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  • 特許-ロボット用外装構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ロボット用外装構造
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B25J19/00 H
B25J19/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020198650
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086566
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】近藤 寛之
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161438(JP,A)
【文献】特開2007-015050(JP,A)
【文献】特開2010-137288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節部を有するロボットの骨格の外側を覆う外装を備え、
前記外装は、
前記関節部の外側を覆い、該関節部の動作に応じて柔軟に変形する軟質部と、
前記軟質部に隣接して設けられ、前記関節部以外を覆う硬い硬質部と、
一端が前記ロボットの胴体部の骨格を覆う硬質部の下端内側に接続され、他端が前記ロボットの股関節を覆う軟質部の内側に当接する第1弾性部材と、
を備えるロボット用外装構造。
【請求項2】
請求項1記載のロボット用外装構造であって、
前記ロボットの膝関節を覆う軟質部に該軟質部の形状に沿って接続された第2弾性部材を更に備えるロボット用外装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット用外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、関節を含む骨格の外側を覆う外装を備え、外装は、関節部の外側を覆い、関節部の動作に応じて柔軟に変形する軟質部と、軟質部に隣接して設けられ、関節部以外を覆う硬い硬質部と、を備えるロボットが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-171566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ロボットにおいては、関節の動作に対して軟質部の変形が十分に追従せず、軟質部に皺などができる虞がある。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、関節の動作に対して軟質部の変形が十分に追従でき、軟質部のシルエットを綺麗に維持できるロボット用外装構造を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
関節部を有するロボットの骨格の外側を覆う外装を備え、
前記外装は、
前記関節部の外側を覆い、該関節部の動作に応じて柔軟に変形する軟質部と、
前記軟質部に隣接して設けられ、前記関節部以外を覆う硬い硬質部と、
一端が前記硬質部に接続され、他端が前記軟質部に当接する第1弾性部材、及び、前記軟質部に該軟質部の形状に沿って設けられた第2弾性部材、のうちの少なくとも一方と、
を備えるロボット用外装構造
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、関節の動作に対して軟質部の変形が十分に追従でき、軟質部のシルエットを綺麗に維持できるロボット用外装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ロボットの骨格を示す図である。
図2】ロボットの外装を示す図である。
図3】股関節軟質部を部分的に拡大した拡大図である。
図4】股関節の外装に設けられた第1弾性部材を示す図である。
図5】膝関節を拡大した拡大図である。
図6図5に示す膝関節を上方から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、ロボットの骨格を示す図である。本実施形態に係るロボット10は、例えば、頭部11、胴体部12、腕部13、脚部14などを備える多関節型ロボットとして構成されている。
【0010】
