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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 301
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021010230
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114095
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鷲澤 岳人
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-014046(JP,A)
【文献】特開2004-130620(JP,A)
【文献】特開2012-236377(JP,A)
【文献】特開2017-144717(JP,A)
【文献】国際公開第2010/084606(WO,A1)
【文献】特開2007-137005(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078848(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドを保持する保持部と、
前記保持部を保持する基体部と、
前記基体部を移動可能に保持し、前記基体部を案内する案内部と、
前記基体部に取り付けられ、前記基体部の振動を検出する検出部と、
表示部と、
制御部と、
を備え、
前記基体部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、
前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられ
前記制御部は、
前記検出部による検出結果に基づいて前記案内部が劣化していると判定した場合に、前記案内部が劣化していることを前記表示部に表示させ、
前記検出部の検出結果を解析することによって抽出される特定周波数の振動に基づいて、前記案内部の劣化要因について判定し、前記劣化要因を前記表示部に表示させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドを保持する保持部と、
前記保持部を移動可能に保持し、前記保持部を案内する案内部と、
前記保持部に設けられ、前記保持部の振動を検出する検出部と、
表示部と、
制御部と、
を備え、
前記保持部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、
前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられ
前記制御部は、
前記検出部による検出結果に基づいて前記案内部が劣化していると判定した場合に、前記案内部が劣化していることを前記表示部に表示させ、
前記検出部の検出結果を解析することによって抽出される特定周波数の振動に基づいて、前記案内部の劣化要因について判定し、前記劣化要因を前記表示部に表示させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記案内部は、レールと、前記第1面に取り付けられ、前記レールに沿って移動するブロックと、を含み、
前記液体吐出装置は、前記レールと前記ブロックとの間に潤滑剤を付与する付与部を備え、
前記制御部は、
前記劣化要因が前記案内部の潤滑剤が減少していることと判定した場合に、前記付与部を制御することによって前記潤滑剤を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記劣化要因と前記劣化要因に対する対処方法とを示すメッセージを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出するヘッドと、ヘッドを保持する保持部と、保持部を移動可能に保持し、保持部を案内する案内部と、保持部に取り付けられ、保持部の振動を検出する検出部とを備える液体吐出装置が記載されている。保持部は、案内部に案内される際、案内部が取り付けられる部分を支点に振動する。検出部は、保持部において案内部が取り付けられる部分から離れた位置に取り付けられる。検出部は、保持部の振動が大きくなりやすい位置で保持部の振動を検出する。この液体吐出装置は、保持部の振動を検出部が検出することによって、ヘッドから吐出される液体の着弾位置を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-154452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした液体吐出装置では、案内部が劣化すると、保持部が移動する際の動作負荷が大きくなる。これにより、保持部に振動が発生する。案内部の劣化による振動は微弱であるため、特許文献1に記載される液体吐出装置のように、保持部において案内部が取り付けられる部分から離れた位置に検出部が取り付けられる場合、その振動を検出部が検出できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する保持部と、前記保持部を保持する基体部と、前記基体部を移動可能に保持し、前記基体部を案内する案内部と、前記基体部に取り付けられ、前記基体部の振動を検出する検出部と、を備え、前記基体部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する保持部と、前記保持部を移動可能に保持し、前記保持部を案内する案内部と、前記保持部に設けられ、前記保持部の振動を検出する検出部と、を備え、前記保持部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体吐出装置の第1実施形態を示す正面図。
