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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】スイッチシステム及びスイッチ
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
G05B9/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021040144
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139660
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 実
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-172461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314231(US,A1)
【文献】特開2019-192244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、複数のスイッチと、前記コントローラと前記複数のスイッチとを環状に接続する信号線と、を備え、前記コントローラから前記複数のスイッチのうちの一つである第1のスイッチに対して送信される信号が前記複数のスイッチを順に経由し、前記複数のスイッチのうちの一つである第2のスイッチから前記コントローラに戻されるスイッチシステムであって、
前記複数のスイッチのそれぞれは、作動体と、前記作動体の近接を検知する検知部と、前記信号線を介して前記信号を受信する受信部と、前記作動体が前記検知部に近接しているか否かを示す近接情報を前記信号に含ませる制御部と、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信する送信部とを有し、
前記コントローラが前記第2のスイッチから受信する前記信号は、前記複数のスイッチのそれぞれの前記近接情報を含み、
前記複数のスイッチの前記制御部は、前記信号に所定パターンが含まれているか否かを判定し、前記信号に前記所定パターンが含まれている場合、第1モードを選択し、前記信号に前記所定パターンが含まれていない場合、第2モードを選択し、
前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記近接情報を前記信号に含ませ、前記送信部は、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記制御部は、前記信号を前記第1状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第1状態である前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が前記第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記制御部は、前記信号を第2状態に変更し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が前記第2状態である場合、前記制御部は、前記信号を前記第2状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信する
スイッチシステム。
【請求項2】
前記信号における前記複数のそれぞれのスイッチに対応する部分に前記複数のスイッチのそれぞれの前記近接情報が含まれている
請求項1に記載のスイッチシステム。
【請求項3】
前記信号は、第1の値及び第2の値を有し、
前記複数のスイッチの前記制御部は、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記信号における前記複数のスイッチのそれぞれに対応する部分を前記第1の値とし、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記信号における前記複数のスイッチのそれぞれに対応する部分を前記第2の値とする
請求項2に記載のスイッチシステム。
【請求項4】
前記第1の値がHighレベルであり、
前記第2の値がLowレベルである
請求項3に記載のスイッチシステム。
【請求項5】
前記第1の値がLowレベルであり、
前記第2の値がHighレベルである
請求項3に記載のスイッチシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1のスイッチに対して送信する前記信号に前記スイッチの状態を示すステータス情報を要求するための要求情報を含ませ、
前記複数のスイッチの前記制御部は、前記信号に含まれる前記要求情報に基づいて前記ステータス情報が要求されているか否かを判定し、前記ステータス情報が要求されている場合、前記ステータス情報を前記信号に含ませ、
前記コントローラが前記第2のスイッチから受信する前記信号は、前記複数のスイッチの少なくとも一つの前記ステータス情報を含む
請求項1から5の何れか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項7】
前記第1状態がオン状態であり、
前記第2状態がオフ状態である
請求項1から6の何れか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項8】
前記第1状態がオフ状態であり、
前記第2状態がオン状態である
請求項1から6の何れか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含む前記信号を送信する前に、前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含まない前記信号を送信する
