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特許7596765画像処理装置、表示方法および表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、表示方法および表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241203BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61B6/00 550M
A61B6/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020205645
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022092758
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】種田 敦
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-202310(JP,A)
【文献】特開2002-209881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0143284(US,A1)
【文献】国際公開第2017/141498(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0021677(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3628230(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
G06T 1/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部により生成された、前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分を強調処理する画像処理部と、
前記画像処理部により前記所定の構造物の信号成分が強調処理された、前記プレビュー用画像データに基づくプレビュー画像と前記本画像用画像データに基づく本画像とを表示部に表示する表示制御部と、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定する設定部と
を備え
前記表示制御部は、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定部により前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示し、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定部により前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と、前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像を前記表示部に表示する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の構造物は、カテーテル、ガーゼ、ピンセットおよびチューブの少なくとも何れかである、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、画像データにおいて、予め定められた周波数帯域の信号成分を強調する周波数処理を行うことで、前記プレビュー画像を前記表示部に表示する、
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、画像データにおいて、強調処理されない画像である非強調処理画像をさらに前記表示部に表示する、
請求項1~3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記非強調処理画像を前記表示部に表示した後に、前記プレビュー画像を前記表示部に表示する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記放射線画像撮影装置による撮影開始時に、前記設定部により前記プレビュー画像に対する強調処理が設定されている場合に、強調処理されたプレビュー用画像データに基づくプレビュー画像前記表示部に表示する、
請求項1~5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
放射線画像撮影装置に係る画像の表示部への表示方法であって、
前記放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成し、
生成した前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分を強調処理し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像とを前記表示部に表示する、
表示方法。
【請求項8】
放射線画像撮影装置に係る画像の表示部への表示プログラムであって、
コンピュータに、
放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成する画像データ生成処理と、
生成した前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分が強調処理された画像処理と、
前記所定の構造物の信号成分が強調処理された、前記プレビュー用画像データに基づくプレビュー画像と前記本画像用画像データに基づく本画像とを表示部に表示する表示処理と、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定する設定処理と、
