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特許7596788熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂シート、電子部品、及び電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂シート、電子部品、及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20241203BHJP
   C08L 71/12 20060101ALI20241203BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20241203BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20241203BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20241203BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20241203BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20241203BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C08L79/08
C08L71/12
C08K5/3415
C08L65/00
C08K5/5425
C08L63/00 A
H01Q1/38
H01B3/30 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020554549
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036233
(87)【国際公開番号】W WO2021065704
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019181164
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020086007
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 央
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 彰
(72)【発明者】
【氏名】松村 和行
(72)【発明者】
【氏名】酒部 庸平
(72)【発明者】
【氏名】荒木 斉
(72)【発明者】
【氏名】壽慶 将也
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-229274(JP,A)
【文献】特開2017-186551(JP,A)
【文献】特開2015-199328(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056451(WO,A1)
【文献】特開2019-001875(JP,A)
【文献】特開2014-011769(JP,A)
【文献】特開2017-101152(JP,A)
【文献】特開平06-340808(JP,A)
【文献】特開2008-037915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C08G 73/10
C09J179/08
C09J 7/35
CAplus/REGISTRY (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A1)、(B)、(C)、式(12)で表される(F)シランカップリング剤を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
(A1)ポリイミド樹脂:式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂。
【化1】
(式(8)中、a、b、cおよびdはa+b=6~17、c+d=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
【化2】
(式(9)中、e、f、gおよびhはe+f=5~16、g+h=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂。
(C)マレイミド樹脂:N個のマレイミド基を有するポリマレイミド樹脂であり、Nは、整数であり、その平均値は2より大きく、30より小さい。
【化3】
(式(12)中、Xは芳香族の2価の炭化水素基を表し、R13はそれぞれ同じでも異なってもよく、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基又はフェノキシ基を表し、iは1~3の整数を示す。ただし、複数のR13のうち少なくとも1つはハロゲンまたは炭素数1~6のアルコキシ基である。)
【請求項2】
下記(A2)、(B)、(C)、式(12)で表される(F)シランカップリング剤を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
(A2)ポリイミド樹脂:式(1)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂。
【化4】
(式(1)中、mは1~60の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂。
(C)マレイミド樹脂:N個のマレイミド基を有するポリマレイミド樹脂であり、Nは、整数であり、その平均値は2より大きく、30より小さい。
【化5】
(式(12)中、Xは芳香族の2価の炭化水素基を表し、R13はそれぞれ同じでも異なってもよく、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基又はフェノキシ基を表し、iは1~3の整数を示す。ただし、複数のR13のうち少なくとも1つはハロゲンまたは炭素数1~6のアルコキシ基である。)
【請求項3】
さらに下記(A2)ポリイミド樹脂を含有する、請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
(A2)ポリイミド樹脂:式(1)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂。
【化6】
(式(1)中、mは1~60の整数を示す。R およびR は同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R ~R はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
【請求項4】
(A2)ポリイミド樹脂が、ポリイミドの全ジアミン残基100モル%中、式(1)のジアミン残基を20~80モル%の範囲で含有し、かつ、(A1)ポリイミド樹脂が、ポリイミドの全ジアミン残基100モル%中、式(8)および式(9)のジアミン残基の合計を1~30モル%の範囲で含有する、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化7】
(式(1)中、mは1~60の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
【化8】
(式(8)中、a、b、cおよびdはa+b=6~17、c+d=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
【化9】
(式(9)中、e、f、gおよびhはe+f=5~16、g+h=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
【請求項5】
さらに(D)エポキシ樹脂および(E)硬化促進剤を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の、イミド基当量が350以上、1000以下である、請求項1~5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂が、式(3)で示される構造を有するジアミン残基を有する、請求項1~6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化10】
(式(3)中、RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す)
【請求項8】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上200℃以下である、請求項1~7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(B)フェニレンエーテル樹脂の含有量が、熱硬化性樹脂組成物100重量%中に5重量%以上50重量%以下である、請求項1~8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を未熱硬化の状態で支持体上に層形成してなる熱硬化性樹脂シート。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物、または、請求項10に記載の熱硬化性樹脂シートを硬化した硬化膜。
【請求項12】
請求項11に記載の硬化膜を具備する電子部品。
【請求項13】
少なくとも、1以上のアンテナ配線、請求項11に記載の硬化膜、を具備するアンテナ素子を含む電子部品であって、
該アンテナ配線がミアンダ状ループアンテナ、コイル状ループアンテナ、ミアンダ状モノポールアンテナ、ミアンダ状ダイポールアンテナおよびマイクロストリップアンテナからなる群から選ばれる少なくとも一種類以上を含み、該アンテナ配線におけるアンテナ部一つあたりの専有面積が1000mm以下であり、該硬化膜はグランドとアンテナ配線間を絶縁する絶縁膜である、請求項12に記載の電子部品。
【請求項14】
少なくとも、半導体素子、再配線層、封止樹脂、アンテナ配線を具備する半導体パッケージを含む電子部品であって、
該再配線層の絶縁層、および/または、該封止樹脂、が請求項11に記載の硬化膜を含み、該封止樹脂はグランドとアンテナ配線間にある、請求項12または13記載の電子部品。
【請求項15】
アンテナ配線、および、請求項11に記載の硬化膜を積層させて得られるアンテナ素子を具備する電子部品であって、
アンテナ配線の高さが50~200μmであり、該硬化膜の厚みが80~300μmである、請求項12~14のいずれかに記載の電子部品。
【請求項16】
請求項12~15のいずれかに記載の電子部品を用いた電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂シート、電子部品、及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界中のデータ通信量が年々増加すると共に、AIやビッグデータ活用等の実用化でデータ処理方法の複雑化も進んでいる。そのため、データ通信速度およびデータ処理速度の向上が必須であり、通信周波数および電子機器内における信号の高周波数化が一つの解決策として検討されている。実際にデータを扱う電子機器における高周波数化対応には、素材の電気特性、回路設計、信号処理方法等、種々の方策があるが、特に、絶縁層、保護層として用いられる有機材料の誘電正接を低減することが有効である。
【0003】
他方、従来の有機材料、特に耐久性、加工性に優れた熱硬化性樹脂は分子間凝集力および接着性を発現するための極性官能基を多く含むため、比較的誘電正接が大きく、高周波数化への対応が難しかった。
【0004】
これに対し、(1)極性官能基が少ない熱可塑性樹脂を主成分として熱硬化性樹脂を配合する方法(特許文献1)、(2)反応後に極性官能基が残留しない熱硬化性樹脂を用いる方法(特許文献2)、(3)誘電正接の低い無機粒子を配合する方法(特許文献3)、等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-161828号公報
【文献】特開2003-252957号公報
【文献】特開2002-100238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、(1)の方法では、例えば動的粘弾性測定で示されるような耐熱性および接着力に課題がある。また、(2)および(3)の方法では硬化前後の膜強度が低く、可撓性、強伸度において使用できる用途や条件が制限されるという課題がある。さらに、(3)では無機粒子によりビアホール等の微細加工性も制限される。すなわち、従来技術では低誘電正接、耐熱性、可撓性、易加工性を満たすものは見いだせていない。
【0007】
