(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/514 20060101AFI20241203BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61F13/514 400
A61F13/514 500
A61F13/494 115
(21)【出願番号】P 2021001594
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2020064666
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
(72)【発明者】
【氏名】丹下 雄貴
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204756(JP,A)
【文献】特開2011-217899(JP,A)
【文献】特開2017-064247(JP,A)
【文献】特開2008-183332(JP,A)
【文献】特開2013-198651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0069555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者が排出した液体を吸収する吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収性物品の長手方向に沿って前記吸収体の幅方向の両側に設けられ、前記長手方向に伸縮する弾性部材によって形成されたレグギャザーと、
前記吸収体の幅方向の両外側に設けられ、装着状態で外部から視認可能な視覚情報部であって、前記レグギャザーが前記液体の横漏れを抑制できる状態で前記吸収性物品が装着されているかを視覚的に表す視覚情報部と、
を備
え、
前記視覚情報部は、前記レグギャザーにおける前記幅方向中央側端部に配置されている、
吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品の外表面を形成する外装シートを備え、
前記外装シートの色と前記レグギャザーの色とが同じである、
請求項
1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、
前記視覚情報部は、前記股下領域から前記前身頃領域及び/又は前記後身頃領域まで延在している、
請求項1
または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記装着状態において、前記前身頃領域と前記後身頃領域とが接合されて胴回り領域が形成され、
前記装着状態で前記胴回り領域が前記吸収性物品の幅方向に伸張される、
請求項
3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記視覚情報部は、前記レグギャザーが前記幅方向の中央側に巻き込まれていない状態で前記吸収性物品が装着されている場合に、前記装着状態で外部から視認可能である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記視覚情報部は、前記レグギャザーにおける他の部位と異なる色が付されて、前記レグギャザーに設けられている、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記視覚情報部と同じ方向に延在する前記視覚情報部と同じ模様は、前記吸収性物品の他には設けられていない、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記視覚情報部は、前記レグギャザーを構成するシート部材に塗布された接着剤の所定の塗布パターンである、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記弾性部材の少なくとも一部は、前記レグギャザーにおける他の部位と異なる色が付された前記視覚情報部である、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
複数の前記弾性部材を備え、
複数の前記弾性部材のうちの一つは、他の前記弾性部材と異なる色が付された前記視覚情報部である、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記着用者の脚周りに対応する脚周り領域を備え、
前記レグギャザーは、前記脚
周り領域を含んで配置されており、
前記視覚情報部は、前記長手方向に、且つ、前記脚
周り領域に沿って設けられている、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記視覚情報部は、前記長手方向の両端部側が前記長手方向中央部よりも幅広に形成されている、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記視覚情報部は、他の部位と触感が異なる、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や体液等の液体を吸収する吸収性物品は、着用者の脚周りから液体が漏れるのを抑制するためにレグギャザーを備えている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品は、レグギャザーが内側に巻き込まれていない等の正しい位置にある状態で装着されている場合に当該レグギャザーで液体が漏れるのを抑制し得る。しかしながら、吸収性物品は、レグギャザーが正しい位置にない状態で装着されると、当該レグギャザーで液体が漏れるのを抑制できなくなり、液体漏れが生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、液体漏れを抑制し得る吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、レグギャザーが液体の横漏れを抑制できる状態で吸収性物品が装着されているかを視覚的に表す視覚情報部を設けた。
【0007】