腕部13は、3軸周りに回転可能な肩関節131、1軸周りに回転可能な肘関節132、及び、2軸周りに回転可能な手首関節133を有している。肩関節131、肘関節132、及び、手首関節133は、フレームなどにより接続されている。腕部13の先端には、複数の指部からなる把持部134が設けられている。
【0011】
肩関節131、肘関節132、及び手首関節133には、夫々、サーボモータなどのアクチュエータ及び減速機が設けられている。各アクチュエータは、制御装置からの制御信号に応じて、肩関節131、肘関節132、及び手首関節133を、減速機を介して回転駆動する。これにより、ロボット10の腕部13は、手振り動作、把持動作などの任意の動作を行うことができる。
【0012】
脚部14は、3軸周りに回転可能な股関節141、1軸周りに回転可能な膝関節142、および、2軸周りに回転可能な足首関節143、を有している。股関節141、膝関節142、および、足首関節143、はフレームなどにより接続されている。
【0013】
股関節141、膝関節142、および、足首関節143には、夫々、サーボモータなどのアクチュエータ及び減速機が設けられている。各アクチュエータは、制御装置からの制御信号に応じて、股関節141、膝関節142、および、足首関節143を、減速機を介して回転駆動する。これにより、ロボット10の脚部14は、歩行などの任意の動作を行うことができる。
【0014】
なお、上記ロボット10の構成は一例であり、これに限定されず、本実施形態に係るロボット10は、任意の多関節型ロボットに適用可能である。
【0015】
図2は、ロボットの外装を示す図である。本実施形態に係るロボット用外装構造1は、上記のような多関節型のロボット10の骨格の外側を覆う外装2を備えている。外装2は、柔軟に変形する軟質部21と、軟質部21に隣接して設けられた硬い硬質部22と、を有している。
【0016】
軟質部21は、例えば、ピンや接着剤などで硬質部22に接続されている。軟質部21は、主として各関節部の外側を覆い、各関節部の動作に応じて柔軟に変形する。このため、各関節部は、その可動範囲内でスムーズに動作できる。
【0017】
軟質部21は、例えば、股関節141を覆う股関節軟質部211と、膝関節142を覆う膝関節軟質部212と、肩関節131を覆う肩関節軟質部213と、脛骨上側かつ膝関節部下側を覆う頸部軟質部214と、を有している。
【0018】
図3は、股関節軟質部(図2の枠部分)を部分的に拡大した拡大図である。軟質部21は、ウレタン、ポリエステル、ゴムなどの柔軟性の部材で形成されている。軟質部21には、3次元方向の変形に良好に追従できるように、Y字状、十字状のスリットや穴が形成されていてもよい。スリットや穴は、軟質部21において、例えば、均等に形成されている。なお、軟質部21が十分な柔軟性及び復元力を有する材料で形成されていれば、軟質部21に上記のようなスリットや穴を形成しなくてもよい。
【0019】
硬質部22は、軟質部21に隣接して設けられ、主として、関節部以外を覆う。硬質部22は、各関節の可動範囲に影響を与えない部位に設けられる。硬質部22は、ロボット10の骨格などに固定されている。硬質部22は、ロボット10の意匠上の外観を維持できるだけの剛性を有するプラスチックや薄い金属などで形成されている。
【0020】
硬質部22は、図2に示す如く、胴体部12の骨格を覆う胴体硬質部221と、膝下部の骨格を覆う膝下硬質部222と、脛骨下側を覆う頸部硬質部223と、を有している。
【0021】
胴体硬質部221の上側の左右両端に一対の肩関節軟質部213が接続されている。3軸周りの肩関節131の回転動作に応じて、肩関節軟質部213が柔軟に変形して肩関節131の可動域を確保しつつ、肩関節軟質部213および胴体硬質部221によって、肩近傍の意匠上の外観を維持する。
【0022】
胴体硬質部221の下端に股関節軟質部211の上端が接続されている。3軸周りの股関節141の回転動作に応じて、股関節軟質部211が柔軟に変形して股関節141の可動域を確保しつつ、股関節軟質部211および胴体硬質部221によって、股関節近傍の意匠上の外観を維持する。
【0023】
膝下硬質部222の上端に膝関節軟質部212の下端が接続されている。1軸周りの膝関節142の回転動作に応じて、膝関節軟質部212が柔軟に変形して膝関節142の可動域を確保しつつ、膝関節軟質部212および膝下硬質部222によって、膝関節近傍の意匠上の外観を維持する。
【0024】
上記のように、各関節部の可動範囲に影響を与える部位のみを軟質部21で覆い、各関節部の動作に応じて軟質部21を柔軟に変形させることで、各関節部の可動域を確保しつつ、それ以外の各関節部の可動範囲に影響を与えない部位を硬質部22で覆うことで、ロボット全体の意匠上の外観を維持できる。
