(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】投影装置及び投影装置の拡張ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241203BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
(21)【出願番号】P 2020201902
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 拓史
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-198463(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171147(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0236546(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0211872(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0256071(US,A1)
【文献】特開2001-092002(JP,A)
【文献】実開平07-023331(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/52
G03B 21/54-21/64
G03B 33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影光を出射する投影光学系を有する筐体
と、前記筐体に着脱可能に取り付けられている脚部材と、を備え、
前記筐体は、前記投影光学系の光軸と平面視において重なる平行軸上に
配置されるとともに投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせ
る第一位置合わせ部
と、前記投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせる第二位置合わせ部と、を有し、
前記脚部材は、前記第一位置合わせ部又は前記第二位置合わせ部として機能する凸部に対応する位置に凹部を有する、
投影装置。
【請求項2】
前記筐体は、内部位置合わせ突起を有し、
前記投影光学系は、前記内部位置合わせ突起により位置合わせされて固定されている、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記内部位置合わせ突起は、前記光軸と平面視において平行な第一方向に沿って複数設けられている請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記第一位置合わせ部からみて前記第二位置合わせ部は、前記平行軸に垂直に交わる第二方向の法線上に設けられている請求項3に記載の投影装置。
【請求項5】
前記第一位置合わせ部及び前記第二位置合わせ部は、前記筐体の底面において異なる角部側かつ前記筐体の後側に設けられている請求項4に記載の投影装置。
【請求項6】
前記脚部材は、前記筐体の左右方向に亘って湾曲した曲面部と、短辺側の両端部が斜めに切断されたように傾斜する傾斜部と、を有する請求項
1に記載の投影装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の投影装置の前記第一位置合わせ部に係合する丸孔と、前記第二位置合わせ部に係合する長孔と、を備える投影装置の拡張ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置及び投影装置の拡張ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板を用いて形成した画像をスクリーンに投影する投影装置において、拡張ユニットを装着して機能の拡張を可能とした構成が提案されている。例えば、特許文献1には、天井側に固定した天井側ブラケットに、プロジェクタ(投影装置)に固定したプロジェクタ側ブラケットを固定することで、プロジェクタを天吊り状態に固定保持する天吊り装置が開示されている。このプロジェクタでは、プロジェクタ側ブラケットを、4箇所のねじ挿通孔に締結ねじを挿通させて固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の投影装置(プロジェクタ)の固定方法では、拡張ユニットの用途によって位置合わせ精度が十分でない場合がある。
【0005】