図2図1に示す液体吐出装置の側面図。
図3】制御部が実行する処理を示すフローチャート。
図4】液体吐出装置の第2実施形態を示す側面図。
図5】液体吐出装置を含む印刷システムを示すブロック図。
図6】液体吐出装置の変更例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体吐出装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などのメディアに液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
<第1実施形態>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、支持部13と、ヘッド14と、キャリッジ15と、案内部16と、検出部17と、制御部18とを備える。
【0010】
筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
支持部13は、メディア99を支持するように構成される。支持部13は、例えば、搬送されるメディア99を支持する。
【0011】
ヘッド14は、液体を吐出するように構成される。ヘッド14は、液体を吐出する1以上のノズル19を有する。ヘッド14は、支持部13に支持されるメディア99にノズル19から液体を吐出することによって、メディア99に画像を印刷する。
【0012】
キャリッジ15は、ヘッド14を搭載する。キャリッジ15は、移動可能な状態で案内部16に取り付けられる。キャリッジ15は、支持部13に支持されるメディア99に対して走査する。このように、液体吐出装置11は、いわゆるシリアルタイプである。
【0013】
図2に示すように、キャリッジ15は、ヘッド14を保持する保持部21と、保持部21を保持する基体部22とを含む。保持部21と基体部22とは、例えば、1以上のばね23によって連結される。これにより、保持部21は、基体部22に保持される。
【0014】
保持部21は、例えば、液体を収容する液体収容体24を装着可能に構成される。例えば、保持部21内は、液体収容体24が装着できるように空洞とされている。液体収容体24が収容する液体は、保持部21に装着されることによって、ヘッド14に供給される。
【0015】
保持部21は、保持上流面25と、保持下流面26とを有する。保持上流面25は、メディア99が搬送される方向である搬送方向の上流を向く面である。保持上流面25は、基体部22と対向する面である。保持上流面25は、保持部21の外面である。保持上流面25は、ばね23が取り付けられる面である。保持下流面26は、搬送方向の下流を向く面である。保持下流面26は、保持上流面25とは反対を向く面である。保持下流面26は、保持部21の内面である。
【0016】
保持部21は、基体部22に向かって延びる突起27を有する。突起27は、例えば、保持上流面25から延びる。突起27の先端は、基体部22に接触する。
基体部22は、例えば、ヘッド14よりも搬送方向の上流に位置する。基体部22は、基体上流面31と、基体下流面32とを有する。基体上流面31は、搬送方向の上流を向く面である。基体上流面31は、基体部22の外面である。基体上流面31は、案内部16が取り付けられる面である。基体下流面32は、搬送方向の下流を向く面である。基体下流面32は、基体上流面31とは反対を向く面である。基体下流面32は、保持部21と対向する面、より詳しくは保持上流面25と対向する面である。基体下流面32は、基体部22の外面である。基体下流面32は、ばね23が取り付けられる面である。
【0017】
基体部22は、保持部21に向かって延びるピン33を有する。ピン33は、基体下流面32から延びる。ピン33の先端は、保持上流面25に接触する。ピン33は、突起27が延びる位置よりも下方で接触する。ばね23によって基体部22と連結された保持部21は、ピン33によって支えられる。
【0018】
基体部22は、基体部22に対して保持部21を変位させる変位機構34を有する。変位機構34は、例えば、回転する回転体35を有する。回転体35は、突起27の先端と接触する接触部分36を有する。突起27と接触部分36とが接触する状態で回転体35が回転すると、ピン33の先端を支点として保持部21が基体部22に対して変位する。
【0019】
保持部21が基体部22に対して変位することによって、ヘッド14と支持部13との距離が変化する。すなわち、支持部13に支持されるメディア99とヘッド14との距離が変化する。このように、変位機構34により、例えば、メディア99の厚みに応じて、ヘッド14とメディア99との距離が適切な距離に調整される。
【0020】
