(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体噴射装置及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241203BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241203BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/01 301
B41J2/14 201
(21)【出願番号】P 2020194323
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019217780
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江藤 大輔
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-148907(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/156829(JP,A1)
【文献】特開2011-207115(JP,A)
【文献】特開2020-015300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を記録媒体上に噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部の動作を制御する制御基板と、前記制御基板を覆って内部に収容するヘッド筐体と、を有する液体噴射ヘッドと、
前記液体を前記液体噴射ヘッドに供給する液体供給路と、
前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射部を除く部分を覆って内部に収容する本体筐体と、
前記本体筐体と前記ヘッド筐体との間に空気を流通させるファンと、
を備え、
前記本体筐体は、
前記本体筐体の一端部に配置された吸気口と、
前記吸気口の反対側である前記本体筐体の他端部に前記吸気口と対向して配置された排気口と、
を備え、
前記ファンの動作による空気流通経路が、前記本体筐体内において前記吸気口から前記排気口まで直線状に延び、
前記液体供給路は、前記液体噴射ヘッドの近傍において前記本体筐体の外部から内部に挿入されて前記液体噴射ヘッドに接続され、
前記本体筐体内に
おいて、前記液体噴射ヘッドには2つの前記液体供給路が接続され、
前記本体筐体内の空気流通方向に対し、
前記液体供給路の一方は前記液体噴射ヘッドの前記排気口側に接続され、前記液体供給路の他方は前記液体噴射ヘッドの前記吸気口側に接続され、
前記本体筐体内の前記空気流通方向において、前記排気口側に接続された前記液体供給路と、前記吸気口との間に前記ヘッド筐体が介在していることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御基板は、前記ヘッド筐体の内面に隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記液体噴射ヘッドは、前記液体噴射部の近傍に配置されて前記液体噴射部を加熱するヒーターを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記空気流通経路は、前記液体噴射ヘッドによって液体が噴射される前記記録媒体の搬送方向に対して直交する幅方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記吸気口及び前記排気口は、前記本体筐体の、前記記録媒体との対向領域に対して前記幅方向の外側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の液体噴射装置を用いて前記記録媒体上にインクを噴射して画像を記録するインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に搭載される液体噴射装置は、用紙等の記録媒体上にインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドを有する。液体噴射ヘッドは、液体の噴射に係る動作を制御する制御基板を含むことがある。そして、液体噴射ヘッドにおいて所定の性能を得るために、制御基板の冷却が必要とされる。
【0003】