本発明は、位置精度よく拡張ユニットを取り付け可能な投影装置及び投影装置の拡張ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の投影装置は、投影光を出射する投影光学系を有する筐体と、前記筐体に着脱可能に取り付けられている脚部材と、を備え、前記筐体は、前記投影光学系の光軸と平面視において重なる平行軸上に配置されるとともに投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせる第一位置合わせ部と、前記投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせる第二位置合わせ部(51B)と、を有し、前記脚部材は、前記第一位置合わせ部又は前記第二位置合わせ部として機能する凸部に対応する位置に凹部を有する。
【0007】
本発明の投影装置の拡張ユニットは、上述の投影装置の前記第一位置合わせ部に係合する丸孔と、前記第二位置合わせ部に係合する長孔と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置精度よく拡張ユニットを取り付け可能な投影装置及び投影装置の拡張ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の上面側を前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の下面側を後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る投影装置の脚部材周辺を拡大した断面図であり、(a)は
図2の投影装置のIIIa-IIIa断面図であり、(b)は
図2の投影装置のIIIb-IIIb断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構成を示す平面模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る投影装置の底面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る投影装置に拡張ユニットを取り付けた状態を示し、(a)は前方から見た斜視図であり、(b)は後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
図1及び
図2に示すように、投影装置10は、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状に6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有する筐体20を備える。投影装置10は、前面20e側に投影口11を有する。投影装置10は、投影口11から投影光Lを出射する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影方向に対しての左右方向(
図4の第二方向D2)を示し、前後とは投影装置10の投影光Lの進行方向に対しての前後方向(
図4の第一方向D1)を示す。
【0011】
筐体20は、上面20aと右側面20dの一部を備える上ケース21と、下面20b(底面)と右側面20dの一部を備える下ケース22とを有する。筐体20は、前側に前側パネル23、後側に後側パネル24、左側に左側パネル25を有する。前側パネル23は、筐体20の左前角部20gまで延在し、左前角部20gは角R状とされる。また、前側パネル23には、投影口11の投影口開口部23a、吸気口23b及び排気口23cが設けられる。
【0012】
後側パネル24は、左後角部20hまで延在し、左後角部20hは角R状とされる。後側パネル24には、2か所の吸気口24aが設けられる。左側パネル25は、前側パネル23及び後側パネル24が延在する左前角部20g及び左後角部20hとの間に設けられる。左側パネル25には、吸気口25aや、画像入出力用のコネクタ等の接続口25bが設けられる。前側パネル23、後側パネル24及び左側パネル25は、それぞれ、上下方向の中心が筐体20の内側に向けて屈曲している。
【0013】
筐体20の縁部のうち、上ケース21及び下ケース22における右側面20dとの接続部である縁部21a,22aは、角R状の曲面状とされる。筐体20の縁部21a,22a以外の縁部(例えば、上面20aと左側面20cとによる縁部など)は、略直角状である。下ケース22における右側面20dには、電源プラグの接続口22bが設けられる。また、上ケース21の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができる操作パネル21bが設けられる。
【0014】
