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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241203BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241203BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 612U
G09G3/20 621A
G09G3/20 621B
G09G3/20 623H
G09G3/20 623D
G09G3/20 622P
G02F1/133 550
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020194216
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083002
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】樋口 潤
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-223289(JP,A)
【文献】特開平10-228009(JP,A)
【文献】特開2012-047776(JP,A)
【文献】特開2012-113072(JP,A)
【文献】特開2005-031522(JP,A)
【文献】特開2010-113100(JP,A)
【文献】特開2001-092422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0050147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量素子を充電する駆動回路であって
ソースフォロワの定電流回路を備え、入力信号に応じて電流を出力するバッファ回路と、
前記バッファ回路と前記容量素子との間に接続されたスイッチと、を備え、
前記ソースフォロワの定電流回路は、前記スイッチが閉じた後に電流を遮断し、
2つのパルスを有する前記入力信号を、クロック信号に同期して順次伝送して、2つのパルスを有する出力信号として出力するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタから出力される前記出力信号が供給されるクロック入力端子を有するフリップフロップ回路と、を更に備え、
前記出力信号の前記2つのパルスのうちの1つ目のパルスに応じた制御信号によって、前記スイッチが制御され、
前記出力信号の前記1つ目のパルスの立ち上がりエッジから、前記出力信号の2つ目のパルスの立ち上がりエッジまでの期間、前記定電流回路が定電流を出力する
駆動回路。
【請求項2】
前記バッファ回路は、
第1のp型MOSトランジスタと
第2のp型MOSトランジスタと、を備え、
前記第2のp型MOSトランジスタのゲートは前記ソースフォロワの定電流回路を駆動するためのバイアス電位に接続され、
前記第2のp型MOSトランジスタのドレインは前記スイッチに接続され、
前記第2のp型MOSトランジスタのソースは第1電位に接続され、
前記第1のp型MOSトランジスタのゲートは前記入力信号が供給される入力端子に接続され、
前記第1のp型MOSトランジスタの前記ソースが前記スイッチに接続され、
前記第1のp型MOSトランジスタのドレインが第2電位に接続され、
前記スイッチが閉じた後に前記バイアス電位が変化することで、前記定電流回路が電流を遮断する請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記バッファ回路及び前記スイッチが2系統設けられており、
前記2系統の一方の前記バッファ回路が前記容量素子に正極側の電圧を印加し、
前記2系統の他方の前記バッファ回路が前記容量素子に負極側の電圧を印加し、
前記2系統の前記スイッチが交互にオンする請求項1、又は2に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動回路、液晶デバイス、及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶表示装置とその駆動回路が開示されている。特許文献1では、2本のデータ線を1組として、一方のデータ線に正極性映像信号を供給し、他方のデータ線に負極性映像信号を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-223289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正極性の映像信号と負極性の映像信号を保持するバッファ回路が画素内に設けられている。さらに、1フレーム内において、正極性の映像信号と負極性の映像信号とを切り替えるために、画素内にスイッチが設けられている。このような液晶表示装置において、画素電極に印加される電圧に応じて輝度が変化する。よって、より安定した電圧で駆動することが望まれる。
