(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】プログラマブルコントローラの変換アダプタ及びプログラマブルコントローラの交換方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
G05B19/05 L
G05B19/05 N
(21)【出願番号】P 2020204007
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 知久
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106952(JP,A)
【文献】特開2007-042064(JP,A)
【文献】特開2007-241633(JP,A)
【文献】特開2007-172371(JP,A)
【文献】特開2003-264017(JP,A)
【文献】特開2009-059529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0015381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線が接続される入出力モジュールを含む複数のモジュールを所定方向に並べて配置してなるプログラマブルコントローラの変換アダプタであって、
前記複数の信号線のそれぞれの端部に取り付けられた複数の端子が締結された端子台との着脱が可能な端子台側コネクタと、前記入出力モジュールに嵌合して前記入出力モジュールとの着脱が可能なモジュール側コネクタと、前記端子台側コネクタに嵌合された前記端子台を保持する保持部を有する枠体とを備え、
前記端子台側コネクタの複数のコネクタ端子と前記モジュール側コネクタの複数のコネクタ端子とが電気的に接続されており、
前記端子台側コネクタには、前記端子台から延びる前記複数の信号線が前記所定方向に対して傾斜して前記プログラマブルコントローラから離間するように、前記端子台が前記所定方向に対して傾斜した状態で嵌合され、
前記所定方向に対する前記端子台の傾斜角は、一対の前記入出力モジュールが前記所定方向に隣接して配置されたとき、一方の前記入出力モジュールに対応する前記端子台から延びる前記複数の信号線が、他方の前記入出力モジュールに対応する前記端子台を保持する前記枠体ならびに同端子台に干渉しない角度である、
プログラマブルコントローラの変換アダプタ。
【請求項2】
前記プログラマブルコントローラは、前記複数のモジュールが装着されたベースプレートを有しており、
前記枠体は、前記保持部が前記入出力モジュールに対して前記ベースプレート側とは反対側に配置されると共に、前記保持部から前記所定方向に対して交差する方向に延在して前記ベースプレートに固定される脚部を有する、
請求項1に記載のプログラマブルコントローラの変換アダプタ。
【請求項3】
複数の信号線が接続された端子台と同端子台が着脱可能なモジュール本体とを有する複数の第1の入出力モジュールを備えた第1のプログラマブルコントローラの設置場所に、前記複数の第1の入出力モジュールのモジュール間ピッチよりも狭いモジュール間ピッチで並ぶ複数の第2の入出力モジュールを備えた第2のプログラマブルコントローラを設置し、前記第1のプログラマブルコントローラを前記第2のプログラマブルコントローラに交換するプログラマブルコントローラの交換方法であって、
前記端子台を前記モジュール本体から取り外す工程と、
前記設置場所から前記第1のプログラマブルコントローラを取り外す工程と、
前記設置場所に前記第2のプログラマブルコントローラを設置する工程と、
前記端子台を前記複数の第2の入出力モジュールに変換アダプタを介して取り付ける工程とを有し、
前記変換アダプタは、前記端子台との着脱が可能な端子台側コネクタと、前記複数の第2の入出力モジュールに嵌合して前記複数の第2の入出力モジュールとの着脱が可能なモジュール側コネクタと
、前記端子台側コネクタに嵌合された前記端子台を保持する保持部を有する枠体とを備え、
前記端子台側コネクタには、前記端子台から延びる前記複数の信号線が前記複数の第2の入出力モジュールの並び方向に対して傾斜して前記第2のプログラマブルコントローラから離間するように、前記端子台が前記並び方向に対して傾斜した状態で嵌合され、
前記並び方向に対する前記端子台の傾斜角は、一対の前記第2の入出力モジュールが前記並び方向に隣接して配置されたとき、一方の前記第2の入出力モジュールに対応する前記端子台から延びる前記複数の信号線が、他方の前記第2の入出力モジュールに対応する前記端子台を保持する前記枠体ならびに同端子台に干渉しない角度である、
