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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】制御装置及び料金決定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0283 20230101AFI20241203BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241203BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G06Q30/0283
G06Q50/40
G08G1/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020206348
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022093189
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豊和
(72)【発明者】
【氏名】相良 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0171891(US,A1)
【文献】国際公開第2019/189152(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018656(WO,A1)
【文献】特開2001-250196(JP,A)
【文献】特開2001-307156(JP,A)
【文献】特開2003-187278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時点以前に、道路の周辺に設置されたカメラにより撮像された画像群と、前記道路の車線数を定義する地図データとを記憶する記憶部と、
前記第1時点において前記道路に駐車中の車両を検知し、前記記憶部に記憶された画像群を取得し、取得した画像群を解析することで、曜日ごと、時間帯ごと、又は曜日及び時間帯の組合せごとに、占有率を指標として前記道路の渋滞の度合いを評価するとともに、前記道路に左折待ち又は右折待ちの渋滞が発生する傾向を判定し、前記記憶部に記憶された地図データを参照して、前記道路の車線数を特定し、前記第1時点よりも後の第2時点に対応する前記道路の渋滞の度合いの評価結果を参照して、前記第2時点における前記道路の渋滞の度合いを予測し、予測した度合いの高さに応じて、前記車両に課す駐車料金の金額を決定し、前記第2時点に対応する、前記道路に前記左折待ち又は前記右折待ちの渋滞が発生する傾向の判定結果を参照して、前記第2時点において前記道路に前記左折待ち又は前記右折待ちの渋滞が発生する傾向を予測し、予測した傾向の強さと、特定した車線数の少なさとによって、決定した金額を調整する制御部
を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、予測した度合いが高いほど、高い金額を前記駐車料金の金額として決定する請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、予測した傾向が強いほど、高い金額を、決定した金額に加算する請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、特定した車線数が少ないほど、高い金額を、決定した金額に加算する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、決定した金額で前記駐車料金の課金処理を実行する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
第1時点以前に、道路の周辺に設置されたカメラにより撮像された画像群と、前記道路の車線数を定義する地図データとを記憶する記憶部を備える制御装置の制御部が、前記第1時点において前記道路に駐車中の車両を検知することと、
前記制御部が、前記記憶部に記憶された画像群を取得することと、
前記制御部が、取得した画像群を解析することで、曜日ごと、時間帯ごと、又は曜日及び時間帯の組合せごとに、占有率を指標として前記道路の渋滞の度合いを評価するとともに、前記道路に左折待ち又は右折待ちの渋滞が発生する傾向を判定することと、
前記制御部が、前記記憶部に記憶された地図データを参照して、前記道路の車線数を特定することと、
前記制御部が、前記第1時点よりも後の第2時点に対応する前記道路の渋滞の度合いの評価結果を参照して、前記第2時点における前記道路の渋滞の度合いを予測することと、
前記制御部が、予測した度合いの高さに応じて、前記車両に課す駐車料金の金額を決定することと
前記制御部が、前記第2時点に対応する、前記道路に前記左折待ち又は前記右折待ちの渋滞が発生する傾向の判定結果を参照して、前記第2時点において前記道路に前記左折待ち又は前記右折待ちの渋滞が発生する傾向を予測することと、
前記制御部が、予測した傾向の強さと、特定した車線数の少なさとによって、決定した金額を調整することと
を含む料金決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び料金決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一定時間後の、駐車場から出庫する車両の台数及び駐車場周辺道路の交通量を予測し、駐車場から出庫する車両が周辺道路に対し悪影響を及ぼすときには、各出口における出庫台数の配分を変えるか、又は各出口における車両の出庫タイミングを制御する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-200995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車に関連する渋滞としては、駐車場周辺道路の渋滞のほかに、路上駐車に起因する渋滞がある。
【0005】
本開示の目的は、路上駐車に起因する渋滞を減らしやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、
第1時点において道路に駐車中の車両を検知し、前記第1時点以降の第2時点における前記道路の渋滞状況に応じて、前記車両に課す駐車料金の金額を決定する制御部を備える。
【0007】
本開示に係る料金決定方法は、
