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特許7596729液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241203BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241203BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B41J2/165 203
B41J2/175 501
B41J2/165 101
B41J2/17 201
B41J2/175 503
B41J2/165 505
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020189453
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078633
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山岸 啓
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 昭寛
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5793389(US,A)
【文献】特開2019-162804(JP,A)
【文献】特開2007-21907(JP,A)
【文献】特開2016-168761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記供給ポンプ、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、
前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記ノズルから前記液体を排出させる加圧クリーニングを実行するために、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧するように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記供給ポンプ、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、
前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、
前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記供給ポンプ、前記吸引バルブ、前記加圧バルブ、および前記減圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、
前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記ノズルから前記液体を排出させる加圧クリーニングを実行するために、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧するように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと
前記供給ポンプと前記加圧バルブとの間に配置された加圧流路開放弁と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、
前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記供給ポンプ、前記吸引バルブ、前記加圧バルブ、および前記減圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、
前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で、前記減圧バルブおよび前記加圧流路開放弁を開いて前記供給ポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記クリーニングポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記クリーニングポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成され
前記制御部は、前記吸引バルブが閉じ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室内から前記廃液を排出するように構成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成される
ことを特徴とする請求項1または請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記吸引バルブが閉じ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室内から前記廃液を排出するように構成される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記吸引バルブが閉じ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室内から前記廃液を排出するように構成される
ことを特徴とする請求項または請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記排出バルブは、上流から下流への液体の流れを許容し、下流から上流への液体の流れを制限する一方向弁である
ことを特徴とする請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備え、前記制御方法は
前記加圧バルブを閉じた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧して、前記ノズルから前記液体を排出するクリーニングを実行することと、
記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項12】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備え、前記制御方法は
前記吸引バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、
前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記閉空間内に作用させることと、
記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項13】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、
前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
を備え、前記制御方法は
前記加圧バルブを閉じた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧して、前記ノズルから前記液体を排出するクリーニングを実行することと、
記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項14】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと
前記供給ポンプと前記加圧バルブとの間に配置された加圧流路開放弁と、
前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、
前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、
を備え、前記制御方法は
前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが閉じた状態であって、かつ、前記減圧バルブおよび前記加圧流路開放弁が開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、
前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させることと、
記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項15】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備え、前記制御方法は
前記吸引バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、
前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記閉空間内に作用させることと、
記加圧バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項16】
液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、
液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、
前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、
前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、
前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、
前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、
前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、
前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、
前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、
前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備え、前記制御方法は
記加圧バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することを含み、
前記圧力室から前記廃液を排出することは、前記吸引バルブが閉じた状態であって、かつ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することを含む、
とを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項17】
前記吸引バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、
前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記閉空間内に作用させることと、
を含むことを特徴とする請求項11または請求項16に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項18】
前記圧力室から前記廃液を排出することは、前記吸引バルブが閉じた状態であって、かつ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することを含む
ことを特徴とする請求項11から請求項14のうち何れか一項に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項19】
前記圧力室から前記廃液を排出することは、前記吸引バルブが閉じた状態であって、かつ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することを含む
ことを特徴とする請求項12または請求項15に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項20】
前記排出バルブは、上流から下流への液体の流れを許容し、下流から上流への液体の流れを制限する一方向弁である、
ことを特徴とする請求項11から請求項19のうち何れか一項に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置を開示している。この記録装置は、複数のポンプ、例えば、加圧クリーニングのための加圧ポンプ、吸引クリーニングのためのダイアフラムポンプ、および廃液を排出するための吸引ポンプを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-162804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体吐出装置の構造は、用途に応じてポンプを追加するにつれて、複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記供給ポンプ、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記供給ポンプ、前記吸引バルブ、前記加圧バルブ、および前記減圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0007】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記クリーニングポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0008】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備える。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【0009】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備える。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【0010】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備える。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における液体吐出装置を示す斜視図。