プログラマブルコントローラの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルコントローラの変換アダプタ、及びその変換アダプタを用いたプログラマブルコントローラの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械等の生産設備を制御するための制御装置として、ユーザが作成したシーケンスプログラム等の設備制御プログラムに基づいて制御処理を実行するプログラマブルコントローラが広く用いられている。プログラマブルコントローラは、制御対象の設備に取り付けられた各種センサ等の入力デバイスのオン/オフ状態に基づいて、設備の可動部に設けられたアクチュエータ等の出力デバイスを動作させる信号を出力する。
【0003】
このようなプログラマブルコントローラに故障が発生して復旧に長時間を要すると、生産活動等に大きな支障が発生するため、例えばリレーの動作回数に基づいて寿命予測を行う技術(特許文献1参照)や、故障が発生した際に故障箇所を速やかに特定する技術(特許文献2参照)などが種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-266290号公報
【文献】特開平9-50305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プログラマブルコントローラが故障した際には、速やかに故障したプログラマブルコントローラを交換する必要がある。また、使用期間等に基づいて故障の発生が予見される場合には、故障が発生していなくてもプログラマブルコントローラを新しいものに交換することが予防保全の観点から有効である。
【0006】
しかし、生産設備の稼働年数は10年以上にも及ぶことがある一方、プログラマブルコントローラに用いられるCPU(演算処理装置)等の電子部品は頻繁に改廃が行われるため、生産設備に取り付けられたプログラマブルコントローラが故障した際、あるいは予防保全のためにプログラマブルコントローラを新しいものに交換しようとした際に、既にプログラマブルコントローラがモデルチェンジしていて同じ型式のプログラマブルコントローラを用意できない場合がある。
【0007】
また、プログラマブルコントローラのモデルチェンジの際には、入力デバイスや出力デバイスに接続された信号線の接続形式が、Y端子や丸端子を用いた端子台接続から、より小型化が可能な棒端子を用いるものやコネクタ接続等の他の形式に変わることがある。このため、交換前のプログラマブルコントローラと機能的に互換性のある新型のプログラマブルコントローラが存在していても、信号線の接続形式が変わっていると、交換前のプログラマブルコントローラの配線をそのまま新しいプログラマブルコントローラに用いることができず、配線の繋ぎ変えに長時間を要してしまう。また、この繋ぎ変えの際に誤配線等の人為的な配線ミスも発生しやすくなる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、交換前後のプログラマブルコントローラで信号線の接続形式が異なる場合でも、プログラマブルコントローラの交換を容易に行うことができるプログラマブルコントローラの変換アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、複数の信号線が接続される入出力モジュールを含む複数のモジュールを所定方向に並べて配置してなるプログラマブルコントローラの変換アダプタであって、前記複数の信号線のそれぞれの端部に取り付けられた複数の端子が締結された端子台との着脱が可能な端子台側コネクタと、前記入出力モジュールに嵌合して前記入出力モジュールとの着脱が可能なモジュール側コネクタと、前記端子台側コネクタに嵌合された前記端子台を保持する保持部を有する枠体とを備え、前記端子台側コネクタの複数のコネクタ端子と前記モジュール側コネクタの複数のコネクタ端子とが電気的に接続されており、前記端子台側コネクタには、前記端子台から延びる前記複数の信号線が前記所定方向に対して傾斜して前記プログラマブルコントローラから離間するように、前記端子台が前記所定方向に対して傾斜した状態で嵌合され、前記所定方向に対する前記端子台の傾斜角は、一対の前記入出力モジュールが前記所定方向に隣接して配置されたとき、一方の前記入出力モジュールに対応する前記端子台から延びる前記複数の信号線が、他方の前記入出力モジュールに対応する前記端子台を保持する前記枠体ならびに同端子台に干渉しない角度である、プログラマブルコントローラの変換アダプタを提供する。
