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特許7596740生体情報検出装置、生体情報検出システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】生体情報検出装置、生体情報検出システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241203BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20241203BHJP
【FI】
A61B5/00 A
G16H10/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020194112
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082931
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 英明
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522003(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119575(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/119824(WO,A1)
【文献】特表2009-504223(JP,A)
【文献】特開2019-111010(JP,A)
【文献】特開2020-003932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0151022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報の測定データを検出する検出手段と、
外部へ測定データをリアルタイム送信する第2測定モードにおいて、前記検出された患者の測定データを外部の患者情報通信装置に送信する通信手段と、
記憶手段と、
前記患者情報通信装置への送信なく前記記憶手段に測定データを記憶する第1測定モードにおいて、前記検出された少なくとも一人の患者の測定データのそれぞれ患者の患者特定情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する制御手段と、を備え
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データのうち、前記患者情報通信装置から受信された患者特定情報に対応付けられた測定データのみを当該患者情報通信装置に送信する生体情報検出装置。
【請求項2】
前記患者特定情報は、患者の識別情報、当該患者の検査の識別情報、当該患者のベッドの識別情報、自機の接続先の患者情報通信装置の識別情報の少なくとも一つを含む請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記患者情報通信装置への接続時に、前記通信手段を介して前記患者特定情報を当該患者情報通信装置から自動的に取得する請求項1又は2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記患者特定情報を前記表示手段に表示する請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データを当該患者情報通信装置に送信し、送信した測定データと当該測定データに対応する患者特定情報とを当該記憶手段から削除する請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記患者特定情報を暗号化して前記記憶手段に記憶する請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置と、
前記患者情報通信装置と、を備える生体情報検出システム。
【請求項8】
患者の生体情報の測定データを検出する検出手段と、
外部へ測定データをリアルタイム送信する第2測定モードにおいて、前記検出された患者の測定データを外部の患者情報通信装置に送信する通信手段と、
記憶手段と、を備える生体情報検出装置のコンピューターを、
前記患者情報通信装置への送信なく前記記憶手段に測定データを記憶する第1測定モードにおいて、前記検出された少なくとも一人の患者の測定データのそれぞれ患者の患者特定情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する制御手段、
として機能させ
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データのうち、前記患者情報通信装置から受信された患者特定情報に対応付けられた測定データのみを当該患者情報通信装置に送信するプログラム。
【請求項9】
前記患者特定情報は、患者の識別情報、当該患者の検査の識別情報、当該患者のベッドの識別情報、自機の接続先の患者情報通信装置の識別情報の少なくとも一つを含む請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記患者情報通信装置への接続時に、前記通信手段を介して前記患者特定情報を当該患者情報通信装置から自動的に取得する請求項又はに記載のプログラム。
【請求項11】
前記生体情報検出装置は、
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記患者特定情報を前記表示手段に表示する請求項から10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データを当該患者情報通信装置に送信し、送信した測定データと当該測定データに対応する患者特定情報とを当該記憶手段から削除する請求項から11のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出装置、生体情報検出システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池駆動型パルスオキシメーターであって、電池駆動時の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)の連続測定と、患者情報を管理している患者情報通信装置(いわゆるベッドサイド端末)への有線接続時のSpOのリアルタイム測定及びモニタリングと、が可能なパルスオキシメーターが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-111010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパルスオキシメーターを用いたモニタリングシステムでは、電池駆動時と有線接続時とで同じ形式の測定データを取得し、患者情報通信装置に記録されている患者のID情報を付加した測定データを集中管理ステーションに送信できる。
