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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】パルス検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/292 20060101AFI20241203BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01S7/292 220
G01R29/08 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020196445
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022084981
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】永野 隆文
(72)【発明者】
【氏名】原田 哲治
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-249541(JP,A)
【文献】特開2014-138252(JP,A)
【文献】特開平10-160825(JP,A)
【文献】特開2011-185798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0136997(US,A1)
【文献】国際公開第2017/174115(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に含まれる複数のパルスを検出するパルス検出装置であって、
前記入力信号を複数の周波数帯域に分割して処理単位時間毎に分割信号として出力する周波数分割部と、
前記処理単位時間毎に、各前記分割信号からスペクトルを算出し、算出した当該スペクトルから信号帯域を検出し、信号帯域情報を出力する信号帯域検出部と、
前記処理単位時間毎に、各前記分割信号から前記パルスまたは前記パルスの一部分を検出信号として検出し、当該検出信号が存在する時間を含むパルス時間情報を出力するパルス波形検出部と、
前記処理単位時間毎に、各前記周波数帯域において前記パルス波形検出部で検出された複数の前記検出信号の前記パルス時間情報に対して、前記分割信号の当該検出信号に該当する部分から周波数情報を算出し、算出した当該周波数情報と周波数が近い前記信号帯域検出部から出力された前記信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成する信号帯域割当部と、
前記信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記パルス情報どうしを統合して新たなパルス情報を前記処理単位時間毎に生成するパルス統合部とを備える、
パルス検出装置。
【請求項2】
入力信号に含まれる複数のパルスを検出するパルス検出装置であって、
前記入力信号を複数の周波数帯域に分割して処理単位時間毎に分割信号として出力する周波数分割部と、
前記処理単位時間毎に、各前記分割信号からスペクトルを算出し、算出した当該スペクトルから信号帯域を検出し、信号帯域情報を出力する信号帯域検出部と、
前記処理単位時間毎に、各前記分割信号から前記パルスまたは前記パルスの一部分を検出信号として検出し、当該検出信号が存在する時間を含むパルス時間情報を出力するパルス波形検出部と、
前記処理単位時間毎に、各前記周波数帯域において前記パルス波形検出部で検出された複数の前記検出信号の前記パルス時間情報に対して、前記分割信号の当該検出信号に該当する部分から周波数情報を算出し、算出した当該周波数情報と周波数が近い前記信号帯域検出部から出力された前記信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成する分割信号内帯域割当部と、
前記処理時間単位毎に、一つ以上前の前記処理単位時間から検出され始めた前記検出信号について前記分割信号内帯域割当部が生成した前記パルス情報と、一つ前の前記処理単位時間で生成された前記パルス情報の内の、当該信号帯域情報と周波数が近い前記パルス情報とを統合して、新たなパルス情報を生成する、連続パルス帯域割当部と、
前記連続パルス帯域割当部で生成された前記新たなパルス情報の内、前記信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記新たなパルス情報どうしを統合して、さらなる新たなパルス情報を前記処理単位時間毎に生成するパルス統合部とを備える、
パルス検出装置。
【請求項3】
前記連続パルス帯域割当部は、
前記分割信号内帯域割当部が生成した前記パルス情報の前記パルス時間情報において、前記検出信号が存在する時間が、当該処理単位時間の始まる時間を含む場合に、当該パルス情報が生成された前記検出信号が一つ以上前の前記処理単位時間から検出され始めたと判断する、
請求項2に記載のパルス検出装置。
【請求項4】
