(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電子機器用照明部材および電子機器用照明部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241203BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241203BHJP
【FI】
F21S2/00 443
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021012632
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】敦賀 直明
(72)【発明者】
【氏名】西川 晃勝
(72)【発明者】
【氏名】都築 一郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-302485(JP,A)
【文献】特開2010-092074(JP,A)
【文献】特開2012-209167(JP,A)
【文献】特開2015-162438(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する材料によって板状に形成され、厚み方向の一方の正面が照射面になるとともに一側面が光源と対向する入射面になる導光板と、
前記導光板の前記正面と前記入射面とを除く他の面と対向する複数の反射面を有する反射板と、
前記複数の反射面を壁面として形成された凹部の中に前記導光板を保持する保持構造とを備え
、
前記保持構造は、前記導光板の前記入射面に隣接する二つの側面から側方に突出する一対の腕部と、
前記凹部の前記腕部と対応する位置に前記腕部を出し入れ可能に形成された一対の切欠部と、
前記腕部と前記切欠部とに設けられ、前記切欠部に挿入された前記腕部の後退動作を規制する係止部とによって構成され、
前記導光板の前記正面には光を拡散させる処理が施され、
前記一対の腕部と、前記一対の切欠部とは、それぞれ非対称に形成され、前記導光板の前記正面が前記凹部の底と対向する姿勢で前記導光板が前記凹部に収容されることを規制する構成が採られていることを特徴とする電子機器用照明部材。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器用照明部材をケースの側壁に取付ける電子機器用照明部材の取付構造であって、
前記電子機器用照明部材の前記光源とは反対側の一端部を前記側壁に着脱自在かつ揺動自在に支持する軸支部と、
前記電子機器用照明部材が前記軸支部を中心にして揺動して前記側壁に沿う状態において、前記反射板の前記反射面を形成する部分が挿入されるように前記側壁に形成された開口部および前記側壁から離れる方向への前記電子機器用照明部材の揺動を規制する揺動規制部とを備え、
前記軸支部は、
前記反射板に前記二つの側面が並ぶ方向に延びるように設けられた軸と、
前記側壁に前記軸を底壁側から支えるように設けられた軸受とによって構成され、
前記揺動規制部は、
前記電子機器用照明部材の前記光源に近接する端部に突設された突起と、
前記光源が実装された基板に前記突起が係合するように形成された切欠きとによって構成されていることを特徴とする電子機器用照明部材の取付構造。
【請求項3】
請求項
2記載の電子機器用照明部材の取付構造において、
前記反射板は、前記二つの側面が並ぶ方向に所定の間隔をおいて並ぶ位置にそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合う前記反射板どうしが連結構造によって連結されて反射板組立体を構成し、
前記側壁は、前記反射板組立体の個々の前記反射板と対応する位置に前記開口部が形成されているとともに、互いに隣り合う前記開口部どうしの間に前記ケースの内部に向けて突出する仕切壁を有し、
前記反射板組立体の前記連結構造は、前記電子機器用照明部材が前記軸支部を中心にして揺動して前記側壁に沿う過程で前記仕切壁が挿入されるガイド部を有していることを特徴とする電子機器用照明部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の表示部を照明する電子機器用照明部材および電子機器用照明部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に搭載したLEDの光を導光して電子機器用筐体(以下、単にケースという)の外に照射する照明部材は、特許文献1や特許文献2に記載されている。これらの特許文献に開示されている照明部材は、LEDの光が進む方向を変えるレンズを備えている。LEDは、ケースの底壁に沿う基板に底壁とは垂直な方向へ光を照射するように実装されている。レンズは、ケースの底壁と、この底壁とは直交するように設けられたケースの側壁との近傍に設けられており、LEDの光が側壁からケースの外に出るように光の進行方向を変える湾曲部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-176027号公報
