(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電源制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241203BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
H02J7/00 303C
B60R16/03 A
(21)【出願番号】P 2020208206
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 峻輔
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178384(JP,A)
【文献】特開2011-182521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電部を備えた電源部からの放電を制御する電源制御装置であって、
前記複数の蓄電部の接続の状態を切り替える切替部と、
前記切替部を制御する制御部と、
を
備え、
前記切替部は、充電電流が前記複数の蓄電部の全体に供給され得る第1接続状態と、前記複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割した第2接続状態とに切り替わり、
前記切替部が前記第2接続状態のときに、各前記蓄電部領域から各々の対象負荷に対してそれぞれ電力が供給され
、
前記第1接続状態のとき、前記切替部は、前記複数の蓄電部が直列に接続された状態を維持し、
前記第2接続状態のとき、前記切替部は、直列に接続された前記複数の蓄電部を複数の前記蓄電部領域に分割する電源制御装置。
【請求項2】
複数の蓄電部を備えた電源部からの放電を制御する電源制御装置であって、
前記複数の蓄電部の接続の状態を切り替える切替部と、
前記切替部を制御する制御部と、
を備え、
前記切替部は、充電電流が前記複数の蓄電部の全体に供給され得る第1接続状態と、前記複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割した第2接続状態とに切り替わり、
前記切替部が前記第2接続状態のときに、各前記蓄電部領域から各々の対象負荷に対してそれぞれ電力が供給され、
電圧変換部を備え、
前記制御部は、所定の放電条件が成立した場合に、前記切替部を前記第2接続状態に切り替えた状態で前記電圧変換部を動作させ、
前記放電条件の成立に応じて前記第2接続状態で前記電圧変換部が動作する場合、分割された複数の前記蓄電部領域のいずれか一の前記蓄電部領域からの電力に基づき前記電圧変換部によって電圧変換された上で一の前記対象負荷に電力が供給され、いずれか他の前記蓄電部領域と他の前記対象負荷との間が前記電圧変換部を介さずに導通して他の前記対象負荷に電力が供給され、
前記切替部は、
主電源部と、前記電源部及び複数の前記対象負荷と、を接続状態と非接続状態とに切り替える第1スイッチと、
各前記蓄電部領域同士を接続状態と非接続状態とに切り替える第2スイッチと、
いずれか他の前記蓄電部領域と、他の前記対象負荷と、を接続状態と非接続状態とに切り替える第3スイッチと、
他の前記対象負荷と、前記主電源部と、を接続状態と非接続状態とに切り替える第4スイッチと、
を有しており、
前記切替部を前記第1接続状態から前記第2接続状態に切り替える際、前記制御部は、
前記第1スイッチによって前記主電源部と、前記電源部及び複数の前記対象負荷と、を接続状態から非接続状態に切り替える第1制御と、
前記第2スイッチによって各前記蓄電部領域同士を接続状態から非接続状態に切り替える第2制御と、
前記第4スイッチによって他の前記対象負荷と、前記主電源部と、を接続状態から非接続状態に切り替える第3制御と、をこの順に実行し、
次に、前記第3スイッチによっていずれか他の前記蓄電部領域と、他の前記対象負荷と、を非接続状態から接続状態に切り替える第4制御、又は前記電圧変換部を放電動作させる放電制御のいずれかを実行する電源制御装置。
【請求項3】
充電回路を備え、
前記制御部は、前記充電回路から前記電源部に前記充電電流が供給される場合に前記切替部を前記第1接続状態に切り替え、前記電源部から放電する場合に前記切替部を前記第2接続状態に切り替える請求項
1又は請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
電圧変換部を備え、
前記制御部は、所定の放電条件が成立した場合に、前記切替部を前記第2接続状態に切り替えた状態で前記電圧変換部を動作させ、
前記放電条件の成立に応じて前記第2接続状態で前記電圧変換部が動作する場合、分割された複数の前記蓄電部領域のいずれか一の前記蓄電部領域からの電力に基づき前記電圧変換部によって電圧変換された上で一の前記対象負荷に電力が供給され、いずれか他の前記蓄電部領域と他の前記対象負荷との間が前記電圧変換部を介さずに導通して他の前記対象負荷に電力が供給される請求項
1に記載の電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される車両電源装置は、スイッチユニットをスイッチ制御部で制御することによって、複数のバッテリユニットを充電器によって充電したり、一部のバッテリユニットをバックアップとし、他のバッテリユニットからモータに電力を供給したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-150763号公報
【文献】特開2017-225350号公報
【文献】特開2016-82868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、複数の電気負荷に対して電力のバックアップを行う構成であり、複数の電気負荷の中に電力消費量が定まらない電気負荷が含まれるような場合、電力消費量が定まらない電気負荷の電力消費量の大きさによっては、この電気負荷以外の電気負荷が必要とする電力まで消費するような事態が懸念される。
【0005】
