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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】サポートプログラムおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241203BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 305
G06F3/12 356
G06F3/12 374
B41J29/38 204
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020214614
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100565
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 建樹
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160989(JP,A)
【文献】特開2010-205019(JP,A)
【文献】特開2016-146167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷設定の入力操作を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示する設定画面表示処理と、
前記設定画面表示処理により前記設定画面を表示することに伴い、前記プリンタから印刷に用いられる用紙の情報である第1用紙情報を取得する第1取得処理と、
を実行させることが可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、
前記印刷指示についての前記印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報を取得する第2取得処理と、
前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報と、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報とを比較することで、用紙の適否を判定する判定処理と、
前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記ユーザインタフェースを用いて、警告を行うための処理を行う警告処理と、
を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記印刷指示がある前に、前記アプリケーションプログラムが操作を受け付けたことに応じて前記汎用印刷プログラムからの実行指示があった場合に、
前記設定画面表示処理と、前記第1取得処理と、を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するサポートプログラムであって、
前記第1用紙情報および前記第2用紙情報は、所定の情報を含み、
前記判定処理では、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる前記所定の情報が、前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報に含まれる前記所定の情報と一致しない場合に、不適と判定する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記警告処理にて警告を行うための前記処理を実行した場合に、前記印刷指示に基づく印刷ジョブをキャンセルするか否かを、前記ユーザインタフェースを用いて受け付け、キャンセルを受け付けた場合、前記印刷ジョブをキャンセルするキャンセル処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記印刷指示があった場合に、
前記印刷指示による印刷対象の画像を示す印刷データが生成される前に、前記判定処理を実行させ、
前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記印刷データが生成される前に、前記警告処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載するサポートプログラムであって、
前記第1用紙情報および前記第2用紙情報は、用紙サイズの情報を含み、
前記判定処理では、
前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズと、前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズとを比較することで、用紙サイズの適否を判定する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定に含まれる用紙サイズに設定可能なサイズには、あらかじめ規定されたサイズである定型サイズと、ユーザによって定義されるユーザ定義サイズと、があり、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが前記定型サイズであれば、前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記印刷指示による印刷対象の画像を示す印刷データが前記プリンタに送信される前に、前記コンピュータに前記警告処理を実行させ、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが前記ユーザ定義サイズであれば、前記コンピュータに前記警告処理を実行させない、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項7】
請求項5に記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定に含まれる用紙サイズに設定可能なサイズには、あらかじめ規定されたサイズである定型サイズと、ユーザによって定義されるユーザ定義サイズと、があり、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが前記定型サイズであれば、前記判定処理において、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが、前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズと一致しない場合に、不適と判定し、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが前記ユーザ定義サイズであれば、前記判定処理において、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズと、前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズと、の差が所定範囲外であった場合に、不適と判定する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1つに記載するサポートプログラムであって、