【文献】特開2012-230998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に開示されている照明部材では、LEDがケースの側壁からケースの内方に離間した位置に配置されている必要がある。また、レンズが側壁からケース内に延びているから、側壁の近傍にデッドスペースが生じるという問題もある。このような不具合を解消するにあたっては、照明部材をケースに取付ける作業が複雑になるようなことは避けなければならない。
本発明の目的は、光の進む方向を変える構成を採りながら、光源を側壁の近傍に配置できるコンパクトな電子機器用照明部材を提供するとともに、この照明部材を側壁に簡単に取付けることが可能な電子機器用照明部材の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために本発明に係る電子機器用照明部材は、透光性を有する材料によって板状に形成され、厚み方向の一方の正面が照射面になるとともに一側面が光源と対向する入射面になる導光板と、前記導光板の前記正面と前記入射面とを除く他の面と対向する複数の反射面を有する反射板と、前記複数の反射面を壁面として形成された凹部の中に前記導光板を保持する保持構造とを備えているものである。
【0006】
本発明は、前記電子機器用照明部材において、前記保持構造は、前記導光板の前記入射面に隣接する二つの側面から側方に突出する一対の腕部と、前記凹部の前記腕部と対応する位置に前記腕部を出し入れ可能に形成された一対の切欠部と、前記腕部と前記切欠部とに設けられ、前記切欠部に挿入された前記腕部の後退動作を規制する係止部とによって構成されていてもよい。
【0007】
本発明は、前記電子機器用照明部材において、前記導光板の前記正面には光を拡散させる処理が施され、前記一対の腕部と、前記一対の切欠部とは、それぞれ非対称に形成され、前記導光板の前記正面が前記凹部の底と対向する姿勢で前記導光板が前記凹部に収容されることを規制する構成が採られていてもよい。
【0008】
本発明に係る電子機器用照明部材の取付構造は、前記電子機器用照明部材をケースの側壁に取付ける電子機器用照明部材の取付構造であって、前記電子機器用照明部材の前記光源とは反対側の一端部を前記側壁に着脱自在かつ揺動自在に支持する軸支部と、前記電子機器用照明部材が前記軸支部を中心にして揺動して前記側壁に沿う状態において、前記反射板の前記反射面を形成する部分が挿入されるように前記側壁に形成された開口部および前記側壁から離れる方向への前記電子機器用照明部材の揺動を規制する揺動規制部とを備え、前記軸支部は、前記反射板に前記二つの側面が並ぶ方向に延びるように設けられた軸と、前記側壁に前記軸を底壁側から支えるように設けられた軸受とによって構成され、前記揺動規制部は、前記電子機器用照明部材の前記光源に近接する端部に突設された突起と、前記光源が実装された基板に前記突起が係合するように形成された切欠きとによって構成されているものである。
【0009】
本発明は、前記電子機器用照明部材の取付構造において、前記反射板は、前記二つの側面が並ぶ方向に所定の間隔をおいて並ぶ位置にそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合う前記反射板どうしが連結構造によって連結されて反射板組立体を構成し、前記側壁は、前記反射板組立体の個々の前記反射板と対応する位置に前記開口部が形成されているとともに、互いに隣り合う前記開口部どうしの間に前記ケースの内部に向けて突出する仕切壁を有し、前記反射板組立体の前記連結構造は、前記電子機器用照明部材が前記軸支部を中心にして揺動して前記側壁に沿う過程で前記仕切壁が挿入されるガイド部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器用照明部材においては、導光板に入射面から入った光が反射板の反射面で反射して導光板の正面から出る。本発明の電子機器用照明部材は、反射板の凹部の中に導光板が収容されることにより全体が板状に形成されるから、ケースの側壁に沿わせて配置することができる。したがって、光の進む方向を変える構成を採りながら、光源を側壁の近傍に配置できるコンパクトな電子機器用照明部材を提供することができる。