下ケース22の下面20bには、チルトアーム30と、2つの設置部40が設けられる。チルトアーム30は、筐体20の長尺方向に合わせた長尺状の設置当接部31cを有する。チルトアーム30は、2本のアーム(左アーム部31a、右アーム部31b)により、前方に位置する設置当接部31c側が開くようにして回動し、投影装置10を所定範囲における任意の設置角度(仰角)で投影することができる。また、下ケース22の下面20bにおける筐体20の前下縁部の略中央部には、凹状の把持部26が設けられる。把持部26は、筐体20の長尺方向に長い略長矩形状である。把持部26の後方内縁側の一部は、
図2に示すチルトアーム30の収納時において、チルトアーム30の設置当接部31cにより覆われる。
【0015】
筐体20は、チルトアーム30の後方側の左右それぞれにおいて、設置部40を有する。設置部40は、弾性部材である脚部材60と、脚部材60の固定を支持する支持部50とを有する。脚部材60は、支持部50において筐体20に対し着脱可能に取り付けることができる。
【0016】
また、筐体20は、下面20bに複数の固定部である螺子孔20b1を有する。本実施形態の螺子孔20b1は、投影装置10の前側に二箇所、後側に一箇所設けられる。後側の螺子孔20b1は、前側の二箇所の螺子孔20b1の左右方向の中央側に配置される。
【0017】
図2のB部拡大図に示す支持部50は、筐体20の下面20bから略垂直下方(
図2の上方)に突出する凸部である略円柱状の位置合わせ突起51(第一位置合わせ突起,第一位置合わせ部)と、位置合わせ突起51の外周周りに長矩形の環状に設けられた外周リブ52とを有する。位置合わせ突起51は、後述する拡張ユニット80の取付位置を合わせるために使用することができる。外周リブ52は、支持部50に取り付けられた脚部材60の高さ(下面20bからの高さ)に対して低く設けられる。外周リブ52の高さは、例えば脚部材60の高さの半分以下に設定される。外周リブ52は、長尺な第一辺部52aと短尺な第二辺部52bとを含む。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、位置合わせ突起51と外周リブ52との間の底面53は、外周リブ52の外側における筐体20の外面である下面20bよりも低く(筐体20の内側方向に)設けられる。
【0018】
外周リブ52は、位置合わせ突起51側に近づくに従って低くなるように傾斜した内側傾斜部521を有する。内側傾斜部521は、第一辺部52a及び第二辺部52bにおいて平坦面状に設けられる。また、外周リブ52は、底面53と内側傾斜部521との間に、立壁522を有する。立壁522は、底面53に対して略垂直となるように、第一辺部52a及び第二辺部52bにおいて平坦面状に設けられる。
【0019】
また、外周リブ52は、内側傾斜部521と頂部524を介して隣接配置された外側傾斜部523を有する。外側傾斜部523は、位置合わせ突起51とは反対側の下面20b側に向かうに従って低くなるように傾斜している。外側傾斜部523は、筐体20の下面20bから凹湾曲面状に連続して設けられる。
【0020】
脚部材60は、外形状の全体が前後方向に軸芯を向けた略半円柱状(或いは蒲鉾型)に形成される(
図2も参照)。脚部材60は、長尺な第一縁部60aと、短尺な第二縁部60bとを含む。脚部材60は、筐体20の左右方向に亘って湾曲した曲面部61と、前後に位置する短辺側の両端部が斜めに切断されたように傾斜する傾斜部62とを有する。脚部材60は、
図3(b)の断面視において、短尺な上底側を下側(接地側)に配置させた略台形状に形成される。
【0021】
脚部材60の曲面部61とは反対側(筐体20と当接する側)には、短四角柱状に突出した凸部である係合部63が設けられる。係合部63は、平坦面状の当接部631を有する。また、脚部材60は、当接部631の略中央側において円形状に窪んだ凹部632を有する。係合部63の側面633は、当接部631に対して略垂直となるように配置され、平坦面状に設けられる(
図3(a)及び
図3(b)参照)。係合部63は、立壁522に囲われる空間よりも短幅に(前後方向及び左右方向が短く)形成される。従って、係合部63が底面53に配置された状態では、係合部63の側面633と立壁522との間に間隙が設けられる。
【0022】
また、脚部材60は、曲面部61と側面633との間に、傾斜部634を有する。傾斜部634は、側面633に対して鈍角となるように配置され、平坦面状に設けられる。
【0023】
当接部631には、凹部632と略同開口径の円形の開口部641を有する両面テープ64が取り付けられる(
図2のA部拡大図参照)。開口部641と凹部632とは対応して配置される(
図3(a)等参照)。
【0024】
