(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ロボット、取り付け方法、取り外し方法、固定部材およびメンテナンスシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B25J17/00 A
B25J17/00 E
(21)【出願番号】P 2021009739
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 秀典
(72)【発明者】
【氏名】一宮 祐太
(72)【発明者】
【氏名】星野 真吾
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-136657(JP,A)
【文献】特開2018-187711(JP,A)
【文献】特開2019-111598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1載置面を有する第1部材と、
前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、
前記関節アクチュエーターを前記第2載置面に固定する第1ネジと、
前記関節アクチュエーターを前記第1載置面に固定する第2ネジと、を有し、
前記関節アクチュエーターは、モーターと、
前記モーターに設けられ、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに固定され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、
前記フランジに前記減速機を固定する第3ネジと、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、かつ、前記減速機の幅よりも大きく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記第1ネジは、前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めし、前記第2ネジは、前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止め
し、
前記第1部材は、前記第2部材と反対側からの平面視で、前記第1部材の前記第2ネジよりも前記第2部材と反対側に位置している部分に、前記第2ネジよりも大きい貫通孔を有することを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第2部材に着脱自在に装着され、前記関節アクチュエーターを覆うカバー部材を有し、
前記第2部材から前記カバー部材を取り外した状態で、前記第2部材の外側からで、かつ、前記第2部材の前記第2載置面側からの平面視で、前記第2部材の第1ネジよりも前記第1部材と反対側に位置している部分は、前記第1ネジと重ならない請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、を連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターの取り付け方法であって、
前記関節アクチュエーターは、モーターと、
前記モーターに設けられ、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに固定され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、
前記フランジに前記減速機を固定するネジと、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、かつ、前記減速機の幅よりも大きく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記関節アクチュエーターを前記第1部材と反対側から前記第2載置面に載置することにより前記減速機を前記開口から前記第1部材側に突出させるステップと、
第1ネジを用いて前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めするステップと、
第2ネジを用いて前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止めするステップと、を含
み、
前記第2ネジが前記第1部材に取り付けられている状態で、
前記第1部材は、前記第2部材と反対側からの平面視で、前記第1部材の前記第2ネジよりも前記第2部材と反対側に位置している部分に、前記第2ネジよりも大きい貫通孔を有することを特徴とする取り付け方法。
【請求項4】
固定部材によって前記第1部材と前記第2部材とを固定した状態で前記関節アクチュエーターを取り付ける請求項
3に記載の取り付け方法。
【請求項5】
前記減速機を前記第1部材にネジ止めするステップの後に、前記第2部材に、前記関節アクチュエーターを覆うカバー部材を着脱自在に装着するステップを含み、
前記第2部材から前記カバー部材を取り外した状態で、前記第2部材の外側からで、かつ、前記第2部材の前記第2載置面側からの平面視で、前記第2部材の第1ネジよりも前記第1部材と反対側に位置している部分は、前記第1ネジと重ならない請求項3または4に記載の取り付け方法。
【請求項6】
第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、を連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターの取り外し方法であって、
前記関節アクチュエーターは、モーターと、
前記モーターに設けられ、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに固定され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、
前記フランジに前記減速機を固定するネジと、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、かつ、前記減速機の幅よりも大きく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記関節アクチュエーターは、前記第1部材と反対側から前記第2載置面に載置することにより前記減速機を前記開口から前記第1部材側に突出し、
前記フランジは、第1ネジによって前記第1部材と反対側から前記第2部材に固定され、
前記減速機は、第2ネジによって前記第2部材と反対側から前記第1部材に固定され、
前記第2ネジを取り除くステップと、
前記第1ネジを取り除くステップと、
前記関節アクチュエーターを前記第1部材と反対側へ引き抜くステップと、を含
み、
前記第2ネジが前記第1部材に取り付けられている状態で、
前記第1部材は、前記第2部材と反対側からの平面視で、前記第1部材の前記第2ネジよりも前記第2部材と反対側に位置している部分に、前記第2ネジよりも大きい貫通孔を有することを特徴とする取り外し方法。