【0005】
しかし、パルスオキシメーターでID情報を管理していないため、電池駆動時において記録した測定データに対しては、後に医療従事者が、患者情報通信装置などによって、モニタリングしている患者の測定データを選択することで、測定データと患者情報を紐づける必要があり、看護師などの業務効率を低下させる。
【0006】
パルスオキシメーターの記録部には、モニタリングをしている患者とは異なる測定データが記録されている可能性があり、測定データがどの患者のものであるかわからない場合には、測定データと患者との対応を特定するための業務負担や、そもそも特定できずに紐づけも行えないおそれがあった。
【0007】
本発明の課題は、電池駆動時などに患者情報通信装置への送信なく酸素飽和度などの生体情報の測定データを測定して記憶する測定モードで測定された、生体情報の測定データと、測定対象の患者のID情報などの患者特定情報と、を確実に対応付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の生体情報検出装置は、
患者の生体情報の測定データを検出する検出手段と、
外部へ測定データをリアルタイム送信する第2測定モードにおいて、前記検出された患者の測定データを外部の患者情報通信装置に送信する通信手段と、
記憶手段と、
前記患者情報通信装置への送信なく前記記憶手段に測定データを記憶する第1測定モードにおいて、前記検出された少なくとも一人の患者の測定データのそれぞれ患者の患者特定情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する制御手段と、を備え
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データのうち、前記患者情報通信装置から受信された患者特定情報に対応付けられた測定データのみを当該患者情報通信装置に送信する
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生体情報検出装置において、
前記患者特定情報は、患者の識別情報、当該患者の検査の識別情報、当該患者のベッドの識別情報、自機の接続先の患者情報通信装置の識別情報の少なくとも一つを含む。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の生体情報検出装置において、
前記制御手段は、前記患者情報通信装置への接続時に、前記通信手段を介して前記患者特定情報を当該患者情報通信装置から自動的に取得する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置において、
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記患者特定情報を前記表示手段に表示する。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置において、
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データを当該患者情報通信装置に送信し、送信した測定データと当該測定データに対応する患者特定情報とを当該記憶手段から削除する。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置において、
前記制御手段は、前記患者特定情報を暗号化して前記記憶手段に記憶する。
【0016】
請求項に記載の発明の生体情報検出システムは、
請求項1からのいずれか一項に記載の生体情報検出装置と、
前記患者情報通信装置と、を備える。
【0017】
請求項に記載の発明のプログラムは、
患者の生体情報の測定データを検出する検出手段と、
外部へ測定データをリアルタイム送信する第2測定モードにおいて、前記検出された患者の測定データを外部の患者情報通信装置に送信する通信手段と、
記憶手段と、を備える生体情報検出装置のコンピューターを、
前記患者情報通信装置への送信なく前記記憶手段に測定データを記憶する第1測定モードにおいて、前記検出された少なくとも一人の患者の測定データのそれぞれ患者の患者特定情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する制御手段、
として機能させ
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データのうち、前記患者情報通信装置から受信された患者特定情報に対応付けられた測定データのみを当該患者情報通信装置に送信する
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のプログラムにおいて、
前記患者特定情報は、患者の識別情報、当該患者の検査の識別情報、当該患者のベッドの識別情報、自機の接続先の患者情報通信装置の識別情報の少なくとも一つを含む。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項又はに記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記患者情報通信装置への接続時に、前記通信手段を介して前記患者
特定情報を当該患者情報通信装置から自動的に取得する。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項から10のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記生体情報検出装置は、
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記患者特定情報を前記表示手段に表示する。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項から11のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記通信手段を介して前記患者情報通信装置に接続された場合に、前記記憶手段に記憶された測定データを当該患者情報通信装置に送信し、送信した測定データと当該測定データに対応する患者特定情報とを当該記憶手段から削除する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、患者情報通信装置への送信なく生体情報の測定データを測定して記憶する第1測定モードで測定された生体情報の測定データと、患者特定情報と、を確実に対応付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態のモニタリングシステムの構成を示すブロック図である。