図2図1の液体吐出装置の概略構成を示す模式図。
図3図2の液体吐出装置においてクリーニングが実行されるときの模式図。
図4図2の液体吐出装置において加圧ワイピングが実行されるときの模式図。
図5図2の液体吐出装置が備える、液圧調整機構および開弁機構の模式図。
図6図2の液体吐出装置が備える吸引機構の概略構成を示す模式図。
図7図2の液体吐出装置のブロック図。
図8】第2実施形態の液体吐出装置の吸引機構の概略構成を示す模式図。
図9】第3実施形態の液体吐出装置の吸引機構の概略構成を示す模式図。
図10】第1実施形態の液体吐出装置の変更例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、液体吐出装置11および液体吐出装置11の制御方法に係る第1~第3実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置11は、例えば、用紙などの媒体Mに液体の一例であるインクを吐出して記録するインクジェット式のプリンターである。
【0013】
(第1実施形態)
<液体吐出装置の構成について>
図1に示すように、液体吐出装置11は、概して直方体状の本体部102と、画像読取部103と、自動給送部104とを備える。画像読取部103は本体部102の上に取り付けられている。自動給送部104は画像読取部103の上に取り付けられている。
【0014】
画像読取部103は、原稿に記録されている画像、例えば文字および写真を読み取るように構成されている。自動給送部104は、画像読取部103に向けて原稿を給送するように構成されている。画像読取部103は操作部105を有する。操作部105は、例えばタッチパネル式の液晶画面および操作用のボタンを有する。使用者は液体吐出装置11に指示を与えるために、操作部105を操作する。
【0015】
本体部102は、複数の媒体、例えば複数の用紙を収容可能な1または複数の媒体収容部106を有する。一例では、本体部102は、4つの媒体収容部106を有する。媒体収容部106は、本体部102に対して引出可能に収容される。本体部102は、載置部107をその上部に有する。載置部107は、記録が行われた媒体が載置される載置面107aを有する。
【0016】
媒体収容部106に収容された媒体は、図示しない給送ローラーによって載置部107まで搬送される。より詳細には、給送ローラーが媒体収容部106に収容された複数の媒体のうち最上位の媒体と接した状態で回転する。これにより、その最上位の媒体が媒体収容部106から媒体収容部106の上方へ送り出される。搬送される媒体に向けて液体吐出ヘッド13a(図2参照)が液体を吐出する。この吐出された液体が媒体に付着することにより、記録が行われる。記録後の媒体は、図示しない1または複数の排出ローラーにより、載置部107に向けて排出される。
【0017】
図2に示すように、液体吐出装置11は、液体吐出部13、液体収容部20、貯留部25、供給機構40、圧力調整部50、供給規制部60、液体加圧部70、メンテナンス部80、制御部100を備える。液体収容部20は、液体吐出部13に供給される液体を収容する。貯留部25は、液体収容部20から液体吐出部13に供給される液体を一時貯留する。供給機構40は、液体収容部20と、供給規制部60と、液体加圧部70と、に空気を送出するように構成される。圧力調整部50は、液体収容部20から液体吐出部13に供給される液体の圧力を調整するように構成される。供給規制部60は、液体収容部20から液体吐出部13への液体の供給を規制するように構成される。液体加圧部70は、液体吐出部13に供給される液体を加圧するように構成される。メンテナンス部80は、液体吐出部13のメンテナンスを行うように構成される。制御部100は、液体吐出装置11の各種構成要素の制御を行うように構成される。
【0018】
液体吐出装置11は、液体が流通するための複数の供給流路90を備える。複数の供給流路90は、第1供給流路91と、第2供給流路92と、第3供給流路93と、第4供給流路94と、第5供給流路95とを含む。第1供給流路91は、液体収容部20と貯留部25とを接続する。第2供給流路92は、貯留部25と圧力調整部50とを接続する。第3供給流路93は、圧力調整部50と供給規制部60とを接続する。第4供給流路94は、供給規制部60と液体加圧部70とを接続する。第5供給流路95は、液体加圧部70と液体吐出部13とを接続する。液体収容部20に収容された液体は、これら供給流路91~95を通じて、液体吐出部13に供給される。以降の説明では、これら供給流路において、第1供給流路91のある側を上流、第5供給流路95のある側を下流という。
【0019】
液体吐出部13は、液体を吐出可能な1または複数の液体吐出ヘッド13aを有する。各液体吐出ヘッド13aは、1または複数のノズル12が開口するノズル面12aを有する。各液体吐出ヘッド13aには、第5供給流路95が分岐して接続される。
【0020】
液体吐出ヘッド13aは、複数のノズル12から媒体Mに向かって液体を吐出する。例えば、液体吐出部13は、液体吐出ヘッド13aのノズル12毎に、液体を貯留するキャビティと、キャビティの一部を形成する振動板と、その振動板に貼付された圧電素子とを備える。それらの圧電素子の駆動により振動板を振動させることでキャビティの容積を変化させて、ノズル12から液体を吐出する。媒体Mに液体が吐出されることで、媒体Mに文字や画像が記録される。
【0021】
液体収容部20は、外力に応じて圧縮変形する液体収容体14を備える。液体収容体14は、例えば可撓性を有するフィルム部材で形成された袋である。液体収容体14は、第1供給流路91の上流端と連通する供給口を有する。液体収容部20は、液体収容体14を格納する収容容器21を備える。収容容器21は、第1供給流路91の上流端が接続される密閉容器である。第1送出流路41を介して収容容器21内に気体が流入すると、収容容器21内の圧力が高くなる。このように収容容器21内が加圧されると、液体収容体14が圧縮変形する。これにより、液体収容体14内に収容された液体が加圧され、下流にむけて供給される。なお、液体収容部20から液体吐出部13に供給される液体を一時貯留する貯留部25を含めた液体収容部20周辺の構成の詳細については後述する。
【0022】
供給機構40は、供給ポンプ44と、送出流路47とを備える。送出流路47は、複数の分岐流路、例えば第1送出流路41と、第2送出流路42と、第3送出流路43とを含んでもよい。供給ポンプ44は、例えば、空気を圧送する圧縮ポンプである。第1送出流路41は、供給機構40と液体収容部20とを接続する。第2送出流路42は、第1送出流路41と供給規制部60とを接続する。第3送出流路43は、第2送出流路42と液体加圧部70とを接続する。送出流路47、第1送出流路41、第2送出流路42、および第3送出流路43は、気体が流通可能な流路である。なお、気体は供給ポンプ44から、液体収容部20、供給規制部60および液体加圧部70に向けて流通するため、以降の説明では、供給ポンプ44のある側を上流側といい、液体収容部20、供給規制部60および液体加圧部70のある側を下流側という。
【0023】
供給機構40は、第3送出バルブ45と、第4送出バルブ46と、を備える。第3送出バルブ45は、第2送出流路42を介して、開弁時に供給ポンプ44から供給規制部60への気体の流通を許容する一方、閉弁時に供給ポンプ44から供給規制部60への気体の流通を規制する。また、第4送出バルブ46は、第3送出流路43を介して、開弁時に供給ポンプ44から液体加圧部70への気体の流通を許容する一方、閉弁時に供給ポンプ44から液体加圧部70への気体の流通を規制する。供給機構40は、第2送出流路42および第3送出流路43を介して、第3送出バルブ45および第4送出バルブ46の開閉状態に応じて、供給規制部60および液体加圧部70に対して気体を送出する。なお、バルブを開くことを開弁するといい、バルブを閉じることを閉弁するという。
【0024】
圧力調整部50は、液体吐出ヘッド13aで液体が吐出されることによって、液体吐出ヘッド13aと連通する第3供給流路93内の液体の圧力が大気圧よりも小さな所定圧力未満になると、第2供給流路92と第3供給流路93とを連通させる。一方、圧力調整部50は、第2供給流路92と第3供給流路93とを連通させることによって、第3供給流路93内の液体の圧力が所定圧力以上となると、第2供給流路92と第3供給流路93とを非連通とする。
【0025】
圧力調整部50は、液体吐出ヘッド13aに供給する液体の圧力が所定圧力以下の圧力となるように調整する。一例では、圧力調整部50は、圧力調整部50よりも上流にある液体が大気圧以上の圧力、例えば約20Paとなり、圧力調整部50よりも下流にある液体が大気圧未満の圧力、例えば約-1kPaとなるように調整する。
【0026】
各液体吐出ヘッド13aは、液体の種類毎に設けられた複数の圧力調整部50を有する。例えば、各液体吐出ヘッド13aに4種類の液体が供給される場合、1つの液体吐出ヘッド13aには液体の種類毎に圧力調整部50が4つ設けられる。
【0027】
図2に示すように、供給規制部60には、気体を貯留可能な気体室61と、液体を貯留可能な液体室62と、液体室62内において液体室62から気体室61に向かう方向に突出形成された突出部63と、が形成される。供給規制部60は、フィルム部材64と、付勢部材65と、第1開放バルブ66と、を備える。フィルム部材64は、気体室61と液体室62とを区画する。付勢部材65は、液体室62内においてフィルム部材64を液体室62の容積を増大させる方向に付勢する。第1開放バルブ66は、開弁により液体室62を大気開放する。
【0028】
気体室61は、第2送出流路42の下流端と連通し、液体室62は、第3供給流路93の下流端および第4供給流路94の上流端と連通する。第4供給流路94の上流端は、突出部63の開口67を介して液体室62と連通する。フィルム部材64は、可撓性を有し、気体室61と液体室62との圧力差に応じて、気体室61及び液体室62の容積を増減させる方向に変位する。また、フィルム部材64は、突出部63の開口67を閉塞可能に構成される。第1開放バルブ66は、開弁時に気体室61と大気とを連通する一方、閉弁時に気体室61と大気とを非連通とする。すなわち、フィルム部材64の配置が図2に示す配置のときに、付勢部材65の付勢力によって突出部63の開口67が開放されるため、第3供給流路93から第4供給流路94への液体の供給が許容される。
【0029】
図2に示すように、液体加圧部70は、気体を貯留可能な気体室71と、液体を貯留可能な液体室72と、を有する。液体加圧部70は、フィルム部材73と、付勢部材74と、第2開放バルブ75と、を備える。フィルム部材73は、気体室71と液体室72とを区画する。付勢部材74は、液体室72内においてフィルム部材73を液体室72の容積を増大させる方向に付勢する。第2開放バルブ75は、開弁により液体室72を大気開放する。
【0030】
気体室71は、第3送出流路43の下流端と連通し、液体室72は、第4供給流路94の下流端および第5供給流路95の上流端と連通する。フィルム部材73は、可撓性を有し、気体室71と液体室72との圧力差に応じて、気体室71及び液体室72の容積を増減させる方向に変位する。また、第2開放バルブ75は、開弁時に気体室71と大気とを連通する一方、閉弁時に気体室71と大気とを非連通とする。
【0031】
<液体収容体周辺の構成について>
図2に示すように、液体収容部20において、液体収容体14には液体が収容されている。この液体は、液体吐出ヘッド13aに供給される。液体吐出装置11には複数の収容容器21が着脱可能に装着される。各収容容器21は、対応する液体収容体14を収容する。
【0032】
液体吐出装置11には、例えば、2つの収容容器21が着脱可能に装着される。この2つの収容容器21は、同種の液体を収容する。さらに、他の種類の液体に対応する収容容器21が液体吐出装置11に装着されてもよい。そして、使用される全ての液体において、複数の収容容器21を装着可能な構成にしてもよい。また、収容容器21が液体吐出装置11に対して取り外せないように装着されて、液体収容体14のみが着脱交換されるようにしてもよい。
【0033】
