Cとの境界、および平面113Bと曲面113Cとの境界は、第2壁面122の+Z側の端部より-Z側に位置する。
【0031】
第1収容部110は、第2面112から第1面111に向けて突出し、板ばね150の移動範囲を制限する制限部130を有する。制限部130は、第2面112および平面113Bから第1面111に向けて突出していてもよい。
【0032】
下筐体91Aは+Z側に上面140を有し、第1面111と上面140とが交わる部分に面取りが施されて第4面114が形成されている。従って、第4面114は、第1面111の第3面113とは反対側の端部につながる。また、第4面114は、Z軸方向において上面140に近づくほど、すなわち第1面111の端部から離隔するほど、X軸方向において第2面112から離隔するように傾斜している。第4面114の面取りは、例えばC面取りであるが、R面取りであってもよい。
【0033】
例えば、X軸方向における第1面111と第2面112との間の距離は例えば7mm~9mm程度である。第1壁面121と第2壁面122との間の距離は例えば2mm~3mm程度である。上面140を基準とした第1収容部110の深さは例えば7mm~9mm程度である。第2曲率半径は例えば3.0mm程度である。
【0034】
次に、板ばね150について説明する。図5は、板ばね150を示す斜視図である。図6は、第1収容部110および板ばね150を示す斜視図である。板ばね150はばね部材の一例である。
【0035】
板ばね150は、例えば金属板を一方向に湾曲して形成されている。板ばね150の厚さは0.2mm~0.3mm程度である。図6に示すように、板ばね150は、第1収容部110に収容される。板ばね150は、第1押圧部151と、第2押圧部152と、第1押圧部151と第2押圧部152とをつなぎ、第3面113に接する連結部153とを有する。第1押圧部151は、後述の突出部170を第1面111に向けて押圧する。第2押圧部152は、第2面112をX軸方向において第1面111から離隔する向き、つまり-X側に押圧する。板ばね150は、例えばステンレス鋼、リン青銅等の金属製であり、板ばね150が第1収容部110に収容されて、連結部153が第1押圧部151および第2押圧部152をX軸方向に互いに離隔する方向に付勢する。
【0036】
例えば、連結部153は、第1曲率半径で湾曲する湾曲部153Cと、湾曲部153Cの両端にそれぞれにつながる平板部153Aおよび平板部153Bと、を有する。平板部153Aは、湾曲部153Cと第1押圧部151とをつなぐ。平板部153Bは、湾曲部153Cと第2押圧部152とをつなぐ。第1曲率半径は例えば2.8mm程度であり、第2曲率半径(3.0mm程度)は第1曲率半径よりも大きい。また、板ばね150の第1押圧部151側の端部154が、第2押圧部152に向かって湾曲している。すなわち、端部154は、第1押圧部151から離隔するほどX軸方向において第1面111から離隔するように湾曲している。端部154は平板部153Aを基準にして、X軸方向に例えば50°以上70°以下の角度、例えば60°程度で湾曲している。湾曲の角度は、好ましくは55°以上65°以下である。また、板ばね150の第2押圧部152側の端部155が、第1押圧部151に向かって湾曲していてもよい。すなわち、端部155が、第2押圧部152から離隔するほどX軸方向において第2面112から離隔するように湾曲していてもよい。端部155は平板部153Bを基準にして、例えば50°以上70°以下の角度、例えば60°程度で湾曲していてもよい。平板部153Aおよび153Bは、例えば自然状態で平板状であり、第1収容部110に収容された状態では若干湾曲していてもよい。ここで、自然状態とは、例えば、板ばね150が第1収容部に収容されておらず、外力を受けるなどして変形していない状態である。
【0037】
板ばね150に、第1押圧部151から湾曲部153Cの頂部153Dに向けて延びる第1スリット156と、第2押圧部152から湾曲部153Cの頂部153Dに向けて延びる第2スリット157とが形成されている。例えば、第1スリット156は平板部153Aから湾曲部153Cにかけて形成され、第2スリット157は平板部153Bから湾曲部153Cにかけて形成されている。板ばね150が第1収容部110に収容されると、第1スリット156は第1押圧部151から第3面113に向けて延び、第2スリット157は第2押圧部152から第3面113に向けて延びる。
【0038】
例えば、板ばね150の幅(Y軸方向の寸法)は2mm~3mm程度であり、端部154から連結部153を通って端部155にかけて一様である。第1スリット156の幅は一様ではなく、連結部153から第1押圧部151に近づくほど広い。従って、板ばね150のY軸方向で第1スリット156を間に挟む2つの部分の幅の和は、第1押圧部151に近づくほど小さくなっている。同様に、第2スリット157の幅は一様ではなく、連結部153から第2押圧部152に近づくほど広い。従って、板ばね150のY軸方向で第2スリット157を間に挟む2つの部分の幅の和は、第2押圧部152に近づくほど小さくなっている。
【0039】