本開示は上述した事情に基づいてなされたものであり、複数の電気負荷に対して電力を良好に供給することができる電源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源制御装置は、
複数の蓄電部を備えた電源部からの放電を制御する電源制御装置であって、
前記複数の蓄電部の接続の状態を切り替える切替部と、
前記切替部を制御する制御部と、
を有し、
前記切替部は、充電電流が前記複数の蓄電部の全体に供給され得る第1接続状態と、前記複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割した第2接続状態とに切り替わり、
前記切替部が前記第2接続状態のときに、各前記蓄電部領域から各々の対象負荷に対してそれぞれ電力が供給される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電源制御装置は、複数の電気負荷に対して電力を良好に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1の電源制御装置を備えた車載用電源システムを概略的に例示するブロック図であって、切替部が第1接続状態に切り替えられた状態を示す。
【
図2】
図2は、実施形態1の電源制御装置を備えた車載用電源システムを概略的に例示するブロック図であって、切替部が第2接続状態に切り替えられた状態を示す。
【
図3】
図3は、実施形態1の制御部で実行される切替制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態2の電源制御装置を備えた車載用電源システムを概略的に例示するブロック図であって、切替部が第1接続状態に切り替えられた状態を示す。
【
図5】
図5は、実施形態2の電源制御装置を備えた車載用電源システムを概略的に例示するブロック図であって、切替部が第2接続状態に切り替えられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕電源制御装置は、複数の蓄電部を備えた電源部からの放電を制御する電源制御装置であって、複数の蓄電部の接続の状態を切り替える切替部と、切替部を制御する制御部と、を有している。切替部は、充電電流が複数の蓄電部の全体に供給され得る第1接続状態と、複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割した第2接続状態とに切り替わる。切替部が第2接続状態のときに、各複数の蓄電部領域から各々の対象負荷に対してそれぞれ電力が供給される。
【0011】
上記〔1〕の電源制御装置は、複数の対象負荷のうち、一部の対象負荷を切り離すことが好ましい事情がある場合、一部の対象負荷を切り離しつつ、一部の対象負荷と、一部の対象負荷を除いた対象負荷の各々に個別に蓄電部からの電力を供給することができる。
【0012】
〔2〕上記〔1〕の電源制御装置は、充電回路を備え、制御部は、充電回路から電源部に充電電流が供給される場合に切替部を第1接続状態に切り替え、電源部から放電する場合に切替部を第2接続状態に切り替えてもよい。
【0013】
上記〔2〕の電源制御装置は、切替部を第1接続状態にすることによって一部の対象負荷と、一部の対象負荷を除いた対象負荷の各々に個別に電力を供給する蓄電部領域を一括して充電することができる。
【0014】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕の電源制御装置は、電圧変換部を備えている。制御部は、所定の放電条件が成立した場合に、切替部を第2接続状態に切り替えた状態で電圧変換部を動作させる。放電条件の成立に応じて第2接続状態で電圧変換部が動作する場合、分割された複数の蓄電部領域のいずれか一の蓄電部領域からの電力に基づき電圧変換部によって電圧変換された上で一の対象負荷に電力が供給される。また、いずれか他の蓄電部領域と他の対象負荷との間が電圧変換部を介さずに導通して他の対象負荷に電力が供給されてもよい。
【0015】
上記〔3〕の電源制御装置は、電圧変換部によって電圧変換された電力が供給されることが好ましい対象負荷に電圧変換部によって電圧変換された電力を供給できる。そして、電圧変換部を介さずに電力が供給されることが好ましい対象負荷に電圧変換部を介さずに電力を供給することができる。
【0016】
〔4〕上記〔3〕の電源制御装置の切替部は、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、及び第4スイッチを有している。第1スイッチは、主電源部と、電源部及び複数の対象負荷と、を接続状態と非接続状態とに切り替える。第2スイッチは、各蓄電部領域同士を接続状態と非接続状態とに切り替える。第3スイッチは、いずれか他の蓄電部領域と、他の対象負荷と、を接続状態と非接続状態とに切り替える。第4スイッチは、他の対象負荷と、主電源部と、を接続状態と非接続状態とに切り替える。切替部を第1接続状態から第2接続状態に切り替える際、制御部は、第1制御、第2制御、及び第3制御をこの順に実行する。第1制御は、第1スイッチによって主電源部と、電源部及び複数の対象負荷と、を接続状態から非接続状態に切り替える。第2制御は、第2スイッチによって各蓄電部領域同士を接続状態から非接続状態に切り替える。第3制御は、第4スイッチによって他の対象負荷と、主電源部と、を接続状態から非接続状態に切り替える。次に、第3スイッチによっていずれか他の蓄電部領域と、他の対象負荷と、を非接続状態から接続状態に切り替える第4制御、又は電圧変換部を放電動作させる放電制御のいずれかを実行してもよい。
【0017】
上記〔4〕の電源制御装置は、第1制御、第2制御、及び第3制御をこの順に実行する。そして、この後に第4制御、又は放電制御のいずれかを実行することによって、各構成要素にかかる負担を抑えつつ第1接続状態から第2接続状態に円滑に切り替えることができる。
【0018】