前記印刷設定には、給紙トレイの情報が含まれ、前記プリンタは、複数の給紙トレイが装着可能であり、
前記給紙トレイの情報に設定可能なトレイには、前記プリンタに装着されている各トレイと、前記印刷設定に含まれる用紙サイズに基づいて前記プリンタによって自動的に決定される自動トレイと、があり、
前記第1取得処理では、前記プリンタに装着されるトレイごとに前記第1用紙情報を取得し、
前記印刷設定に含まれる給紙トレイが前記プリンタに装着されているトレイであれば、前記判定処理において、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが、前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報のうち前記印刷設定に含まれる給紙トレイの情報に示される給紙トレイに対応する前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズと一致しない場合に、不適と判定し、
前記印刷設定に含まれる給紙トレイが前記自動トレイであれば、前記判定処理において、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報に含まれる用紙サイズが、前記第1取得処理にて取得した各給紙トレイに対応する前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズのいずれにも一致しない場合に、不適と判定する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか1つに記載するサポートプログラムであって、
前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズには、高価値を示す所定のサイズがあり、
前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズが前記所定のサイズであれば、前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記コンピュータに前記警告処理を実行させ、
前記第1用紙情報に含まれる用紙サイズが前記所定のサイズでなければ、前記コンピュータに前記警告処理を実行させない、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載するサポートプログラムであって、
前記第1用紙情報および前記第2用紙情報は、用紙種の情報を含み、
前記判定処理では、
前記第1用紙情報に含まれる用紙種と、前記第2用紙情報に含まれる用紙種とを比較することで、用紙種の適否を判定する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載するサポートプログラムであって、
前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報に含まれる用紙種には、高価値を示す所定の種類があり、
前記第1用紙情報に含まれる用紙種が前記所定の種類であれば、前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記コンピュータに前記警告処理を実行させ、
前記第1用紙情報に含まれる用紙種が前記所定の種類でなければ、前記コンピュータに前記警告処理を実行させない、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載するサポートプログラムであって、
前記警告処理では、
前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報を、前記ユーザインタフェースを用いて報知する警告を行うための前記処理を行う、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項13】
プリンタと、
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であって、前記情報処理装置と接続する前記プリンタに対応するサポートプログラムと、
を有する印刷システムであって、
前記サポートプログラムは、
印刷設定の入力操作を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示することが可能であり、
前記設定画面が表示されることに伴い、印刷に用いられる用紙の情報である第1用紙情報の取得要求を、前記プリンタに送信することが可能であり、
前記プリンタは、
前記取得要求を受信した場合に、前記プリンタにセットされている用紙の情報を前記第1用紙情報として応答し、
前記サポートプログラムは、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、
前記印刷指示についての前記印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報を取得し、
前記プリンタから受信した前記第1用紙情報と、前記第2用紙情報とを比較することで、用紙の適否を判定し、
用紙が不適と判定した場合に、前記ユーザインタフェースを用いて、警告を行うための処理を行い、
さらに前記サポートプログラムは、
前記印刷指示がある前に、前記アプリケーションプログラムが操作を受け付けたことに応じて前記汎用印刷プログラムからの実行指示があった場合に、
前記設定画面の表示と、前記取得要求の送信と、を行う、
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置からプリンタを制御する技術として、プリンタドライバによって印刷設定を取得し、取得した印刷設定に基づいて印刷データを生成する構成が広く知られている。また、プリンタドライバの技術として、例えば特許文献1には、プリンタが検知した用紙サイズと、アプリケーションで設定された用紙サイズと、を比較し、用紙サイズの不一致を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-11946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、前述したプリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム(OS)に標準に組み込まれている印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、OSがプリンタとOS標準の印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタドライバを用いずに、OS標準の印刷プログラムによる印刷が可能になる。
