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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】流体冷却器用逆洗設備
(51)【国際特許分類】
   F28G 9/00 20060101AFI20241203BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20241203BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20241203BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F28G9/00 B
F28B1/02
F28D7/10 Z
F28F17/00 501Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021037266
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137672
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮井 渉
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-138911(JP,A)
【文献】特開昭57-078983(JP,A)
【文献】実開昭59-139788(JP,U)
【文献】特開2009-293843(JP,A)
【文献】米国特許第05238502(US,A)
【文献】中国実用新案第210374772(CN,U)
【文献】特開平05-341090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 9/00
F28B 1/02
F28D 7/10
F28F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水入口管を介して海水を導入する入口水室と、この入口水室に導入された海水を他の水室へ移動させる入口冷却管と、を有し、
少なくとも前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却する熱交換部を備えた流体冷却器に用いられ、
前記海水入口管を介して前記入口水室に導入される海水を止めて、下流側から供給される逆洗水により、前記入口冷却管、及び、前記入口水室を逆洗可能とする流体冷却器用逆洗設備において、
前記他の水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記他の水室に供給可能とし、
前記入口冷却管よりも海水導入側であって、前記入口冷却管よりも下方となる位置に抜出弁により開閉可能な抜出配管を設け、逆洗時に前記工水供給弁および前記抜出弁を開成して前記入口冷却管から前記入口水室に流入する逆洗水を、落下させた後に前記抜出配管を介して排出させることを特徴とする流体冷却器用逆洗設備。
【請求項2】
前記抜出配管は、前記入口水室の下端部、又は、前記海水入口管の前記入口水室の下方となる部位に接続されていることを特徴とする請求項1記載の流体冷却器用逆洗設備。
【請求項3】
一端が前記入口水室に開口すると共に他端が折り返し水室に開口し、前記入口水室に導入された海水を前記折り返し水室へ移動させる前記入口冷却管と、
一端が前記折り返し水室に開口すると共に他端が出口水室に開口し、前記折り返し水室に導入された海水を前記出口水室へ移動させる出口冷却管と、を備え、
前記熱交換部は、前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却すると共に、前記出口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記出口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却するものであり、
前記折り返し水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記折り返し水室に供給可能とし、
逆洗時には、前記折り返し水室に供給される前記工水により前記入口冷却管および前記入口水室を逆洗することを特徴とする請求項1又は2記載の流体冷却器用逆洗設備。
【請求項4】