〔5〕上記〔1〕から〔4〕のいずれか一つの電源制御装置において、第1接続状態のとき、切替部は、複数の蓄電部が直列に接続された状態を維持する。第2接続状態のとき、切替部は、直列に接続された複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割してもよい。
【0019】
上記〔5〕の電源制御装置は、複数の蓄電部が直列に接続されている。このため、蓄電部の数を増減することによって、出力する電圧を所望の大きさになるように容易に変更することができる。
【0020】
〔6〕上記〔1〕から〔4〕のいずれか一つの電源制御装置において、第1接続状態のとき、切替部は、複数の蓄電部が並列に接続された状態を維持する。第2接続状態のとき、切替部は、並列に接続された複数の蓄電部を複数の蓄電部領域に分割してもよい。
【0021】
上記〔6〕の電源制御装置は、複数の蓄電部が並列に接続されている。このため、蓄電部を直列した場合に比べ、より長時間、電源部から出力する電圧を所定の大きさに維持し易い。
【0022】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1について説明する。
【0023】
図1、
図2で示す車載用電源システム100(以下、電源システム100ともいう)は、第1導電路81を介して主電源部94からの電力を電圧変換部10に供給して電源部91を充電したり、第1導電路81を介して主電源部94からの電力を複数の対象負荷98A,98B,98Cに供給したり、電源部91から印加された電圧を電圧変換部10において変換し、第1導電路81を介して変換した電圧を複数の対象負荷98A,98B,98Cに供給したりし得るシステムとして構成されている。
【0024】
複数の対象負荷98A,98B,98Cは、車両に搭載される車載用電気機器であり、第1導電路81に電気的に接続され、第1導電路81を介して供給される電力によって動作し得る。複数の対象負荷98A,98B,98Cの種類や数は限定されない。対象負荷98A,98Bは、一の対象負荷の一例である。対象負荷98A,98Bの消費電力は、使用状況によって大きく変化することなく、概ね安定した大きさを保つ。対象負荷98Cは、他の対象負荷の一例である。対象負荷98Cの消費電力は、使用状況に応じて大きさが変化する特性を有しており、定まらない。
【0025】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0026】
〔電源システムの概要〕
電源システム100は、主として、主電源部94、第1導電路81、電源部91、バイパス導電路72、電源制御装置1等を備える。
【0027】
主電源部94は、複数の対象負荷98A,98B,98Cや電源部91へ電力を供給するための主電源となる部分であり、例えば、鉛バッテリ等の車載バッテリとして構成されている。主電源部94は、高電位側の端子が第1導電路81に電気的に接続され、低電位側の端子がグラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続されており、第1導電路81に対して所定の出力電圧を印加する。
【0028】
第1導電路81には、主電源部94、電源制御装置1の電圧変換部10、複数の対象負荷98A,98B,98C等が電気的に接続されている。
【0029】
電源部91は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dが直列に接続された構成をなす。各蓄電部92A,92B,92C,92Dは、例えば、鉛バッテリ、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池等の車載用蓄電手段によって構成されており、電圧変換部10に電気的に接続されている。電源部91の最も高電位側の端子91Aは、電圧変換部10に電気的に接続されている。電源部91の最も低電位側の端子91Bは、例えばグラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続されている。
図1、
図2の例では、4つの蓄電部92A,92B,92C,92Dが直列に接続された形で電源部91が構成されている。電源部91と第1導電路81との間には、電圧変換部10が介在している。
【0030】
バイパス導電路72は、電源部91における蓄電部間の第1位置P1から第1導電路81のうちの対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81へ電力を供給する経路である。具体的には、バイパス導電路72の一端は、第1位置P1に電気的に接続されている。バイパス導電路72の他端は、対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81に電気的に接続されている。第1位置P1は、第1位置P1よりも高電位側に位置する蓄電部92Bの低電位側端子と、第1位置P1よりも低電位側に位置する蓄電部92Cの高電位側端子とを電気的に接続する位置である。
【0031】
電源制御装置1は、主として、切替部30、制御部20、電圧変換部10等を備えている。切替部30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、及び第4スイッチ34を有している。第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、及び第4スイッチ34は、例えば、MOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチや機械式リレーを1又は複数個用いて構成されるスイッチである。
【0032】
第1スイッチ31は、第1導電路81における主電源部94と、電圧変換部10及び複数の対象負荷98A,98B,98Cと、の間に設けられている。第1スイッチ31は、第1導電路81に介在している。第1スイッチ31は、オン状態のときに主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cとの間の導通を許容する。第1スイッチ31は、オフ状態のときに主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cとの間の導通を遮断する。つまり、第1スイッチ31は、主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cと、の導通を許容する接続状態と導通を遮断する非接続状態とに切り替える。