第1時点において道路に駐車中の車両を制御装置により検知することと、
前記第1時点以降の第2時点における前記道路の渋滞状況に応じて、前記車両に課す駐車料金の金額を前記制御装置により決定することと
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、路上駐車に起因する渋滞を減らしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施形態の変形例に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0011】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るシステム10の構成を説明する。
【0013】
本実施形態に係るシステム10は、少なくとも1台の制御装置20と、少なくとも1台の端末装置30とを備える。制御装置20は、ネットワーク40を介して、端末装置30と通信可能である。
【0014】
制御装置20は、データセンタなどの施設に設置される。制御装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
【0015】
端末装置30は、ユーザ11によって保持され、ユーザ11によって利用される。端末装置30は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、又はタブレットなどのモバイル機器である。
【0016】
ネットワーク40は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク40は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0017】
図1を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0018】
制御装置20は、第1時点T1において道路13に駐車中の車両12を検知する。制御装置20は、第1時点T1以降の第2時点T2における道路13の渋滞状況に応じて、車両12に課す駐車料金の金額を制御装置20により決定する。したがって、本実施形態によれば、路上駐車に起因する渋滞を減らしやすくなる。
【0019】
車両12は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV、PHV、EV、又はFCVなどの任意の種類の自動車である。「HV」は、hybrid vehicleの略語である。「PHV」は、plug-in hybrid vehicleの略語である。「EV」は、electric vehicleの略語である。「FCV」は、fuel cell vehicleの略語である。車両12は、本実施形態では運転手によって運転されるが、任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。
【0020】
車両12は、道路13の、枠線、パーキングメータ、又はこれらの両方がある場所に駐車されてもよいが、本実施形態では、道路13の、枠線もパーキングメータもない場所に駐車される。駐車料金は、駐車サービスの対価として課せられる駐車価格でもよいし、又は駐車禁止エリアへの駐車に対して課せられる罰金でもよい。
【0021】
車両12を検知する方法としては、任意の方法が用いられてよいが、本実施形態では、車両12に搭載されたGNSS受信機により測定された車両12の位置を確認して、車両12が道路13に駐車されているかどうかを判定する方法が用いられる。「GNSS」は、global navigation satellite systemの略語である。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、BDS、GLONASS、又はGalileoである。「GPS」は、Global Positioning Systemの略語である。「QZSS」は、Quasi-Zenith Satellite Systemの略語である。QZSSの衛星は、準天頂衛星と呼ばれる。「BDS」は、BeiDou Navigation Satellite Systemの略語である。「GLONASS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。別の方法として、道路13の周辺に設置されたカメラ14により撮像された画像を解析して、車両12が道路13に駐車されているかどうかを判定する方法が用いられてもよい。画像解析の方法としては、既知の方法を用いることができる。深層学習などの機械学習が用いられてもよい。
【0022】
本実施形態では、制御装置20は、決定した金額で駐車料金の課金処理を実行する。課金処理の方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、駐車料金を、ユーザ11に予め紐付けて登録されたクレジットカード又は銀行口座に課金する方法を用いることができる。制御装置20は、端末装置30を介して、課金処理の結果をユーザ11に通知してもよい。ユーザ11は、運転手など、車両12を駐車した本人でもよいし、又は車両12の所有者でもよい。
【0023】
本実施形態の一変形例として、制御装置20は、課金処理を実行する代わりに、端末装置30を介して、決定した金額をユーザ11に通知するだけでもよい。そのような変形例において、ユーザ11は、端末装置30を操作して、通知された金額をオンライン決済又は電子マネー決済により支払ってもよい。
【0024】
本実施形態の一変形例として、制御装置20は、車両12が渋滞発生前から駐車されている場合には、端末装置30を介して、アラートをユーザ11に通知してもよいし、駐車料金の上限を上げてもよいし、又は追加料金を徴収してもよい。
【0025】
図2を参照して、本実施形態に係る制御装置20の構成を説明する。
【0026】
制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0027】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、制御装置20の各部を制御しながら、制御装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0028】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、制御装置20の動作に用いられるデータと、制御装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0029】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、制御装置20の動作に用いられるデータを受信し、また制御装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0030】