そこで本発明は上記の課題を解決し、高周波数化に適した有機材料に用いられる、低誘電正接、耐熱性、可撓性、易加工性に優れた熱硬化性樹脂組成物並びにそれを用いた熱硬化性樹脂シート、電子部品、電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、高周波数における特性が良好な熱硬化性樹脂組成物について鋭意検討した結果、特定の構造を有するポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、フェニレンエーテル樹脂を組み合わせることにより低誘電正接、耐熱性、可撓性、易加工性を具備した高信頼性の熱硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の形態は以下である。
【0010】
下記(A1)、(B)、(C)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
【0011】
(A1)ポリイミド樹脂:式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂。
【0012】
【化1】
【0013】
(式(8)中、a、b、cおよびdはa+b=6~17、c+d=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
【0014】
【化2】
【0015】
(式(9)中、e、f、gおよびhはe+f=5~16、g+h=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂。
【0016】
(C)マレイミド樹脂:マレイミド樹脂。
【0017】
または、本発明の第二の形態は、以下である。
【0018】
下記(A2)、(B)、(C)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
【0019】
(A2)ポリイミド樹脂:式(1)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂。
【0020】
【化3】
【0021】
(式(1)中、mは1~60の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂。
【0022】
(C)マレイミド樹脂:マレイミド樹脂。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、高周波数化に適した有機材料に用いられる、低誘電正接、耐熱性、可撓性、易加工性に優れた熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂シート、電子部品、及び電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は平面アンテナの一種である共面給電型のマイクロストリップアンテナの概略図である。
図2図2はICチップ(半導体素子)、再配線、封止樹脂およびアンテナ素子を具備する半導体パッケージの断面に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記(A1)、(B)、(C)を含有する。
【0026】
(A1)ポリイミド樹脂:式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂
(C)マレイミド樹脂:マレイミド樹脂。
【0027】
本発明における(A1)ポリイミド樹脂は、式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂であれば特に限定されないが、主としてテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られ、テトラカルボン酸二無水物の残基とジアミンの残基を有することが好ましい。ここで、本発明における(A1)ポリイミド樹脂は、上記式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含む。
【0028】
【化4】
【0029】
(式(8)中、a、b、cおよびdはa+b=6~17、c+d=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
【0030】
【化5】
【0031】
(式(9)中、e、f、gおよびhはe+f=5~16、g+h=8~19を満たす1以上の整数であり、破線部は炭素-炭素単結合または炭素-炭素二重結合を意味する。)
式(8)または式(9)はリノール酸またはオレイン酸などの不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸の骨格を有する構造であり、得られる硬化膜の信頼性の観点から2重結合を含有しない構造が好ましく、式(10)で表される構造が経済性や得られる硬化膜の伸度などの観点から特に好ましい。
【0032】
【化6】
【0033】
式(8)で示される構造を有するジアミンの具体例は、ダイマージアミンの市販品としては、BASF(株)製の「“バーサミン(登録商標)”551」、「“バーサミン(登録商標)”552」、クローダジャパン(株)製の「“プリアミン(登録商標)”1073」、「“プリアミン(登録商標)”1074」、「“プリアミン(登録商標)”1075」などが挙げられる。ここで、「“バーサミン(登録商標)”551」、「“プリアミン(登録商標)”1074」はいずれも式(11)で表される化合物を含むダイマージアミン化合物であり、「“バーサミン(登録商標)”552」、「“プリアミン(登録商標)”1073」、「“プリアミン(登録商標)”1075」はいずれも、式(10)で表される化合物を含むダイマージアミン化合物である。
【0034】
【化7】
【0035】
またトリマートリアミンとダイマージアミンの混合物を用いてもよい。トリマートリアミンとダイマージアミンの市販品としてはクローダジャパン(株)製の「“プリアミン(登録商標)”1071」などが挙げられる。
【0036】
(A1)ポリイミド樹脂中、ジアミン残基に式(8)および/または式(9)で示される構造を有する場合のダイマー酸構造の含有量は1モル%以上、30モル%以下が好ましく、より好ましくは1モル%以上、15モル%以下である。1モル%以上にすることによって、比誘電率および誘電正接を低くすることができる。また30モル%以下にすることによって、耐熱性を高くすることができる。
【0037】
または、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記(A2)、(B)、(C)を含有する。
(A2)ポリイミド樹脂:式(1)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂
(B)フェニレンエーテル樹脂:数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する、フェニレンエーテル樹脂
(C)マレイミド樹脂:マレイミド樹脂。
【0038】
本発明における(A2)ポリイミド樹脂は、式(1)のジアミン残基を含有するポリイミド樹脂であれば特に限定されないが、主としてテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られ、テトラカルボン酸二無水物の残基とジアミンの残基を有することが好ましい。ここで、本発明における(A2)ポリイミド樹脂は、上記式(1)のジアミン残基を含む。
【0039】
【化8】
【0040】
(式(1)中、mは1~60の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1~30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
~Rに好適な炭素数1~30のアルキル基は特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。また、RやRに好適な炭素数1~30のアルキレン基は特に制限はないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。なお、アルキル基およびアルキレン基は直鎖構造である必要はない。
【0041】
シロキサン構造の結合数、つまり式(1)におけるmは、1以上、60以下が好ましく、より好ましくは1以上、40以下である。60以下にすることによって、耐熱性を向上することができる。
【0042】
式(1)で示される構造を有するジアミンの具体例としては、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(4-アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェノキシ-1,3-ビス(4-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(4-アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ビス(2-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ビス(3-アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(4-アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(5-アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(2-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(4-アミノブチル)ジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジメトキシ-1,3-ビス(4-アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(2-アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(4-アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(5-アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサエチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサプロピル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらのジアミンに対応する製品としては、信越化学(株)製のLP7100、PAM-E、KF8010、X-22-161A、X-22-161B、KF8012、KF8008などが挙げられる。
【0043】
(A2)ポリイミド樹脂が、式(1)のジアミン残基を含有する場合、式(1)のシロキサン構造の含有量は20モル%以上、80モル%以下が好ましく、より好ましくは30モル%以上、70モル%以下である。20モル%以上にすることによって、極性の低い構造が多くなり比誘電率および誘電正接を低くすることができる。また80モル%以下にすることによって、高温での弾性率を向上し、耐熱性を高くすることができる。
【0044】
ポリイミド樹脂が、(A1)ポリイミド樹脂、および、(A2)ポリイミド樹脂、であることが好ましい。式(1)ならびに式(8)および/または式(9)のジアミン残基を含有することで、比誘電率および誘電正接をさらに低くすることができる。
【0045】
(A2)ポリイミド樹脂が、ポリイミドの全ジアミン残基100モル%中、式(1)のジアミン残基を20~80モル%の範囲で含有し、かつ、(A1)ポリイミドの全ジアミン残基100モル%中、式(8)および式(9)のジアミン残基の合計を1~30モル%の範囲で含有することが好ましい。
【0046】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の、イミド基当量は350以上、1000以下が好ましい。より好ましくは380以上、900以下である。イミド化後のイミド基当量が上記350以上1000以下の範囲に入っていることが好ましい。イミド基当量は、ポリイミド樹脂中のイミド基1モルあたりの分子量である。イミド基当量は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの分子量からユニット単位で計算する。例えば下記式(2)で示されるポリイミド樹脂の場合、1ユニット当たり2モルのイミド基が存在し、ポリイミド樹脂の分子量は684.71であることから、イミド基当量は342.36になる。(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂は、イミド基当量を350以上にすることによって、イミド基濃度が低下し、極性が低くなることから誘電正接を低くすることができる。またイミド基当量を1000以下にすることによって、イミド基による分子の凝集効果により、耐熱性を向上することができる。
【0047】
【化9】