【0005】
本開示は上記の点に鑑みなされたものであり、安定した電圧で駆動することができる駆動回路、液晶デバイス、及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態にかかる駆動回路は、容量素子を充電する駆動回路であって、ソースフォロワの定電流回路を備え、入力信号に応じて電流を出力するバッファ回路と、前記バッファ回路と前記容量素子との間に接続されたスイッチと、を備え、前記ソースフォロワの定電流回路は、前記スイッチが閉じた後に電流を遮断する。
【0007】
本実施の形態にかかる液晶デバイスは、2本のデータ線を1組とする複数組のデータ線と、前記データ線と交差する複数本のゲート線と、前記ゲート線と1組の前記データ線とに接続された画素と、1組の前記データ線の一方のデータ線に正極性の映像信号を供給し、他方のデータ線に負極性の映像信号を供給することを、前記複数組のデータ線に対して組単位で順次行う複数のスイッチと、前記複数のスイッチを水平走査期間内で前記駆動する水平方向駆動回路と、前記複数本のゲート線を水平走査期間毎に選択する垂直方向駆動を行う垂直方向駆動回路と、を備え、前記画素は、ソースフォロワの定電流回路を備え、前記画素の画素電極に前記正極性の映像信号をサンプリングして一定期間保持する第1サンプルホールド回路と、ソースフォロワの定電流回路を備え、前記画素電極に前記負極性の映像信号をサンプリングして一定期間保持する第2サンプルホールド回路と、前記第1サンプルホールド回路で保持された正極性の映像信号と前記第2サンプルホールド回路で保持された負極性の映像信号とを、垂直走査周波数よりも高い周波数で切替えて画素電極に交互に印加する切替スイッチと、を備え、前記ソースフォロワの定電流回路は、前記切替スイッチが閉じた後に電流を遮断する。
【0008】
本実施の形態にかかる液晶デバイスの駆動方法は、2本のデータ線を1組とする複数組のデータ線と、前記データ線と交差する複数本のゲート線と、前記ゲート線と1組の前記データ線とに接続された画素と、1組の前記データ線の一方のデータ線に正極性の映像信号を供給し、他方のデータ線に負極性の映像信号を供給することを、前記複数組のデータ線に対して組単位で順次行う複数のスイッチと、前記複数のスイッチを前記組単位で水平走査期間内に駆動する水平方向駆動回路と、前記複数本のゲート線を水平走査期間毎に選択する垂直方向駆動を行う垂直方向駆動回路と、を備えた液晶デバイスの駆動方法であって、前記正極性の映像信号をサンプリングして一定期間保持する第1サンプリングステップと、前記負極性の映像信号をサンプリングして一定期間保持する第2サンプリングステップと、前記第1サンプリングステップで保持された正極性の映像信号と前記第2サンプリングステップで保持された負極性の映像信号とを、垂直走査周波数よりも高い周波数で切替えて画素電極に交互に印加するステップと、を備え、前記画素は、前記画素の画素電極に前記映像信号をサンプリングして一定期間保持するために設けられた、ソースフォロワの定電流回路を有するバッファ回路と、前記第1サンプリングステップで保持された正極性の映像信号と前記第2サンプリングステップで保持された負極性の映像信号とを、垂直走査周波数よりも高い周波数で切替えて画素電極に交互に印加する切替スイッチと、を備え、前記ソースフォロワの定電流回路は、前記切替スイッチが閉じた後に電流を遮断する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、安定した電圧で駆動することができる駆動回路、液晶デバイス、及びその駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】液晶表示装置の構成を示す図である。
図2】画素の回路構成を示す図である。
図3】バッファ回路の構成を示す回路図である。
図4】比較例にかかる駆動回路の信号波形を示す図である。
図5】比較例にかかる駆動回路において、ジッタが生じた場合の信号波形を示す図である。
図6】実施の形態1にかかる駆動回路の信号波形を示す図である。
図7】実施の形態にかかる駆動回路において、ジッタが生じた場合の信号波形を示す図である。
図8】実施の形態2にかかる駆動回路を示す回路図である。