を実行させ
前記表示処理は、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定処理により前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示する処理と、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定処理により前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と、前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像を前記表示部に表示する処理と、
を含む、
表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、表示方法および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線画像撮影システムにおいては、放射線画像撮影装置で被検体の放射線画像の撮影を行いつつ、その読み出した画像データを画像表示装置(表示部)に転送し、所定の画像処理を画像データに行って、被検体の放射線画像を表示するシステムが知られている。このようなシステムでは、放射線画像の撮影結果となる本画像を表示する前に、例えば本画像よりも簡易な画像処理を施したプレビュー画像を表示部に表示するものが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
また、被検体の体内にカテーテルやガーゼ等、人体以外の構造物が存在するか否かを確認するため、放射線画像撮影システムで撮像された画像に係る画像データ内の構造物に強調処理を施して構造物の有無を容易に確認可能な構成が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-120724号公報
【文献】特開2018-157869号公報
【文献】特開2018-68863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、放射線画像撮影システムにおいては、最初に強調処理を施されない非強調処理画像が表示され、強調処理を施した画像に表示を切り替える操作をした場合、当該画像が表示部に表示されるのが一般的である。
【0006】
つまり、従来における放射線画像撮影システムにおいては、非強調処理画像が表示された後、当該操作をする必要が生じるので、ユーザーにとって使い勝手の悪いものとなっており、手術等のような、被検体の体内における人体以外の構造物(ガーゼ等)の有無を迅速に確認したいような場合において、被検体の体内に係る画像確認が遅れるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、被検体の体内における構造物の有無を迅速に確認することができ、ひいては放射線画像撮影システムにおける画像確認の即時性を向上させることが可能な画像処理装置、表示方法および表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、
放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部により生成された、前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分を強調処理する画像処理部と、
前記画像処理部により前記所定の構造物の信号成分が強調処理された、前記プレビュー用画像データに基づくプレビュー画像と前記本画像用画像データに基づく本画像とを表示部に表示する表示制御部と、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定する設定部と
を備え
前記表示制御部は、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定部により前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示し、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定部により前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と、前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像を前記表示部に表示する
【0009】
本発明に係る表示方法は、
放射線画像撮影装置に係る画像の表示部への表示方法であって、
前記放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成し、
生成した前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分を強調処理し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示し、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像とを前記表示部に表示する
【0010】
本発明に係る表示プログラムは、
放射線画像撮影装置に係る画像の表示部への表示プログラムであって、
コンピュータに、
放射線画像撮影装置により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成する画像データ生成処理と、
生成した前記プレビュー用画像データおよび前記本画像用画像データに対し、人体以外の所定の構造物の信号成分が強調処理された画像処理と、
