(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】IP変換装置用接続アダプタおよびIP変換装置のレベル測定方法
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
H01R31/06 M
(21)【出願番号】P 2021028101
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】田川 公久
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020763(JP,A)
【文献】特開2012-044503(JP,A)
【文献】特開平10-224472(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059362(JP,U)
【文献】特開2004-146922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がアダプタ本体に接続され、他端にIP変換装置のIP側雌コネクタに装着可能なIP用雄コネクタが設けられたIP用ケーブルと、
一端に前記IP側雌コネクタとは形状が異なるレベル測定器の測定側雌コネクタに装着可能な測定用雄コネクタが設けられ、他端に前記アダプタ本体に設けられた
4つの本体側雌コネクタ
の1つに装着可能な本体用雄コネクタが設けられた測定用ケーブルと、
を備え、前記IP用ケーブルのIP用雄コネクタを前記IP側雌コネクタに装着し、前記測定用ケーブルの測定用雄コネクタを前記測定側雌コネクタに装着して前記本体用雄コネクタを本体側雌コネクタに装着することで、前記アダプタ本体を介して前記IP変換装置と前記レベル測定器とが電気的に接続さ
れ、
前記4つの本体側雌コネクタは、前記測定側雌コネクタと同形状で、4線式回線における送話の音声信号用の端子、4線式回線における受話の音声信号用の端子、送信信号用の端子、及び、受信信号用の端子となっている、
ことを特徴とするIP変換装置用接続アダプタ。
【請求項2】
請求項
1に記載のIP変換装置用接続アダプタを使用したIP変換装置のレベル測定方法であって、
前記IP用ケーブルのIP用雄コネクタを前記IP側雌コネクタに装着し、前記測定用ケーブルの測定用雄コネクタを前記測定側雌コネクタに装着して前記本体用雄コネクタを
前記4つの本体側雌コネクタ
の1つに装着し、前記IP変換装置からの出力信号のレベルを前記レベル測定器で測定する、
ことを特徴とするIP変換装置のレベル測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP変換装置をレベル測定器に接続するためのIP変換装置用接続アダプタおよび、このIP変換装置用接続アダプタを使用したIP変換装置のレベル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IP変換装置を介して電話機等からの音声や信号をIP(インターネットプロトコル)網の信号に変換することで、IP網を利用した音声会話やFAX通信などを可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このIP変換装置を利用する場合、設置時や定期的にIP変換装置の出力レベル(出力の大きさ)を測定する必要があり、IP変換装置をレベル測定器に接続して測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、IP変換装置のコネクタ・端子とレベル測定器のコネクタとの形状・種類が異なる場合があった。例えば、IP変換装置の雌コネクタがRJ-45型であるのに対して、レベル測定器の雌コネクタが特殊な形状(例えば、2つの長穴が平行に形成された形状)の場合があり、両端にRJ-45型の雄コネクタが設けられたLANケーブルでは、IP変換装置とレベル測定器とを接続することができなかった。このため、例えば、LANケーブルの他端側をばらして各線にミノムシクリップなどを取り付け、ミノムシクリップなどでレベル測定器の雌コネクタを挟んで接続しなければならず、手間と時間を要するばかりでなく、ミノムシクリップが外れたりミノムシクリップ同士が接触して短絡したりするおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、コネクタタイプが異なるIP変換装置とレベル測定器を容易に接続することを可能にするIP変換装置用接続アダプタおよび、このIP変換装置用接続アダプタを使用したIP変換装置のレベル測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一端がアダプタ本体に接続され、他端にIP変換装置のIP側雌コネクタに装着可能なIP用雄コネクタが設けられたIP用ケーブルと、一端に前記IP側雌コネクタとは形状が異なるレベル測定器の測定側雌コネクタに装着可能な測定用雄コネクタが設けられ、他端に前記アダプタ本体に設けられた4つの本体側雌コネクタの1つに装着可能な本体用雄コネクタが設けられた測定用ケーブルと、を備え、前記IP用ケーブルのIP用雄コネクタを前記IP側雌コネクタに装着し、前記測定用ケーブルの測定用雄コネクタを前記測定側雌コネクタに装着して前記本体用雄コネクタを本体側雌コネクタに装着することで、前記アダプタ本体を介して前記IP変換装置と前記レベル測定器とが電気的に接続され、前記4つの本体側雌コネクタは、前記測定側雌コネクタと同形状で、4線式回線における送話の音声信号用の端子、4線式回線における受話の音声信号用の端子、送信信号用の端子、及び、受信信号用の端子となっている、ことを特徴とするIP変換装置用接続アダプタである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のIP変換装置用接続アダプタを使用したIP変換装置のレベル測定方法であって、前記IP用ケーブルのIP用雄コネクタを前記IP側雌コネクタに装着し、前記測定用ケーブルの測定用雄コネクタを前記測定側雌コネクタに装着して前記本体用雄コネクタを前記4つの本体側雌コネクタの1つに装着し、前記IP変換装置からの出力信号のレベルを前記レベル測定器で測定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、IP用ケーブルのIP用雄コネクタをIP変換装置のIP側雌コネクタに装着し、測定用ケーブルの測定用雄コネクタをレベル測定器の測定側雌コネクタに装着して本体用雄コネクタをアダプタ本体の本体側雌コネクタに装着するだけで、アダプタ本体を介してIP変換装置とレベル測定器とを電気的に接続することができる。すなわち、ミノムシクリップなどを使用しなくても、各雄コネクタをそれぞれに合った雌コネクタに装着するだけで、コネクタタイプが異なるIP変換装置とレベル測定器を容易かつ適正、安全に接続することが可能となる。この結果、IP変換装置からの出力信号のレベルを容易かつ適正、安全にレベル測定器で測定することが可能となる。
【0010】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、本体側雌コネクタが測定側雌コネクタと同形状となっているため、測定用ケーブルの両端の雄コネクタを測定用雄コネクタにすることができ、測定用ケーブルの構成を簡素化することが可能となる。しかも、両端に測定用雄コネクタが設けられた測定用ケーブルは、レベル測定器を使用する際に一般に提供、使用されるケーブルであるため、既存・既製のケーブルを測定用ケーブルとして使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態に係るIP変換装置用接続アダプタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のIP変換装置用接続アダプタのアダプタ本体とIP用ケーブルを示す正面図である。
【
図3】
図1のIP変換装置用接続アダプタの測定用ケーブルの測定用雄コネクタ周辺を示す正面図(a)と側面図(b)である。
【
図4】この発明の実施の形態に係るレベル測定器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態に係るIP変換装置用接続アダプタ1を示す斜視図であり、
図2は、IP変換装置用接続アダプタ1のアダプタ本体2とIP用ケーブル3を示す正面図であり、
図3は、IP変換装置用接続アダプタ1の測定用ケーブル4の測定用雄コネクタ42周辺を示す正面図(a)と側面図(b)である。このIP変換装置用接続アダプタ1は、IP変換装置101にレベル測定器201を接続してIP変換装置101の出力信号レベルを測定できるようにするためのアダプタであり、アダプタ本体2と、IP用ケーブル3と、測定用ケーブル4と、を備える。
【0014】
ここで、IP変換装置101とレベル測定器201は、既製・既存の機器・製品であるため、その詳述を省略するが、概略次のようなものである。すなわち、IP変換装置101は、4W・4線または2W・2線のアナログ音声回線をIP(インターネットプロトコル)ネットワークに中継するための装置であり、この実施の形態では、交換機の4W、SS(Signal Send、送信信号)、SR(Signal Receive、受信信号)などを収容して、IPネットワーク側の10Base-Tや100Base-TXなどのイーサネット信号のインターフェースに変換する装置である。このIP変換装置101の前面または背面には、IP変換装置101からの信号の出力ポートとなるRJ-45型のIP側雌コネクタ(RJ-45型ジャック)102が設けられている。ここで、RJ-45型のコネクタは、一般にLANケーブルに使用されている8ピンタイプ(コネクタ数が8個)のコネクタである。
【0015】
レベル測定器201は、音声帯域の伝送路や伝送装置、通信機器の試験、保守に必要な機能を搭載したハンディータイプの多機能レベル測量器であり、この実施の形態では、主にIP変換装置101からの信号の出力レベルを測定する。このレベル測定器201の上面には、
図4に示すように、測定側雌コネクタ(レベル計入力端子)202を含む各種端子が設けられている。この測定側雌コネクタ202は、IP側雌コネクタ102とは形状・タイプが異なるコネクタであり、2つの長穴202aが平行に形成された形状となっている。また、レベル測定器201の正面には、
図1に示すように、測定結果などを表示するためのディスプレイ203や、各種指令などを入力するためのキー群204が設けられている。
【0016】
アダプタ本体2は、
図2に示すように、略直方体の箱状で、正面に4組の本体側雌コネクタ21、22、23、24が設けられている。この本体側雌コネクタ21、22、23、24は、上記の測定側雌コネクタ202と同形状で、2つの長穴2aが平行に形成された形状となっている。ここで、第1の本体側雌コネクタ21は、4線式回線における送話の音声信号用(OD専用線のインターフェース信号4WS)の端子、第2の本体側雌コネクタ22は、4線式回線における受話の音声信号用(同4WR)の端子、第3の本体側雌コネクタ23は、送信信号用(同SS)の端子、第4の本体側雌コネクタ24は、受信信号用(同SR)の端子である。また、この実施の形態では、このような本体側雌コネクタ21、22、23、24が設けられた既存の端子ボックスをアダプタ本体2として利用・流用している。