例えば、特許文献1で開示された従来のインクジェット装置は、ヘッドを駆動する駆動回路を有する回路基板と、回路基板で発生した熱を放熱する放熱板と、放熱板を冷却可能な空気流を生成するファンと、備える。これにより、駆動回路で発生した熱を、放熱板を介して放熱することができる。さらに、ファンによって放熱板を冷却することができ、回路基板の冷却効果を向上させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インク(液体)に関して言えば、温度低下によって粘度が上昇し、供給路において圧力損失が大きくなる。これにより、インクの噴射量が低下する虞があった。すなわち、制御基板の冷却が必要であるが、インクの供給路も同時に冷却してしまうと、インクの噴射量が低下するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、液体供給路を冷却することなく、液体噴射ヘッドの制御基板を冷却することが可能な液体噴射装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、液体噴射ヘッドと、液体供給路と、本体筐体と、ファンと、を備える。液体噴射ヘッドは、液体噴射部と、制御基板と、ヘッド筐体と、を含む。液体噴射部は、液体を記録媒体上に噴射する。制御基板は、液体噴射部の動作を制御する。ヘッド筐体は、制御基板を覆って内部に収容する。液体供給路は、液体を液体噴射ヘッドに供給する。本体筐体は、液体噴射ヘッドの液体噴射部を除く部分を覆って内部に収容する。ファンは、本体筐体とヘッド筐体との間に空気を流通させる。液体供給路は、液体噴射ヘッドの近傍において本体筐体の外部から内部に挿入されて液体噴射ヘッドに接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、液体供給路は、液体噴射ヘッドとの接続箇所の近傍を除き、大部分が本体筐体の外部に配置される。これにより、液体供給路を、ファンの動作によって生じる空気流に、できるだけ触れないようにすることができる。したがって、液体供給路を冷却することなく、液体噴射ヘッドの制御基板を冷却することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1のインクジェット記録装置の記録部の平面図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録装置の記録部の周辺を示す概略構成図である。
【
図4】
図3の記録部の液体噴射装置を上方から見た斜視図である。
【
図5】
図3の記録部の液体噴射装置を下方から見た斜視図である。
【
図6】
図4の液体噴射装置の斜視図であって、上蓋を取り外した状態を示す図である。
【
図7】
図4の液体噴射装置の斜視図であって、本体筐体を取り外した状態を示す図である。
【
図8】
図7の液体噴射装置の液体噴射ヘッドを用紙搬送方向から見た垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態のインクジェット記録装置1の概略構成を示す断面図である。
図2は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5の平面図である。
図3は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5の周辺を示す概略構成図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターである。インクジェット記録装置1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5、乾燥部6及び全体制御部7を備える。
【0012】
用紙供給部3は、複数枚の用紙(記録媒体)Pを収容し、記録時に用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、用紙供給部3から送り出された用紙Pを記録部5及び乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後の用紙Pを用紙排出部21に排出する。両面記録が行われる場合、用紙搬送部4は、第1面の記録、乾燥後の用紙Pを分岐部43によって反転搬送部44に振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させた用紙Pを再度、記録部5及び乾燥部6へと搬送する。
【0013】
用紙搬送部4は、第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42を有する。第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42は、無端状のベルトの上面に用紙Pを吸着保持して搬送する。
【0014】
記録部5は、第1ベルト搬送部41の上面に吸着保持されて搬送される用紙Pに対向し、所定の間隔を設けて第1ベルト搬送部41の上方に配置される。記録部5は、ライン型インクジェット方式の液体噴射ヘッド51を備えた液体噴射装置50を有する。
図2に示すように、液体噴射装置50は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応した液体噴射装置50B、50C、50M、50Yを含む。同様に、液体噴射ヘッド51は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応した液体噴射ヘッド51B、51C、51M、51Yを含む。
