IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特許7596795文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
<>
  • 特許-文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム 図1
  • 特許-文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム 図2
  • 特許-文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム 図3
  • 特許-文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム 図4
  • 特許-文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
G09B7/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021001193
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106318
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 武志
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-105201(JP,A)
【文献】特開平06-348688(JP,A)
【文献】特開2005-331650(JP,A)
【文献】菅原 遼介、外1名,“記述式問題の誤回答を用いた誤答選択肢自動生成システムの開発”,「情報教育シンポジウム 論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2013 No.2」,日本,一般社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,2013年08月11日,第2013巻,第2号,pp.177-181,[ISSN]1344-0640
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
G06F 40/00-40/197
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された入力文字列に応じて第1文字列を取得する第1文字列取得部と、
前記第1文字列に属する文字について、その形状が類似する類似文字を抽出する類似文字抽出部と、
前記第1文字列に属する文字の一部、または全部を、前記類似文字抽出部が抽出した前記類似文字に置き換えた第2文字列を生成する第2文字列生成部と、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力部と、
前記変換候補出力部が出力した前記変換候補であって、選択された変換候補を解答として採点する採点部と、を備えた文字入力装置。
【請求項2】
前記変換候補出力部が前記入力文字列の変換候補として出力する前記第1文字列、および前記第2文字列の並びを調整する並び調整部を備えた請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
形状が類似する文字をグループ化して記憶させた類似文字記憶部を備え、
前記類似文字抽出部は、前記類似文字記憶部を参照し、前記第1文字列に属する文字毎に形状が類似する文字を抽出する、請求項1、または2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
入力された入力文字列に応じて第1文字列を取得する第1文字列取得ステップと、
前記第1文字列に属する文字について、その形状が類似する類似文字を抽出する類似文字抽出ステップと、
前記第1文字列に属する文字の一部、または全部を、前記類似文字抽出ステップで抽出した前記類似文字に置き換えた第2文字列を生成する第2文字列生成ステップと、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力ステップと、
前記変換候補出力ステップで出力した前記変換候補であって、選択された変換候補を解答として採点する採点ステップと、をコンピュータが実行する文字入力方法。
【請求項5】
入力された入力文字列に応じて第1文字列を取得する第1文字列取得ステップと、
前記第1文字列に属する文字について、その形状が類似する類似文字を抽出する類似文字抽出ステップと、
前記第1文字列に属する文字の一部、または全部を、前記類似文字抽出ステップで抽出した前記類似文字に置き換えた第2文字列を生成する第2文字列生成ステップと、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力ステップと、
前記変換候補出力ステップで出力した前記変換候補であって、選択された変換候補を解答として採点する採点ステップと、をコンピュータに実行させる文字入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの学力、能力等をコンピュータで判断したり、評価したりする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ(受験者)の知識、能力等を判断したり、評価したりするための試験をコンピュータで行うCBT(Computer Based Testing)が広まっている。CBTでは、問題を端末(コンピュータ)のディスプレイに表示する。ユーザは、端末に設けられたマウスやキーボード等の入力デバイスを操作して、ディスプレイに表示された問題に解答する。
【0003】
また、特許文献1には、手書き入力が行えるタブレット端末を用いて、CBTで筆記式試験を行うためのシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011- 81024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、CBTで筆記式試験を行う場合、ユーザが手書きで文字を入力するための手書き入力装置が必要になる。
【0006】
また、ユーザが手書き入力した文字の認識精度によっては、正答が誤答と判断されたり、反対に誤答が正答と判断されたりすることがある。例えば、正答が「豊臣秀吉」である場合、ユーザが手書きした文字が正当であっても、「臣」が「巨」であると誤認識されて、誤答と判断されてしまうことがある。反対に、ユーザが手書きした文字が誤答である「豊巨秀吉」であっても、「巨」が「臣」であると誤認識されて、正答と判断されてしまうことがある。ユーザが手書き入力した文字の誤認識が生じると、ユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行えない。