【0011】
本発明に係る電子機器用照明部材の取付構造によれば、導光板と反射板とからなる照明部材の一端部(反射板の光源とは反対側の一端部に設けられた軸)を側壁の軸受に支持させた状態で照明部材を側壁に沿うように揺動させ、反射板の反射面を形成する部分を側壁の開口部に挿入するとともに反射板の突起を基板の切欠きに係合させることによって、照明部材がケースに移動できないように取付けられる。したがって、本発明によれば、照明部材を揺動させる操作で照明部材の取付けが完了するから、複数の部品(導光板と反射板)によって形成された照明部材を側壁に簡単に取付けることが可能な電子機器用照明部材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明に係る照明部材を備えた電子機器の斜視図である。
【
図2】
図2は、ケースの正面部分を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ケースの一部と照明用の基板の斜視図である。
【
図8】
図8は、反射板の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、反射板の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図10】
図10は、導光板と反射板組立体の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図11】
図11は、導光板と反射板の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図12】
図12は、ケースと照明部材の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図13】
図13は、ケースと照明部材の一部を拡大して示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る電子機器用照明部材および電子機器用照明部材の取付構造の一実施の形態を
図1~
図15を参照して詳細に説明する。
図1に示す筐体1は、電子機器の筐体である。この筐体1は、3つの部品を組み合わせて平面視長方形の箱体となるように形成されている。この3つの部品とは、
図1において下側に描かれている第1の部材2と、
図1において上側に描かれている第2の部材3と、これらの第1、第2の部材2,3の間に収容されたケース4である。ケース4は、
図2に示すように、一方に向けて(
図2においては上方に向けて)開口する箱状に形成されている。ケース4の開口部は、筐体1を組立てることにより第2の部材3によって閉塞される。
【0014】
筐体1は、ケース4の一つの側壁5(
図2参照)が正面1aに位置するように形成されており、正面1aに複数の発光部6を有している。発光部6は、本発明に係る電子機器用照明部材7(以下、単に照明部材という)よって光が導かれて発光する。照明部材7は、
図3に示すようにケース4の底側に設けられているLED8の光を側壁5の開口部5aからケース4の外に導くように構成されている。照明部材7とLED8の説明は後述する。
【0015】
側壁5の外面には、照明部材7を筐体1の外側から覆うシート9と、シート9を含めて側壁5の全体を覆う化粧板10とが取付けられている。これらのシート9と化粧板10は、それぞれ光を透過可能な材料によって形成されている。
側壁5の開口部5aは、側壁5の長手方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ形成されている。これらの開口部5aには、照明部材7の一部がケース4の内側から挿入されている。
以下において、筐体1および照明部材7の構成を説明するにあたっては、便宜上、第1の部材2が位置する方向を下方とし、筐体1の正面1aが指向する方向を前方として筐体1の正面1aと向き合った状態で見える方向で説明する。
【0016】
図3に示すように、側壁5のケース内側であって、開口部5aの上下方向に延びる辺と隣接する位置には、それぞれ仕切壁11が設けられている。仕切壁11は、ケース4の底から開口側に向けて延びる板状に形成され、側壁5からケース内側に向けて突出している。これらの複数の仕切壁11のうち、筐体1の左右方向の両側に位置する二つの仕切壁11の上端と、中央部に位置する仕切壁11の上端とには、それぞれ軸受片12が上方に向けて突設されている。軸受片12は、側壁5および仕切壁11と協働して後述する照明部材7を着脱自在かつ揺動自在に支持する軸受13を構成するものである。