図2】パルスオキシメーターの機能構成を示すブロック図である。
図3】患者情報通信装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】サーバーの機能構成を示すブロック図である。
図5】パルスオキシメーター処理を示すフローチャートである。
図6】患者情報通信処理を示すフローチャートである。
図7】サーバー処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0027】
まず、図1図4を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施形態におけるモニタリングシステム100の構成を示すブロック図である。図2は、パルスオキシメーター1の機能構成を示すブロック図である。図3は、患者情報通信装置2の機能構成を示すブロック図である。図4は、サーバー3の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態の生体情報検出システムとしてのモニタリングシステム100は、病院などの医療施設に設置され、当該医療施設に入院して病室にいる患者の状態をモニタリングするシステムである。モニタリングシステム100は、複数の生体情報検出装置としてのパルスオキシメーター1と、複数の患者情報通信装置2と、1つのサーバー3と、を備える。
【0029】
パルスオキシメーター1は、患者情報通信装置2と有線通信可能に接続されている。パルスオキシメーター1と患者情報通信装置2との有線通信方式は、例えば、USB(Universal Serial Bus)である。患者情報通信装置2は、サーバー3と無線通信可能に接続されている。患者情報通信装置2とサーバー3との無線通信方式は、例えば、サブギガ無線(1[GHz]に満たない周波数帯を使う無線)である。これにより、パルスオキシメーター1によって取得した生体情報のバイタル値のデータ(すなわち、測定データ)は、患者情報通信装置2を経由して、サーバー3にリアルタイム転送できる構成となっている。
【0030】
なお、本実施形態における測定データのリアルタイム転送とは、測定データに基づいて患者の状態を継続的に監視すること、すなわちモニタリングを指しており、データなどの処理及び転送に起因する遅延は除くものとする。
【0031】
パルスオキシメーター1は、患者(被験者)の指などの生体部位に装着され、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)や脈拍数などのバイタル値を測定する機器である。また、本実施の形態におけるパルスオキシメーター1の本体部は、例えば、腕時計のように患者の手首に対して装着される。
【0032】
図2に示すように、パルスオキシメーター1は、制御手段としての制御部11、操作部12、電源ボタン12a、記憶手段としての記憶部13、検出手段としての検出部14、測定制御部14a、LED(Light Emitting Diode)駆動回路14b、アナログフロントエンド回路14c、AD(Analog to Digital)コンバーター14d、表示手段としての表示部15、無線通信部16、通信手段としての有線IF(InterFace)回路17、電力供給部18、充電制御部18a、などを備える。
【0033】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部11のCPUは、記憶部13に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0034】
操作部12は、各種スイッチ、各種機能ボタンなどを備え、看護師などのユーザーからの操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作信号を制御部11に出力する。
【0035】
電源ボタン12aは、ユーザーからのパルスオキシメーター1の電源のオン/オフの入力を受け付けるボタンであり、操作入力に応じた電源オン/オフの情報を制御部11に出力する。
【0036】
記憶部13は、フラッシュメモリーなどの半導体の不揮発性メモリーで構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、この記憶部13には、後述する第1測定モード中の測定データを記憶できる。また、記憶部13には、後述するパルスオキシメーター処理を実行するためのパルスオキシメーター処理プログラムが記憶されているものとする。
【0037】
検出部14は、プローブともいい、患者の指先などの生体部位に装着可能に構成されている。検出部14は、測定制御部14aによってLED駆動回路14bを制御し、検出部14に備えられたLEDの発光部(図示略)によって赤色光と赤外光とを生体部位に向けて発光し、検出部14に備えられたフォトダイオードなどの受光部により受光した生体部位の透過光(又は反射光)のアナログ信号を、アナログフロントエンド回路14cによってノイズ除去や信号増幅を行い、ADコンバーター14dに入力するための電圧信号に整えた後、ADコンバーター14dによってデジタルの測定データに変換する。
【0038】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどにより構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部15に表示される情報としては、SpO値と脈拍数の他に、例えば、後述する測定モードの種別、電池残量、日時情報などが挙げられる。
【0039】
無線通信部16は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信により、サーバー3などとデータ送受信を行うための無線アンテナ、無線モジュールなどの無線インターフェースを有する。なお、この無線通信部16は、測定データのリアルタイム転送には使用されず、パルスオキシメーター1に異常が発生した場合であって、かつパルスオキシメーター1が有線接続されていない場合に使用される。
【0040】
有線IF回路17は、サーバー3との間で測定データのリアルタイム転送を含む有線通信を可能とする回路部であり、例えばUSBケーブルの接続線17aの一端が接続される。接続線17aは、パルスオキシメーター1における有線IF回路17と、患者情報通信装置2におけるIF回路25とを接続し、データの送受信を可能とする通信線及びパルスオキシメーター1への電力の供給を可能とする電源線として機能する。そのため、有線IF回路17も、電力の受給が可能に構成されている。
【0041】