【0048】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂は、式(3)で示される構造を有するジアミン残基を有することが好ましい。式(3)中、RおよびRは同じでも異なっていても良く、炭素数1~30のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フェニル基、またはフェノキシ基を示す。
【0049】
【化10】
【0050】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂が、式(3)で示される構造を有するジアミン残基を含有することにより、直線性が高い構造で剛直となり、樹脂の機械強度が高くなる。機械強度を向上する観点から、式(3)で示される構造を有するジアミン残基の含有量は、全ジアミン残基中30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であればより好ましい。また、密着性を向上して銅などの金属との接着強度を向上させる観点から70モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であればより好ましい。RおよびRは、炭素数1~30のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フェニル基、またはフェノキシ基であれば特に限定されないが、中でもRおよびRは、トリフルオロメチル基が好ましい。トリフルオロメチル基は、フッ素の原子半径が大きく自由体積を広げる効果があることから比誘電率および誘電正接を低くすることができる。式(3)で表されるジアミンの具体例として、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ジエトキシビフェニル-4,4’-ジアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂のガラス転移温度(以下Tgと称することがある)は、100℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは110℃以上180℃以下である。100℃以上にすることによって、耐熱性が向上し、半田リフロー工程で剥離を防ぐことができる。(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂のTgを200℃以下にすることによって、硬化前の熱硬化性組成物の加熱・加圧流動性が向上し、基材に対する接着性を向上することができる。本発明で言うTgとは、ポリイミド樹脂あるいは熱硬化性樹脂組成物を20~100μm程度の厚みに成形し、所定の温度で熱硬化させた試験片を用い、引張モードの動的粘弾性測定装置にて周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件で測定した際のtanδのピーク値から算出したものである。
【0052】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂は、下記式(4)で示される酸二無水物残基を含有することが好ましい。かかる酸二無水物残基は、分子量が大きくポリイミド樹脂のイミド基濃度を低くできること、脂環構造を有する為、極性が低くなることから比誘電率および誘電正接を低くすることができる。また、脂環構造を有することによって分子運動を抑制し、耐熱性を向上することができる。比誘電率および誘電正接を低くする観点から下記式(4)で示される酸二無水物残基は、全酸二無水物残基中50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
【0053】
【化11】
【0054】
本発明において、(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の重量平均分子量は、5,000以上1000,000以下であることが好ましい。ポリイミド樹脂を2種以上含有する場合、そのうちの少なくとも1種の重量平均分子量が上記範囲であればよい。重量平均分子量が5,000以上であれば、機械強度の低下がより少なくなり、接着強度の低下がより少なくなる。好ましくは10,000以上である。一方、重量平均分子量が1000,000以下であれば、加熱時の溶融粘度が高くなることがなくなり、接着強度の低下がより少なくなる。好ましくは500,000以下である。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によって測定しポリスチレン換算で算出する。
【0055】
本発明におけるポリイミド樹脂は、上記ジアミン残基の他に、本発明の効果を損なわない程度に他のジアミン残基を含有していてもよい。例えば、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノ-2,5-ジハロゲノベンゼンなどのベンゼン環1個を含むジアミン類、ビス(4-アミノフェニル)エ-テル、ビス(3-アミノフェニル)エ-テル、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェニル)メタン、ビス(3-アミノフェニル)メタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、ビス(3-アミノフェニル)スルフィド、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、o-ジアニシジン、o-トリジン、トリジンスルホン酸類などのベンゼン環2個を含むジアミン類、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,3-ジイソプロピルベンゼンなどのベンゼン環3個を含むジアミン類、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4’-(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、5,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセンなどのベンゼン環4個以上を含むジアミン類などのジアミン化合物の残基が挙げられる。なお、他のジアミン残基の例はこれらに限られない。
【0056】
本発明におけるポリイミド樹脂は、上記酸二無水物残基の他に、本発明の効果を損なわない程度に他の酸二無水物残基を含有していてもよい。含有する酸二無水物残基としては特に限定がなく、例えば、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、2,2’-ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)、4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)、1,2-エチレンビス(アンヒドロトリメリテート)(TMEG)などの酸二無水物の残基が挙げられる。なお、酸二無水物残基の例はこれらに限られない。
【0057】
(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の製造方法は特に限定されないが、ダイマー酸構造およびシロキサン構造の良溶解性を活用し、常法により酸無水物モノマーとジアミンモノマーを適切な溶剤に溶解、混合し、反応させた後に熱閉環または化学閉環により合成する方法が好ましい。
【0058】
上記の中で、テトラカルボン酸二無水物の残基とジアミンの残基は、(1)ベンゼン環が少ない、(2)分子量が大きく嵩高い、または(3)脂肪族基やシロキサン基など極性の低い、構造が好ましい。このような構造を有することにより極性の高いイミド基の濃度を低くすることができ、また分子鎖間での自由体積を大きできることから比誘電率および誘電正接を低くすることができる。
【0059】
本発明におけるポリイミド樹脂は、ポリイミド構造単位からなるもののみであってもよいし、ポリイミド構造単位のほかに共重合成分として他の構造も有する共重合体であってもよい。また、ポリイミド構造単位の前駆体(ポリアミック酸構造)が含まれていてもよい。またこれらの混合体であってもよい。さらに、これらのいずれかに他の構造で表されるポリイミド樹脂が混合されていてもよい。他の構造で表されるポリイミド樹脂が混合される場合は、本発明におけるポリイミド樹脂を50モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいは混合に用いられる構造の種類および量は、本発明の効果を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0060】
本発明に用いられる(A1)ポリイミド樹脂および(A2)ポリイミド樹脂の合成方法は特に限定されず、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を用いて、公知の方法で合成される。例えば、(1)低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をアニリン誘導体に置換してもよい)を反応させる方法、(2)テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後ジアミン(一部をアニリン誘導体に置換してもよい)と縮合剤の存在下で反応させる方法、(3)テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後残りの2つのカルボキシル基を酸クロリド化し、ジアミン(一部をアニリン誘導体に置換してもよい)と反応させる方法、などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを公知のイミド化方法を利用して合成することができる。
【0061】
熱硬化性組成物への適用に際しては、ポリアミック酸の形態で添加し、熱硬化の際にイミド化する方法またはポリアミック酸重合後にイミド化して既閉環構造として添加する方法のいずれでもよい。
【0062】
本発明の熱硬化性組成物中のポリイミド樹脂の含有量は、熱硬化性組成物100重量%中に30重量%以上90重量%未満が好ましく、40重量%以上80重量%以下がより好ましい。30重量%以上にすることによってポリマー成分の量が増えることから可撓性を向上することができる。90重量%以下にすることによって、熱硬化性樹脂成分の量が増えることから加熱圧着時の溶融粘度が低くなり、接着剤組成物の被積層体との接着力を向上することができる。
【0063】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、数平均分子量が500以上5000以下であり、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有するフェニレンエーテル樹脂である、(B)フェニレンエーテル樹脂を含有する。本発明で言うフェニレンエーテル樹脂とは、樹脂の構造中に式(5)記載の構造が繰り返し含まれる樹脂であれば特に制限されないが、好ましくは樹脂の構造中に式(5)記載の構造を複数有する態様であり、特に好ましくは樹脂の構造中の繰り返し単位数として式(5)記載の構造を最も多く含む態様である。なお、本発明で言うフェニレンエーテル樹脂は、樹脂の構造中に式(5)記載の構造が含まれる樹脂でありさえすれば、他の構造との共重合体であってもよい。
【0064】
【化12】
【0065】
式(5)中、R~R12は同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~30のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フェニル基、またはフェノキシ基を示す。
【0066】
(B)フェニレンエーテル樹脂は、単独で低い誘電正接を示し、熱硬化性樹脂組成物に添加することで、誘電正接を低減する効果がある。(B)フェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は500以上5000以下である。(B)フェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は、さらに好ましくは1000以上4000以下である。数平均分子量を500以上にすることによって、架橋密度を低減し、熱硬化性樹脂組成物の靭性を向上することができる。5000以下にすることによって、ポリイミド等の他成分との相溶性を向上し、熱硬化性樹脂組成物を均一構造にして、物性を安定させることができる。本発明における(B)フェニレンエーテル樹脂は、分子鎖末端にフェノール性水酸基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋性官能基を含有する。これらの架橋性官能基は、分子鎖の両末端についているのが好ましいが、片側の末端だけについていてもよい。(B)フェニレンエーテル樹脂がこれらの架橋性官能基を含有することにより、熱硬化で架橋構造を形成して、機械強度、耐熱性および密着性を向上することができる。(B)フェニレンエーテル樹脂が含有する架橋性官能基は、これらの架橋性官能基のなかでもビニル基が好ましい。ビニル基で熱架橋した熱硬化性樹脂組成物は、極性が低い為、比誘電率と誘電正接を低くすることができる。このような樹脂として三菱ガス化学(株)製のOPE-2stなどが挙げられる。