【請求項7】
固定部材によって前記第1部材と前記第2部材とを固定した状態で前記関節アクチュエーターを取り外す請求項
6に記載の取り外し方法。
【請求項8】
前記第2部材に、前記関節アクチュエーターを覆うカバー部材が着脱自在に装着されており、
前記第2ネジを取り除くステップの前に、前記第2部材から前記カバー部材を取り外すステップを含み、
前記第2部材から前記カバー部材を取り外した状態で、前記第2部材の外側からで、かつ、前記第2部材の前記第2載置面側からの平面視で、前記第2部材の第1ネジよりも前記第1部材と反対側に位置している部分は、前記第1ネジと重ならない請求項6または7に記載の取り外し方法。
【請求項9】
第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、を有するロボットから前記関節アクチュエーターを取り外す際、または前記ロボットに前記関節アクチュエーターを取り付ける際に
、前記第1部材および前記第2部材の外側に着脱自在に装着され、前記第1部材と前記第2部材とを固定する固定部材であって、
前記ロボットは、
前記関節アクチュエーターを前記第2載置面に固定する第1ネジと、
前記関節アクチュエーターを前記第1載置面に固定する第2ネジと、を有し、
前記関節アクチュエーターは、
モーターと、
前記モーターに設けられ、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに固定され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、
前記フランジに前記減速機を固定するネジと、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、かつ、前記減速機の幅よりも大きく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記第1ネジは、前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めし、前記第2ネジは、前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止めし、
前記第1部材は、前記第2部材と反対側からの平面視で、前記第1部材の前記第2ネジよりも前記第2部材と反対側に位置している部分に、前記第2ネジよりも大きい貫通孔を有し、
前記固定部材は、
前記第1部材との固定に用いられるネジを挿通する第1挿通孔と、
前記第2部材との固定に用いられるネジを挿通する第2挿通孔と、を有
し、
前記固定部材は、前記第1部材および前記第2部材に装着された状態で、前記固定部材の外側からで、かつ、前記第1部材の前記第1載置面と反対側からの平面視で、前記第2ネジを包含する貫通孔を有することを特徴とする固定部材。
【請求項10】
前記第1部材と前記関節アクチュエーターとを固定しているネジの着脱を行うための作業経路と重ならず、
前記第2部材と前記関節アクチュエーターとを固定しているネジの着脱を行うための作業経路と重ならない請求項
9に記載の固定部材。
【請求項11】
前記ロボットとの位置決めを行う位置決め部を有する請求項
9または
10に記載の固定部材。
【請求項12】
第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、を有するロボットから前記関節アクチュエーターを取り外す際、または前記ロボットに前記関節アクチュエーターを取り付ける際に
、前記第1部材および前記第2部材の外側に着脱自在に装着し、前記第1部材と前記第2部材とを固定部材で固定するメンテナンスシステムであって、
前記ロボットは、
前記関節アクチュエーターを前記第2載置面に固定する第1ネジと、
前記関節アクチュエーターを前記第1載置面に固定する第2ネジと、を有し、
前記関節アクチュエーターは、
モーターと、
前記モーターに設けられ、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに固定され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、
前記フランジに前記減速機を固定するネジと、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、かつ、前記減速機の幅よりも大きく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記第1ネジは、前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めし、前記第2ネジは、前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止めし、
前記第1部材は、前記第2部材と反対側からの平面視で、前記第1部材の前記第2ネジよりも前記第2部材と反対側に位置している部分に、前記第2ネジよりも大きい貫通孔を有し、
前記固定部材は、
前記第1部材との固定に用いられるネジを挿通する第1挿通孔と、
前記第2部材との固定に用いられるネジを挿通する第2挿通孔と、を有
し、
前記固定部材は、前記第1部材および前記第2部材に装着された状態で、前記固定部材の外側からで、かつ、前記第1部材の前記第1載置面と反対側からの平面視で、前記第2ネジを包含する貫通孔を有することを特徴とするメンテナンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、取り付け方法、取り外し方法、固定部材およびメンテナンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1関節部材と、第1関節部材に対して軸線回りに回動可能な第2関節部材と、第1関節部材と第2関節部材とを連結する減速機と、減速機に接続されたモーターと、を有するロボットが記載されている。特許文献1のロボットでは、減速機を取り外す際に、第1関節部材と第2関節部材とが分離しないように、減速機以外の場所でも第1関節部材と第2関節部材とが連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のロボットでは、まず、モーターを取り外し、その後、減速機を取り外す必要がある。そのため、減速機を取り外すための工程が多く、その作業が煩雑となり易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロボットは、第1載置面を有する第1部材と、
前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口と、前記第1部材と反対側に位置する第2載置面と、を有する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、を有し、
前記関節アクチュエーターは、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに対して前記第1部材と反対側に配置されているモーターと、