前記処理単位時間毎に、前記パルス統合部により決められた回数の処理単位時間において連続して統合されなかった前記パルス情報を、検出済みのパルス情報として出力する検出結果出力部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のパルス検出装置。
【請求項5】
前記パルス検出装置は、
各前記周波数帯域において前記信号帯域割当部で割り当てられなかった前記信号帯域情報から時間分解能が低い前記パルス情報を作成し、一つ前の前記処理単位時間で作成された前記時間分解能が低い前記パルス情報と周波数が近ければ連結し、一つ前の前記処理単位時間で作成された前記時間分解能が低い前記パルス情報の中で連結されなかったものを出力する低時間分解能パルス処理部をさらに備え、
前記パルス統合部は、
前記複数の周波数帯域全てにおいて前記信号帯域割当部で前記信号帯域情報を割り当てられた前記パルス情報、前記パルス統合部が統合した前記パルス情報および前記低時間分解能パルス処理部から出力された前記時間分解能が低い前記パルス情報を統合する、
請求項1に記載のパルス検出装置。
【請求項6】
前記信号帯域割当部は、
前記分割信号から検出された前記パルスの前記検出信号に該当する部分から前記周波数情報を算出する際に、前記分割信号を複数の短時間単位に区切り、前記短時間単位毎に周波数を算出し、前記検出信号が含まれるそれぞれの前記短時間単位の前記周波数を統合して該当部分の前記周波数情報を算出する、
請求項1または5に記載のパルス検出装置。
【請求項7】
前記信号帯域割当部で前記信号帯域情報を割り当てられた前記パルス情報、前記パルス統合部が統合した前記パルス情報および前記低時間分解能パルス処理部から出力された前記パルス情報を対象として、前記信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記パルス情報を統合する処理の前に、各前記パルス情報どうしを比較して、一方の前記パルス情報が他方の前記パルス情報の周波数帯域からのスペクトル漏れによる不要な前記パルス情報であるか否かを判断し、不要な前記パルス情報を削除する不要パルス削除部をさらに備える、
請求項に記載のパルス検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、入力信号に含まれる複数のパルスを検出するパルス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広い周波数帯域の信号に含まれる複数のパルスを分離して検出し、その諸元を識別する電波探知装置においては、入力信号に含まれる複数のパルスを検出するパルス検出装置が使用される。パルス検出装置においては、信号の存在する時間及び周波数が未知及び既知の多種のパルスを、時間または周波数に関して重複するパルスも含めて、リアルタイムに検出する能力が求められる。しかし、電波探知装置の広帯域化が進むとそれらを同時に実現することが困難になる。従来のパルス検出装置では、例えば、時変信号を複数のブラインド信号源分離モジュールで受信し、分離した信号を各ブラインド信号源分離モジュールのフィルタ処理サブシステムを使ってパラメータを特定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-77213号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパルス検出装置は、複数のブラインド信号源分離モジュールを使用してパルスを検出するため、検出できるパルスの信号が存在する時間及び周波数の範囲や、検出できるパルスの種類の多さは、ブラインド信号源分離モジュールの数や設定に左右される。このため、電波探知装置の広帯域化が進み、検出するパルスの時間及び周波数の範囲が多様になり、パルスの種類が多くなると、それらのパルスを検出することが困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るパルス検出装置は、入力信号に含まれる複数のパルスを検出するパルス検出装置であって、前記入力信号を複数の周波数帯域に分割して処理単位時間毎に分割信号として出力する周波数分割部と、前記処理単位時間毎に、各前記分割信号からスペクトルを算出し、算出した当該スペクトルから信号帯域を検出し、信号帯域情報を出力する信号帯域検出部と、前記処理単位時間毎に、各前記分割信号から前記パルスまたは前記パルスの一部分を検出信号として検出し、当該検出信号が存在する時間を含むパルス時間情報を出力するパルス波形検出部と、前記処理単位時間毎に、各前記周波数帯域において前記パルス波形検出部で検出された複数の前記検出信号の前記パルス時間情報に対して、前記分割信号の当該検出信号に該当する部分から周波数情報を算出し、算出した当該周波数情報と周波数が近い前記信号帯域検出部から出力された前記信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成する信号帯域割当部と、前記信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記パルス情報どうしを統合して新たなパルス情報を前記処理単位時間毎に生成するパルス統合部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本開示によれば、種類が多く、時間及び周波数上の存在範囲が多様なパルスの検出が可能なパルス検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係るパルス検出装置およびパルス検出装置を備える電波探知装置の構成を表す図である。