図9】実施の形態2にかかる駆動回路の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本開示が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
実施の形態1.
本実施にかかる液晶デバイスは、例えばLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術を用いて構成された反射型液晶表示装置である。本実施の形態にかかる液晶表示装置について図1を用いて説明する。図1は液晶表示装置のパネル構成を示す図である。液晶表示装置100は、水平方向駆動回路10と、垂直方向駆動回路20と、画素表示部30と、コントローラ60とを備えている。
【0013】
画素表示部30には、複数本のデータ線6と、複数本のゲート線8と、複数の画素42とが設けられている。複数本のデータ線6は互いに平行に配置されている。複数本のゲート線8は、互いに平行に配置されている。複数本のデータ線6と、複数本のゲート線8とは互いに交差するように配置されている。ゲート線8は行走査線となる。
【0014】
液晶表示装置100は、2本を1組として、複数組のデータ線6を備えている。液晶表示装置100は、1組のデータ線6を用いて画素42を反転駆動する。以下、1組のデータ線6のうち、正極側のデータ線6をデータ線6aとして、負極側のデータ線6をデータ線6bとする。また、スイッチ1及び映像信号線5についても、同様にスイッチ1a、スイッチ1b、及び映像信号線5a、5bとして、極性を識別する。極性反転するために、2系統のデータ線6、スイッチ1、及び映像信号線5が設けられている。
【0015】
データ線6とゲート線8との交差部に画素42が配置されている。画素42はマトリクス状(行列状)に配置されている。各画素42は、1組のデータ線6と1本のゲート線8とによって駆動される。例えば、ゲート線8がn本、データ線6が2m本とすると、画素42はn×mのマトリクス状に配列されている。なお、m、nはそれぞれ2以上の整数である。
【0016】
さらに、画素表示部30には、各画素42に共通電位を供給するための共通電極線7が設けられている。共通電極線7は、画素42に設けられた保持容量と接続される。
【0017】
垂直方向駆動回路20は、複数本のゲート線を水平走査期間毎に選択する垂直方向駆動を行う。垂直方向駆動回路20は、複数本のゲート線8に走査信号を供給する。つまり、垂直方向駆動回路20は、1行目からn行目のゲート線8を順次選択するように、走査信号を供給する。これにより、1行毎に画素42が順次選択されていく。1垂直走査期間内に全てのゲート線8が選択される。選択された1行の画素42では、映像信号の書き込みが可能となる。複数本のゲート線を水平走査期間毎に選択する垂直方向駆動を行う。
【0018】
水平方向駆動回路10は、複数のスイッチ1を水平走査期間内で駆動する水平方向駆動を行う。これにより、複数本のデータ線6に映像信号が供給される。上記のように、2本のデータ線6a、6bが1組として、画素42に接続されている。よって、1行の画素42に対して、2本のデータ線6a、6bが共通に接続されている。
【0019】
データ線6aは、スイッチ1aを介して、映像信号線5aに接続されている。データ線6bは、スイッチ1bを介して、映像信号線5bに接続されている。映像信号線5aには、正極側の映像信号71aが供給されている。映像信号線5bには、負極側の映像信号71bが供給されている。水平方向駆動回路10は、スイッチ1a、スイッチ1bを制御する。
【0020】
よって、1組のデータ線6a、6bの一方のデータ線6aには、正極性の映像信号71aが供給され、他方のデータ線6bには、負極性の映像信号71bが供給される。正極性の映像信号71aは、共通電極線7の共通電位に対して正電圧となり、負極性の映像信号71bは、共通電極線7の共通電位に対して負電圧となる。選択された1行の画素42に対して、それぞれ正極性の映像信号71a、負極性の映像信号71bを供給することができる。水平方向駆動回路10は、それぞれのスイッチ1を水平走査期間内で複数回オンオフする。
【0021】
コントローラ60は、映像信号71a、71bに同期するように生成した各種クロック信号を水平方向駆動回路10と垂直方向駆動回路20に供給する(経路は図示せず)。水平方向駆動回路10と垂直方向駆動回路20が映像信号71a、71bと同期した形でデータ線6、ゲート線8をそれぞれ駆動することで、水平と垂直の各走査を伴った画素選択を行う。これにより、本実施の形態では、液晶の交流駆動を高速に行うことが可能になる。
【0022】