【0010】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、複数の信号線が接続された端子台と同端子台が着脱可能なモジュール本体とを有する複数の第1の入出力モジュールを備えた第1のプログラマブルコントローラの設置場所に、前記複数の第1の入出力モジュールのモジュール間ピッチよりも狭いモジュール間ピッチで並ぶ複数の第2の入出力モジュールを備えた第2のプログラマブルコントローラを設置し、前記第1のプログラマブルコントローラを前記第2のプログラマブルコントローラに交換するプログラマブルコントローラの交換方法であって、前記端子台を前記モジュール本体から取り外す工程と、前記設置場所から前記第1のプログラマブルコントローラを取り外す工程と、前記設置場所に前記第2のプログラマブルコントローラを設置する工程と、前記端子台を前記複数の第2の入出力モジュールに変換アダプタを介して取り付ける工程とを有し、前記変換アダプタは、前記端子台との着脱が可能な端子台側コネクタと、前記複数の第2の入出力モジュールに嵌合して前記複数の第2の入出力モジュールとの着脱が可能なモジュール側コネクタと、前記端子台側コネクタに嵌合された前記端子台を保持する保持部を有する枠体とを備え、前記端子台側コネクタには、前記端子台から延びる前記複数の信号線が前記複数の第2の入出力モジュールの並び方向に対して傾斜して前記第2のプログラマブルコントローラから離間するように、前記端子台が前記並び方向に対して傾斜した状態で嵌合され、前記並び方向に対する前記端子台の傾斜角は、一対の前記第2の入出力モジュールが前記並び方向に隣接して配置されたとき、一方の前記第2の入出力モジュールに対応する前記端子台から延びる前記複数の信号線が、他方の前記第2の入出力モジュールに対応する前記端子台を保持する前記枠体ならびに同端子台に干渉しない角度である、プログラマブルコントローラの交換方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプログラマブルコントローラの変換アダプタ及びプログラマブルコントローラの交換方法によれば、交換前後のプログラマブルコントローラで信号線の接続形式が異なる場合でも、プログラマブルコントローラの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1のプログラマブルコントローラ及び第2のプログラマブルコントローラを示す正面図である。
【
図2】(a)及び(b)は、入力モジュールのモジュール本体及び端子台を示す断面図である。
【
図3】(a)は、変換アダプタを示す斜視図である。(b)は、変換アダプタの主要な構成部品である枠体、接続基板、及びモールド成型体のそれぞれを示す斜視図である。
【
図4】入力モジュールに対応して取り付けられた変換アダプタを端子台と共に示す断面図である。
【
図5】第2の入出力モジュールのそれぞれに対応する変換アダプタ、及び第2のプログラマブルコントローラを、下方から見た状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0014】
図1は、第1のプログラマブルコントローラ1及び第2のプログラマブルコントローラ2を示す正面図である。第1のプログラマブルコントローラ1と第2のプログラマブルコントローラ2とは、略同一の機能を有しており、ユーザによって作成された設備制御プログラムを実行することで工作機械等の設備を制御する。ここでは、第1のプログラマブルコントローラ1が旧型のもので、第2のプログラマブルコントローラ2が新型のものであり、第1のプログラマブルコントローラ1を第2のプログラマブルコントローラ2に置き換える場合について説明する。
【0015】
(第1のプログラマブルコントローラ1の構成)
第1のプログラマブルコントローラ1は、それぞれが個別の機能を有する動作単位である複数のモジュールM
1と、複数のモジュールM
1が装着されたベースプレート10とを有している。複数のモジュールM
1は、ベースプレート10に対して着脱可能であり、
図1に示す所定の並び方向D
1に沿って一列に並んでいる。複数のモジュールM
1は、
図1にP
1で示すモジュール間ピッチで等間隔に並んでいる。
【0016】
本実施の形態では、複数のモジュールM1が、電源モジュール11と、CPUモジュール12と、二つの入力モジュール13,14と、二つの出力モジュール15,16とからなる。なお、これらのモジュール構成は、制御対象の設備の仕様等に応じて適宜変更することが可能である。また、以下の説明において、第1のプログラマブルコントローラ1の二つの入力モジュール13,14及び二つの出力モジュール15,16を総称して第1の入出力モジュール13~16という場合がある。
【0017】
CPUモジュール12と、入力モジュール13,14及び出力モジュール15,16とは、ベースプレート10に設けられたバスラインを介して相互に信号の送受信が可能である。ベースプレート10には、制御盤への固定のための複数のボルト101がそれぞれ挿通される複数のダルマ穴形状のボルト挿通穴102が形成されている。また、ベースプレート10は、他のベースプレートを増設して設ける場合にこの増設ベースプレートを接続するためのケーブルが取り付けられる増設用コネクタ103を有している。