【0007】
また、CBTで筆記試験を行う場合、公知のかな漢字変換機能を利用して行えば、上記した問題が生じることはないが、ユーザが読みとして入力したかな文字列が「とよとみひでよし」であると、変換候補として「豊臣秀吉」が出力されるが、「豊巨秀吉」が出力されない。このため、「とよとみひでよし」の漢字表記を、誤って「豊巨秀吉」であると覚えているユーザであっても、解答として「豊臣秀吉」を選択する。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、公知のかな漢字変換機能を利用しても、ユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行えないことがある。
【0008】
この発明の目的は、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の文字入力装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0010】
第1文字列取得部は、入力された入力文字列に応じて第1文字列を取得する。類似文字抽出部は、第1文字列に属する文字について、その形状が類似する類似文字を抽出する。第2文字列生成部は、第1文字列に属する文字の一部、または全部を、類似文字抽出部が抽出した類似文字に置き換えた第2文字列を生成する。そして、変換候補出力部が、第1文字列、および第2文字列を、入力文字列の変換候補として出力する。
【0011】
この構成では、CBT(Computer Based Testing)の受験者であるユーザがキーボード等を操作して入力したかな文字列(入力文字列)を読みとする第1文字列と、この第1文字列の一部の文字を、その文字と形状が類似している文字に置き換えた第2の文字列を変換候補として出力する。第2文字列は、ユーザが入力したかな文字列が読みである場合もあれば、読みでない場合もある。例えば、ユーザが入力した第1文字列が「とよとみひでよし」であった場合、「豊臣秀吉」、「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、「豊巨莠吉」等が変換候補として出力される。この例では、「豊臣秀吉」が第1文字列であり、「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、および「豊巨莠吉」が第2文字列である。
【0012】
これにより、ユーザは、入力したかな文字列(読み)の漢字表記を誤って覚えていると、正しい変換候補(第1文字列)を偶然選択することはあるが、ほとんどの場合、誤った変換候補(第2文字列)を選択する。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0013】
また、この構成では、CBTの受験者であるユーザに手書き入力を行わせないので、手書き入力装置を用意する必要がない。
【0014】
また、例えば、変換候補出力部が入力文字列の変換候補として出力する第1文字列、および第2文字列の並びを調整する並び調整部を備えてもよい。これにより、出力された変換候補における、問題毎に正答の位置を変化させることができ、ユーザの知識、能力等の判断や評価がより適正に行える。
【0015】
また、第1文字列取得部は、入力文字列が規定した文字列であれば、第1文字列として予め定められた文字列を取得し、入力文字列が規定した文字列でなければ、第1文字列として当該入力文字列が読みである文字列を取得する構成にしてもよい。
【0016】
例えば、ユーザが入力した第1文字列が正答である「とよとみひでよし」でなく、誤答の「おだのぶなが」であった場合、第1文字列として「織田信長」を取得する。また、この場合、第2文字列として「職田信長」、「職田佶長」、「織田佶長」「織田俥長」、「職田俥長」等が生成される。すなわち、この構成では、ユーザに、誤答の「おだのぶなが」が入力されたことを気づかせることがない。これにより、ユーザの知識、能力等の判断や評価がより適正に行える。
【0017】
また、変換候補出力部が出力した変換候補であって、選択された変換候補を解答として採点する採点部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、CBT(Computer Based Testing)で筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】筆記試験でCBT(Computer Based Testing)を実施するネットワークシステムを示す概略図である。
図2】サーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図4】サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図5】ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0021】
<1.適用例>
図1は、CBT(Computer Based Testing)で筆記試験を実施するネットワークシステムを示す概略図である。この例のネットワークシステムは、図1に示すように、ネットワーク5を介して複数のユーザ端末2をサーバ装置1にデータ通信可能に接続した構成である。
【0022】
各ユーザ端末2は、CBTの受験者であるユーザが操作するパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTで実施する筆記試験にかかる問題の配信、およびユーザ端末2から送信されてきた解答の採点を行う。
【0023】
この例では、この発明にかかる文字入力装置は、サーバ装置1に適用されている。
【0024】
サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTで実施する筆記試験にかかる問題を配信する。
【0025】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた問題を表示器の画面に表示する。ユーザは、この問題にかかる解答を入力デバイスであるキーボードを操作して入力する。ここでは、ユーザは、解答をかな文字列で入力する。
【0026】
例えば、サーバ装置1は、
「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」という狂歌は、誰の性格を言い表したものですか?