電力供給部18は、パルスオキシメーター1の各部が動作に要する電力を当該各部へ供給する。電力供給部18は、図示しないバッテリーから出力される電力を各部の動作電圧で供給する。バッテリーとしては、充電池、充電可能な内蔵バッテリーなどの二次電池を使用するものとするが、一次電池としての乾電池を使用してもよい。充電制御部18aは、制御部11の制御に従い、電力供給部18の充電を制御する。
【0042】
計時部19は、リアルタイムクロックであり、現在日時を計時し、現在日時情報を制御部11に出力する。
【0043】
以上のように構成されたパルスオキシメーター1は、電力供給部18の電池駆動により外部との接続なく単独での測定を行い記憶する第1測定モードと、患者情報通信装置2を介してサーバー3への測定データのリアルタイム転送をしながら測定を行う第2測定モードでの動作が可能となっている。パルスオキシメーター1における現在の測定モードが第1測定モードであるか第2測定モードであるかは、例えば、表示部15に表示される。
【0044】
第2測定モードは、測定データのリアルタイム転送が可能な場合に動作するモードであり、例えば、患者が病室の自分のベッドにいる(着床する)場合に、接続線17aが有線IF回路17に接続されているシチュエーションで動作する。また、第2測定モード中は、特に異常がなければ、有線接続時に、接続線17a及び有線IF回路17を介して電力を受給しながら測定を行うように動作することとなる。これにより、電力供給部18の電池残量を気にすることなく、継続的な測定及び測定データのリアルタイム転送が可能となる。一方、パルスオキシメーター1は、有線接続時における動作中に、何らかの異常で、通信は可能であるにもかかわらず電力の供給が途絶えた場合には、自動的に電力供給部18から電力を受給しながら測定を行うように動作する。
【0045】
測定データのリアルタイム転送が不可の場合は、パルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に対して有線接続されていないか、有線接続されているにもかかわらず、何らかの異常により患者情報通信装置2との間でデータの送受信が正常に行われていない場合を指している。この場合、パルスオキシメーター1は、第1測定モードで動作する。より具体的に説明すると、第1測定モードは、測定データのリアルタイム転送が不可の場合に動作するモードであり、例えば、患者が自分のベッドから離れる(離床する)ことによって接続線17aが有線IF回路17から抜かれたシチュエーションで動作する。
【0046】
患者の離床時には、接続線17aを外す必要があるが、第1測定モードを停止することなく接続線17aをパルスオキシメーター1から外すことにより、自動的に内蔵メモリーである記憶部13への記憶動作に切り替わり、離床中も継続して測定が可能となっている。その後、再度着床した際に接続線17aを再接続すると、記憶部13に記録された離床中の測定データをサーバー3に自動的に転送するように動作する。
【0047】
離床時に接続線17aを外す際は、意図せず接続線17aが抜けた場合と見分けるために、離床時に接続線17aを抜く旨を認識する1操作(有線接続のロックを外す、離床ボタンを押下するなど)を行う離床ボタン(後述する操作部22)が、各患者のベッドサイドに備えられた患者情報通信装置2に設けられている。意図的に接続線17aを外す場合は、この離床ボタンを押した後に、接続線17aを外して有線接続を切断することにより、サーバー3は、異常ではなく有線接続が切れたことを判断する。
【0048】
なお、離床ボタンが押下されてから所定時間以内は、有線接続の切断を異常と認識しない期間としてもよい。また、離床ボタンは、パルスオキシメーター1と患者情報通信装置2とを接続する接続線17aを外す場合だけでなく、患者情報通信装置2に接続される後述の各種センサー用の接続線を外す場合にも押下される。
【0049】
パルスオキシメーター1は、患者の動き(体動)や姿勢(体位)を検知する加速度センサーや、皮膚接触部の体温を測定する温度センサーを備えることにより、SpO値と脈拍数の他に、加速度センサーや温度センサーの測定データを取得できる。当該測定データは、SpO値と脈拍数の測定データと合わせて、患者情報通信装置2、サーバー3に転送される。また、制御部11が、加速度センサーからの測定データ(加速度データ)に基づいて、患者の労作/安静の判別、患者の歩行などの行動記録、当該判別情報及び行動記録情報を患者情報通信装置2、サーバー3へ転送し表示させる構成としてもよい。例えば、行動記録は、操作部12を介するユーザーからの行動記録の有無の設定に応じて、実行/停止設定される。
【0050】
また、パルスオキシメーター1は、外部機器(患者情報通信装置2、サーバー3、MT(Mobile Terminal)(図示略)など)からのコマンドにより、パルスオキシメーター1における各種設定情報を設定可能な構成としてもよい。MTは、医師、看護師などのユーザーがそれぞれ所持するタブレットPC(Personal Computer)、スマートフォンなどの携帯端末である。各種設定情報は、検出部14を含む各センサーの測定周期、間欠測定などの動作設定、リアルタイム転送している測定データ以外の異常判定用の閾値などの設定パラメーター、計時部19の時刻設定情報、オートパワーオフの有無及び時間の設定情報、パルスオキシメーター1の機器番号の設定情報などを含む。
【0051】
図1図3に示すように、患者情報通信装置2は、医療機関の病室の複数の患者のベッドのベッドサイドにそれぞれ据え付けて配置される端末装置である。患者情報通信装置2は、パルスオキシメーター1によって測定された測定データを、サーバー3にリアルタイム転送する。このような患者情報通信装置2は、患者ごとのベッドサイドに設置されており、ベッドサイド端末ともいう。
【0052】
また、患者情報通信装置2には、パルスオキシメーター1以外にも患者のバイタル値などをモニタリングする各種センサー(例えば、呼吸センサー4、体動センサー5、離床センサー6、脈拍センサー、体温センサー、血圧計など)も接続可能となっている。
【0053】
図3に示すように、患者情報通信装置2は、制御部21、操作部22、記憶部23、表示部24、IF回路25、無線通信部26、電源部27、NFC(Near Field Communication)リーダー28などを備える。
【0054】
制御部21は、CPU、RAMなどにより構成される。制御部21のCPUは、記憶部23に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0055】
操作部22は、各種スイッチ、各種機能ボタンなどを備えており、これらの操作信号を制御部21に出力する。各種機能ボタンには、パルスオキシメーター1から接続線17aを外す場合、上記のパルスオキシメーター1の接続線17a、各種センサー4,5,6用の接続線を外す場合に押下される上記の離床ボタンが含まれている。