【0015】
液体噴射ヘッド51は、
図3に示すように、その底部に液体噴射部511を有する。液体噴射部511は、用紙幅方向Dwに沿って配置され、用紙P上の記録領域の全域にわたってインク(液体)を噴射することができる。記録部5は、第1ベルト搬送部41によって搬送される用紙Pに向かって4色の液体噴射ヘッド51B、51C、51M、51Yから順次インクを噴射し、フルカラー画像またはモノクロ画像を用紙Pに記録する。
【0016】
乾燥部6は、記録部5の用紙搬送方向の下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録された用紙Pは、乾燥部6において第2ベルト搬送部42に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。
【0017】
全体制御部7は、不図示のCPU、記憶部、その他の不図示の電子回路及び電子部品を含む。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5及び乾燥部6それぞれは、全体制御部7から個別に指令を受け、連動して用紙Pへの記録を行う。記憶部は、例えば不図示のプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0018】
続いて、インクジェット記録装置1の液体噴射装置50の構成について、
図2及び
図3に加えて
図4、
図5、
図6、
図7及び
図8を用いて説明する。
図4は、
図3の記録部5の液体噴射装置50を上方から見た斜視図である。
図5は、
図3の記録部5の液体噴射装置50を下方から見た斜視図である。
図6は、
図4の液体噴射装置50の斜視図であって、上蓋542を取り外した状態を示す図である。
図7は、
図4の液体噴射装置50の斜視図であって、本体筐体54を取り外した状態を示す図である。
図8は、
図7の液体噴射装置50の液体噴射ヘッド51を用紙搬送方向Dcから見た垂直断面図である。
図8における白抜き矢印は、インク(液体)の流通方向を示す。
【0019】
なお、4色の液体噴射装置50B、50C、50M、50Yは、同一形状、同一構成であるので、代表として1つを用いて説明するとともに、各色を表す識別記号の記載を省略する。
【0020】
液体噴射装置50は、液体噴射ヘッド51、液体供給路52、クリーニング液供給路53、本体筐体54及びファン55を備える。
【0021】
液体噴射ヘッド51は、
図2、
図6及び
図7に示すように、本体筐体54に対し、複数(例えば3つ)が設けられる。3つの液体噴射ヘッド51は、例えば用紙搬送方向Dcと直交する用紙幅方向Dwに沿って千鳥状に配列される。
【0022】
液体噴射ヘッド51は、
図5及び
図8に示すように、液体噴射部511、共通通路512、制御基板513及びヘッド筐体514を有する。
【0023】
液体噴射部511は、液体噴射ヘッド51の下部に配置される。液体噴射部511の下面は、複数のインク吐出ノズル5111が開口するインク吐出面511aである。インク吐出面511aは、第1ベルト搬送部41の上面に吸着保持されて搬送される用紙Pに面して対向し、当該用紙Pの表面と平行である。液体噴射部511は、インク(液体)を、第1ベルト搬送部41の上面に吸着保持されて搬送される用紙P上に噴射する。
【0024】
液体噴射部511は、複数のインク吐出ノズル5111と、インク吐出ノズル5111の駆動素子(不図示)と、を備える。複数のインク吐出ノズル5111は、インク吐出面511aにおいて用紙幅方向Dwに沿って並べて配置され、記録領域の全域にわたってインクを吐出(噴射)することができる。
【0025】
共通通路512は、液体噴射部511の上方に配置される。共通通路512は、液体噴射部511の下面と平行に延びるインク通路である。共通通路512のインク流通方向両端それぞれは、2つの液体供給路52に接続され、インクが流入する。共通通路512は、インク吐出ノズル5111のインク流通方向上流端に接続され、インク吐出ノズル5111にインクを供給する。
【0026】
制御基板513は、共通通路512の上方に配置される。制御基板513は、液体噴射部511の動作を制御する。詳細に言えば、制御基板513は、液体噴射部511の駆動素子を制御し、インク吐出ノズル5111からのインクの吐出動作を制御する。制御基板513は、インクの吐出動作に係る制御指令を全体制御部7から受信する。
【0027】
ヘッド筐体514は、例えば直方体の箱形状であって、共通通路512及び制御基板513を覆って内部に収容する。液体噴射部511は、ヘッド筐体514の下部に配置される。液体噴射部511は、ヘッド筐体514の下面において外部に露出する。
【0028】