【0018】
第1のプログラマブルコントローラ1は、複数のモジュールM
1の並び方向D
1が水平方向となり、
図1の上下方向が鉛直方向となるように、制御盤内に固定される。以下、第1のプログラマブルコントローラ1が制御盤内に固定された状態における鉛直方向を上下方向といい、並び方向D
1及び上下方向に対して垂直な方向(
図1の紙面直交方向)を奥行き方向という。
【0019】
電源モジュール11は、例えばAC100Vの商用電力が供給される電源端子台111を前面に有しており、電源端子台111に入力された交流電圧を例えば直流5Vの動作電圧に変換し、ベースプレート10に設けられた電源ラインを介して他のモジュールM1(CPUモジュール12及び第1の入出力モジュール13~16)に出力する。
【0020】
CPUモジュール12は、ユーザが操作するノート型パソコン等の端末機器を接続するための通信用コネクタ121を前面に有しており、端末機器から送信された設備制御プログラムを不揮発性メモリに記憶する。この設備制御プログラムは、国際規格IEC61131-3において設備制御のためのプログラミング言語として規定されたものであり、より具体的には、ラダーダイアグラム(LD)やシーケンシャルファンクションチャート(SFC)等である。
【0021】
第1の入出力モジュール13~16は、それぞれ、モジュール本体130,140,150,160と、モジュール本体130,140,150,160に対して着脱可能な端子台3A~3Dとを有している。第1の入出力モジュール13~16のそれぞれには、一対のレバー131,141,151,161が設けられており、このレバー131,141,151,161の開閉操作によって端子台3A~3Dが着脱可能である。
【0022】
図2(a)及び(b)は、入力モジュール13のモジュール本体130及び端子台3Aを示す断面図である。
図2(a)は、並び方向D
1に対して垂直な断面におけるモジュール本体130の内部をCPUモジュール12側から見て端子台3Aと共に示す図であり、
図2(b)は、上下方向に対して垂直な断面におけるモジュール本体130の内部を下方から上方に向かって見て端子台3Aと共に示す図である。なお、端子台3B~3Dも端子台3Aと同様に構成されている。
【0023】
モジュール本体130は、レバー131が揺動可能に取り付けられた樹脂製の筐体132と、筐体132に収容された基板133とを有している。筐体132は、端子台3Aが取り付けられる部位に開口132aが形成されており、この開口132aの上下方向の両端部にレバー131が配置されている。レバー131は、筐体132に固定された支持軸132bを中心として揺動可能である。また、筐体132には、基板133を支持するレール132cが設けられている。
【0024】
基板133は、開口132aの近傍における端部が端子台3Aとの接続のためのエッジコネクタ134となっており、このエッジコネクタ134に複数の電極134aが設けられている。また、基板133には、抵抗器やコンデンサ等の受動素子135やフォトカプラ136などの複数の電子部品が搭載されている。なお、エッジコネクタ134の電極134a、受動素子135、及びフォトカプラ136は、基板133に形成された銅箔からなる配線パターンによって相互に電気的に接続されているが、
図2(a)及び(b)ではこの配線パターンの図示を省略している。
【0025】
端子台3Aは、樹脂製の本体31と、複数の座金32及びボルト33と、複数の端子座34と、複数の端子金具35とを有している。本体31には、複数(本実施の形態では19個)の接続部310が設けられており、それぞれの接続部310の間が壁部311によって仕切られている。それぞれの接続部310には、座金32、ボルト33、及び端子座34が一つずつ配置されている。本実施の形態では、複数の接続部310が二列に配されており、このうち一方列の複数(10個)の接続部310は、他方列の複数(9個)の接続部310よりも奥行き方向に沿ってモジュール本体130に近接した位置に設けられている。また、本体31には、エッジコネクタ134が嵌合する凹部312、及びレバー131の係合突起131aが係合する係合凹部313が形成されている。
【0026】
ボルト33は、座金32を挿通して端子座34に螺合している。端子金具35は、一端部にエッジコネクタ134の電極134aに接触する接触部351を有し、他端部が端子座34に接続されている。接触部351は、本体31の凹部312内に突出しており、エッジコネクタ134が凹部312に嵌合すると、端子金具35の接触部351とエッジコネクタ134の電極134aとが接触する。
【0027】