【0056】
記憶部23は、フラッシュメモリーなどの半導体の不揮発性メモリーで構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、記憶部23には、サーバー3において患者と各測定データとを紐付ける場合に利用する患者特定情報が予め記憶されている。また、記憶部23には、後述する患者情報通信処理を実行するための患者情報通信処理プログラムが記憶されているものとする。
【0057】
表示部24は、例えばLCD、ELディスプレイなどにより構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部24に表示される情報としては、患者情報通信装置2に接続されたパルスオキシメーター1や、その他の上記した各種センサー4,5,6の測定値や測定波形などが挙げられる。
【0058】
IF回路25は、パルスオキシメーター1及び各種センサー4,5,6との間で測定データのリアルタイム転送を含む有線通信と、無線通信部26及びNFCリーダー28との有線通信と、を可能とする回路部であり、接続線17aの接続部が含まれる。また、患者情報通信装置2からパルスオキシメーター1及び各種センサー4,5,6に対しては電力の供給が行われるため、IF回路25も、当該電力の供給が可能に構成されている。
【0059】
無線通信部26は、サブギガ無線通信によりサーバー3とデータ送受信を行うための無線アンテナ、無線モジュールを含む無線インターフェースを有する。すなわち、本実施の形態においては、患者情報通信装置2とサーバー3とは無線通信によってデータの送受信を行うものとする。なお、これに限定されるものではなく、患者情報通信装置2とサーバー3とは、有線による通信を行うものとしてもよい。
【0060】
電源部27は、系統電源又は病院の自家発電装置から電力を取得し、その電力を、IF回路25を含む患者情報通信装置2の各部へと送る電力供給部であり、接続線17aを介してパルスオキシメーター1にも電力を供給することができる。
【0061】
NFCリーダー28は、NFCの無線通信方式により、通信対象物に記憶されている情報を読み取る読取部であり、IF回路25を介して、読み取った情報を制御部21に出力する。NFCリーダー28は、例えば、看護師などのユーザーが所持するIDカードに記憶されている当該ユーザーのユーザーIDを読み取る。
【0062】
本実施の形態では、例えば、患者情報通信装置2のうち、制御部21、操作部22、記憶部23、表示部24は、タブレットPC20により実現されるものとする。タブレットPC20は、BluetoothやWi-Fiなどの無線通信が可能な無線通信部、各種音を出力する音声出力部などを有する構成としてもよい。
【0063】
図1図4に示すように、サーバー3は、複数の患者に装着された複数のパルスオキシメーター1から複数の患者情報通信装置2を介して、当該複数の患者の測定データを受信し、当該複数の患者分の測定データを記憶して管理するとともに、当該複数の測定データ同時にリアルタイム表示する集中管理ステーション(集中管理システム、SS(Station Server))として機能する。
【0064】
図4に示すように、サーバー3は、制御部31、操作部32、記憶部33、表示部34、無線通信部35などを備える。サーバー3の各部は、バス36を介して接続されている。
【0065】
制御部31は、CPU、RAMなどにより構成される。制御部31のCPUは、記憶部33に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0066】
操作部32は、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスを有し、ユーザーからのキー入力、位置入力を受け付け、これらの操作信号を制御部31に出力する。
【0067】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量記録媒体で構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、記憶部33には、後述するサーバー処理を実行するためのサーバー処理プログラムが記憶されているものとする。
【0068】
表示部34は、LCD、ELディスプレイなどにより構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部34に表示される情報としては、モニタリングシステム100の全ての患者情報通信装置2に接続された、全てのパルスオキシメーター1や、その他の上記した各種センサー4,5,6により測定されたすべての患者のバイタル値の測定値や測定波形を有する表示画面などが挙げられる。
【0069】
無線通信部35は、例えば、患者情報通信装置2と通信をするためのサブギガ無線通信による無線通信部と、パルスオキシメーター1、MT(図示略)などと無線通信をするためのBluetooth、Wi-Fiなどの無線通信部とを含む。
【0070】
サーバー3を構成する各部のうち少なくとも表示部34は、例えば医療施設内の看護師が常駐する所謂ナースステーションに設置されており、看護師がいつでも患者の測定データを目視により確認できるようになっている。
【0071】
つぎに、図5図7を参照して、モニタリングシステム100の動作を説明する。図5は、パルスオキシメーター処理を示すフローチャートである。図6は、患者情報通信処理を示すフローチャートである。図7は、サーバー処理を示すフローチャートである。
【0072】
まず、図5を参照して、パルスオキシメーター1で実行されるパルスオキシメーター処理を説明する。パルスオキシメーター1は、有線IF回路17(、接続線17a)を介して、ベッドのサイドに設けられた患者情報通信装置2に有線接続/切断可能である。また、ある患者が対応するベッドに着床しており、パルスオキシメーター1により、SpO、脈拍数のバイタル値の測定が可能な状態であるものとする。
【0073】
パルスオキシメーター1において、例えば、電源ボタン12aを介して、看護師などのユーザーから電源オンの操作入力がされたことをトリガーとして、制御部11は、記憶部13に記憶されたパルスオキシメーター処理プログラムに従い、パルスオキシメーター処理を実行する。
【0074】