図2は、画素42の構成を示す回路図である。画素42は、画素選択トランジスタQ1、Q2と、保持容量C1、C2、C3と、バッファ回路44a、44bと、を備えている。さらに、画素42は、画素電極PEと共通電極CEと液晶LCとを備えている。液晶LCは画素電極PEと共通電極CEとの間に挟持されている。つまり、画素電極PEと液晶LCと共通電極CEとは容量素子を構成する。画素電極PEに供給される映像信号に応じた電圧で液晶LCが駆動する。
【0023】
画素42は、正極性の画素回路43aと、負極側の画素回路43bを備えている。画素回路43aと画素回路43bは同様の回路構成を有している。画素回路43aは、バッファ回路44aと保持容量C1と画素選択トランジスタQ1とスイッチs+を備えている。画素回路43bは、バッファ回路44bと保持容量C2と画素選択トランジスタQ2とスイッチs-とを備えている。
【0024】
ゲート線8は、画素42において2本に分岐されている。分岐された2本のゲート線8の一方をゲート線8aとし、他方をゲート線8bとする。ゲート線8aは、画素選択トランジスタQ1のゲートに接続されている。ゲート線8bは、画素選択トランジスタQ2のゲートに接続されている。画素選択トランジスタQ1のドレインはデータ線6aに接続されている。画素選択トランジスタQ2のドレインはデータ線6bに接続されている。
【0025】
画素選択トランジスタQ1のソースは保持容量C1の一端に接続されている。保持容量C1の他端は共通電極線7に接続されている。画素選択トランジスタQ2のソースは保持容量C2の一端に接続されている。保持容量C2の他端は共通電極線7に接続されている。保持容量C1、C2は、電荷を保持するキャパシタとなる。
【0026】
画素42は、バッファ回路44aとバッファ回路44bとを備えている。バッファ回路44aとバッファ回路44bは同様の構成を備えている。バッファ回路44aとバッファ回路44bを総称してバッファ回路44ともいう。
【0027】
バッファ回路44aの入力端子(図中のin)は、画素選択トランジスタQ1と保持容量C1の接続ノードに接続されている。バッファ回路44bの入力端子は、画素選択トランジスタQ2と保持容量C2の接続ノードに接続されている。バッファ回路44aの出力端子(図中のout)は、スイッチs+を介して、画素電極PEに接続されている。バッファ回路44bの出力端子は、スイッチs-を介して、画素電極PEに接続されている。バッファ回路44a、44bは、映像信号をサンプリングして、一定時間保持するサンプルホールド回路となる。
【0028】
バッファ回路44aは、垂直走査期間よりも短い所定周期で、正極性の映像信号をサンプリングして、保持する。バッファ回路44bは、垂直走査期間よりも短い所定周期で、負極性の映像信号をサンプリングして、垂直走査期間よりも短い期間保持する。バッファ回路44aによるサンプリングを第1サンプリングステップとし、バッファ回路44bによるサンプリングを第2サンプリングステップとする。
【0029】
さらに、スイッチs+の出力端子とスイッチs-の出力端子との接続ノード45にて接続されている。接続ノード45と画素電極PEとの間には、保持容量C3の一端が接続されている。保持容量C3の他端は、共通電極線7に接続されている。
【0030】
このように、1つの画素42が、2系統のデータ線6a、6b、バッファ回路44a、44b、及びスイッチs+、s-等で駆動されている。バッファ回路44aが正極性側の映像信号をサンプリングして保持する回路となる。バッファ回路44bが負極性側の映像信号をサンプリングして保持する回路となる。スイッチs+とスイッチs-は垂直走査周波数よりも高い周波数で、映像信号の極性を切替えて、画素電極PEに交互に印加する切替スイッチとなっている。
【0031】
スイッチs+とスイッチs-が交互にオンオフ制御される。スイッチs-がオフした状態でスイッチs+がオンすると、バッファ回路44aが保持している正極性の映像信号が画素電極PEに書き込まれる。スイッチs+がオフした状態でスイッチs-がオンすると、バッファ回路44bが保持している負極性の映像信号が画素電極PEに書き込まれる。
【0032】
データ線6aの正極性の映像信号と、データ線6bの正極性の映像信号とが交互に画素電極PEに供給される。1フレームに一度、映像信号が保持容量C1、C2に書き込まれて、次フレームでの書き込みまで保持される。そして、次のフレームでの書き込みまで、スイッチs+とスイッチs-が複数回オンオフする。スイッチs+とスイッチs-を交互にオンすることで極性反転が可能となる。例えば、垂直走査周波数(フレーム周波数)が60Hz(60fps)として、1フレームにおいて、正極性と負極性の映像信号を切替える切替回数を30回とすると、1.8kHzで交流駆動することができる。
【0033】