端子台3A~3Dのそれぞれには、複数の信号線41が接続されている。各信号線41は、撚り線からなる導電線411が絶縁体412によって被覆された絶縁電線である。信号線41の一端部では、絶縁体412が除去されて導電線411が露出し、この露出した導電線411が接続端子42に加締め固定されている。接続端子42は、導電線411を加締め固定する筒状の加締め部421と、平板状の接続部422とを有している。接続部422は、端子台3Aの接続部310におけるボルト33の締め付けにより、座金32と端子座34との間に挟まれる。
【0028】
なお、詳細な図示は省略しているが、入力モジュール14及び出力モジュール15,16の端子台3B~3Dも、入力モジュール13の端子台3Aと同様に構成されており、これらの端子台3B~3Dのそれぞれに複数の信号線41が接続されている。入力モジュール13,14の端子台3A,3Bにおける複数の接続部310のうち、下端部に位置する接続部310には、電源線(コモン配線)43が接続端子42を介して接続されている。また、出力モジュール15,16の端子台3C,3Dにおける複数の接続部310のうち、下端部に位置する接続部310には、例えばDC24Vを出力する動作電源の電源線44が接続端子42を介して接続されている。
【0029】
入力モジュール13,14の端子台3A,3Bに接続された複数の信号線41は、制御対象の設備に設けられた近接スイッチや押しボタンスイッチあるいや各種センサ等の入力デバイスに接続された入力信号線である。出力モジュール15,16の端子台3C,3Dに接続された複数の信号線41は、制御対象の設備に設けられた各種のアクチュエータ等の出力デバイスに接続された出力信号線である。この出力デバイスは、上記の動作電源の出力電圧によって動作する。
【0030】
端子台3A,3Bに接続された信号線41の信号状態の情報は、入力モジュール13,14及びベースプレート10を介してCPUモジュール12に伝達される。CPUモジュール12が実行する設備制御プログラムには、複数の入力デバイスのオン/オフ状態と、動作させるべき出力デバイスのオン/オフ状態との関係が、例えばラダーダイアグラムの形式で定義されている。CPUモジュール12は、この設備制御プログラムに従い、入力デバイスのオン/オフ状態に応じて出力モジュール15,16に指令信号を送り、出力モジュール15,16内のリレーあるいはトランジスタ等のスイッチング素子をオン/オフさせる。
【0031】
(第2のプログラマブルコントローラ2の構成)
次に、第2のプログラマブルコントローラ2について説明する。第2のプログラマブルコントローラ2は、第1のプログラマブルコントローラ1と同様に、所定の並び方向D2に沿って配置された複数のモジュールM2と、複数のモジュールM2が装着されたベースプレート20とを有しており、複数のモジュールM2が、電源モジュール21と、CPUモジュール22と、二つの入力モジュール23,24と、二つの出力モジュール25,26とからなる。電源モジュール21、CPUモジュール22、入力モジュール23,24、及び出力モジュール25,26は、それぞれ、第1のプログラマブルコントローラ1の電源モジュール11、CPUモジュール12、入力モジュール13,14、及び出力モジュール15,16同様の機能を有している。
【0032】
また、第2のプログラマブルコントローラ2の電源モジュール21、CPUモジュール22、入力モジュール23,24、及び出力モジュール25,26は、第1のプログラマブルコントローラ1の電源モジュール11、CPUモジュール12、入力モジュール13,14、及び出力モジュール15,16よりも小型であり、第2のプログラマブルコントローラ2における複数のモジュールM2のモジュール間ピッチP2は、第1のプログラマブルコントローラ1におけるモジュール間ピッチP1よりも狭い。なお、以下の説明では、二つの入力モジュール23,24及び二つの出力モジュール25,26を総称して第2の入出力モジュール23~26という場合がある。
【0033】
電源モジュール21は、前面に電源端子台211を有しており、電源端子台211に入力された交流電圧を変換し、動作電圧としてCPUモジュール22及び第2の入出力モジュール23~26に出力する。CPUモジュール22は、ユーザの端末機器との接続のための通信用コネクタ221を前面に有しており、端末機器から送信された設備制御プログラムを不揮発性メモリに記憶し、実行する。
【0034】
第2の入出力モジュール23~26は、それぞれ、モジュール本体230,240,250,260と、モジュール本体230,240,250,260に対して着脱可能な端子台5A~5Dとを有している。モジュール本体230,240,250,260は、それぞれ電子部品が実装された基板を有しており、この基板が筐体232,242,252,262に収容されている。
【0035】