詳細には、本発明は、着用者が排出した液体を吸収する吸収性物品であって、吸収体と、前記吸収性物品の長手方向に沿って前記吸収体の幅方向の両側に設けられ、前記長手方向に伸縮する弾性部材によって形成されたレグギャザーと、前記吸収体の幅方向の両外側に設けられ、装着状態で外部から視認可能な視覚情報部であって、前記レグギャザーが前記液体の横漏れを抑制できる状態で前記吸収性物品が装着されているかを視覚的に表す視覚情報部と、を備える。
【0008】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記吸収性物品の幅方向において前記吸収体と前記レグギャザーの間に設けられていてもよい。
【0009】
上記吸収性物品において、前記吸収性物品の外表面を形成する外装シートを備え、前記外装シートの色と前記レグギャザーの色とが同じであってもよい。
【0010】
上記吸収性物品において、前記装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、前記視覚情報部は、前記股下領域から前記前身頃領域及び/又は前記後身頃領域まで延在していてもよい。
【0011】
上記吸収性物品において、前記装着状態において、前記前身頃領域と前記後身頃領域とが接合されて胴回り領域が形成され、前記装着状態で前記胴回り領域が前記吸収性物品の幅方向に伸張されていてもよい。
【0012】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記レグギャザーが前記幅方向の中央側
に巻き込まれていない状態で前記吸収性物品が装着されている場合に、前記装着状態で外部から視認可能であってもよい。
【0013】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記レグギャザーにおける他の部位と異なる色が付されて、前記レグギャザーに設けられていてもよい。
【0014】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部と同じ方向に延在する前記視覚情報部と同じ模様は、前記吸収性物品の他には設けられていなくてもよい。
【0015】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記レグギャザーを構成するシート部材に塗布された接着剤の所定の塗布パターンであってもよい。
【0016】
上記吸収性物品において、前記弾性部材の少なくとも一部は、前記レグギャザーにおける他の部位と異なる色が付された前記視覚情報部であってもよい。
【0017】
上記吸収性物品は、複数の前記弾性部材を備え、複数の前記弾性部材のうちの一つは、他の前記弾性部材と異なる色が付された前記視覚情報部であってもよい。
【0018】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記レグギャザーにおける前記幅方向中央側端部に配置されていてもよい。
【0019】
上記吸収性物品は、前記着用者の脚周りに対応する脚周り領域を備え、前記レグギャザーは、前記脚回り領域を含んで配置されており、前記視覚情報部は、前記長手方向に、且つ、前記脚回り領域に沿って設けられていてもよい。
【0020】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、前記長手方向の両端部側が前記長手方向中央部よりも幅広に形成されていてもよい。
【0021】
上記吸収性物品において、前記視覚情報部は、他の部位と触感が異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液体漏れを抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るおむつの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るおむつの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る非装着状態のおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る伸長した状態のおむつを肌面側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態4に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態5に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0025】
<実施形態1>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0026】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。よって、おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0027】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
【0028】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、
図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
図4は、伸長した状態のおむつ1を肌面側から見た平面図である。なお、
図4以降において、一点鎖線である線Cは、おむつ1の幅方向中心を表す中心線である。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4(本願でいう「外装シート」の一例である)を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位(
図4に示す脚周り領域10L,10R)に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料とし
て用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0029】