一端が前記入口水室に開口すると共に他端が出口水室に開口し、前記入口水室に導入された海水を前記出口水室へ移動させる前記入口冷却管を備え、
前記熱交換部は、前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却するものであり、
前記出口水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記出口水室に供給可能とし、
逆洗時には、前記出口水室に供給される前記工水により前記入口冷却管および前記入口水室を逆洗することを特徴とする請求項1又は2記載の流体冷却器用逆洗設備。
【請求項5】
前記熱交換部は、少なくとも前記入口冷却管を貫通するように設けられた中空の胴体を備え、前記胴体の周壁に、前記被冷却流体を前記胴体内に流入する被冷却流体入口管と、前記被冷却流体を前記胴体内から流出する被冷却流体出口管と、を接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の流体冷却器用逆洗設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復水等の被冷却流体を海水によって冷却する流体冷却器に用いられる逆洗設備に関し、特に海水を導入する入口水室とこの入口水室から他の水室へ海水を移動させる入口冷却管とを逆洗可能にする流体冷却器用逆洗設備に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機を冷却する水素ガスを復水によって冷却する復水冷却方式を採用しているプラントにおいては、復水を効果的に冷却するために、復水冷却器を用いて復水を海水と熱交換するようにしている(非特許文献1参照)。
【0003】
このような復水冷却器は、例えば、図10(a)に示されるような2パス型の冷却器が用いられ、胴体2の一端に設けられたヘッダ3に、左右に分けられた入口水室5と出口水室6を設け、胴体2の他端に設けられたヘッダ4に、折り返し水室7を設け、入口水室5に海水入口管11を下方から接続し、出口水室6に海水出口管12を下方から接続し、海水入口管11を介して入口水室5に導入された海水を、胴体2の内部を貫通する入口冷却管8を介して折り返し水室7へ導き、折り返し水室7に導入された海水を胴体2の内部を貫通する出口冷却管9を介して出口水室6へ導き、しかる後に海水出口管12から排出させるようにしている。
また、胴体2には、復水を流入する復水入口管13と、復水を流出する復水出口管14とを接続し、復水入口管13を介して胴体内に流入された復水を、冷却管(入口冷却管8および出口冷却管9)内を流れる海水と熱交換させて冷却し、復水出口管14を介して胴体2から流出されるようにしている。
【0004】
このような復水冷却器においては、入口冷却管8が貝類等の異物で閉塞されると、入口冷却管8の海水の流通が悪くなり、復水を効果的に冷却することができなくなる。このため、復水と熱交換している発電機の水素ガスの温度が上昇し、発電機を十分に冷却することができなくなる不都合が生じる。
【0005】
そこで、入口冷却管8の閉塞に起因する復水温度の上昇に対処するために、図10(b)に示すように、折り返し水室7を画成するヘッダ4に、工水供給管17を接続し、また、ヘッダ3の海水入口管11との接続部分より上方であって、入口水室5の略中央に臨む位置に設けられた入口水室蓋34を外して抜出配管50を接続し、海水入口管11を開閉する入口弁15と海水出口管12を開閉する出口弁16を閉とし、抜出配管50を開閉する抜出弁51を開とし、その上で工水供給管17を開閉する工水供給弁18を開として工水ヘッダ19からポンプ20によって圧送された工水(逆洗水)を折り返し水室7に供給し、しかる後に入口冷却管8を通して入口水室5へ供給することで逆洗を可能としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「中国電力株式会社水島火力発電所納 第一号機125,000kW発電設備性能試験結果について」,u.D.C.る21.311.22.001.42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、逆洗水(工水)は、入口冷却管8を介して入口水室5に導かれた後に、入口水室5の略中央に臨む位置から抜出配管50を介して抜出されるため、逆洗時には入口水室5の下半分ほどが逆洗水で満たされた状態となり、入口水室に流れ込む逆洗水の流れに勢いがつかず、特に、入口水室5の下部に堆積している異物や入口水室5の下部に接続されている入口冷却管8に詰まっている異物が残留されやすいものであった。逆洗によって異物の除去が不十分である場合には、発電機の出力を抑制するなどして、冷却管の清掃を人的に行う必要がある。