【0033】
第2スイッチ32は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dのうち、蓄電部領域R1である蓄電部92A,92Bと、蓄電部領域R2である蓄電部92C,92Dとの間に設けられている。蓄電部領域R1は、いずれか一の蓄電部領域の一例である。蓄電部領域R2は、いずれか他の蓄電部領域の一例である。第2スイッチ32は、蓄電部92Bの低電位側の端子と蓄電部92Cの高電位側の端子との間に介在している。
【0034】
第2スイッチ32は、オン状態のときに導通状態となって双方向の通電を許容し、オフ状態のときに非導通状態となって双方向の通電を禁止する。つまり、切替部30の第2スイッチ32は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの接続の状態を切り替える。第2スイッチ32は、電源部91において複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dと直列に接続されると共に蓄電部間に配置されている。
【0035】
第2スイッチ32は、オン状態のときに自身よりも低電位側に配置された蓄電部92C,92D(蓄電部領域R2)と自身よりも高電位側に配置された蓄電部92A,92B(蓄電部領域R1)との間の蓄電部間経路を導通状態に切り替える。第2スイッチ32は、オフ状態のときにこの蓄電部間経路を非導通状態に切り替えると共に、蓄電部92Bの低電位側の端子をグラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続する構成をなす(
図2参照。)。具体的には、電源部91おいて低電位側に位置する蓄電部92C,92Dのうちの高電位側に配置された蓄電部92Cと、蓄電部92A,92Bのうちの低電位側に配置された蓄電部92Bとの間に第2スイッチ32は設けられている。第2スイッチ32がオン状態のときには蓄電部92Cと蓄電部92Bとの間の導通が許容され、この間で電流が流れ得る。第2スイッチ32がオフ状態のときには蓄電部92Cと蓄電部92Bとの間の導通が遮断され、この間で電流が流れなくなる。つまり、第2スイッチ32は、蓄電部領域R1,R2同士の導通を許容する接続状態と導通を遮断する非接続状態とに切り替える。
【0036】
第3スイッチ33は、バイパス導電路72に設けられている。第3スイッチ33は、バイパス導電路72に介在している。第3スイッチ33がオン状態のときには第1位置P1と対象負荷98Cとの間が導通し、第1位置P1側から対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81側への電力供給を許容する。第3スイッチ33がオフ状態のときには第1位置P1と対象負荷98Cとの間の導通が遮断され、第1位置P1側から対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81側への電力供給を遮断する。つまり、第3スイッチ33は、蓄電部領域R2と、対象負荷98Cと、の導通を許容する接続状態と導通を遮断する非接続状態とに切り替える。
【0037】
第4スイッチ34は、第1導電路81における複数の対象負荷98A,98B,98Cのうちの一部の対象負荷98Cと主電源部94との間に設けられている。第4スイッチ34は、第1導電路81に介在している。第4スイッチ34がオン状態のときには複数の対象負荷98A,98Bと共に対象負荷98Cと主電源部94との間の導通を許容する。第4スイッチ34がオフ状態のときには対象負荷98Cと主電源部94との間の導通を遮断する。つまり、第4スイッチ34は、対象負荷98Cと、主電源部94と、の導通を許容する接続状態と導通を遮断する非接続状態とに切り替える。
【0038】
制御部20は、切替部30における各スイッチ(第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34)の制御を行い得る車載用の電子制御装置であり、CPU等の情報処理装置、記憶装置、AD変換器など、様々な装置を備えてなる。制御部20は、例えば、電圧検知部85によって第1導電路81の電圧値が入力されるようになっている。これにより制御部20は、第1導電路81の電圧値を把握し得る構成をなす。なお、制御部20は、単一の電子制御装置によって構成されていてもよく、複数の電子制御装置によって構成されていてもよい。制御部20における制御については後述する。
【0039】
電圧変換部10は、第1導電路81と電源部91との間に介在して設けられている。電圧変換部10は、第1導電路81に印加された電圧を昇圧して電源部91に印加する昇圧動作、及び電源部91から印加された電圧を降圧して第1導電路81に印加し得る回路である。電圧変換部10は、例えば、半導体スイッチング素子及びインダクタなどを備えてなる双方向のDCDCコンバータとして構成することができる。具体的には、電圧変換部10は、同期整流方式の非絶縁型DCDCコンバータやダイオード方式の非絶縁型DCDCコンバータなどを好適に用いることができる。
【0040】
例えば、電圧変換部10を同期整流方式の非絶縁型DCDCコンバータとして構成する場合、電圧変換部10は、制御部20によって制御され得る。制御部20は、電圧変換部10に対して昇圧動作用の制御信号(PWM信号)を与え、第1導電路81に印加された電圧を昇圧して所望の目標電圧を電源部91に印加するように制御信号(PWM信号)のフィードバック制御がなされる。制御信号(PWM信号)のデューティはフィードバック演算によって調整される。こうして、電源部91は充電される。つまり、電圧変換部10は、電源部91を充電する充電回路12として機能する。また、制御部20は、電圧変換部10に対して降圧動作用の制御信号(PWM信号)を与え、電源部91から印加された電圧を降圧して所望の目標電圧を第1導電路81に印加するように制御信号(PWM信号)のフィードバック制御がなされる。