本実施の形態では、1垂直走査期間内に1度保持容量C1、C2への映像信号の書き込みが行われる。1垂直走査期間内において、正電圧及び負電圧を複数回、画素電極PEに印加することができる。画素42への書き込み周波数を増加させることなく、高速に液晶を交流駆動できる。このため、画素電極PEと共通電極CEの間の直流分を低減させることができ、液晶の焼き付き防止など画質や信頼性を向上できる。また、本実施の形態では、極性反転可能な画素回路43a、43bが画素42に設けられている。画素回路43a、43bを高速で制御することにより、垂直走査周波数の制約のない、高い周波数での交流駆動が可能である。
【0034】
バッファ回路44aとスイッチs+とが保持容量C3を充電するための駆動回路として機能する。同様に、バッファ回路44bとスイッチs-とが保持容量C3を充電するための駆動回路として機能する。バッファ回路44a、44bの構成について説明する。バッファ回路44aとバッファ回路44は同様の回路構成であるため、以下、まとめてバッファ回路44として説明する。図3は、バッファ回路44の構成を示す回路図である。
【0035】
バッファ回路44は、トランジスタTr1,及びトランジスタTr2を備えている。トランジスタTr1,及びトランジスタTr2は、p型MOSトランジスタとなっている。トランジスタTr1のゲートは、入力端子inに接続されている。トランジスタTr1のドレインは、グランドGNDに接続されている。トランジスタTr1のソースは、トランジスタTr2のドレインと接続されている。
【0036】
トランジスタTr2のソースは、電源電位VDDに接続されている。トランジスタTr2のゲートはバイアス電位に接続されている。トランジスタTr2のドレインと、トランジスタTr1のソースは、出力端子outに接続されている。
【0037】
トランジスタTr2は、定電流をトランジスタTr1に供給するための定電流回路47となる。トランジスタTr2のゲートにバイアス電位を供給することで、トランジスタTr2がソースフォロワとして動作して、トランジスタTr1に定電流を供給する。バッファ回路44は、ソースフォロワの定電流回路47を備えており、入力端子inに入力される入力信号に応じて電流を出力する。トランジスタTr2がソースフォロワとして動作しないときは、バイアス端子を電源電位VDDにすることで、定電流を遮断することができる。
【0038】
次に、バッファ回路44、スイッチs+、及びスイッチs-を有する駆動回路の信号波形について説明する。図4は、駆動回路のパルス信号波形の一例を示す図である。図4では、上から順に、垂直同期信号Vsync、バイアス電位biasのバイアス信号、スイッチs+の制御信号、スイッチs-の制御信号、画素電極PEの画素電圧Vpe、共通電極CEの共通電圧Vcomを示している。
【0039】
垂直同期信号Vsyncは、垂直走査期間を示す信号である。1垂直走査期間内において、スイッチs+とスイッチs-は複数回オンオフする。スイッチs+とスイッチs-は、それぞれ制御信号がハイレベルのときにオンし、ローレベルの時にオフする。バイアス電位biasは、図3に示すように、トランジスタTr2のゲートに接続されている。バイアス電位biasがローレベルのとき、定電流回路47がオンとなり、電流が流れる。バイアス電位biasがハイレベル(電源電位VDD)のとき、定電流回路47がオフとなり、電流が流れなくなる。つまり、バイアス電位bias電位がローレベルからハイレベルになるタイミング(例えば、図4中のタイミングA、B)で定電流回路47が電流を遮断する。
【0040】
スイッチs+とスイッチs-は交互にオンする。具体的には、スイッチs-がオフの状態でスイッチs+がオンすると、画素電極PEと保持容量C3が充電されるため、画素電圧Vpeがハイレベルとなる。充電が完了した後に、スイッチs+がオフする。これにより、スイッチs+とスイッチs-の両方がオフとなる。
【0041】
その後、スイッチs+がオフの状態でスイッチs-がオンする。スイッチs-がオンするタイミングまで画素電圧Vpeがハイレベルで保持されている。スイッチs-がオンすると、画素電極PEと保持容量C3が放電されるため、画素電圧Vpeがローレベルとなる。そして、放電が完了した後に、スイッチs-がオフする。これにより、スイッチs+とスイッチs-の両方がオフとなる。また、共通電圧Vcomは、スイッチs+がオンするタイミングとスイッチs-がオンするタイミングで、極性が反転している。すなわち、共通電圧Vcomは、スイッチs+がオンするタイミングでローレベルとなり、スイッチs-がオンするタイミングでハイレベルとなる。
【0042】