【0008】
このような海水中の異物が冷却管に詰まることによる熱交換能力の低下は、貝類が多量に発生する時期においては頻繁に生じることが想定されるため、逆洗性能を向上させ、逆洗のみで入口冷却管の閉塞状態を効果的に解消することが要請されている。
【0009】
また、このような海水中の異物による熱交換能力の低下は、上述した2パス型の復水冷却器のみならず、1パス型の復水冷却器においても生じ得る事象であり、また、復水冷却器のみならず、海水を利用して被冷却流体を冷却する他の熱交換器(例えば、海水で水蒸気を冷却して凝縮させる復水器)においても生じ得る事象である。
【0010】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、海水を冷却媒体として用いる流体冷却器において、逆洗時における入口冷却管および冷却水室の逆洗効果を高めることが可能な流体冷却器用逆洗設備を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明に係る流体冷却器用逆洗設備は、海水入口管を介して海水を導入する入口水室と、この入口水室に導入された海水を他の水室へ移動させる入口冷却管と、を有し、
少なくとも前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却する熱交換部を備えた流体冷却器に用いられ、
前記海水入口管を介して前記入口水室に導入される海水を止めて、下流側から供給される逆洗水により、前記入口冷却管、及び、前記入口水室を逆洗可能とする流体冷却器用逆洗設備において、
前記他の水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記他の水室に供給可能とし、
前記入口冷却管よりも海水導入側であって、前記入口冷却管よりも下方となる位置に抜出弁により開閉可能な抜出配管を設け、逆洗時に前記工水供給弁および前記抜出弁を開成して前記入口冷却管から前記入口水室に流入する逆洗水を、落下させた後に前記抜出配管を介して排出させることを特徴としている。
【0012】
したがって、抜出配管は入口冷却管よりも下方となる位置に設けられているので、入口水室は逆洗時において逆洗水で満たされることがなくなり、入口冷却管より下流側から供給される逆洗水は、入口冷却管から入口水室へ流入されると、下方へ落下した後に抜出配管を介して排出されるので、逆洗水の供給圧力と逆洗水を落下させることによる流動促進作用によって入口冷却管から入口水室に流入される逆洗水の勢いが強くなり、入口冷却管に詰まっていた異物や入口水室に溜まっていた異物を(入口水室の下部に接続されている入口冷却管や入口水室の下部に蓄積していた異物についても)、効果的に除去することが可能となる。
【0013】
ここで、海水入口管が入口水室に下方から接続される場合には、抜出配管は、海水入口管の入口水室の下方となる部位(例えば、海水入口管が立ち上がるエルボ部)に接続されるとよい。また、抜出配管は、入口水室の下端部に直接接続するようにしてもよい。
【0014】
流体冷却器としては、2パス型の冷却器であっても、1パス型の冷却器であってもよく、2パス型の流体冷却器であれば、
一端が前記入口水室に開口すると共に他端が折り返し水室に開口し、前記入口水室に導入された海水を前記折り返し水室へ移動させる前記入口冷却管と、一端が前記折り返し水室に開口すると共に他端が出口水室に開口し、前記折り返し水室に導入された海水を前記出口水室へ移動させる出口冷却管と、を備え、
前記熱交換部は、前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却すると共に、前記出口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記出口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却するものであり、
前記折り返し水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記折り返し水室に供給可能とし、