図2】実施の形態1に係るパルス検出装置の動作を表すフローチャートである。
図3】実施の形態1に係るパルス検出装置の変形例の信号帯域割当部の動作原理を表す図である。
図4】実施の形態2に係るパルス検出装置およびパルス検出装置を備える電波探知装置の構成を表す図である。
図5】実施の形態2に係るパルス検出装置の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
以下、実施の形態1について図1及び図2を用いて説明する。図1は実施の形態1のパルス検出装置9を含む、電波探知装置の構成図である。電波探知装置は、電波を受信し、受信した電波に含まれる、複数のパルスを検出する。電波探知装置は、受信した電波をデジタル信号に変換して、パルス検出装置9の入力信号として、パルス検出装置9に入力する。パルス検出装置9は、電波探知装置一部であって、電波探知装置がデジタル信号に変換した入力信号に含まれる、複数のパルスを検出する。
【0009】
図1に示す通り、電波探知装置は、信号処理回路で構成されるパルス検出装置9と電波を受信してパルス検出装置への入力信号を生成する受信部とを備えている。受信部は、アンテナ1、フィルタ2、ミキサ3、高周波信号発生回路4、フィルタ5、増幅器6、A/D変換器7、制御装置8を備えている。パルス検出装置9は、周波数分割部10、パルス波形検出部11、信号帯域検出部12、信号帯域割当部13、低時間分解能パルス処理部14、パルス統合部15、検出結果出力部16を備えている。また、信号帯域割当部13は、分割信号内帯域割当部17と連続パルス帯域割当部18とを備えている。
【0010】
アンテナ1はパルスが含まれる電波を受信し受信信号を出力する。フィルタ2は、アンテナが出力する受信信号から、所望の受信帯域を取り出す。制御装置8は受信部で所望の受信帯域を取り出せるように受信帯域に応じた所定の周波数を出力し、高周波信号発生回路4を制御する。高周波信号発生回路4は制御装置8が出力した周波数の正弦波信号を出力する。ミキサ3は高周波信号回路4が出力した正弦波信号を使って、フィルタ2が出力した受信信号の周波数を変換する。フィルタ5は、ミキサ3により周波数変換された受信信号の不要な周波数帯域を遮断する。増幅器6は、フィルタ5が出力する受信信号を増幅する。A/D変換器7は、増幅器6により増幅された受信信号をデジタル化した、パルス検出装置9の入力信号を出力する。
【0011】
パルス検出装置9は、入力信号を複数の周波数帯域に分割して処理単位時間毎に分割信号として出力する周波数分割部10と、処理単位時間毎に、各分割信号からパルスまたはパルスの一部分を検出信号として検出し、検出信号が存在する時間を含むパルス時間情報を出力するパルス波形検出部11と、処理単位時間毎に、各分割信号からスペクトルを算出し、算出したスペクトルから信号帯域を検出し、信号帯域情報を出力する信号帯域検出部12とを備えている。
【0012】
また、パルス検出装置9は、処理単位時間毎に、各周波数帯域においてパルス波形検出部11で検出された複数の検出信号のパルス時間情報に対して、分割信号の当該検出信号に該当する部分から周波数情報を算出し、算出した周波数情報と周波数が近い、信号帯域検出部12から出力された信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成する信号帯域割当部13を備えている。信号帯域割当部13は、処理単位時間毎に、各周波数帯域においてパルス波形検出部11で検出された複数の検出信号のパルス時間情報に対して、分割信号の当該検出信号に該当する部分から周波数情報を算出し、算出した周波数情報と周波数が近い信号帯域検出部12から出力された信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成する分割信号内帯域割当部17と、処理時間単位毎に、一つ以上前の処理単位時間から検出され始めた検出信号について分割信号内帯域割当部17が生成したパルス情報と、一つ前の処理単位時間で生成されたパルス情報の内の、信号帯域情報と周波数が近いパルス情報とを統合して、新たなパルス情報を生成する、連続パルス帯域割当部18とを有する
【0013】
さらに、パルス検出装置9は、信号帯域が近く、時間軸上でも近接するパルス情報どうしを統合して新たなパルス情報を処理単位時間毎に生成するパルス統合部15と、処理単位時間毎に、パルス統合部15により決められた回数の処理単位時間において連続して統合されなかったパルス情報を、検出済みパルスとして出力する検出結果出力部16を備えている。
【0014】