1垂直走査期間内において、上記の処理を繰り返す。このようにすることで、1垂直走査期間内において、液晶LCに印加される電圧の極性を複数回反転することができる。ここで、バイアス電位biasが変化するタイミングが、スイッチs+及びs-がオフするタイミングと一致している。
【0043】
例えば、図4に示すように、バイアス電位biasがローレベルからハイレベルになるタイミングAで、スイッチs+がオンからオフに切り替わる。バイアス電位biasがローレベルからハイレベルになるタイミングBで、スイッチs-がオンからオフに切り替わる。バイアス電位biasがローレベルからハイレベルになるタイミングA、Bで、定電流回路47の電流が遮断される。
【0044】
ここで、バイアス電位biasの切替タイミングと、スイッチs+又はスイッチs―のオフタイミングとがずれてしまった場合の問題点について、図5を用いて説明する。図5では、スイッチs+のオフタイミングEがバイアス電位biasの切替タイミングDよりもΔtだけ遅れてしまった場合の電圧波形を示している。つまり、スイッチs+の制御信号に、Δtのジッタが生じた場合を示している。
【0045】
スイッチs+のオフタイミングEよりも前に、バイアス電位biasがハイレベルとなった場合、トランジスタTr1に電流が流れ続ける。ソースフォロワのドライブ側に電流が流れる続けるため、一定となった画素電圧Vpeが降下してしまう。画素電圧Vpeは、スイッチs+がオフするまで下がってしまうため、ΔVpeが生じる。つまり、切替タイミングDからオフタイミングEまでの期間に画素電極PEの画素電圧VpeがΔVpeだけ降下してしまう。したがって、画素電圧Vpeを所望の値とすることができなくなってしまう。また、スイッチs-についても同様に画素電圧Vpeを所望の値とすることができなくなってしまう。
【0046】
所望の画素電圧Vpeで液晶LCを駆動できなくなってしまうため、表示品位が低下してしまうおそれがある。このように、スイッチs+又はスイッチs-のオフタイミングと、バイアス電位biasの切替タイミングにずれが生じると、画素電圧Vpeを所望の値とすることができなくなってしまう。スイッチs+又はスイッチs-のオフタイミングと、バイアス電位biasの切替タイミングとを同時とする場合、ジッタなどが生じると、所望の電圧を画素電極PE.及び保持容量C3に書き込むことができなくなってしまう。
【0047】
そこで、本実施の形態では、ソースフォロワの定電流回路47は、スイッチs+又はスイッチs-が閉じた後に電流を遮断するようにしている。本実施の形態でのパルス波形の一例を図6に示す。
【0048】
図6では、図4に対して、バイアス電位biasのパルス波形が異なっている。具体的には、バイアス電位biasにおいて、ローレベルとなる期間が長くなっている。図4では、バイアス電位biasがローレベルとなる期間が、スイッチs+又はs-がハイレベルとなる期間が一致していたが、図6では、バイアス電位biasがローレベルとなる期間が、スイッチs+又はs-がハイレベルとなる期間よりも長くなっている。なお、バイアス電位bias以外は、図4と同様となっているため、適宜説明を省略する。
【0049】
定電流回路47が電流を流す期間が、スイッチs+、s-がオンする期間よりも長くなっている。このようにすることで、正極側の映像信号の書き込み時において、バイアス電位bias電位の切替タイミングGが、スイッチs+のオフタイミングFよりも遅くなる。負極側の映像信号の書き込み時においても、同様にバイアス電位bias電位の切替タイミングIが、スイッチs-のオフタイミングHよりも遅くなる。したがって、トランジスタTr2をオンにしたまま、スイッチs+又はスイッチs-をオフすることができる。つまり、定電流回路47が電流を流している状態で、スイッチs+又はスイッチs-がオフとなる。これにより、画素電圧Vpeの電圧降下を抑制することができる。
【0050】
図7を用いて、本実施の形態における効果について、詳細に説明する。図7は、スイッチs+の制御信号がΔtだけ遅れた場合の電圧波形を示している。スイッチs+の制御信号にジッタが生じた場合であって、スイッチs+のオフタイミングJがバイアス電位biasの切替タイミングKよりも遅れることがない。
【0051】
スイッチs+のオンとともに画素電圧Vpeが上昇する。画素電圧Vpeが所望の電圧値で一定となった後に、スイッチs+をオフして、画素電圧Vpeを確定する。定電流回路47がオン状態でスイッチs+がオフするため、図5のようにΔVpeの電圧降下が生じることがない。したがって、ジッタが生じた場合でも、安定した電圧転送が可能となる。所望の画素電圧Vpeで液晶LCを駆動できるため、表示品位の低下を抑制することができる。
【0052】
実施の形態2.