請求項からの何れか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項10】
前記信号線は、第1の信号線及び第2の信号線を有し、
前記コントローラは、前記第1の信号線を介して前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含む前記信号を送信し、前記第2の信号線を介して前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含まない前記信号を送信し、
前記複数のスイッチの前記送信部は、前記第1の信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、前記第2の信号線を介して前記第1状態又は前記第2状態である前記信号を送信する
請求項からの何れか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載のスイッチシステムにおける前記複数のスイッチの一つであって、
前記信号線により前記コントローラに接続されている
スイッチ。
【請求項12】
請求項1から10の何れか一項に記載のスイッチシステムにおける複数のスイッチの一つであって、
前記信号線により前記複数のスイッチのうちの他の二つに接続されている
スイッチ。
【請求項13】
コントローラと複数のスイッチとを環状に接続する信号線を介して、前記コントローラから前記複数のスイッチのうちの一つに対して送信される信号が前記複数のスイッチを順に経由し、前記複数のスイッチのうちの一つから前記コントローラに戻されるスイッチシステムにおけるスイッチであって、
作動体と、
前記作動体の近接を検知する検知部と、
前記信号線を介して前記信号を受信する受信部と、
前記信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する制御部と、
前記信号線を介して前記信号を送信する送信部と、
を備え、
前記制御部は、前記信号に前記所定パターンが含まれている場合、第1モードを選択し、前記信号に所定パターンが含まれていない場合、第2モードを選択し、
前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記作動体が前記検知部に近接しているか否かを示す近接情報を前記信号に含ませ、前記送信部は、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記制御部は、前記信号を前記第1状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第1状態である前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が前記第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記制御部は、前記信号を第2状態に変更し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信し、
前記第2モードにおいて、前記信号が前記第2状態である場合、前記制御部は、前記信号を前記第2状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信する
スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチシステム及びスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
コントローラと複数のスイッチとを接続する方法として、コントローラに複数のスイッチを直列に接続する方法がある。例えば特許文献1には、高機能ユニットに複数の非接触ドアスイッチを直列に接続することが開示されている。例えば特許文献1の非接触ドアスイッチでは、ドアの固定枠側に取り付けられたセンサ部が、開閉されるドア側に取り付けられた作動体の離隔近接、すなわち、ドアの開閉を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4736793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、全ての非接触ドアスイッチのセンサ部が作動体の近接を検知している場合、高機能ユニットに所定パターンの信号が入力され、いずれかの非接触ドアスイッチのセンサ部が作動体の近接を検知していない場合、高機能ユニットに所定パターンの信号が入力されない。そのため、非接触ドアスイッチをドアに取り付けた場合、全てのドアが閉じられているか否かを判定することができるが、ドアごとの開閉状態を個別に判定することはできない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、各スイッチの作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るスイッチシステムは、コントローラと、複数のスイッチと、前記コントローラと前記複数のスイッチとを環状に接続する信号線と、を備え、前記コントローラから前記複数のスイッチのうちの一つである第1のスイッチに対して送信される信号が前記複数のスイッチを順に経由し、前記複数のスイッチのうちの一つである第2のスイッチから前記コントローラに戻されるスイッチシステムであって、前記複数のスイッチのそれぞれは、作動体と、前記作動体の近接を検知する検知部と、前記信号線を介して前記信号を受信する受信部と、前記作動体が前記検知部に近接しているか否かを示す近接情報を前記信号に含ませる制御部と、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信する送信部とを有し、前記コントローラが前記第2のスイッチから受信する前記信号は、前記複数のスイッチのそれぞれの前記近接情報を含む。