逆洗時には、前記折り返し水室に供給される前記工水により前記入口冷却管および前記入口水室を逆洗させるとよい。
【0015】
また、1パス型の流体冷却器であれば、
一端が前記入口水室に開口すると共に他端が出口水室に開口し、前記入口水室に導入された海水を前記出口水室へ移動させる前記入口冷却管を備え、
前記熱交換部は、前記入口冷却管内を流れる海水との熱交換により前記入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却するものであり、
前記出口水室に工水供給弁により開閉される工水供給管を接続し、前記工水供給弁を開成することでポンプによって圧送された工水を前記出口水室に供給可能とし、
逆洗時には、前記出口水室に供給される前記工水により前記入口冷却管および前記入口水室を逆洗させるとよい。
【0016】
なお、流体冷却器の熱交換部は、冷却管の周囲を特に覆うことなく冷却管内の海水と冷却管の周囲を流動する被冷却流体とを熱交換させるものであっても、少なくとも入口冷却管を貫通する中空の胴体を設け、この胴体の周壁に、被冷却流体を胴体内に流入する被冷却流体入口管と、被冷却流体を胴体内から流出する被冷却流体出口管と、を接続して構成し、胴体内に流入された被冷却流体を海水と熱交換させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、海水入口管を介して海水を導入する入口水室と、この入口水室に導入された海水を他の水室へ移動させる入口冷却管を有し、入口冷却管内を流れる海水との熱交換により該入口冷却管の周囲を流れる被冷却流体を冷却する熱交換部を備えた流体冷却器を逆洗する設備において、入口冷却管よりも海水導入側で、且つ、入口冷却管よりも下方となる位置に、抜出弁により開閉可能な抜出配管を設け、逆洗時に抜出弁を開成して入口冷却管から入口水室に流入する逆洗水を、落下させた後に抜出配管を介して排出させるようにしたので、入口冷却管より下流側から供給される逆洗水は、入口冷却管を通過した後に入口水室に滞留することなく速やかに抜出されることが可能となり、また、逆洗水の供給圧力と逆洗水を落下させることによる流動促進作用との相乗効果によって、入口冷却管や入口水室を流れる逆洗水の勢いを強めることが可能となる。このため、入口冷却管に詰まっていた異物や入口水室に溜まっていた異物を効果的に除去することができ、入口冷却管および冷却水室の逆洗効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係る流体冷却器として2パス型の復水冷却器を用いた場合の逆洗設備を示す図である。
図2図2は、図1の復水冷却器の具体的構成例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は(a)のA-A線で切断した断面図である。
図3図3(a)は、図2の復水冷却器において、B-B線から軸方向に見た図であり、図3(b)は、図2の復水冷却器において、C―C線から軸方向に見た図(前部管板を軸方向から見た図)である。
図4図4(a)は、図2の復水冷却器において、D-D線から軸方向に見た図であり、図4(b)は、図2の復水冷却器において、E―E線から軸方向に見た図(後部管板を軸方向から見た図)である。
図5図5(a)は、図1の復水冷却器用逆洗設備において、復水冷却運転時の海水の流れと復水の流れを示す図であり、図5(b)は、図1の復水冷却器用逆洗設備において、逆洗時の逆洗水(工水)の流れと復水の流れを示す図である。
図6図6は、本発明に係る流体冷却器として1パス型の復水冷却器を用いた場合の逆洗設備を示す図である。
図7図7(a)は、図6の復水冷却器用逆洗設備において、復水冷却運転時の海水の流れと復水の流れを示す図であり、図7(b)は、図6の復水冷却器用逆洗設備において、逆洗時の逆洗水(工水)の流れと復水の流れを示す図である。
図8図8は、流体冷却器において海水入口管と海水出口管を入口水室より上方に配置した例を示す図である。
図9図9は、本発明に係る流体冷却器として、復水器を用いた場合の逆洗設備を示す図であり、(a)は、2パス型の復水器を用いた場合を示す図であり、(b)は、1パス型の復水器を用いた場合を示す図である。
図10図10は、2パス型の復水冷却器を用いた従来の設備を説明する図であり、(a)は、復水冷却器を軸方向から見た図と復水冷却運転時の海水の流れと復水の流れを示す図であり、(b)は、逆洗時の逆洗水(工水)の流れと復水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至4において、流体冷却器1として2パス型の復水冷却器100が示されている。