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0027】
受験者であるユーザは、ユーザ端末2において、「とよとみひでよし」、「おだのぶなが」等のかな文字列を入力する。ユーザ端末2は、入力されたかな文字列をサーバ装置1に出力する。
【0028】
サーバ装置1は、ユーザ端末2から受信したかな文字列に応じて変換候補を生成する。サーバ装置1は、生成した変換候補をユーザ端末2に返信する。例えば、サーバ装置1は、ユーザ端末2から受信したかな文字列が「とよとみひでよし」であれば、「豊臣秀吉」、「豊臣秀吉」、「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、「豊巨莠吉」等を変換候補として生成する。「豊臣秀吉」が、今回の問題の正当である。「豊臣秀吉」が、この発明で言う第1文字列に相当する。また、「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、「豊巨莠吉」等は、正答である「豊臣秀吉」の一部の文字を、形状が類似する文字に置き換えた変換候補である。「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、「豊巨莠吉」等が、この発明で言う、第2文字列に相当する。
【0029】
なお、サーバ装置1は、正答である「豊臣秀吉」の全ての文字を、形状が類似する文字に置き換えた変換候補を作成してもよい。
【0030】
また、サーバ装置1は、ユーザ端末2から受信したかな文字列が「おだのぶなが」であれば、「織田信長」、「職田信長」、「職田佶長」、「織田佶長」、「織田俥長」、「職田俥長」等を変換候補としてユーザ端末2に返信する。「織田信長」は、今回の問題の正当ではないが、ユーザが入力したかな文字列を読みとする変換候補である。「織田信長」は、この発明で言う第1文字列に相当する。
【0031】
また、「職田信長」、「職田佶長」、「織田佶長」「織田俥長」、「職田俥長」等は、「織田信長」の一部の文字を、形状が類似する文字に置き換えた変換候補である。「職田信長」、「職田佶長」、「織田佶長」「織田俥長」、「職田俥長」等が、この発明で言う、第2文字列に相当する。
【0032】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から返信されてきた変換候補を表示器の画面に表示する。ユーザは、入力デバイスであるマウス、またはキーボードを操作して、表示された変換候補の中から自身の解答を選択する。ユーザ端末2は、ユーザによって選択された変換候補をユーザの解答としてサーバ装置1に出力する。
【0033】
サーバ装置1は、ユーザ端末2毎に(すなわちユーザ毎に)、問題に対するユーザの解答が正答であるか、誤答であるかの採点を行う。
【0034】
このように、このネットワークシステムでは、ユーザは、入力したかな文字列(読み)の漢字表記を誤って覚えていると、正しい変換候補を偶然選択することはあるが、ほとんどの場合、誤った変換候補を選択する。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0035】
また、このネットワークシステムでは、解答をユーザに手書き入力させないので、手書き入力された文字の認識精度によって、ユーザの知識、能力等の判断や評価を誤ることはない。また、ユーザは、手書き入力が行えるタブレットを用意しなくてもよい。
【0036】
<2.構成例>
図2は、この例のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、制御ユニット11と、類似文字データベース12(類似文字DB12)と、辞書データベース13(辞書DB13)と、通信部14とを備えている。
【0037】
制御ユニット11は、サーバ装置1本体各部を制御する。また、制御ユニット11は、第1文字列取得部11a、類似文字抽出部11b、第2文字列生成部11c、並び調整部11d、および採点部11eを有している。制御ユニット11が有する第1文字列取得部11a、類似文字抽出部11b、第2文字列生成部11c、並び調整部11d、および採点部11eについては後述する。
【0038】
類似文字DB12は、形状が類似する文字をグループ化して記憶させたデータベースである。類似文字DB12は、例えば、公知のOCR(Optical Character Reader)での文字認識において、ある認識文字に対して、候補として抽出される文字群(形状の特徴量が類似している文字群)をグループ化して記憶させたデータベースである。辞書DB13は、読み(かな表記)、品詞、変換文字列(漢字表記)等を対応づけて登録したデータベースである。通信部14は、ネットワーク5を介して接続されるユーザ端末2との間でデータ通信を行う。