脚部材60は、開口部641及び凹部632に位置合わせ突起51を挿通させた状態で、当接部631に設けた両面テープ64により、支持部50の底面53に対し接着固定されている。脚部材60は、傾斜部634と内側傾斜部521との間に間隙Gを有する状態で、支持部50に配置される。脚部材60を取り外す場合には、この間隙Gにマイナスドライバ等の細幅の工具等を差し込み、頂部524を支点として梃子の原理により脚部材60を底面53から持ち上げるように付勢すると、脚部材60を支持部50から容易に取り外すことができる。
【0025】
前述した外周リブ52は、支持部50に取り付けられた脚部材60の高さ(下面20bからの高さ)に対して低く設けられる。従って、脚部材60が隠れる領域が比較的少なくなり、良好な外観を得ることができる。また、脚部材60を接地させて投影装置10を置いた場合に、前後又は左右方向に外力が加えられると脚部材60は投影装置10からの剥離方向へ引張力を受ける場合がある。本実施形態の脚部材60は、位置合わせ突起51と凹部632とが係合しているため、支持部50からの剥離方向への引張力に抵抗することができる。また、脚部材60の側面633及び傾斜部634が、外周リブ52の立壁522及び内側傾斜部521に当接されて脚部材60移動を規制することができる。従って、脚部材60の意図しないズレや脱落を防止することができる。
【0026】
ここで、投影装置10の内部構成について概略を説明する。
図4は、投影装置10の上ケース21を省略して上方からみた平面模式図である。投影装置10は、光源光学系71と、投影光学系72とを有する。光源光学系71は、光源側筐体710と、光源側筐体710に収容される光学部材とを含む。光源光学系71は、青色、緑色及び赤色の光源光を時分割で出射して、表示素子であるDMDにより形成した画像光を投影光学系72側に導光する。従って、光源側筐体710に収容される光学部材として、各色の光源光を出射する光源(レーザダイオード、LED及び蛍光体等)、レンズ(凹レンズや凸レンズ)、ミラー(全色反射ミラーやダイクロイックミラー)、光源光の輝度分布を調整する導光部材(ガラスロッド、マイクロレンズアレイ、拡散板等)等が含まれる。本実施形態の投影装置10は、所謂DLP(Digital Light Processing)方式により構成される。
【0027】
投影光学系72は、投影側筐体720と、投影側筐体720内に収容される固定レンズ及び可動レンズを含む。投影光学系72は、光源光学系71側から導光された画像光を投影光Lとして投影口11(
図1も参照)から出射させる。投影光学系72の可動レンズを調整することにより、ズーム調整やフォーカス調整を行うことができる。投影口11から出射された投影光Lは、図示しないスクリーンや壁面等の被投影体に投影される。
【0028】
光源側筐体710と、投影側筐体720とは、相対的に位置合わせされて接続される。また、光源側筐体710の下ケース22側の外周周りには複数のフランジ部711a~711dが設けられる。光源側筐体710の前方側に位置するフランジ部711aには、D部拡大図に示すように、丸孔712が設けられる。また、光源側筐体710の後方側に位置するフランジ部711bには、E部拡大図に示すように、前後方向(第一方向D1)に長軸を有する長孔713が設けられる。
【0029】
また、下ケース22には、内部位置合わせ突起221,222が設けられる(D部拡大図及びE部拡大図参照)。内部位置合わせ突起221,222は、下ケース22の内面から上方に向かって(
図4の手前側に向かって)突出している。内部位置合わせ突起221,222は、十字状の横断面を有して柱状に設けられる。筐体20の前面20e側に設けられる内部位置合わせ突起221と、後面20f側に設けられる内部位置合わせ突起222とは、前後方向(第一方向D1)の基準軸Q上に配置される。
【0030】
また、光源側筐体710は、各フランジ部711a~711dに設けられた螺子用孔(不図示)に螺子部材714を挿通させて、下ケース22の内面側に設けた螺子孔と締結固定される。従って、光源側筐体710は、下ケース22に対して位置合わせされた状態で固定される。光源側筐体710と接続された投影光学系72の投影側筐体720も、光源側筐体710を介して下ケース22に対して位置合わせされた状態で固定される。投影側筐体720により導光される投影光Lの光軸Pは、丸孔712の中心及び長孔713の中心を結ぶ仮想線と平行に設定される。従って、投影光学系72は、光軸Pが第一方向D1の基準軸Qに対して平行となるように配置される。換言すれば、内部位置合わせ突起221,222は、光軸Pと
図4の平面視又は
図5の底面視において平行な第一方向D1に沿って複数設けられている。
【0031】
図5は、投影装置10の下面20b側から見た底面図である。