続いて、パルス検出装置9および、パルス検出装置が備える各構成について詳細に説明する。パルス検出装置9は、デジタル信号処理により、入力信号から、複数のパルスを検出する。デジタル信号処理は、ゲートアレイなどのハードウェアで実現しても良いし、プロセッサ上で動作するプログラムで実現しても良い。また、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて実現しても良い。
【0015】
周波数分割部10は、フィルタバンクにより構成されている。フィルタバンクは入力信号を受け、例えば公知の技術であるデジタルフィルタのFIRフィルタにより、入力信号を複数の周波数帯域に分割する。ここで、入力信号に含まれるそれぞれのパルスについては、パルス全体が一つの分割信号に含まれている場合と、パルスが複数の分割信号に跨って含まれている場合がある。パルスが複数の分割信号に跨って含まれている場合は、それぞれの分割信号には、それぞれ、パルスの一部分ずつが含まれる。以後、簡単に表現するため、それぞれの分割信号に含まれている、パルスやパルスの一部分を、検出信号と呼ぶ。
【0016】
パルス波形検出部11は、周波数分割部10で複数の周波数帯域に分割された各分割信号から処理単位時間毎に、当該分割信号に含まれる検出信号を検出し、検出信号が存在する時間を含む、パルス時間情報を出力する。パルス波形検出部11は処理単位時間毎に、分割信号の包絡線を算出し、包絡線が所定の閾値を超えている部分を検出信号として検出し、検出信号の立ち上がり時刻、立下り時刻、パルス幅、振幅等をパルス時間情報として算出する。
【0017】
パルス波形検出部11においては、包絡線の算出の際、検出信号を検出する時の誤検出を低減するために、低域通過フィルタを適用しても良い。また、パルス波形検出部11が検出信号を検出する際、包絡線の立ち上がり部分と立下り部分で異なる閾値を用いて検出しても良い。また、パルス波形検出部11は、電波探知装置の運用上不必要な、所定の長さ以下のパルスはノイズとして検出しないようにしても良い。なお検出される検出信号には、その処理単位時間に立ち上がり立ち下がるパルスのほか、一つ以上前の処理単位時間から継続しているパルスの一部分と処理単位時間の終了時刻で次の処理単位時間に継続しているパルスの一部分が含まれる。
【0018】
信号帯域検出部12は、周波数分割部10で複数の周波数帯域に分割された、それぞれの処理単位時間毎の各分割信号からスペクトルを算出し、算出したスペクトルから信号帯域を検出し信号帯域情報を出力する。信号帯域検出部12は処理単位時間の分割信号からフーリエ変換によりスペクトルを算出し、検出箇所の周波数成分が検出箇所周辺の周波数成分から所定の手法で算出した値に所定の係数を乗じた値よりも大きければ検出箇所に信号成分が存在すると判定する。信号帯域検出部12が行うこの処理は、レーダー信号処理におけるCFAR (Constant False Alarm Rate) と同様の処理である。次に、信号帯域検出部12は、連続して信号が存在すると判定された箇所をひとまとめにして信号帯域とし、信号帯域の最小周波数、最大周波数、また帯域内のピーク電力、ピーク周波数等を信号帯域情報として算出する。最小周波数と最大周波数はピーク電力から所定の比率だけ電力が減少した周波数としても良い。
【0019】
信号帯域割当部13は、パルス波形検出部11で検出された複数検出信号の各パルス時間情報に対して、信号帯域検出部12が生成した信号帯域情報を割り当て、パルス情報を生成する。信号帯域割当部13の分割信号内帯域割当部17は、パルス波形検出部11で検出された複数の検出信号のパルス時間情報に対して、分割信号の検出信号に該当する部分のフーリエ変換から周波数情報を算出する。周波数情報は、検出信号の周波数が存在する範囲である。周波数情報の算出方法は、周波数成分の最大値を求めて、その最大値から所定の係数 (1以下) を乗じた値より大きな周波数成分の範囲を周波数情報としても良いし、所定の閾値よりも大きな周波数成分を持つ周波数範囲を周波数情報としても良い。
【0020】
分割信号内帯域割当部17は、次に、算出した周波数情報と周波数が近い信号帯域情報を当該パルスに割り当てる。分割信号内帯域割当部17は、以下のように周波数情報と信号帯域情報との間の信号が存在する周波数範囲の差を算出し、その差が最も小さいものを、周波数が近いものとする。周波数情報aと信号帯域bとの間の周波数範囲の差は、それぞれの最小周波数をf(a) min、f(b) min、最大周波数をf(a) max、f(b) maxとすると、例えば、式(1)のようにして算出することができる。
【0021】
【数1】
【0022】
また、周波数情報aと信号帯域bとの間の周波数範囲の差は、式(2)のようにしても良い。
【0023】
【数2】
【0024】
一般に、信号のスペクトルを算出する場合、信号の長さが長いほど、スペクトルは、精度良く産出される。このため、パルス波形検出部11が検出した検出信号のパルス時間情報に、信号帯域検出部12が検出した信号帯域情報を割り当ててパルス情報を生成することで、それぞれの検出信号について、検出信号が検出される時間及び周波数の存在する範囲を正確に表すパルス情報を得ることができる。