【0067】
(B)フェニレンエーテル樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましくは熱硬化性樹脂組成物100重量%中に5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上40重量%以下である。5重量%以上にすることで比誘電率と誘電正接を低くすることができる。また50重量%以下にすることで、靭性を改善し密着性を向上することができる。
【0068】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(C)マレイミド樹脂を含有する。(C)マレイミド樹脂を含有することにより、耐熱性向上して、接着強度を向上することができるとともに、(B)フェニレンエーテル樹脂として分子鎖末端に架橋性官能基としてビニル基を有するフェニレンエーテル樹脂を用いた場合には、(C)マレイミド樹脂が(B)フェニレンエーテル樹脂と作用し、熱硬化反応温度を180℃以下まで低くすることができる。(C)マレイミド樹脂は、熱硬化性樹脂組成物溶液の粘度を低くする観点から、有機溶剤に溶解するマレイミド樹脂でありさえすれば良く、特に制限はない。(C)マレイミド樹脂としては、例えば、フェニルメタンマレイミド、メタフェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルホンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、及びこれらマレイミド樹脂のプレポリマーなどが挙げられる。
【0069】
(C)マレイミド樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂全体100重量%中に1重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは3重量%以上40重量%以下である。1重量%以上にすることで、分子鎖末端にビニル基を有するフェニレンエーテル樹脂の架橋反応を促進し、耐熱性を向上することができる。また50重量%以下にすることによって弾性率を抑えて、靭性を向上することができる。これらの(C)マレイミド樹脂は、単独または2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0070】
前記(C)マレイミド樹脂が、N個のマレイミド基を有するポリマレイミド樹脂(Nは整数でありその平均値は2より大きく、30より小さい)であることが好ましい。マレイミド基数を2より大きいことで、架橋密度が上がり、接着強度を向上することができる。マレイミド基数を30より小さいことで、他樹脂との相溶性を向上することができる。
ポリマレイミド樹脂の例として下記式(6)で示されるマレイミド樹脂が挙げられる。
【0071】
【化13】
【0072】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(D)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。本発明に用いられる(D)エポキシ樹脂は特に制限されないが、Bステージでの柔軟性や基板との密着強度の観点から、室温で液状のエポキシ樹脂が好ましい。
【0073】
ここで液状のエポキシ樹脂とは、25℃、1.013×10N/mで150Pa・s以下の粘度を示すものである。(D)エポキシ樹脂として好適な液状のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキレンオキサイド変性エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。このようなエポキシ樹脂に対応する製品としては、三菱化学(株)製のJER825、JER827、JER828、JER806、JER807、JER801N、JER802、JER604、JER630、JER630LSDやDIC(株)製のエピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン830S、エピクロン705、エピクロン707や新日鐵化学(株)製のYD127、YD128、PG207N、PG202や日産化学(株)製のTEPIC-PAS B22、TEPIC-VL、TEPIC-FL、FOLDI E101、FOLDI E201やクローダ(株)製のA1、A2、A3などが挙げられる。
【0074】
(D)エポキシ樹脂の含有量は特に制限されないが、熱硬化性樹脂組成物全体100重量%中に1重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは3重量%以上40重量%以下である。1重量%以上にすることでBステージシートの加熱時溶融粘度を低くして、基材への密着性を向上することができる。これらの(D)エポキシ樹脂は、単独または2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0075】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有することが好ましい。(D)エポキシ樹脂と(E)硬化促進剤を組み合わせることにより、エポキシ樹脂の硬化を促進して短時間で硬化させることができる。(E)硬化促進剤としては特に限定されないが、イミダゾール類、多価フェノール類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類、ルイス酸-アミン錯体類、潜在性硬化剤などを用いることができる。その中でも、保存安定性と硬化物の耐熱性が優れるイミダゾール類、多価フェノール類、潜在性硬化促進剤が好ましく用いられる。これらは、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
イミダゾール類としては“キュアゾール(登録商標)”2MZ、“キュアゾール(登録商標)”2PZ、“キュアゾール(登録商標)”2MZ-A、“キュアゾール(登録商標)”2MZ-OK(以上商品名、四国化成工業(株)製)などがあげられる。多価フェノール類としては、“スミライトレジン(登録商標)”PR-HF3、“スミライトレジン(登録商標)”PR-HF6(以上商品名、住友ベークライト(株)製)“カヤハード(登録商標)”KTG-105、“カヤハード(登録商標)”NHN(以上商品名、日本化薬(株)製)、“フェノライト(登録商標)”TD2131、“フェノライト(登録商標)”TD2090、“フェノライト(登録商標)”VH-4150、“フェノライト(登録商標)”KH-6021、“フェノライト(登録商標)”KA-1160、“フェノライト(登録商標)”KA-1165(以上商品名、DIC(株)製)などがあげられる。また、潜在性硬化促進剤としては、ジシアンジアミド型潜在性硬化剤、アミンアダクト型潜在性硬化剤、有機酸ヒドラジド型潜在性硬化剤、芳香族スルホニウム塩型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、光硬化型潜在性硬化剤が挙げられる。
【0077】
ジシアンジアミド型潜在性硬化剤としては、DICY7、DICY15、DICY50(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“アミキュア(登録商標)”AH-154、“アミキュア(登録商標)”AH-162(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)などが挙げられる。アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、“アミキュア(登録商標)”PN-23、“アミキュア(登録商標)”PN-40、“アミキュア(登録商標)”MY-24、“アミキュア(登録商標)”MY-H(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)、“フジキュア(登録商標)”FXR-1030(商品名、富士化成(株)製)などが挙げられる。有機酸ヒドラジド型潜在性硬化剤としては、“アミキュア(登録商標)”VDH、“アミキュア(登録商標)”UDH(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)などが挙げられる。芳香族スルホニウム塩型潜在性硬化剤としては、“サンエイド(登録商標)”SI100、“サンエイド(登録商標)”SI150、“サンエイド(登録商標)”SI180、“サンエイド(登録商標)”SI-B3、“サンエイド(登録商標)”SI-B4(以上商品名、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、上記の各硬化剤をビニル化合物、ウレア化合物、熱可塑性樹脂でカプセル化したものが挙げられる。中でも、アミンアダクト型潜在性硬化剤をイソシアネートで処理したマイクロカプセル型潜在性硬化剤としては“ノバキュア(登録商標)”HX-3941HP、“ノバキュア(登録商標)”HXA3922HP、“ノバキュア(登録商標)”HXA3932HP、“ノバキュア(登録商標)”HXA3042HP(以上商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。また、光硬化型潜在性硬化剤としては、“オプトマー(登録商標)”SP、“オプトマー(登録商標)”CP((株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0078】
(E)硬化促進剤の含有量は特に制限されないが、(D)エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1重量部以上35重量部以下であることが好ましい。
【0079】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有機過酸化物を含有していてもよい。有機過酸化物を含有することにより、ビニル基を有する(B)フェニレンエーテル樹脂、および(C)マレイミド樹脂の硬化を促進して、機械強度や耐熱性を向上することができる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルイソプロピルカルボネート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオクテート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。有機過酸化物の含有量としては、ビニル基を有する(B)フェニレンエーテル樹脂、および(C)マレイミド樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上35重量以下であることが好ましい。
【0080】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要により無機粒子を含有してもよい。無機粒子を含有することにより樹脂組成物を加熱硬化の熱膨張係数を低くするなど物性を調整することができる。無機粒子の材質としては、シリカ、中空シリカ、アルミナ、チタニア、窒化ケイ素、窒化硼素、窒化アルミニウム、酸化鉄、ガラスやその他金属酸化物、金属窒化物、金属炭酸塩、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩等を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でシリカが低熱膨張性、熱放散性、低吸湿率の点で好ましく使用することができる。また中空シリカは低誘電正接の点で好ましく使用することができる。
【0081】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に無機粒子が含まれる場合、その含有量は、無機粒子を含む樹脂組成物全体100重量%に対して、10重量%以上90重量%以下が好ましい。樹脂組成物の低熱膨張性、熱拡散性、低吸湿率、低誘電率、低誘電正接の観点から、無機粒子は10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。また熱硬化時の基板との熱圧着性を向上することと、熱硬化後の機械強度を向上する観点から、無機粒子は90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.1μm以上10μm以下が好ましい。樹脂組成物の低熱膨張性、熱拡散性を向上する観点から0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。また熱硬化性樹脂シートの表面を平滑にする観点から10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