前記所定の構造物の信号成分が強調処理された、前記プレビュー用画像データに基づくプレビュー画像と前記本画像用画像データに基づく本画像とを表示部に表示する表示処理と、
前記プレビュー用画像データに対する前記強調処理の有無を設定する設定処理と、
を実行させ
前記表示処理は、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定処理により前記強調処理の設定がされている場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されたプレビュー画像と本画像とを前記表示部に表示する処理と、
前記プレビュー用画像データに対して、前記設定処理により前記強調処理の設定がされていない場合は、前記所定の構造物の信号成分が強調処理されていないプレビュー画像と、前記所定の構造物の信号成分が強調処理された本画像を前記表示部に表示する処理と、
を含む
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検体の体内における人体以外の構造物の有無を迅速に確認することができ、ひいては放射線画像撮影システムにおける画像確認の即時性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示すブロック図である。
図2】放射線画像撮影装置の構成を示すブロック図である。
図3】コンソールの構成を示すブロック図である。
図4】撮影制御部の構成を示すブロック図である。
図5A】強調処理を施した画像の一例を示す図である。
図5B】強調処理を施さない画像の一例を示す図である。
図6】撮影制御部におけるプレビュー画像の強調処理制御の動作例を示すフローチャートである。
図7】撮影制御部における画像の強調処理制御の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る放射線画像撮影システム100の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム100は、放射線照射装置1、放射線画像撮影装置2およびコンソール3を備えて構成されている。また、放射線画像撮影システム100は、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と接続可能となっている。
【0015】
放射線照射装置1は、コンソール3と有線または無線で通信可能に接続されている。また、放射線照射装置1は、ジェネレーター11、曝射スイッチ12および放射線源13を備えて構成されている。
【0016】
ジェネレーター11は、曝射スイッチ12が操作されたことに基づいて、予め設定された放射線曝射条件(管電圧や管電流、照射時間、管電流時間積(mAs値)等)に応じた電圧を放射線源13に印加することが可能に構成されている。
【0017】
放射線源13(管球)は、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。ジェネレーター11から電圧が印加されると、フィラメントが印加された電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線X(X線等)を発生させるようになっている。
【0018】
なお、図1には、ジェネレーター11、曝射スイッチ12および放射線源13が別々に分かれたものを例示したが、これらは一体に構成されていても良い。また、図1には、曝射スイッチ12がジェネレーター11に接続されたものを例示したが、曝射スイッチ12は他の装置に備えられていても良い。また、放射線照射装置1は、撮影室内に据え付けても良いし、回診車等に組み込むことで移動可能に構成しても良い。
【0019】
放射線画像撮影装置2は、コンソール3と有線または無線で通信可能に接続されている。また、放射線画像撮影装置2は、放射線照射装置1から被検体を介して放射線Xの曝射を受けることで当該被検体の放射線画像の画像データを生成することが可能に構成されている。
【0020】
図2に示すように、放射線画像撮影装置2は、制御部21、放射線検出部22、読出部23、通信部24、記憶部25および、各部を接続するバス26を備えて構成されている。
【0021】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部21のCPUは、コンソール3等の外部機器からの制御信号等を受信したことに基づいて、記憶部25に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、放射線画像撮影装置2における各部の動作を集中制御する。
【0022】
放射線検出部22は、放射線Xを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子やスイッチ素子を備えた画素が2次元状(マトリクス状)に配列された基板によって構成されている。
【0023】
読出部23は、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出し、複数の信号値から画像データを生成することが可能に構成されている。
【0024】
通信部24は、外部機器から各種制御信号や各種データ等を受信(取得)したり、各種制御信号や生成した画像信号等を外部機器へ送信したりすることが可能に構成されている。
【0025】
記憶部25は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部21が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。また、記憶部25は、読出部23が生成した画像データや、制御部21が処理した各種データを記憶することが可能となっている。