【0041】
〔制御部による制御〕
次に、制御部20による制御を説明する。
制御部20は、所定の開始条件の成立に応じて
図3の制御を実行する。具体的には、例えば、電源制御装置1が搭載された車両が始動状態となった場合(例えば、イグニッションスイッチ等の始動スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わった場合)に
図3で示す制御を実行する。
【0042】
制御部20は、
図3の制御を開始した場合、まず、ステップS1の処理を行い、第3スイッチ33をオフ状態に切り替え、第2スイッチ32をオン状態に切り替える。第3スイッチ33がオフ状態に切り替わることによって、第1位置P1側から対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81側への電力供給は遮断される。そして、第2スイッチ32がオン状態に切り替わることによって、自身よりも低電位側に配置された低電位側の蓄電部92C,92Dと自身よりも高電位側に配置された高電位側の蓄電部92A,92Bとの間の蓄電部間経路が導通状態に切り替えられる。こうして、これら蓄電部92A,92B,92C,92Dは、直列に接続される。このとき、蓄電部92Bの低電位側の端子は、グラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続されていない状態である。
【0043】
次に、ステップS2に移行すると、制御部20は、第1スイッチ31、及び第4スイッチ34をオン状態に切り替える。第1スイッチ31がオン状態に切り替えられることによって、主電源部94と、電圧変換部10及び複数の対象負荷98A,98B,98Cとの間の導通が許容される。第4スイッチ34がオン状態に切り替えられることによって、複数の対象負荷98A,98Bと共に対象負荷98Cと主電源部94との間の導通が許容される。そして、制御部20は、電圧変換部10に対して昇圧動作用の制御信号(PWM信号)を与え、第1導電路81に印加された電圧を昇圧して所望の目標電圧を電源部91に印加するように制御信号を電圧変換部10に出力し、電圧変換部10を充電回路12として動作させる。こうして、切替部30は、電圧変換部10を介して供給された主電源部94からの充電電流が複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの全体に供給され得る第1接続状態に切り替わる(
図1参照。)。ここで、充電電流が複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの全体に供給され得るとは、充電電流が、最も高電位に位置する端子91Aから蓄電部92Aに流れ込み、最も低電位に位置する端子91Bから基準導電路Gに流れ得る状態を意味する。このとき、電圧変換部10は充電回路12として動作する。つまり、制御部20は、充電回路12から電源部91に充電電流が供給される場合に切替部30を第1接続状態に切り替えている。第1接続状態のとき、切替部30は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dが直列に接続された状態を維持する。
【0044】
次に、ステップS3に移行すると、制御部20は、主電源部94が失陥しているか否かを判定する。例えば、制御部20は、電圧検知部85によって検知した第1導電路81の電圧値に基づいて、主電源部94が失陥しているか否かを判定する。ステップS3において、主電源部94が失陥していないと判別(ステップS3におけるNo)すると、
図3における処理を終了する。
【0045】
ステップS3において、制御部20は、主電源部94が失陥していると判別(ステップS3におけるYes)すると、切替部30を第1接続状態から第2接続状態に切り替えるべく、ステップS4に移行する。ステップS4に移行すると、制御部20は、第1制御を実行する。具体的には、制御部20は、第1スイッチ31をオン状態からオフ状態に切り替える。第1スイッチ31がオフ状態に切り替えられると、主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cとの間の導通が遮断される。つまり、第1制御は、第1スイッチ31をオフ状態に切り替えることによって主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cと、を接続状態から非接続状態に切り替える。こうして、主電源部94と、電圧変換部10、電圧変換部10に電気的に接続される電源部91、及び複数の対象負荷98A,98B,98Cとが切り離される。
【0046】
次に、ステップS5に移行すると、制御部20は、第2制御を実行する。具体的には、制御部20は、第2スイッチ32をオン状態からオフ状態に切り替える。第2スイッチ32がオフ状態に切り替えられると、直列に接続された状態の蓄電部92A,92Bと、蓄電部92C,92Dとが2つの蓄電部領域R1,R2に分割される。これと共に、蓄電部92Bの低電位側の端子がグラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続される。つまり、第2制御は、第2スイッチ32をオフ状態に切り替えることによって各蓄電部領域R1,R2同士を接続状態から非接続状態に切り替える。
【0047】
次に、ステップS6に移行すると、制御部20は、第3制御を実行する。具体的には、制御部20は、第4スイッチ34をオン状態からオフ状態に切り替える。第4スイッチ34がオフ状態に切り替えられると、対象負荷98Cと主電源部94との間の導通が遮断される。つまり、第3制御は、第4スイッチ34をオフ状態に切り替えることによって対象負荷98Cと、主電源部94と、を接続状態から非接続状態に切り替える。こうして、対象負荷98Cと、主電源部94とが切り離される。