前記フランジに対して前記第1部材側に配置され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記減速機の幅は、前記開口の幅よりも小さく、
前記関節アクチュエーターを前記第1部材と反対側から前記第2載置面に載置することにより前記減速機を前記開口から前記第1部材側に突出させ、第1ネジを用いて前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めし、第2ネジを用いて前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止めすることにより前記第1部材と前記第2部材とが連結される構造である。
【0006】
本発明の取り付け方法は、第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、を連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターの取り付け方法であって、
前記関節アクチュエーターは、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに対して前記第1部材と反対側に配置されているモーターと、
前記フランジに対して前記第1部材側に配置され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記減速機の幅は、前記開口の幅よりも小さく、
前記関節アクチュエーターを前記第1部材と反対側から前記第2載置面に載置することにより前記減速機を前記開口から前記第1部材側に突出させるステップと、
第1ネジを用いて前記フランジを前記第1部材と反対側から前記第2部材にネジ止めするステップと、
第2ネジを用いて前記減速機を前記第2部材と反対側から前記第1部材にネジ止めするステップと、を含む。
【0007】
本発明の取り外し方法は、第1載置面を有する第1部材と、前記第1部材に対して前記第1載置面側に位置し、前記第1部材と対向する開口および前記第1部材と反対側に位置する第2載置面を有する第2部材と、を連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターの取り外し方法であって、
前記関節アクチュエーターは、前記第2載置面に固定されているフランジと、
前記フランジに対して前記第1部材と反対側に配置されているモーターと、
前記フランジに対して前記第1部材側に配置され、前記開口から前記第1部材側に突出し、前記第1載置面に固定されている減速機と、を有し、
前記開口の幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記モーターの幅は、前記フランジの幅よりも小さく、
前記減速機の幅は、前記開口の幅よりも小さく、
前記フランジは、第1ネジによって前記第1部材と反対側から前記第2部材に固定され、
前記減速機は、第2ネジによって前記第2部材と反対側から前記第1部材に固定され、
前記第2ネジを取り除くステップと、
前記第1ネジを取り除くステップと、
前記関節アクチュエーターを前記第1部材と反対側へ引き抜くステップと、を含む。
【0008】
本発明の固定部材は、前記第1部材と、前記第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、を有するロボットから前記関節アクチュエーターを取り外す際または前記ロボットに前記関節アクチュエーターを取り付ける際に前記第1部材と前記第2部材とを固定する固定部材であって、
前記第1部材との固定に用いられるネジを挿通する第1挿通孔と、
前記第2部材との固定に用いられるネジを挿通する第2挿通孔と、を有する。
【0009】
本発明のメンテナンスシステムは、第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させる関節アクチュエーターと、を有するロボットから前記関節アクチュエーターを取り外す際または前記ロボットに前記関節アクチュエーターを取り付ける際に前記第1部材と前記第2部材とを固定部材で固定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係るロボットを示す側面図である。
【
図2】第1アームと第2アームとを連結する関節アクチュエーターを示す断面図である。
【
図3】
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
【
図4】
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
【
図5】
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
【
図6】
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
【
図7】
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
【
図8】
図2に示す関節アクチュエーターの取り付け方法を説明するための断面図である。
【
図9】
図2に示す関節アクチュエーターの取り付け方法を説明するための断面図である。
【
図10】
図2に示す関節アクチュエーターの取り付け方法を説明するための断面図である。
【
図11】第1アームと第2アームとを固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
【
図12】第1アームと第2アームとを固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
【
図13】第1アームと第2アームとを固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
【
図14】基台と第1アームとを連結する関節アクチュエーターを示す断面図である。
【
図15】基台と第1アームとを固定する固定する固定部材を示す断面図である。
【
図16】基台と第1アームとを固定する固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のロボット、取り付け方法、取り外し方法、固定部材およびメンテナンスシステムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の好適な実施形態に係るロボットを示す側面図である。
図2は、第1アームと第2アームとを連結する関節アクチュエーターを示す断面図である。
図3ないし
図7は、それぞれ、
図2に示す関節アクチュエーターの取り外し方法を説明するための断面図である。
図8ないし
図10は、それぞれ、
図2に示す関節アクチュエーターの取り付け方法を説明するための断面図である。
図11ないし
図13は、それぞれ、第1アームと第2アームとを固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
図14は、基台と第1アームとを連結する関節アクチュエーターを示す断面図である。