【0005】
前述したOS標準の汎用印刷プログラムを印刷に用いる場合、従来のプリンタドライバを印刷に用いることができない。そのため、プリンタドライバで提供されていた機能の一部がサポートされなくなる。例えばOS標準の汎用印刷プログラムでは、前述したような情報処理装置側の用紙情報とプリンタ側の用紙情報との適否を検出する機能をサポートしておらず、用紙情報の不一致に対して適切な処理を行うことが困難である。そのため、画像が用紙からはみ出す等、印刷してからユーザの意図しない印刷結果となったことに気付くことがある。
【0006】
本明細書は、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、用紙に基づくユーザの意図しない印刷を低減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記コンピュータに、印刷設定の入力操作を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示する設定画面表示処理と、前記設定画面表示処理により前記設定画面を表示することに伴い、前記プリンタから印刷に用いられる用紙の情報である第1用紙情報を取得する第1取得処理と、を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記印刷指示についての前記印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報を取得する第2取得処理と、前記第1取得処理にて取得した前記第1用紙情報と、前記第2取得処理にて取得した前記第2用紙情報とを比較することで、用紙の適否を判定する判定処理と、前記判定処理にて不適と判定した場合に、前記ユーザインタフェースを用いて、警告を行うための処理を行う警告処理と、を実行させる、ことを特徴としている。
【0008】
本明細書に開示されるサポートプログラムによれば、情報処理装置は、印刷指示の前から表示可能である設定画面の表示に伴って、プリンタが有する用紙の情報である第1用紙情報をプリンタから取得する。そして、情報処理装置は、汎用印刷プログラムに対する印刷指示があった際に、第1用紙情報と、印刷指示についての印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報とを比較して適否を判定する。さらに、情報処理装置は、用紙を不適と判定した場合、印刷データを送信する前に、警告を行う。これにより、ユーザがその印刷データの印刷を回避するための入力を行うことが期待でき、その結果として、ユーザの意図しない印刷を回避できる可能性が高まる。
【0009】
上記サポートプログラムが組み込まれた情報処理装置、サポートプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、及びサポートプログラムの機能を実現するための制御方法、サポートプログラムとプリンタとを含む印刷システムも、新規で有用である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示される技術によれば、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、用紙に基づくユーザの意図しない印刷を低減する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】PCの電気的構成の概略を示すブロック図である。
図2】各プログラムによる印刷動作の手順の例を示すシーケンス図である。
図3】用紙判定処理の手順を示すフローチャートである。
図4】警告メッセージの例を示す説明図である。
図5】警告メッセージの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、印刷機能を有するプリンタと、プリンタに接続されるPCにて実行されるサポートプログラムと、を含む印刷システムを開示する。
【0013】
本形態の印刷システム100は、図1に示すように、PC1とプリンタ2とを含む。PC1は、情報処理装置の一例である。プリンタ2は、印刷機能を有する装置である。PC1とプリンタ2とは、通信可能に接続されている。本形態のプリンタ2は、例えば、PC1等から印刷データを受信して、受信した印刷データに基づく印刷を実行する。
【0014】
本形態のPC1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は、コンピュータの一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0015】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0016】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、情報を表示可能なディスプレイと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0017】
通信IF14は、プリンタ2等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0018】
PC1のメモリ12には、図1に示すように、汎用印刷プログラム41を含むオペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、補助プログラム42と、編集アプリ43と、が記憶されている。補助プログラム42は、サポートプログラムの一例である。編集アプリ43は、アプリケーションプログラムの一例である。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0019】
汎用印刷プログラム41は、ユーザの指示に基づいて、プリンタ2等の各種のプリンタに印刷を実行させるためのOS標準のプログラムである。本形態の汎用印刷プログラム41は、印刷対象の画像データに基づいて、中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。
【0020】
汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタのベンダによって提供される複数種類のモデルのプリンタが共通に利用できる機能をサポートしている。汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタが固有に備える機能の全てに対応するものではなく、サポートする機能は汎用的なものに限られる。