この復水冷却器100は、中空の胴体2と、この胴体の両端にヘッダ3,4を備えているもので、一方のヘッダ3に入口水室5と出口水室6が並設され、他方のヘッダ4に折り返す水室7が設けられている。また、胴体2内には、入口水室5と折り返し水室7とを連通する入口冷却管8と、折り返し水室7と出口水室6とを連通する出口冷却管9とが配置されている。
【0021】
一方のヘッダ3は、胴体2の一方の開口端を閉塞するように設けられた前部管板31と、この前部管板31を覆うように組付けられた前部ヘッダカバー32とによって構成され、前部ヘッダカバー32の内側に左右を分けるように仕切壁33を一体に形成し、この仕切壁33を前部管板31の中央部に上下に渡すように設けられた分離壁31cに気密に当接させることで、内部が入口水室5と出口水室6に分けられている。
【0022】
他方のヘッダ4は、胴体2の他方の開口端を閉塞するように設けられた後部管板41と、この後部管板41を覆うように組付けられた後部ヘッダカバー42とによって構成され、内部は特に隔てられることなく折り返し水室7に画成されている。
【0023】
胴体2は、前記冷却管(入口冷却管8,出口冷却管9)と共に海水と復水とを熱交換する熱交換部10を構成しているもので、前部管板31から後部管板41の近傍にかけて軸方向に延びる中央仕切板21により、内部が、軸方向に延びる復水往路22と、この復水往路22に後部管板41の手前で連通する軸方向に延びる復水復路23と、に分けられている。
【0024】
復水復路23には、一端が前部管板31に形成された通孔31aに挿着固定されて入口水室5に開口し、他端が後部管板41に形成された通孔41aに挿着固定されて折り返し水室7に開口する前記入口冷却管8が軸方向に貫通されている。この入口冷却管8は、管板(前部管板31と後部管板41)のそれぞれに設けられた多数の通孔31a,41aのそれぞれに取り付けられ(図2(b)では、説明の便宜上1本のみが記載されている)、胴体2の内側に軸方向で所定の間隔に配置された複数の支持板26,27によって支持されている。この複数の支持板26,27は、入口冷却管8に対して略垂直となるように設けられ、復水復路23に千鳥配置されて復水復路23を流れる復水をジグザグに流すようにしている。
【0025】
復水往路22には、一端が後部管板41に形成された通孔41bに挿着固定されて折り返し水室7に開口し、他端が前部管板31に形成された通孔31bに挿着固定されて出口水室6に開口する出口冷却管9が軸方向に貫通されている。この出口冷却管9は、管板(前部管板31と後部管板41)のそれぞれに設けられた多数の通孔31a,41aのそれぞれに取り付けられ(図2(b)では、説明の便宜上1本のみが記載されている)、胴体2の内側に軸方向で所定の間隔に配置された複数の支持板27,28によって支持されている。この複数の支持板27,28は、出口冷却管9に対して略垂直となるように設けられ、復水往路22に千鳥配置されて復水往路22を流れる復水をジグザグに流すようにしている。
【0026】
前部ヘッダカバー32には、入口水室5に臨む前端部のほぼ中央に入口水室蓋34が脱着可能に設けられ、また、出口水室6に臨む前端部のほぼ中央に出口水室蓋35が脱着可能に設けられている。
また、後部ヘッダカバー42には、折り返し水室7に臨む後端部のほぼ中央に後部水室蓋43が着脱可能に設けられている。
【0027】
前部ヘッダカバー32の前記入口水室蓋34の下方には、海水入口部36が下方に開口するように設けられ、この海水入口部36に、下方から立ち上がる海水入口管11が接続されている。また、前部ヘッダカバー32の前記出口水室蓋35の下方には、海水出口部37が下方に開口するように設けられ、この海水出口部37に、下方から立ち上がる海水出口管12が接続されている。
【0028】
前記胴体2の復水往路側の出口水室6に近い側面下部には、復水入口部24が下方に開口するように設けられ、この復水入口部24に、下方から立ち上がる復水入口管13が接続されている。また、胴体の2復水復路側の入口水室5に近い側面下部には、復水出口部25が下方に開口するように設けられ、この復水出口部25に、下方から立ち上がる復水出口管14が接続されている。
【0029】