キャリッジ15は、第1面と第2面とを有する。第1面は、案内部16が取り付けられる面である。第2面は、第1面とは反対の面である。第2面は、第1面と反対を向く面である。第1実施形態では、保持部21は第1面と第2面とを有する。保持部21の第1面は保持上流面25であり、保持部21の第2面は保持下流面26である。また、第1実施形態では、基体部22は第1面と第2面とを有する。基体部22の第1面は基体上流面31であり、基体部22の第2面は基体下流面32である。保持上流面25は、ばね23が取り付けられる面であり、ピン33が接触する面であるため、基体部22を介して案内部16が間接的に取り付けられる面である。基体上流面31は、案内部16が直接的に取り付けられる面である。
【0021】
案内部16は、例えば、ヘッド14よりも搬送方向の上流に位置する。案内部16は、キャリッジ15を移動可能に保持する。案内部16は、キャリッジ15を案内するように構成される。第1実施形態では、案内部16は、基体部22を移動可能に保持する。案内部16は、基体部22を案内するように構成される。第1実施形態では、案内部16は、基体部22を介して、保持部21を移動可能に保持する。案内部16は、基体部22を介して、保持部21を案内するように構成される。
【0022】
案内部16は、例えば、レール37と、ブロック38とを含む。レール37は、筐体12の幅にわたって延びる長尺の部材である。レール37は、例えば、筐体12に固定される。ブロック38は、レール37に沿って移動可能な状態で、レール37に取り付けられる。ブロック38は、キャリッジ15に取り付けられる。第1実施形態では、ブロック38は、基体上流面31に取り付けられる。ブロック38は、例えば、ねじによって、基体上流面31に固定される。ブロック38がレール37に沿って移動すると、キャリッジ15がレール37に沿って移動する。このように、案内部16は、キャリッジ15を保持しつつ、キャリッジ15を案内する。
【0023】
ブロック38は、例えば、複数の転動体39を内蔵する。ブロック38がレール37に対して移動する際、転動体39がブロック38内で転がる。これにより、ブロック38は、レール37に対して滑らかに移動できる。ブロック38内には、転動体39を転がりやすくするために、潤滑剤が充填されている。
【0024】
案内部16は、例えば、LMガイド(登録商標)である。案内部16は、ボールねじでもよい。案内部16は、キャリッジ15を保持する且つキャリッジ15を案内する構成であればよい。案内部16は、ボールねじである場合、レール37に相当するねじと、ブロック38に相当するナットとを有する。この場合、例えば、ねじとナットとの間に転動体39が配置される。
【0025】
検出部17は、キャリッジ15に取り付けられる。検出部17は、第1面及び第2面の少なくとも一方に取り付けられる。すなわち、検出部17は、保持上流面25、保持下流面26、基体上流面31及び基体下流面32の少なくとも1つの面に取り付けられる。第1実施形態では、検出部17は、基体部22の第1面である基体上流面31に取り付けられる。
【0026】
検出部17は、キャリッジ15の振動を検出する。検出部17は、例えば、印刷時に移動するキャリッジ15の振動を検出する。検出部17が基体部22に取り付けられる場合、検出部17は基体部22の振動を検出する。検出部17が保持部21に取り付けられる場合、検出部17は保持部21の振動を検出する。検出部17は、例えば、アクチュエーターで構成される。検出部17は、検出した振動に応じて信号を出力する。信号とは、検出した振動を示す振動波形であり、検出部17の検出結果である。検出部17は、例えば、制御部18に信号を出力する。
【0027】
案内部16が劣化すると、キャリッジ15が移動する際の負荷である動作負荷が大きくなる。案内部16の劣化は、例えば、潤滑剤の減少、異物の挟み込み、異物の付着などによって引き起こされる。例えば、案内部16に充填されている潤滑剤が減少すると、案内部16が劣化する。例えば、レール37とブロック38との間に異物が入り込んだり、ブロック38内に異物が混入したりすることによって案内部16が異物を挟み込むと、案内部16が劣化する。例えば、レール37に異物が付着すると、案内部16が劣化する。
【0028】
キャリッジ15の動作負荷が大きくなると、キャリッジ15が移動する際にキャリッジ15に振動が発生する。検出部17は、キャリッジ15が移動する際に発生するこの振動を検出する。動作負荷が大きくなると、最終的にはキャリッジ15が移動不能となる。
【0029】
第1実施形態では、案内部16に対して基体部22が直接取り付けられているため、キャリッジ15が移動する際に、基体部22に振動が発生する。したがって、検出部17は、キャリッジ15の振動として基体部22の振動を検出する。
【0030】
検出部17は、第1面及び第2面の少なくとも一方に取り付けられる。この場合、検出部17は、例えば、保持部21の外面であって搬送方向の下流を向く面に取り付けられる場合と比べて、案内部16から比較的近い位置に取り付けられる。これにより、検出部17は、キャリッジ15の振動を検出しやすくなる。
【0031】
案内部16の潤滑剤が減少している場合、ブロック38が移動することに伴って転動体39の配列ピッチに基づく周期的な振動が発生する。この場合、周波数の高い振動がキャリッジ15の振動としてあらわれる。第1実施形態では、例えば、潤滑剤の減少によって、第1周波数の振動が発生する。