【0048】
次に、ステップS7に移行すると、制御部20は、第4制御を実行する。具体的には、制御部20は、第3スイッチ33をオン状態に切り替える。第3スイッチ33がオン状態に切り替えられると、第1位置P1側から第1導電路81のうちの対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81側への電力供給が許容される。つまり、第4制御は、第3スイッチ33をオン状態に切り替えることによって蓄電部領域R2と、対象負荷98Cとを非接続状態から接続状態に切り替える。こうして、切替部30は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dを複数の蓄電部領域R1,R2に分割した第2接続状態に切り替わる(
図2参照。)。第2接続状態のとき、切替部30は、直列に接続された複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dを複数の蓄電部領域R1,R2に分割する。このとき、蓄電部領域R2から対象負荷98Cに対して電力の供給が開始される。
【0049】
次に、ステップS8に移行すると、制御部20は、放電制御を実行する。具体的には、制御部20は、充電回路12として動作していた電圧変換部10に対して電源部91の蓄電部領域R1から対象負荷98A,98Bに電力を供給する放電動作させる。つまり、制御部20は、所定の放電条件(すなわち、主電源部94の失陥)が成立した場合に、切替部30を第2接続状態に切り替えた状態で電圧変換部10を放電動作させる。電圧変換部10の放電動作が開始すると、電源部91の蓄電部領域R1から印加された電圧は電圧変換部10において降圧され所望の目標電圧を第1導電路81に印加する。なお、蓄電部領域R1の高電位側の端子と低電位側の端子との電位差が対象負荷98A,98Bを動作させるために必要な電圧よりも小さい場合、制御部20は、電圧変換部10において昇圧して所望の目標電圧を第1導電路81に印加させてもよい。
【0050】
こうして、蓄電部領域R1から対象負荷98A,98Bに対して電力の供給が開始される。つまり、制御部20は、電源部91の蓄電部領域R1から放電して対象負荷98A,98Bに対して電力を供給する場合に切替部30を第2接続状態に切り替えている。こうして、電源部91から対象負荷98Cを除いた対象負荷98A,98Bに対して電力を供給し、
図3に示す処理を終了する。電源制御装置1は、切替部30が第2接続状態のときに、各蓄電部領域R1,R2から対象負荷98A,98B、及び対象負荷98Cの各々に対してそれぞれ電力が供給される。切替部30が第2接続状態に切り替わることによって、対象負荷98Cの消費電力の大きさの変化が対象負荷98A,98Bに供給する電力の大きさに影響を及ぼすことを防止することができる。
【0051】
つまり、放電条件の成立に応じて第2接続状態で電圧変換部10が放電動作する場合、分割された複数の蓄電部領域R1,R2のうちの一の蓄電部領域R1からの電力に基づき電圧変換部10によって電圧変換された上で対象負荷98A,98Bに電力が供給される。そして、蓄電部領域R2と対象負荷98Cとの間が電圧変換部10を介さずに導通して対象負荷98Cに電力が供給されるのである。
【0052】
次に、本構成の効果を例示する。
【0053】
電源制御装置1は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dを備えた電源部91からの放電を制御する。電源制御装置1は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの接続の状態を切り替える切替部30と、切替部30を制御する制御部20と、を有している。切替部30は、充電電流が複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの全体に供給され得る第1接続状態と、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dを複数の蓄電部領域R1,R2に分割した第2接続状態とに切り替わる。切替部30が第2接続状態のときに、各蓄電部領域R1,R2から各々の対象負荷98A,98B,98Cに対してそれぞれ電力が供給される。
【0054】
この構成によれば、複数の対象負荷98A,98B,98Cのうち、一部の対象負荷98Cを切り離すことが好ましい事情がある場合、一部の対象負荷98Cを切り離す。これと共に、一部の対象負荷98Cと、一部の対象負荷98Cを除いた対象負荷98A,98Bの各々に個別に蓄電部領域R1,R2からの電力を供給することができる。
【0055】
電源制御装置1は、充電回路12を備え、制御部20は、充電回路12から電源部91に充電電流が供給される場合に切替部30を第1接続状態に切り替え、電源部91から放電する場合に切替部30を第2接続状態に切り替える。この構成によれば、電源制御装置1は、切替部30を第1接続状態にすることによって対象負荷98Cと、対象負荷98Cを除いた対象負荷98A,98Bの各々に個別に電力を供給する蓄電部領域R1,R2を一括して充電することができる。
【0056】
電源制御装置1は、電圧変換部10を備えている。制御部20は、所定の放電条件が成立した場合に、切替部30を第2接続状態に切り替えた状態で電圧変換部10を動作させる。放電条件の成立に応じて第2接続状態で電圧変換部10が動作する場合、分割された複数の蓄電部領域R1,R2のいずれか一の蓄電部領域R1からの電力に基づき電圧変換部10によって電圧変換された上で一の対象負荷98A,98Bに電力が供給される。また、蓄電部領域R2と対象負荷98Cとの間が電圧変換部10を介さずに導通して対象負荷98Cに電力が供給される。
【0057】
この構成によれば、電源制御装置1は、電圧変換部10によって電圧変換された電力が供給されることが好ましい対象負荷98A,98Bに電圧変換部10によって電圧変換された電力を供給できる。そして、電源制御装置1は、電圧変換部10を介さずに電力が供給されることが好ましい対象負荷98Cに電圧変換部10を介さずに電力を供給することができる。