板ばね150が自然状態にあるとき、平板部153Aと平板部153Bとがなす角の大きさは例えば30°程度である。自然状態での板ばね150のX軸方向での最大の寸法は8.0mm程度であり、第1面111と第2面112との間の距離(7.8mm程度)よりも大きい。従って、第1収容部110内に収容された板ばね150はX軸方向で圧縮されており、常時、連結部153が第1押圧部151および第2押圧部152を互いに離隔する方向に付勢する。板ばね150は、第1収容部110に収容されたとき、第1押圧部151と第2押圧部152とが自然状態よりも互いに近づくように変形して予荷重を与えられる。
【0040】
図6に示すように、板ばね150は、第1押圧部151が第1面111に対向し、第2押圧部152が第2面112に対向し、湾曲部153Cの頂部153Dが第3面113に接するようにして第1収容部110に収容される。第1壁面121および第2壁面122により、湾曲部153Cの近傍のY軸方向の移動が制限される。また、第1収容部110の制限部130が第2スリット157を貫通する。制限部130により、板ばね150のZX平面内での回転可能な範囲が制限されるとともに、平板部153Bの近傍のY軸方向の移動が制限される。
【0041】
次に、スライダ95の構成について説明する。スライダ95は、下筐体91AにX軸方向にスライド可能に取り付けられる。プルタブ96はスライダ95に固定される。スライダ95は、例えば金属製である。スライダ95は、例えば金属板を湾曲して形成されている。スライダ95は、例えば板金加工によって形成される。スライダ95の金属板の厚さは例えば0.5mm程度である。プルタブ96は、例えば樹脂製である。図7は、スライダ95を示す斜視図である。図8は、上筐体91B、スライダ95、第1収容部110および板ばね150を示す断面図である。なお、図8では、スライダ95の一部分(後述する連結板94および突出部170)のみ図示されている。
【0042】
図7に示すように、スライダ95は、一対の側板160、260と、これら側板160、260をつなぐ連結板94とを有する。側板160、260は、それぞれ下筐体91Aの第1側壁部100、第2側壁部200の外側面の面外方向に位置し、これら外側面に沿ってX軸方向に移動可能である。側板160の後側(+X側)の端部に、-Y側に延び出す突起161が形成され、側板260の後側(+X側)の端部に、+Y側に延び出す突起261が形成されている。突起161、261は、プルタブ96が-X方向に引かれたときに、-X方向に移動してケージの係合片(図示せず)を外側に押し出すことができる。係合片は、ケージの側面に設けられ、かつケージ内側に曲げられている。光トランシーバ1がホストシステムのケージ(図示せず)に挿入されたとき、係合片が筐体91に接触して係合状態となる。係合状態では、筐体91をケージから引き抜くことができなくなる。プルタブ96を-X方向に引くことでスライダ95が動き、突起161、261がそれぞれケージの係合片を外側に押し出して係合状態が解除される。係合状態が解除されると、光トランシーバ1はケージから抜去することができる。スライダ95は可動部材の一例である。側板160、260は板材の一例である。連結板94は橋部の一例である。スライダ95は、例えば1枚の金属板から板金加工によって形成されてもよい。
【0043】
連結板94の+X側の側面から-Z側に突出する一対の突出部170、270が設けられている。図8に示すように、突出部170は第1収容部110に突出し、第1押圧部151に接触する第5面175と、第3面113に対向する第6面176と、第1面111に接触する第7面177とを有する。
【0044】
上筐体91Bは、ねじ93(図2参照)を用いて下筐体91Aに固定される。上筐体91Bは、板ばね150の第2押圧部152側の端部155に近接する突起97を有する。突起97は、上筐体91Bから下筐体91Aの向き(-Z方向)に突出している。また、連結板94の下面は、板ばね150の第1押圧部151側の端部154に近接する。連結板94の下面は、例えば、XY平面に平行な面である。従って、制限部130に加えて、突起97および連結板94によっても板ばね150のZX面内での回転可能な範囲が制限される。また、板ばね150が第1収容部110から飛び出さないよう+Z方向への移動が制限される。
【0045】
次に、筐体91に収容された部品について説明する。図2に示すように、筐体91には、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)11と、ROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)12とが収容されている。筐体91には、更に、配線基板20と、フレキシブルプリント基板(flexible print circuit board:FPC)31および32と、ディジタル信号処理装置(digital signal processor:DSP)40とが収容されている。
【0046】
FPC31を介してTOSA11と配線基板20とが接続され、FPC32を介してROSA12と配線基板20とが接続されている。配線基板20の上面にDSP40が搭載されている。DSP40は、配線基板20に形成された配線と、FPC31および32とを介して、TOSA11およびROSA12によって行われる光電変換に係る電気信号を処理する。
【0047】