【0032】
空気中の塵埃、メディア99から発生する粉体などの異物を案内部16が挟み込んでいる場合、ブロック38が移動することに伴って周期的な振動が発生する。この場合、第1周波数よりも周波数の低い振動がキャリッジ15の振動としてあらわれる。第1実施形態では、例えば、異物の挟み込みによって、第2周波数の振動が発生する。
【0033】
案内部16に異物が付着している場合、例えばレール37の特定箇所に異物が付着している場合、ブロック38がその箇所を通過する際に単発的な振動が発生する。そのため、この場合には、第2周波数よりも周波数の低い振動がキャリッジ15の振動としてあらわれる。第1実施形態では、例えば、異物の付着によって、第3周波数の振動が発生する。
【0034】
上述したように、キャリッジ15に発生する特定周波数の振動と、案内部16の劣化要因とは、関連している。特定周波数とは、例えば、第1周波数、第2周波数、第3周波数である。
【0035】
案内部16がボールねじである場合でも、LMガイドと同様に、キャリッジ15に発生する特定周波数の振動と案内部16の劣化要因とが関連している。例えば、ボールねじの場合、ねじとナットとの間の潤滑剤が減少したり、ねじとナットとの間で異物が挟み込まれたり、ねじに異物が付着したりすることによって、それぞれ周波数の異なる複数の振動がキャリッジ15に発生する。
【0036】
図1に示すように、制御部18は、例えば、筐体12に固定される。制御部18は、例えば、液体吐出装置11を統括的に制御するように構成される。制御部18は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0037】
制御部18は、例えば、検出部17が検出した振動を解析する。制御部18は、自身が記憶するプログラムを実行することによって、検出部17が検出した振動を解析する解析部41として機能する。この点で、制御部18は、解析部41を有する。換言すると、液体吐出装置11は、解析部41を備える。
【0038】
解析部41は、制御部18とは別の回路であってもよい。この場合、制御部18は、検出部17から受信した信号を解析部41に送信する。解析部41は、解析した解析結果を制御部18に送信する。
【0039】
解析部41は、例えば、フーリエ変換によって、信号を解析する。解析部41は、例えば、ローパスフィルター、ハイパスフィルター、バンドパスフィルターなどのフィルターに、信号を通過させることによって、信号を解析してもよい。解析部41は、信号を解析することによって、その信号から特定周波数の振動を抽出する。特定周波数の振動が、解析部41の解析結果である。
【0040】
液体吐出装置11は、付与部42を備えてもよい。付与部42は、案内部16に潤滑剤を付与するように構成される。付与部42は、例えば、レール37とブロック38との間に潤滑剤を付与する。案内部16がLMガイドである場合、通常、ブロック38には、潤滑剤が注入されるための穴が形成されている。付与部42は、この穴に潤滑剤を注入することによって、案内部16に潤滑剤を付与する。
【0041】
液体吐出装置11は、払拭部43を備えてもよい。払拭部43は、案内部16を払拭するように構成される。払拭部43は、例えば、レール37を払拭する。払拭部43は、例えば、布ワイパーである。払拭部43は、案内部16を払拭することによって、案内部16に付着する異物を除去する。
【0042】
液体吐出装置11は、表示部44を備えてもよい。表示部44は、例えば、液晶モニターである。表示部44は、例えば、筐体12に固定される。表示部44は、液体吐出装置11の稼働状況に関する情報を表示する。稼働状況とは、例えば、稼働時間、液体残量、案内部16の状態などである。表示部44は、例えば、案内部16の劣化具合を示すメッセージを表示してもよい。
【0043】
次に、制御部18の動作について説明する。
制御部18は、例えば、印刷を開始すると、図3に示す処理を開始する。そのため、図3に示す処理は、印刷と並行して実行される。図3に示す処理は、案内部16の劣化について判定する処理である。図3に示す処理は、案内部16の劣化要因について判定する処理でもある。案内部16の劣化について判定することによって、キャリッジ15が移動不能となる前にメンテナンスできる。すなわち、キャリッジ15が移動不能となる予兆を得ることができる。
【0044】
図3に示すように、制御部18は、ステップS11において、検出部17が検出した振動を取得する。すなわち、制御部18は、基体部22の振動を測定する。このとき、制御部18は、キャリッジ15がホームポジションからその反対の反ホームポジションに移動する区間の振動を取得してもよい。制御部18は、キャリッジ15がホームポジションからホームポジションに移動する区間の振動、すなわちキャリッジ15が往復移動する区間の振動を取得してもよい。
【0045】
制御部18は、ステップS12において、解析部41に取得した振動を解析させる。これにより、制御部18は、信号の解析結果を得る。
制御部18は、ステップS13において、解析結果に基づいて、案内部16が劣化しているか否かを判定する。すなわち、制御部18は、検出部17の検出結果に基づいて、案内部16が劣化しているか否かを判定する。制御部18は、案内部16が劣化していると判定した場合に、ステップS14に処理を移行する。制御部18は、案内部16が劣化していないと判定した場合に、図3に示す処理を終了する。この場合、制御部18は、印刷を継続する。