制御装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、制御装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、制御装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを制御装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って制御装置20の動作を実行することにより制御装置20として機能する。
【0031】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0032】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0033】
制御装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置20の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る料金決定方法に相当する。
【0035】
ステップS1において、制御装置20の制御部21は、第1時点T1において道路13に駐車中の車両12を検知する。ステップS2において、制御部21は、第1時点T1以降の第2時点T2における道路13の渋滞状況に応じて、車両12に課す駐車料金の金額を決定する。ステップS3において、制御部21は、決定した金額で駐車料金の課金処理を実行する。
【0036】
図4を参照して、ステップS2の処理の詳細を説明する。
【0037】
ステップS201において、制御装置20の制御部21は、第2時点T2における渋滞状況を観測する。第2時点T2は、第1時点T1と同じ時点である。すなわち、制御部21は、車両12が現在駐車中であるとき、現在の渋滞状況を観測する。この処理は、任意の手順で実行されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実行される。
【0038】
制御装置20の通信部23は、第2時点T2において、道路13の周辺に設置されたカメラ14により撮像された画像を、カメラ14、又はカメラ14を管理するシステムなど、外部のシステムから受信する。制御装置20の制御部21は、通信部23により受信された画像を取得する。制御部21は、取得した画像を解析することで、第2時点T2における渋滞状況を観測する。画像解析の方法としては、既知の方法を用いることができる。深層学習などの機械学習が用いられてもよい。
【0039】
ステップS202において、制御装置20の制御部21は、第2時点T2における渋滞状況を観測して得られた観測データを参照する。本実施形態では、観測データは、ステップS201で得られた画像解析結果を含む。第2時点T2において道路13に渋滞が発生していることが観測データで示されている場合、ステップS203の処理が実行される。第2時点T2において道路13に渋滞が発生していないことが観測データで示されている場合、ステップS204の処理が実行される。渋滞が発生しているかどうかの評価は、例えば、車両数又は占有率など、既知の指標を用いて行われる。
【0040】
ステップS203において、制御装置20の制御部21は、相対的に高い金額を駐車料金の金額として決定する。例えば、制御部21は、固定の金額を駐車料金の金額として決定してもよいし、又は観測データで示される渋滞の度合いが高いほど、高い金額を駐車料金の金額として決定してもよい。渋滞の度合いの評価は、例えば、車両数又は占有率など、既知の指標を用いて行われる。
【0041】
ステップS204において、制御装置20の制御部21は、相対的に低い金額を駐車料金の金額として決定する。この金額は、ステップS203で決定される金額よりも低ければ、任意の金額でよい。制御部21は、駐車料金を無料にすることを決定してもよい。
【0042】
ステップS205において、制御装置20の制御部21は、道路13が左側通行であれば、道路13に左折待ちの渋滞が発生する傾向を推定する。あるいは、制御部21は、道路13が右側通行であれば、道路13に右折待ちの渋滞が発生する傾向を推定する。傾向推定の方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、ステップS201の処理と同じような処理によって得られた過去の観測データを参照して、どの曜日、どの時間帯に左折待ち又は右折待ちの渋滞が発生する傾向が強いかを判定する方法を用いることができる。制御部21は、推定した傾向の強さによって、ステップS203又はステップS204で決定した金額を調整する。例えば、制御部21は、傾向が基準よりも強い場合に、固定の金額を駐車料金の金額に加算してもよいし、又は傾向が強いほど、高い金額を駐車料金の金額に加算してもよい。
【0043】
本実施形態の一変形例として、左折待ち又は右折待ちの渋滞が発生する傾向の強さの代わりに、又は当該傾向の強さとともに、道路13の車線数によって、駐車料金の金額が調整されてもよい。そのような変形例において、制御装置20の制御部21は、地図データを参照して、道路13の車線数を特定する。地図データは、道路13の位置のほか、道路13の車線数、及び各車線の方向などの属性を定義するデータである。地図データは、制御装置20の記憶部22に予め記憶されていてもよいし、又はインターネット上のGISなど、外部のシステムに蓄積されていてもよい。「GIS」は、geographic information systemの略語である。制御部21は、特定した車線数によって、駐車料金の金額を調整する。例えば、制御部21は、車線数が基準よりも少ない場合に、固定の金額を駐車料金の金額に加算してもよいし、又は車線数が少ないほど、高い金額を駐車料金の金額に加算してもよい。
【0044】