第1液体収容体14fと第2液体収容体14sとは、同じ種類の液体を収容する。供給機構40は、第1液体収容体14fと第2液体収容体14sとのうちの少なくとも一つに気体を送出して加圧することにより、加圧された液体収容体に収容された液体を第1供給流路91に流出させて、下流の圧力調整部50に向けて液体を供給する。すなわち、供給機構40は、第1液体収容体14fと第2液体収容体14sとを選択的に加圧可能である。加圧されるために選択された液体収容体14を、加圧先の液体収容体14という。なお、2つの液体収容体14のうち、先に使用が開始される液体収容体14を第1液体収容体14fといい、第1液体収容体14fの次に使用が開始される液体収容体14を第2液体収容体14sという。したがって、第1液体収容体14fの液体がなくなって、第1液体収容体14fが新しい液体収容体14に交換された場合には、次に使用が開始された第2液体収容体14sが第1液体収容体14fとなり、交換された新しい液体収容体14が第2液体収容体14sとなる。すなわち、第1液体収容体14fが第2液体収容体14sと、第2液体収容体14sが第1液体収容体14fと、読み替えられる。
【0034】
第1供給流路91は、同じ種類の液体を収容した2つの液体収容体14に個別に接続される2つの導出流路22と、圧力調整部50を通じて2つの導出流路22と液体吐出ヘッド13aとを接続する合流流路23とを含む。2つの導出流路22には、バルブが個別に設けられる。第1液体収容体14fに接続される導出流路22に設けられたバルブを第1バルブ24fといい、液体収容体14を第2液体収容体14sに接続される導出流路22に設けられたバルブを第2バルブ24sという。
【0035】
第1液体収容体14fに接続される導出流路22と、第2液体収容体14sに接続される導出流路22とは、合流流路23との合流地点において合流する。これにより、2つの導出流路22は、第1液体収容体14fと、第2液体収容体14sとを接続する接続流路26を形成する。すなわち、第1供給流路91は、接続流路26と、接続流路26と液体吐出ヘッド13aとを接続する合流流路23と、を含む。
【0036】
第1バルブ24fは、接続流路26における第1液体収容体14fと合流流路23との間の部分に設けられ、第1液体収容体14f内の液体を供給する際に接続流路26を開放する。また、第2バルブ24sは、接続流路26における第2液体収容体14sと合流流路23との間の部分に設けられ、また、第2液体収容体14s内の液体を供給する際に接続流路26を開放する。これにより、接続流路26は、第1液体収容体14fと、第2液体収容体14sとを選択的に合流流路23に接続可能に構成される。
【0037】
図2に示すように、供給機構40は、第1送出流路41を介して液体収容部20に対して気体を送出する。供給機構40は、第1送出流路41と、送出バルブ29と、供給ポンプ44と、を備える。第1送出流路41は2つの気体送出路28を有する。第1送出流路41において、2つの気体送出路28は、供給機構40と、2つの収容容器21の内部空間と、を個別に連通する。これにより、供給ポンプ44は、対応する気体送出路28を通じて、各収容容器21の内部空間に気体を送出する。各気体送出路28には、対応する送出バルブ29が設けられる。第1液体収容体14fを収容する収容容器21に連通する気体送出路28に設けられた送出バルブ29を第1送出バルブ29fという。第2液体収容体14sを収容する収容容器21に連通する気体送出路28に設けられた送出バルブ29を第2送出バルブ29sという。
【0038】
供給ポンプ44は、各収容容器21に対して個別に設けられてもよい。また、前述したように、供給機構40は、供給規制部60および液体加圧部70に対しても気体を送出する。供給規制部60および液体加圧部70に対して気体を送出する供給ポンプ44とは別に、収容容器21に対して気体を送出する供給ポンプが設けられてもよい。すなわち、それぞれの送出先に対応して個別の供給ポンプが設けられてもよい。
【0039】
第1液体収容体14fに対応する第1送出バルブ29fおよび第1バルブ24fが開弁され、次に使用する第2液体収容体14sに対応する第2送出バルブ29sおよび第2バルブ24sが閉弁される。そして、供給ポンプ44の駆動によって気体送出路28を通じて気体が送出されると、その気体が収容容器21内に入って第1液体収容体14fを収容する収容容器21内が加圧される。このようにして、第1液体収容体14f内の液体が、選択的に液体吐出ヘッド13aへ送出される。
【0040】
第1バルブ24fおよび第2バルブ24sはともに、上流側から下流側への液体の流れを許容し、下流側から上流側への液体の流れを制限する一方向弁であってもよい。この場合、第1液体収容体14fに対応する第1送出バルブ29fが開弁され、第2液体収容体14sに対応する第2送出バルブ29sが閉弁されて、供給ポンプ44が駆動されると、収容容器21内の圧力が上昇した第1液体収容体14f内の液体のみが、液体吐出ヘッド13aへ送出される。なお、第1バルブ24fおよび第2バルブ24sは、制御部100によって開閉される開閉弁であってもよい。
【0041】
図2に示すように、貯留部25は、検知部31と、可動壁32と、移動体33と、第1付勢部材34と、レバー35と、第2付勢部材36とを有する。移動体33は、可動壁32の変位に伴って移動する。第1付勢部材34は、移動体33を可動壁32に近づく方向に付勢する。レバー35は、移動体33の移動に伴って変位する。第2付勢部材36は、レバー35を移動体33に近づく方向に付勢する。検知部31は、レバー35の変位を検出する。
【0042】
第1供給流路91における液体の圧力が低下すると、可動壁32が貯留部25の内側に向けて変位するのに伴って、移動体33が第1付勢部材34の付勢力によって可動壁32に近づく方向に移動する。これにより、移動体33に押圧されていたレバー35が、第2付勢部材36の付勢力によって変位するため、検知部31がそのレバー35の変位を検知する。
【0043】
貯留部25は、その内部に液体を一時的に貯留可能であり、合流流路23に設けられる。液体吐出ヘッド13aで使用中の液体収容体14内の液体の残量が第1閾値QL1を下回ったときに、第1供給流路91における液体の供給圧力が加圧閾値PLとなって検知部31がレバー35の変位を検出する。そのように第1閾値QL1の値を設定しておけば、検知部31によって、液体収容体14内の液体の残量が第1閾値QL1を下回ったことを検知することができる。すなわち、貯留部25は、貯留部25内の液体の量を検知することにより、液体吐出ヘッド13aで使用中の前記液体収容体14内の液体の残量を検知可能な検知部31を備える。また、検知部31は、貯留部25に貯留された液体の量を検知することで、液体吐出ヘッド13aで使用中の液体収容体14内の液体の残量を検知する構成である。より詳しくは、液体吐出ヘッド13aがいずれか一方の液体収容体14の内部にある液体を排出中であるとき、検知部31は、貯留部25に貯留された液体の量を検知することで、その液体収容体14内の液体の残量を検知する。
【0044】
検知部31は、例えば光学式のセンサーであり、発光部と受光部とを有する。受光部が発光部からの光を受光する状態から、受光部が発光部からの光を遮られる状態に変化したときに、検知部31は、液体吐出ヘッド13aで使用中の液体収容体14内の液体の残量が第1閾値QL1を下回ったことを検知する。連続的な変位を検出可能な光学式や磁気式のリニアエンコーダーを用いて、検知部31が、レバー35の変位を連続的に測定できるようにしてもよい。
【0045】
貯留部25は大気開放孔を有するタンクを有してもよい。この場合、検知部31は、貯留部25内の液体の液面を検知することにより、貯留部25内の液体の量を検知してもよい。また、検知部31は貯留部25以外の場所に設けられてもよい。例えば、それぞれの液体収容体14が、液体収容体14内の液体の残量を検知可能な検知部31を備えてもよい。
【0046】
<メンテナンス部の構成について>
図2に示すように、メンテナンス部80は、クリーニング機構81と、ワイピング機構82とを備える。液体吐出ヘッド13aにおいて、ノズル12の目詰まりまたは異物の付着などに起因して生じる吐出不良の予防または解消のために、制御部100の制御によりメンテナンス動作、例えばフラッシング、キャッピング、吸引クリーニング、またはワイピングが行なわれる。
【0047】
クリーニング機構81は、開口を有する箱状のキャップ83と、キャップ83を昇降させる図示しない昇降機構と、を備える。キャップ83は、昇降することによって、ノズル12が開口する空間を閉空間として囲み形成するキャッピング位置と、ノズル12が開口する空間を開放空間とする開放位置と、の間で相対移動する。
【0048】
フラッシングとは、ノズル12から記録とは関係のない液滴が排出されるための吐出動作をいう。フラッシングによって、吐出不良の原因となる増粘した液体、気泡または異物がノズル12から排出されるため、ノズル12の目詰まりを予防することができる。液体吐出ヘッド13aがキャップ83内に向かってノズル12から液滴を吐出することで、フラッシングが行なわれる。
【0049】
キャッピングとは、液体吐出ヘッド13aが液体の吐出を行わないときに、キャップ83が、キャッピング位置に配置されることにより、ノズル12の開口を囲うように液体吐出ヘッド13aに当接する動作をいう。これにより、液体吐出ヘッド13aのノズル12が開口するノズル面12aとの間に閉空間域を囲み形成する。キャッピングによって、ノズル12内の液体の増粘が抑制されるため、吐出不良の発生が予防できる。
【0050】
クリーニング機構81は、排出流路85と、排出流路85に設けられる複数の吸引バルブ86と、を備える。排出流路85は、吸引機構84に接続される1の下流端と、複数の上流端とを有し、各上流端は、対応するキャップ83に接続されている。各分岐した排出流路85の途中には、対応する吸引バルブ86が配置される。吸引バルブ86は、排出流路85を開閉するように構成される。
【0051】
吸引クリーニングとは、液体吐出ヘッド13aのノズル12に吸引力が加えられてノズル12から強制的に液体が排出される動作をいう。キャップ83がキャッピング位置に配置されることにより、キャップ83が、液体吐出ヘッド13aのノズル12が開口する下面側との間に閉空間CS(図3参照)を画定する。吸引機構84は、閉空間CS(図3参照)に負圧を作用させる。そして、その負圧によってノズル12から液体が吸引されて排出されることにより、吸引クリーニングが実行される。
【0052】
ワイピング機構82は、弾性を有するワイパー88と、ワイパー88を支持するワイパー支持部89と、図示しない移動機構と、を備える。移動機構は、ワイパー支持部89を液体吐出ヘッド13aの配列方向に移動させるように構成される。
【0053】
ワイピングとは、ワイパー88によりノズル面12aを払拭する動作をいう。ワイピングによって、液体吐出ヘッド13aのノズル面12aに付着する液体、および塵埃などの汚れが除去される。
【0054】
吸引クリーニングが行なわれた後には、液体吐出ヘッド13aの内部の液体を加圧して、その後にワイピングを行なってもよい。液体吐出ヘッド13aの内部の液体が加圧されるため、このクリーニングを加圧クリーニングという。
【0055】
吸引クリーニングが行なわれた後に、液体吐出ヘッド13aの内部の液体が加圧されることで加圧クリーニングが行われる。加圧クリーニングの後には、ワイピングが行なわれる。この加圧クリーニングにおける供給機構40、供給規制部60、液体加圧部70、およびメンテナンス部80の動作について説明する。
【0056】
図3に示すように、制御部100は、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aが1つ以上ある場合、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aに対応するキャップ83を選択的にキャッピング位置に移動させる。そして、制御部100は、吸引機構84を所定期間駆動させることにより、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aに対して選択的に吸引クリーニングを実行する。
【0057】
吸引機構84が、排出流路85を介して、閉空間CS内の空気を吸引することで閉空間CSが負圧になる。閉空間CSに開口するノズル12は、第5供給流路95と、液体加圧部70の液体室72と、第4供給流路94と、供給規制部60の液体室62と、を介して、第3供給流路93と連通する。これにより、第3供給流路93の圧力が所定圧力未満となる。圧力調整部50は第2供給流路92と第3供給流路93とを連通させる。すると、液体収容部20から液体吐出部13に連続的に液体が供給され、その液体が、図3に示すように、吸引クリーニングの対象となっている液体吐出ヘッド13aから排出される。液体吐出ヘッド13aから排出された液体は、キャップ83および排出流路85を通じて排出される。
【0058】
制御部100は、全てのキャップ83を開放位置に移動させる。より詳しくは、吸引クリーニングの対象となっていない液体吐出ヘッド13aに対応するキャップ83については既に開放位置にあるため、制御部100は、キャッピング位置にあるキャップ83を開放位置に移動させる。なお、キャップ83の開放位置への移動は、吸引機構84の駆動の停止後に、閉空間CSの圧力が負圧となっている状態で行ってもよいし、閉空間CSの圧力が大気圧と略等しくなった状態で行ってもよい。
【0059】
制御部100は、第1開放バルブ66を閉弁させた状態で第3送出バルブ45を開弁させる。これにより、第2送出流路42を介して、供給ポンプ44から供給規制部60の気体室61に対して図3に示す実線の矢印の方向に気体が流入し、気体室61に対する気体の流入量が大きくなるにつれて、気体室61の圧力が次第に高くなる。
【0060】