【0021】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41の処理に付随してOS21からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするアプリである。本形態の補助プログラム42は、PC1に接続されているプリンタ2のモデルに対応するものであり、例えば、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷を実行させる指示を受け付けた場合に、汎用印刷プログラム41から起動される。補助プログラム42は、例えば、ハードウェアサポートアプリ(略称、HSA)と呼ばれる。
【0022】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から複数種の命令を受け付け可能であり、受け付けた命令に基づいて、各種の処理を実行する。なお、補助プログラム42は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、1つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。
【0023】
補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。PC1のOS21は、例えば、新たなプリンタがPC1に接続された場合、接続されたプリンタのタイプに応じて、適切な補助プログラムをサーバ等からダウンロードして自装置に組み込む。そして、OS21は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ12に記憶させる。なお、プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。
【0024】
編集アプリ43は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのアプリである。編集アプリ43は、例えば、マイクロソフト(登録商標)製のワードやパワーポイントなどであっても良いし、プリンタ2のベンダから提供されるアプリであっても良い。編集アプリ43は、プリンタ2に所定の動作を行わせる指示を含むユーザ操作を受け付ける。具体的には、編集アプリ43は、ユーザIF13を介して、例えば、プリンタ2に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付ける。
【0025】
次に、本形態の補助プログラム42の動作を含む印刷の手順について、図2のシーケンス図を参照して説明する。図2は、編集アプリ43等の印刷指示を受け付けるアプリにて、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷させる印刷実行指示を受け付けた場合であって、プリンタ2に対応する補助プログラム42がPC1に組み込まれている場合の動作について示している。
【0026】
なお、本形態における処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、補助プログラム42などのプログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。CPU11による処理は、OS21のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS21の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。
【0027】
編集アプリ43は、ユーザの指示に基づいて、文章や図表等の作成や編集を受け付ける。編集アプリ43は、選択中の文章等の印刷に関する指示を受け付けると(A01)、ユーザによる指示を受け付けるための印刷画面をユーザIF13に表示する(A02)。編集アプリ43は、印刷画面にて、例えば、印刷実行指示、基本的な印刷設定の指示、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付ける。
【0028】
編集アプリ43は、表示中の印刷画面にてプリンタ2が選択された状態で、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付けた場合(A03)、受け付けた詳細設定指示の情報をOS21に渡す。OS21は、汎用印刷プログラム41を使用する印刷に関する詳細設定の指示を受け付けた場合、汎用印刷プログラム41を実行させ、汎用印刷プログラム41に詳細な印刷設定の受け付け開始指示を渡す(A04)。汎用印刷プログラム41は、詳細な印刷設定の受け付け開始指示を受け付けると、選択中のプリンタであるプリンタ2に対応する補助プログラム42に詳細な印刷設定の受け付け実行指示を渡す(A05)。
【0029】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41からの実行指示に基づいて動作を開始し、詳細な印刷設定の入力操作を受け付けるための設定画面をユーザIF13に表示する(A06)。A06は、設定画面表示処理の一例である。補助プログラム42は、例えば、プリンタ2のモデル情報に基づいて、対応可能な詳細設定を受け付ける画面を表示し、ユーザの操作を受け付ける。
【0030】
また、補助プログラム42は、A06にて設定画面の表示を開始した後に、通信IF14を介して、プリンタ2に対して能力情報を要求する取得要求を送信する(A11)。プリンタ2は、PC1等から能力情報を要求する取得要求を受信した場合、自装置の能力を示す能力情報を取得し(A12)、取得した能力情報を、要求を送信した装置に応答する(A13)。プリンタ2から送信される能力情報には、例えば、ステータス情報、消耗品の残量情報、装着されているトレイの情報、トレイごとに設定されている用紙の用紙情報、対応可能な印刷解像度の情報、が含まれる。
【0031】
プリンタ2は、例えば、操作パネルを介して、自装置の備える給紙トレイに収容する用紙の用紙情報を受け付け、受け付けた用紙情報を自装置のメモリに記憶している。A12では、プリンタ2は、自装置のメモリから用紙情報を読み出す。プリンタ2のメモリから読み出される用紙情報には、一例として、用紙サイズの情報と用紙種の情報が含まれる。プリンタ2は、複数の給紙トレイを装着可能であっても良く、複数の給紙トレイを備えている場合には、トレイごとに、トレイを示す情報と関連付けて用紙情報を記憶する。なお、プリンタ2は、トレイに収容されている用紙を検出するセンサ等を有している場合には、そのセンサ等の出力信号に基づいて、用紙情報を取得しても良い。
【0032】