図15は、基台と第1アームとを固定する固定する固定部材を示す断面図である。
図16は、基台と第1アームとを固定する固定する固定部材の変形例を示す断面図である。
【0013】
なお、説明の便宜上、各図には互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、各図の上側すなわちZ軸の矢印側を鉛直方向の上側とし、各図の下側すなわちZ軸の矢印と反対側を鉛直方向の下側とする。
【0014】
図1に示すロボット1は、スカラロボットであり、例えば、電子部品等のワークの保持、搬送、組立および検査等の各作業で用いられる。ただし、ロボット1の用途は、特に限定されない。
【0015】
ロボット1は、床面に固定された基台2と、基台2に接続されたアーム3と、を有する。また、アーム3は、基端部が基台2に接続され、基台2に対して鉛直方向に沿った第1回動軸J1まわりに回動する第1アーム31と、基端部が第1アーム31の先端部に接続され、第1アーム31に対して鉛直方向に沿った第2回動軸J2まわりに回動する第2アーム32と、を有する。第1回動軸J1と第2回動軸J2とは平行である。
【0016】
第2アーム32の先端部には作業ヘッド33が設けられている。作業ヘッド33は、第2アーム32の先端部に同軸的に配置されたスプラインナット331およびボールネジナット332と、スプラインナット331およびボールネジナット332に挿通されたスプラインシャフト333と、を有する。スプラインシャフト333は、第2アーム32に対して、その中心軸であり鉛直方向に沿った第3回動軸J3まわりに回転可能で、かつ、第3回動軸J3に沿って昇降可能である。第3回動軸J3は、第1回動軸J1および第2回動軸J2と平行である。
【0017】
スプラインシャフト333の下端部にはエンドエフェクター34が装着されている。エンドエフェクター34は、着脱自在であり目的の作業に適したものが適宜選択される。エンドエフェクター34としては、例えば、ワークを挟持、吸着により保持するハンド、ワークに対して所定の加工を行う作業具等が挙げられる。
【0018】
ロボット1は、基台2と第1アーム31とを連結し、基台2に対して第1アーム31を第1回動軸J1まわりに回動させる関節アクチュエーター51と、第1アーム31と第2アーム32とを連結し、第1アーム31に対して第2アーム32を第2回動軸J2まわりに回動させる関節アクチュエーター52と、を有する。また、ロボット1は、スプラインナット331を回転させてスプラインシャフト333を第3回動軸J3まわりに回転させる駆動装置53と、ボールネジナット332を回転させてスプラインシャフト333を第3回動軸J3に沿った方向に昇降させる駆動装置54と、を有する。
【0019】
ロボット1は、第2アーム32に着脱自在に装着され、第2アーム32に配置された各部、特に関節アクチュエーター52、駆動装置53、54を覆って保護するカバー部材39を有する。
【0020】
ロボット1は、基台2内に配置され、図示しないホストコンピューターからの指令に基づいて関節アクチュエーター51、52および駆動装置53、54の駆動を制御するロボット制御装置10を有する。ロボット制御装置10が関節アクチュエーター51、52および駆動装置53、54をそれぞれ独立して制御することにより、ロボット1に所望の作業を行わせることができる。ロボット制御装置10は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。また、メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0021】
以上、ロボット1の全体構成について簡単に説明した。次に、関節アクチュエーター51、52について詳述する。なお、関節アクチュエーター51、52は、配置が異なること以外は互いに同様の構成であるため、以下では、関節アクチュエーター52について詳細に説明し、関節アクチュエーター51については主に関節アクチュエーター52との差異点についてのみ簡単に説明する。
【0022】
図2に示すように、関節アクチュエーター51は、第2アーム32の第2載置面321に固定されたフランジ9と、フランジ9から上側に向けて突出して配置された駆動源としてのモーター6と、モーター6の上側に配置された回転検出器としてのエンコーダー8と、フランジ9から下側に向けて突出し、第1アーム31の第1載置面311に固定された減速機としての波動歯車装置7と、を有する。なお、第1載置面311および第2載置面321は、それぞれ、上側を向いている。
【0023】
また、モーター6の幅W6および波動歯車装置7の幅W7は、それぞれ、フランジ9の幅W9よりも小さい。つまり、W6<W9であり、W7<W9である。また、エンコーダー8の幅W8は、モーター6の幅W6よりも小さい。つまり、W8<W6である。そのため、鉛直方向上側から見ると、エンコーダー8およびモーター6の周囲からフランジ9が突出して視認され、鉛直方向下側から見ると、波動歯車装置7の周囲からフランジ9が突出して視認される。なお、本実施形態では、フランジ9、モーター6および波動歯車装置7は、鉛直方向からの平面視でそれぞれ円形であるため、前記「幅」は、直径と同義である。
【0024】
モーター6は、ACサーボモーターである。ただし、モーター6としては、特に限定されず、例えば、DCサーボモーター、ステッピングモーター等を用いてもよい。
【0025】
モーター6は、ローター61と、ステーター62と、これらを収容するハウジング63と、を有する。
【0026】
ローター61は、回転軸となるシャフト611と、磁石612と、を有する。シャフト611は、一対のベアリング651、652を介してその中心軸A周りに回転可能にハウジング63に支持されている。中心軸Aは、第2回動軸J2と一致する。また、シャフト611は、その下端部において波動歯車装置7と連結され、その上端部においてエンコーダー8と連結されている。これにより、シャフト611の回転が波動歯車装置7およびエンコーダー8に伝達される。
【0027】
ステーター62は、ローター61を中心軸A周りに囲んで配置されている。ステーター62は、周方向に所定間隔で配置されたコア621と、各コア621に巻き付けられたコイル622と、を有する。ステーター62に交流電流を流すとステーター62が電磁石となってN極とS極とが交互に切り替わる。それに伴いローター61の磁石612を引き付けたり反発させたりすることによりシャフト611が中心軸Aまわりに回転する。
【0028】
フランジ9は、ハウジング63と一体形成され、ハウジング63から中心軸Aの径方向外側に突出した円盤状をなす。ただし、フランジ9は、ハウジング63と別体で構成されていてもよい。また、フランジ9は、周方向に沿って等間隔に配置された複数の挿通孔91を有する。そして、フランジ9は、挿通孔91に挿通された第1ネジB1によって第2アーム32に固定されている。これにより、モーター6がフランジ9を介して第2アーム32に固定される。具体的に説明すると、第2アーム32の基端部であって第1アーム31の先端部と対向する位置には第2アーム32を上下に貫通する開口322が形成されている。開口322の幅W3は、フランジ9の幅W9よりも小さく、波動歯車装置7の幅W7よりも大きい。つまり、W7<W3<W9である。そして、この開口322を上側から塞ぐようにして関節アクチュエーター52が第2アーム32の第2載置面321に載置され、フランジ9は、上側から挿通孔91に挿入された第1ネジB1によって第2アーム32にねじ止めされている。