図4に示すように、気体室61の圧力が液体室62の圧力よりも大きくなると、フィルム部材64が、付勢部材65の付勢力に抗して液体室62の容積を減少させる。そして、フィルム部材64は図4に示す実線の位置に変位し、液体室62内にある突出部63の開口67を閉塞する。これにより、第3供給流路93と第4供給流路94とが連通しなくなるので、圧力調整部50と液体加圧部70とが連通しなくなる。換言すれば、供給規制部60によって、液体収容部20から液体吐出部13への液体の供給が規制される。
【0061】
制御部100は、第2開放バルブ75を閉弁させた状態で第4送出バルブ46を開弁させる。これにより、第3送出流路43を介して、供給ポンプ44から液体加圧部70の気体室71に対して、図4に示す実線の矢印の方向に気体が流入し、気体室71に対する気体の流入量が大きくなるに連れて、気体室71の圧力が次第に高くなる。
【0062】
図4に示すように、気体室71の圧力が液体室72の圧力よりも大きくなると、フィルム部材73が、付勢部材74の付勢力に抗して液体室72の容積を減少させる図4に示す実線の位置に変位する。これにより、液体加圧部70の液体室72と、第4供給流路94と、第5供給流路95と、液体吐出ヘッド13aの内部およびノズル12の内部と、にある液体が加圧される。
【0063】
全ての液体吐出ヘッド13aのノズル12において、ノズル12内の液圧が大気圧よりも高くなることで、全ての液体吐出ヘッド13aのノズル12から液体が漏出する。なお、ノズル12から液体が漏出するとは、ノズル12の内部に向かって凹状に形成されたメニスカスが壊れ、ノズル12から溢れ出た液体がノズル面12aに広がっている状態をいう。この状態で、制御部100は、図示しない移動機構を駆動して、全ての液体吐出ヘッド13aのノズル面12aをワイパー88で払拭するワイピングを実行する。加圧によりノズル12から液体を漏出させた後に、その液体がワイパー88により払拭されるため、この動作を加圧ワイピングともいう。
【0064】
制御部100は、第3送出バルブ45を閉弁させて、第1開放バルブ66を開弁させる。供給ポンプ44から供給規制部60の気体室61に対する気体の流入が規制された状態で、供給規制部60の気体室61が大気開放されることで、気体室61の圧力が大気圧まで低くなる。これにより、フィルム部材64が、付勢部材65の付勢力によって、液体室62の容積を増大させる方向に変位し、フィルム部材64が液体室62の突出部63の開口67を開放する。そして、第3供給流路93と第4供給流路94とが連通し、圧力調整部50と液体加圧部70とが連通する。換言すれば、供給規制部60が規制していた液体収容部20から液体吐出部13への液体の供給が許容される。なお、液体室62の容積の増大に伴って、液体室62に流入する液体は、第3供給流路93から供給される。
【0065】
制御部100は、第4送出バルブ46を閉弁させて、第2開放バルブ75を開弁させる。供給ポンプ44から液体加圧部70の気体室71に対する気体の流入が規制された状態で、液体加圧部70の気体室71が大気開放されることで、気体室71の圧力が大気圧まで低くなる。これにより、フィルム部材73が、付勢部材74の付勢力によって、液体室72の容積を増大させる方向に変位する。そして、液体室72の容積が増大するに伴って、液体室72に流入する液体は、第4供給流路94から供給される。すなわち、第5供給流路95から供給されることが抑制される。そして、制御部100は、加圧クリーニング動作を終了する。
【0066】
圧力調整部50、供給規制部60、および液体加圧部70は、図5に示す液圧調整機構280および開弁機構290としてもよい。液圧調整機構280および開弁機構290は、貯留部25と液体吐出ヘッド13aとの間に設けられる。
【0067】
図5に示すように、液圧調整機構280は、貯留部25よりも下流側の位置に、フィルター部220と一体で設けられる。液圧調整機構280は、上流側フィルター室222と、下流側フィルター室223と、液室282と、弁体283と、受圧部材284とを備える。上流側フィルター室222は貯留部25と連通する。下流側フィルター室223は異物を捕集するフィルター221を介して上流側フィルター室222と連通する。液室282は連通孔281を介して下流側フィルター室223と連通するとともに、液体吐出ヘッド13aと連通する。弁体283は連通孔281を開閉可能に構成される。受圧部材284は、基端側が下流側フィルター室223に収容されるとともに、先端側が液室282に収容される。
【0068】
液室282は、液体を貯留可能に構成される。液室282の壁面の一部は、撓み変位可能な可撓壁285により形成される。弁体283は、例えば、下流側フィルター室223内に位置する受圧部材284の基端部分に取り付けられたゴムまたは樹脂などの弾性体であってもよい。
【0069】
液圧調整機構280は、下流側フィルター室223に収容される第1押付部材286と、液室282に収容される第2押付部材287と、を備える。第1押付部材286は、受圧部材284を介して、連通孔281を閉塞する方向に弁体283を押し付ける。第2押付部材287は、可撓壁285が液室282の容積を小さくする方向に撓み変位することによって可撓壁285が受圧部材284を押したときに、受圧部材284を可撓壁285に向けて押し返す。
【0070】
液室282の内圧が低下することによって、可撓壁285が受圧部材284を押す力が第1押付部材286および第2押付部材287の押付力を上回った場合に、弁体283は連通孔281を開放する。連通孔281が開放されることにより下流側フィルター室223から液室282に液体が流入すると、液室282の内圧が上昇する。その結果、液室282の内圧が正圧まで上昇する前に、第1押付部材286および第2押付部材287の押付力によって弁体283が連通孔281を閉塞する。このようにして、液室282の内圧は、第1押付部材286及び第2押付部材287の押付力に応じた負圧の範囲に保持される。
【0071】
液室282の内圧は、液体吐出部13からの液体の排出に伴って低下する。弁体283は、液室282の外圧である大気圧と液室282の内圧との差圧に応じて自律的に連通孔281を開閉する。そのため、液圧調整機構280は差圧弁である。
【0072】
図5に示すように、開弁機構290は、強制的に連通孔281を開いて液体を図2に示す液体吐出ヘッド13aに供給する。開弁機構290は、加圧袋292と通気流路293とを備える。加圧袋292は、可撓壁285により液室282と区画された収容室291に収容される。通気流路293は、図2に示す供給機構40の供給ポンプ44から送出された気体を加圧袋292内に流入させる。
【0073】
開弁機構290は、通気流路293を通じて流入する気体により加圧袋292が膨張し、可撓壁285を液室282の容積を小さくする方向に撓み変位させることによって、強制的に連通孔281を開放する。液体吐出装置11は、連通孔281が開放された状態で図2に示す液体収容部20から液体吐出ヘッド13aに液体を加圧供給することにより、液体吐出ヘッド13aのノズル12から液体を漏出させる加圧クリーニングを可能に構成される。
【0074】
<液体の残量の算出方法について>
液体収容体14に収容された液体は、加圧されることによって液体吐出ヘッド13aに供給される。そのため、制御部100は、第1液体収容体14fが加圧されているときに液体吐出ヘッド13aから排出される液体の量に基づいて、第1液体収容体14f内の液体の残量を算出する。より詳しくは、制御部100は、液体収容体14に収容される液体の量を表す収容量Q1と、その液体収容体14が加圧されているときに液体吐出ヘッド13aから排出される液体の量である総排出量Q2と、に基づいて、その液体収容体14内の液体の残量Q3を算出する。すなわち、液体収容体14内の液体の残量Q3は、液体収容体14毎に算出される。制御部100は、液体収容体14の使用が開始されてから、その液体収容体14内の液体がなくなるまで、液体吐出ヘッド13aから液体が排出される度に残量Q3の算出を行う。
【0075】
収容量Q1とは、未使用の液体収容体14における液体の収容量である。液体収容体14を収容した収容容器21または液体収容体14の出荷時において、液体収容体14における液体の収容量が一定値で管理されているときは、その値が収容量Q1である。すなわち、収容量Q1は、未使用の液体収容体14を収容した収容容器21が装着されたときに、その液体収容体14に収容されている液体の量である。
【0076】
収容容器21が液体吐出装置11に装着されたときに、収容容器21と液体吐出装置11とが電気的に接続されてもよい。このとき、制御部100は、収容容器21のICチップから、その収容容器21に関する各種の情報を読みとってもよい。収容容器21が出荷されるときに、その収容容器21に収容されている液体収容体14に収容された液体の収容量がICチップ内に格納されている場合は、ICチップから、その収容量の値を読みとって、収容量Q1としてもよい。このようなときは、制御部100は、収容量Q1を収容容器21毎の個別の値として管理する。
【0077】
総排出量Q2は、液体吐出ヘッド13aから吐出される液体の量に基づいて算出されてもよい。例えば、吐出量Q2pとショット回数npとを掛け合わせることにより総排出量Q2が算出される。すなわち、制御部100は、式Q2=Q2p×npにより総排出量Q2を算出する。
【0078】
吐出量Q2pとは、液体吐出ヘッド13aから吐出される液体の量である。より詳しくは、吐出量Q2pとは、1ショットにおいて1つのノズル12から排出される液体の量である。なお、1つのノズル12から1回の吐出が行われることを1ショットという。制御部100は、吐出量Q2pを液体の種類毎の個別の値として管理する。ショット回数npは、液体吐出装置11に液体収容体14が装着されてから、1つのノズル12からその液体収容体14内の液体が吐出された回数を、全てのノズル12において合算した回数である。すなわち、第1液体収容体14fにおけるショット回数npとは、第1液体収容体14fが加圧されているときに、1つのノズル12からその液体収容体14内の液体が吐出された回数を、全てのノズル12において合算した回数である。ショット回数npには、記録によって媒体Mに対して液体が吐出された回数に加えて、フラッシングによって液体が吐出された回数が含まれる。ショット回数npは、それぞれの液体収容体14毎にカウントされる。すなわち、総排出量Q2は、それぞれの液体収容体14毎に算出される。液体吐出ヘッド13aのアクチュエーターの駆動条件または温湿度のような環境条件によって、吐出量Q2pが変動するときは、吐出量Q2pは、それらの条件によって変動する値としてもよい。さらに、吐出量Q2pが記録デューティーによって影響を受けるときは、吐出量Q2pは、記録デューティーによって変動する値としてもよい。
【0079】
総排出量Q2は、吸引クリーニングによって液体吐出ヘッド13aから吸引される液体の量を加算して算出されてもよい。例えば、1回の吸引クリーニングにおける吸引量Q2sと、吸引クリーニング回数nsと、を掛け合わせた値を加算して総排出量Q2が算出されてもよい。すなわち、制御部100は、式Q2=(Q2p×np)+(Q2s×ns)により総排出量Q2を算出してもよい。
【0080】
第1液体収容体14fにおける吸引量Q2sとは、第1液体収容体14fが加圧されているときに、1回の吸引クリーニングにおいて液体吐出ヘッド13a全体から吸引される第1液体収容体14f内の液体の量である。吸引クリーニング回数nsは、液体吐出装置11にその液体収容体14が装着されてから、液体吐出ヘッド13aに対して、吸引クリーニングが行われた回数である。吸引クリーニングにおいて、液体が吸引される強度が調整されるときは、吸引量Q2sは、液体が吸引される強度によって変動する値としてもよい。
【0081】
総排出量Q2は、加圧ワイピングによって液体吐出ヘッド13aのノズル12から液体が漏出されて払拭される液体の量を加算して算出されてもよい。例えば、1回の加圧ワイピングにおける漏出量Q2wと、加圧ワイピング回数nwと、を掛け合わせた値を加算して総排出量Q2が算出されてもよい。すなわち、制御部100は、式Q2=(Q2p×np)+(Q2s×ns)+(Q2w×nw)により総排出量Q2を算出してもよい。
【0082】
第1液体収容体14fにおける漏出量Q2wとは、第1液体収容体14fが加圧されているときに、1回の加圧ワイピングにおいて液体吐出ヘッド13a全体から漏出する第1液体収容体14f内の液体の量である。加圧ワイピング回数nwは、液体吐出装置11にその液体収容体14が装着されてから、液体吐出ヘッド13aに対して、加圧ワイピングが行われた回数である。加圧ワイピングにおいて、液体が漏出される強度が調整されるときは、漏出量Q2wは、液体が漏出される強度によって変動する値としてもよい。
【0083】
制御部100は、収容量Q1から総排出量Q2を減算して残量Q3を算出する。すなわち、制御部100は、式Q3=Q1-Q2により残量Q3を算出する。そして、制御部100は、各液体収容体14について残量Q3を算出する。これにより、制御部100は、検知部31の検出結果を参照しなくても、液体収容体14内の液体の残量が第1閾値QL1を下回ったことを検知することができる。換言すれば、制御部100は、液体収容体14内の液体の残量が第1閾値QL1を下回ったことを、検知部31の検出結果と、残量Q3の算出結果との両方で検知することができる。
【0084】
<吸引機構の構成について>