【0026】
このように構成された放射線画像撮影装置2は、制御部21が放射線検出部22の各スイッチ素子をオフにした状態で放射線の曝射を受けると、各画素に放射線の線量に応じた電荷を蓄積する。制御部21が各スイッチ素子をオンにして各画素から電荷が放出されると、読出部23が各電荷量を信号値に変換し、画像データとして読み出す。
【0027】
なお、放射線画像撮影装置2は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線Xをシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるものであっても良いし、シンチレーター等を介さずに放射線Xから直接電荷を発生させるものであっても良い。また、放射線画像撮影装置2は、撮影台と一体化された専用機型のものでも、例えばフラットパネルディテクター(Flat Panel Detector:FPD)等の可搬型のものであっても良い。
【0028】
コンソール3は、PC(Personal Computer)、携帯端末、または専用の装置によって構成されており、放射線照射装置1および放射線画像撮影装置2等と有線または無線で通信可能に接続されている。コンソール3は、外部装置(RIS等)からの撮影オーダーやユーザーによる操作に基づいて、放射線照射装置1および放射線画像撮影装置2の撮影条件や撮影対象部位などを設定することが可能となっている。
【0029】
図3に示すように、コンソール3は、撮影制御部31、通信部32、記憶部33、表示部34、操作部35および、各部を接続するバス36を備えて構成されている。
【0030】
撮影制御部31は、CPU、RAM等により構成される。撮影制御部31のCPUは、操作部35の操作に応じて記憶部33に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、コンソール3各部の動作を集中制御する。
【0031】
また、撮影制御部31は、放射線画像撮影装置2により取得された画像信号に基づいて、表示部34に表示する画像を生成するための画像処理を行う。撮影制御部31における画像処理に関する制御の詳細については後述する。
【0032】
通信部32は、LAN(Local Area Network)アダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0033】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、撮影制御部31が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。また、記憶部33は、放射線画像撮影装置2から受信した画像データや撮影制御部31が処理した画像データを、付帯情報と紐付けて記憶することが可能となっている。
【0034】
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、撮影制御部31から入力される表示信号の指示に従って、操作部35からの入力指示やデータ等を表示する。
【0035】
操作部35は、カーソルキー、数字入力キー、および各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を撮影制御部31に出力する。また、操作部35は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を撮影制御部31に出力する。
【0036】
次に、本実施の形態に係る撮影制御部31における画像処理に関する制御の詳細について説明する。図4は、撮影制御部31の構成を示すブロック図である。撮影制御部31は、本発明の「画像処理装置」に対応する。
【0037】
本実施の形態では、放射線画像撮影システム100における1回の撮影動作において、本画像と、当該本画像が表示される前にプレビュー画像とが表示部34に表示される。具体的に、放射線画像撮影システム100における1回の撮影動作における画像表示の流れは、まず、表示部34にプレビュー画像が、例えばワイプ画像が表示された後に、プレビュー画像の全体が表示され、その後、本画像が表示される。
【0038】
本画像は、例えば放射線画像撮影システム100における1回の撮影動作による撮影結果となる出力画像であり、放射線画像撮影装置2から取得した画像データに対して、比較的高精度な画像処理を施した(例えば、高解像度化された)出力画像である。
【0039】
プレビュー画像は、例えば上記の本画像よりも前に出力される出力画像であり、本画像よりも簡易な画像処理を施した(例えば、本画像よりも解像度が低い)出力画像である。
【0040】
ワイプ画像は、例えばプレビュー画像よりも前に出力される出力画像であり、本画像よりも解像度が低く、かつ、画像処理が施されていない、または、プレビュー画像よりさらに簡易な画像処理を施した出力画像である。
【0041】
本実施の形態では、本画像よりも前にプレビュー画像が表示されるので、放射線技師等の撮影者(ユーザー)は、プレビュー画像を参照することで、被検体が適切に撮影されているか等の画像確認をリアルタイムに行うことができる。
【0042】
撮影制御部31は、放射線画像撮影装置2から取得した画像信号(画像データ)に画像処理を施したプレビュー画像および本画像を表示部34に表示する。図4に示すように、撮影制御部31は、画像データ生成部31Aと、画像処理部31Bと、表示制御部31Cとを有する。
【0043】
画像データ生成部31Aは、放射線画像撮影装置2により取得された画像信号に基づいて、表示部34に表示するための画像データ(表示用画像データ)を生成する。表示用画像データは、例えばプレビュー画像用の画像データ(以下、プレビュー用画像データ)および本画像用の画像データ(以下、本画像用画像データ)である。