【0025】
信号帯域割当部13の連続パルス帯域割当部18は、検出された検出信号が一つ以上前の処理単位時間から検出され始めたパルスのものであれば、分割信号内帯域割当部17が生成したパルス情報と、一つ前の処理単位時間で生成されたパルス情報の内の、当該信号帯域情報と周波数が近い前記パルス情報とを連結する。一つ以上前の処理単位時間から検出され始めたパルスの場合は、一つ以上前の処理単位時間で、信号帯域割当部13により、既に信号帯域情報が割り当てられている。このため、現在の処理単位時間で信号帯域検出部12から出力された信号帯域情報と一つ以上前の処理単位時間で、既に割り当てられている信号帯域情報を統合した周波数情報が、そのパルスの最も正確な周波数情報となる。
【0026】
連続パルス帯域割当部18は、検出信号が分割信号内に存在する時間を示すパルス時間情報が、当該処理単位時間が始まる時間を含んでいる場合、その検出信号が一つ以上前の処理単位時間から検出され始めたパルスのものであると判断する。
【0027】
また、連続パルス帯域割当部18は、分割信号内帯域割当部17が生成したパルス情報の信号帯域aと一つ前の処理単位時間で生成されたパルス情報の信号帯域bとの周波数を、それぞれの最小周波数をf(a) min、f(b) min、最大周波数をf(a) max、f(b) maxのとすると、式(1)または式(2)のようにして算出する。連続パルス帯域割当部18は、このようにして算出したその周波数範囲の差が、決められた周波数差の閾値より小さいまたは以下であるものの中で最小となる信号帯域情報どうしを、周波数が近いものとする。
【0028】
連続パルス帯域割当部18は、2つのパルス情報を連結する。その統合の方法は、具体的には、以下のとおりである。
【0029】
2つのパルス情報a、bそれぞれの信号帯域情報のそれぞれの最小周波数をf(a) min、f(b) minとすると、連結された信号帯域情報の最小周波数f(c) minは、式(3)の通りとなる。
【0030】
【数3】
【0031】
2つのパルス情報a、bそれぞれの信号帯域情報のそれぞれの最大周波数をf(a) max、f(b) maxとすると、連結された信号帯域情報cの最大周波数f(c) maxは、式(4)の通りとなる。
【0032】
【数4】
【0033】
2つのパルス情報a、bそれぞれのピーク電力をP(a) peak、P(b) peakとすると、連結された信号帯域情報cのピーク電力P(c) peakは、式(5)の通りとなる。
【0034】
【数5】
【0035】
2つのパルス情報a、bそれぞれのピーク周波数をf(a) peak、f(b) peakとすると、連結された信号帯域情報cのピーク周波数f(c) peakは、式(6)の通りとなる。
【0036】
【数6】
【0037】
2つのパルス情報a、bそれぞれの立ち上がり時間をt(a) 、t(b) とすると、連結された信号帯域情報cの立ち上がり時間t(c) は、式(7)の通りとなる。
【0038】
【数7】
【0039】
2つのパルス情報a、bそれぞれの立ち下がり時間をt(a) 、t(b) とすると、連結された信号帯域情報cの立ち上がり時間t(c) は、式(8)の通りとなる。
【0040】
【数8】
【0041】
また、連結された信号帯域情報cのパルス幅をT(c) PDとすると、T(c) PDは、式(9)の通りとなる。
【0042】
【数9】
【0043】
さらに、2つのパルス情報a、bそれぞれの振幅をA(a)、A(b)とすると、連結されたパルス情報cの振幅A(c)は、式(10)の通りとなる。
【0044】
【数10】
【0045】
低時間分解能パルス処理部14は、信号帯域割当部で割り当てられなかった信号帯域情報を、現在処理している処理単位時間に存在しているパルスとみなし、パルスの一部が検出された検出信号の一種である低時間分解能パルス信号として、パルス情報を生成する。低時間分解能パルス信号のパルス情報を、以下、時間分解能が低いパルス情報と呼ぶ。時間分解能が低い前記パルス情報では、低時間分解能パルス信号が検出された分割信号の処理単位時間が始まる時間を立ち上がり時間、処理単位時間が終了する時間を立ち下がり時間とする。
【0046】
低時間分解能パルス信号は、一般に、その一つ前及び一つ後の処理単位時間に続くパルスの一部または連続信号の一部である。このため、低時間分解能パルス処理部14は、一つ前の処理単位時間で作成された時間分解能が低いパルス情報と周波数が近ければ連結する。なお、低時間分解能パルス処理部14は、式(1)または式(2)により信号帯域情報どうしの周波数範囲の差を算出し、このようにして算出したその距離が、決められた周波数差の閾値より短いまたは以下であるものの中で最小となる信号帯域情報どうしを周波数が近いものとする。また、低時間分解能パルス処理部14は、式(3)から式(8)のようにして、2つの時間分解能が低いパルス情報どうしを連結する。
【0047】