図6に示すように、吸引機構84は、排出流路85と、圧力室111と、排出バルブ112と、を備える。圧力室111は排出流路85の途中に配置され、その位置は吸引バルブ86よりも下流である。排出バルブ112は排出流路85の途中の、圧力室111の下流に配置される。排出バルブ112は、排出流路85を開閉するように構成される。
【0085】
キャップ83内の廃液は、排出流路85を通じて排出されると、圧力室111内に一時的に貯留される。吸引機構84は、圧力センサー113と、圧力室111に接続されたリリース弁114と、を備えてもよい。圧力センサー113は、圧力室111内の圧力を検出する。リリース弁114が開弁すると、圧力室111内が大気と連通する。排出バルブ112は、上流から下流への液体の流れを許容し、下流から上流への液体の流れを制限する一方向弁であってもよい。より詳細には、排出バルブ112は、電気的または機械的に制御されることなく、一定以上の圧力が上流からかかった場合に排出流路85を開くが、通常時(大気圧下)および下流から圧力がかかった場合には排出流路85を自律的に閉じる。
【0086】
吸引機構84は、排出流路85の排出バルブ112よりも下流に接続された廃液タンク115を備えてもよい。圧力室111内が加圧されると、圧力室111内の廃液は、排出流路85を通じて廃液タンク115に流入する。このとき、一方向弁である排出バルブ112は、加圧された廃液の圧力によって開く。制御により開閉する排出バルブ112であれば、圧力室111内を加圧する際に、排出バルブ112を開くとよい。廃液タンク115は、液体吐出装置11に対して交換可能に装着されてもよい。
【0087】
吸引機構84は、クリーニングポンプ116と、減圧流路117と、減圧バルブ118と、を備える。クリーニングポンプ116は、圧力室111内を負圧になるまで減圧するように構成される。クリーニングポンプ116は、減圧流路117を介して圧力室111と接続される。減圧バルブ118は、減圧流路117の途中であって、圧力室111とクリーニングポンプ116との間に配置される。
【0088】
減圧バルブ118は、減圧流路117を開閉するように構成される。減圧バルブ118が開くとクリーニングポンプ116は圧力室111と連通し、減圧バルブ118が閉じるとクリーニングポンプ116の吸引力は圧力室111に及ばなくなる。
【0089】
吸引機構84は、供給ポンプ44および圧力室111に連通する加圧流路127と、加圧流路127を開閉するように構成された加圧バルブ128と、を備える。加圧流路127は、送出流路47から分岐した流路であってもよい。
【0090】
加圧バルブ128が開くと供給ポンプ44は圧力室111と連通し、加圧バルブ128が閉じると供給ポンプ44の加圧力は圧力室111に及ばなくなる。供給ポンプ44は、加圧流路127を通じて圧力室111内を加圧することができる。液体吐出ヘッド13aに液体を供給する時(液体の吐出時および加圧クリーニング時)には、加圧バルブ128は加圧流路127を閉じている。
【0091】
<液体吐出装置11の電気的構成について>
図7に示すように、液体吐出装置11は、制御部100を有している。制御部100はCPU142と記憶部143とを備える。CPU142は、液体吐出装置11を統括的に制御する中央処理装置である。記憶部143は、例えば、各種メンテナンス動作を含め、CPU142が実行するプログラムおよびその関連情報を記憶する不揮発性メモリーである。制御部100の入力側インターフェース(図示略)には、圧力センサー113の他に、操作部105及び吐出不良検出部146が接続されている。
【0092】
圧力センサー113は、周期的に圧力室111内の圧力を検出し、その検出結果を示す検出信号を制御部100に送信する。吐出不良検出部146は、例えば液体吐出部13の内部においてキャビティの残留振動を検出する検出回路である。すなわち、圧電素子の駆動によりキャビティ内を振動させた後の残留振動を圧電素子で検出することにより、吐出不良のノズル12が検出される。
【0093】
例えば、キャビティ内の液体の粘度が高くなると残留振動が減衰しやすくなり当該残留振動の周期が短くなる。その一方、キャビティ内に気泡が混入すると残留振動が減衰しにくくなり当該残留振動の周期が長くなる。吐出不良検出部146は、圧電素子で検出されたキャビティ内の残留振動の周期が、所定の下限周期よりも短くなったり、所定の上限周期よりも長くなったりした場合に、そのキャビティ及び圧電素子と対応するノズル12を吐出不良のノズル12として検出する。さらに吐出不良検出部146は、その検出結果を示す検出信号を制御部100に送信する。制御部100は、吐出不良検出部146の検出結果に基づいて、吸引クリーニングまたは加圧クリーニングなどのメンテナンス動作を実行するようにしてもよい。
【0094】
図7に示すように、制御部100の出力側インターフェース(図示略)には、複数種の駆動回路が接続されている。圧電素子駆動回路147は、圧電素子を駆動することにより、その圧電素子と対応するノズル12から液体を吐出させる。また、圧電素子駆動回路147は、吐出不良のノズル12を検出するために残留振動を検出するときにも圧電素子を駆動する。キャップ駆動回路148は、キャップ83を昇降させる昇降機構を駆動する。クリーニングポンプ駆動回路149は、クリーニングポンプ116を駆動する。
【0095】
供給ポンプ駆動回路150は、供給ポンプ44を駆動する。吸引バルブ駆動回路151は、吸引バルブ86を開弁又は閉弁するように駆動する。加圧バルブ駆動回路152は加圧バルブ128を開弁又は閉弁するように駆動する。減圧バルブ駆動回路153は、減圧バルブ118を開弁又は閉弁するように駆動する。リリース弁駆動回路154は、リリース弁114を開弁又は閉弁するように駆動する。排出バルブ駆動回路155は、排出バルブ112を開弁又は閉弁するように駆動する。以上の各駆動回路は、制御部100から適宜に送信される制御信号に基づき、各々が対応する駆動対象を駆動させる。排出バルブ112が自律的に開閉する一方向弁である場合、液体吐出装置11は排出バルブ駆動回路155を備えなくてもよい。すなわち、以下の説明において、「制御部100が排出バルブ112を開く(または閉じる)」という時に、排出バルブ112は制御されることなく、自律的に開弁する(または閉弁する)。
【0096】
第1実施形態の作用について説明する。
液体吐出装置11によって媒体Mへの記録が行われる際には、第1送出バルブ29fおよび第1バルブ24fが開弁され、供給ポンプ44が駆動される。供給ポンプ44の駆動によって、第1液体収容体14fを収容する収容容器21内に気体が流入し、収容容器21内を加圧する。収容容器21内が加圧されると第1液体収容体14fが圧縮され、第1液体収容体14f内の液体が液体吐出ヘッド13aへ送出される。なお、このとき第2送出バルブ29sおよび第2バルブ24sは閉弁される。
【0097】
液体収容体14から送出された液体は、第1供給流路91を介して貯留部25内に一時的に貯留される。第1供給流路91における液体の圧力が低下すると、可動壁32が貯留部25の内側に向けて変位し、それに伴って移動体33およびレバー35が変位する。検知部31はレバー35の変位を検出し、それによって液体収容体14内の液体の残量を検出する。
【0098】
貯留部25内に一時的に貯留された液体は、圧力調整部50によって圧力が調整され、供給規制部60および液体加圧部70を通って液体吐出ヘッド13aに供給される。液体吐出ヘッド13aに供給された液体は、複数のノズル12から媒体Mへ吐出される。
【0099】
液体吐出装置11は、各種メンテナンス動作を実行する。吐出不良の原因となる増粘した液体、気泡および異物をノズル12から排出するために、液体吐出ヘッド13aがキャップ83内に向かってノズル12から液滴を吐出するフラッシングを行う。また、ノズル12内の液体の増粘を抑制するため、液体吐出ヘッド13aが液体の吐出を行わないときに、キャップ83がノズル12の開口を囲うように液体吐出ヘッド13aに当接するキャッピングが実行される。
【0100】
さらに、液体吐出装置11は吸引クリーニングを実行する。まず、制御部100は、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aに対応するキャップ83をキャッピング位置に移動させる。そして、制御部100は、減圧バルブ118を開き、吸引バルブ86、リリース弁114、排出バルブ112および加圧バルブ128が閉じた状態で、クリーニングポンプ116を駆動する。これにより、減圧流路117を通じて圧力室111内の気体を排出し、圧力室111内が負圧になるまで減圧する。
【0101】
その後、制御部100が減圧バルブ118を閉じ、吸引バルブ86を開くと、圧力室111に蓄積された負圧が、閉空間CSに作用する。閉空間CSに開口するノズル12は、第5供給流路95と、液体加圧部70の液体室72と、第4供給流路94と、供給規制部60の液体室62と、を介して、第3供給流路93と連通する。これにより、第3供給流路93の圧力が所定圧力未満となるため、圧力調整部50が第2供給流路92と第3供給流路93とを連通させる。よって、液体収容部20から液体吐出部13に連続的に液体が供給され、ノズル12から液体が排出流路85を通じて排出される。
【0102】
排出バルブ112が一方向弁である場合、排出バルブ112は制御部100によって開閉されず、排出流路85の上流から下流への液体の流れを許容する。吸引クリーニングの実行後には、一旦リリース弁114を開いて、圧力室111内を大気に開放してもよい。
【0103】
また、液体吐出装置11は、例えば吸引クリーニングの後に、加圧クリーニングを実行する。詳細には、吸引クリーニングが実行された後、制御部100はキャップ83を開放位置へ移動させる。そして、制御部100は、加圧バルブ128および第1開放バルブ66を閉弁させ、第3送出バルブ45を開弁させた状態で供給ポンプ44を駆動する。これにより、第2送出流路42を介して供給規制部60の気体室61に対して気体が流入し、気体室61が加圧される。
【0104】
気体室61の圧力が液体室62の圧力よりも大きくなると、フィルム部材64が、付勢部材65の付勢力に抗して液体室62の容積を減少させる。そして、フィルム部材64が液体室62の突出部63の開口67を閉塞する。これにより、液体収容部20から液体吐出部13への液体の供給が規制される。
【0105】
制御部100は、第2開放バルブ75を閉弁させ、第4送出バルブ46を開弁させた状態で供給ポンプ44を駆動する。これにより、第3送出流路43を介して液体加圧部70の気体室71に対して気体が流入し、気体室71が加圧される。気体室71の圧力が液体室72の圧力よりも大きくなると、フィルム部材73が、付勢部材74の付勢力に抗して液体室72の容積を減少させる。これにより、液体吐出ヘッド13aの内部およびノズル12の内部における液体が加圧される。
【0106】
全ての液体吐出ヘッド13aのノズル12内の液圧が大気圧よりも高くなることで、全ての液体吐出ヘッド13aのノズル12から液体が漏出する。制御部100は、移動機構を駆動して、全ての液体吐出ヘッド13aのノズル面12aをワイパー88で払拭するワイピングを実行する。
【0107】
吸引クリーニングまたは加圧クリーニングの後には、キャップ83を開放位置に配置した状態で、あるいはキャップ83内を大気に連通させた状態で、キャップ83内を吸引してもよい。これは、キャップ83内に残っている廃液を排出流路85を通じて排出させる動作であり、空(から)吸引ともいう。空吸引を行う場合には、吸引クリーニング時と同様にクリーニングポンプ116を駆動して圧力室111内を負圧になるまで減圧した後、吸引バルブ86を開くとよい。
【0108】
キャップ83に受容された廃液は、排出流路85の途中に配置された圧力室111内に一時的に貯留される。圧力室111内の廃液が一定以上の量になると、制御部100は、圧力室111に貯まった廃液を廃液タンク115に排出する。より詳細には、制御部100は、加圧バルブ128および排出バルブ112を開き、吸引バルブ86、リリース弁114および減圧バルブ118を閉じた状態で、供給ポンプ44を駆動する。これにより、加圧流路127を通じて圧力室111内に気体が流入し、圧力室111内が加圧される。すると、圧力室111内の廃液が排出流路85を通じて廃液タンク115内に排出される。圧力室111内を加圧した後には、リリース弁114を開いて、圧力室111内を大気に開放してもよい。
【0109】
圧力室111内を加圧または減圧する場合には、圧力センサー113の検出結果に基づいて、加圧または減圧の時間を変更してもよい。これにより、例えば、減圧時間を長くすることによって負圧を高め、より強力な吸引クリーニングを行うことができる。また、例えばワイピングなどの動作を行っている間に圧力室111内を加圧しておけば、圧力室111内の廃液をより速やかに排出することができる。
【0110】
第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1-1)供給ポンプ44が圧力室111内を加圧することにより、排出流路85を通じて圧力室111内の廃液を排出することができる。液体吐出装置11は、液体を供給するための供給ポンプ44を使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0111】
(1-2)液体を供給するための供給ポンプ44を使用して、加圧クリーニングを行うことができる。液体吐出装置11は、加圧クリーニングを行うための専用の加圧ポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0112】