【0017】
ケース4の底には、
図3に示すように、照明用の基板14が配置されている。照明用の基板14は、その一側部であって仕切壁11と対応する部分に切欠き15が形成されており、この切欠き15に仕切壁11が挿入されて側壁5と隣り合うように位置付けられている。照明用の基板14の互いに隣り合う一対の切欠き15の間に形成された突板状部分16は、開口部5aの中に挿入されている。この突板状部分16にLED8が実装されている。LED8は、光が上方に向けて照射されるように構成されている。
【0018】
照明部材7は、
図4(A),(B)に示すように、筐体1の左右方向に細長い板状に形成されている。
図4(A)は組立状態の斜視図、
図4(B)は、分解斜視図である。この照明部材7は、筐体1の複数の発光部6にそれぞれ光を導くことができるように、複数の導光板21と複数の反射板22とを備えている。複数の導光板21は、それぞれ個別に形成されている。複数の反射板22は、
図4および
図5に示すように、筐体1の左右方向に並ぶ状態で反射板22どうしが後述する連結構造23によって互いに連結されることにより、一つの反射板組立体24を構成している。
【0019】
この実施の形態による照明部材7は、
図4および
図5に示すように、筐体1の左右方向に並ぶ複数の導光板21と、これらの導光板21毎の複数の反射板22(
図4参照)と、導光板21を反射板22から脱落することがないように保持する保持構造25{
図10(B)参照}とによって構成されている。
導光板21は、透光性を有する合成樹脂材料によって正面視矩形の板状に形成されている。導光板21の厚み方向は筐体1の前後方向である。この実施の形態による導光板21においては、厚み方向の一方の正面21a(
図6参照)が照射面になり、下面21b(
図7参照)がLED8と対向する入射面になる。
導光板21の正面21aには、この導光板21を通過して導光板21の外に出る光を拡散させる処理が施されている。この処理としては、例えばシボ加工処理がある。
【0020】
導光板21の下面21bであって左右方向の中央には、
図6および
図7に示すように、上方に向けて凸になる断面半円状の凹部26が形成されている。LED8の光は、主にこの凹部26に照射され、凹部26の壁面を通過するときに屈折して導光板21の内部の広い範囲に拡散される。
導光板21の入射面となる下面21bに隣接する二つの側面21c,21dには、一対の腕部27,28が設けられている。二つの側面21c,21dは、筐体1の左右方向に並んでいる。導光板21の一対の腕部27,28のうち、筐体1の右側に位置する腕部を以下においては第1の腕部27といい、他方の腕部を第2の腕部28という。
【0021】
これらの第1および第2の腕部27,28は、導光板21を反射板22から脱落することがないように保持する保持構造25の一部を構成するものである。
この実施の形態による第1および第2の腕部27,28は、左右の側面21c,21dから側方に突出しているとともに、
図7に示すように導光板21の背面21eより後方に突出している。これらの第1および第2の腕部27,28の後端部であって下端部には、下方に向けて突出する係止用の爪29がそれぞれ形成されている。
導光板21の右側の側面21cに突設された第1の腕部27には、上方に向けて突出する突起30が形成されている。このため、左右一対の腕部27,28は非対称に形成されている。
【0022】
反射板22は、合成樹脂材料によって所定の形状に成型されており、
図4(B)に示すように、導光板21を収容する凹部31を有している。反射板22を形成する合成樹脂材料は、たとえば白色に着色されたものを使用することができる。凹部31は、筐体1の前方と下方とに向けて開口するように形成されている。この凹部31は、
図8に示すように、筐体1の前方を指向する底壁31aと、底壁31aから前方に突出する右側壁31b、左側壁31cおよび上壁31dとによって形成され、その壁面が反射面となるように構成されている。すなわち、凹部31は、
図8および
図9に示すように、4つの反射面32~35を壁面として形成されている。
【0023】
これらの反射面32~35は、導光板21の照射面(正面21a)と入射面(下面21b)とを除く他の面と対向する面である。詳述すると、4つの反射面32~35は、
図8に示すように、筐体1の前方を指向する第1の反射面32および筐体1の右方を指向する第2の反射面33と、
図9に示すように、筐体1の左方を指向する第3の反射面34および下方を指向する第4の反射面35である。