液体供給路52は、そのインク流通方向下流端が、共通通路512に接続される。1つの液体噴射ヘッド51に設けられる1つの共通通路512に対し、2つの液体供給路52が接続される。一方の液体供給路52は、共通通路512の用紙幅方向Dwの一端側に接続され、他方の液体供給路52は、共通通路512の用紙幅方向Dwの他端側に接続される。液体供給路52のインク流通方向上流端は、インクタンク(不図示)に接続される。液体供給路52は、例えばチューブと、複数のチューブを連結する連結部材と、を含む。液体供給路52は、インク(液体)を液体噴射ヘッド51に供給する。
【0029】
クリーニング液供給路53は、そのクリーニング液流通方向下流端が、クリーニング液供給部(不図示)に接続される。クリーニング液供給部は、液体噴射部511の用紙幅方向Dwの一端部側に設けられる。クリーニング液供給部は、インク吐出面511aに対して用紙幅方向Dwに隣接するクリーニング液供給面と、クリーニング液供給面において開口する複数のクリーニング液供給口と、を備える。クリーニング液供給口は、クリーニング液供給面にクリーニング液を供給する。クリーニング液は、ワイパー(不図示)によってインク吐出面511aに運ばれ、インク吐出面511aのクリーニングに利用される。
【0030】
クリーニング液供給路53のクリーニング液流通方向上流端は、クリーニング液タンク(不図示)に接続される。クリーニング液供給路53は、例えばチューブと、複数のチューブを連結する連結部材と、を含む。クリーニング液供給路53は、クリーニング液を液体噴射ヘッド51のクリーニング液供給部に供給する。
【0031】
本体筐体54は、用紙幅方向Dwに沿って延びる、用紙幅方向Dwから見た断面が矩形の管形状である。本体筐体54の下面は、第1ベルト搬送部41の上面に吸着保持されて搬送される用紙Pに面して対向し、当該用紙Pの表面と平行である。
【0032】
本体筐体54は、上端部及び用紙幅方向Dwの両端部が開口する樋形状部材541と、樋形状部材541の上端部開口をふさぐ上蓋542と、を含む。また、本体筐体54は、用紙幅方向Dwの一端部に配置された吸気口543と、用紙幅方向Dwの他端部に配置された排気口544と、を有する。
【0033】
本体筐体54は、3つの液体噴射ヘッド51を内部に収納し、保持する。なお、3つの液体噴射ヘッド51の液体噴射部511それぞれは、本体筐体54の下面において外部に露出する。すなわち詳細に言えば、本体筐体54は、液体噴射ヘッド51の液体噴射部511を除く部分を覆って内部に収容する。
【0034】
ファン55は、本体筐体54の吸気口543に配置される。ファン55は、例えば2つが、用紙搬送方向Dcに沿って並置される。ファン55は、本体筐体54の外部の空気を吸い込み、本体筐体54の内部へと送り込む。さらに、ファン55は、本体筐体54とヘッド筐体514との間に空気を流通させる。これにより、ヘッド筐体514を介し、液体噴射ヘッド51の制御基板513を冷却することが可能である。
【0035】
本体筐体54の上蓋542は、平板形状で構成され、複数の貫通孔5421を有する。貫通孔5421は、上蓋542を上下方向に貫通する。貫通孔5421は、本体筐体54の内部に収容された液体噴射ヘッド51の近傍に配置される。
【0036】
液体供給路52及びクリーニング液供給路53は、本体筐体54の外部から貫通孔5421を通して本体筐体54の内部に挿入され、液体噴射ヘッド51に接続される。すなわち、液体供給路52は、液体噴射ヘッド51の近傍において本体筐体54の外部から内部に挿入され、液体噴射ヘッド51に接続される。
【0037】
上記の構成によれば、液体供給路52は、液体噴射ヘッド51との接続箇所の近傍を除き、大部分が本体筐体54の外部に配置される。これにより、液体供給路52を、ファン55の動作によって生じる空気流に、できるだけ触れないようにすることができる。したがって、液体供給路52を冷却することなく、液体噴射ヘッド51の制御基板513を冷却することが可能である。すなわち、インクの温度管理を適正に行うことができ、高品質な記録を実現することが可能である。
【0038】
本体筐体54内に配置される液体供給路52の長さが短くなるように、液体供給路52は、本体筐体54内の空気流通方向である用紙幅方向Dwに対して直交する方向にある、本体筐体54の外壁から本体筐体54の外部に引き出される。本実施形態では、液体供給路52は、そのような外壁の一つである上蓋542から引き出されている。液体供給路52を上蓋542から引き出す場合に、液体供給路52と液体噴射ヘッド51との接続箇所に対して真上(用紙幅方向Dwと用紙搬送方向Dcとのそれぞれに直交する方向)に貫通孔5421を配置する。液体供給路52と液体噴射ヘッド51との接続箇所と貫通孔5421とを結ぶ直線上に液体供給路52を配置すれば、本体筐体54内に配置される液体供給路52の長さは最短になる。
【0039】
液体供給路52が、本体筐体54の、ある外壁から引き出されている場合において、その外壁から、液体供給路52を引き出すために必要となる、前述のような最短の本体筐体54内の液体供給路52の長さをLとする。液体供給路52は、液体噴射ヘッド51の近傍において本体筐体54の外部から内部に挿入されているため、本体筐体54内の液体供給路52の長さは、前述のLの1.5倍以下となっている。本体筐体54内の液体供給路52の長さは、前述のLの1.3倍以下であっても良く、1.1倍以下であっても良い。