(1-3)吸引バルブ86、加圧バルブ128および排出バルブ112が閉じた状態でクリーニングポンプ116が駆動すると、圧力室111内が負圧になるまで減圧される。その後、吸引バルブ86を開くと、圧力室111内の負圧がキャップ83内に作用する。これにより、ノズル12を通じて液体吐出ヘッド13a内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0113】
(1-4)排出バルブ112が自律的に開閉する一方向弁である場合、排出バルブ112を開閉する機構を備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0114】
(第2実施形態)
以下、液体吐出装置11の第2実施形態について図面を参照して説明する。第1実施形態と同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0115】
図8に示すように、吸引機構84は、減圧流路117と、加圧流路開放弁129と、減圧流路開放弁119とを備える。第2実施形態の吸引機構84はクリーニングポンプ116を備えない。
【0116】
供給ポンプ44は、吸引口と吐出口とを有する。減圧流路117は、圧力室111に連通する上流端と、供給ポンプ44の吸引口に連通する下流端とを有する。供給ポンプ44の吐出口は、送出流路47の上流端に接続されている。
【0117】
加圧流路開放弁129は、供給ポンプ44と加圧バルブ128との間で加圧流路127に接続されている。加圧流路開放弁129が開弁すると、加圧流路127は大気に連通する。減圧流路開放弁119は、供給ポンプ44と減圧バルブ118との間で減圧流路117に接続されている。減圧流路開放弁119が開弁すると、減圧流路117は大気に連通する。
【0118】
供給ポンプ44の駆動によって収容容器21、気体室61、気体室71または圧力室111が加圧される際には、加圧流路開放弁129は閉じられ、減圧流路開放弁119は開かれる。
【0119】
第2実施形態の作用について、第1実施形態と異なる点を説明する。
吸引クリーニングを実行する場合には、まず、制御部100は、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aに対応するキャップ83をキャッピング位置に移動させる。そして、制御部100は、減圧バルブ118および加圧流路開放弁129を開くとともに、吸引バルブ86、排出バルブ112、加圧バルブ128および減圧流路開放弁119を閉じて、供給ポンプ44を駆動させる。これにより、減圧流路117を通じて圧力室111内の気体を排出し、圧力室111内が負圧になるまで減圧する。その後、制御部100が減圧バルブ118および加圧流路開放弁129を閉じ、吸引バルブ86を開く。これにより、圧力室111に蓄積された負圧が閉空間CSに作用し、液体吐出ヘッド13a内の液体がノズル12を通じて閉空間CSに排出される。
【0120】
加圧クリーニングを行う場合には、制御部100が第1実施形態と同様の制御を行って、供給ポンプ44の加圧力をノズル12に及ぼす。
空吸引を行う場合には、キャップ83を開放位置に配置した状態で、あるいはキャップ83内を大気に連通させた状態で、キャップ83内を吸引する。より詳細には、吸引クリーニング時と同様に供給ポンプ44を駆動して圧力室111内を負圧になるまで減圧した後、吸引バルブ86を開くとよい。
【0121】
圧力室111内の廃液を廃液タンク115に排出する場合には、制御部100が供給ポンプ44を駆動して圧力室111内を加圧する。より詳細には、制御部100が、吸引バルブ86、加圧流路開放弁129、減圧バルブ118を閉じるとともに、加圧バルブ128および減圧流路開放弁119を開く。この状態で制御部100が供給ポンプ44を駆動すると、加圧流路127を通じて圧力室111内が加圧される。これにより、圧力室111内の廃液が排出流路85を通じて廃液タンク115内に排出される。
【0122】
第2実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(2-1)供給ポンプ44が圧力室111内を加圧することにより、排出流路85を通じて圧力室111内の廃液を排出することができる。液体吐出装置11は、液体を供給するための供給ポンプ44を使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0123】
(2-2)液体を供給するための供給ポンプ44を使用して、加圧クリーニングを行うことができる。液体吐出装置11は、加圧クリーニングを行うための専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0124】
(2-3)液体を供給するための供給ポンプ44を使用して、吸引クリーニングを行うことができる。液体吐出装置11は、吸引クリーニングを行うための専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0125】
(第3実施形態)
以下、液体吐出装置11の第3実施形態について図面を参照して説明する。第1実施形態と同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0126】
図9に示すように、吸引機構84は、クリーニングポンプ116と、減圧流路117と、加圧流路127と、減圧流路開放弁119と、加圧流路開放弁129と、を備える。クリーニングポンプ116は、吸引口と吐出口とを有する。減圧流路117は、圧力室111に連通する上流端と、クリーニングポンプ116の吸引口に連通する下流端とを有する。加圧流路127は、クリーニングポンプ116の吸引口に連通する上流端と、圧力室111に連通する下流端とを有する。クリーニングポンプ116は、減圧流路117を通じて圧力室111内を減圧するように構成される。
【0127】
減圧流路117を開閉する減圧バルブ118は、減圧流路117の途中に配置される。減圧バルブ118は、減圧流路117を開閉するように構成される。減圧流路開放弁119は、減圧バルブ118とクリーニングポンプ116との間で、減圧流路117に接続されている。減圧流路開放弁119が開弁すると、減圧流路117は大気に連通する。
【0128】
加圧流路127の途中には、加圧流路127を開閉する加圧バルブ128が配置される。加圧流路開放弁129は、圧力室111とクリーニングポンプ116との間で加圧流路127に接続されている。加圧流路開放弁129が開弁すると、加圧流路127は大気に連通する。
【0129】
吸引バルブ86、加圧バルブ128、排出バルブ112および減圧流路開放弁119が閉じた状態で、減圧バルブ118および加圧流路開放弁129を開いてクリーニングポンプ116を駆動させると、圧力室111内が負圧になるまで減圧される。その後に吸引バルブ86を開くと、圧力室111内の負圧が、キャップ83が画定する閉空間CSに作用する。この負圧により、液体吐出ヘッド13aのノズル12から液体が吸引され、排出流路85を通じて排出される。
【0130】
吸引バルブ86、減圧バルブ118および加圧流路開放弁129が閉じ、加圧バルブ128、排出バルブ112および減圧流路開放弁119が開いた状態で、クリーニングポンプ116を駆動させると、圧力室111内が加圧される。これにより、圧力室111内から廃液が排出流路85を通じて排出される。
【0131】
第3実施形態の作用について、第1および第2実施形態と異なる点を説明する。
吸引クリーニングを実行する際には、まず、制御部100は、吸引クリーニングが必要な液体吐出ヘッド13aに対応するキャップ83をキャッピング位置に移動させる。そして、制御部100は、吸引バルブ86、排出バルブ112、加圧バルブ128、および減圧流路開放弁119を閉じるとともに加圧流路開放弁129および減圧バルブ118を開いて、クリーニングポンプ116を駆動させる。これにより、減圧流路117を通じて圧力室111内の気体を排出し、圧力室111内を負圧になるまで減圧する。その後、制御部100が減圧バルブ118および加圧流路開放弁129を閉じ、吸引バルブ86を開く。これにより、圧力室111に蓄積された負圧が閉空間CSに作用し、液体吐出ヘッド13a内の液体がノズル12を通じて閉空間CSに排出される。
【0132】
加圧クリーニングを行う場合には、制御部100が第1実施形態と同様の制御を行って、供給ポンプ44の加圧力をノズル12に及ぼす。
空吸引を行う場合には、キャップ83を開放位置に配置した状態で、あるいはキャップ83内を大気に連通させた状態で、キャップ83内を吸引する。より詳細には、吸引クリーニング時と同様にクリーニングポンプ116を駆動して圧力室111内を負圧になるまで減圧した後、吸引バルブ86を開くとよい。
【0133】
圧力室111内の廃液を廃液タンク115に排出する場合には、制御部100がクリーニングポンプ116を駆動して圧力室111内を加圧する。より詳細には、制御部100が、吸引バルブ86、加圧流路開放弁129、減圧バルブ118を閉じるとともに、加圧バルブ128、排出バルブ112および減圧流路開放弁119を開く。この状態で制御部100がクリーニングポンプ116を駆動すると、加圧流路127を通じて圧力室111内が加圧される。これにより、圧力室111内の廃液が排出流路85を通じて廃液タンク115内に排出される。
【0134】
第3実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(3-1)クリーニングポンプ116が圧力室111内を加圧することにより、排出流路85を通じて圧力室111内の廃液を排出することができる。液体吐出装置11は、圧力室111内を減圧するためのクリーニングポンプ116を使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0135】
(3-2)吸引バルブ86、加圧バルブ128および排出バルブ112が閉じた状態でクリーニングポンプ116が駆動すると、圧力室111内が負圧になるまで減圧される。その後、吸引バルブ86が開くと、圧力室111内の負圧がキャップ83内に作用する。これにより、ノズル12を通じて液体吐出ヘッド13a内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0136】
(3-3)吸引バルブ86を閉じるとともに加圧バルブ128および排出バルブ112を開いて、クリーニングポンプ116を駆動すると、圧力室111内が加圧される。これにより、圧力室111内の廃液を排出することができる。液体吐出装置11は、圧力室111内を減圧するためのクリーニングポンプ116を使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置11の構成を簡素化することができる。
【0137】
上記の実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、それらの実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
【0138】
・吸引バルブ86を開いて圧力室111内の負圧を閉空間CSに作用させた後にも、クリーニングポンプ116または供給ポンプ44を駆動し続けてもよい。これにより、閉空間CSにより長時間にわたって負圧を作用させることができる。
【0139】
・加圧バルブ128を切替弁とし、切替弁から分岐する加圧流路を設けてもよい。分岐した各加圧流路は、ノズル面12a、待機位置にあるワイパー88、または待機位置にあるキャップ83の開口(キャップリップ)のうち、少なくとも一つに加圧空気を吹き付けるように配置された吹出口を有してもよい。これにより、ノズル面12a、ワイパー88、または、キャップリップに付着した液体、埃または紙粉のような異物を加圧空気で除去することができる。あるいは、分岐した加圧流路の吹出口を媒体収容部106内に配置してもよい。これにより、記録前の媒体Mに付着する紙粉を加圧空気で除去することができる。
【0140】
図10に記載の変更例のように、第1実施形態の液体吐出装置11は、液体収容体14内と液体吐出ヘッド13a内との水頭差により液体を供給するように構成してもよい。
この変更例に係る液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド13aと、液体収容体14に収容される液体を液体吐出ヘッド13aに供給する供給機構40と、供給機構40を駆動する駆動機構130と、を備える。
【0141】
供給機構40は、第1貯留容器131と、連通路334と、第2貯留容器134と、を備える。連通路334は、第1貯留容器131に接続される上流端と、第2貯留容器134に接続される下流端と、を有する。第1貯留容器131および第2貯留容器134は、液体収容体14から供給される液体を貯留する。
【0142】
供給機構40は、連通路334を閉鎖可能な第1バルブ336と、第2貯留容器134から液体吐出ヘッド13aへ液体を供給する供給流路337と、を備える。供給機構40は、第2バルブ338と、液体吐出ヘッド13aから第1貯留容器131に液体を回収するための回収流路339と、回収流路339を開閉可能な第3バルブ340と、回収流路339の途中に配置される液室341と、を備えてもよい。第2バルブ338は、第2貯留容器134と液体吐出ヘッド13aとの間で供給流路337を閉鎖可能である。
【0143】
液室341は、液体吐出ヘッド13aと第3バルブ340との間に配置される。液室341は、一部が可撓性部材342で画定される。液室341の容積は、可撓性部材342の変形に伴って変化する。