【0044】
つまり、画像データ生成部31Aは、放射線画像撮影装置2により取得された画像信号に基づいて、プレビュー用画像データと本画像用画像データとを生成する。
【0045】
画像処理部31Bは、画像データ生成部31Aにより生成されたプレビュー用画像データに対し、所定の構造物の信号成分に強調処理を施す。所定の構造物は、検査や手術等により、患者(被検体)の体内に挿入される、人体以外の医療関連品であり、例えばカテーテル、ガーゼ、ピンセットおよびチューブの少なくとも1つである。
【0046】
強調処理は、例えば、構造物に基づき予め定められた周波数帯域の信号成分を強調する周波数強調処理である。また、強調処理には、ラプラシアンフィルタ等のエッジ検出を施す処理、所定の構造物に係る画像と正解領域とを表したマップによる機械学習を用いた検出を施す処理等、公知の技術を適用することができる。
【0047】
一般的に、患者(被検体)の体内に挿入した医療器具の位置(例えば、カテーテルの先端の位置等)が適切であるか、また、患者の体内に医療用品(例えば、ガーゼ等)が残存しているかをユーザーが確認するために、放射線画像撮影システム100を用いて患者の体内の放射線画像を撮影する場合がある。
【0048】
本実施の形態では、画像処理部31Bは、プレビュー用画像データ内に所定の構造物が存在する場合において、当該所定の構造物に係る部分が強調されるような強調処理を施す。その結果、強調処理が施された画像内に所定の構造物が強調されて、画像内で当該構造物をユーザーにとって視認し易くすることが可能となる。
【0049】
表示制御部31Cは、画像処理部31Bにより所定の構造物の信号成分に強調処理を施したプレビュー用画像データに基づくプレビュー画像を表示部34に表示する。
【0050】
上記の強調処理を施したプレビュー画像を表示部34に表示することで、例えば、図5Aに示すように、プレビュー画像において、所定の構造物をユーザーが視認しやすいようにすることができる。図5Aでは、プレビュー画像における破線で囲まれた部分に存在する構造物(ガーゼ等)が白い線で表示されることにより強調されて表示されている例が示されている。
【0051】
なお、図5Bには、図5Aに示す画像に強調処理を施さなかった画像であるが、図5Aに示す画像内で構造物が存在する部分(破線で囲まれた部分)が全体的に白く表示されており、構造物が存在するか否かがユーザーにとって視認しにくいものとなっている。
【0052】
これにより、プレビュー画像の段階で被検体の体内に構造物が存在するか否かを確認することができる。
【0053】
従来、例えば、強調処理が施されない本画像が表示された後に、例えば、強調処理用の操作ボタンを押下する等、所定の操作部をユーザーが操作することにより、強調処理が施された画像に表示が切り替わることにより、当該画像を確認する構成が一般的に知られている。
【0054】
このような構成であると、本画像が表示された後、上記の操作を行う必要があるので、ユーザーにとって手間が発生することになり、使い勝手の悪いものであり、被検体の体内に係る画像確認が遅れるおそれがあった。特に、被検体の体内における構造物の存在の有無を確認後、すぐに手術を行う必要があるような状況等においては、上記の手間によるタイムロスの影響が大きくなる。つまり、手術等のような、被検体の体内における構造物(特に、ガーゼ等)の有無を迅速に確認したいような場合においては、被検体の体内に係る画像確認の遅れの影響が大きくなる。
【0055】
それに対し、本実施の形態では、本画像が表示される前のプレビュー画像の段階で、被検体の体内における構造物の存在の有無を確認することができるので、本画像が表示されて撮影動作が完了した際に、医師等は次のアクションに迅速に移行することができる。
【0056】
すなわち、本実施の形態では、被検体の体内における構造物の有無を迅速に確認することができ、ひいては放射線画像撮影システム100における画像確認の即時性を向上させることができる。
【0057】
また、画像処理部31Bは、画像データ生成部31Aにより生成された本画像用画像データに対し、所定の構造物の信号成分に強調処理を施す。そして、表示制御部31Cは、画像処理部31Bにより所定の構造物の信号成分に強調処理を施した本画像用画像データに基づく本画像を表示部34に表示する。
【0058】
これにより、本画像で構造物を確認する際に、従来のような操作部の操作を省略することができるので、放射線画像撮影システム100における画像確認の即時性を向上させることができる。
【0059】
また、表示制御部31Cは、画像データにおいて、所定の構造物の信号成分が強調処理を施されていない画像である非強調処理画像をさらに表示部34に表示しても良い。本実施の形態では、ワイプ画像が表示された後、プレビュー画像が表示部34に表示されるが、例えば、ワイプ画像を非強調処理画像として、表示部34に表示しても良い。
【0060】
こうすることで、非強調処理画像と、強調処理を施された画像との両方をユーザーが簡易に確認することができる。
【0061】
また、表示制御部31Cは、放射線画像撮影装置2による撮影開始時に、強調処理を施されたプレビュー用画像データに基づくプレビュー画像の表示設定がされていた場合、プレビュー画像を表示部34に表示する。
【0062】
例えば、操作部35が、表示用画像データに対して強調処理の有無を設定可能である場合、ユーザーが放射線画像撮影システム100により撮影動作を行う前に、強調処理に基づくプレビュー画像(本画像)の表示設定を行う。
【0063】