このような復水冷却器100において、海水入口管11の途中には、この管路を開閉する入口弁15が設けられ、海水出口管12の途中には、この管路を開閉する出口弁16が設けられている。また、折り返し水室7には、後部水室蓋43を外して工水供給管17を接続できるようになっている。この工水供給管17は、復水冷却器100を逆洗する際に折り返す水室7(後部ヘッダカバー42)に接続するようにしても、常時接続するようにしてもよく、この工水供給管17を開閉する工水供給弁18を開成することで、工水ヘッダ19からポンプ20によって圧送された工水を折り返し水室7に供給可能となっている。
【0030】
そして、以上の構成において、入口冷却管よりも海水導入側であって、入口冷却管8よりも下方となる位置に抜出弁により開閉可能な抜出配管が設けられている。この例では、海水入口管11の入口水室5の下方となる部位であって、立ち上がり途中の部位(例えば、海水入口管11が入口水室5より下側で海水入口部36に接続され、入口水室の下方に位置する海水入口管11の立ち上がり途中のエルボ部11a)に、抜出配管50が接続されている。この抜出配管50は、抜出弁51により開閉され、通常の熱交換時には閉成し、工水を下流側から供給する逆洗時には、開成して入口水室5から海水入口管11を逆流する工水を、海水入口部36との接続部付近に設けられたエルボ部11aから抜出配管50を介して抜出するようにしている。
【0031】
以上の構成において、復水を海水と熱交換させて冷却する運転時には、図5(a)に示されるように、入口弁15と出口弁16を開とし、抜出弁51を閉とし、工水供給管17を接続している場合には、工水供給弁18を閉とする。
これにより、海水入口管11を介して入口水室5に導入された海水は、入口冷却管8を通って折り返し水室7に導かれ、その後、出口冷却管9を通って出口水室6に導かれ、しかる後に海水出口管12から排出される。復水は、復水入口管13から復水入口部24を介して胴体2の復水往路22に常時流入し、復水復路23から復水出口部25を介して復水出口管14へ流出されるので、胴体2に流入された復水は、復水往路22を流れる際に出口冷却管9内を流れる海水によって冷却され、また、復水復路23を流れる際に入口冷却管8内を流れる海水によって冷却される。
【0032】
この復水の冷却は、海水が冷却管をスムーズに流れていれば所定の冷却状態は得られるが、海水中の貝類等の異物が入口冷却管8に詰まり、入口冷却管8の海水の流れが悪くなると、復水を十分に冷却することができなくなる。
そこで、図5(b)に示すように、入口弁15と出口弁16を閉とし、抜出弁51を開にすると共に工水供給弁18を開にする(工水供給管17が後部ヘッダカバー42(折り返し水室7)に接続されていなければ、接続した上で工水供給弁18を開にする)。
【0033】
すると、工水ヘッダ19から所定の水圧で工水が折り返し水室7に供給され、その後、工水は、折り返し水室7から入口冷却管8を通って入口水室5へ送られ、入口水室5から海水入口部36を介して海水入口管11に入り、その後、エルボ部11aに接続された抜出配管50から抜出される。
【0034】
抜出配管50は、入口水室5の下方の部分(入口冷却管8より下方の部分)に接続されているので、逆洗時には入口水室5に逆洗水(工水)が溜まることなく排出され、また、入口冷却管8から入口水室5に流れ込んだ逆洗水(工水)は、入口水室5内を落下し、さらに、この例では海水入口部36が入口水室から下方へ向けて開口して海水入口管に接続されているので、海水入口部36を介して海水入口管11内をさらに落下するように流れ、その後、海水入口管11のエルボ部11aから勢いをつけたまま抜出配管50から排出されるので、ポンプ20による逆洗水(工水)の送出圧力に加え、逆洗水を落下させることにより逆洗水の流動が促進され、入口冷却管や入口水室を流れる逆洗水(工水)の流れの勢いが強くなるので、入口冷却管に詰まった異物や入口水室に残留する異物を、入口水室の下部に設けられた海水入口部36から海水入口管11へ押し出し、抜出配管50を介して排出させることが可能となる。しかも抜出配管50は、海水入口管11の立ち上がり途中のエルボ部11aに接続されているので、逆洗水の供給圧力と逆洗水を落下させることによる流動促進作用との相乗効果で勢いを増した工水をそのまま抜出配管から排出させることが可能となるので、効果的に異物を外部へ排出させることが可能となる。
【0035】