【0058】
電源制御装置1の切替部30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、及び第4スイッチ34を有している。第1スイッチ31は、主電源部94と、電源部91及び複数の対象負荷98A,98B,98Cと、を接続状態と非接続状態とに切り替える。第2スイッチ32は、各蓄電部領域R1,R2同士を接続状態と非接続状態とに切り替える。第3スイッチ33は、蓄電部領域R2と、対象負荷98Cと、を接続状態と非接続状態とに切り替える。第4スイッチ34は、対象負荷98Cと、主電源部94と、を接続状態と非接続状態とに切り替える。切替部30を第1接続状態から第2接続状態に切り替える際、制御部20は、第1制御、第2制御、及び第3制御をこの順に実行する。第1制御は、第1スイッチ31によって主電源部94と、電源部91及び複数の対象負荷98A,98B,98Cと、を接続状態から非接続状態に切り替える。第2制御は、第2スイッチ32によって各蓄電部領域R1,R2同士を接続状態から非接続状態に切り替える。第3制御は、第4スイッチ34によって対象負荷98Cと、主電源部94と、を接続状態から非接続状態に切り替える。次に、第3スイッチ33によって蓄電部領域R2と、対象負荷98Cと、を非接続状態から接続状態に切り替える第4制御を実行する。
【0059】
この構成によれば、電源制御装置1は、第1制御、第2制御、及び第3制御をこの順に実行する。そして、この後に第4制御を実行することによって、各構成要素にかかる負担を抑えつつ、第1接続状態から第2接続状態に円滑に切り替えることができる。
【0060】
電源制御装置1において、第1接続状態のとき、切替部30は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dが直列に接続された状態を維持する。第2接続状態のとき、切替部30は、直列に接続された複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dを複数の蓄電部領域R1,R2に分割する。この構成によれば、電源制御装置1は、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dが直列に接続されている。このため、蓄電部の数を増減することによって、出力する電圧を所望の大きさになるように容易に変更することができる。
【0061】
<実施形態2>
本開示の実施形態2に係る電源制御装置2を備える車載用電源システム200を、
図3、
図4、
図5を参照して説明する。実施形態2に係る電源制御装置2は、電源部191が並列に接続された構成を有する点、バイパス導電路172の一端が電気的に接続される位置、切替部130の第2スイッチ132が設けられる位置等が実施形態1と異なる。実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0062】
電源部191は、蓄電部領域R11である直列に接続された蓄電部92A,92Bと、蓄電部領域R12である直列に接続された蓄電部92C,92Dと、が並列に接続された構成をなす。蓄電部領域R11は、いずれか一の蓄電部領域の一例である。蓄電部領域R12は、いずれか他の蓄電部領域の一例である。つまり、複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dは並列に接続されている。蓄電部92A及び蓄電部92Cの高電位側の端子191Aは、電圧変換部10に電気的に接続されている。蓄電部92B及び蓄電部92Dの低電位側の端子191Bは、グラウンド電位(0V)に保たれる基準導電路Gに電気的に接続されている。
【0063】
バイパス導電路172の一端は、第1位置P11に電気的に接続されている。第1位置P11は、蓄電部領域R11,R12の高電位側の端子(すなわち、蓄電部92A,92Cの高電位側の端子)と電圧変換部10とを電気的に接続する位置である。
【0064】
切替部130の第2スイッチ132は、電圧変換部10と蓄電部領域R12(蓄電部92C,92D)との間に設けられている。具体的には、第2スイッチ132は、電圧変換部10と蓄電部92Cの高電位側の端子との間に介在している。電圧変換部10と蓄電部領域R11(蓄電部92A,92B)との間には、第2スイッチ132は介在していない。つまり、電圧変換部10と蓄電部領域R11とは、第2スイッチ132の状態に関わらず、常に導通状態である。
【0065】
第2スイッチ132は、第2スイッチ32と同様の構成である。第2スイッチ132は、オン状態のときに導通状態となって双方向の通電を許容し、オフ状態のときに非導通状態となって双方向の通電を禁止する構成である。第2スイッチ132は、電源部191において蓄電部92C,92Dに対して直列に接続され、蓄電部92A,92Bに対して並列に接続される。
【0066】
第2スイッチ132は、オン状態のときに電圧変換部10と蓄電部92C,92D(蓄電部領域R12)との間の経路を導通状態に切り替える。第2スイッチ132は、オフ状態のときにこの経路を非導通状態に切り替える。第2スイッチ132がオン状態のときには蓄電部92Cと電圧変換部10との間が導通し、この間で電流が流れ得る。第2スイッチ132がオフ状態のときには蓄電部92Cと電圧変換部10との間が電気的に遮断され、この間で電流が流れなくなる。
【0067】
〔制御部による制御〕
次に、実施形態2における、制御部20による制御を説明する。
制御部20は、実施形態1と同様に、所定の開始条件の成立に応じて
図3の制御を実行する。以下、制御部20による制御の説明において、実施形態1と同じ説明は省略する。
【0068】
制御部20は、