また、プリンタ2は、受け付けた印刷ジョブに基づいて画像処理を行って,画像処理後のデータに基づいて印刷する機能、例えば、Nin1等の集約印刷、ウォータマーク等の合成印刷、着色剤を節約する節約印刷、を行う機能を有していても良い。プリンタ2にて実行可能な画像処理の機能を有している場合、プリンタ2は、その機能の情報を能力情報として補助プログラム42に渡しても良い。
【0033】
A13によって、補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報を取得する。補助プログラム42が取得する能力情報には、プリンタ2の用紙情報が含まれる。A13は、第1取得処理の一例であり、プリンタ2の能力情報に含まれる用紙情報は、第1用紙情報の一例である。用紙情報には、一例として、用紙サイズの情報と用紙種の情報が含まれる。
【0034】
なお、補助プログラム42とプリンタ2との通信は、例えば、MIB(Management Information Baseの略)を使って、補助プログラム42が直接プリンタ2と通信しても良いし、OS21を介して行っても良い。OS21を介して行う場合、補助プログラム42とプリンタ2とは、例えば、IPP(internet printing protocolの略)等のOS21の通信規約に応じた通信を行う。
【0035】
補助プログラム42は、プリンタ2から取得した能力情報に基づいて、トレイごとに設定されている用紙の用紙情報を、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の使用可能領域に記憶する(A14)。補助プログラム42は、プリンタ2から取得した用紙情報に含まれる用紙サイズの情報がA4等の定型サイズを示す情報であれば、用紙長さと用紙幅を示す数値に換算して記憶しても良い。
【0036】
また、補助プログラム42は、A06にて表示した詳細設定を受け付ける設定画面にて、ユーザによる指示を受け付ける(A22)。なお、補助プログラム42は、プリンタ2から取得した能力情報に基づいて、受け付け可能な詳細設定の項目等を決定しても良い。補助プログラム42は、詳細設定を終了する指示を受け付けると、A06にて表示した設定画面を閉じ、汎用印刷プログラム41に終了通知を渡す。汎用印刷プログラム41は、編集アプリ43に終了通知を渡す。
【0037】
編集アプリ43は、印刷画面にてユーザによる印刷実行指示を受け付けると(A31)、印刷指示を汎用印刷プログラム41に渡す(A32)。汎用印刷プログラム41は、印刷指示にて、印刷対象となる画像データを示す情報と、印刷設定を示す情報と、を取得する。印刷設定には、用紙情報が含まれる。印刷設定に含まれる用紙情報にも、用紙サイズの情報と用紙種の情報が含まれる。
【0038】
汎用印刷プログラム41は、受け取った印刷指示に含まれる画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで中間画像データを生成し(A33)、中間画像データを含む印刷ジョブを生成する。編集アプリ43に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム41は、受け取った画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷指示に含まれる画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。中間画像データは、例えば、XPSデータである。
【0039】
汎用印刷プログラム41は、さらに、補助プログラム42に実行指示を出力し(A34)、補助プログラム42を動作させる。実行指示では、生成された中間画像データと印刷設定の情報とが補助プログラム42に渡される。補助プログラム42に渡される印刷設定には、用紙情報が含まれる。この印刷設定に含まれる用紙情報にも、用紙サイズの情報と用紙種の情報が含まれる。なお、汎用印刷プログラム41は、この用紙情報の一部または全部を中間画像データに含めるようにして補助プログラム42に渡しても良い。
【0040】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から受け取った実行指示に基づいて用紙判定処理を実行する(A35)。用紙判定処理は、A34にて汎用印刷プログラム41から受け取った用紙情報と、A13にてプリンタ2から取得した用紙情報と、を比較することで用紙の適否を判定し、判定結果に基づいて、印刷を実行するかキャンセルするかを決定する処理である。用紙判定処理の手順については、後述する。
【0041】
なお、編集アプリ43が、A31による印刷実行の指示を受け付ける前に、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付けなかった場合、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41からのA05の実行指示を受け付けていないことから、A11~A14を実行していない。その場合、補助プログラム42は、A35の実行前にA11~A14を実行するようにしても良い。あるいは、補助プログラム42は、A34にて実行指示を受け付けた際に、自装置のメモリに用紙情報が記憶されていなければ、A35の実行前にA11~A14を実行するようにしても良い。
【0042】
補助プログラム42は、A35の用紙判定処理にて印刷を実行すると判定した場合(alt:[印刷])、A34にて受け取った中間画像データに基づいてラスタライズを実行し、印刷対象の画像を示す印刷データを生成する(A41)。A41にて生成される印刷データは、プリンタ2にて印刷に使用できる形式のデータであり、例えば、プリンタ2のモデルに専用のPDLデータである。
【0043】
プリンタ2に対応する補助プログラム42にてラスタライズすることで、汎用印刷プログラム41にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ2での印刷に適した印刷データが生成される可能性が高い。なお、補助プログラム42によって生成される印刷データは、プリンタ2のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。
【0044】
補助プログラム42が印刷データを生成する代わりに、汎用印刷プログラム41が印刷データの生成を行っても良い。つまり、補助プログラム42は、印刷を実行すると判定した場合、汎用印刷プログラム41に印刷実行の情報を渡しても良い。その場合、汎用印刷プログラム41は、A33にて生成した中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する。そして、汎用印刷プログラム41は、生成した印刷データを補助プログラム42に渡す。
【0045】