【0039】
類似文字DB12、および辞書DB13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってもよいし、SSD(Solid State Drive)であってもよいし、他の記憶媒体であってもよい。また、類似文字DB12、および辞書DB13は、単一の記憶媒体で記憶領域を分割して構成してもよいし、異なる記憶媒体で構成してもよい。
【0040】
次に、制御ユニット11が有する第1文字列取得部11a、類似文字抽出部11b、第2文字列生成部11c、並び調整部11d、および採点部11eについて説明する。
【0041】
第1文字列取得部11aは、ユーザ端末2から受信したかな文字列を読みとする変換候補を取得する。第1文字列取得部11aは、ユーザ端末2から受信したかな文字列が、問題の正答の読みであれば、問題の正答の漢字表記を第1文字列として取得する。また、第1文字列取得部11aは、ユーザ端末2から受信したかな文字列が、問題の正答の読みでなければ、受信したかな文字列を読みとする変換候補を第1文字列として取得する。
【0042】
類似文字抽出部11bは、第1文字列取得部11aが取得した第1文字列に属する文字毎に、その文字に形状が類似する文字を抽出する。類似文字抽出部11bは、類似文字DB12を参照して、形状が類似する文字の抽出を行う。
【0043】
第2文字列生成部は、第1文字列取得部11aが取得した第1文字列に対して、この第1文字列に属する一部、または全部の文字を、類似文字抽出部11bが抽出した文字に置き換えた文字列を第2文字列として生成する。第2文字列生成部は、第2文字列を1つ以上生成する。
【0044】
並び調整部11dは、第1文字列取得部11aが取得した第1文字列、および第2文字列生成部11cが生成した第2文字列について、ユーザ端末2において変換候補として表示されるときの並び順を調整する。
【0045】
採点部11eは、ユーザ端末2において選択された変換候補に基づいて、解答の正誤を含めた採点を行う。
【0046】
サーバ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力プログラムを実行したときに、第1文字列取得部11a、類似文字抽出部11b、第2文字列生成部11c、並び調整部11d、および採点部11eとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる文字入力プログラムを展開する領域や、この文字入力プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力方法を実行するコンピュータである。
【0047】
図3は、この例のユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。ユーザ端末2は、制御部21と、表示器22と、操作部23と、通信部24とを備えている。ユーザ端末2は、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。
【0048】
制御部21は、ユーザ端末2本体各部の動作を制御する。
【0049】
表示器22には、ユーザ端末2本体の状態に応じた画面が表示される。操作部23は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを有する。操作部23は、ユーザ端末2本体に対するユーザの入力操作を受け付ける。通信部24は、ネットワーク5を介して接続されるサーバ装置1との間でデータ通信を行う。
【0050】
ユーザ端末2の制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。また、制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0051】
<3.動作例>
以下、CBTで筆記試験を行う場合における、サーバ装置1、およびユーザ端末2の動作について説明する。図4は、サーバ装置の動作を示すフローチャートであり、図5は、ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【0052】
サーバ装置1は、通信部14において、筆記試験の問題をユーザ端末2に配信する(s1)。サーバ装置1が配信した問題は、ネットワーク5を介してユーザ端末2の通信部24で受信される。例えば、サーバ装置1は、
「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」という狂歌は、誰の性格を言い表したものですか?