【0046】
制御部18は、ステップS13において、例えば、解析結果と閾値とを比較することによって、案内部16の劣化について判定する。閾値は、例えば、制御部18に記憶されている。
【0047】
制御部18は、ステップS13において、例えば、解析結果である特定周波数の振動強度と、閾値とを比較する。制御部18は、例えば、第1周波数の振動強度と、第1閾値とを比較する。制御部18は、例えば、第2周波数の振動強度と、第2閾値とを比較する。制御部18は、例えば、第3周波数の振動強度と、第3閾値とを比較する。第1閾値、第2閾値及び第3閾値は、例えば、それぞれ異なる値である。
【0048】
制御部18は、ステップS13において、特定周波数の振動強度が、対応する閾値を超えている場合、案内部16が劣化していると判定する。制御部18は、特定周波数の振動強度が、対応する閾値を超えていない場合、案内部16が劣化していないと判定する。すなわち、制御部18は、ステップS13において、解析結果である特定周波数の振動に基づいて、案内部16の劣化について判定するとともに、その劣化要因について判定する。
【0049】
第1周波数の振動強度が第1閾値を超えている場合、制御部18は、ステップS13において、案内部16が劣化していると判定し、案内部16の劣化要因は潤滑剤の減少であると判定する。第2周波数の振動強度が第2閾値を超えている場合、制御部18は、案内部16が劣化していると判定し、案内部16の劣化要因は異物の挟み込みであると判定する。第3周波数の振動強度が第3閾値を超えている場合、制御部18は、案内部16が劣化していると判定し、案内部16の劣化要因は異物の付着であると判定する。
【0050】
制御部18は、ステップS14において、表示部44に案内部16の状態を示すメッセージを表示させる。このメッセージは、案内部16が劣化していることを示す。このメッセージは、案内部16の劣化要因を示す。すなわち、制御部18は、検出部17の検出結果に基づいて、案内部16が劣化していることを表示部44に表示させる。制御部18は、検出部17の検出結果に基づいて、案内部16の劣化要因を表示部44に表示させる。制御部18は、例えば、表1に示すようなデータテーブルを記憶している。制御部18は、例えば、このデータテーブルを参照することによって、表示部44に表示させるメッセージを選択する。
【0051】
【表1】
表1に示すように、データテーブルには、フラグと、メッセージとが関連付いた状態で格納されている。例えば、第1フラグと第1メッセージとが関連付いている。第2フラグと第2メッセージとが関連付いている。第3フラグと第3メッセージとが関連付いている。第1フラグは、第1周波数の振動強度が第1閾値を超えている場合に成立するフラグである。第2フラグは、第2周波数の振動強度が第2閾値を超えている場合に成立するフラグである。第3フラグは、第3周波数の振動強度が第3閾値を超えている場合に成立するフラグである。第1メッセージは、潤滑剤の減少を示すメッセージである。第2メッセージは、異物の挟み込みを示すメッセージである。第3メッセージは、異物の付着を示すメッセージである。
【0052】
第1周波数の振動強度が第1閾値を超えている場合、すなわち第1フラグが成立している場合、制御部18は、ステップS14において、表示部44に第1メッセージを表示させる。第2周波数の振動強度が第2閾値を超えている場合、すなわち第2フラグが成立している場合、制御部18は、表示部44に第2メッセージを表示させる。第3周波数の振動強度が第3閾値を超えている場合、すなわち第3フラグが成立している場合、制御部18は、表示部44に第3メッセージを表示させる。これにより、ユーザーは、案内部16の劣化と、案内部16の劣化要因とについて把握できる。このように、ステップS14において表示されるメッセージは、案内部16の劣化要因ごとに異なる。表示部44は、複数のメッセージを表示することもある。
【0053】
表示部44に表示されるメッセージは、劣化要因に対する対処方法を示すメッセージを含んでいてもよい。この場合、制御部18は、案内部16の劣化要因と、劣化要因に対する対処方法とを示すメッセージを表示部44に表示させる。対処方法を示すメッセージとは、例えば、メンテナンスを促すメッセージ、サポートセンターへの連絡を促すメッセージである。例えば、第1メッセージは、対処方法として、潤滑剤の付与を促すメッセージを含んでいてもよい。第2メッセージは、対処方法として、案内部16に挟み込まれた異物の除去を促すメッセージを含んでいてもよい。第3メッセージは、対処方法として、案内部16に付着した異物の除去を促すメッセージを含んでいてもよい。
【0054】
図3に示すように、制御部18は、ステップS15において、案内部16の劣化要因に対して、セルフリペア可能か否かについて判定する。セルフリペアとは、制御部18自身が案内部16に対して実行するメンテナンスである。すなわち、制御部18は、例えば、案内部16の劣化要因が、付与部42又は払拭部43によってリペア可能な劣化要因か否かを判定する。制御部18は、セルフリペア可能であると判定した場合、ステップS16に移行する。制御部18は、セルフリペア可能でないと判定した場合、処理を終了する。この場合、表示部44にメッセージが表示された状態で、印刷が継続される。