図5に示すように、制御部11は、有線IF回路17を介して、自機のパルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に有線接続されているか否かを判別する(ステップS11)。患者情報通信装置2に接続されている場合(ステップS11;YES)、制御部11は、有線IF回路17を介して、患者特定情報を患者情報通信装置2から受信する(ステップS12)。患者特定情報は、患者を特定するための情報であり、患者情報通信装置2が管理している。ここでは、患者特定情報は、患者の識別情報としての患者IDを含むものとするが、患者の検査の識別情報、患者のベッドの識別情報、自機のパルスオキシメーター1の接続先の患者情報通信装置2の識別情報(端末情報)の少なくとも一つが含まれる構成としてもよい。後述するように、パルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に(切断状態又はパルスオキシメーター1の電源オンから)新たに接続されると、接続先の患者情報通信装置2に対応する患者の患者特定情報がパルスオキシメーター1に送信される。
【0075】
そして、制御部11は、ステップS12で受信された患者特定情報を暗号化して記憶部13に記憶(上書き)する(ステップS13)。そして、制御部11は、自機のパルスオキシメーター1において第1測定モードで測定されたバイタル値の測定データが格納されたファイルが記憶部13に記憶されているか否かを判別する(ステップS14)。
【0076】
ファイルが記憶されている場合(ステップS14;YES)、制御部11は、記憶部13に記憶されている全てのファイルに対応付けられて記憶されている暗号化患者特定情報を復号化し、ステップS12で受信された患者特定情報と同じ復号化された患者特定情報に対応付けられているファイルを選択し、有線IF回路17を介して、選択したファイルを接続先の患者情報通信装置2に転送し、転送したファイル及び対応付けられた暗号化患者特定情報を記憶部13から削除する(ステップS15)。
【0077】
ファイルが記憶されていない場合(ステップS14;NO)、又はステップS15の後、制御部11は、現在の動作モードを第2測定モードに設定する(ステップS16)。そして、制御部11は、計時部19から現在日時情報を取得し、検出部14を介して、測定対象の患者のバイタル値を取得し、現在日時情報に対応するバイタル値の測定データを取得する(ステップS17)。ステップS17、後述するステップS23の測定データは、測定時の現在日時情報である測定日時情報がバイタル値に対応付けられて含まれるものとする。そして、制御部11は、有線IF回路17を介して、ステップS17で取得された測定データをリアルタイムに接続先の患者情報通信装置2に転送する(ステップS18)。そして、制御部11は、有線IF回路17を介して、接続先の患者情報通信装置2との接続が切断されたか否かを判別する(ステップS19)。接続先の患者情報通信装置2と切断されていない場合(ステップS19;NO)、ステップS17に移行される。
【0078】
接続先の患者情報通信装置2と切断された場合(ステップS19;YES)、又は患者情報通信装置2に接続されてない場合(ステップS11;NO)、制御部11は、現在の動作モードを第1測定モードに設定する(ステップS20)。そして、制御部11は、測定データを格納するための新しいファイルを作成する(ステップS21)。そして、制御部11は、ステップS13で記憶部13に記憶されている暗号化患者特定情報を読み出し、読み出した暗号化患者特定情報と、ステップS21で作成されたファイルと、を対応付けて記憶部13に記憶する(ステップS22)。このように、第1測定モードでの測定を行う前に、ユーザーが、少なくとも、パルスオキシメーター1を測定対象の患者に対応するベッドの患者情報通信装置2に接続することを要する。
【0079】
そして、制御部11は、計時部19から現在日時情報を取得し、検出部14を介して、測定対象の患者のバイタル値を取得し、現在日時情報に対応するバイタル値の測定データを取得する(ステップS23)。そして、制御部11は、有線IF回路17を介して、ステップS24で取得された測定データをステップS22で記憶されているファイルに格納(記憶)する(ステップS24)。
【0080】
そして、制御部11は、電源ボタン12aを介して、ユーザーから電源オフの操作入力がされたか否かを判別する(ステップS25)。このように、電源ボタン12aによる電源オフの操作入力受付は、第1測定モードのみで有効になっている。電源オフの操作入力がある場合(ステップS25;YES)、制御部11は、ステップS22で記憶されステップS24で測定データが格納されたファイルをクローズし(ステップS26)、電源オフして、パルスオキシメーター処理を終了する。
【0081】
電源オフの操作入力がない場合(ステップS25;NO)、制御部11は、操作部12を介して、ユーザーから測定対象の患者の患者特定情報の表示指示の操作入力があるか否かを判別する(ステップS27)。患者特定情報の表示指示の操作入力がある場合(ステップS27;YES)、制御部11は、記憶部23で記憶された測定対象の患者の暗号化患者特定情報を復号化して表示部15に表示する(ステップS28)。ステップS25~S28は、ステップS23,S24と並行して実行される構成としてもよい。
【0082】
患者特定情報の表示指示の操作入力がない場合(ステップS27;NO)、又はステップS28の実行後、制御部11は、有線IF回路17を介して、自機のパルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に有線接続されたか否かを判別する(ステップS29)。患者情報通信装置2に接続されていない場合(ステップS29;NO)、ステップS23に移行される。患者情報通信装置2に接続された場合(ステップS29;YES)、制御部11は、ステップS22で記憶されステップS24で測定データが格納されたファイルをクローズし(ステップS30)、ステップS12に移行する。
【0083】
ついで、図6を参照して、図5のパルスオキシメーター処理と並行して、患者情報通信装置2で実行される患者情報通信処理を説明する。患者情報通信装置2は、IF回路25(、接続線17a)を介して、パルスオキシメーター1に接続/切断可能である。また、あらかじめ、患者情報通信装置2は、操作部22を介するユーザーからの入力、サーバー3からの患者特定情報受信などにより、設けられているベッドに着床する患者の患者特定情報が設定されて記憶部23に記憶され、また、自機の患者情報通信装置2を識別する端末情報が記憶部23に記憶されているものとする。
【0084】
患者情報通信装置2において、例えば、電源オンされたことをトリガーとして、制御部21は、記憶部23に記憶された患者情報通信処理プログラムに従い、患者情報通信処理を実行する。
【0085】
図6に示すように、まず、制御部21は、IF回路25を介して、自機の患者情報通信装置2にパルスオキシメーター1が有線接続されているか否かを判別する(ステップS41)。パルスオキシメーター1が接続されていない場合(ステップS41;NO)、ステップS41に移行される。
【0086】