なお、上述の例では、逆洗時に出口弁16を閉として工水を入口冷却管8のみに流す例を示したが、復水の冷却能力を損なわないようにするために、逆洗時に出口弁16も開とし、工水を、入口冷却管8を通して入口水室5に供給すると共に、出口冷却管9を通して出口水室6へ供給した後に海水出口管12から排出させるようにしてもよい。
このようにすれば、復水往路22と復水復路23の両方で復水を冷却しつつ、入口冷却管8と入口水室5の逆洗も可能となる。
【0036】
以上の例は、流体冷却器1として2パス型の復水冷却器100の例を示したが、1パス型の復水冷却器200においても、抜出配管50を同様に設けて逆洗するようにしてもよい。
【0037】
図6に1パス型の復水冷却器200の例が示され、この復水冷却器200は、中空の胴体2と、この胴体の両端にヘッダ3,4を備えているもので、一方のヘッダ3に入口水室5が設けられ、他方のヘッダ4に出口水室6が設けられている。また、胴体2内には、入口水室5と出口水室6とを連通する入口冷却管8が配置されている。
【0038】
一方のヘッダ3は、胴体2の一方の開口端を閉塞するように設けられた前部管板31と、この前部管板31を覆うように組付けられる前部ヘッダカバー32とによって構成され、内部が特に隔てられることなく入口水室5に画成されている。
【0039】
他方のヘッダ4は、胴体2の他方の開口端を閉塞するように設けられた後部管板41と、この後部管板41を覆うように組付けられた後部ヘッダカバー42とによって構成され、内部が特に隔てられることなく出口水室6に画成されている。
【0040】
胴体2は、入口冷却管8と共に海水と復水とを熱交換する熱交換部10を構成しているもので、前部管板31から後部管板41の近傍にかけて軸方向に延びる中央仕切板21により、内部が軸方向に延びる復水往路22と、この復水往路22に後部管板41の手前で連通する軸方向に延びる復水復路23とに分けられている。
【0041】
復水往路22と復水復路23には、一端が前部管板31に形成された通孔31aに挿着固定されて入口水室5に開口し、他端が後部管板41に形成された通孔41aに挿着固定されて出口水室6に開口する入口冷却管8が軸方向に貫通されている。
【0042】
前部ヘッダカバー32の下部には、海水入口部36が下方に開口するように設けられ、この海水入口部36に下方から立ち上がる海水入口管11が接続されている。また、後部ヘッダカバー42の下部には、海水出口部37が下方に開口するように設けられ、この海水出口部37には、下方から立ち上がる海水出口管12が接続されている。後部ヘッダカバー42には、出口水室6に臨む後端部のほぼ中央に後部水室蓋43が着脱可能に設けられている。
【0043】
前記胴体2の復水往路側の入口水室5に近い一方の側面下部には、復水入口部24が下方に開口するように設けられ、この復水入口部24には、下方から立ち上がる復水入口管13が接続されている。また、胴体2の復水復路側の入口水室5に近い他方の側面下部には、復水出口部25が下方に開口するように設けられ、この復水出口部25には、下方から立ち上がる復水出口管14が接続されている。
【0044】
そして、以上の構成において、海水入口管11の入口水室5の下方となる部位であって、立ち上がり途中の部位(この例では、海水入口管11が入口水室5より下側で海水入口部36に接続され、入口水室の下方に位置する海水入口管11の立ち上がり途中のエルボ部11a)には、図3(a)と同様に、抜出配管50が接続されている。この抜出配管50は、抜出弁51により開閉され、通常の熱交換時には閉成し、工水を下流側から供給する逆洗時には、開成して入口水室5から海水入口管11を逆流する工水を、海水入口部36との接続部付近に設けられたエルボ部11aから抜出配管50を介して抜出するようにしている。
【0045】
このような構成において、復水を海水と熱交換させて冷却する運転時には、図7(a)に示されるように、入口弁15と出口弁16を開とし、抜出弁51を閉とし、工水供給管17を接続している場合には、工水供給弁18を閉とする。
これにより、海水入口管11を介して入口水室5に導入された海水は、入口冷却管8を通って出口水室6に導かれ、しかる後に海水出口管12から排出される。復水は、復水入口管13から復水入口部24を介して胴体2の復水往路22に常時流入し、復水復路23から復水出口部25を介して復水出口管14へ流出されるので、胴体2に流入された復水は、復水往路22を流れる際と復水復路23を流れる際に入口冷却管8内を通る海水によって冷却される。
【0046】