【0024】
凹部31に導光板21が挿入された状態においては、これらの第1~第4の反射面32~35によって導光板21が囲まれる。第1~第4の反射面32~35は、導光板21の入射面(下面21b)から導光板21内に入った光を反射させて導光板21の照射面(正面21a)に導くように構成されている。導光板21の正面21aに導かれた光は、正面21aの拡散処理部分で拡散されて導光板21の前方に出る。
【0025】
図8および
図9に示すように、反射板22の右側壁31bと上壁31dとの間には第1の切欠部41が形成され、左側壁31cと上壁31dとの間には第2の切欠部42が形成されている。これらの第1および第2の切欠部41,42は、導光板21の一対の腕部27,28と対応する位置に腕部27,28を出し入れ可能に形成されている。このため、反射板22の凹部31に導光板21が挿入されることにより、導光板21の第1の腕部27が第1の切欠部41に筐体1の前方から挿入され、第2の腕部28が第2の切欠部42に筐体1の前方から挿入される。
【0026】
第1および第2の切欠部41,42の下端部(右側壁31bの上端部と左側壁31cの上端部)には、上方に向けて突出する突起43がそれぞれ設けられている。これらの突起43,43は、反射板22の凹部31に導光板21が挿入されることにより、導光板21の第1および第2の腕部27,28に形成された係止用の爪29が乗り越えるように形成されている。このため、
図10(A)~(B)に示すように、第1および第2の腕部27,28が第1および第2の切欠部41,42に挿入されて爪29が突起43を乗り越えることにより、爪29が突起43に係止されるようになり、爪29と突起43とからなる係止部44が第1および第2の腕部27,28の後退動作を規制する。
図10(A)は、導光板21が凹部31に挿入される以前の状態を示し、
図10(B)は、導光板21が凹部31に挿入されている状態を示す。
【0027】
これらの第1および第2の腕部27,28(一対の腕部)と、第1および第2の切欠部41,42(一対の切欠部)と、係止部44とによって、凹部31の中に導光板21を保持する保持構造25が構成されている。この実施の形態による照明部材7においては、全ての導光板21が全ての凹部31に収容され、各々の導光板21が保持構造25によって凹部31に保持されることにより、反射板組立体24が形成される。
【0028】
図8および
図9に示すように、第2の切欠部42の上端部、すなわち上壁31dの左側の端部であって、後側の半部には、前側の半部より左方に突出する反転防止用のリブ45が形成されている。反射板22の凹部31に導光板21を挿入するときに導光板21の表裏が正しい場合は、
図10(B)に示すように、リブ45の下方に導光板21の第2の腕部28が挿入される。しかし、導光板21の表裏が逆である場合は、導光板21の第1の腕部27が反射板22の第2の切欠部42に挿入されるようになる。この場合、
図11に示すように、リブ45が第1の腕部27の突起30と当接し、第1の腕部27が第2の切欠部42内の正規の位置に挿入されることを阻止する。すなわち、導光板21の第1および第2の腕部27,28と、反射板22の第1および第2の切欠部41,42とは、それぞれ非対称に形成され、導光板21の正面21aが凹部31の底壁31aと対向する姿勢で導光板21が凹部31に収容されることを規制する構成が採られている。
【0029】
複数の反射板22どうしを連結する連結構造23は、
図5に示すように、照明部材7におけるLED8とは反対側の端部(反射板22の上壁31d)に設けられた複数の第1および第2の連結片51,52と、反射板22の底壁31aに設けられた複数の第3および第4の連結片53,54とによって構成されている。
第1の連結片51は、筐体1の左右方向に延びる円柱状の軸55を有する門形状に形成され、複数の反射板22が並ぶ方向の両端部と中央部とに設けられている。第2の連結片52は、筐体1の左右方向に延びる板状に形成されており、第1の連結片51によって連結されていない反射板22どうしを連結している。
【0030】
第1の連結片51の軸55は、
図12に示すように、側壁5に設けられた軸受13に上方から挿入できるように形成されている。このため、複数の導光板21と複数の反射板22とからなる照明部材7は、詳細は後述するが、側壁5に対して傾斜する姿勢(
図14参照)で軸55が軸受13に上方から挿入された状態において、軸55を中心にして側壁5に対して揺動することができる。
この軸55と側壁5の軸受13は、照明部材7をケース4に取付ける取付構造56の軸支部57を構成している。