なお、強調処理の有無の設定方法としては、放射線画像撮影システム100上で、一括で設定する方法、撮影部位単位で設定する方法、CR(Computed Radiography)やDR(Digital Radiography)等のモダリティで切り分けて設定する方法が挙げられる。また、モダリティで切り分けて設定する方法の場合、DRの場合、即時に画像を表示可能であるため、ユーザーにとって使い勝手が良くなる。また、CRの場合、読取装置等で画像データを読み取る必要があるため、撮影場所とは別の場所で画像を確認することとなる。
【0064】
また、強調処理の有無は、放射線画像撮影システム100の設定として予め設定されていても良いし、撮影直前にユーザーによって設定されるようにしても良い。また、撮影直前にユーザーによって設定される場合、ユーザーの判断により、状況に応じて自由に設定可能であるので、ユーザーにとって使い勝手が良くなる。
【0065】
そして、表示制御部31Cは、当該プレビュー画像の表示設定がされていた場合、強調処理に基づくプレビュー画像を表示部34に表示する。また、表示制御部31Cは、当該プレビュー画像の表示設定がされていない場合、強調処理を施されていないプレビュー画像を表示部34に表示する。
【0066】
このようにすることで、被検体の体内における構造物の存在を確認する必要があるときに、強調処理に基づくプレビュー画像を表示させれば良いので、用途に応じた適切な画像表示を行うことができる。
【0067】
また、表示制御部31Cは、プレビュー画像および本画像を表示部34全体に表示するようにしても良い。例えば、表示部34であるモニターが長方形型(ワイドモニター等の長辺方向が横方向である横長形状)であって、撮影された画像が、長辺方向が縦方向である縦長形状である場合、当該画像の長辺方向が横方向となるように、表示制御部31Cが当該画像を回転させて表示部34に表示させる。これにより、より大きな画像が表示されるので、ユーザーが表示部34に表示された画像を確認しやすくすることができる。
【0068】
以上のように構成された撮影制御部31におけるプレビュー画像の強調処理制御の動作例について説明する。図6は、撮影制御部31におけるプレビュー画像の強調処理制御の動作例を示すフローチャートである。図6における処理は、例えば、放射線画像撮影システム100による撮影動作が開始された際に適宜実行される。
【0069】
図6に示すように、撮影制御部31は、画像データの情報を取得する(ステップS101)。撮影制御部31は、プレビュー画像の強調処理の表示設定があるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0070】
判定の結果、強調処理の表示設定がない場合(ステップS102、NO)、撮影制御部31は、通常の画像処理を実行する(ステップS103)。通常の画像処理とは、強調処理を伴わない、画像を表示部34に表示する際に行われる画像処理のことを言う。なお、通常の画像処理は、画像処理部31Bで行われても良いし、別の処理部で行われても良い。
【0071】
ステップS103の後、撮影制御部31は、通常のプレビュー画像、つまり、強調処理を施されないプレビュー画像を表示する(ステップS104)。そして、その後、撮影制御部31は、通常の本画像、つまり、強調処理を施されない本画像を表示する(ステップS105)。
【0072】
ステップS102の判定において、強調処理の表示設定がある場合(ステップS102、YES)、撮影制御部31は、強調処理を伴う画像処理を実行する(ステップS106)。強調処理を伴う画像処理とは、所定の構造物の信号成分に強調処理を施した画像を表示部34に表示する際に行われる画像処理のことを言う。
【0073】
ステップS106の後、撮影制御部31は、強調処理を施されたプレビュー画像を表示する(ステップS107)。そして、その後、撮影制御部31は、強調処理を施された本画像を表示する(ステップS108)。ステップS105またはステップS108の後、本制御は終了する。
【0074】
以上のように構成された本実施の形態によれば、被検体の体内における構造物の有無を迅速に確認することができ、ひいては放射線画像撮影システム100における画像確認の即時性を向上させることができる。
【0075】
なお、上記実施の形態では、プレビュー画像および本画像に強調処理が施されていたが、本発明はこれに限定されず、プレビュー画像のみに強調処理が施されるようにしても良い。
【0076】
また、プレビュー画像に強調処理を施さず、本画像のみに強調処理が施されるようにしても良い。この場合、画像確認の即時性の観点から、例えば操作部35が、本画像に強調処理を施すか否かについて設定可能に構成される必要がある。操作部35は、本発明の「設定部」に対応する。
【0077】
この構成では、表示制御部31Cは、操作部35により、表示用画像データに強調処理が施されるように設定された場合、画像処理部31Bによりカテーテル/ガーゼ領域の信号成分に強調処理が施された表示用画像データ(本画像データ)に基づく画像を、カテーテル/ガーゼ領域の信号成分に強調処理が施されていない画像よりも優先して表示部34に表示する。
【0078】
つまり、この構成では、画像処理部31Bは、プレビュー画像データおよび本画像データのうち、本画像データに係るカテーテル/ガーゼ領域の信号成分に強調処理を施し、表示制御部31Cは、強調処理を施されていないプレビュー画像を表示部34に表示した後、強調処理を施した本画像を表示部34に表示する。
【0079】
カテーテル/ガーゼ領域は、被検体の体内に挿入したカテーテルおよびガーゼの少なくとも一方を示す領域である。
【0080】
検査においては、被検体の体内にガーゼが残存しているのは好ましくないため、放射線画像撮影システム100による撮影によって、迅速に検出する必要がある。また、検査を迅速に行う観点から、カテーテルの先端の位置が適切であるかを迅速に検出する必要がある。本実施の形態では、本画像が表示部34に表示される際、強調処理が施された本画像が優先して表示される。その結果、強調処理が施されない本画像が表示された後、所定の操作をして、強調処理が施された本画像を表示する構成と比較して、画像確認の即時性を向上させることができる。