図5では、チルトアーム30と脚部材60の図示を省略している。前述した位置合わせ突起51のうち一部の位置合わせ突起51A(51)及び他の一部の位置合わせ突起51B(51)は、筐体20の下面20bにおいて異なる角部20h,20i側かつ筐体20の後側(後面20f)側に設けられている。位置合わせ突起51Aは、下面20bの左後角部20h近傍であって、下面20b側から見た投影光学系72の光軸Pと平面視において重なる平行軸上(本実施形態では、光軸Pよりも筐体20の下方側に位置する平行軸上)に配置される。また、位置合わせ突起51B(第二位置合わせ突起,第二位置合わせ部)は、下面20bの右後角部20i近傍であって、光軸Pの前述の平行軸上とは異なる位置に配置される。位置合わせ突起51Aと位置合わせ突起51Bとは、光軸Pと垂直な方向(第一方向D1に対して垂直な第二方向D2)に配置されている。即ち、位置合わせ突起51Bは、位置合わせ突起51Aからみて、前述の平行軸に垂直に交わる第二方向D2の法線R上に設けられている。
【0032】
図6(a)及び
図6(b)に示す投影装置10は、下面20b側に拡張ユニット80(投影装置用拡張ユニット)を取り付けた状態を示している。投影装置10は、拡張ユニット80により投影装置10を天井等に取り付けて使用することができる。拡張ユニット80は、筐体側固定部材81と、中間部材82と、天井側固定部材83とを有する。
【0033】
筐体側固定部材81は、板状部材の各所が屈曲して形成され、中間部材82と接続可能な平板状の接続部811と、筐体20に対して固定される被固定部813とを有する。接続部811は、
図6(a)の上側に中間部材82と接続可能な半球状の凸部811aを有する。被固定部813は、接続部811の外周縁から脚部812を介して接続されて、3箇所の被固定部813a~813cを含む。各被固定部813a~813cは、同一平面上に配置される。
【0034】
被固定部813aは、位置合わせ突起51Aを係合可能な開口である被係合部814aと、螺子用孔815(詳細は不図示)とを有する。被係合部814aは、F部拡大図に示すように、丸孔として設けられる。また、被固定部813aは、第一方向D1に長尺な平板状に設けられる。被固定部813aの前端部からは、略直交方向に延設されるレンズ取付部816が設けられる。レンズ取付部816の内側には、光軸Pと中心軸を一致させて円形に開口した開口部816aが設けられる。
【0035】
被固定部813bは、位置合わせ突起51Bを係合可能な開口部である被係合部814bと、螺子用孔815とを有する。被係合部814bは、F部拡大図に示すように、第一方向D1に平行な方向に長尺な長孔として設けられる。また、被固定部813cにも、螺子用孔815が設けられる。
【0036】
中間部材82は、上下方向に中空部が設けられた円筒状に形成される。中間部材82の下端部は、凸部811aと角度調整可能に接続される。また、中間部材82の上方に設けられるフランジ状部は、天井側固定部材83と接続される。中間部材82と、凸部811a及び天井側固定部材83との接続構造の詳細については、図示を省略する。
【0037】
天井側固定部材83は、略正三角形平板状に形成される。天井側固定部材83は、中間部材82に対して固定されている。三角形の頂部に対応する各角部には、それぞれ取付孔部831が設けられる。
【0038】
拡張ユニット80を使用する場合には、まず、投影装置10の下面20bに設けられた位置合わせ突起51Aを拡張ユニット80の被係合部814aに係合させ、位置合わせ突起51Bを被係合部814bに係合させる。被係合部814aの係合により拡張ユニット80は被係合部814aを基準として位置が定まり、被係合部814bの係合により拡張ユニット80の上下方向の軸周りの角度位置が定まる。またこのとき、投影装置10の下面20bに設けられた固定部である螺子孔20b1(
図5参照)の位置は、筐体側固定部材81の螺子用孔815の位置と対応している。従って、筐体側固定部材81の螺子用孔815に挿通させた螺子部材84を螺子孔20b1に対し締結することで、拡張ユニット80を投影装置10に対して高精度に位置合わせした状態で固定することができる。
【0039】
拡張ユニット80は、取付孔部831により部屋の天井等に螺子留めして固定することができる。従って、拡張ユニット80により天吊りした状態で投影装置10を使用することができる。
【0040】
また、
図6(a)に示すレンズ取付部816の開口部816aにはコンバージョンレンズ(不図示)を取り付けることもできる。開口部816aの中心軸は投影光Lの光軸Pと一致しているため、コンバージョンレンズの光軸と、投影光Lの光軸Pとを容易に一致させることができる。これにより、投影装置10から出射された投影光Lを、より広角に出射させることができる。
【0041】