【0040】
また、本体筐体54内の液体供給路52の長さは、液体供給路52が液体噴射ヘッド51に対して液体を供給する経路の長さの5分の1以下であっても良く、10分の1以下であっても良い。ここで言う液体供給路52の経路の長さは、具体的には、対象として考えている本体筐体54内の液体供給路52と液体噴射ヘッド51との接続箇所から、液体供給路52のインク流通方向上流端のインクタンクとの接続箇所までの長さのことである。
【0041】
制御基板513は、
図8に示すように、ヘッド筐体514の内面に隣接して配置される。この構成によれば、制御基板513の熱は、ヘッド筐体514に伝達され、ヘッド筐体514の外部に放熱され易くなる。したがって、ヘッド筐体514を介して制御基板513を冷却する効果を高めることが可能になる。
【0042】
図4、
図5及び
図6に示すように、吸気口543は、本体筐体54の、用紙幅方向Dwの一端部に配置される。排気口544は、吸気口543の反対側である本体筐体54の、用紙幅方向Dwの他端部に吸気口543と対向して配置される。本体筐体54は、前述のように、用紙幅方向Dwに沿って延びる管形状である。これにより、ファン55の動作による空気流通経路は、本体筐体54内において吸気口543から排気口544まで直線状に延びる。
【0043】
この構成によれば、ファン55の動作によって生じる空気流を、本体筐体54内において円滑に流通させることができる。したがって、冷気が制御基板513に絶えず当たるようにすることができ、制御基板513を効果的に冷却することが可能である。
【0044】
さらに、ファン55の動作による空気流通経路は、
図4、
図5及び
図6に示すように、液体噴射ヘッド51によってインクが噴射される用紙Pの搬送方向Dcに対して直交する用紙幅方向Dwに延びる。この構成によれば、空気流通経路が占有する領域をできるだけ小さくして、空気を円滑に流通させることができる。これにより、液体噴射装置50の小型化を図ることが可能である。
【0045】
また、
図4及び
図6に示すように、吸気口543は、本体筐体54の、用紙幅方向Dwの一端部(
図4及び
図6の右下方)であって、用紙Pとの対向領域に対して用紙幅方向Dwの外側に配置される。排気口544は、本体筐体54の、用紙幅方向Dwの他端部(
図4及び
図6の左上方)であって、用紙Pとの対向領域に対して用紙幅方向Dwの外側に配置される。すなわち、吸気口543及び排気口544は、本体筐体54の、用紙Pとの対向領域に対して用紙幅方向Dwの外側に配置される。
【0046】
この構成によれば、ファン55の動作によって生じる空気流が、インク吐出ノズル5111からのインクの吐出に対して影響を及ぼさないようにすることができる。これにより、インクの着弾の位置ずれを抑制することができ、高品質な記録を実現することが可能である。
【0047】
また、液体噴射ヘッド51は、
図8に示すように、ヒーター515を備える。ヒーター515は、液体噴射部511の近傍に配置される。詳細に言えば、ヒーター515は、液体噴射部511の上方の、共通通路512の上方に隣接して配置される。ヒーター515は、液体噴射部511を加熱する。
【0048】
この構成によれば、ファン55の動作によって生じる空気流で、インク吐出ノズル5111の温度が低下し過ぎないようにすることができる。すなわち、インク吐出ノズル5111の温度管理を適正に行うことができ、インク粘度の上がり過ぎ、下がり過ぎを抑制することが可能である。これにより、液体噴射装置50は、用紙Pに対して好適にインクを吐出(噴射)することができ、高品質な記録を実現することが可能である。
【0049】
また、上記実施形態によれば、インクジェット記録装置1は、上記構成の液体噴射装置50を用いて用紙P上にインクを噴射して画像を記録する。これにより、インクジェット記録装置1において、インクが流通する液体供給路52を冷却することなく、液体噴射ヘッド51の制御基板513を冷却することが可能である。したがって、インクジェット記録装置1において、インクの温度管理を適正に行うことができ、高品質な記録を実現することが可能である。
【0050】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、液体噴射装置及びインクジェット記録装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 インクジェット記録装置
5 記録部
50、50B、50C、50M、50Y 液体噴射装置
51、51B、51C、51M、51Y 液体噴射ヘッド
52 液体供給路
54 本体筐体
55 ファン
511 液体噴射部
512 共通通路
513 制御基板
514 ヘッド筐体
515 ヒーター
543 吸気口
544 排気口
5111 インク吐出ノズル