【0025】
ところで、例えば、従来、可動軸が多い股関節などの関節部を覆う軟質部は、複雑に変形するため、元の形状に復元し難く、関節部の動作に対して軟質部の変形が十分に追従せず、軟質部に皺などができる虞がある。
【0026】
これに対し、本実施形態に係るロボット用外装構造1は、一端が硬質部22に接続され、他端が軟質部21に当接する第1弾性部材を備えている。軟質部21が複雑に変形し、元の形状に復元し難い場合でも第1弾性部材の他端がその軟質部21に当接し元の形状に復元させることができる。すなわち、関節の動作に対して軟質部21の変形が十分に追従でき、軟質部21のシルエットを綺麗に維持できる。
【0027】
図4は、股関節の外装に設けられた第1弾性部材を示す図である。第1弾性部材23は、所定長さの板状部材である。第1弾性部材23は、棒状部材であってもよい。第1弾性部材23は、金属、ゴム、合成樹脂などの弾性部材で形成されている。第1弾性部材23の弾性係数は、軟質部21の変形が十分に追従できるように設定されている。
【0028】
第1弾性部材23の一端は、胴体硬質部221の下端内側に接続されている。第1弾性部材23の他端は、股関節軟質部211の内側に当接している。このように、第1弾性部材23の一端を胴体硬質部221に固定し、他端を股関節軟質部211に接触するだけの状態にする。これにより、股関節141の動作に応じて、股関節軟質部211は、柔軟に変形しつつ、第1弾性部材23の当接力により元の形状に復元する。このように、第1弾性部材23は、軟質部21の皺を伸ばす機能を有している。
【0029】
軟質部21と硬質部22との間には、複数の第1弾性部材23が設けられる構成であってもよい。なお、上述の図4は、左側の股関節を示す図である。図4に示す如く、第1弾性部材23の一端は胴体硬質部221の左側に接続され、他端は、股関節軟質部211の左側に当接している。
【0030】
第1弾性部材23は、左側の股関節141と同様に、右側の股関節141にも設けられている。すなわち、第1弾性部材23の一端は胴体硬質部221の右側に接続され、他端は、股関節軟質部211の右側に当接している。このように、複雑に変形する軟質部21の部位に対応して、第1弾性部材23を設けるのが好ましい。
【0031】
本実施形態に係るロボット用外装構造1は、外装2の外側を覆い伸縮性を有する外皮を更に備えていてもよい。外皮は、例えば、ポリエステル繊維などの化学繊維で構成されている。外皮は伸縮性を有することから、各関節部の動作に影響を与えず、さらに、外装2の継ぎ目を完全に覆い隠すことができるため、ロボット10の意匠上の美的外観をより高めることができる。
【0032】
実施形態2
図5は、膝関節を拡大した拡大図である。図6は、図5に示す膝関節を上方から見た上面図である。本実施形態2に係るロボット用外装構造1は、膝関節軟質部212に膝関節軟質部212の形状に沿って設けられた第2弾性部材24を更に備えていてもよい。これにより、膝関節軟質部212が複雑に変形し、元の形状に復元し難い場合でも第2弾性部材24がその膝関節軟質部212を元の形状に復元させることができる。
【0033】
第2弾性部材24は、板状部材である。第2弾性部材24は、棒状部材であってもよい。第2弾性部材24は、膝関節軟質部212の形状に沿って略C字状に形成されている。第2弾性部材24は、接着剤などのより膝関節軟質部212に接続されている。第2弾性部材24の弾性係数は、膝関節軟質部212の変形が十分に追従できるように設定されている。
【0034】
図5は、左側の膝関節を拡大した拡大図である。第2弾性部材24は、左側の膝関節軟質部212と同様に、右側の膝関節軟質部212にも設けられている。
なお、上記実施形態において、第1弾性部材23及び第2弾性部材24のうちの少なくとも一方が設けられる構成であってもよい。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 ロボット用外装構造、2 外装、10 ロボット、11 頭部、12 胴体部、13 腕部、14 脚部、21 軟質部、22 硬質部、23 第1弾性部材、24 第2弾性部材、131 肩関節、132 肘関節、133 手首関節、134 把持部、141 股関節、142 膝関節、143 足首関節、211 股関節軟質部、212 膝関節軟質部、213 肩関節軟質部、214 頸部軟質部、221 胴体硬質部、222 膝下硬質部、223 頸部硬質部
図1
図2
図3
図4
図5
図6