このように、本実施形態の投影装置10では、同一部材である下ケース22に設けられた221,222と51A,51Bにより、拡張ユニット80を投影装置10の内部のユニット(光源光学系71及び投影光学系72)に対して高精度に位置合わせすることができる。さらに、金属のダイキャストで下ケース22を高精度に形成すれば、より高い精度で71,72に対して80を位置合わせすることができる。また、拡張ユニット80を用いずに投影装置10を使用する際には、位置合わせ突起51が脚部材60により覆われるため、投影装置10に与える外観への影響を低減することができる。
【0042】
以上、本発明は本実施形態によって限定されることはなく、種々変更を加えて実施することができる。例えば、また、本実施形態における拡張ユニット80として、コンバージョンレンズを取り付け可能なレンズ取付部816が設けられた天吊り用ブラケットについて説明したが、その他の機能を有するユニットとしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、脚部材60が支持部50の底面に対して両面テープ64により接着固定する例を示したが、両面テープ64の代わりに接着剤の塗布により脚部材60を固定させてもよい。
【0044】
また、本実施形態の投影光学系72の投影側筐体720は、内部位置合わせ突起221,222により光源光学系71の光源側筐体710を介して間接的に位置合わせし固定する構成について説明したが、内部位置合わせ突起221,222は下ケース22の内面の適宜の位置に設けて投影側筐体720を直接位置合わせし固定する構成としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、筐体20側の位置合わせ部が位置合わせ突起51として機能する凸部である例について説明したが、位置合わせ部は凸部及び凹部のいずれか一方としてもよい。従って、脚部材60は、凹部632を有する構成について説明したが、凹部632に限らず、筐体20側の位置合わせ部の凸部及び凹部のいずれか一方に対応する位置に設けられた凸部及び凹部のいずれか他方を有する構成とすることができる。筐体20側の位置合わせ部を凸部である位置合わせ突起51Aとした場合には、脚部材60の芯材として機能させることができ、脚部材60の圧縮やひずみ等の変形も抑制することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態によれば、投影装置10は、投影光Lを出射する投影光学系72を有する筐体20を備え、筐体20は、投影光学系72の光軸Pと平面視において重なる平行軸上に、投影装置用拡張ユニット(80)の取付位置を合わせるための第一位置合わせ部(51A)を有する。これにより、拡張ユニット80の基準位置を光軸Pと平面視において重なる平行軸上に設け、投影光Lとの関係においても高い位置精度で拡張ユニット80を取り付けることができる。
【0047】
また、筐体20が内部位置合わせ突起221,222を有し、投影光学系72が内部位置合わせ突起221,222により位置合わせされて固定されている投影装置10は、位置合わせ突起51Aが設けられた一体部材である筐体20の基準軸Qを元に光軸Pの位置と、拡張ユニット80の位置とを設定することができる。そのため、光軸Pと拡張ユニット80とを高精度に位置合わせすることができる。
【0048】
また、内部位置合わせ突起221,222は、光軸Pと平面視において平行な第一方向D1に沿って複数設けられている投影装置10は、内部位置合わせ突起221,222を基準にしながら光軸Pと拡張ユニット80とを高精度に位置合わせすることができる。
【0049】
また、筐体20が投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせるための第二位置合わせ部(51B)を有し、第一位置合わせ部(51A)からみて第二位置合わせ部(51B)が平行軸に垂直に交わる第二方向D2の法線R上に設けられている構成について説明した。これにより、拡張ユニット80を第一方向D1及び第二方向D2平面内において回転方向についても精度よく位置合わせすることができる。
【0050】
また、第一位置合わせ部(51A)及び第二位置合わせ部(51B)が筐体20の底面(下面20b)において異なる角部20h,20i側かつ筐体20の後側(後面20f側)に設けられている投影装置10は、投影装置10を安定して載置可能な位置に脚部材60を配置しながら、一部の位置合わせ突起51Aの位置を光軸P上に配置することができる。
【0051】