【0029】
波動歯車装置7は、中心軸Aに沿ってモーター6と並んで配置され、モーター6の下側すなわち第1アーム31側に配置されている。波動歯車装置7は、シャフト611の回転を高い減速比で減速して出力し、減速比に比例した高いトルクを発生させる。波動歯車装置7は、ウェーブジェネレーター71と、フレックスプライン73と、サーキュラスプライン76と、を有する。後述するように、波動歯車装置7では、ウェーブジェネレーター71がモーター6の動力が入力される入力側となり、サーキュラスプライン76がモーター6の動力を減速して出力する出力側となる。
【0030】
サーキュラスプライン76は、実質的に撓まない剛体で構成された環状の内歯歯車である。サーキュラスプライン76は、第1アーム31に固定された連結部761と、フランジ9に固定された固定部762と、を有する。連結部761と固定部762とは、ベアリング763により連結され、連結部761が固定部762に対して回転可能である。
【0031】
連結部761の内周部にはフレックスプライン73と噛合する内歯761aが形成されている。また、連結部761は、その下面761cに開口し、連結部761を第1アーム31に固定するための固定用ネジ穴761bを有する。連結部761は、固定用ネジ穴761bに螺号した第2ネジB2により第1アーム31に固定されている。具体的に説明すると、フランジ9を第2アーム32にネジ止めした状態では、波動歯車装置7が開口322を介して第2アーム32から下側に突出し、連結部761の下面761cが第1アーム31の第1載置面311に当接している。第1アーム31には固定用ネジ穴761bと相対する位置に第2ネジB2を挿通するための挿通孔312が形成されている。そして、連結部761は、第1アーム31の下側から挿通孔312に挿入された第2ネジB2が固定用ネジ穴761bと螺号することにより第1アーム31にネジ止めされている。これにより、波動歯車装置7の出力部である連結部761が第1アーム31に固定される。
【0032】
一方、固定部762は、固定部762をフランジ9に固定するための挿通孔762aを有し、挿通孔762aに挿通された第3ネジB3によりフランジ9に固定されている。
【0033】
フレックスプライン73は、サーキュラスプライン76の内側に配置されている。フレックスプライン73は、ウェーブジェネレーター71の外周に沿って撓み変形可能な可撓性を有する筒状部731と、筒状部731の下側端部から中心軸Aの径方向外側に延びるフランジ部732と、を有する。
【0034】
筒状部731の外周部には、サーキュラスプライン76の内歯761aと噛合する外歯731aが形成されている。外歯731aの歯数は、内歯761aの歯数よりも少なく設定されている。フランジ部732は、サーキュラスプライン76とフランジ9との間に挟まれている。フランジ部732は、フランジ部732をフランジ9に固定するための挿通孔732aを有し、挿通孔732aに挿通された第3ネジB3により固定部762と共にフランジ9に固定されている。
【0035】
ウェーブジェネレーター71は、シャフト611が挿通されシャフト611の回転に連動して回転する波動発生部711と、波動発生部711とフレックスプライン73との間に嵌め込まれたベアリング712と、を有する。波動発生部711は、中心軸A方向からの平面視で外周が楕円形または長円形である。ウェーブジェネレーター71は、フレックスプライン73の筒状部731の内周面に接し、筒状部731を楕円形または長円形に撓めて筒状部731の外歯731aをサーキュラスプライン76の内歯761aに部分的に噛合させる。これにより、長軸の部分でサーキュラスプライン76と歯が噛み合い、短軸の部分では歯が完全に離れた状態となる。
【0036】
ウェーブジェネレーター71にモーター6からの駆動力が入力されると、フレックスプライン73およびサーキュラスプライン76は、互いの噛み合い位置が周方向に順次移動しながら、歯数差に起因して中心軸Aまわりに相対的に回転する。本実施形態では、フレックスプライン73のフランジ部732とサーキュラスプライン76の固定部762とがフランジ9を介して第2アーム32に固定され、サーキュラスプライン76の連結部761が第1アーム31に固定されているため、第2アーム32が第1アーム31に対して第2回動軸J2まわりに回動する。このような波動歯車装置7によれば、モーター6からウェーブジェネレーター71に入力された回転が減速されてサーキュラスプライン76の連結部761から出力され、出力側において減速比に比例したトルクを得ることができる。
【0037】
エンコーダー8は、中心軸Aに沿ってモーター6と並んで配置され、モーター6の上側に位置している。エンコーダー8は、シャフト611に固定された光学スケール81と、光学スケール81の回転状態を検出する光学センサー82と、を有する。光学スケール81は、シャフト611と共に中心軸Aまわりに回転する。また、光学スケール81の上面には、光学スケール81の回転角度を検出し得る図示しない検出用パターンが形成されている。一方、光学センサー82は、光学スケール81上の検出用パターンに向けて光を出射する発光素子と、検出用パターンで反射した光を受光する受光素子と、を有する。このような構成のエンコーダー8では、光学スケール81の中心軸Aまわりの回転に伴って受光素子からの出力信号の波形が変化する。そのため、この出力信号に基づいて、光学スケール81の回転角度を検出することができる。
【0038】
以上、関節アクチュエーター52の構成について説明した。次に、交換やメンテナンスのために関節アクチュエーター52をロボット1から取り外す方法について説明する。まず、
図3に示すように、第2アーム32からカバー部材39を取り外して関節アクチュエーター52を露出させる。次に、
図4に示すように、固定部材100を第1アーム31および第2アーム32に固定することにより第1アーム31および第2アーム32を連結し、これらの相対位置を固定する。なお、固定部材100については後に詳述する。
【0039】
次に、
図5に示すように、連結部761を第1アーム31に固定している第2ネジB2に対して第1アーム31の下側からアプローチし、第2ネジB2を取り外す。これにより、関節アクチュエーター52が第1アーム31から分離する。なお、第2ネジB2の下側には取り外しが不可または困難な部材が配置されておらず、第1アーム31には下側から第2ネジB2にアプローチするための作業経路L1が確保されている。言い換えると、第1アーム31を下側から覗くと第2ネジB2が見える。これにより、第2ネジB2の取り外しをスムーズに行うことができる。
【0040】
次に、