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0053】
ユーザ端末2は、通信部24において、サーバ装置1から配信されてきた問題を受信すると、受信した問題を表示器22に表示する(s21、s22)。ユーザは、操作部23に設けられているキーボード等の入力デバイスを操作して、表示器22に表示された問題の解答を、かな文字列(読み)で入力する。ユーザは、例えば、「とよとみひでよし」や、「おだのぶなが」等を入力する。なお、この例では、「とよとみひでよし」が正答であり、「おだのぶなが」は誤答である。
【0054】
ユーザ端末2は、通信部24において、入力された読みをサーバ装置1に送信する(s23、s24)。ユーザ端末2は、サーバ装置1から変換候補を受信するのを待つ(s25)。
【0055】
サーバ装置1は、上記したs1でユーザ端末2に問題を配信すると、ユーザ端末2から読みを受信するのを待っている(s2)。サーバ装置1は、通信部14において、ユーザ端末2がs24で送信した読みを受信すると、第1の文字列を取得する(s3)。サーバ装置1は、s3で受信した読みが、s1で配信した問題の正答の読みであれば、正答の漢字表記を第1文字列として取得する。一方、サーバ装置1は、s3で受信した読みが、s1で配信した問題の正答の読みでなければ、今回受信した読みの漢字表記を第1文字列として取得する。例えば、サーバ装置1は、受信した読みが、正答である「とよとみひでよし」であれば、正答の漢字表記である「豊臣秀吉」を第1文字列として取得する。一方、サーバ装置1は、受信した読みが、正答でない「おだのぶなが」であれば、今回受信した読みである「織田信長」、「小田信長」、「織田信永」等の漢字表記のいずれかを第1文字列として取得する。サーバ装置1は、受信した読みが、正答でない場合、辞書DB13を用いて、第1文字列を取得する。第1文字列取得部11aが、s3にかかる処理を行う。
【0056】
サーバ装置1は、s3で取得した第1文字列に属する文字毎に、形状が類似している文字を抽出する(s4)。例えば、s3で取得した第1文字列が「豊臣秀吉」であれば、形状が「豊」に類似する文字、形状が「臣」に類似する文字、形状が「秀」に類似する文字、および形状が「吉」に類似する文字を抽出する。s3で取得した第1文字列が「織田信長」であれば、形状が「織」に類似する文字、形状が「田」に類似する文字、形状が「信」に類似する文字、および形状が「長」に類似する文字を抽出する。サーバ装置1は、類似文字DB12を用いて、s4にかかる類似文字の抽出を行う。類似文字抽出部11bが、s4にかかる処理を行う。
【0057】
サーバ装置1は、s3で取得した第1文字列の一部、または全部の文字を、s4で抽出した形状が類似する文字に置き換えた第2文字列を予め定められた個数(所定数)生成する(s5)。例えば、サーバ装置1は、s3で取得した第1文字列が「豊臣秀吉」であり、所定数が5個であると、「豊巨秀吉」、「豊臣莠吉」、「豊臣禿吉」、「豊巨禿吉」、および「豊巨莠吉」を第2文字列として生成する。また、サーバ装置1は、s3で取得した第1文字列が「織田信長」であり、所定数が5個であると、「職田信長」、「職田佶長」、「織田佶長」「織田俥長」、「職田俥長」を第2文字列として生成する。第2文字列生成部11cが、s5にかかる処理を行う。
【0058】
サーバ装置1は、s3で取得した第1文字列、およびs5で生成した所定数の第2文字列を、今回の問題の解答の変換候補にする。なお、ユーザが正当でない読みを入力している場合、今回の問題の解答の変換候補に正答が含まれていない。
【0059】
サーバ装置1は、今回の問題の解答の変換候補の並び順を調整する(s6)。ここで言う並び順とは、ユーザ端末2の表示器22において表示されるときの順番である。s6では、問題毎に、正答が表示される順位が、ランダムに変化するように並び順を調整する。並び調整部11dが、s6にかかる処理を行う。
【0060】