図3の制御を開始した場合、まず、ステップS1の処理を行い、第3スイッチ33をオフ状態に切り替え、第2スイッチ132をオン状態に切り替える。第2スイッチ132がオン状態に切り替わることによって、電圧変換部10と蓄電部92Cとの間の経路が導通状態に切り替えられる。こうして、蓄電部領域R11である蓄電部92A,92B、及び蓄電部領域R12である蓄電部92C,92Dは、並列に接続される。
【0069】
次に、ステップS2に移行すると、制御部20は、第1スイッチ31、及び第4スイッチ34をオン状態に切り替える。このとき、切替部130は、
図4に示すように、電圧変換部10を介して供給された主電源部94からの充電電流が複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの全体に供給され得る第1接続状態に切り替わる。ここで、充電電流が複数の蓄電部92A,92B,92C,92Dの全体に供給され得るとは、充電電流が、最も高電位に位置する端子191Aから蓄電部92A,92Cの各々に流れ込み、最も低電位に位置する端子191Bから基準導電路Gに流れ得る状態を意味する。第1接続状態のとき、切替部30は、複数の蓄電部92A,92Bと、92C,92Dとが並列に接続された状態を維持する。
【0070】
次に、ステップS3に移行すると、制御部20は、主電源部94が失陥しているか否かを判定する。主電源部94が失陥していないと判別(ステップS3におけるNo)すると、
図3における処理を終了する。
【0071】
ステップS3において、制御部20は、主電源部94が失陥していると判別(ステップS3におけるYes)すると、ステップS4に移行する。ステップS4に移行すると、制御部20は、第1制御を実行する。
【0072】
次に、ステップS5に移行すると、制御部20は、第2制御を実行する。具体的には、制御部20は、第2スイッチ132をオフ状態に切り替える。第2スイッチ132がオフ状態に切り替えられると、並列に接続された状態の蓄電部92A,92Bと、蓄電部92C,92Dとが2つの蓄電部領域R11,R12に分割される。
【0073】
次に、ステップS6に移行すると、制御部20は、第3制御を実行する。
【0074】
次に、ステップS7に移行すると、制御部20は、第4制御を実行する。第3スイッチ33がオン状態に切り替えられると、第1位置P11側から第1導電路81のうちの対象負荷98Cに電気的に接続する第1導電路81側への電力供給が許容される。このとき、切替部130は、
図5に示すように、第2接続状態に切り替わる。第2接続状態のとき、切替部30は、並列に接続された複数の蓄電部92A,92Bと、92C,92Dとを複数の蓄電部領域R11,R12に分割する。
【0075】
次に、ステップS8に移行すると、制御部20は、放電制御を実行し、
図3に示す処理を終了する。
【0076】
電源制御装置1において、第1接続状態のとき、切替部130は、蓄電部92A,92B、及び蓄電部92C,92Dが並列に接続された状態を維持する。そして、第2接続状態のとき、切替部130は、並列に接続された蓄電部92A,92B、及び蓄電部92C,92Dを複数の蓄電部領域R11,R12に分割する。この構成によれば、電源制御装置2は、蓄電部92A,92B、及び蓄電部92C,92Dが並列に接続されている。このため、蓄電部を直列した場合に比べ、より長時間、電源部91から出力する電圧を所定の大きさに維持し易い。
【0077】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0078】
実施形態1、2では、蓄電部92A,92B,92C,92Dの4つを用いる形態を例示している。しかし、蓄電部の数はこれに限らない。
【0079】
実施形態1では、第2スイッチ32によって電源部91を2つの蓄電部領域R1,R2に分割する形態を例示し、実施形態2では、第2スイッチ132によって電源部191を2つの蓄電部領域R11,R12に分割する形態を例示している。しかし、第2スイッチの数を増やして電源部を3つ以上に分割する構成であってもよい。この場合、第4スイッチの数も増やし、主電源と絶縁する対象負荷の数を増やし、さらに、各対象負荷と各蓄電部領域とを電気的に接続するバイパス導電路を設けて各対象負荷に各蓄電部領域を割り当てる構成が考えられる。
【0080】
実施形態1、2では、電圧変換部10が充電回路12としても動作する形態を例示した。しかし、これに限らず、電圧変換部と充電回路とを個別に設ける構成としてもよい。
【0081】
実施形態1、2では、主電源部94の失陥を所定の放電条件として用いている。しかし、これに限らず、主電源部から電力供給させたくないような場合を定めた他の条件を所定の放電条件として用いてもよい。
【0082】
消費電力が定まらない電力負荷において、消費電力が定まっている場合には、第2スイッチ、及び第4スイッチのオン状態と、第3スイッチのオフ状態とを維持し、第1スイッチのみをオフ状態に切り替えてもよい。これによって、全ての対象負荷に対して電圧変換部を介した電源部の電力を供給することができる。この場合、例えば、消費電力が定まらない電力負荷における消費電力の変化を監視し得る構成を制御部に設けることが考えられる。
【0083】
実施形態1、2では、第3制御の後に第4制御を実行し、その後に放電制御を実行している。しかし、これに限らず、第3制御の後に放電制御を実行し、その後に第4制御を実行してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,2…電源制御装置
10…電圧変換部
12…充電回路
20…制御部
30,130…切替部
31…第1スイッチ
32,132…第2スイッチ
33…第3スイッチ
34…第4スイッチ
72,172…バイパス導電路
81…第1導電路
85…電圧検知部
91,191…電源部
91A,91B,191A,191B…端子
92A,92B,92C,92D…蓄電部
94…主電源部
98A,98B…一の対象負荷(対象負荷)
98C…他の対象負荷(対象負荷)
100,200…車載用電源システム
G…基準導電路
P1,P11…第1位置
R1,R11…いずれか一の蓄電部領域(蓄電部領域)
R2,R12…いずれか他の蓄電部領域(蓄電部領域)