低時間分解能パルス処理部14は、一つ前の処理単位時間で作成された時間分解能が低いパルス情報の中で、現在処理している処理単位時間で連結されないものを、一つ前の処理単位時間でパルスが終了しているものとして、出力する。また、現在処理している処理時間単位で統合された、時間分解能が低いパルス情報については、次の処理時間単位でさらに連結される可能性があるため、出力せず、低時間分解能パルス処理部14内部で決められた時間保有し続ける。
【0048】
パルス統合部15は、複数の周波数帯域において信号帯域割当部13で信号帯域情報が割り当てられたパルス情報と、低時間分解能パルス処理部から出力されたパルス情報と、パルス統合手段自身が統合し、所定の期間保持しているパルス情報を対象として、信号帯域が近く、時間軸上でも近接するパルス情報どうしを統合する。パルス統合部15は、式(3)から式(8)のようにして、2つのパルス情報どうしを統合する。パルス統合部15は、式(1)または式(2)によりそれぞれのパルス情報の信号帯域情報どうしの間の周波数範囲の差を算出し、このようにして算出したその差が、決められた周波数差の閾値より短いまたは以下であるものの中で最小となる信号帯域情報どうしを周波数が近いものとする。また、パルス統合部15は、2つのパルス情報どうしの時間軸上の距離を、式(11)で算出し、このようにして算出したその距離が、決められた時間の閾値より短いまたは以下であるものの中で最小となる信号帯域情報どうしを時間軸上で近接するものとする。
【0049】
【数11】
【0050】
次に、動作について説明する。図2は、実施の形態1に係るパルス検出装置の動作を表すフローチャートである。
【0051】
処理時間単位が経過する(ST10)ごとに、パルス検出装置9はA/D変換器7が出力した入力信号を周波数分割部10で受ける。ここで、周波数分割部10は、新たな信号の入力信号はあるかを確認し(ST20)、新たな入力信号が無ければ(ST20でNO)、ST10に戻り、次の処理時間単位まで新たな入力信号が入力されることを待つ。新たな入力信号が有れば(ST20でTES)、周波数分割部10は、入力信号を複数の周波数帯域に分割して分割信号として出力する(ST30)。周波数分割部10が処理単位時間毎に出力した分割信号は、処理単位時間毎に、パルス波形検出部11と信号帯域検出部12とに入力される。
【0052】
次に、信号帯域検出部12が、周波数分割部10から入力される分割信号からスペクトルを算出し、算出したスペクトルから信号帯域を検出し、信号帯域情報を生成する(ST40)。また、信号帯域検出部12と並行して、パルス波形検出部11では、周波数分割部10から入力される分割信号から、検出信号を検出し、パルス時間情報を生成する(ST50)。
【0053】
信号帯域割当部13は、パルス波形検出部11で検出された検出信号から周波数情報を算出して、信号帯域検出部12から出力された信号帯域情報の内の、算出した周波数情報と周波数が近い信号帯域情報を、その検出信号に割り当てる(ST60)。信号帯域割当部13は、検出信号のパルス時間情報と割り当てられた信号帯域情報をもとに、パルス情報を生成する(ST70)。また、信号帯域割当部13は、検出信号の内の、一つ以上前の処理単位時間から検出されているパルスについては、前の処理単位時間から検出されているパルス情報と連結する(ST80)。
【0054】
一方、信号帯域割当部13により検出信号に割り当てられなかった信号帯域情報については、低時間分解能パルス処理部14が、信号帯域情報が生成された信号を低時間分解能パルス信号として、パルス情報を生成する(ST90)。また、低時間分解能パルス処理部14は、生成されたパルス情報を、一つ前の処理単位時間で生成された低時間分解能パルス信号と連結させ、連結されなかったパルス情報を出力する(ST100)。
【0055】
パルス統合部15は、この処理時間単位に生成されたパルス情報どうし、この処理時間単位に生成されたパルス情報と前の処理単位時間で生成されたパルス情報とのパルス時間情報、信号帯域情報を比較して、信号帯域が近く、時間軸上でも近接するパルス情報どうしを統合する(ST110)。パルス統合部15がパルス情報どうしの統合を行うと、検出結果出力部16は、パルス情報の内の統合が完了した、検出済みのパルスを出力する(ST120)。
【0056】
パルス統合部15が検出済みのパルスを出力すると、パルス検出装置9は、ST10に戻り、処理時間単位ごとに、ST10からST120までの処理を繰り返す。
【0057】
以上のように、実施の形態1に係るパルス検出装置においては、入力信号が複数の周波数帯域に分割された、処理時間単位毎の分割信号で検出された検出信号をパルス統合部で統合するため、パルスの存在する時間及び周波数の範囲が一つの分割信号の周波数帯域や処理時間単位を超えて分布するパルスについても、効率よく検出することができる。また、パルス統合部の処理に先立ち、一つ以上前の処理時間単位から検出されているパルスについて、信号帯域割当部で連結することにより、パルスの存在する時間の範囲が処理時間単位を超えて分布するパルスについて、効率的に検出し、精度の良いパルス情報を得ることができる。
【0058】