第2の入出力モジュール23~26のそれぞれには、筐体232,242,252,262に対して揺動可能な一対のレバー231,241,251,261が設けられており、このレバー231,241,251,261の開閉操作によって端子台5A~5Dが着脱可能である。端子台5A~5Dは、棒状の端子を端子挿入孔51に差し込むことにより端子が固定されるプッシュイン型の端子台であり、端子を端子挿入孔51から抜き取る際には、端子挿入孔51の近傍に設けられたリリースホール52にマイナスドライバ等の工具を差し込んで端子を解放する。
【0036】
ベースプレート20には、第1のプログラマブルコントローラ1のベースプレート10と同様に、増設用コネクタ203が設けられており、四隅には制御盤への固定のための複数のダルマ穴形状のボルト挿通穴202が形成されている。これらのボルト挿通穴202の配置及び大きさは、第1のプログラマブルコントローラ1のベースプレート10のボルト挿通穴102の配置及び大きさと同じである。このため、複数のボルト101を緩めて第1のプログラマブルコントローラ1を取り外した後に、これらのボルト101をそのまま第2のプログラマブルコントローラ2のベースプレート20のボルト挿通穴202に挿通させて締めこむことで、第2のプログラマブルコントローラ2を制御盤に固定することが可能である。
【0037】
また、ベースプレート20は、モジュールが装着されていない空きスロット200を有している。
図1では、この空きスロット200におけるモジュール接続用コネクタ204と、モジュール固定用の係合穴205及びねじ穴206とを図示している。モジュール接続用コネクタ204、モジュール固定用の係合穴205、及びねじ穴206は、ベースプレート20に装着された複数のモジュールM
2のそれぞれに対応して設けられている。
【0038】
複数のモジュールM2は、モジュール接続用コネクタ204を介してベースプレート20に設けられたバスラインに接続されており、このバスラインを介して信号の送受信が可能である。第2の入出力モジュール23~26は、筐体232,242,252,262の下端部が係合穴205に係合すると共に、筐体232,242,252,262の上端部に挿通されたボルトがねじ穴206に螺合することで、ベースプレート20に装着されている。
【0039】
またさらに、ベースプレート20には、後述する変換アダプタを固定するためのアダプタ固定用穴207が形成されている。本実施の形態では、このアダプタ固定用穴207がねじ穴であり、第2の入出力モジュール23~26のそれぞれに対応して、モジュール本体230,240,250,260の下方にあたる位置に形成されている。
【0040】
第2のプログラマブルコントローラ2は、第1のプログラマブルコントローラ1が故障したとき、あるいは予防保全のために第1のプログラマブルコントローラ1を交換するとき、第1のプログラマブルコントローラ1と置き換えられる。本実施の形態では、この置き換えを容易にするために変換アダプタを用いる。次に、この変換アダプタ及びプログラマブルコントローラの交換方法について、
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0041】
(変換アダプタの構成)
図3(a)は、変換アダプタ6を示す斜視図である。
図3(b)は、変換アダプタ6の主要な構成部品である枠体7、接続基板8、及びモールド成型体9のそれぞれを示す斜視図である。
図4は、入力モジュール23に対応して取り付けられた変換アダプタ6を、端子台3Aと共に示す断面図である。
図5は、第2の入出力モジュール23~26のそれぞれに対応する四つの変換アダプタ6及び第2のプログラマブルコントローラ2を下方から見た状態を示す説明図である。
【0042】
変換アダプタ6は、板金を打ち抜き及び折り曲げ加工して形成された枠体7と、端子台3A~3Dとの着脱が可能な端子台側コネクタ80を有する接続基板8と、第2の入出力モジュール23~26との着脱が可能なモジュール側コネクタ90を有するモールド成型体9とを備えている。端子台側コネクタ80には、端子台3A~3Dの何れもが嵌合可能であり、モジュール側コネクタ90は、第2の入出力モジュール23~26に何れにも嵌合可能であるが、
図4では、端子台3Aが端子台側コネクタ80に嵌合し、モジュール側コネクタ90が入力モジュール23に嵌合した場合を図示している。以下、
図4に示す変換アダプタ6を例にとって詳細に説明する。
【0043】
枠体7は、端子台側コネクタ80に嵌合した端子台3Aを保持する保持部71と、モールド成型体9を収容する収容部72と、保持部71から並び方向D2に対して交差する方向(奥行き方向)に延在してベースプレート20に固定される脚部73とを一体に有している。収容部72は、並び方向D2に沿って向かい合う一対の壁部721,722を有し、これらの壁部721,722の間にモールド成型体9が配置される。また、収容部72には、入力モジュール23に向かって開口する開口部720が形成されており、モジュール側コネクタ90がこの開口部720から突出している。