図6に示すように、フランジ9を第2アーム32に固定している第1ネジB1に対して第2アーム32の上側からアプローチし、第1ネジB1を取り外す。これにより、関節アクチュエーター52が第2アーム32から分離する。なお、第1ネジB1の上側には取り外しが不可または困難な部材が配置されておらず、第2アーム32には上側から第1ネジB1にアプローチするための作業経路L2が確保されている。言い換えると、第2アーム32を上側から覗くと第1ネジB1が見える。これにより、第1ネジB1の取り外しをスムーズに行うことができる。
【0041】
次に、
図7に示すように、関節アクチュエーター52を上側へ引き抜いてロボット1から取り外す。以上により、関節アクチュエーター52の取り外しが完了する。このような工程によれば、ロボット1から関節アクチュエーター52を簡単に取り外すことができる。特に、従来とは異なり、モーター6と波動歯車装置7とを一体のまま同時に取り外すことができるため、極めて高い作業効率を発揮することができる。なお、取り外し作業の工程としては、これに限定されない。例えば、上述では第1ネジB1よりも先に第2ネジB2を取り外しているが、反対に、第2ネジB2よりも先に第1ネジB1を取り外してもよい。また、第1ネジB1および第2ネジB2を同時に取り外してもよいし、交互に取り外してもよい。
【0042】
固定部材100によって第1アーム31と第2アーム32とが固定されているため、関節アクチュエーター52の取り外し作業を円滑に行うことができる。また、関節アクチュエーター52をロボット1から取り外した状態でも第1アーム31と第2アーム32との相対位置が維持される。
【0043】
次に、関節アクチュエーター52の取り付け方法について
図7の続きから説明する。なお、関節アクチュエーター52の取り付け方法は、前述した取り外し方法と逆の手順であるため簡単に説明する。まず、
図8に示すように、第2アーム32の上側から関節アクチュエーター52を投入し、開口322を塞ぐようにして第2載置面321に載置する。これにより、波動歯車装置7が開口322を介して下側に突出し、連結部761の下面761cが第1アーム31の第1載置面311に当接する。
【0044】
次に、
図9に示すように、フランジ9に対して上側からアプローチし、第1ネジB1を用いてフランジ9を第2アーム32に固定する。作業経路L2が確保されているため、第1ネジB1の取り付けをスムーズに行うことができる。次に、
図10に示すように、連結部761の下面761cに対して第1アーム31の下側からアプローチし、第2ネジB2を用いて連結部761を第1アーム31に固定する。作業経路L1が確保されているため、第2ネジB2の取り付けをスムーズに行うことができる。次に、固定部材100をロボット1から取り外し、第2アーム32にカバー部材39を装着する。以上により、関節アクチュエーター52の取り付けが完了する。
【0045】
このような工程によれば、関節アクチュエーター52をロボット1に簡単に取り付けることができる。特に、従来とは異なり、モーター6と波動歯車装置7とを一体のまま同時に取り付けることができるため、極めて高い作業効率を発揮することができる。また、固定部材100によって第1アーム31と第2アーム32とが固定されているため、関節アクチュエーター52の取り付け作業を円滑に行うことができる。特に、関節アクチュエーター52の脱着時に第1アーム31と第2アーム32との相対的位置がずれないため、関節アクチュエーター52を装着した後のエンコーダー8のキャリブレーションが不要となる。したがって、交換またはメンテナンスの手間が減り、関節アクチュエーター52の装着後により早くロボット1の稼働を再開することができる。
【0046】
次に、固定部材100について説明する。
図4に示すように、本実施形態の固定部材100は、U状であり、底部110と、底部110の両端部から立設する一対の壁部120、130と、を有する。固定部材100は、下方側から装着され、底部110が第1アーム31に固定され、壁部120、130が第2アーム32に固定される。これにより、固定部材100を介して第1アーム31と第2アーム32とが固定される。
【0047】
底部110は、第1挿通孔111を有する。底部110は、下側から第1挿通孔111に挿入した第4ネジB4を第1アーム31の第1挿通孔111と相対する位置に形成された固定用ネジ穴319に螺号することにより第1アーム31にネジ止めされる。一方、壁部120、130は、第2挿通孔121、131を有する。壁部120、130は、側方から第2挿通孔121、131に挿入した第5ネジB5を第2アーム32の第2挿通孔121、131と相対する位置に形成された固定用ネジ穴329に螺号することにより第2アーム32にネジ止めされる。これにより、固定部材100を介して第1アーム31と第2アーム32とが固定され、関節アクチュエーター52を取り外した状態でも第1アーム31と第2アーム32との相対位置が維持される。
【0048】
また、固定部材100は、作業経路L1および作業経路L2と重ならない形状となっている。言い換えると、固定部材100がロボット1に装着された状態で、第1アーム31を下側から覗くと第2ネジB2が見え、第2アーム32を上側から覗くと第1ネジB1が見える。これにより、固定部材100によって作業経路L1および作業経路L2が塞がれず、第1ネジB1および第2ネジB2の着脱が阻害されない。本実施形態では、作業経路L1と重なる部分に貫通孔112を形成することにより作業経路L1と重ならない形状としている。なお、本実施形態の貫通孔112は、閉じた孔であるが、底部110の外縁に接続した切り欠きとして形成されていてもよい。
【0049】
以上、固定部材100について説明したが、固定部材100としては、第1アーム31と第2アーム32とを固定することができれば、特に限定されない。例えば、
図11に示すように、固定部材100は、壁部120、130の内面に鉛直方向に延びて形成された位置決め部128、138としての溝をさらに有し、この溝を第2アーム32の側面に形成された突起328に係合させることにより、ロボット1に対して位置決めされる構成となっていてもよい。これにより、ロボット1への固定部材100の装着が容易となる。また、例えば、
図12に示すように、固定部材100は、L状をなし、第1アーム31の上面と第2アーム32の基端面とに固定される構成であってもよい。また、
図13に示すように、固定部材100は、本実施形態とは逆に第2アーム32の上側から装着され、壁部120、130と第1アーム31とが第4ネジB4で固定され、壁部120、130と第2アーム32とが第5ネジB5で固定される構成であってもよい。
【0050】
また、固定部材100は、第1アーム31と第2アーム32とが真っ直ぐに延びる姿勢においてこれらを固定する。一般的なスカラロボットでは、この姿勢が基準ポジションすなわち第1アーム31に対する第2アーム32の回動角度が0°となる姿勢である。そのため、この姿勢において第1アーム31と第2アーム32とを固定し、関節アクチュエーター52の着脱を行うことにより、関節アクチュエーター52の再設定等が容易となる。