【0144】
液体吐出ヘッド13aは、第1接続部344と、第2接続部345と、を有してもよい。回収流路339は、第1接続部344に接続される上流端と、第1貯留容器131に接続される下流端とを有する。供給流路337は、第2貯留容器134に接続される上流端と、第2接続部345に接続される下流端とを有する。
【0145】
駆動機構130は、第2貯留容器134内を加圧する供給ポンプ44を備える。言い換えると、供給ポンプ44は、液体収容体14内の液体を液体吐出ヘッド13aに供給するための供給流路内を加圧するように構成される。駆動機構130は、供給ポンプ44に接続される切替機構348と、圧力を検出する圧力センサー349と、を備えてもよい。駆動機構130は、第1貯留容器131に接続される大気開放路350と、第2貯留容器134に接続される加圧流路351と、大気開放路350及び加圧流路351を供給ポンプ44に接続する接続流路352と、を備えてもよい。駆動機構130は、液室341と可撓性部材342を介して隔てられた空気室353と、空気室353内に設けられるばね354と、空気室353に接続される空気流路355と、を備えてもよい。ばね354は、可撓性部材342を押すことで、回収流路339及び液体吐出ヘッド13a内の液体の圧力変動を低減する。
【0146】
供給ポンプ44は、吸引口と吐出口とを有する。吸引口に空気流路355が接続され、吐出口に接続流路352が接続される。供給ポンプ44は、正転駆動されることにより、空気流路355から取り入れた空気を接続流路352に送り出す。供給ポンプ44は、逆転駆動されることにより、接続流路352から取り入れた空気を空気流路355に送り出す。
【0147】
加圧機構357は、供給ポンプ44と、空気室353と、供給ポンプ44を空気室353と連通させる空気流路355と、供給ポンプ44を圧力室111と連通させる加圧流路127と、を含む。微加圧部358は、加圧機構357と、液室341とを含む。微加圧部358は、液室341と、可撓性部材342を液室341の外側から加圧可能な加圧機構357と、を有する。微加圧部358は、液体吐出ヘッド13aと第3バルブ340との間の回収流路339に配置される。微加圧部358は、回収流路339内の液体を加圧するように構成される。
【0148】
液体収容体14は液体を収容する収容室329を有する。第1貯留容器131は、装着部328に装着された液体収容体14が収容する液体を導入可能な導入部360を有する。第1貯留容器131は、導入部360に設けられる装置側バルブ361と、液体を貯留する第1貯留室362と、第1貯留室362に貯留される液体の量を検出する液量センサー363と、第1貯留室362と大気開放路350とを隔てる第1気液分離膜364と、を有してもよい。第1気液分離膜364は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。
【0149】
バルブ331,361は、液体収容体14が装着部328に装着されることで開弁し、液体収容体14が装着部328に装着されている間は開弁状態を維持する。
導入部360は、第1貯留容器131の上部に配置される。この変更例の導入部360は、第1貯留室362の天井365を貫通している。導入部360の下端は、第1貯留室362の中であって、天井365よりも下方に位置する。導入部360の上端は、第1貯留室362の外であって、天井365よりも上方に位置する。導入部360は、液体収容体14が装着部328に装着されることで、液体収容体14が備える導出部330に接続される。
【0150】
第2貯留容器134は、液体を貯留する第2貯留室368と、第2貯留室368と加圧流路351とを隔てる第2気液分離膜369と、を有してもよい。第2気液分離膜369は、第1気液分離膜364と同様、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。
【0151】
第1バルブ336は、第2貯留容器134内の圧力が第1貯留容器131内の圧力より大きい場合に連通路334を閉鎖する。そのため、第1バルブ336は、供給ポンプ44による第2貯留容器134内の加圧時に、連通路334を閉塞する。第1バルブ336は、第1貯留容器131から第2貯留容器134への液体の流れを許容し、第2貯留容器134から第1貯留容器131への液体の流れを制限する逆止弁を有してもよい。
【0152】
制御部100は、第2バルブ338及び第3バルブ340の開閉を制御する。第2バルブ338は、供給ポンプ44による加圧時に供給流路337を開閉可能である。第3バルブ340は、回収流路339を開閉可能である。
【0153】
切替機構348は、接続流路352に設けられる細管部372と、流路を開閉可能な第1選択弁373a~第11選択弁373kと、加圧バルブ128と、を備える。加圧バルブ128は、加圧流路127を開閉する。細管部372は、空気の流動に対し、液体の流動が大きく制限される程度に細く、且つ蛇行した管である。
【0154】
第1選択弁373aが開弁すると、空気流路355内は大気に連通する。第2選択弁373bが開弁すると、空気流路355が圧力センサー349と連通する。第3選択弁373cが開弁すると、空気流路355が開いて、供給ポンプ44が空気室353と連通する。加圧バルブ128が開弁すると、加圧流路127が開いて、供給ポンプ44が圧力室111と連通する。
【0155】
第4選択弁373dが開弁すると、供給ポンプ44と第8選択弁373hとの間の接続流路352が大気に連通する。第5選択弁373eが開弁すると、接続流路352が圧力センサー349と連通する。第6選択弁373f及び第7選択弁373gが開弁すると、接続流路352が大気に連通する。第8選択弁373hが開弁すると、接続流路352が開く。第9選択弁373iが開弁すると、細管部372が大気に連通する。第10選択弁373jが開弁すると大気開放路350が開いて、第1貯留容器131が接続流路352と連通する。第11選択弁373kが開弁すると加圧流路351が開いて、第2貯留容器134が接続流路352と連通する。
【0156】
液体収容体14内の液体は、水頭差により導出部330及び導入部360を介して第1貯留容器131内に流入する。第1貯留容器131内の液体は、水頭差によって第2貯留容器134内に流入する。
【0157】
導入部360の下端は、ノズル面12aよりも下方に位置する。これにより、第1貯留容器131内に貯留される液体の第1液面366は、ノズル面12aよりも低い範囲で変動する。第1貯留室362内、及び第2貯留室368内が大気圧とされる場合、第2貯留室368内の液体の第2液面370は、第1液面366と同じ高さになる。換言すると、第2液面370は、導入部360の下端とほぼ同じ高さである標準位置に維持され、ノズル面12aよりも低い範囲で変動する。
【0158】
液体吐出ヘッド13a内の液体は、第1貯留容器131及び第2貯留容器134内の液体との水頭差によって負圧に維持される。液体吐出ヘッド13aで液体が消費されると、第2貯留容器134に貯留される液体が液体吐出ヘッド13aに供給される。
【0159】
この変更例では、各種クリーニング動作を行う場合には、制御部100が第1実施形態と同様に加圧バルブ128を制御する。そして、圧力室111内の廃液を排出する場合には、加圧バルブ128を開いて供給ポンプ44を駆動することにより、圧力室111内を加圧するとよい。
【0160】
・供給機構40は、複数の液体収容体14f,14sを選択的に加圧する機構を備えなくてもよい。
・液体吐出装置11は記録範囲が媒体Mの幅全体に亘るラインヘッドを有するものに限らず、液体吐出ヘッド13aを保持するキャリッジが媒体Mの幅方向に移動しながら行う液体の吐出と、媒体Mの幅方向と交差する搬送方向への搬送と、を交互に行うシリアルタイプのものであってもよい。そのとき、ワイパー支持部89が固定されて、液体吐出ヘッド13aを保持するキャリッジの移動に伴って、ワイパー88によって、液体吐出ヘッド13aのノズル面12aが払拭されてもよい。
【0161】
・制御部100は、CPU142と記憶部143とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行されるソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御部100は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。
【0162】
(a)上記処理の全てをプログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。
(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。
【0163】
(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。
ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路(processing circuitry)によって実行されればよい。
【0164】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を吐出する液体吐出装置11であってもよい。液体吐出装置11から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置11から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置11の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置11は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置11は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置11は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0165】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記供給ポンプ、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0166】
この液体吐出装置によれば、供給ポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、液体を供給するための供給ポンプを使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0167】
(B)液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記供給ポンプ、前記吸引バルブ、前記加圧バルブ、および前記減圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記供給ポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0168】
この液体吐出装置によれば、供給ポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、液体を供給するための供給ポンプを使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0169】
(C)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記ノズルから前記液体を排出させる加圧クリーニングを実行するために、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧するように構成されてもよい。
【0170】
この液体吐出装置によれば、液体を供給するための供給ポンプを使用して、加圧クリーニングを行うことができる。液体吐出装置は、加圧クリーニングを行うための専用の加圧ポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0171】
(D)液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、前記クリーニングポンプ、前記吸引バルブ、および前記加圧バルブを制御するように構成された制御部と、を備え、前記クリーニングポンプは、前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。
【0172】
この液体吐出装置によれば、クリーニングポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、圧力室を減圧するためのクリーニングポンプを使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0173】
(E)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成されてもよい。
【0174】
この液体吐出装置によれば、クリーニングポンプを駆動することにより、圧力室内を負圧になるまで減圧することができる。その後、吸引バルブを開いて圧力室内の負圧をキャップ内に作用させることにより、ノズルを通じて液体吐出ヘッド内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0175】