【0007】
コントローラが受信する信号には、複数のスイッチのそれぞれの作動体が検知部に近接しているか否かを示す近接情報が含まれている。コントローラは、受信した信号を解析することで、複数のスイッチのそれぞれについて、作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することができる。複数のドアに複数のスイッチのそれぞれを取り付けることで、コントローラは、各ドアの開閉状態を個別に判定することができる。
【0008】
前記信号における前記複数のそれぞれのスイッチの対応する部分に前記複数のスイッチのそれぞれの前記近接情報が含まれてもよい。コントローラは、受信した信号における複
数のスイッチのそれぞれに対応する部分を解析することで、複数のスイッチのそれぞれについて、作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することができる。
【0009】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記信号は、第1の値及び第2の値を有し、前記複数のスイッチの前記制御部は、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記信号における前記複数のスイッチのそれぞれに対応する部分を前記第1の値とし、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記信号における前記複数のスイッチのそれぞれに対応する部分を前記第2の値としてもよい。コントローラは、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分が第1の値である場合、作動体が検知部に近接していると判定する。コントローラは、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分が第2の値である場合、作動体が検知部に近接していないと判定する。
【0010】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記第1の値がHighレベルであり、前記第2の値がLowレベルであってもよい。コントローラは、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分がHighレベルである場合、作動体が検知部に近接していると判定し、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分がLowレベルである場合、作動体が検知部に近接していないと判定する。前記第1の値がLowレベルであり、前記第2の値がHighレベルであってもよい。コントローラは、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分がLowレベルである場合、作動体が検知部に近接していると判定する。コントローラは、受信した信号における複数のスイッチのそれぞれに対応する部分がHighレベルである場合、作動体が検知部に近接していないと判定する。
【0011】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記コントローラは、前記第1のスイッチに対して送信する前記信号に前記スイッチの状態を示すステータス情報を要求するための要求情報を含ませ、前記複数のスイッチの前記制御部は、前記信号に含まれる前記要求情報に基づいて前記ステータス情報が要求されているか否かを判定し、前記ステータス情報が要求されている場合、前記ステータス情報を前記信号に含ませ、前記コントローラが前記第2のスイッチから受信する前記信号は、前記複数のスイッチの少なくとも一つの前記ステータス情報を含んでもよい。コントローラは、受信した信号を解析することで、複数のスイッチの少なくとも一つのステータス情報を取得することができる。
【0012】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記複数のスイッチの前記制御部は、前記信号に所定パターンが含まれているか否かを判定し、前記信号に前記所定パターンが含まれている場合、第1モードを選択し、前記信号に前記所定パターンが含まれていない場合、第2モードを選択し、前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記近接情報を前記信号に含ませ、前記送信部は、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記制御部は、前記信号を前記第1状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第1状態である前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が前記第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記制御部は、前記信号を第2状態に変更し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が前記第2状態である場合、前記制御部は、前記信号を前記第2状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信してもよい。コントローラは、受信した信号を解析することで、複数のスイッチのそれぞれについて、作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することができる。また、コントローラは、受信した信号を解析することで、全てのスイッチの作動体が検知部に近接していること、又は、複数のスイッチの少なくとも一つの作動体が検知部に近接していないこと、を判定することができる。