【0051】
ただし、第1アーム31および第2アーム32の姿勢としては、特に限定されない。例えば、作業スペース等の問題により、第1アーム31と第2アーム32とが真っ直ぐに延びた姿勢にできないときは、第1アーム31に対して第2アーム32が曲がった姿勢(回転角度≠0°の姿勢)であってもよい。この姿勢では、第1アーム31と第2アーム32とが真っ直ぐに延びる姿勢と比べてロボット1の重心が基台2側に近づく。そのため、関節アクチュエーター52を着脱する際にロボット1に加わる負荷を低減することができる。
【0052】
次に、関節アクチュエーター51について簡単に説明する。前述したように、関節アクチュエーター51は、関節アクチュエーター52と同様の構成であり、主に配置が異なっている。
図14に示すように、関節アクチュエーター51は、関節アクチュエーター52と上下反転して配置され、フランジ9が基台2の第2載置面21に固定されている。基台2には開口22が形成され、開口22を介して波動歯車装置7が上側に突出し、サーキュラスプライン76の連結部761が第1アーム31の第1載置面313に固定されている。第2載置面21および第1載置面313は、それぞれ、下側を向いている。
【0053】
このような関節アクチュエーター51の着脱については、関節アクチュエーター52と同様であるため、図示せずに簡単に説明する。まず、固定部材100Aを用いて基台2と第1アーム31とを固定する。次に、第2ネジB2に対して第1アーム31の上側からアプローチし、第2ネジB2を取り外す。次に、第1ネジB1に対して基台2の下側からアプローチし、第1ネジB1を取り外す。次に、関節アクチュエーター51を下側へ引き抜き、ロボット1から関節アクチュエーター51を取り外す。以上により、関節アクチュエーター51の取り外しが完了する。
【0054】
関節アクチュエーター51の取り付け方法は、前述した取り外し方法と逆の手順である。つまり、まず、基台2の下側から関節アクチュエーター51を投入し、第2載置面21に載置する。これにより、波動歯車装置7が開口22を介して上側に突出し、連結部761が第1アーム31の第1載置面313に当接する。次に、フランジ9に対して下側からアプローチし、フランジ9を第1ネジB1で基台2に固定する。次に、連結部761に対して上側からアプローチし、連結部761を第2ネジB2で第1アーム31に固定する。以上により、関節アクチュエーター51の取り付けが完了する。
【0055】
このような工程によれば、関節アクチュエーター51の着脱を容易に行うことができる。特に、従来とは異なり、モーター6と波動歯車装置7とを一体のまま同時に取り付けることができるため、極めて高い作業効率を発揮することができる。
【0056】
次に、前述した固定部材100Aについて説明する。
図15に示すように、固定部材100Aは、L状であり、底部110Aと、底部110Aの端部から立設する壁部120Aと、を有する。固定部材100Aは、上側から装着され、底部110Aが第6ネジB6によって基台2の上面にネジ止めされ、壁部120Aが第7ネジB7によって第1アーム31の基端面にネジ止めされる。これにより、固定部材100Aによって基台2と第1アーム31とが固定される。
【0057】
ただし、固定部材100Aとしては、基台2と第1アーム31とを固定することができれば、特に限定されない。例えば、
図16に示すように、固定部材100Aは、下側から装着され、底部110Aが第6ネジB6によって基台2の側面にネジ止めされ、壁部120Aが第7ネジB7によって第1アーム31の下面にネジ止めされる構成であってもよい。
【0058】
以上、ロボット1について説明した。このようなロボット1は、前述したように、第1載置面311を有する第1部材としての第1アーム31と、第1アーム31に対して第1載置面311側に位置し、第1アーム31と対向する開口322と、第1アーム31と反対側に位置する第2載置面321と、を有する第2部材としての第2アーム32と、第1アーム31と第2アーム32とを連結し、第1アーム31と第2アーム32とを相対的に回動させる関節アクチュエーター52と、を有する。また、関節アクチュエーター51は、第2載置面321に固定されているフランジ9と、フランジ9に対して第1アーム31と反対側に配置されているモーター6と、フランジ9に対して第1アーム31側に配置され、開口322から第1アーム31側に突出し、第1載置面311に固定されている減速機としての波動歯車装置7と、を有する。また、開口322の幅W3は、フランジ9の幅W9よりも小さく、モーター6の幅W6は、フランジ9の幅W9よりも小さく、波動歯車装置7の幅W7は、開口322の幅W3よりも小さい。また、関節アクチュエーター52を第1アーム31と反対側から第2載置面321に載置することにより波動歯車装置7を開口322から第1アーム31側に突出させ、第1ネジB1を用いてフランジ9を第1アーム31と反対側から第2アーム32にネジ止めし、第2ネジB2を用いて波動歯車装置7を第2アーム32と反対側から第1アーム31にネジ止めすることにより第1アーム31と第2アーム32とが連結される構造である。このような構造とすることにより、第1ネジB1および第2ネジB2を取り外すことで、関節アクチュエーター52をモーター6と波動歯車装置7とが一体となったままロボット1から取り外すことができる。反対に、関節アクチュエーター52をモーター6と波動歯車装置7とが一体となったままロボット1に取り付けることができる。そのため、高い作業効率を発揮することができる。なお、ここでは、第1部材が第1アーム31で、第2部材が第2アーム32で、関節アクチュエーターが関節アクチュエーター52の構成について述べたが、第1部材が第1アーム31で、第2部材が基台2で、関節アクチュエーターが関節アクチュエーター51の構成についても同様である(以下、同様である)。
【0059】
また、前述したように、関節アクチュエーター52の取り付け方法は、第1載置面311を有する第1部材としての第1アーム31と、第1アーム31に対して第1載置面311側に位置し、第1アーム31と対向する開口322および第1アーム31と反対側に位置する第2載置面321を有する第2部材としての第2アーム32と、を連結し、第1アーム31と第2アーム32とを相対的に回動させる関節アクチュエーター52の取り付け方法である。関節アクチュエーター52は、第2載置面321に固定されているフランジ9と、フランジ9に対して第1アーム31と反対側に配置されているモーター6と、フランジ9に対して第1アーム31側に配置され、開口322から第1アーム31側に突出し、第1載置面311に固定されている減速機としての波動歯車装置7と、を有する。また、開口322の幅W3は、フランジ9の幅W9よりも小さく、モーター6の幅W6は、フランジ9の幅W9よりも小さく、波動歯車装置7の幅W7は、開口322の幅W3よりも小さい。そして、関節アクチュエーター52を第1アーム31と反対側から第2載置面321に載置することにより波動歯車装置7を開口322から第1アーム31側に突出させるステップと、第1ネジB1を用いてフランジ9を前記第1アーム31と反対側から第2アーム32にネジ止めするステップと、第2ネジB2を用いて波動歯車装置7を第2アーム32と反対側から第1アーム31にネジ止めするステップと、を含む。このような取り付け方法によれば、関節アクチュエーター52をモーター6と波動歯車装置7とが一体となったままロボット1に取り付けることができる。そのため、高い作業効率を発揮することができる。