【0017】
このようなアダプタ本体2の上面からIP用ケーブル3の一端がアダプタ本体2に接続されている。このIP用ケーブル3は、LANケーブルで構成され、他端にIP変換装置101のIP側雌コネクタ102に装着可能なIP用雄コネクタ31が設けられている。すなわち、IP用雄コネクタ31は、IP側雌コネクタ102つまりRJ-45型ジャックに適合する形状の(挿入するだけで適正に装着・接続される)RJ-45型プラグとなっている。
【0018】
一方、IP用ケーブル3の一端側は、所定の本体側雌コネクタ21、22、23、24に接続されている。すなわち、この実施の形態では、IP変換装置101の出力信号レベルを測定することを目的とするため、IP用ケーブル3の一端側の「送信+」と「送信-」のピン・線が、第1の本体側雌コネクタ21の長穴2aにそれぞれ接続されている。
【0019】
測定用ケーブル4は、
図1に示すように、ケーブル本体41の一端に、レベル測定器201の測定側雌コネクタ202に装着可能な測定用雄コネクタ42が設けられ、他端にアダプタ本体2の本体側雌コネクタ21、22、23、24に装着可能な本体用雄コネクタ43が設けられている。また、上記のように、測定側雌コネクタ202と本体側雌コネクタ21、22、23、24とが同形状のため、測定用雄コネクタ42と本体用雄コネクタ43は同形状となっている。具体的には、測定用雄コネクタ42について説明すると、
図3に示すように、ケーブル本体41の一端部側が筒状のコネクタカバー40で覆われ、このコネクタカバー40の上面から平板上の2つのコネクタ板42aが平行に突出して形成されている。この2つのコネクタ板42aは、測定側雌コネクタ202と本体側雌コネクタ21、22、23、24に適合するように(挿入するだけで適正に装着・接続されるように)形成されている。
【0020】
そして、
図1に示すように、IP用ケーブル3のIP用雄コネクタ31をIP側雌コネクタ102に装着し、測定用ケーブル4の測定用雄コネクタ42を測定側雌コネクタ202に装着して本体用雄コネクタ43を第1の本体側雌コネクタ21に装着することで、IP用ケーブル3、アダプタ本体2および測定用ケーブル4を介して、IP変換装置101とレベル測定器201とが電気的に接続され、IP変換装置101からの出力信号がレベル測定器201に伝達・入力されるようになっている。
【0021】
次に、このような構成のIP変換装置用接続アダプタ1を使用してIP変換装置101の出力レベルを測定する、IP変換装置101のレベル測定方法について説明する。
【0022】
まず、上記のように、IP用ケーブル3のIP用雄コネクタ31をIP側雌コネクタ102に装着し、測定用ケーブル4の測定用雄コネクタ42を測定側雌コネクタ202に装着して本体用雄コネクタ43を第1の本体側雌コネクタ21に装着する。そして、IP変換装置101から音声信号などを出力して、その出力信号のレベルをレベル測定器201で測定する。
【0023】
以上のように、このIP変換装置用接続アダプタ1およびIP変換装置101のレベル測定方法によれば、IP用ケーブル3のIP用雄コネクタ31をIP変換装置101のIP側雌コネクタ102に装着し、測定用ケーブル4の測定用雄コネクタ42をレベル測定器201の測定側雌コネクタ202に装着して本体用雄コネクタ43をアダプタ本体2の第1の本体側雌コネクタ21に装着するだけで、アダプタ本体2を介してIP変換装置101とレベル測定器201とを電気的に接続することができる。すなわち、ミノムシクリップなどを使用しなくても、各雄コネクタ31、42、43をそれぞれに合った雌コネクタ102、202、21に挿入、装着するだけで、コネクタタイプが異なるIP変換装置101とレベル測定器201を容易かつ適正、安全に接続することが可能となる。この結果、IP変換装置101からの出力信号のレベルを容易かつ適正、安全にレベル測定器201で測定することが可能となる。
【0024】
また、本体側雌コネクタ21、22、23、24が測定側雌コネクタ202と同形状となっているため、測定用ケーブル4の両端の雄コネクタ42、43を同形状にすることができ、測定用ケーブル4の構成を簡素化することが可能となる。しかも、測定側雌コネクタ202に適合する雄コネクタ42、43が両端に設けられた測定用ケーブル4は、レベル測定器201を使用する際に一般に提供、使用されるケーブルであるため、既存・既製のケーブルを測定用ケーブル4として使用することが可能となる。例えば、レベル測定器201に付属されているケーブルを、本発明における測定用ケーブル4として使用することができる。
【0025】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、IP用ケーブル3がアダプタ本体2に一体的に設けられているが、IP用ケーブル3をアダプタ本体2に対して着脱自在にしてもよい。また、アダプタ本体2の第1の本体側雌コネクタ21のみに測定用ケーブル4を接続する場合について説明したが、測定する出力信号に応じて、IP用ケーブル3のピン・線が接続されたその他の本体側雌コネクタ22、23、24に測定用ケーブル4を接続してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 IP変換装置用接続アダプタ
2 アダプタ本体
21、22、23、24 本体側雌コネクタ
3 IP用ケーブル
31 IP用雄コネクタ
4 測定用ケーブル
42 測定用雄コネクタ
43 本体用雄コネクタ
101 IP変換装置
102 IP側雌コネクタ
201 レベル測定器
202 測定側雌コネクタ