本実施の形態では、スイッチs+及びスイッチの制御信号と、バイアス信号とを生成する構成の一例について説明する。実施の形態にかかる回路構成について、図8を用いて説明する。図8は、バイアス信号等を生成する生成回路80の構成を示す回路図である。図9は、生成回路80の信号波形を示す図である。
【0053】
生成回路80は、シフトレジスタ81と、フリップフロップ回路82と、インバータ83と、NOR回路84とを備えている。シフトレジスタ81には、クロック信号ksckと、入力信号ik2p(m)とが入力されている。シフトレジスタ81は、クロック信号ksckに同期して、入力信号ik2p(m)を順次伝送していく。シフトレジスタ81は、例えば、図1の垂直方向駆動回路20に設けられたシフトレジスタとすることができる。クロック信号ksckは、例えば、コントローラ60から水平方向駆動回路10や垂直方向駆動回路20に供給されるクロック信号である。クロック信号ksckは、一定の繰り返し周波数で動作している。
【0054】
入力信号ik2pを入力すると、スイッチs+が動作し、入力信号ik2mを入力すると、スイッチs-が動作する。入力信号ik2p(m)は、図9に示すように、パルス幅の異なる2つパルスp1、p2を有する信号である。1つ目のパルスp1のパルス幅は、2つ目のパルスp2のパルス幅よりも長くなっている。
【0055】
シフトレジスタ81のj行目の出力信号をk2p(m)とする。図9に示すように、出力信号k2p(m)は、クロック信号ksckの立ち下がりエッジに同期して出力される。つまり、出力信号k2pの値は、クロック信号ksckの立ち下がりエッジでの入力信号ik2pの値となる。出力信号k2mの値は、クロック信号ksckの立ち下がりエッジでの入力信号ik2mの値となる。シフトレジスタ81は、クロック信号ksckの立ち下がりエッジで、入力信号ik2p(m)のデータをサンプリングして保持する。
【0056】
したがって、出力信号k2p(m)は、入力信号ik2p(m)と同様に2つのパルスを有している。出力信号k2p(m)の2つのパルスをp3、p4とする。パルスp3が入力信号の1つ目のパルスp1に対応し、パルスp4が入力信号の2つ目のパルスp2に対応している。パルスp3は、クロック信号ksckの2周期分のパルス幅を有している。パルスp3は、クロック信号ksckの1周期分のパルス幅を有している。
【0057】
出力信号k2p(m)がフリップフロップ回路82に入力される。フリップフロップ回路82は、dフリップフロップである。フリップフロップ回路82は、クロック入力端子clと、データ入力端子dと、出力端子qと、反転出力端子qnと、リセット端子rsetと、を備えている。反転出力端子qnは、出力端子qと逆の値を出力する。
【0058】
シフトレジスタ81の出力信号k2p(m)がフリップフロップ回路82にクロック入力端子clに入力される。データ入力端子dは、反転出力端子qnに接続されている。出力端子qは、バイアス電圧を生成するバイアス回路(不図示)に接続されている。出力端子qがバイアス電位を生成するためのバイアス回路(不図示)に接続されている。つまり、出力端子qから出力されるバイアス信号biasbに基づいて、図示しないバイアス回路がバイアス電位biasを生成する。例えば、バイアス回路の反転回路が、バイアス信号biasbを反転することでバイアス電位biasを生成する。
【0059】
フリップフロップ回路82は、シフトレジスタ81からの出力信号k2p(m)に基づいて、バイアス信号biasbを生成する。バイアス信号biasbの極性を反転した信号が、図3のトランジスタTr2に供給されるバイアス電位biasとなる。出力信号k2p(m)がハイレベルになると、バイアス電位biasがローレベルとなる。つまり、パルスp3の立ち上がりエッジで、バイアス電位biasがローレベルとなる。出力信号k2p(m)が次にハイレベルになると、バイアス電位biasがハイレベルとなる。つまり、パルスp4の立ち上がりエッジで、バイアス電位biasがハイレベルとなる。バイアス電位biasがローレベルとなる期間は、パルスp3の立ち上がりエッジからパルスp4の立ち上がりエッジまでの期間となる。
【0060】
また、シフトレジスタ81の出力信号k2p(m)はインバータ83に入力されている。インバータ83は、出力信号k2p(m)を反転して出力する論理回路である。インバータ83の出力端子は、NOR回路84の一方の入力端子に接続されている。反転出力端子qnはNOR回路84の他方の入力端子に接続されている。NOR回路84は、2つの信号のNOR(否定論理和)を出力する論理回路である。NOR回路84の出力がスイッチs+又はs-の制御信号となる。フリップフロップ回路82、インバータ83,及びNOR回路84は、シフトレジスタ81からの出力信号k2p(m)に基づいて、スイッチs+又はs-の制御信号を生成する。
【0061】