パルスオキシメーター1が接続されている場合(ステップS41;YES)、制御部21は、ステップS41の現在の接続が、切断状態又はパルスオキシメーター1の電源オンから接続になった新たな接続であるか否かを判別する(ステップS42)。新たな接続である場合(ステップS42;YES)、図5のステップS12に対応して、制御部21は、患者特定情報を記憶部23から読み出し、IF回路25を介して、読み出した患者特定情報を接続先のパルスオキシメーター1に送信する(ステップS43)。
【0087】
そして、図5のステップS15に対応して、制御部21は、IF回路25を介して、ファイルを接続先のパルスオキシメーター1から受信したか否かを判別する(ステップS44)。ファイルを受信した場合(ステップS44;YES)、制御部21は、ステップS43で読み出された患者特定情報と、ステップS44で受信されたファイルの測定データとを対応付けて表示部24に表示する(ステップS45)。ステップS44で受信されたファイルは、自機の患者情報通信装置2の患者特定情報の患者の測定データを格納するファイルである。また、測定データは、バイタル値の測定値、測定波形として表示され、患者情報通信装置2又はサーバー3における他の測定データ表示でも同様である。
【0088】
そして、制御部21は、自機の患者情報通信装置2の端末情報を記憶部23から読み出し、無線通信部26を介して、読み出した端末情報と、ステップS44で受信されたファイルとを、サーバー3に転送する(ステップS46)。
【0089】
新たな接続でない場合(ステップS42;NO)、ファイルを受信していない場合(ステップS44;NO)、又はステップS46の実行後、図5のステップS18に対応して、制御部21は、IF回路25を介して、測定対象の患者のバイタル値の測定データを接続先のパルスオキシメーター1からリアルタイムに受信する(ステップS47)。そして、制御部21は、患者特定情報を記憶部23から読み出し、読み出した患者特定情報と、ステップS47で受信された測定データとを対応付けて表示部24に表示する(ステップS48)。
【0090】
そして、制御部21は、自機の患者情報通信装置2の端末情報を記憶部23から読み出し、無線通信部26を介して、読み出された端末情報と、ステップS47で受信された測定データと、を対応付けてサーバー3に転送し(ステップS49)、ステップS41に移行する。なお、本実施の形態においては、新たな接続時にのみファイル受信をするが、タイミングはユーザーが任意で指定できるようにしてもよい。
【0091】
ついで、図7を参照して、図5のパルスオキシメーター処理及び図6の患者情報通信処理と並行して、サーバー3で実行されるサーバー処理を説明する。あらかじめ、サーバー3は、操作部32を介するユーザーからの入力などにより、各患者の患者特定情報と、各患者情報通信装置2の端末情報と、が対応付けられて記憶部33に記憶されているものとする。
【0092】
サーバー3において、例えば、電源オンされたことをトリガーとして、制御部31は、記憶部33に記憶されたサーバー処理プログラムに従い、サーバー処理を実行する。
【0093】
図7に示すように、まず、図6のステップS46に対応して、制御部31は、無線通信部35を介して、端末情報及びファイルを患者情報通信装置2から受信したか否かを判別する(ステップS51)。端末情報及びファイルを受信した場合(ステップS51;YES)、制御部31は、ステップS51で受信された端末情報に対応する患者特定情報を記憶部33から読み出し、読み出した患者特定情報と、ステップS51で受信されたファイルの測定データとを対応付けて表示部34に表示する(ステップS52)。
【0094】
そして、制御部31は、ステップS52で読み出された患者特定情報と、ステップS51で受信されたファイルと、を対応付けて記憶部33に記憶し(ステップS53)、ステップS51に移行する。
【0095】
端末情報及びファイルを受信していない場合(ステップS51;NO)、図6のステップS49に対応して、制御部31は、無線通信部35を介して、端末情報と測定対象の患者のバイタル値の測定データとをリアルタイムに患者情報通信装置2から受信したか否かを判別する(ステップS54)。端末情報及び測定データを受信していない場合(ステップS54;NO)、ステップS51に移行される。
【0096】
端末情報及び測定データを受信した場合(ステップS54;YES)、制御部31は、ステップS54で受信された端末情報に対応する患者特定情報を記憶部33から読み出し、読み出した患者特定情報と、ステップS54で受信された測定データとを対応付けて表示部34に表示する(ステップS55)。そして、制御部31は、ステップS55で読み出された患者特定情報と、ステップS54で受信された測定データと、を対応付けて記憶部33に記憶し(ステップS56)、ステップS51に移行する。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、パルスオキシメーター1は、患者の生体情報のバイタル値の測定データを検出する検出部14と、外部へ測定データをリアルタイム送信する第2測定モードにおいて、検出された患者の測定データを外部の患者情報通信装置に送信する有線IF回路17と、記憶部13と、患者情報通信装置2への送信なく記憶部13に測定データを記憶する第1測定モードにおいて、検出された患者の測定データと当該患者の患者特定情報とを対応付けて記憶部13に記憶する制御部11と、を備える。
【0098】
このため、患者情報通信装置への送信なく生体情報の測定データを測定して記憶する第1測定モードで測定されたバイタル値の測定データと、患者特定情報と、を確実に対応付けることができる。
【0099】
また、患者特定情報は、患者の識別情報としての患者IDを含む。このため、第1測定モードで測定された測定データの測定対象の患者を確実に特定できる。
【0100】
また、制御部11は、患者情報通信装置2への接続時に、有線IF回路17を介して患者特定情報を患者情報通信装置2から自動的に取得する。このため、ユーザーによる患者特定情報の取得の負担を低減できる。
【0101】
また、パルスオキシメーター1は、表示部15を備える。制御部11は、患者特定情報を表示部15に表示する。このため、看護師、理学療法士などのユーザーが、測定対象の患者が間違っていないか患者特定情報を目視により確認できる。
【0102】
また、制御部11は、有線IF回路17を介して患者情報通信装置2に接続された場合に、記憶部13に記憶された測定データのうち、選択された測定データのみを患者情報通信装置2に送信する。より具体的には、制御部11は、記憶部13に記憶された測定データのうち、患者情報通信装置2から受信された患者特定情報に対応付けられた測定データのみを患者情報通信装置2に送信する。このため、患者情報通信装置2の患者に対応する測定データを当該患者情報通信装置2に確実に送信できるとともに、パルスオキシメーターから患者情報通信装置2への無駄な通信を防ぐことができる。