【0013】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記第1状態がオン状態であり、前記第2状態がオフ状態であってもよい。本開示に係るスイッチシステムであって、前記第1状態がオフ状態であり、前記第2状態がオン状態であってもよい。本開示に係るスイッチシステムであって、前記コントローラは、前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含む前記信号を送信する前に、前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含まない前記信号を送信してもよい。最初に、コントローラは、第1のスイッチに対して所定パターンを含まない信号を送信し、第2のスイッチから第1状態又は第2状態である信号を受信する。コントローラは、第1状態又は第2状態である信号を解析することで、全てのスイッチの作動体が検知部に近接しているか否かを判定することができる。次いで、コントローラは、第1のスイッチに対して所定パターンを含む信号を送信し、第2のスイッチから近接情報を含む信号を受信する。コントローラは、近接情報を含む信号を解析することで、複数のスイッチのそれぞれについて、作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することができる。
【0014】
本開示に係るスイッチシステムであって、前記信号線は、第1の信号線及び第2の信号線を有し、前記コントローラは、前記第1の信号線を介して前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含む前記信号を送信し、前記第2の信号線を介して前記第1のスイッチに対して前記所定パターンを含まない前記信号を送信し、前記複数のスイッチの前記送信部は、前記第1の信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、前記第2の信号線を介して前記第1状態又は前記第2状態である前記信号を送信してもよい。本開示に係るスイッチは、スイッチシステムにおける前記複数のスイッチの一つであって、前記信号線により前記コントローラに接続されているスイッチであってもよい。本開示に係るスイッチは、スイッチシステムにおける複数のスイッチの一つであって、前記信号線により前記複数のスイッチのうちの他の二つに接続されているスイッチであってもよい。
【0015】
本開示に係るスイッチは、コントローラと複数のスイッチとを環状に接続する信号線を介して、前記コントローラから前記複数のスイッチのうちの一つに対して送信される信号が前記複数のスイッチを順に経由し、前記複数のスイッチのうちの一つから前記コントローラに戻されるスイッチシステムにおけるスイッチであって、作動体と、前記作動体の近接を検知する検知部と、前記信号線を介して前記信号を受信する受信部と、前記信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する制御部と、前記信号線を介して前記信号を送信する送信部と、を備え、前記制御部は、前記信号に前記所定パターンが含まれている場合、第1モードを選択し、前記信号に所定パターンが含まれていない場合、第2モードを選択し、前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記作動体が前記検知部に近接しているか否かを示す近接情報を前記信号に含ませ、前記送信部は、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接している場合、前記制御部は、前記信号を前記第1状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第1状態である前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が前記第1状態であり、かつ、前記作動体が前記検知部に近接していない場合、前記制御部は、前記信号を第2状態に変更し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信し、前記第2モードにおいて、前記信号が前記第2状態である場合、前記制御部は、前記信号を前記第2状態に維持し、前記送信部は、前記信号線を介して前記第2状態である前記信号を送信する。
【0016】
制御部は、受信した信号に所定パターンが含まれているか否かに応じて、第1モード又は第2モードを選択する。コントローラは、所定パターンを含む信号を複数のスイッチのうちの一つに送信し、複数のスイッチのうちの一つから近接情報を含む信号を受信する。コントローラは、近接情報を含む信号を解析することで、複数のスイッチのそれぞれについて、作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することができる。コントローラは、所定パターンを含まない信号を複数のスイッチのうちの一つに送信し、複数のスイ
ッチのうちの一つから第1状態又は第2状態である信号を受信する。コントローラは、第1状態又は第2状態である信号を解析することで、全てのスイッチの作動体が検知部に近接しているか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各スイッチの作動体が検知部に近接しているか否かを個別に判定することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、スイッチシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、起動時の通信プロトコルの説明図である。