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6C、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6Cの吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6Cに進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
【0030】
バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6Cに覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6Cに接触することになる。
【0031】
また、おむつ1は、上述したレグギャザー3AL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRがカバーシート4とバックシート5の間におむつ1の長手方向に伸縮するように設けられる。糸ゴム4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。なお、
図4に示されるように、レグギャザー3AL,3ARは、おむつ1において着用者の大腿部が位置する部位である脚周り領域10L,10Rを含んで配置されている。脚周り領域10L,10Rは、股下領域1Bの幅方向両側端部に配置される。また、糸ゴム4SL,4SRの配置領域が、レグギャザー3AL,3ARである。
【0032】
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位(
図4に示す脚周り領域10L,10R)に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには立体ギャザー3BL,3BRを形成するための糸ゴム8EL,8ERが長手方向に沿って編み込まれている。サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、糸ゴム8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRとなる。
【0033】
なお、カバーシート4には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ糸ゴム4Cが糸ゴム4SL,4SRよりもおむつ1の幅方向内側でおむつ1の長手方向に沿って設けられている。糸ゴム4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。
【0034】
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための糸ゴム9ERは、吸収体6Cの端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7の間に設けられる。糸ゴム9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでバックシート5とトップシート7の間に設けられる。よって、糸ゴム9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、糸ゴム9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
【0035】
吸収体6Cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0036】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0037】
次に、
図5に基づいて、本実施形態に係るおむつ1が備える視覚情報部について説明する。
図5は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図5では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0038】
本実施形態では、おむつ1の幅方向両外側に複数の視覚情報部が設けられている。幅方向左側には、視覚情報部11L,12Lが設けられ、幅方向右側には視覚情報部11R,12Rが設けられている。視覚情報部11L,11Rは、視覚情報部12L,12Rよりもおむつ1の幅方向外側に配置されている。視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、おむつ1の長手方向両端部まで延在するように直線状に形成されている。また、視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、おむつ1の長手方向に、且つ、脚回り領域10L,10Rに沿って設けられている。また、視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、レグギャザーAL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRとおむつ1の厚み方向において重なっている。
【0039】
視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、レグギャザー3AL,3ARにおける他の部位と異なる色(例えば、赤色や黄色)が付されて、レグギャザー3AL,3ARに設けられている。より具体的には、本実施形態では、おむつ1の外表面を形成するカバーシート4の外表面側に、レグギャザー3AL,3ARにおける他の部位と異なる色(例えば、赤色や黄色)が付されることによって視覚情報部11L,12L,11R,12Rが形成されている。視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、レグギャザー3AL,3ARを構成するシート部材であるカバーシート4,バックシート5,又はサイドシート8の何れかに外部から視認可能に形成されていればよい。なお、相対的に幅方向外側に配置される視覚情報部11L,11Rと、幅方向内側に配置される視覚情報部12L,12Rとは、互いに同じ色が付されていてもよいし、互いに異なる色が付させていてもよい。