【0103】
また、制御部11は、有線IF回路17を介して患者情報通信装置2に接続された場合に、記憶部13に記憶された測定データを当該患者情報通信装置2に送信し、送信した測定データと当該測定データに対応する患者特定情報とを記憶部13から削除する。このため、送信により不要になった測定データ及び患者特定情報を削除でき、記憶部13の記憶容量を高めることができる。
【0104】
また、制御部11は、患者特定情報を暗号化して記憶部13に記憶する。このため、看護師などのユーザーや、測定対象の患者以外の第三者に、記憶部13に記憶されている測定データの患者特定情報が漏洩することを防ぐことができる。
【0105】
(変形例)
上記実施の形態の複数の変形例を説明する。
【0106】
上記実施の形態では、図5のパルスオキシメーター処理のステップS15において、パルスオキシメーター1の制御部11が、記憶部13に記憶されている複数のファイルから、接続先の患者情報通信装置2の患者特定情報に対応するファイルを選択して当該接続先の患者情報通信装置2に送信する構成としたが、これに限定されるものではない。
【0107】
例えば、図5のステップS15において、制御部11が、有線IF回路17を介して、記憶部13に記憶されている全てのファイルを、各ファイルの暗号化患者特定情報とともに、接続先の患者情報通信装置2に送信する構成としてもよい。この構成では、図6の患者情報通信処理のステップS44において、患者情報通信装置2の制御部21が、全てのファイル及び暗号化患者特定情報を接続先のパルスオキシメーター1から受信する。図6のステップS45において、制御部21は、ステップS44で受信された全ての暗号化患者特定情報を復号化し、患者特定情報及びファイルを選択し、当該患者特定情報と当該選択したファイルの測定データとを対応付けて表示部24に表示する。図6のステップS46において、制御部21は、無線通信部26を介して、記憶部23に記憶されている端末情報と、ステップS45で選択されたファイルと、をサーバー3に送信する。
【0108】
また、患者情報通信装置2からサーバー3へ送信するファイルの選択について、操作部32を介するユーザーからの選択指示の操作入力などにより、サーバー3から患者情報通信装置2へ指示する構成としてもよい。同様に、患者情報通信装置2からサーバー3へ送信するファイルの選択は、操作部22を介するユーザーからの選択指示の操作入力により、患者情報通信装置2へ指示する構成としてもよい。
【0109】
以下、その他の変形例を順に説明する。
【0110】
上記実施の形態では、パルスオキシメーター1で測定された測定データを全て含むファイルを記憶部13に記憶し、当該ファイルが、患者情報通信装置2、サーバー3へ順にそのまま転送される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、パルスオキシメーター1の制御部11が、記憶部13に記憶されているファイルの測定データを間引きし、有線IF回路17を介して、間引きした測定データを格納するファイルを患者情報通信装置2に送信する構成としてもよい。例えば、1秒間隔の測定データを、5秒の間隔の測定データに間引きされる。また、5秒の間隔の測定データは、5つの連続する1秒間隔の測定データを平均して作成されることとしてもよい。同様に、患者情報通信装置2の制御部21が、接続先のパルスオキシメーター1から受信したファイルの測定データを間引きし、無線通信部26を介して、間引きした測定データを格納するファイルをサーバー3に送信する構成としてもよい。このファイルの間引きの間隔は、患者情報通信装置2の操作部22を介するユーザーからの操作入力や、サーバー3の操作部32を介するユーザーからの操作入力に応じて、任意に設定可能な構成としてもよい。
【0111】
患者情報通信装置2とサーバー3との間の通信は、例えばサブギガ無線であると通信速度が比較的高くないが、間引きした測定データを格納するファイルを送信するので、送信時間を短くすることができる。
【0112】
また、上記実施の形態では、患者情報通信装置2からサーバー3へファイルを送信する場合に、リアルタイムの測定データの無線通信回線(無線通信部26,35間のサブギガ無線の回線)と同じ回線を用いてファイルを送信する構成としたが、これに限定されるものではない。患者情報通信装置2とサーバー3との間に、リアルタイムの測定データの無線通信回線とは異なる無線通信回線(例えば、2.4[GHz]帯無線の回線)が設けられ、当該異なる回線を用いて、患者情報通信装置2からサーバー3へファイルを送信する構成としてもよい。この構成によれば、サブギガ無線などの無線回線により、リアルタイムの測定データの無線通信回線を患者情報通信装置2からサーバー3へ送信し、これと並行して患者情報通信装置2からサーバー3へのファイルを送信する場合にも、ファイルを送信しきれなくなることを防ぐことができる。
【0113】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な生体情報検出装置、生体情報検出システム及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態及び変形例の少なくとも2つの構成を適宜組み合わせる構成としてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態及び変形例では、生体情報検出装置として、パルスオキシメーター1を説明したが、これに限定されるものではない。生体情報検出装置を、SpOや脈拍数以外の生体情報を検出する各種センサーに適用する構成としてもよい。
【0115】
また、以上の実施の形態におけるモニタリングシステム100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 モニタリングシステム
1 パルスオキシメーター
11 制御部
12 操作部
12a 電源ボタン
13 記憶部
14 検出部
14a 測定制御部
14b LED駆動回路
14c アナログフロントエンド回路
14d ADコンバーター
15 表示部
16 無線通信部
17 有線IF回路
18 電力供給部
18a 充電制御部
2 患者情報通信装置
20 タブレットPC
21 制御部
22 操作部
23 記憶部
24 表示部
25 IF回路
26 無線通信部
27 電源部
28 NFCリーダー
3 サーバー
31 制御部
32 操作部
33 記憶部
34 表示部
35 無線通信部
36 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7