配線基板20の上面および下面の後側端部に複数の外部端子を含む端子群23が設けられている。光トランシーバ1がホストシステムのケージに挿入された時、これら端子群23がケージに設けられた複数の端子に接続される。例えば、端子群23は電気プラグを構成し、ケージに設けられた複数の端子によって構成される電気ソケットと嵌合する。嵌合したときに、端子群23の所定の端子とケージに設けられた複数の端子の所定の端子とが1対1に電気的に接続される。端子群23を介してホストシステムから光トランシーバ1の動作に必要な電力が供給され、ホストシステムと光トランシーバ1との間の電気信号の送受信が行われる。
【0048】
ここで、スライダ95の機能について説明する。図9は、プルタブ96が前側(-X側)に引っ張られた時の板ばね150を示す断面図である。
【0049】
プルタブ96が前側(-X側)に引っ張られると、プルタブ96に連結されたスライダ95が、筐体91に対して相対的に-X側に移動する。この結果、突起161が第1側壁部100の外側面の上を摺動してケージの係合片(図示せず)を-Y側に押し出し、ホストシステムのケージと筐体91との係合が解除される。なお、このとき、突起261も第1側壁部100の外側面の上を摺動してケージの別の係合片(図示せず)を+Y側に押し出す。このように、プルタブ96を前側(-X側)に引っ張ることで、スライダ95がスライドして係合が解除され、ホストシステムのケージに挿入された光トランシーバ1をケージから抜き出すことが可能となる。
【0050】
そして、第2押圧部152が第2面112を押圧し、第1押圧部151が突出部170を第1面111に向けて押圧しているため、プルタブ96の引っ張りが開放さると、スライダ95は筐体91に対して相対的に+X側に移動し、図8に示す状態に戻る。すなわち、板バネ150が突出部170の-X方向への移動によって変形し、変形によって生じた反力によって突出部170が+X方向へ押し戻されてプルタブ96が初期位置に戻される。プルタブ96が初期位置にあると、ホストシステムのケージと筐体91とは係合状態となり、筐体91をケージから抜くことはできなくなる。
【0051】
なお、図7に示すように、プルタブ96が前側(-X側)に引っ張られていない状態において、突起161、261がケージの係合片を押し出さないように、側板160、260の+X側の端部には折り曲げ加工が施されている。例えば、突起161は側板160よりも+Y方向に向かって曲げられており、突起261は側板260よりも-Y方向に向かって曲げられている。
【0052】
次に、光トランシーバ1を組み立てる方法について説明する。図10図13は、実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てる方法を示す斜視図である。図14図16は、実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てる方法を示す断面図である。
【0053】
まず、図10に示すように、配線基板20にDSP40を搭載し、配線基板20にFPC31を介してTOSA11を接続し、配線基板20にFPC32を介してROSA12を接続する。例えば、DSP40は、他の回路部品と共に配線基板20にはんだリフローによって表面実装されてもよい。FPC31、32の接続は、例えば、FPC31、32の両端にある端子をそれぞれ配線基板20の設けられた端子およびTOSA11あるいはROSA12に設けられた端子とはんだによって接続してもよい。次いで、下筐体91Aの開口を+Z側向きとし、TOSA11、ROSA12および配線基板20を、下筐体91Aの+Z側から-Z側に移動させて、下筐体91Aの内部空間に収容する。例えば、X軸方向において、TOSA11およびROSA12は、光レセプタクル92R、92Tと配線基板20との間に配置される。
【0054】
次いで、図11に示すように、第1収容部110の開口および第2収容部210の開口を+Z側向きとし、板ばね150、250を下筐体91Aの+Z側から-Z側に移動させて、第1収容部110、第2収容部210内にそれぞれ収容する。上記のように、自然状態(初期状態)での板ばね150のX軸方向での最大の寸法は、第1面111と第2面112との間の距離よりも大きい。従って、板ばね150を-Z側に移動させると、図14に示すように、第1押圧部151が第1面111に接触し、第2押圧部152が第2面112に接触しながら、板ばね150はX軸方向で圧縮され、第1収容部110内に収容される。このように、板ばね150に外部からX軸方向の荷重を負荷せずとも、予荷重が付与された状態で板ばね150を第1収容部110内に収容することができる。また、制限部130が第2スリット157を貫通し、板ばね150の頂部153Dは第3面113の曲面113Cに接触するため、板ばね150のZX平面内での回転可能な範囲が制限され、板ばね150が予荷重(反力)によって第1収容部110から離脱することを抑制することができる。
【0055】
次いで、図12に示すように、スライダ95とプルタブ96とを一体化し、これらを下筐体91Aの+Z側から-Z側に移動させて下筐体91Aに取り付ける。この時、X軸方向において、突出部170が、端部154の外側の面または第4面114に接触するように位置合わせする。この位置合わせの後にスライダ95を-Z側に移動させると、図15に示すように、突出部170は第4面114に沿って第1収容部110内に移動する。また、第5面175が第1押圧部151に接触し、第1押圧部151を-X側に移動させる。この結果、図16に示すように、突出部170が第1押圧部151と第1面111との間に挿入されて第1収容部110内に入り込み、第7面177が第1面111に接触して状態が安定する。