汎用印刷プログラム41によって生成される印刷データは、各種のプリンタにて印刷に使用できる形式の印刷データであり、例えば、PWGRasterデータ、または、PDFデータである。汎用印刷プログラム41によってラスタライズするとすれば、補助プログラム42の処理が少なく、処理時間増大の回避が見込まれ、また、補助プログラム42のプログラムサイズが抑えられる。
【0046】
また、汎用印刷プログラム41は、中間画像データを補助プログラム42に渡すことなく、用紙判定処理の結果を補助プログラム42から受け取っても良い。そして、印刷を実行すると判定された場合、汎用印刷プログラム41が印刷データを生成するとしても良い。
【0047】
補助プログラム42は、A41にて印刷データを生成した後、生成した印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する(A42)。また、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から印刷データを受け取った場合、汎用印刷プログラム41から受け取った印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する。印刷データと印刷コマンドとを受信したプリンタ2は、受信した印刷コマンドに基づいて、印刷データの画像の印刷を実行する(A43)。これにより、印刷物が生成される。補助プログラム42は、さらに、印刷データの送信を終了したことを汎用印刷プログラム41に通知する。
【0048】
なお、プリンタ2への印刷データ等の送信は、汎用印刷プログラム41が行っても良い。つまり、補助プログラム42は、生成した印刷データを、プリンタ2を送信先としてPC1から送信されるように、汎用印刷プログラム41に渡しても良い。汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42から受け取った印刷データをプリンタ2に送信する。
【0049】
一方、A35の用紙判定処理にて印刷をキャンセルすると判定した場合(alt:[キャンセル])、補助プログラム42は、印刷ジョブをキャンセルする情報を汎用印刷プログラム41に渡す(A44)。A44は、キャンセル処理の一例である。これにより、汎用印刷プログラム41は、A32にて受け取った印刷指示に基づく印刷ジョブをキャンセルし、印刷の処理を終了する。
【0050】
次に、本形態の補助プログラム42による用紙判定処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。用紙判定処理は、図2のA35にて、PC1のCPU11によって実行される処理である。
【0051】
用紙判定処理では、CPU11は、図2のA14にて記憶した用紙情報を読み出す(S101)。S101にて読み出す情報は、図2のA13にてプリンタ2から取得した能力情報に含まれる情報であり、プリンタ2の各トレイに設定されている用紙に関する情報である。
【0052】
そして、CPU11は、読み出した情報に基づいて、用紙情報が判定の実行対象であるか否かを判断する(S102)。プリンタ2に設定されている全ての用紙が、例えば、用紙種が普通紙や再生紙であって、用紙サイズがA4等の定型サイズであれば、サイズが適合しない印刷を行って用紙が無駄になったとしてもユーザの損失は小さい可能性が高い。安価な用紙と想定される場合は画像のはみ出しや印刷のやり直しが許容され易いことから、早期に印刷を完了させて印刷結果を出力する方が好ましい。
【0053】
今回の印刷が判定の実行対象ではないと判断した場合(S102:NO)、CPU11は、「印刷」と判定して(S109)、用紙判定処理を終了する。CPU11は、プリンタ2に設定されている用紙の用紙種が普通紙または再生紙であって、かつ、用紙サイズがA4、B5等の定型サイズであれば、S102にてNOと判断する。判定対象ではない場合には、S103以降の処理を行わずに「印刷」と判定することで、早期に印刷結果を出力させることができる。
【0054】
一方、プリンタ2に、高価格である可能性が高い用紙が設定されている場合、サイズが適合しない印刷を行って用紙が無駄になることは好ましくない。例えば、用紙種が厚紙、ハガキ、シール用紙、OHP用紙、布等の場合や、用紙サイズがハガキ、封筒等の場合、その用紙は、普通紙または再生紙の定型サイズの用紙に比較して、高価格である可能性が高い。ハガキまたは封筒を示す用紙サイズは、高価値を示す所定のサイズの一例である。また、厚紙、ハガキ、シール用紙、OHP用紙、布を示す用紙種は、高価値を示す所定の種類の一例である。CPU11は、プリンタ2に設定されている用紙の用紙情報に、用紙種が普通紙と再生紙とのいずれでもない、または、用紙サイズがA4、A5、B4、B5のいずれでもない用紙が少なくとも1つ含まれている場合、S102にてYESと判断する。
【0055】
用紙情報が判定の実行対象であると判断した場合(S102:YES)、CPU11は、図2のA34にて汎用印刷プログラム41から受け取った実行指示から、印刷設定に含まれる用紙情報を取得する(S103)。S103は、第2取得処理の一例であり、S103にて取得する用紙情報は、第2用紙情報の一例である。用紙情報には、一例として、用紙サイズの情報、用紙種の情報が含まれる。S103にて取得される印刷設定は、例えば、図2のA22にて、ユーザによって指定された設定の情報である。
【0056】
さらに、CPU11は、S103にて取得した情報に基づいて、印刷設定にて給紙トレイが明示的に指定されているか否かを判断する(S104)。給紙トレイが指定されていると判断した場合(S104:YES)、CPU11は、指定されている給紙トレイに関連付けて記憶されている用紙情報を、S101にて読み出した用紙情報から抽出する。そして、CPU11は、抽出した用紙情報とS103にて取得した用紙情報との関係が適合しているか否かを判断する(S105)。S105は、判定処理の一例である。なお、プリンタ2が備える給紙トレイが1つのみであれば、CPU11は、S104にてYESと判断し、そのトレイについてS105の判断を実行する。
【0057】
CPU11は、例えば、S101にて読み出した用紙情報に含まれる用紙サイズと、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙サイズと、を比較することで、用紙サイズの適否を判定する。例えば、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙サイズがあらかじめ規定されたサイズである定型サイズであって、S101にて読み出した用紙情報に含まれる用紙サイズと一致しない場合、CPU11は、S105にて不適と判断する。
【0058】