【0044】
また、枠体7は、保持部71が第2の入出力モジュール23~26に対してベースプレート20側とは反対側、すなわち端子台5A~5Dが取り付けられていた第2の入出力モジュール23~26の前面側に配置されている。脚部73は、保持部71の上下方向の下端部からベースプレート20側に延び、その先端部731にボルト挿通孔731aが形成されている。枠体7は、ボルト挿通孔731aに挿通されたボルト62(
図5に示す)がベースプレート20のアダプタ固定用穴207に螺合することで、ベースプレート20に固定される。
【0045】
接続基板8は、ガラスエポキシ等からなる平板状の絶縁性樹脂を基材81とするソリッド基板である。端子台側コネクタ80は、基材81の端部に設けられたエッジコネクタであり、基材81の表(おもて)面81a及び裏面81bには、端子台側コネクタ80のコネクタ端子としての複数の電極801が形成されている。
図3及び(b)では、基材81の表面81aに形成された10個の電極801を図示している。基材81の裏面81bには、9個の電極801が形成されている。端子台3Aが端子台側コネクタ80に嵌合すると、端子台3Aの複数の接触部351と端子台側コネクタ80の複数の電極801とがそれぞれ接触する。
【0046】
また、接続基板8には、複数の電極801にそれぞれ対応して、基材81の表面81a及び裏面81bの間を貫通する複数のスルーホール82が形成されており、それぞれのスルーホール82の周辺部にランド83が形成されている。各ランド83は。配線パターン84によって電極801と接続されている。枠体7には、一対のスリット70が形成されており、これらのスリット70に接続基板8の長手方向(複数の電極801の並び方向)の両端部がそれぞれ挿入されている。
【0047】
モールド成型体9は、モールド成形された樹脂からなる樹脂部91と、樹脂部91に埋め込まれた導電性金属からなる複数の配線部材92とを有している。樹脂部91は、収容部72に収容された本体部911と、モジュール側コネクタ90の外郭を構成するコネクタ部912とを一体に有している。本体部911には、接続基板8における基材81の裏面81bが当接する平坦な当接面911aと、並び方向D
2と平行に延在する一対の貫通孔911bとが形成されており、この貫通孔911bに軸状部材61(
図3(a)参照)が挿通されている。軸状部材61は、その両端部が枠体7の一対の壁部721,722にそれぞれ形成された嵌合穴721a,722a(
図3(b)参照)に嵌合しており、枠体7に対してモールド成型体9を位置決め及び固定している。
【0048】
配線部材92は、一端部921が当接面911aから突出しており、この一端部921がスルーホール82に挿通されてランド83に半田付けされている。配線部材92の他端部は、モジュール側コネクタ90のコネクタ端子としての接触部922となっている。モジュール側コネクタ90は、入力モジュール23の筐体232に形成された開口232aから筐体232内に挿入され、筐体232に収容された基板233の端部に設けられたエッジコネクタ234に嵌合している。
【0049】
エッジコネクタ234は、複数の電極234aを有し、基板233における開口232aの近傍に設けられている。モジュール側コネクタ90がエッジコネクタ234に嵌合すると、モジュール側コネクタ90の複数の接触部922とエッジコネクタ234の複数の電極234aとがそれぞれ接触する。また、基板233には、抵抗器やコンデンサ等の受動素子235やフォトカプラ236などの複数の電子部品が搭載されている。
【0050】
なお、変換アダプタ6の取り付け前の状態(
図1に示す状態)では、端子台5Aがエッジコネクタ234に嵌合し、開口232aが端子台5Aによって閉塞されている。第1のプログラマブルコントローラ1を第2のプログラマブルコントローラ2に交換する交換時には、レバー231を開いて端子台5Aを取り外すことにより、モジュール側コネクタ90をエッジコネクタ234に嵌合させることが可能となる。
【0051】
変換アダプタ6は、配線部材92の一端部921が接続基板8のランド83に半田付けされることにより、端子台側コネクタ80の複数の電極801とモジュール側コネクタ90の複数の接触部922とがそれぞれ電気的に接続されている。これにより、端子台3Aが端子台側コネクタ80に嵌合し、かつモジュール側コネクタ90がエッジコネクタ234に嵌合することで、端子台3Aの複数の接触部351とエッジコネクタ234の複数の電極234aとが電気的に接続される。
【0052】
図4及び
図5に示すように、端子台側コネクタ80には、端子台3Aから延びる複数の信号線41が並び方向D
2に対して傾斜してプログラマブルコントローラ2から離間するように、端子台3Aが並び方向D
2に対して傾斜した状態で嵌合する。端子台3B~3Dについても同様に、端子台3B~3Dから延びる複数の信号線41が並び方向D