【0055】
第1実施形態では、劣化要因が潤滑剤の減少又は異物の付着である場合、制御部18は、セルフリペア可能であると判定する。劣化要因が異物の挟み込みである場合、制御部18は、セルフリペア可能でないと判定する。この場合、表示部44には、メッセージとして、例えば、メンテナンスの手順、サポートセンターの連絡先などが表示されている。
【0056】
制御部18は、ステップS16において、セルフリペアを実行する。例えば、案内部16の劣化要因が潤滑剤の減少である場合、制御部18は、付与部42を制御する。すなわち、制御部18は、劣化要因が案内部16の潤滑剤が減少していることと判定した場合に、付与部42を制御することによって潤滑剤を付与する。例えば、案内部16の劣化要因が異物の付着である場合、制御部18は、払拭部43を制御する。すなわち、制御部18は、劣化要因が異物の付着であると判定した場合に、払拭部43を制御することによって、レール37を払拭する。
【0057】
制御部18は、ステップS16において、印刷を一時停止したうえでセルフリペアを実行してもよいし、印刷が終了した後にセルフリペアを実行してもよい。制御部18は、セルフリペアを実行する前に、ユーザーの許可を求めてもよい。制御部18は、ユーザーの許可が得られた場合、セルフリペアを実行する。制御部18は、ユーザーの許可が得られない場合、図3に示す処理を終了する。制御部18は、セルフリペアが完了した後、図3に示す処理を終了する。
【0058】
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)検出部17は、基体部22の第1面及び基体部22の第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
【0059】
案内部16が劣化すると、基体部22が移動する際に基体部22に振動が発生する。この振動は微弱であるため、基体部22において案内部16が取り付けられる部分から離れた位置に検出部17が取り付けられている場合、振動の波が減衰することによって、その振動を検出できないおそれがある。この点、上記構成によれば、検出部17は、基体部22において案内部16が取り付けられる部分から比較的近い位置に取り付けられる。そのため、検出部17は、案内部16の劣化によって発生する振動を検出できる。
【0060】
(2)検出部17は、保持部21の第1面及び保持部21の第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
案内部16が劣化すると、保持部21が移動する際に保持部21に振動が生じる。この振動は微弱であるため、保持部21において案内部16が取り付けられる部分から離れた位置に検出部17が取り付けられている場合、その振動を検出できないおそれがある。この点、上記構成によれば、検出部17は、基体部22において案内部16が取り付けられる部分から比較的近い位置に取り付けられる。そのため、検出部17は、案内部16の劣化によって発生する振動を検出できる。
【0061】
(3)制御部18は、検出部17による検出結果に基づいて案内部16が劣化していると判定した場合に、案内部16が劣化していることを表示部44に表示させる。
上記構成によれば、案内部16が劣化していることをユーザーが把握できる。
【0062】
(4)制御部18は、検出部17の検出結果を解析することによって抽出される特定周波数の振動に基づいて、案内部16の劣化要因について判定し、劣化要因を表示部44に表示させる。
【0063】
案内部16の劣化要因は、検出部17が検出する振動の周波数と関連している。そのため、制御部18は、検出部17の検出結果から抽出される特定周波数の振動に基づいて、案内部16の劣化要因を判別できる。上記構成によれば、案内部16の劣化要因をユーザーが把握できる。
【0064】
(5)制御部18は、劣化要因は案内部16の潤滑剤が減少していることと判定した場合に、付与部42を制御することによって潤滑剤を付与する。
上記構成によれば、案内部16の潤滑剤を減少していることに起因して案内部16が劣化している場合に、付与部42によって自動的にレール37とブロック38との間に潤滑剤が付与される。そのため、案内部16を適切にメンテナンスできる。
【0065】
(6)制御部18は、劣化要因と劣化要因に対する対処方法とを示すメッセージを表示部44に表示させる。
上記構成によれば、案内部16の劣化要因に対する対処方法をユーザーが把握できる。
【0066】
<第2実施形態>
次に、液体吐出装置11の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と比べて、キャリッジ15の構成が異なる。第2実施形態では、第1実施形態と比べて異なる点について主に説明する。
【0067】
図4に示すように、第2実施形態では、キャリッジ15は、基体部22を有さず、保持部21を有する。そのため、第2実施形態では、保持部21が案内部16に直接保持される。
【0068】