【0031】
第3の連結片53は、底壁31aに沿って底壁31aの下端部まで延びるように形成されており、複数の反射板22が並ぶ方向の両端部と中央部とに設けられている。第3の連結片53の下端部{照明部材7の光源(LED8)に近接する端部}には、底壁31aより下方に突出する突起58と、補強用リブ59とが設けられている。突起58は、照明部材7がケース4の側壁5に取付けられた状態において、
図12に示すように、照明用の基板14の切欠き15に係入するように形成されている。突起58が切欠き15に係入している状態においては、照明部材7が軸55を中心にして側壁5から離れる方向へ揺動することはできなくなる。このため、切欠き15と突起58とは、側壁5から離れる方向への照明部材7の揺動を規制する揺動規制部60を構成している。この実施の形態による照明部材7をケース4に取付ける取付構造56は、上述した軸支部57と、揺動規制部60と、側壁5の開口部5aとを用いて構成されている。
【0032】
第4の連結片54は、両端側の第3の連結片53と中央側の第3の連結片53との間に設けられている。
第3の連結片53および第4の連結片54は、
図8および
図9に示すように、互いに隣合う二つの反射板22の右側壁31bと左側壁31cとの間で前後方向に延びるガイド部61を有している。ガイド部61は、右側壁31bに沿う左側ガイド片61aと、左側壁31cに沿う右側ガイド片61bとによって構成されている。左側ガイド片61aと右側ガイド片61bとの間には、
図13に示すように、照明部材7がケース4の側壁5に取付けられた状態において、側壁5の仕切壁11が挿入される。
これらの左側ガイド片61aおよび右側ガイド片61bの前端部には、前方に向かうにしたがってガイド片どうしの間隔が次第に広くなるように傾斜面62,63が形成されている。
【0033】
次に、照明部材7をケース4の側壁5に取付ける際の手順を説明する。照明部材7は、反射板組立体24の複数の反射板22に導光板21をそれぞれ組み付けることにより組立てられる。この照明部材7をケース4の側壁5に取付けるためには、先ず、照明部材7を側壁5の上方に位置付け、
図14に示すように、照明部材7を下端が上端より後方に位置するように傾斜させた状態で下げる。そして、
図15に示すように、軸55を側壁5の軸受13に上方から挿入し、照明部材7の下端が側壁5に近づくように、軸55を中心にして照明部材7を揺動させる。この揺動の過程で反射板22のガイド部61に側壁5の仕切壁11が挿入されることによって、照明部材7がケース4の左右方向に位置決めされる。
【0034】
そして、照明部材7の揺動に伴って、反射板22の右側壁31bの前端部と、左側壁31cの前端部と、上壁31dの前端部とが側壁5の開口部5aの中に挿入される。
この揺動過程においては、第3の連結片53の下端に設けられている突起58が基板14の上面に接触するが、突起58を基板14上で滑らせるようにして更に照明部材7を揺動させる。このときには照明部材7の軸55が軸受13から僅かに上方に浮き上がるようになり、導光板21の下端が基板14から上方に離間するから、基板14上のLED8に導光板21の下端が接触することはない。
【0035】
そして、揺動が更に進むことにより、
図12に示すように突起58が切欠き15に係入し、照明部材7が側壁5に沿う状態で側壁5に取付けられる。突起58が切欠き15に係入することにより、照明部材7が上記とは反対方向に揺動することができなくなる。また、このときには、照明部材7のガイド部61に側壁5の仕切壁11が挿入され、しかも、反射板22の右側壁31bと、左側壁31cと、上壁31dとが側壁5の開口部5aに挿入されているから、照明部材7が側壁5に対して左右方向や上下方向に移動することはない。
【0036】
このように照明部材7が側壁5に取付けられることにより、LED8の真上に導光板21の凹部26が位置するようになる。この状態でLED8が発光することにより、LED8の光が導光板21内を通るとともに第1~第4の反射面32~35で反射し、導光板21の照射面から前方に向けて出るようになる。
【0037】
この実施の形態による照明部材7においては、反射板22の凹部31の中に導光板21が収容されることにより全体が板状に形成されるから、
図12に示すようにケース4の側壁5に沿わせて配置することができる。このため、光の進む方向を変える構成を採りながら、光源を側壁の近傍に配置できるコンパクトな電子機器用照明部材を提供することができる。
【0038】