加えて、信号が時間及び周波数が一つの分割信号の周波数帯域や処理時間単位内に分布するパルスについても、時間分解能が高いパルス波形検出部と周波数分解能が高い信号帯域検出部とを組み合わせることにより、分割信号内でパルスの存在する時間及び周波数範囲が多様な信号それぞれについても効率的に検出し、精度の良いパルス情報を得ることができる。
【0059】
なお、実施の形態1に係るパルス検出装置の変形例について説明する。図3は、実施の形態1に係るパルス検出装置の変形例の信号帯域割当部の動作原理を表す図である。上記説明では、信号帯域割当部13の分割信号内帯域割当部17は、パルス波形検出部11で検出された複数の検出信号のパルス情報に対して、分割信号の検出信号に該当する部分のフーリエ変換から周波数情報を算出する。しかし、信号帯域割当部13の分割信号内帯域割当部17は、分割信号をさらに複数の短時間単位に区切り、その短時間単位毎に周波数情報を算出し、分割信号から検出されたパルスの該当部分に含まれる短時間単位の周波数情報を統合して該当部分の周波数情報を算出しても良い。
【0060】
図3において、(a)は、分割信号から検出されるパルスの例を示す。この例においては、分割信号が、さらに、短時間単位1から短時間単位8までの8つに区切られる例を示す。ここでは、パルスは、図3の(a)のように、短時間単位2から短時間単位5までの間で周波数が変化している例で説明する。図3において、(b)は、それぞれの単位時間単位において分割信号をフーリエ変換した結果および、その結果から求められる、短時間単位毎の周波数情報とパルス全体の周波数情報の例を示す。
【0061】
分割信号内帯域割当部17は、短時間単位毎にフーリエ変換を行い、それぞれの単位時間毎の周波数の信号の帯域(周波数の上限及び周波数の下限)である周波数情報を求める。周波数情報は、それぞれの短時間単位ごとに、周波数成分の最大値を求めて、その最大値から所定の係数 (1以下) を乗じた値より大きな周波数成分の範囲を周波数情報としても良いし、所定の閾値よりも大きな周波数成分を持つ周波数範囲を周波数情報としても良い。それぞれの短時間単位を短時間単位1、短時間単位2、・・・短時間単位Kとし、その内の、パルスが存在する短時間単位を短時間単位(1)、短時間単位(2)、・・・短時間単位(N)で表す。図3の場合、{時間単位(1)、時間単位(2)、・・・時間単位(N)}は、{時間単位2、時間単位3、・・時間単位5}である。
【0062】
それぞれの短時間単位(i)におけるパルスの最小周波数をf(i) minとすると、パルス全体の最小周波数f(m) minは、式(12)のように表される。
【0063】
【数12】
【0064】
また、それぞれの短時間単位(i)におけるパルスの最大周波数をf(i) maxとすると、パルス全体の最大周波数f(m) maxは、式(13)のように表される。
【0065】
【数13】
【0066】
また、それぞれの短時間単位(i)におけるパルスのピーク電力、ピーク周波数についても、それぞれP(i) peak、f(i) peakとすると、パルス全体のピーク電力P(m) peak、ピーク周波数f(m) peakは、それぞれ式(14)、式(15)のように表される。
【0067】
【数14】
【0068】
【数15】
【0069】
分割信号内帯域割当部17では、このようにして検出信号の周波数範囲を求めるようにすることで、分割信号内でパルスの信号が存在する時間が変化しても、定型的な処理により信号の周波数帯域を求めることができる。
【0070】
実施の形態2.
実施の形態2について、図4および5により説明する。実施の形態1のパルス検出装置9では、パルス統合部15は、信号帯域割当部13で信号帯域情報を割り当てられたパルス情報とパルス統合部15自身が統合したパルス情報と低時間分解能パルス処理部14から出力されたパルス情報を対象として、信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記パルス情報を統合する。これに対して、実施の形態2に係るパルス検出装置9Aでは、パルス統合部15がパルス情報を統合する前に、各パルス情報どうしを比較して、一方のパルス情報が他方のパルス情報の周波数帯域からのスペクトル漏れによる不要なパルス情報であるか否かを判断し、不要なパルス情報を削除する不要パルス削除部を備えている。
【0071】
図4は、実施の形態2に係るパルス検出装置9Aおよびパルス検出装置9Aを備える電波探知装置の構成を表す図である。図4において、パルス検出装置9Aは、不要パルス削除部19を備えている。不要パルス削除部19は、信号帯域割当部13で信号帯域情報を割り当てられたパルス情報とパルス統合部15が統合したパルス情報と低時間分解能パルス処理部14から出力されたパルス情報とに対し、各パルス情報どうしを比較して、一方のパルス情報が他方のパルス情報の周波数帯域からのスペクトル漏れによる不要なパルス情報であるか否かを判断し、不要なパルス情報を削除する。
【0072】