第2実施形態では、検出部17は、保持部21に取り付けられる。検出部17は、保持部21において、第1面及び第2面の少なくとも一方に取り付けられる。すなわち、検出部17は、保持上流面25及び保持下流面26の少なくとも一方に取り付けられる。第2実施形態では、検出部17は、保持上流面25に取り付けられる。したがって、検出部17は、キャリッジ15の振動として保持部21の振動を検出する。
【0069】
検出部17は、保持部21の第1面及び保持部21の第2面の少なくとも一方に取り付けられる。この場合、検出部17は、例えば、保持部21の外面であって搬送方向の下流を向く面に取り付けられる場合と比べて、案内部16から比較的近い位置に取り付けられる。これにより、検出部17は、キャリッジ15の振動を検出しやすくなる。
【0070】
上述した第2実施形態によれば、上記(1)を除く他の効果が得られる。
上記第1実施形態及び第2実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記第1実施形態、第2実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0071】
図5に示すように、液体吐出装置11は、解析部41を備えるサーバー50と接続されることによって、印刷システム51を構成してもよい。この場合、液体吐出装置11は、検出部17の検出結果をサーバー50に送信する。サーバー50は、検出部17の検出結果を解析部41に解析させる。サーバー50は、解析部41の解析結果を液体吐出装置11に送信する。制御部18は、受信した解析結果に基づいて、案内部16の劣化及び案内部16の劣化要因について判定する。
【0072】
図6に示すように、案内部16は、キャリッジ15を支持するとともに、キャリッジ15を案内するガイド軸55であってもよい。この変更例では、キャリッジ15は、ガイド軸55に取り付けられる取付部56を有する。取付部56は、基体部22に設けられ、基体上流面31から搬送方向の上流に向かって突出する。そのため、取付部56が突出する基体上流面31が、案内部16が取り付けられる面、すなわち基体部22の第1面となる。
【0073】
ガイド軸55は、例えば、取付部56を貫通する。ガイド軸55の場合、ガイド軸55に塗布される潤滑剤が減少したり、キャリッジ15とガイド軸55との間で異物が挟み込まれたり、ガイド軸55の特定箇所に異物が付着したりすることがある。この場合でも、LMガイドの場合と同様に、振動の周波数と劣化要因とが対応している。
【0074】
・第2実施形態において、保持部21が取付部56を有してもよい。この場合、取付部56は、例えば、保持上流面25から突出する。
・ある特定周波数の振動強度に対応する閾値は、一つのみでなくてもよい。例えば、制御部18は、複数の閾値を含む第1閾値と、複数の閾値を含む第2閾値と、複数の閾値を含む第3閾値を記憶していてもよい。この場合、制御部18は、複数の閾値に基づいて、案内部16の劣化具合について細かに判定できる。特定周波数の振動強度が大きいほど、案内部16の劣化が進行している。制御部18は、劣化具合について細かに判定することによって、案内部16の寿命を推定できる。
【0075】
図1に示すように、制御部18は、検出部17の検出結果に基づいて、キャリッジ15に接続される接続体58の不具合について判定してもよい。接続体58は、例えば、電力が供給されるケーブル、信号が送られる信号線、液体が供給されるチューブなどである。チューブは、キャリッジ15を通じて液体収容体24に接続される。
【0076】
接続体58がキャリッジ15から外れたり、千切れたりすると、キャリッジ15に振動が発生する。制御部18は、この振動を検出部17が検出することによって、接続体58に不具合が発生したと判定する。特に、第2実施形態では、キャリッジ15が保持部21のみで構成されるため、接続体58は、保持部21に接続される。接続体58に不具合が発生した場合には、保持部21が振動する。第2実施形態では、案内部16が直接取り付けられる保持部21に検出部17が取り付けられるため、案内部16の劣化具合、及び、接続体58の不具合の双方について判定しやすい。
【0077】
・制御部18は、検出部17の検出結果に基づいて、ヘッド14又はキャリッジ15とメディア99との接触について判定してもよい。例えば、支持部13に支持されるメディア99が支持部13から浮き上がると、ヘッド14又はキャリッジ15に接触することがある。ヘッド14又はキャリッジ15がメディア99に接触すると、キャリッジ15に振動が発生する。制御部18は、この振動を検出部17が検出することによって、ヘッド14又はキャリッジ15がメディア99と接触したと判定する。この場合、制御部18は、印刷を一時中断し、そのメディア99を搬送することで排出する。第1実施形態では、メディア99を排出した後に、変位機構34によってヘッド14の位置を調整してもよい。第2実施形態では、案内部16が直接取り付けられる保持部21に検出部17が取り付けられるため、案内部16の劣化具合、及び、メディア99との接触の双方について判定しやすい。
【0078】
・案内部16に異物が付着していると判定した場合、制御部18は、解析結果に基づいて異物の付着箇所を特定してもよい。制御部18は、異物の付着箇所を表示部44に表示させてもよい。この場合、メンテナンス性が向上する。
【0079】