【0082】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は必要に応じて界面活性剤を含有してもよく、基板との塗れ性を向上させることができる。
【0083】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(F)シランカップリング剤を含有することが好ましい。特に式(12)で表されるシランカップリング剤を含有することが好ましい。
【0084】
【化14】
【0085】
式(12)中、Xは炭素数1~30の脂肪族もしくは芳香族の2価の炭化水素基、または単結合を表し、R13はそれぞれ同じでも異なってもよく、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基又はフェノキシ基を表し、iは1~3の整数を示す。ただし、複数のR13のうち少なくとも1つはハロゲンまたは炭素数1~6のアルコキシ基である。
【0086】
シランカップリング剤としては、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシシクロヘキシルエポキシエチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシラン、トリメトキシグリシジルオキシプロピルシラン、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリエトキシアミノプロピルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p―スチリルトリメトキシシランおよび、トリメトキシアミノプロピルシランと酸無水物との反応物が挙げられ、特にトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p―スチリルトリメトキシシランが好ましく、p―スチリルトリメトキシシランがより好ましい。
【0087】
(F)シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、熱硬化性樹脂組成物全体100重量%中に0.01重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。0.01重量%以上にすることで基板との接着性を高めることができる。10重量%以下にすることで、保存安定性が向上する。これらの(F)シランカップリング剤は、単独または2種類以上を混合して使用することも可能である。また、チタンキレート剤などを樹脂組成物中0.5~10重量%含有してもよい。
【0088】
次に本発明の熱硬化性樹脂組成物を未熱硬化の状態で支持体上に層形成してなる、本発明の熱硬化性樹脂シートについて説明する。このような本発明の熱硬化性樹脂シートは、接着シートなどとして用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物をシート状に加工するには、例えば支持フィルム上に樹脂組成物を溶媒中で混合してワニス状としたものを塗布、乾燥してシート状に加工することができる。
【0089】
ここで用いる溶媒としては前記成分を溶解するものを適宜選択すればよく、たとえばケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、プロパノール、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。特に大気圧下沸点が120℃以下であるものを含むと、低温、短時間で脱溶媒化できるためシート化が容易となる。
【0090】
接着剤組成物をワニス状にする方法は特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂、(B)フェニレンエーテル樹脂、(C)マレイミド樹脂並びに必要に応じ含まれる他の成分を上記溶媒中でプロペラ攪拌機、ホモジナイザー、混練機などを用いて混合させた後、必要に応じて無機粒子の分散性を向上させる観点から、ビーズミル、ボールミル、3本ロールミル等で混合することが好ましい。
【0091】
支持フィルムへワニスを塗布する方法としては、スピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、あるいは、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどを用いた塗布方法が挙げられる。
【0092】
塗工機としては、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどを用いることができるが、スリットダイコーターがコーティング時の溶媒の揮発が少なく塗布性が安定するため好ましく使用される。シート化した熱硬化性樹脂組成物、つまり熱硬化性樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、凹凸のある配線基板への埋め込み性や絶縁性などの観点から10~400μmの範囲が好ましい。
【0093】
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、接着シートが未硬化または半硬化状態(Bステージ状態)となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分間から数十分間保持することが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、70℃、80℃、90℃で各1分間ずつ熱処理してもよい。
【0094】
支持フィルムは特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。
【0095】
支持フィルムの接着剤組成物との接合面は、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理が施されていてもよい。また、支持フィルムの厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmの範囲であることが好ましい。
【0096】
また、熱硬化性樹脂シートは、その表面を保護するために保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から接着シート表面を保護することができる。
【0097】
保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。保護フィルムは、接着シートとの接着力が小さいものであると好ましい。
【0098】
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物または熱硬化性樹脂シートを利用して基板や部材を接着する方法について、例を挙げて説明する。樹脂組成物は上記のようなワニス状にして用いることが好ましい。まず、樹脂組成物ワニスを用いて、ガラス基板やガラスエポキシ基板上に配線が形成されたプリント基板上に樹脂組成物被膜を形成する。樹脂組成物ワニスの塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、樹脂組成物の固形分濃度および粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が10μm以上400μm以下になるように塗布することが好ましい。次に、樹脂組成物ワニスを塗布した基板を乾燥して、樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、樹脂組成物被膜が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、50~150℃の範囲で1分間から数時間行うのが好ましい。
【0099】
一方、熱硬化性樹脂シートは、保護フィルムを有する場合にはこれを剥離し、熱硬化性樹脂シートとプリント基板を対向させて熱圧着により貼り合わせる。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。貼り付け温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、貼り付け時に温度が高くなると熱硬化性樹脂シートが硬化する時間が早くなり、作業性が低下するため貼り付け温度は250℃以下が好ましい。熱硬化性樹脂シートが支持フィルムを有する場合、支持フィルムは貼り合わせ前に剥離してもよいし、熱圧着工程のいずれかの時点または熱圧着後に剥離してもよい。
【0100】
このようにして得られた樹脂組成物被膜が形成されたプリント基板をポリイミド、液晶ポリマーなどの樹脂フィルム、プリント基板や他部材に熱圧着する。熱圧着温度は樹脂のガラス転移温度以上であればよく、100~400℃の温度範囲が好ましい。また圧着時の圧力は0.01~10MPaの範囲が好ましい。時間は1秒~数分間が好ましい。
【0101】
熱圧着後、120℃から400℃の温度を加えて硬化物とすることで硬化膜が得られる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分間ずつ熱処理する。あるいは室温より250℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。この際、加熱温度は150℃以上、300℃以下の温度が好ましく、180℃以上、250℃以下であることがさらに好ましい。このように熱圧着して得られた接着体はその剥離強度が、接着信頼性の観点から4N/cm以上であることが好ましい。より好ましいのは6N/cm以上である。
【0102】
熱圧着して得られた硬化膜のガラス転移温度(Tg)は、半導体装置の信頼性試験に耐えうる観点から、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。また、得られた硬化膜の誘電率は、電気信号の誘電損失を低減する観点から、10GHzで3.0以下が好ましい。より好ましくは2.8以下である。同様に、得られた硬化膜の誘電正接は、電気信号の誘電損失を低減する観点から、10GHzで、0.01以下が好ましい。より好ましいのは0.008以下である。硬化膜の膜厚は、任意に設定することができるが、10μm以上400μm以下であることが好ましい。
【0103】
本発明の硬化膜は、熱硬化性樹脂組成物、または熱硬化性樹脂シートを加熱処理することにより硬化して得ることができる。加熱処理温度としては、150℃~350℃であればよい。例えば、ある温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。本発明においてのキュア条件の下限としては170℃以上が好ましいが、十分に硬化を進行させるために180℃以上であることがより好ましい。また、キュア条件の上限に特に制限はないが、膜収縮や応力を抑える観点から280℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましい。
【0104】
本発明の電子部品は、本発明の熱硬化性樹脂組成物、または熱硬化性樹脂シートを熱硬化させた硬化物を具備する電子部品である。また、より好ましくは、被着体に配置された電子部品である。
【0105】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化した硬化膜を用いたアンテナ素子について説明する。図1は平面アンテナの一種である共面給電型のマイクロストリップアンテナの概略図である。1aが断面図、1bが上面図を示す。まず形成方法について説明する。銅箔上に本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布、プリベーク、もしくは未硬化の熱硬化性樹脂シートを銅箔上にラミネートする。次に銅箔をラミネートし、熱硬化させることで、両面に銅箔を具備する硬化膜を形成する。その後、サブストラクト法によるパターニングを経て、図1に示すマイクロストリップ線路(MSL)の銅配線のアンテナパターンを具備するアンテナ素子が得られる。
【0106】