パルス統合部15は、不要パルス削除部19が不要なパルス情報を削除した後の、信号帯域割当部13で信号帯域情報を割り当てられたパルス情報とパルス統合部15自身が統合したパルス情報と低時間分解能パルス処理部14から出力されたパルス情報を対象として、信号帯域が近く、時間軸上でも近接する前記パルス情報を統合する。また、パルス統合部15は、統合したパルス情報を、不要パルス削除部19にも出力する。パルス検出装置9Aは、上記以外の構成については、パルス検出装置9と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
続いて、不要パルス削除部19について、詳細に説明する。不要パルス削除部19は、複数の周波数帯域において信号帯域割当部13で信号帯域情報を割り当てられたパルス情報と低時間分解能パルス処理部14で出力されたパルス情報を対象として、異なる周波数帯域のパルス情報のペアを算出し、各ペアのパルスa、bに対して、どちらかがスペクトル漏れによる不要パルスであれば削除する。計算負荷を低減するために、パルスペアを算出するパルス情報どうしを、同じ分割信号から生成されたパルス情報どうしと、周波数帯域が隣接する分割信号からそれぞれ生成されたパルス情報どうしに限定しても良い。
【0074】
不要パルスの判定方法について説明する。説明では一般性を失わずにパルスaの振幅がパルスbの振幅より大きいものとする。スペクトル漏れによる不要パルスは、スペクトル漏れの原因となるパルスの振幅が短時間で変化するパルスの立ち上がりや立下りでスペクトルが広がることが原因で発生する。このため、スペクトル漏れによる不要パルスの振幅はスペクトル漏れの原因となるパルスよりも振幅が小さくなる。そこで、パルスbの振幅がパルスaの振幅より所定の比率以上に小さい場合に、パルスbが不要パルスであるかを判定する。
【0075】
まずスペクトル漏れの原因となっているパルスが短パルスの場合について説明する。その場合、二つのパルスの時間軸上での配置が近くなるため、例えば二つのパルスの時間軸上の重複割合が所定の比率以上であり、片方のパルスの中心が他方のパルスの時間範囲に含まれていれば、パルスを不要パルスと判定する。ここで、二つのパルスの時間軸上で重複している長さを、式(13)のように表す。
【0076】
【数16】
【0077】
このとき、式(17)と式(18)を共に満たしている場合に、パルスbを不要パルスと判定する。なお、式(17)におけるθOLは、予め決められた閾値である。
【0078】
【数17】
【0079】
【数18】
【0080】
次にスペクトル漏れの原因となっているパルスが長パルスの場合について説明する。その場合、不要パルスはスペクトル漏れの原因となっているパルスの立ち上がり、もしくは立下りの位置に発生するため、例えば、パルスa立ち上がり時刻がパルスbの時間範囲に含まれている場合、もしくはパルスaの立下り時刻がパルスbの時間範囲に含まれている場合にパルスbを不要パルスと判定する。具体的には、式(19)もしくは式(20)を満たしている場合にパルスbを不要パルスと判定する。
【0081】
【数19】
【0082】
【数20】
【0083】
次に、動作について説明する。図5は、実施の形態1に係るパルス検出装置9Aの動作を表すフローチャートである。図5に示す通り、パルス検出装置9Aでは、ST70およびST80で信号帯域割当部13がパルス情報を生成し、ST90およびST100で低時間分解能パルス処理部14がパルス情報を生成した後、パルス削除部19が不要なパルス情報を削除する(ST105)。パルス統合部15は、パルス削除部19が不要なパルスを削除した後の、当該処理単位時間までに信号帯域割当部13と低時間分解能パルス処理部14とから出力されたパルス情報および一つ前の処理単位時間までにパルス統合部15が統合したパルス情報について、パルス情報どうしを統合する(ST110)。上記以外の動作については、パルス検出装置9と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
以上のように、実施の形態2に係るパルス検出装置においては、パルス統合部がパルス情報を統合する前に、各パルス情報どうしを比較して、一方のパルス情報が他方のパルス情報の周波数帯域からのスペクトル漏れによる不要なパルス情報であるか否かを判断し、不要なパルス情報を削除する不要パルス削除部を備える。このため、スペクトル漏れにより発生した不要なパルスが削除されるとともに、パルス情報どうしを誤って統合することが減少し、より正しくパルスを検出できるパルス検出装置を得ることができる。また、パルス情報どうしを統合する前に不要なパルス情報が削除されているため、パルス情報どうしの統合を効率的に行うことができるパルス検出装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 アンテナ、2 フィルタ、3 ミキサ、4 高周波信号発生回路、
5 フィルタ、6 増幅器、 7 A/D変換器、 8 制御装置、
9、9A パルス検出装置、10 周波数分割部、11 パルス波形検出部、
12 信号帯域検出部、13 信号帯域割当部、14 低時間分解能パルス処理部、
15 パルス統合部、16 検出結果出力部、17 分割信号内帯域割当部、
18 連続パルス帯域割当部、19 不要パルス削除部。
図1
図2
図3
図4
図5