2に対して傾斜してプログラマブルコントローラ2から離間するように、端子台側コネクタ80に嵌合する。
【0053】
接続基板8は、
図4に示すように、並び方向D
2に対して傾斜角θで傾斜している。この傾斜角θは、第2の入出力モジュール23~26のうち隣接する二つのモジュールM
2(例えば入力モジュール23及び入力モジュール24)の一方(例えば入力モジュール24)に対応する端子台(端子台3B)から延びる複数の信号線41が、他方(例えば入力モジュール23)に対応する端子台(端子台3A)を保持する枠体7ならびに同端子台(端子台3A)に干渉しない角度であり、例えば30~50°である。
図4及び
図5では、一例として、傾斜角θが40°である場合を図示している。
【0054】
(プログラマブルコントローラの交換方法)
第1のプログラマブルコントローラ1を第2のプログラマブルコントローラ2に交換する際には、第1のプログラマブルコントローラ1の設置場所に第2のプログラマブルコントローラ2を設置する。この際、第1のプログラマブルコントローラ1の端子台3A~3Dに複数の信号線41ならびに電源線(コモン配線)43及び電源線44を接続したまま、端子台3A~3Dを第1の入出力モジュール13~16から取り外し、取り外した端子台3A~3Dをそれぞれ変換アダプタ6を介して第2の入出力モジュール23~26に取り付ける。
【0055】
より具体的には、端子台3A~3Dを第1の入出力モジュール13~16のモジュール本体130,140,150,160から取り外す第1工程と、第1のプログラマブルコントローラ1を設置場所から取り外す第2工程と、この設置場所に第2のプログラマブルコントローラ2を設置する第3工程と、端子台3A~3Dを第2の入出力モジュール23~26に変換アダプタ6を介して取り付ける第4工程とによって、第1のプログラマブルコントローラ1を第2のプログラマブルコントローラ2に交換する。なお、端子台5A~5Dは、予め第2の入出力モジュール23~26から取り外しておくものとする。
【0056】
[実施の形態の効果]
以上説明した本実施の形態によれば、第1のプログラマブルコントローラ1から取り外した端子台3A~3Dを、複数の信号線41等を取り外すことなくそのまま第2の入出力モジュール23~26のモジュール本体230,240,250,260に取り付けることができるので、接続端子42の付け替え等が不要となり、容易に第1のプログラマブルコントローラ1を第2のプログラマブルコントローラ2に交換することが可能となる。
【0057】
また、変換アダプタ6の端子台側コネクタ80には、端子台3A~3Dから延びる複数の信号線41が並び方向D2に対して傾斜して第2のプログラマブルコントローラ2から離間するように、端子台3A~3Dが並び方向D2に対して傾斜した状態で嵌合されるので、第2のプログラマブルコントローラ2のモジュール間ピッチP2が第1のプログラマブルコントローラ1のモジュール間ピッチP1よりも狭いにもかかわらず、第2の入出力モジュール23~26に端子台3A~3Dを接続することが可能となる。
【0058】
またさらに、枠体7は、並び方向D2に対して交差する方向に延在する脚部73がベースプレート20に固定されるので、変換アダプタ6の第2のプログラマブルコントローラ2への取り付けが容易に行える。
【0059】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0060】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、第2のプログラマブルコントローラ2の第2の入出力モジュール23~26の端子台5A~5Dが、棒状の端子を端子挿入孔51に差し込むプッシュイン型の端子台である場合について説明したが、これに限らず、例えば第2の入出力モジュール23~26のモジュール本体230,240,250,260に対して着脱可能なコネクタに入力信号線又は出力信号線が接続されるものであってもよい。また、第2のプログラマブルコントローラ2では、電源モジュール21とCPUモジュール22とが一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…第1のプログラマブルコントローラ
13~16…第1の入出力モジュール
130,140,150,160…モジュール本体
2…第2のプログラマブルコントローラ
20…ベースプレート
23~26…第2の入出力モジュール
230,240,250,260…モジュール本体
3A~3D…端子台
41…信号線
42…接続端子
6…変換アダプタ
7…枠体
71…保持部
72…収容部
73…脚部
80…端子台側コネクタ
801…電極(コネクタ端子)
90…モジュール側コネクタ
922…接触部(コネクタ端子)
P1,P2…モジュール間ピッチ
θ…傾斜角