【0060】
また、前述したように、関節アクチュエーター52の取り付け方法では、固定部材100によって第1アーム31と第2アーム32とを固定した状態で関節アクチュエーター52を取り付ける。これにより、関節アクチュエーター52の取り付けが容易となる。また、第1アーム31と第2アーム32との相対位置がずれないため、関節アクチュエーター52を装着した後のエンコーダー8のキャリブレーションが不要となる。したがって、交換またはメンテナンスの手間が減り、関節アクチュエーター52の装着後により早くロボット1の稼働を再開することができる。
【0061】
また、前述したように、関節アクチュエーター52の取り外し方法は、第1載置面311を有する第1部材としての第1アーム31と、第1アーム31に対して第1載置面311側に位置し、第1アーム31と対向する開口322および第1アーム31と反対側に位置する第2載置面321を有する第2部材としての第2アーム32と、を連結し、第1アーム31と第2アーム32とを相対的に回動させる関節アクチュエーター52の取り外し方法である。また、関節アクチュエーター52は、第2載置面321に固定されているフランジ9と、フランジ9に対して第1アーム31と反対側に配置されているモーター6と、フランジ9に対して第1アーム31側に配置され、開口322から第1アーム31側に突出し、第1載置面311に固定されている減速機としての波動歯車装置7と、を有する。また、開口322の幅W3は、フランジ9の幅W9よりも小さく、モーター6の幅W6は、フランジ9の幅W9よりも小さく、波動歯車装置7の幅W7は、開口322の幅W3よりも小さい。また、フランジ9は、第1ネジB1によって第1アーム31と反対側から第2アーム32に固定され、波動歯車装置7は、第2ネジB2によって第2アーム32と反対側から第1アーム31に固定されている。そして、第2ネジB2を取り除くステップと、第1ネジB1を取り除くステップと、関節アクチュエーター52を第1アーム31と反対側へ引き抜くステップと、を含む。このような取り外し方法によれば、関節アクチュエーター52をモーター6と波動歯車装置7とが一体となったままロボット1に取り付けることができる。そのため、高い作業効率を発揮することができる。
【0062】
また、前述したように、関節アクチュエーター52の取り外し方法では、固定部材100によって第1アーム31と第2アーム32とを固定した状態で関節アクチュエーター52を取り外す。これにより、関節アクチュエーター52の取り外しが容易となる。
【0063】
また、前述したように、固定部材100は、第1部材としての第1アーム31と、第2部材としての第2アーム32と、第1アーム31と第2アーム32とを連結し、第1アーム31と第2アーム32とを相対的に回動させる関節アクチュエーター52と、を有するロボット1から関節アクチュエーター52を取り外す際またはロボット1に関節アクチュエーター52を取り付ける際に第1アーム31と第2アーム32とを固定するものであり、第1アーム31との固定に用いられるネジである第4ネジB4を挿通する第1挿通孔111と、第2アーム32との固定に用いられるネジである第5ネジB5を挿通する第2挿通孔121、131と、を有する。これにより、簡単な構成で、第1アーム31と第2アーム32とを固定することができる。
【0064】
また、前述したように、固定部材100は、第1アーム31と関節アクチュエーター52とを固定している第2ネジB2の着脱を行うための作業経路L1と重ならず、第2アーム32と関節アクチュエーター52とを固定している第1ネジB1の着脱を行うための作業経路L2と重ならない。これにより、固定部材100によって第1ネジB1および第2ネジB2の着脱が阻害されず、第1ネジB1および第2ネジB2の着脱を円滑に行うことができる。
【0065】
また、前述したように、固定部材100は、ロボット1との位置決めを行う位置決め部128、138を有する。これにより、ロボット1への固定部材100の装着が容易となる。
【0066】
また、前述したように、ロボット1に用いられるメンテナンスシステムは、第1部材としての第1アーム31と、第2部材としての第2アーム32と、第1アーム31と第2アーム32とを連結し、第1アーム31と第2アーム32とを相対的に回動させる関節アクチュエーター52と、を有するロボット1から関節アクチュエーター52を取り外す際またはロボット1に関節アクチュエーター52を取り付ける際に第1アーム31と第2アーム32とを固定部材100で固定する。これにより、作業中に第1アーム31と第2アーム32とがずれないため、関節アクチュエーター52の着脱を容易に行うことができる。
【0067】
以上、本発明のロボット、取り付け方法、取り外し方法、固定部材およびメンテナンスシステムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…ロボット、10…ロボット制御装置、100…固定部材、100A…固定部材、110…底部、110A…底部、111…第1挿通孔、112…貫通孔、120…壁部、120A…壁部、121…第2挿通孔、128…位置決め部、130…壁部、131…第2挿通孔、138…位置決め部、2…基台、21…第2載置面、22…開口、3…アーム、31…第1アーム、311…第1載置面、312…挿通孔、313…第1載置面、319…固定用ネジ穴、32…第2アーム、321…第2載置面、322…開口、328…突起、329…固定用ネジ穴、33…作業ヘッド、331…スプラインナット、332…ボールネジナット、333…スプラインシャフト、34…エンドエフェクター、39…カバー部材、51…関節アクチュエーター、52…関節アクチュエーター、53…駆動装置、54…駆動装置、6…モーター、61…ローター、611…シャフト、612…磁石、62…ステーター、621…コア、622…コイル、63…ハウジング、651…ベアリング、652…ベアリング、7…波動歯車装置、71…ウェーブジェネレーター、711…波動発生部、712…ベアリング、73…フレックスプライン、731…筒状部、731a…外歯、732…フランジ部、732a…挿通孔、76…サーキュラスプライン、761…連結部、761a…内歯、761b…固定用ネジ穴、761c…下面、762…固定部、762a…挿通孔、763…ベアリング、8…エンコーダー、81…光学スケール、82…光学センサー、9…フランジ、91…挿通孔、A…中心軸、B1…第1ネジ、B2…第2ネジ、B3…第3ネジ、B4…第4ネジ、B5…第5ネジ、B6…第6ネジ、B7…第7ネジ、J1…第1回動軸、J2…第2回動軸、J3…第3回動軸、L1…作業経路、L2…作業経路、W3…幅、W6…幅、W7…幅、W8…幅、W9…幅