この実施の形態による照明部材7の導光板21を保持する保持構造25は、導光板21の第1および第2の腕部27,28と、反射板22に形成された第1および第2の切欠部41,42と、第1および第2の腕部27,28と第1および第2の切欠部41,42とに設けられた係止部44とによって構成されている。このため、導光板21を反射板22の凹部31に挿入する操作を行うだけで導光板21が反射板22に保持されるから、導光板21を反射板22に容易に取付けることができる。
【0039】
この実施の形態による導光板21の正面21aには光を拡散させる処理が施されている。導光板21の第1および第2の腕部27,28と、反射板22の第1および第2の切欠部41,42とは、それぞれ非対称に形成され、導光板21の正面21aが凹部31の底壁31aと対向する姿勢で導光板21が凹部31に収容されることを規制する構成が採られている。このため、導光板21が表裏逆の状態で反射板22に取付けられることを防ぐことができるから、常に正しく光る照明部材を提供することができる。
【0040】
この実施の形態による電子機器用照明部材7の取付構造56は、照明部材7の光源とは反対側の一端部(上端部)を側壁5に着脱自在かつ揺動自在に支持する軸支部57と、反射板22の右側壁31b、左側壁31cおよび上壁31d(第1~第4の反射面32~35を形成する部分)が挿入されるように側壁5に形成された開口部5aと、側壁5から離れる方向への照明部材7の揺動を規制する揺動規制部60とを備えている。軸支部57は、反射板22の軸55と、側壁5の軸受13とによって構成されている。揺動規制部60は、照明部材7の下端部(光源に近接する端部)に突設された突起58と、LED8(光源)が実装された基板14に形成された切欠き15とによって構成されている。
【0041】
この取付構造56によれば、導光板21と反射板22とからなる照明部材7の一端部(光源とは反対側の端部に設けられた軸55)を側壁5の軸受13に支持させた状態で照明部材7を側壁5に沿うように揺動させ、反射板22の第1~第4の反射面32~35を形成する部分を側壁5の開口部5aに挿入するとともに反射板22の突起58を基板14の切欠き15に係合させることによって、照明部材7がケース4に移動できないように取付けられる。このため、照明部材7を揺動させる操作で照明部材7の取付けが完了するから、照明部材7を側壁5に簡単に取付けることが可能な電子機器用照明部材の取付構造を提供することができる。
【0042】
この実施の形態による反射板22は、導光板21の二つの側面が並ぶ方向に所定の間隔をおいて並ぶ位置にそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合う反射板22どうしが連結構造23によって連結されて反射板組立体24を構成している。ケース4の側壁5は、反射板組立体24の個々の反射板22と対応する位置に開口部5aが形成されているとともに、互いに隣り合う開口部5aどうしの間にケース4の内部に向けて突出する仕切壁11を有している。反射板組立体24の連結構造23は、照明部材7が軸支部57を中心にして揺動して側壁5に沿う過程で前記仕切壁11が挿入されるガイド部61を有している。
【0043】
このため、照明部材7を側壁5に取付ける際にガイド部61に仕切壁11が挿入されることによって、照明部材7が複数の導光板21および反射板22を備えていて筐体1の左右方向に長く形成されるにもかかわらず、筐体1の左右方向において側壁5に対する照明部材7の位置を容易に決めることができる。したがって、照明部材7の取付をより一層簡単に行うことが可能になる。
【0044】
上述した実施の形態においては、複数の導光板21と複数の反射板22とを備えた照明部材7に本発明を適用する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、1枚の導光板21と1枚の反射板22とを備えた照明部材にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…筐体、4…ケース、5…側壁、5a…開口部、7…電子機器用照明部材、8…LED(光源)、11…仕切壁、13…軸受、14…基板、15…切欠き、21…導光板、21a…正面(照射面)、21b…下面(入射面)、21c,21d…側面、22…反射板、23…連結構造、24…反射板組立体、25…保持構造、27…第1の腕部、28…第2の腕部、31…凹部、31a…底壁、32…第1の反射面、33…第2の反射面、34…第3の反射面、35…第4の反射面、41…第1の切欠部、42…第2の切欠部、44…係止部、55…軸、56…取付構造、57…軸支部、58…突起、60…揺動規制部、61…ガイド部。