サーバ装置1は、s2で受信した読みの送信元であるユーザ端末2に対して、今回の問題の解答の変換候補を送信する(s7)。このとき、サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、今回の問題の解答の変換候補をs6で調整した並び順で表示することを指示する。
【0061】
ユーザ端末2は、通信部24において、今回の問題の解答の変換候補を受信すると、受信した変換候補を、サーバ装置1から指示された並び順で表示器22に表示する(s25、s26)。ユーザ端末2は、操作部23において、表示器22に表示した変換候補の1つを選択する操作を受け付けると、今回選択された変換候補を、今回の問題の解答としてサーバ装置1に送信し(s27、s28)、s21に戻る。
【0062】
サーバ装置1は、ユーザ端末2から解答を受信すると、今回の問題に対する採点を行い(s8、s9)、s1に戻る。
【0063】
したがって、このネットワークシステムでは、ユーザは、ユーザ端末2において入力した読みの漢字表記を誤って覚えていると、正しい変換候補を偶然選択することはあっても、ほとんどの場合、誤った変換候補を選択する。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0064】
また、この例のネットワークシステムでは、解答をユーザに手書き入力させないので、手書き入力された文字の認識精度によって、ユーザの知識、能力等の判断や評価を誤ることはない。また、ユーザは、手書き入力が行えるタブレットを用意しなくてもよい。
【0065】
なお、上記の説明では、サーバ装置1は、問題を1問ずつユーザ端末2に配信する場合を例にしたが、サーバ装置1は、複数の問題を一括してユーザ端末2に配信し、問題別に、読み、および解答をユーザ端末2から受信する処理を実行する構成にしてもよい。
【0066】
<4.変形例>
上記の例で示した、サーバ装置1の制御ユニット11が有する第1文字列取得部11a、類似文字抽出部11b、第2文字列生成部11c、並び調整部11d、および採点部11eにかかる構成を、ユーザ端末2の制御部21に設けてもよい。このように構成すれば、ユーザ端末は、ユーザが予習、復習を行う学習端末としても利用できる。
【0067】
また、上記の例では、類似文字抽出部11bは、存在している文字の中から形状が類似している文字を抽出する構成であるとしたが、例えば、文字の偏を置き換えたり、文字のつくりに対する点の追加や削除、または横棒、縦棒の追加や削除等を行ったりして生成した文字(存在しない文字であってもよい。)を形状が類似する文字として抽出する構成にしてもよい。
【0068】
また、この発明は、特定の種類の検定試験や、教科に限らず、CBTで筆記試験を実施できる。
【0069】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0070】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
入力された入力文字列に応じて第1文字列を取得する第1文字列取得部(11a)と、
前記第1文字列に属する文字について、その形状が類似する類似文字を抽出する類似文字抽出部(11b)と、
前記第1文字列に属する文字の一部、または全部を、前記類似文字抽出部が抽出した前記類似文字に置き換えた第2文字列を生成する第2文字列生成部(11c)と、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力部(14)と、を備えた文字入力装置(1)。
【符号の説明】
【0071】
1…サーバ装置
2…ユーザ端末
5…ネットワーク
11…制御ユニット
11a…第1文字列取得部
11b…類似文字抽出部
11c…第2文字列生成部
11d…調整部
11e…採点部
12…類似文字データベース(類似文字DB)
13…辞書データベース(辞書DB)
14…通信部
21…制御部
22…表示器
23…操作部
24…通信部
図1
図2
図3
図4
図5