【0081】
この構成に係る撮影制御部31における画像の強調処理制御の動作例について説明する。図7は、撮影制御部31における画像の強調処理制御の動作例を示すフローチャートである。図7における処理は、例えば、放射線画像撮影システム100による撮影動作が開始された際に適宜実行される。
【0082】
図7に示すように、撮影制御部31は、画像データの情報を取得する(ステップS201)。撮影制御部31は、画像の強調処理の表示設定があるか否かについて判定する(ステップS202)。判定の結果、強調処理の表示設定がない場合(ステップS202、NO)、撮影制御部31は、通常の画像処理を実行する(ステップS203)。
【0083】
ステップS203の後、撮影制御部31は、通常のプレビュー画像、つまり、強調処理を施されないプレビュー画像を表示する(ステップS204)。そして、その後、撮影制御部31は、通常の本画像、つまり、強調処理を施されない本画像を表示する(ステップS205)。
【0084】
ステップS202の判定において、強調処理の表示設定がある場合(ステップS202、YES)、撮影制御部31は、プレビュー画像の強調処理の設定があるか否かについて判定する(ステップS206)。
【0085】
判定の結果、プレビュー画像の強調処理の設定がある場合(ステップS206、YES)、撮影制御部31は、強調処理を伴う画像処理を実行する(ステップS207)。強調処理を伴う画像処理とは、カテーテル/ガーゼ領域の信号成分に強調処理を施した上で、画像を表示部34に表示する際に行われる画像処理のことを言う。
【0086】
ステップS207の後、撮影制御部31は、強調処理を施されたプレビュー画像を表示する(ステップS208)。そして、その後、撮影制御部31は、強調処理を施された本画像を表示する(ステップS209)。
【0087】
ステップS206の判定において、プレビュー画像の強調処理の設定がない場合、つまり、本画像のみに強調処理の設定がされている場合(ステップS206、NO)、撮影制御部31は、通常の画像処理を実行し(ステップS210)、通常のプレビュー画像を表示する(ステップS211)。
【0088】
ステップS211の後、撮影制御部31は、強調処理を伴う画像処理を実行し(ステップS212)、強調処理を施された本画像を表示する(ステップS213)。ステップS205、ステップS209またはステップS213の後、本制御は終了する。
【0089】
このような構成によれば、強調処理の表示設定に応じて、強調処理を施された本画像が表示されるので、画像確認の即時性を向上させることができる。
【0090】
また、この構成は、プレビュー画像に強調処理を施す処理を省くことが可能となり、ひいては処理時間が短縮されるので、本画像のような高精度な画像処理を施された画像によりカテーテル/ガーゼ領域を確認したい場合において有用である。
【0091】
また、上記実施の形態では、強調処理の表示設定に応じて、プレビュー画像等に強調処理を施すか否かを判定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、放射線画像撮影システムの撮影動作において、プレビュー画像等に強制的に強調処理を施すようにしても良い。また、図7に示すフローチャートに係る放射線画像撮影システムにおいて、強調処理の表示設定がされている場合は、プレビュー画像の強調処理の設定を判定することなく、本画像のみに強調処理を施すようにしても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、表示部34全体にプレビュー画像および本画像の何れかを表示していたため、強調処理を施された画像および強調処理を施されない画像の何れかが表示されるようになっていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、強調処理を施された画像と、強調処理を施されない画像とを同時に表示部34に表示するようにしても良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、コンソール3の撮影制御部31が画像処理装置を構成していたが、本発明はこれに限定されず、放射線画像撮影装置の制御部や、放射線画像撮影システム外の装置(例えば、携帯端末やPC等)等、コンソールの撮影制御部以外の装置が画像処理装置を構成していても良い。また、携帯端末としては、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯電話機、タブレット端末等が含まれる。
【0094】
また、上記実施の形態では、撮影制御部に画像データ生成部、画像処理部および表示制御部が組み込まれていたが、本発明はこれに限定されず、画像データ生成部、画像処理部および表示制御部が別々に設けられていても良い。
【0095】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 放射線照射装置
2 放射線画像撮影装置
3 コンソール
11 ジェネレーター
12 曝射スイッチ
13 放射線源
21 制御部
22 放射線検出部
23 読出部
24 通信部
25 記憶部
26 バス
31 撮影制御部
31A 画像データ生成部
31B 画像処理部
31C 表示制御部
32 通信部
33 記憶部
34 表示部
35 操作部
36 バス
100 放射線画像撮影システム
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7