【0056】
次いで、図13に示すように、上筐体91Bを下筐体91Aの+Z側から-Z側に移動させて下筐体91Aの上に載置し、ねじ93を下筐体91Aの+Z側から-Z側に移動させ、下筐体91Aに設けられたねじ穴にねじ止めすることで上筐体91Bを下筐体91Aに固定する。
【0057】
このようにして、実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てることができる。
【0058】
本実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てる際には、連結部153が第3面113に接触するように板ばね150を第1収容部110に挿入すれば、第1押圧部151および第2押圧部152に外部から荷重を負荷せずとも第1押圧部151が第1面111に接触し、第2押圧部152が第2面112に接触し、板ばね150に予荷重が付与される。また、板ばね150の第1押圧部151側の端部154が第1押圧部151から離隔するほどX軸方向において第1面111から離隔するように湾曲している。従って、スライダ95の突出部170を容易に第1押圧部151と第1面111との間に挿入することができる。このように、簡便な作業で板ばね150およびスライダ95を筐体に取り付けることができる。
【0059】
更に、組み立て時に下筐体91Aに向かう各部品の移動方向を-Z側とすることができる。このため、組み立て作業を自動化する際に、ロボット等の機械の制御が極めて容易である。ここで、各部品は、例えば、板バネ150、スライダ95、上筐体91Bである。
【0060】
また、板ばね150が第1収容部110に収容されているとき、上述した予荷重によって連結部153が第1押圧部151および第2押圧部152を互いに離隔する方向に付勢するため、光トランシーバ1をケージから取り外した後にスライダ95を取り外し前の位置に戻しやすい。
【0061】
板ばね150の第1押圧部151側の端部154が平板部153Aを基準にして50°以上70°以下の角度で湾曲しているため、突出部170を端部154と第1面111との間に挿入しやすい。
【0062】
連結部153に適切な形状の第1スリット156および第2スリット157が形成されているため、連結部153に作用する板ばね150の反力(応力)の大きさのばらつきを抑制し、応力集中に伴う板ばね150の劣化を抑制しやすい。
【0063】
下筐体91Aに第4面114が形成されているため、突出部170を第4面114に沿って移動させることで、突出部170を端部154と第1面111との間に挿入しやすい。
【0064】
第1収容部110の第3面113の連結部153が接触する範囲内に、連結部153の第1曲率半径よりも大きい第2曲率半径で湾曲する曲面113Cが含まれるため、スライダ95の移動に伴う板ばね150の変形を可能にしながら、板ばね150の回転を制限することができる。
【0065】
スライダ95に一対の側板160、260が含まれるため、光トランシーバ1をケージから引き抜く際にプルタブ96からスライダ95に作用する荷重を分散することができる。また、一対の側板160、260が連結板94によりつながれているため、側板160、260の間の荷重の偏りを抑制することができる。
【0066】
なお、図17に示すように、突出部170の第5面175と第6面176とが交わる部分に面取りが施されて第8面178が形成されていてもよい。第8面178が形成されていると、第8面178に端部154が接触し、突出部170を端部154と第1面111との間に挿入しやすい。同様に、突出部170の第7面177と第6面176とが交わる部分に面取りが施されて第9面179が形成されていてもよい。第9面179に第4面114が接触し、突出部170を端部154と第1面111との間に挿入しやすい。第8面178、第9面179の面取りは、例えばC面取りであるが、R面取りであってもよい。図17は、突出部170の一例を示す断面図である。
【0067】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1:光トランシーバ
20:配線基板
23:端子群
31、32:FPC
40:DSP
91:筐体
91A:下筐体
91B:上筐体
92R、92T:光レセプタクル
94:連結板
95:スライダ
96:プルタブ
97:突起
100:第1側壁部
110:第1収容部
111:第1面
112:第2面
113:第3面
113A、113B:平面
113C:曲面
114:第4面
121:第1壁面
122:第2壁面
130:制限部
140:上面
151:第1押圧部
152:第2押圧部
153:連結部
153A、153B:平板部
153C:湾曲部
153D:頂部
154、155:端部
156:第1スリット
157:第2スリット
160、260:側板
161、261:突起
170:突出部
175:第5面
176:第6面
177:第7面
178:第8面
179:第9面
200:第2側壁部
210:第2収容部
270:突出部
300:底壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17