次に、図1のアンテナパターンについて説明する。1aにおいて、15はグランド(全面)、16はアンテナの基板となる絶縁膜を示す。その上層の11~13は前記パターニングよって得られたアンテナ配線の断面を示す。グランド配線厚みJおよびアンテナ配線厚みKはインピーダンスの設計に応じて任意の厚みを取れるが、2~20μmが一般的である。1bにおいて、11はアンテナ部、12はマッチング回路、13はMSL給電線路、14は給電点を示す。アンテナ部11とMSL給電線路13のインピーダンスの整合を取るために、マッチング回路12の長さMは1/4λrの長さを有する(λr=(伝送電波の波長)/(絶縁材誘電率)1/2)。また、アンテナ部11の幅Wおよび長さLは1/2λrの長さに設計される。アンテナ部長さLはインピーダンスの設計に応じて、1/2λr以下にしてもよい。本発明の硬化膜は、低誘電率、低誘電正接であるため、高効率、高利得のアンテナ素子を提供することができる。また、これらの特性から、本発明における絶縁膜を用いたアンテナ素子は高周波向けアンテナとして適しており、アンテナ部の面積(=L×W)を1000mm以下のサイズにすることで、小型のアンテナ素子を形成することが出来る。このようにして、高効率、高利得、小型である、高周波向けアンテナ素子が得られる。
【0107】
次に、ICチップ(半導体素子)、再配線層、封止樹脂およびアンテナ配線を具備する半導体パッケージについて説明する。図2はICチップ(半導体素子)、再配線、封止樹脂およびアンテナ素子を具備する半導体パッケージの断面に関する概略図である。ICチップ201の電極パッド202上に、銅配線209および本発明の硬化膜により形成された絶縁膜210による再配線層(銅2層、絶縁膜3層)が形成されている。再配線層(銅配線209および絶縁膜210)のパッドにはバリアメタル211とハンダバンプ212が形成されている。前記ICチップを封止するため、本発明の硬化膜による第1の封止樹脂208が形成され、さらにその上にアンテナ用のグランドとなる銅配線209を形成されている。第1の封止樹脂208内に形成されたビアホールを介して、グランド206と再配線層(銅配線209および絶縁膜210)を接続する第1のビア配線207が形成されている。第1の封止樹脂208およびグランド206上に、本発明の硬化膜による第2の封止樹脂205が形成され、その上に平面アンテナ配線204が形成されている。第1の封止樹脂208および第2の封止樹脂205内に形成されたビアホールを介して、平面アンテナ配線204と再配線層(銅配線209および絶縁膜210)を接続する第2のビア配線203が形成されている。絶縁膜210の一層あたりの厚みとしては10~20μmが好ましく、第1の封止樹脂および第2の封止樹脂としてはそれぞれ、50~200μmおよび100~400μmが好ましい。本発明の硬化膜は低誘電率、低誘電正接であるため、得られるアンテナ素子を具備する半導体パッケージは、高効率、高利得であり、パッケージ内の伝送損失が小さい。
【0108】
つまり、本発明の電子部品は、少なくとも、1以上のアンテナ配線、本発明の硬化膜、を具備するアンテナ素子を含む電子部品であって、該アンテナ配線がミアンダ状ループアンテナ、コイル状ループアンテナ、ミアンダ状モノポールアンテナ、ミアンダ状ダイポールアンテナおよびマイクロストリップアンテナからなる群から選ばれる少なくとも一種類以上を含み、該アンテナ配線におけるアンテナ部一つあたりの専有面積が1000mm以下であり、該硬化膜はグランドとアンテナ配線間を絶縁する絶縁膜であることが好ましい。
【0109】
さらに、本発明の電子部品は、少なくとも、半導体素子、再配線層、封止樹脂、アンテナ配線を具備する半導体パッケージを含む電子部品であって、該再配線層の絶縁層および/または該封止樹脂が本発明の硬化膜を含み、該封止樹脂はグランドとアンテナ配線間にあることが好ましい。
【0110】
さらに本発明の電子部品は、アンテナ配線および本発明の硬化膜を積層させて得られるアンテナ素子を具備する電子部品であって、アンテナ配線の高さが50~200μmであり、該硬化膜の厚みが80~300μmであることが好ましい。アンテナ配線および硬化膜を積層し、アンテナ配線の高さおよび硬化膜の厚みを上記範囲にすることで、小型で、広範囲で送受信が可能になり、本発明の硬化膜は、低誘電率、低誘電正接であるため、高効率、高利得のアンテナ素子を提供することができる。
【0111】
本発明の電子装置は、本発明の電子部品を用いた電子装置である。以下では、これを含む本発明における樹脂組成物の用途について一例を挙げて説明するが、本発明の熱硬化性樹脂組成物の用途は以下に限定されるものではない。
【0112】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、半導体装置の接着剤や絶縁樹脂として広く使用できるが、高速で大容量の電気信号が処理される携帯端末などの無線通信機器に使用されるRFモジュールや車載用のミリ波レーダーに好適に用いられる。RFモジュールとは、無線通信機器に使用される複合機能製品で、複数のICと受動部品(SAWフィルタ、コンデンサ、抵抗、コイル)を基板に搭載したモジュールである。受動部品を搭載した基板においては、絶縁層と銅配線層の多層構造で形成されるが、絶縁層に本発明の熱硬化性樹脂組成物を好適に使用することができる。プリント基板上に熱硬化性樹脂シートを張り付けるか、または樹脂組成物のワニスを塗布、乾燥することにより、絶縁層を形成する。その後、絶縁層の表面に電気めっきにて銅配線を形成し、更にその上に熱硬化性樹脂シートを張り付けるか、樹脂組成物のワニスを塗布することにより多層の基板を作成することができる。なお、本発明でいう半導体装置とは半導体素子を基板に接続したものや、半導体素子同士または基板同士を接続したものだけでなく、半導体素子の特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路基板及びこれらを含む電子部品は全て半導体装置に含まれる。このように、本発明の電子部品は高周波数における特性に優れたものとなり、高周波数における動作信頼性が要求される本発明の電子装置に使用できる。
【実施例
【0113】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例において略号で示した原料の詳細を以下に示す。
【0114】
<ポリイミド樹脂の原料>
BSAA:2,2’-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物
TBIS-DMPN:5-イソベンゾフランカルボン酸,1,3-ジヒドロ,1,3-ジオキソ-5,5’-[シクロドデシリデンビス(2-メチル-4,1-フェニレン)]エステル(田岡化学工業(株)製)
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物(マナック(株)製)
TFMB:4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(和歌山精化工業(株)製)
mTB:4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(和歌山精化工業(株)製)
LP7100:ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)
X-22-9409:ジアミノポリシロキサン(アミン当量:670)(信越化学(株)製)
X-22-1660B-3:ジアミノポリシロキサン(アミン当量:2170)(信越化学(株)製)
バーサミン551:式(11)で表される化合物を含むダイマージアミン化合物(商品名、BASF(株)製)(平均アミン価:205)
プリアミン1075:式(10)で表される化合物を含むダイマージアミン化合物(商品名、クローダジャパン(株)製)(平均アミン価:205)。
【0115】
<(B)フェニレンエーテル樹脂>
OPE-2st-1200:オリゴフェニレンエーテル(分子鎖末端:ビニル基)(数平均分子量:1200)(三菱ガス化学(株)製)
OPE-2st-2200:オリゴフェニレンエーテル(分子鎖末端:ビニル基)(数平均分子量:2200)(三菱ガス化学(株)製)
SA-90:低分子量ポリフェニレンエーテル(分子鎖末端:フェノール性水酸基)(数平均分子量:1700)(SABICジャパン合同会社)。
【0116】
<(C)マレイミド樹脂>
BMI-4000:2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(大和化成工業(株)製)
MIR-3000-70MT:ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物(日本化薬(株)製)
【0117】
【化15】
【0118】
<(D)エポキシ樹脂>
JER828:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製)
E101:分岐アルキル基含有エポキシ樹脂(日産化学(株)製)
【0119】
【化16】
【0120】
TEPIC-FL:イソシアヌル酸変性エポキシ樹脂(日産化学(株)製)
【0121】
【化17】
【0122】
<(E)硬化促進剤>
2P4MZ:2-フェニル-4-メチルイミダゾール
SI-150:ジメチル-p-アセトキシフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロアンチモナート(三新化学(株)製)。
【0123】
<有機過酸化物>
DCP:ジクミルペルオキシド(日油(株)製)
〈密着改良剤〉
KBM1003:ビニルトリメトキシシラン(信越化学(株)製)
KBM1403:p―スチリルトリメトキシシラン(信越化学(株)製)。
【0124】
<溶剤>
γBL:γ-ブチロラクトン
各実施例・比較例における評価方法を次に示す。
【0125】
<合成したポリイミド樹脂のTg>
ポリイミド樹脂をγBLに溶解した固形分濃度30重量%の溶液を、厚みが18μmの銅箔上に塗工し、100℃×30分、120℃×30分、180℃×30分でオーブンにて乾燥した。乾燥後のポリイミド樹脂の厚みが50μmの厚みになるように塗工した。このようにして得られた積層体を、第二塩化鉄水溶液で銅箔をエッチング除去し、ポリイミドフィルムを得た。ポリイミドフィルムを5mm×30mmのサイズにカットし、動的粘弾性測定装置DVA-200(アイティー計測制御(株)製)により、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定し、Tanδのピーク値をTgとした。
【0126】
<(B)フェニレンエーテル樹脂の数平均分子量>
(B)フェニレンエーテル樹脂をテトラヒドロフラン(以下、THFとする)に溶解した固形分濃度0.1重量%の溶液を用い、下に示す構成のGPC装置WAters2690(WAters(株)製)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した。GPC測定条件は、移動層をTHFとし、展開速度を0.4ml/分とした。
【0127】
検出器:WAters996
システムコントローラー:WAters2690
カラムオーブン:WAters HTR-B
サーモコントローラー:WAters TCM
カラム:TOSOH grArd comn
カラム:TOSOH TSK-GEL α-2500H
カラム:TOSOH TSK-GEL α-4000H。
【0128】
<合成したポリイミド樹脂の重量平均分子量>
ポリイミド樹脂をN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPとする)に溶解した固形分濃度0.1重量%の溶液を用い、下に示す構成のGPC装置WAters2690(WAters(株)製)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した。GPC測定条件は、移動層をLiClとリン酸をそれぞれ濃度0.05モル/lで溶解したNMPとし、展開速度を0.4ml/分とした。
【0129】
検出器:WAters996
システムコントローラー:WAters2690
カラムオーブン:WAters HTR-B
サーモコントローラー:WAters TCM
カラム:TOSOH grArd comn
カラム:TOSOH TSK-GEL α-4000
カラム:TOSOH TSK-GEL α-2500。
【0130】
<合成したポリイミド樹脂のイミド化率>
まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認した。次に、そのポリマーについて、350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前と熱処理後の1377cm-1付近のピーク強度を比較した。熱処理後のポリマーのイミド化率を100%として、熱処理前のポリマーのイミド化率を求めた。
【0131】
<銅箔接着強度>
各実施例および比較例で作製した樹脂組成物をコンマロールコーターを用いて、支持フィルムとして厚さ38μmのPETフィルム上に塗布し、100℃で30分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ10μmのPPフィルムをラミネートし、接着シートを得た。接着シートにおける熱硬化性樹脂シートの膜厚は50μmとなるように塗工を行った。その後、保護フィルムを剥離し、該剥離面を、銅箔(NA-VLP厚み15μm:三井金属(株)製)上に、熱板プレス機を用いて、プレス温度120℃、圧力1MPA、加圧時間5分でプレスした。そして、支持フィルムを剥がした後、樹脂組成物の上に更に銅箔を積層して、プレス温度180℃、圧力1MPA、加圧時間10分でプレスした。その後180℃の熱風循環型乾燥機で1時間かけて熱硬化した。このようにして得られた積層体の銅箔を片側のみ第二塩化鉄水溶液でエッチング除去して線幅2mmの回路加工をおこなった。その後、プッシュゲルゲージで2mm幅の銅箔を積層体に対して90℃の方向に持ち上げて引っ張り、接着強度を測定した。