また、筐体20に着脱可能に取り付けられている脚部材60であって、第一位置合わせ部(51A)又は第二位置合わせ部(51B)として機能する凸部に対応する位置に凹部を有する脚部材60を備える投影装置10は、拡張ユニット80の取り付け等に使用しない場合は、凸部である第一位置合わせ部(51A)又は第二位置合わせ部(51B)を脚部材60により覆い隠すことができるため、拡張性を有しながら外観への影響を低減することができる。また、凹凸係合により脚部材60のズレや脱落を防止することができる。
【0052】
また、脚部材60が、筐体20の左右方向に亘って湾曲した曲面部61と、短辺側の両端部が斜めに切断されたように傾斜する傾斜部62と、を有する投影装置10は、脚部材60に外力が加えられても引っ掛かり難くして脱落やズレを防止することができる。また、設置部40の外観を良好とすることができる。
【0053】
また、投影装置10の第一位置合わせ部(51A)に係合する丸孔(814a)と、第二位置合わせ部(51B)に係合する長孔(814b)と、を備える投影装置10の拡張ユニット80は、拡張ユニット80を投影装置10に対して高い精度で位置合わせし、拡張された多様な機能を投影装置10に付加することができる。
【0054】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0055】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 投影光を出射する投影光学系を有する筐体を備え、
前記筐体は、前記投影光学系の光軸と平面視において重なる平行軸上に、投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせるための第一位置合わせ部を有する、
投影装置。
[2] 前記筐体は、内部位置合わせ突起を有し、
前記投影光学系は、前記内部位置合わせ突起により位置合わせされて固定されている、
前記[1]に記載の投影装置。
[3] 前記内部位置合わせ突起は、前記光軸と平面視において平行な第一方向に沿って複数設けられている前記[2]に記載の投影装置。
[4] 前記筐体は、前記投影装置用拡張ユニットの取付位置を合わせるための第二位置合わせ部を有し、
前記第一位置合わせ部からみて前記第二位置合わせ部は、前記平行軸に垂直に交わる第二方向の法線上に設けられている前記[3]に記載の投影装置。
[5] 前記第一位置合わせ部及び前記第二位置合わせ部は、前記筐体の底面において異なる角部側かつ前記筐体の後側に設けられている前記[4]に記載の投影装置。
[6]
前記筐体に着脱可能に取り付けられている脚部材であって、前記第一位置合わせ部又は前記第二位置合わせ部として機能する凸部に対応する位置に凹部を有する脚部材を備える、前記[4]又は前記[5]に記載の投影装置。
[7] 前記脚部材は、前記筐体の左右方向に亘って湾曲した曲面部と、短辺側の両端部が斜めに切断されたように傾斜する傾斜部と、を有する前記[6]に記載の投影装置。
[8] 前記[4]乃至[7]のいずれか1項に記載の投影装置の前記第一位置合わせ部に係合する丸孔と、前記第二位置合わせ部に係合する長孔と、を備える投影装置の拡張ユニット。
【符号の説明】
【0056】
10 投影装置 11 投影口
20 筐体 20a 上面
20b 下面 20b1 螺子孔
20c 左側面 20d 右側面
20e 前面 20f 後面
20g 左前角部 20h 左後角部
20i 右後角部 21 上ケース
21a 縁部 21b 操作パネル
22 下ケース 22a 縁部
22b 接続口 23 前側パネル
23a 投影口開口部 23b 吸気口
23c 排気口 24 後側パネル
24a 吸気口 25 左側パネル
25a 吸気口 25b 接続口
26 把持部 30 チルトアーム
31a 左アーム部 31b 右アーム部
31c 設置当接部 40 設置部
50 支持部 51(51A、51B) 位置合わせ突起
52 外周リブ 52a 第一辺部
52b 第二辺部 53 底面
60 脚部材 60a 第一縁部
60b 第二縁部 61 曲面部
62 傾斜部 63 係合部
64 両面テープ 71 光源光学系
72 投影光学系 80 拡張ユニット
81 筐体側固定部材 82 中間部材
83 天井側固定部材 84 螺子部材
221 内部位置合わせ突起 222 内部位置合わせ突起
521 内側傾斜部 522 立壁
523 外側傾斜部 524 頂部
631 当接部 632 凹部
633 側面 634 傾斜部
641 開口部 710 光源側筐体
711a~711d フランジ部 712 丸孔
713 長孔 714 螺子部材
720 投影側筐体 811 接続部
811a 凸部 812 脚部
813(813a~813c) 被固定部 814a,814b 被係合部
815 螺子用孔 816 レンズ取付部
816a 開口部 831 取付孔部
D1 第一方向 D2 第二方向
G 間隙 L 投影光
P 光軸 Q 基準軸
R 法線