用紙サイズが異なると画像がはみ出す可能性があり、ユーザの意図しない印刷となる可能性が高まる。本形態では、用紙サイズの適否を判定するので、ユーザの意図しない印刷を回避できる可能性が高い。なお、用紙サイズの一致とは、用紙の縦方向のサイズと横方向のサイズとの両方の一致を意味する。また、用紙サイズの差が縦横のいずれについても所定の範囲内である場合、例えば、A4サイズとレターサイズとであれば、CPU11は、適合していると判断しても良い。
【0059】
また、CPU11は、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙サイズがあらかじめ規定された定型サイズではなく、ユーザによって定義されたユーザ定義サイズである場合、定義されたサイズの数値に基づいて用紙情報の比較を行う。また、S101にて読み出した用紙情報に含まれる用紙サイズが数値で表されている場合にも、数値に基づいて用紙情報の比較を行う。例えば、CPU11は、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙サイズに対応する縦横の長さを示す数値と、S101にて読み出した用紙情報に含まれる用紙サイズに対応する縦横の長さを示す数値との差が、縦横の少なくとも一方について、所定範囲外である場合、不適と判断する。なお、用紙種がロール紙である場合、CPU11は、用紙サイズのうち、横方向のサイズ(用紙幅ともいう)についてのみ適否を判断すればよい。
【0060】
また、CPU11は、S101にて読み出した用紙情報に含まれる用紙種と、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙種と、を比較することで、用紙種の適否を判定しても良い。例えば、両方の用紙情報の用紙種が一致しない場合、CPU11は、S105にて不適と判断する。
【0061】
プリンタ2の用紙情報と印刷設定の用紙情報とが適合していないと判断した場合(S105:NO)、CPU11は、ユーザIF13に警告メッセージを表示させる(S106)。S106は、警告処理の一例である。警告メッセージを表示させる処理は、警告を行うための処理の一例である。
【0062】
CPU11は、S106にて、例えば、図4に示すように、印刷設定にて選択された用紙サイズに適合する用紙がプリンタ2にセットされていないことをユーザに報知する警告メッセージ50を表示させる。警告メッセージ50には、このまま印刷する指示を受け付ける印刷ボタン51と、印刷をキャンセルする指示を受け付けるキャンセルボタン52と、が含まれる。警告メッセージ50では、印刷設定にて選択されたトレイや用紙サイズの情報を表示しても良い。
【0063】
そして、CPU11は、印刷ボタン51への操作を受け付けたか否かを判断する(S107)。印刷ボタン51への操作を受け付けていないと判断した場合(S107:NO)、CPU11は、キャンセルボタン52への操作を受け付けたか否かを判断する(S108)。キャンセルボタン52への操作を受け付けていないと判断した場合(S108:NO)、CPU11は、印刷ボタン51とキャンセルボタン52とのいずれかへの操作を受け付けるまで待機する。
【0064】
印刷ボタン51への操作を受け付けたと判断した場合(S107:YES)、CPU11は、印刷と判定して(S109)、用紙判定処理を終了する。一方、キャンセルボタン52への操作を受け付けたと判断した場合(S108:YES)、CPU11は、キャンセルと判定して(S110)、用紙判定処理を終了する。用紙判定処理の終了後は、図2に示したように、判定結果に基づいて、A41またはA44に進む。
【0065】
用紙判定処理にてキャンセルと判定された場合、図2のA44にて印刷ジョブがキャンセルされる。警告の際に印刷ジョブをキャンセルできることで、プリンタでのユーザの意図しない印刷を確実に回避できる。
【0066】
なお、CPU11は、S103にて取得した用紙情報に含まれる用紙サイズがユーザ定義サイズである場合、用紙サイズの関係に関わらず、S105にてYESと判断しても良い。プリンタ2にて設定可能な用紙サイズには、ユーザ定義サイズが含まれない場合がある。その場合、ユーザは、プリンタ2にて、ユーザ定義サイズに近いサイズを設定することになり、正確な一致判定が困難となる。CPU11は、印刷設定の用紙サイズがユーザ定義サイズの場合、適合していると判断して警告しないことで、ユーザの困惑を回避する。
【0067】
一方、給紙トレイが指定されていないと判断した場合(S104:NO)、CPU11は、S101にて読み出したプリンタ2の用紙情報のうち、印刷設定の用紙情報と適合するトレイが有るか否かを判断する(S121)。プリンタ2が給紙トレイを複数備えており、印刷設定にて自動トレイが選択されている場合、CPU11は、S104にて、給紙トレイが指定されていないと判断する。
【0068】
自動トレイが選択されている印刷設定を含む印刷コマンドを受け付けた場合、プリンタ2は、印刷設定の用紙サイズなどに基づいて、装着されている各給紙トレイのうち、使用する給紙トレイを自動的に決定する。補助プログラム42は、プリンタ2のトレイごとの用紙情報を取得しているので、取得した全ての用紙情報と印刷設定の用紙情報とを比較して,用紙の適否を判定できる。なお、プリンタ2は、自動トレイが選択されている印刷コマンドを受け付けた場合であって、印刷設定に含まれる用紙情報に適合する用紙が設定されているトレイが無い場合、エラーと判定して印刷を実行しない場合がある。
【0069】
用紙情報が適合するトレイが無いと判断した場合(S121:NO)、CPU11は、ユーザIF13に警告メッセージを表示させる(S122)。S122は、警告処理の一例である。警告メッセージを表示させる処理は、警告を行うための処理の一例である。
【0070】
CPU11は、S122にて、例えば、図5に示すように、印刷設定にて選択された用紙サイズに適合する用紙がセットされたトレイが無いことを報知する警告メッセージ60を表示させる。警告メッセージ60には、プリンタ2の設定等を変更した後に印刷する指示を受け付けるOKボタン61と、印刷をキャンセルする指示を受け付けるキャンセルボタン62と、が含まれる。警告メッセージ60では、印刷設定にて設定されている用紙サイズの情報を表示しても良い。
【0071】
そして、CPU11は、OKボタン61への操作を受け付けたか否かを判断する(S123)。OKボタン61への操作を受け付けていないと判断した場合(S123:NO)、CPU11は、キャンセルボタン62への操作を受け付けたか否かを判断する(S124)。キャンセルボタン62への操作を受け付けていないと判断した場合(S124:NO)、CPU11は、OKボタン61とキャンセルボタン62とのいずれかへの操作を受け付けるまで待機する。
【0072】
サイズが適合するトレイが有ると判断した場合(S121:YES)、または、OKボタン61への操作を受け付けたと判断した場合(S123:YES)、CPU11は、印刷と判定して(S109)、用紙判定処理を終了する。一方、キャンセルボタン62への操作を受け付けたと判断した場合(S124:YES)、CPU11は、キャンセルと判定して(S110)、用紙判定処理を終了する。用紙判定処理の終了後は、図2に示したように、判定結果に基づいて、A41またはA44に進む。