・検出部17の検出結果を解析部41で解析せず、その検出結果に基づいて、案内部16が劣化しているか否かを制御部18が判定してもよい。例えば、制御部18は、案内部16が劣化していないときの振動と、案内部16が劣化しているときとの振動とを比較することによって、案内部16が劣化について判定してもよい。
【0080】
・ヘッド14が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド14が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0081】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する保持部と、前記保持部を保持する基体部と、前記基体部を移動可能に保持し、前記基体部を案内する案内部と、前記基体部に取り付けられ、前記基体部の振動を検出する検出部と、を備え、前記基体部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
【0082】
案内部が劣化すると、基体部が移動する際に基体部に振動が発生する。この振動は微弱であるため、基体部において案内部が取り付けられる部分から離れた位置に検出部が取り付けられている場合、振動の波が減衰することによって、その振動を検出できないおそれがある。この点、上記構成によれば、検出部は、基体部において案内部が取り付けられる部分から比較的近い位置に取り付けられる。そのため、検出部は、案内部の劣化によって発生する振動を検出できる。
【0083】
(B)液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する保持部と、前記保持部を移動可能に保持し、前記保持部を案内する案内部と、前記保持部に設けられ、前記保持部の振動を検出する検出部と、を備え、前記保持部は、前記案内部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記検出部は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に取り付けられる。
【0084】
案内部が劣化すると、保持部が移動する際に保持部に振動が生じる。この振動は微弱であるため、保持部において案内部が取り付けられる部分から離れた位置に検出部が取り付けられている場合、その振動を検出できないおそれがある。この点、上記構成によれば、検出部は、保持部において案内部が取り付けられる部分から比較的近い位置に取り付けられる。そのため、検出部は、案内部の劣化によって発生する振動を検出できる。
【0085】
(C)上記液体吐出装置は、表示部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて前記案内部が劣化していると判定した場合に、前記案内部が劣化していることを前記表示部に表示させてもよい。
【0086】
上記構成によれば、案内部が劣化していることをユーザーが把握できる。
(D)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記検出部の検出結果を解析することによって抽出される特定周波数の振動に基づいて、前記案内部の劣化要因について判定し、前記劣化要因を前記表示部に表示させてもよい。
【0087】
案内部の劣化要因は、検出部が検出する振動の周波数と関連している。そのため、制御部は、検出部の検出結果から抽出される特定周波数の振動に基づいて、案内部の劣化要因を判別できる。上記構成によれば、案内部の劣化要因をユーザーが把握できる。
【0088】
(E)上記液体吐出装置において、前記案内部は、レールと、前記第1面に取り付けられ、前記レールに沿って移動するブロックと、を含み、前記液体吐出装置は、前記レールと前記ブロックとの間に潤滑剤を付与する付与部を備え、前記制御部は、前記劣化要因が前記案内部の潤滑剤が減少していることと判定した場合に、前記付与部を制御することによって前記潤滑剤を付与してもよい。
【0089】
上記構成によれば、案内部の潤滑剤が減少していることに起因して案内部が劣化している場合に、付与部によって自動的にレールとブロックとの間に潤滑剤が付与される。そのため、案内部を適切にメンテナンスできる。
【0090】
(F)上記液体吐出装置において、前記制御部は、前記劣化要因と前記劣化要因に対する対処方法とを示すメッセージを前記表示部に表示させてもよい。
上記構成によれば、案内部の劣化要因に対する対処方法をユーザーが把握できる。
【符号の説明】
【0091】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…支持部、14…ヘッド、15…キャリッジ、16…案内部、17…検出部、18…制御部、19…ノズル、21…保持部、22…基体部、23…ばね、24…液体収容体、25…保持上流面、26…保持下流面、27…突起、31…基体上流面、32…基体下流面、33…ピン、34…変位機構、35…回転体、36…接触部分、37…レール、38…ブロック、39…転動体、41…解析部、42…付与部、43…払拭部、44…表示部、50…サーバー、51…印刷システム、55…ガイド軸、56…取付部、58…接続体、99…メディア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6