【0040】
レグギャザーが正しい位置にない状態、例えば、レグギャザーがおむつの内側に入っている状態でおむつが着用されると、当該レグギャザーで液体が漏れるのを抑制できなくなり、液体漏れが生じてしまう。このように、レグギャザーが正しい位置にない状態でおむつが着用されると液体漏れの原因になる。また一般的に、おむつはその全体が同系色で形成されており、レグギャザーも当該同系色で形成されている。このため、着用者や当該着用者におむつを着用させる使用者は、レギャザーがおむつの内側に巻き込まれていないことを、視認によって確認するのに手間が掛かったり、見誤ったり、判断に時間や手間を要したりする場合がある。レグギャザーが正しい位置にない状態でおむつが装着されると、当該レグギャザーで液体が漏れるのを抑制できなくなり、脚周りから液体漏れが生じてしまう。
【0041】
一方、本実施形態に係るおむつ1において、視覚情報部11L,11R、12L,12Rは、レグギャザー3AL,3ARが液体の横漏れを抑制できる状態でおむつ1が装着されているかを視覚的に表す。より具体的には、視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、レグギャザー3AL,3ARが幅方向の中央側に巻き込まれていない状態でおむつ1が装着されている場合に、装着状態で外部から視認可能である。なお、レグギャザー3AL,3ARは、正しい位置にある状態でおむつ1の装着されている場合に外側に露出する部位であり、着用者の脚周りを含んで配置されることで当該脚周りから液体が漏出するのを抑制する。本実施形態では、レグギャザー3AL,3ARが外部に露出していないことを着用者や使用者は、相対的に視認し易い視覚情報部11L,12L,11R,12Rを視ることで、レグギャザー3AL,ARがおむつ1の内側に巻き込まれておらず、正しい位置にある状態でおむつ1が着用されていることを判別し易くできる。これにより、本実施形態に係るおむつ1は、レグギャザー3AL,3ARで液体が漏れるのを抑制できる状態で着用されるので、脚周りからの液体漏れを抑制できる。
【0042】
なお、視覚情報部12L,12Rは、レグギャザー3AL,3ARにおける幅方向中央側端部に配置されている。レグギャザー3AL,3ARの幅方向中央側端部は、吸収体6Cの配置側の端部である。一般的におむつは、レグギャザーの幅方向中央側端部又は当該端部より近い部位が内側に巻き込まれる程、当該レグギャザーでの液体の漏れ抑制機能が低下してしまう。このため、本実施形態に係るおむつ1は、レグギャザー3AL,3ARの幅方向中央側端部に視覚情報部12L,12Rが設けられているので、レグギャザー3AL,3ARの幅方向中央側端部や当該端部に近い部位が内側に巻き込まれているか否かを判別し易くできる。これにより、本実施形態に係るおむつ1は、レグギャザー3AL,3ARで液体が漏れるのを抑制できる状態で着用されるので、脚周りからの液体漏れを抑制できる。
【0043】
外表面を形成するカバーシート4の色(例えば、白や模様の背景色、地色)とレグギャザー3AL,3ARの色が同じである。このため、レグギャザー3AL,3ARが、幅方向内側に傾倒した又は、幅方向内側に折り畳まれた状態で装着されてしまった場合に、視覚情報部11L,12L,11R,12Rが外部から視認できないことになり、レグギャザー3AL,3ARが内側に巻き込まれた状態、すなわち、おむつ1が正しい装着状態ではないということを装着者に気づかせることができる。また、吸収体6Cよりも幅方向外側が股下領域1B内に巻き込まれた状態でおむつ1が装着されている場合に、この巻き込まれた部分を吸収体6Cの幅方向外側から引き出して、おむつ1を正しい装着状態とすることができる。
【0044】
また、視覚情報部11L,12L,11R,12Rは、股下領域1Bから前身頃領域1F及び後身頃領域1Rまで延在している。ここで、装着状態においてはテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されるので、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとが接合されて着用者の胴回りを囲む胴回り領域が形成される。本実施形態に係るおむつ1は、後身頃
領域1Rに糸ゴム9ERが配置されており、装着状態で胴回り領域がおむつ1の幅方向に伸張される。なお、糸ゴム9ERが配置されていない場合であっても装着状態で胴回り領域がおむつ1の幅方向に伸張される。装着状態において、前身頃領域1F及び後身頃領域1Rで構成される胴回り領域は、おむつ1の幅方向中央から幅方向外側方向に伸張されるため、前身頃領域1F及び後身頃領域1Rを含んで設けられた視覚情報部11L,11R,12L、12Rは、外部から視認可能となる。仮に、レグギャザー3AL,3ARを含む股下領域1Bの一部が内側に巻き込まれた状態でおむつ1が装着されると、視覚情報部11L,12L,11R,12Rが股下領域1Bで途切れた状態で視認される。おむつ1は、視覚情報部11L,12L,11R,12Rが途中で途切れた違和感を装着者等に与えることで、股下領域1Bの一部が内側に巻き込まれた状態であること装着者等に気付かせることができる。そして、おむつ1は、装着者等にレグギャザー3AL,3ARを外側に引き出させることができ、正しい装着状態とすることができる。
【0045】
また、視覚情報部11L,12L,11R,12Rと同じ方向に延在(おむつ1の長手方向に延在)するこれらの視覚情報部と同じ模様はおむつ1の他には設けられていない。これにより、視覚情報部11L,12L,11R,12Rをおむつ1内で目立たせることができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図6は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図6では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。視覚情報部13L,13Rは、レグギャザー3AL,3ARを構成するシート部材に所定パターンで塗布された接着剤である。