【0132】
<はんだ耐熱性>
上記と同様の方法で得られた積層板(銅箔15μm/樹脂50μm/銅箔15μm)を、50mm×50mmのサイズにカットして、260℃に加熱されたはんだ浴に2分間浸漬した。浸漬後銅箔の剥離や発泡がみられず初期と変化ないものを良、剥離や発泡が見られるものを不良とした。
【0133】
<Tg>
上記の方法で得られた積層板の銅箔を第二塩化鉄水溶液でエッチング除去して硬化物を得た。これを幅5mm×30mmにカットし、アイティー計測制御(株)の動的粘弾性測定装置DVA-200でで、つかみ間距離15mm、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで-50℃~300℃まで測定し、Tanδがピーク値を示す温度をTgとした。
【0134】
<比誘電率、誘電正接>
上記と同様の方法で得られた熱硬化性樹脂シートの硬化物を、60×100mmにカットし、22℃/60%RHの雰囲気下で24時間調湿した。比誘電率および誘電正接の測定は、円筒空胴共振器法にて測定した。アジレント・テクノロジー(株)製のVECTOR NETWORK ANALYZER HP8510Cで測定し、周波数10GHz、22℃/60%RHの環境下で測定した。
【0135】
実施例1
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 112.47g、BSAA 31.21gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB9.61g、LP7100 7.46gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液A(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、36,400であり、Tgを測定した結果、125℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0136】
上記の方法により得られたポリイミド溶液A12.0g(固形分3.6g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を1.54g(固形分1.0g)、BMI4000を0.2g、TEPIC-FLを1.2g、2P4MZを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0137】
実施例2
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 141.64g、TBIS-DMPN 43.73gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB9.61g、LP7100 7.46gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液B(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、43,210であり、Tgを測定した結果、168℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0138】
このようにして得られたポリイミド溶液B12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0139】
実施例3
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 82.05g、ODPA 18.61gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB9.61g、LP7100 7.46gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液B(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、41,630であり、Tgを測定した結果、178℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0140】
このようにして得られたポリイミド溶液C12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0141】
実施例4
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 215.43g、TBIS-DMPN 43.73gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB9.61g、X-22-9409 40.20gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液D(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、33,400であり、Tgを測定した結果、65℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0142】
このようにして得られたポリイミド溶液D12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0143】
実施例5
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 211.06g、TBIS-DMPN 21.86gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB4.80g、X-22-1660B-3 65.10gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液E(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、29,540であり、Tgを測定した結果、-5℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0144】
このようにして得られたポリイミド溶液E12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0145】
実施例6
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 142.99g、TBIS-DMPN 43.73gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらBAHF10.99g、LP7100 7.46gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液F(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、28,580であり、Tgを測定した結果、164℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0146】
このようにして得られたポリイミド溶液E12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0147】
実施例7
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 198.55g、TBIS-DMPN 65.59gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらmTB9.55g、LP7100 11.18gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液G(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、44,590であり、Tgを測定した結果、169℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0148】
このようにして得られたポリイミド溶液G12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0149】
実施例8
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 141.70g、ODPA 31.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB25.62g、LP7100 4.97gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液H(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、43,200であり、Tgを測定した結果、208℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0150】
このようにして得られたポリイミド溶液H12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0151】
実施例9
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 105.46g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB11.21g、バーサミン551 7.96gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液J(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、32,100であり、Tgを測定した結果、139℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0152】
このようにして得られたポリイミド溶液J12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0153】
実施例10
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 105.60g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB11.21g、プリアミン1075 8.02gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液K(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、31,200であり、Tgを測定した結果、134℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0154】
このようにして得られたポリイミド溶液K12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0155】
実施例11
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 101.84g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB13.61g、プリアミン1075 4.01gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液L(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、36,800であり、Tgを測定した結果、162℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0156】
このようにして得られたポリイミド溶液L12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0157】
実施例12