【0073】
本形態では、補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報として、トレイごとに設定されている用紙情報を取得するので、印刷設定として自動トレイが設定されている場合であっても、適切な警告ができる。また、印刷データの生成前に用紙判定処理を実行し、その結果に応じて警告を行うことで、印刷データの生成前に印刷ジョブをキャンセルすることができ、印刷データの生成の無駄を回避できる。
【0074】
なお、補助プログラム42は、S106またはS122において、警告メッセージ50、60を自身で表示する代わりに、警告の情報をOS21または汎用印刷プログラム41に渡して、OS21または汎用印刷プログラム41に警告を行うように指示しても良い。この場合、警告の情報を渡す処理が、警告を行うための処理の一例である。なお、警告は、警告メッセージ50、60等の表示に限らず、音声による警告であっても良いし、表示と音声との併用であっても良い。
【0075】
以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム42によれば、PC1は、詳細設定の情報を受け付ける設定画面を表示する際に、プリンタ2が有する用紙の情報を取得する。さらに、PC1は、汎用印刷プログラム41に対する印刷指示があった際に、プリンタ2から取得した用紙情報と、印刷指示についての印刷設定に含まれる用紙情報とを比較して適否を判定する。さらに、補助プログラム42は、用紙を不適と判定した場合、印刷データを送信する前に、警告を行うので、ユーザがその印刷データの印刷を回避するための入力を行うことが期待でき、その結果として、ユーザの意図しない印刷を回避できる可能性が高まる。
【0076】
また、本形態の補助プログラム42は、印刷指示の前から表示可能である詳細設定の設定画面を表示する際にプリンタ2から用紙情報を取得するので、印刷指示を受け付けた際にプリンタ2から用紙情報を取得する場合と比較して、印刷指示を受け付けた後の処理の早期完了が期待できる。
【0077】
なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、PC1に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、2台以上でも良い。
【0078】
また、例えば、図示の警告メッセージはいずれも一例であり、これに限らない。例えば、印刷やキャンセルを受け付けるボタンは、無くても良い。例えば、補助プログラム42は、不適と判定した場合には、警告メッセージを表示した後に印刷をキャンセルするとしても良い。あるいは、補助プログラム42は、不適と判定した場合であっても、例えば、プリンタ2にて受信した印刷をキャンセルできる機能を備えている場合には、警告メッセージを表示した後に印刷データをプリンタ2に送信するとしても良い。ただし、警告メッセージにてユーザの指示を受け付けることで、一律にキャンセルあるいはデータ送信となるよりもユーザの意向が反映されやすい。
【0079】
また、例えば、警告メッセージでは、印刷設定の変更を受け付けても良い。また、警告メッセージでは、用紙情報を表示しなくても良い。また、警告メッセージでは、用紙種の情報も表示しても良い。
【0080】
また、本形態では、用紙情報として、用紙サイズの情報と用紙種の情報とを含むとしたが、いずれか一方でも良い。また、用紙情報には、用紙サイズの情報や用紙種の情報以外の情報が含まれていても良い。
【0081】
また、例えば、本形態では、用紙判定処理のS102にて、用紙サイズや用紙種によって、判定対象とするか否かを判断するとしたが、この判断は行わなくても良い。つまり、用紙サイズや用紙種に関わらず、全ての印刷指示を判定対象としても良い。
【0082】
また、例えば、本形態では、用紙サイズが一致しない場合に不適と判断するとしたが、用紙サイズの差が所定の範囲内であれば適合していると判断してもよいし、プリンタ2の用紙サイズが印刷設定の用紙サイズよりも大きい場合には適合していると判断してもよい。また、用紙種に基づく判断は行わなくても良い。つまり、補助プログラム42は、用紙サイズが適合していれば、適合していると判断しても良い。また、例えば、本形態では、印刷設定の用紙サイズがユーザ定義サイズであれば不一致であっても適合していると判断するとしたが、これに限らない。
【0083】
また、例えば、本形態では、印刷データの生成前に用紙判定処理を実行するとしたが、印刷データの生成後に実行しても良い。例えば、補助プログラム42は、印刷データを生成した後であって、印刷データをプリンタ2に送信する前に、用紙判定処理を行っても良い。その場合、補助プログラム42は、用紙判定処理にて、プリンタ2の用紙情報と印刷設定の用紙情報との比較に加えて、印刷データのサイズも比較しても良い。
【0084】
また、補助プログラム42は、以前の印刷指示等に基づいてプリンタ2から用紙情報を取得した場合、取得した用紙情報をメモリ12に記憶したままとしても良い。つまり、詳細設定の指示を受け付けた際に、メモリ12に用紙情報が既に記憶されていれば、その情報を利用しても良い。
【0085】
また、実施の形態では、補助プログラム42の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム42は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム42に限らず、汎用印刷プログラム41を用いた印刷を行う際に、OS21または汎用印刷プログラム41から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフロー アプリ(Print workflow)でも良い。
【0086】
また、補助プログラム42の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、OS21から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐される補助プログラム42であっても良い。常駐される場合には、補助プログラム42は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。
【0087】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0088】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
13 ユーザIF
100 印刷システム
図1
図2
図3
図4
図5