【0047】
本実施形態では、レグギャザー3AL,3ARを構成するカバーシート4の内表面側に塗布された接着剤の所定の塗布パターン13L,13Rが視覚情報部である。視覚情報部としての所定の塗布パターン13L,13Rは、吸収体6の幅方向の両外側に配置されている。所定の塗布パターン(塗布模様)は、本実施形態のように波状(sin波状)であってもよいし、サイクロイド状であってもよいし、トコロイド状であってもよい。所定の塗布パターンは、接着剤が外部から視認可能であり、レグギャザー3AL,3ARを構成するシート部材同士を張り合わせるのに支障のないパターンであればよい。また、レグギャザー3AL,3ARを構成するシート部材に塗布された接着剤の所定の塗布パターンを視覚情報部としてもよい。
【0048】
本実施形態に係るおむつ1において、視覚情報部である塗布パターン13L,13Rは、レグギャザー3AL,3ARが液体の横漏れを抑制できる状態でおむつ1が装着されているかを視覚的に表す。本実施形態に係るおむつ1は、レグギャザー3AL,3ARで液体が漏れるのを抑制できる状態で着用されるので、脚周りからの液体漏れを抑制できる。
【0049】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図7は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図7では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0050】
本実施形態では、レグギャザー3AL,3ARを形成する複数の糸ゴム4SL,4SRは、レグギャザー3AL,3ARにおける他の部位と異なる色が付された視覚情報部である。視覚情報部としての複数の糸ゴム4SL,4SRは、吸収体6の幅方向の両外側に配
置されている。なお、3本の糸ゴム4SL,4SRのうち1本が当該視覚情報部であってもよいし、3本の糸ゴム4SL,4SRのうち2本が当該視覚情報部であってもよいし、3本の糸ゴム4SL,4SRの全てが当該視覚情報部であってもよい。また、3本の糸ゴム4SL,4SRのうち1~3本が当該視覚情報部である場合には、糸ゴムの一部が当該視覚情報部であってもよいし、糸ゴムの全体が当該視覚情報部であってもよいし。
【0051】
本実施形態に係るおむつ1において、視覚情報部である糸ゴム4SL,4SRは、レグギャザー3AL,3ARが液体の横漏れを抑制できる状態でおむつ1が装着されているかを視覚的に表す。また、レグギャザー3AL,3ARに生じ得る内側への巻き込みは、通常、それらの幅方向外側から生じ得る。本実施形態では、レグギャザー3AL,3ARを形成する複数の糸ゴム4SL,4SRの少なくとも一部が視覚情報部であるため、レグギャザー3AL,3ARの相対的に外側が巻き込まれているかを判別し易くできる。これにより、おむつ1は、レグギャザー3AL,3ARの少量の巻き込みが生じているか否かを確認し易くできる。このため、おむつ1は、レグギャザー3AL,3ARが正しい位置にある状態でおむつ1が着用されているか否かを判別し訳して、レグギャザー3AL,3ARで液体が漏れるのを抑制できる状態で着用されるので、脚周りからの液体漏れを抑制できる。
【0052】
<実施形態4>
次に、実施形態4に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図8は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図8では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0053】
本実施形態では、おむつ1の幅方向両外側に視覚情報部15L,15R(
図8中、右上がりハッチングで示す)が設けられている。幅方向左側には、視覚情報部15Lが設けられ、幅方向右側には視覚情報部15Rが設けられている。視覚情報部15L,15Rは、吸収体6Cの幅方向の両外側であり、レグギャザー3AL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRの幅方向の外側に配置されている。視覚情報部15L,15Rは、おむつ1の長手方向両端部まで延在するように直線状に形成されている。なお、視覚情報部15L、15Rは、股下領域1Bから前身頃領域1F及び/又は後身頃領域1Fまで延在するように設けられていればよい。なお、視覚情報部15L,15Rは、視覚情報部11L,11Rと同様に形成されている。
【0054】
本実施形態のように、視覚情報部15L,15Rは、レグギャザーAL,3ARの幅方向の外側に設けられていてもよい。本実施形態に係るおむつ1によれば、装着状態において視覚情報部15L,15Rが視認できるか否かによって、脚周り領域10L,10Rが内側に巻き込まれているか否か確認することができる。脚周り領域10L,10Rが内側に巻き込まれている場合には、レグギャザー3AL,3ARも内側に巻き込まれている可能性が高い。おむつ1は、視覚情報部15L,15Rが視認できるか否かによって、レグギャザー3AL,3ARが内側に巻き込まれた状態であること装着者等に気付かせることができる。そして、おむつ1は、装着者等にレグギャザー3AL,3ARを外側に引き出させることができ、正しい装着状態とすることができる。
【0055】
<実施形態5>
次に、実施形態5に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図9は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図9では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0056】
本実施形態では、おむつ1の幅方向において吸収体6Cとレグギャザー3AL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRの間に視覚情報部16L,16R(