具体的には、出力信号k2p(m)がHレベルになると、スイッチs+又はスイッチs-の制御信号がHレベルとなる。出力信号k2p(m)がローレベルになると、スイッチs+又はスイッチs-の制御信号がローレベルとなる。つまり。スイッチs+又はスイッチs-がオンとなる期間は、パルスp3の立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまでの期間となる。
【0062】
バイアス電位biasがローレベルに切り替わるタイミングと、スイッチs+又はスイッチs―がオンに切り替わるタイミングは一致している。バイアス電位biasがローレベルとなる期間は、スイッチs+又はスイッチs-がオンとなる期間よりも、クロック信号ksckの1クロック分長くなっている。つまり、スイッチs+又はスイッチs-がオフに切り替わったタイミングから1クロック後に、定電流回路47が電流を遮断する。このようにすることで、回路における微妙なばらつきによらず、安定した信号転送を実現することができる。クロック信号ksckの周波数を調整することで、定電流回路47が電流を遮断するタイミングと、スイッチがオフとなるタイミングの時間差を調整することができる。クロック信号ksckのクロック周波数を高くすることで、時間差を小さくすることができ、クロック周波数を低くすることで、時間差を大きくすることができる。また、パルスp1のパルス幅を時間差と独立して制御することができるため、駆動の自由度を高くすることが可能となる。
【0063】
このように、シフトレジスタ81には、2つのパルスを有する入力信号が入力されている。そして、シフトレジスタ81は、クロック信号ksckに同期して、入力信号を順次伝送して、出力する。フリップフロップ回路82には、シフトレジスタ81からの出力が供給されるクロック入力端子を有している。そして、2つのパルスのうちの1つ目のパルスp3に応じた制御信号によって、スイッチs+、s-がオンオフ制御されている。1つ目のパルスp3のエッジから2つ目のパルスp4のエッジまでの期間、定電流回路47が定電流を出力する。
【0064】
さらに、フリップフロップ回路82としてdフリップフロップを用いているため、容易に動作を初期状態に戻すことができる。つまり、フリップフロップ回路82のリセット端子rsetにリセット信号を入力することで、初期状態に戻すことができる。例えば、図9の信号波形において、出力信号k2p(m)の2個目のパルスp4が、フリップフロップ回路82に入力されない場合、定電流回路47に定電流が流れつづけることになる。入力信号ik2p(m)がシフトレジスタ71に入力される前などに、リセット端子rsetにリセット信号を供給することで、毎回フリップフロップ回路82をリセットしても良い。これにより、何らかの不具合が生じた場合でも定電流回路47に定電流が流れつづけることを防ぐことができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1、2にかかる液晶表示装置の仕組みは、例えば、波長多重光通信の分野で用いられる波長選択光スイッチ装置(WWS;Wavelength Selective Switch)に搭載された空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)にも適用されることができる。空間光変調器は、例えばLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術を用いて構成され、入力ポートに入射された光信号を偏向して、一又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0066】
より具体的には、波長選択光スイッチ装置は、例えば、入力ポート、一又は複数の出力ポート、波長分散器、光学結合器、及び、空間光変調器を備える。波長分散器は、入力ポートに入射された光信号を複数の波長成分に空間的に分散させる。光学結合器は、波長分散器によって分散された複数の波長成分を集光する。空間光変調器は、例えば、波長に応じて展開されたx軸方向と、x軸方向に垂直なy軸方向と、からなるxy平面にマトリクス状に配置された複数の画素12を有する。複数の画素12は、光学結合器によって集光された光信号を、波長毎に反射方向を変化させて(即ち、偏向して)、一つ又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
100 液晶表示装置
1 スイッチ
5 映像信号線
6 データ線
7 共通電極線
8 ゲート線
10 水平方向駆動回路
20 垂直方向駆動回路
30 画素表示部
42 画素
43a 正極側の画素回路
43b 負極側の画素回路
44a バッファ回路
44b バッファ回路
45 接続ノード
60 コントローラ
71a、71b 映像信号
81 シフトレジスタ
82 フリップフロップ回路
83 インバータ
84 NOR回路
C1 保持容量
C2 保持容量
C3 保持容量
PE 画素電極
LC 液晶
CE 共通電極
s+ スイッチ
s- スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9