上述のように、本実施形態では、制御装置20の制御部21は、第1時点T1において道路13に駐車中の車両12を検知する。制御部21は、第1時点T1以降の第2時点T2における道路13の渋滞状況に応じて、車両12に課す駐車料金の金額を決定する。したがって、本実施形態によれば、路上駐車に起因する渋滞を減らしやすくなる。
【0045】
本実施形態では、制御装置20の制御部21は、第2時点T2において道路13に渋滞が発生していることが観測データで示されている場合に、第2時点T2において道路13に渋滞が発生していないことが観測データで示されている場合よりも高い金額を駐車料金の金額として決定する。道路13に渋滞が発生している場合は、道路13に駐車車両があると、渋滞が悪化するおそれがあるが、本実施形態によれば、渋滞の悪化を防ぎやすくなる。
【0046】
本実施形態では、制御装置20の制御部21は、道路13が左側通行であれば、道路13に左折待ちの渋滞が発生する傾向の強さによって、駐車料金の金額を調整する。道路13に左折待ちの渋滞が発生しやすい場合は、道路13の左端に駐車車両があると、そのような渋滞が発生又は悪化するおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような渋滞の発生又は悪化を防ぎやすくなる。
【0047】
本実施形態では、制御装置20の制御部21は、道路13が右側通行であれば、道路13に右折待ちの渋滞が発生する傾向の強さによって、駐車料金の金額を調整する。道路13に右折待ちの渋滞が発生しやすい場合は、道路13の右端に駐車車両があると、そのような渋滞が発生又は悪化するおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような渋滞の発生又は悪化を防ぎやすくなる。
【0048】
本実施形態の一変形例として、制御装置20の制御部21は、道路13の車線数によって、駐車料金の金額を調整してもよい。道路13の車線数が少ない場合は、道路13に駐車車両があると、渋滞が発生又は悪化するおそれがあるが、この変形例によれば、渋滞の発生又は悪化を防ぎやすくなる。
【0049】
本実施形態では、制御装置20の制御部21は、第2時点T2における渋滞状況を観測するが、本実施形態の一変形例として、制御部21は、外部のシステムにより第2時点T2における渋滞状況を観測して得られた観測データを、その外部のシステムから取得してもよい。すなわち、ステップS201の処理は省略されてもよい。
【0050】
本実施形態では、第2時点T2は、第1時点T1と同じ時点であるが、本実施形態の一変形例として、第2時点T2は、第1時点T1よりも後の時点であってもよい。例えば、第2時点T2は、第1時点T1の10分後、30分後、又は1時間後の時点であってもよい。そのような変形例について説明する。
【0051】
図5を参照して、この変形例におけるステップS2の処理の詳細を説明する。
【0052】
ステップS211において、制御装置20の制御部21は、第2時点T2における渋滞状況を予測する。すなわち、制御部21は、車両12が現在駐車中であるとき、未来の渋滞状況を予測する。この処理は、任意の手順で実行されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実行される。
【0053】
制御装置20の制御部21は、第1時点T1以前に、道路13の周辺に設置されたカメラ14により撮像された画像群を取得する。これらの画像群は、制御装置20の記憶部22に予め記憶されていてもよいし、又はカメラ14を管理するシステムなど、外部のシステムに蓄積されていてもよい。制御部21は、取得した画像群を解析することで、道路13に渋滞が発生する傾向を推定する。画像解析の方法としては、既知の方法を用いることができる。深層学習などの機械学習が用いられてもよい。傾向推定の方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、画像解析結果を参照して、どの曜日、どの時間帯に渋滞が発生する傾向が強いかを判定する方法を用いることができる。制御部21は、第2時点T2に対応する傾向推定結果を参照して、第2時点T2における渋滞状況を予測する。例えば、制御部21は、第2時点T2と同じ曜日、同じ時間帯に渋滞が発生する傾向が強いと推定したのであれば、第2時点T2において道路13に渋滞が発生することを予測する。制御部21は、第2時点T2と同じ曜日、同じ時間帯に渋滞が発生する傾向が弱いと推定したのであれば、第2時点T2において道路13に渋滞が発生しないことを予測する。
【0054】
ステップS212において、制御装置20の制御部21は、ステップS211で得られた予測結果を参照する。第2時点T2において道路13に渋滞が発生することが予測された場合、ステップS213の処理が実行される。第2時点T2において道路13に渋滞が発生しないことが予測された場合、ステップS214の処理が実行される。
【0055】
ステップS213、ステップS214、及びステップS215の処理については、ステップS203、ステップS204、及びステップS205の処理と同じであるため、説明を省略する。例えば、ステップS213において、制御装置20の制御部21は、固定の金額を駐車料金の金額として決定してもよいし、又は予測した渋滞の度合いが高いほど、高い金額を駐車料金の金額として決定してもよい。
【0056】
この変形例では、制御装置20の制御部21は、第2時点T2において道路13に渋滞が発生することを予測した場合に、第2時点T2において道路13に渋滞が発生しないことを予測した場合よりも高い金額を駐車料金の金額として決定する。道路13に渋滞が発生しそうな場合は、道路13に駐車車両があると、より大きな渋滞が発生するおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような渋滞の発生を防ぎやすくなる。
【0057】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0058】
例えば、ステップS205の処理は省略されてもよい。ステップS215の処理は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 システム
11 ユーザ
12 車両
13 道路
14 カメラ
20 制御装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 端末装置
40 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5