図3図3は、通常時の通信プロトコルの説明図である。
図4図4は、ステータス情報を取得する場合の通信プロトコルの説明図である。
図5図5は、ファンクションブロックの機能の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<適用例>
図1を参照して、スイッチシステムの適用例を説明する。図1は、スイッチシステムの構成を模式的に示すブロック図である。スイッチシステムは、コントローラ1と、複数のスイッチ2と、コントローラ1と複数のスイッチ2とを環状に接続する信号線3、4と、を備える。スイッチ2は、例えば、非接触式のスイッチ(非接触スイッチ)である。図1では、スイッチシステムが、3つのスイッチ2(2A、2B及び2C)を備える構成が例示されているが、スイッチ2の個数は増減可能である。スイッチシステムは、2つのスイッチ2を備えてもよいし、4つ以上のスイッチ2を備えてもよい。
【0020】
コントローラ1及び複数のスイッチ2は、信号線3、4により環状に接続されている。コントローラ1とスイッチ2Aとが信号線3A、4Aにより接続され、スイッチ2Aとスイッチ2Bとが信号線3B、4Bにより接続されている。また、スイッチ2Bとスイッチ2Cとが信号線3C、4Cにより接続され、スイッチ2Cとコントローラ1とが信号線3D、4Dにより接続されている。このように、スイッチ2A(複数のスイッチ2のうちの一つ)が、信号線3A、4Aによりコントローラ1に接続され、スイッチ2C(複数のスイッチ2のうちの一つ)が、信号線3D、4Dによりコントローラ1に接続されている。また、スイッチ2B(複数のスイッチ2のうちの一つ)が、信号線3B、3C、4B、4Cにより、スイッチ2A、2C(複数のスイッチ2のうちの他の二つ)に接続されている。
【0021】
コントローラ1は、例えば、ロジック演算処理、入出力制御処理を実行するプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)等の産業用制御装置であ
る。また、コントローラ1は、安全面の自己診断処理を実行することにより、高度な安全性及び信頼性を確保したセーフティコントローラであってもよい。
【0022】
コントローラ1は、所定パターンのパルス信号を生成する制御部11と、パルス信号を送信する送信部12と、パルス信号を受信する受信部13とを備える。送信部12は、信号線3A、4Aを介して複数のスイッチ2のうちの一つであるスイッチ2A(第1のスイッチ)にパルス信号を送信する。受信部13は、信号線3D、4Dを介して複数のスイッチ2のうちの一つであるスイッチ2C(第2のスイッチ)からパルス信号を受信し、パルス信号を処理して制御部11に伝達する。コントローラ1から複数のスイッチ2のうちの一つに対して送信されたパルス信号が複数のスイッチ2の間を順に経由し、複数のスイッチ2のうちの一つからコントローラ1に戻される。コントローラ1又は上流側のスイッチ2から送信されたパルス信号を下流側のスイッチ2が受信する。そして、コントローラ1
は複数のスイッチ2のうちの一つからパルス信号を受信する。パルス信号は、信号の一例である。
【0023】
スイッチ2は、例えば、産業用ロボットなどの機械設備の周囲を安全柵や壁などで区画した作業領域に出入りするための安全ドアのドアスイッチである。複数のスイッチ2のそれぞれは、作動体20と、センサ部21とを備える。図1に示す構成例では、スイッチ2Aは、作動体20Aと、センサ部21Aとを備え、スイッチ2Bは、作動体20Bと、センサ部21Bとを備え、スイッチ2Cは、作動体20Cと、センサ部21Cとを備える。作動体20は、例えば、開閉されるドア側に取り付けられるアクチュエータである。センサ部21は、例えば、ドアの固定枠側に取り付けられ、作動体20の離隔及び近接、すなわち、ドアの開閉を検知する。複数のドアにスイッチ2A~2Cのそれぞれを取り付けることで、図1に示すスイッチシステムをドアの開閉を検知するためのドアスイッチシステムとして用いることができる。センサ部21は、作動体20の近接を検知する検知部としてのセンシング部22と、パルス信号を受信する受信部23と、パルス信号を送信する送信部24と、各種の制御を行う制御部25と、所定の表示を行う表示部26とを備える。
【0024】
センシング部22は、作動体20との間の距離が一定値以下になる場合、作動体20の近接を検知する。センシング部22は、作動体20の近接を検知すると、制御部25に検知信号を伝達し、作動体20の近接を検知しなくなると、制御部25への検知信号の伝達を停止する。制御部25は、スイッチ2の各部の制御、信号処理、演算処理などを行う。制御部25は、受信部23から伝達されたパルス信号を解析する。
【0025】
スイッチ2Aの受信部23A、送信部24A、制御部25A及び表示部26Aについて説明する。受信部23Aは、信号線3A、4Aを介してコントローラ1からパルス信号を受信し、パルス信号を処理して制御部25Aに伝達する。制御部25Aは、受信したパルス信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する。受信したパルス信号に所定パターンが含まれている場合、制御部25Aは、通信モード(第1モード)を選択し、作動体20Aがセンシング部22Aに近接しているか否かを示す近接情報を含むパルス信号を生成する。このように、通信モードにおいて、制御部25Aは、作動体20Aがセンシング部22Aに近接しているか否かを示す近接情報をパルス信号に含ませる。送信部24Aは、制御部25Aの制御に従い、信号線3B、4Bを介してスイッチ2Bに近接情報を含ませたパルス信号を送信する。表示部26Aは、作動体20Aがセンシング部22Aに近接していることを示す情報又は作動体20Aがセンシング部22Aに近接していないことを示す情報を表示する。表示部26Aは、スイッチ2Aが取り付けられたドアの開閉状態を表示してもよい。