図9中、右上がりハッチングで示す)が配置されている。幅方向左側には、視覚情報部16Lが設けられ、幅方向右側には視覚情報部16Rが設けられている。視覚情報部16L,16Rは、おむつ1の長手方向両端部まで延在するように直線状に形成されている。なお、視覚情報部16L、16Rは、股下領域1Bから前身頃領域1F及び/又は後身頃領域1Fまで延在するように設けられていればよい。なお、視覚情報部16L,16Rは、視覚情報部11L,11Rと同様に形成されている。
【0057】
本実施形態のように、視覚情報部16L,16Rは、おむつ1の幅方向において吸収体6Cとレグギャザー3AL,3ARの間に設けられていてもよい。本実施形態に係るおむつ1によれば、装着状態において視覚情報部16L,16Rが視認できるか否かによって、レグギャザー3AL,3ARが内側に巻き込まれているか否か確認することができる。おむつ1は、視覚情報部16L,16Rが視認できるか否かによって、レグギャザー3AL,3ARが内側に巻き込まれた状態であること装着者等に気付かせることができる。そして、おむつ1は、装着者等にレグギャザー3AL,3ARを外側に引き出させることができ、正しい装着状態とすることができる。
【0058】
<変形例1>
次に、変形例1に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図10は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図10では、糸ゴム4C,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0059】
本変形例では、おむつ1の幅方向両外側に視覚情報部17L,17Rが設けられている。おむつ1の幅方向左側には、視覚情報部17Lが設けられ、幅方向右側には視覚情報部17Rが設けられている。視覚情報部17L,17Rは、おむつ1の長手方向両端部まで延在するように直線状に形成されている。また、視覚情報部17L,17Rは、レグギャザーAL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRとおむつ1の厚み方向において重なっている。視覚情報部17L,17Rは、レグギャザー3AL,3ARにおける他の部位と異なる色(例えば、赤色や黄色)が付されて、レグギャザー3AL,3ARに設けられている。本変形例では、おむつ1の外表面を形成するカバーシート4の外表面側に、レグギャザー3AL,3ARにおける他の部位と異なる色(例えば、赤色や黄色)が付されることによって視覚情報部17L,17Rが形成されている。
【0060】
また、本変形例では、視覚情報部17L,17Rは、前身頃領域1F側および後身頃領域側1Rにおいて股下領域1Bよりも幅広に形成されている。すなわち、視覚情報部17L,17Rは、おむつ1の長手方向の両端部側がおむつ1の長手方向中央部よりも幅広に形成されている。通常、おむつ1の前身頃領域1Fや後身頃領域1Rは、装着者(着用者)の胴回り方向で広げた状態で装着される部分である。おむつ1は、この部分における視覚情報部17L,17を幅広に形成することで、視覚情報部17L,17Rを外部から視認し易くし、仮に、レグギャザー3AL,3ARが内側に入った状態でおむつ1が装着された場合に、視覚情報部17L,17Rが、股下領域1Bで視認不能となることを気付かせ易くできる。
【0061】
<変形例2>
次に、変形例2に係るおむつ1について説明する。上記実施形態における視覚情報部11L,11R,12L,12R,15L,15R,16L,16Rや、上記変形例1における視覚情報部17L,17Rは、おむつ1における他の部位と触感が異なる。例えば、視覚情報部がカバーシートに印刷されることによって形成されている場合には、カバーシ
ートにおける印刷の有無によって、視覚情報部と他の部位で触覚(曲げ剛度や摩擦係数など)が異なる。また、視覚情報部がバックシート5に印刷されることによって形成されている場合には、印刷の有無や接着剤(ホットメルト接着剤)の有無等によって触覚(曲げ剛度など)が異なる。これにより、おむつ1は、レグギャザー3AL,3ARが内側に入った状態でおむつ1が装着された場合に、おむつ1が外部から触れられることによって触覚的に視覚情報部が股下領域1Bで折り曲がっていることを認識させることができる。また、おむつ1は、レグギャザー3AL,3ARが内側に入った状態でおむつ1が装着された場合に、装着者に触覚的に違和感を付与し、視覚情報部が股下領域1Bで折り曲がっていることを認識させることができる。
【0062】
<その他の実施形態>
次に、その他の実施形態について説明する。視覚情報部は、前身頃領域1Fの股下領域1B側の端部から、後身頃領域1Rの股下領域1B側の端部まで少なくとも延在していてもよい。なお、テープ型のおむつである場合には、テープ2L,2Rの股下領域1B側の端部からフロントパッチ2Fの股下領域1B側の端部まで延在するように視覚情報部を設けてもよい。また、カバーシート4の外表面に外部から視認可能な模様が付されている場合には、当該模様とは延在方向や形などが異なる形態で視覚情報部を形成してもよい。
【0063】
上記実施形態では、テープ型のおむつを例示したが、パンツ型のおむつやその他各種形態の吸収性物品にも適用可能である。例えば、パンツ型のおむつの場合には、ウェストギャザーの腹側の股下側端部からウェストギャザーの背側の股下側端部にまで延在するように視覚情報部を形成してもよい。なお、パンツ型のおむつは、装着状態において前身頃領域と後身頃領域とが接合されて胴回り領域が形成され、装着状態で胴回り領域がおむつの幅方向に伸張される。
【符号の説明】
【0064】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2L,2R・・テープ
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER,14L,14R・・糸ゴム
5・・バックシート
6C・・吸収体
7・・トップシート
8・・サイドシート
10L,10R・・脚周り領域
11L,11R,12L,12R,15L,15R,16L,16R・・視覚情報部
13・・塗布パターン