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 104.76g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB9.61g、プリアミン1075 8.02g、LP7100 1.24gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液M(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、30,100であり、Tgを測定した結果、124℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0158】
このようにして得られたポリイミド溶液M12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0159】
実施例13
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 103.93g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB8.01g、プリアミン1075 8.02g、LP7100 2.49gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液N(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、28,200であり、Tgを測定した結果、114℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0160】
このようにして得られたポリイミド溶液N12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0161】
実施例14
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 100.17g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB10.41g、プリアミン1075 4.01g、LP7100 2.49gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液O(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、29,800であり、Tgを測定した結果、149℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0162】
このようにして得られたポリイミド溶液O12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0163】
実施例15
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 99.33g、BSAA 26.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB8.81g、プリアミン1075 4.01g、LP7100 3.73gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液P(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、29,100であり、Tgを測定した結果、131℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0164】
このようにして得られたポリイミド溶液P12.0g(固形分3.6g)について実施例1と同様の方法で表2に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0165】
実施例16
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.67g(固形分3.2g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.2g、TEPIC-FLを1.2g、2P4MZを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0166】
実施例17
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.4g、TEPIC-FLを1.2g、2P4MZを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0167】
実施例18
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.4g、TEPIC-FLを1.2g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0168】
実施例19
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を0.59g(固形分0.4g)、TEPIC-FLを1.2g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0169】
実施例20
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を0.59g(固形分0.4g)、TEPIC-FLを1.2g、SI-B4を0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0170】
実施例21
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.17g(固形分0.8g)、TEPIC-FLを0.8g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0171】
実施例22
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0172】
実施例23
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、SI-B4を0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0173】
実施例24
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-2200(固形分63.4重量%:トルエン溶液)を2.21g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0174】
実施例25
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、SA-90を1.4g、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0175】
実施例26
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、JER825を0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0176】
実施例27
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、E101を0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0177】
実施例28
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、JER825を0.3g、E101を0.3g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0178】
実施例29
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.4g、JER825を1.2g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0179】
実施例30
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.4g、E101を1.2g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0180】
実施例31
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、BMI4000を0.4g、JER825を0.6g、E101を0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0181】
実施例32
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.62g(固形分1.7g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.91g(固形分1.3g)、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0182】
実施例33
実施例2で得られたポリイミド溶液B3.33g(固形分1.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を5.38g(固形分3.5g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.5g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0183】
実施例34
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を0.31g(固形分0.2g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を0.15g(固形分0.1g)、TEPIC-FLを2.7g、E101を0.3g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0184】
実施例35
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g、KBM1003を0.3g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0185】
実施例36
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を2.15g(固形分1.4g)、MIR-3000-70MT(固形分68.2重量%:トルエン溶液)を1.47g(固形分1.0g)、TEPIC-FLを0.6g、2P4MZを0.06g、DCPを0.06g、KBM1403を0.3g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0186】
比較例1
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、γBL 145.00g、ODPA 31.02gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらTFMB32.02を添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液I(固形分濃度30.0重量%)を得た。ポリイミドの重量平均分子量を測定した結果、47,310であり、Tgを測定した結果、226℃、イミド化率を測定した結果、100%であった。
【0187】
このようにして得られたポリイミド溶液I10.0g(固形分3.0g)について実施例19と同様の方法で表4に記載の各成分と混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0188】
比較例2
実施例2で得られたポリイミド溶液B10.00g(固形分3.0g)に、OPE-2st-1200(固形分65重量%:トルエン溶液)を4.62g(固形分3.0g)、DCPを0.06g添加して混合撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記の方法で、銅箔接着強度、はんだ耐熱性、Tg、比誘電率、誘電正接について測定した。
【0189】
【表1】
【0190】
【表2】
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
【表7】
【符号の説明】
【0196】
11 アンテナ部
12 マッチング回路
13 MSL給電線路
14 給電点
15 グランド
16 絶縁膜
J グランド配線厚み
K アンテナ配線厚み
M マッチング回路長さ
L アンテナ部長さ
W アンテナ部幅
201 ICチップ
202 電極パッド
203 第2のビア配線
204 平面アンテナ配線
205 第2の封止樹脂
206 グランド
207 第1のビア配線
208 第1の封止樹脂
209 銅配線
210 絶縁膜
211 バリアメタル
212 ハンダバンプ
図1
図2