次に逆洗時においては、図7(b)に示すように、入口弁15と出口弁16を閉とし、抜出弁51を開にすると共に工水供給弁18を開にする(工水供給管17が後部ヘッダカバー42(出口水室6)に接続されていなければ、接続した上で工水供給弁18を開にする)。
【0047】
すると、工水ヘッダ19から所定の水圧で工水が出口水室6に供給され、その後、工水は、入口冷却管8を通って入口水室5へ送られ、この入口水室5から海水入口部36を介して海水入口管11を逆流し、この海水入口管11の途中(エルボ部11a)から抜出配管50を介して抜出される。
【0048】
抜出配管50は、入口水室5の下方の部分(入口冷却管8より下方の部分)に接続されているので、逆洗時には入口水室5に逆洗水(工水)が溜まることなく排出され、また、入口冷却管8から入口水室5に流れ込んだ逆洗水(工水)は、入口水室5内を落下し、さらに、海水入口部36を介して海水入口管11内をさらに落下するように流れ、その後、海水入口管11のエルボ部11aから勢いをつけたまま抜出配管50から排出されるので、ポンプ20による逆洗水(工水)の送出圧力に加え、逆洗水を落下させることにより逆洗水の流動が促進される。このため、入口冷却管や入口水室を流れる逆洗水(工水)の流れの勢いが強くなるので、入口冷却管に詰まった異物や入口水室に残留する異物を、入口水室の下部に設けられた海水入口部36から海水入口管11へ押し出し、抜出配管50を介して排出させることが可能となる。しかも抜出配管50は、海水入口管11の立ち上がり途中のエルボ部11aに接続されているので、逆洗水の供給圧力と逆洗水を落下させることによる流動促進作用との相乗効果で勢いを増した工水をそのまま抜出配管から排出させることが可能となるので、効果的に異物を外部へ排出させることが可能となる。
【0049】
以上までの例では、抜出配管50を海水入口管11に接続した例を示したが、逆洗時に入口冷却管8から入口水室5に流入される逆洗水が入口水室5に溜まることなく排出され、また、入口冷却管8から入口水室5に流入する逆洗水を、落下させた後に抜出配管50を介して排出させることができるように、抜出配管50を入口冷却管より下方となる位置、例えば、入口水室5の下端部に接続するようにしてもよい。
【0050】
また、以上までの例では、海水入口管と海水出口管を入口水室の下方に配置し、入口水室(海水入口部36、海水出口部37)に下方から接続した例を示したが、図8に示すように、入口水室5から上方に向けて開口する海水入口部36に海水入口管11を上方から接続し、出口水室6から上方へ向けて開口する海水出口部37に海水出口管12を上方から接続する流体冷却器においては、入口水室5の下端部に抜出配管を接続して、同様の作用効果を得るようにしてもよい。
【0051】
さらに、以上においては、流体冷却器1として復水を冷却する復水冷却器100,200の例を示したが、海水を冷媒とし、入口水室5に導入された海水を入口冷却管8を介して他の水室へ導く冷却器であれば、同様の構成を採用することが可能である。
例えば、図9に示されるように、熱交換部に胴体2を設けず、冷却管内を流れる海水との熱交換により該冷却管の周囲を流れる蒸気を冷却する2パス型の復水器300(図9(a))や1パス型の復水器400(図9(b))においても、前記構成例と同様に、入口冷却管よりも海水導入側であって、入口冷却管8よりも下方となる位置(例えば、海水入口管11の入口水室5の下方となる部位であって、立ち上がり途中の部位)に、抜出配管50を接続し、この抜出配管50を、抜出弁51により開閉させ、逆洗時に、抜出弁51を開として、入口冷却管8を介して入口水室5に導かれる逆洗水(工水)を落下させた後に抜出配管50を介して抜出させるようにしてもよい。
【0052】
なお、他の構成は、前記復水冷却器と同様の構成であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
このような構成においても、図1図6で示す復水冷却器の逆洗と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 流体冷却器
11 海水入口管
11a エルボ部
5 入口水室
6 出口水室
7 折り返し水室
8 入口冷却管
10 熱交換部
50 抜出配管
51 抜出弁
100、200 復水冷却器
300、400 復水器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10