(F)液体吐出装置は、前記供給ポンプと前記加圧バルブとの間に配置された加圧流路開放弁を備え、前記制御部は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で、前記減圧バルブおよび前記加圧流路開放弁を開いて前記供給ポンプを駆動させることにより前記圧力室内を負圧になるまで減圧した後、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させるように構成されてもよい。
【0176】
この液体吐出装置によれば、供給ポンプを駆動することにより、圧力室内を負圧になるまで減圧することができる。これにより生じた負圧をキャップ内に作用させることにより、ノズルを通じて液体吐出ヘッド内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0177】
(G)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記吸引バルブが閉じ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室内から前記廃液を排出するように構成されてもよい。
【0178】
この液体吐出装置によれば、供給ポンプを駆動することにより、圧力室内を加圧することができる。これにより、圧力室内の廃液を排出することができる。
(H)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記吸引バルブが閉じ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室内から前記廃液を排出するように構成されてもよい。
【0179】
この液体吐出装置によれば、クリーニングポンプを駆動することにより、圧力室内を加圧することができる。これにより、圧力室内の廃液を排出することができる。
(I)上記液体吐出装置において、前記排出バルブは、上流から下流への液体の流れを許容し、下流から上流への液体の流れを制限する一方向弁であってもよい。
【0180】
この液体吐出装置によれば、排出バルブを開閉する機構を備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
(J)液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備え、前記供給ポンプは前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧するように構成される。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【0181】
この液体吐出装置の制御方法によれば、供給ポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0182】
(K)液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記液体収容体内または前記供給流路内の前記液体を加圧するように構成された供給ポンプと、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路の途中に配置される吸引バルブであって、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記供給ポンプと前記圧力室とに連通する減圧流路と、前記減圧流路を開閉するように構成された減圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備える。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【0183】
この液体吐出装置の制御方法によれば、供給ポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0184】
(L)上記液体吐出装置の制御方法は、前記加圧バルブを閉じることと、前記供給ポンプを駆動させて前記供給流路内を加圧して、前記ノズルから前記液体を排出するクリーニングを実行することと、を含む。
【0185】
この液体吐出装置の制御方法によれば、液体を供給するための供給ポンプを使用して、加圧クリーニングを行うことができる。液体吐出装置は、加圧クリーニングを行うための専用の加圧ポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0186】
(M)液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体収容体内の液体を前記液体吐出ヘッドに向けて流動させるための供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を画定するように構成されたキャップと、前記キャップで受容した前記液体である廃液を前記キャップから排出するための排出流路と、前記排出流路を開閉するように構成された吸引バルブと、前記排出流路の途中に配置される圧力室であって、前記吸引バルブより下流に配置される圧力室と、前記圧力室内を減圧するように構成されたクリーニングポンプと、前記クリーニングポンプと前記圧力室とに連通する加圧流路と、前記加圧流路を開閉するように構成された加圧バルブと、前記排出流路の途中に配置される排出バルブであって、前記圧力室の下流において前記排出流路を開閉するように構成された排出バルブと、を備える。前記方法は、前記加圧バルブを開くことと、前記加圧バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記加圧流路を通じて前記圧力室内を加圧することにより、前記圧力室から前記廃液を排出することと、を含む。
【0187】
この液体吐出装置の制御方法によれば、クリーニングポンプが圧力室内を加圧することにより、排出流路を通じて圧力室内の廃液を排出することができる。液体吐出装置は、圧力室を減圧するためのクリーニングポンプを使用して廃液を排出するので、廃液の排出のために専用のポンプを備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0188】
(N)上記液体吐出装置の制御方法は、前記吸引バルブおよび前記排出バルブが前記排出流路を閉じた状態で前記クリーニングポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記閉空間内に作用させることと、を含んでもよい。
【0189】
この液体吐出装置の制御方法によれば、クリーニングポンプを駆動することにより、圧力室内を負圧になるまで減圧することができる。その後、吸引バルブを開いて圧力室内の負圧をキャップ内に作用させることにより、ノズルを通じて液体吐出ヘッド内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0190】
(O)上記液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は前記供給ポンプと前記加圧バルブとの間に配置された加圧流路開放弁をさらに備え、前記方法は、前記吸引バルブ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが閉じた状態であって、かつ、前記減圧バルブおよび前記加圧流路開放弁が開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて、前記圧力室内を負圧になるまで減圧することと、前記圧力室内を減圧した後に、前記吸引バルブを開くことにより、前記圧力室内の負圧を前記キャップが画定する前記閉空間内に作用させることと、を含んでもよい。
【0191】
この液体吐出装置の制御方法によれば、供給ポンプを駆動することにより、圧力室内を負圧になるまで減圧することができる。これにより生じた負圧をキャップ内に作用させることにより、ノズルを通じて液体吐出ヘッド内の液体を排出する吸引クリーニングを行うことができる。
【0192】
(P)上記液体吐出装置の制御方法において、前記圧力室から前記廃液を排出することは、前記吸引バルブが閉じた状態であって、かつ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記供給ポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することを含んでもよい。
【0193】
この液体吐出装置の制御方法によれば、供給ポンプを駆動することにより、圧力室内を加圧することができる。これにより、圧力室内の廃液を排出することができる。
(Q)上記液体吐出装置の制御方法において、前記圧力室から前記廃液を排出することは、前記吸引バルブが閉じた状態であって、かつ、前記加圧バルブおよび前記排出バルブが開いた状態で、前記クリーニングポンプを駆動させて前記圧力室内を加圧することを含んでもよい。
【0194】
この液体吐出装置の制御方法によれば、クリーニングポンプを駆動することにより、圧力室内を加圧することができる。これにより、圧力室内の廃液を排出することができる。
(R)上記液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置の前記排出バルブは、上流から下流への液体の流れを許容し、下流から上流への液体の流れを制限する一方向弁であってもよい。
【0195】
この液体吐出装置の制御方法によれば、排出バルブを開閉する機構を備える必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0196】
11…液体吐出装置、12…ノズル、12a…ノズル面、13…液体吐出部、13a…液体吐出ヘッド、14…液体収容体、14f…第1液体収容体、14s…第2液体収容体、20…液体収容部、21…収容容器、22…導出流路、23…合流流路、24f…第1バルブ、24s…第2バルブ、25…貯留部、26…接続流路、28…気体送出路、29…送出バルブ、29f…第1送出バルブ、29s…第2送出バルブ、31…検知部、32…可動壁、33…移動体、34…第1付勢部材、35…レバー、36…第2付勢部材、40…供給機構、41…第1送出流路、42…第2送出流路、43…第3送出流路、44…供給ポンプ、45…第3送出バルブ、46…第4送出バルブ、47…送出流路、50…圧力調整部、60…供給規制部、61…気体室、62…液体室、63…突出部、64…フィルム部材、65…付勢部材、66…第1開放バルブ、67…開口、70…液体加圧部、71…気体室、72…液体室、73…フィルム部材、74…付勢部材、75…第2開放バルブ、80…メンテナンス部、81…クリーニング機構、82…ワイピング機構、83…キャップ、84…吸引機構、85…排出流路、86…吸引バルブ、88…ワイパー、89…ワイパー支持部、90…供給流路、91…第1供給流路、92…第2供給流路、93…第3供給流路、94…第4供給流路、95…第5供給流路、100…制御部、102…本体部、103…画像読取部、104…自動給送部、105…操作部、106…媒体収容部、107…載置部、107a…載置面、111…圧力室、112…排出バルブ、113…圧力センサー、114…リリース弁、115…廃液タンク、116…クリーニングポンプ、117…減圧流路、118…減圧バルブ、119…減圧流路開放弁、127…加圧流路、128…加圧バルブ、129…加圧流路開放弁、130…駆動機構、131…第1貯留容器、134…第2貯留容器、142…CPU、143…記憶部、146…吐出不良検出部、147…圧電素子駆動回路、148…キャップ駆動回路、149…クリーニングポンプ駆動回路、150…供給ポンプ駆動回路、151…吸引バルブ駆動回路、152…加圧バルブ駆動回路、153…減圧バルブ駆動回路、154…リリース弁駆動回路、155…排出バルブ駆動回路、220…フィルター部、221…フィルター、222…上流側フィルター室、223…下流側フィルター室、280…液圧調整機構、281…連通孔、282…液室、283…弁体、284…受圧部材、285…可撓壁、286…第1押付部材、287…第2押付部材、290…開弁機構、291…収容室、292…加圧袋、293…通気流路、328…装着部、329…収容室、330…導出部、331…バルブ、334…連通路、336…第1バルブ、337…供給流路、338…第2バルブ、339…回収流路、340…第3バルブ、341…液室、342…可撓性部材、344…第1接続部、345…第2接続部、348…切替機構、349…圧力センサー、350…大気開放路、351…加圧流路、352…接続流路、353…空気室、354…ばね、355…空気流路、357…加圧機構、358…微加圧部、360…導入部、361…装置側バルブ、362…第1貯留室、363…液量センサー、364…第1気液分離膜、365…天井、366…第1液面、368…第2貯留室、369…第2気液分離膜、370…第2液面、372…細管部、373a…第1選択弁、373b…第2選択弁、373c…第3選択弁、373d…第4選択弁、373e…第5選択弁、373f…第6選択弁、373g…第7選択弁、373h…第8選択弁、373i…第9選択弁、373j…第10選択弁、373k…第11選択弁、CS…閉空間、M…媒体、np…ショット回数、ns…吸引クリーニング回数、nw…加圧ワイピング回数、PL…加圧閾値、Q1…収容量、Q2…総排出量、Q2p…吐出量、Q2s…吸引量、Q2w…漏出量、Q3…残量、QL1…第1閾値。
図1
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図10