【0026】
スイッチ2Bの受信部23B、送信部24B、制御部25B及び表示部26Bについて説明する。受信部23Bは、信号線3B、4Bを介してスイッチ2Aからパルス信号を受信し、パルス信号を処理して制御部25Bに伝達する。制御部25Bは、受信したパルス信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する。受信したパルス信号に所定パターンが含まれている場合、制御部25Bは、通信モードを選択する。スイッチ2Aから受信したパルス信号には、スイッチ2Aの近接情報が含まれている。制御部25Bは、スイッチ2Aの近接情報と、作動体20Bがセンシング部22Bに近接しているか否かを示す近接情報とを含むパルス信号を生成する。このように、通信モードにおいて、制御部25Bは、スイッチ2Aの近接情報と、作動体20Bがセンシング部22Bに近接しているか否かを示す近接情報とをパルス信号に含ませる。送信部24Bは、制御部25Bの制御に従い、信号線3C、4Cを介して複数のスイッチ2のうちの一つ(スイッチ2C)に近接情報を含ませたパルス信号を送信する。表示部26Bは、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していることを示す情報又は作動体20Bがセンシング部22Bに近接していないことを示す情報を表示する。表示部26Bは、スイッチ2Bが取り付けられたドアの開
閉状態を表示してもよい。
【0027】
スイッチ2Cの受信部23C、送信部24C、制御部25C及び表示部26Cについて説明する。受信部23Cは、信号線3C、4Cを介してスイッチ2Bからパルス信号を受信し、パルス信号を処理して制御部25Cに伝達する。制御部25Cは、受信したパルス信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する。受信したパルス信号に所定パターンが含まれている場合、制御部25Cは、通信モードを選択する。スイッチ2Bから受信したパルス信号には、スイッチ2Aの近接情報及びスイッチ2Bの近接情報が含まれている。制御部25Cは、スイッチ2Aの近接情報と、スイッチ2Bの近接情報と、作動体20Cがセンシング部22Cに近接しているか否かを示す近接情報とを含むパルス信号を生成する。このように、通信モードにおいて、制御部25Cは、スイッチ2Aの近接情報と、スイッチ2Bの近接情報と、作動体20Cがセンシング部22Cに近接しているか否かを示す近接情報とをパルス信号に含ませる。送信部24Cは、制御部25Cの制御に従い、信号線3D、4Dを介してコントローラ1に近接情報を含ませたパルス信号を送信する。表示部26Cは、作動体20Cがセンシング部22Cに近接していることを示す情報又は作動体20Cがセンシング部22Cに近接していないことを示す情報を表示する。表示部26Cは、スイッチ2Cが取り付けられたドアの開閉状態を表示してもよい。
【0028】
スイッチ2Cから受信したパルス信号には、スイッチ2Aの近接情報、スイッチ2Bの近接情報及びスイッチ2Cの近接情報が含まれている。コントローラ1は、スイッチ2Cから受信したパルス信号を解析することで、作動体20Aがセンシング部22Aに近接しているか否か、作動体20Bがセンシング部22Bに近接しているか否か、及び、作動体20Cがセンシング部22Cに近接しているか否か、を個別に判定することができる。また、複数のドアにスイッチ2A~2Cのそれぞれを取り付けることで、コントローラ1は、各ドアの開閉状態を個別に判定することができる。
【0029】
図1では、信号線3、4を用いる例を示しているが、信号線3及び信号線4の一方のみを用いてもよい。また、パルス信号を送信するための第1の信号線として信号線3を用い、デジタルI/O信号(オンオフ信号)を送信するための第2の信号線として信号線4を用いてもよい。オンオフ信号は、信号の一例である。
【0030】
パルス信号を送信するための第1の信号線として信号線3を用い、デジタルI/O信号を送信するための第2の信号線として信号線4を用いる場合について説明する。コントローラ1の送信部12は、信号線3Aを介してスイッチ2Aに所定パターンを含むパルス信号を送信し、信号線4Aを介してスイッチ2Aに所定パターンを含まないデジタルI/O信号を送信する。パルス信号を送信するための第1の信号線として信号線3を用いる場合については、コントローラ1及び複数のスイッチ2の動作は上記に説明した通りであるので詳細は省略する。
【0031】
デジタルI/O信号を送信するための第2の信号線として信号線4を用いる場合について説明する。コントローラ1は、デジタルI/O信号としてオン信号をスイッチ2Aに送信する。すなわち、コントローラ1は、オン状態であるオンオフ信号をスイッチ2Aに送信する。オン状態は第1状態の一例であり、オフ状態は第2状態の一例である。オンとオフとの関係を逆にしてもよい。コントローラ1は、オフ状態であるオンオフ信号をスイッチ2Aに送信してもよい。オン状態は第2状態の一例であり、オフ状態は第1状態の一例である。下記に示すスイッチ2A~2Cの動作についても同様に、オンとオフとの関係を逆にしてもよい。スイッチ2Aの受信部23Aは、信号線4Aを介してコントローラ1からデジタルI/O信号を受信し、デジタルI/O信号を処理して制御部25Aに伝達する。
【0032】
制御部25Aは、受信したデジタルI/O信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する。受信したデジタルI/O信号に所定パターンが含まれていない場合、制御部25Aは、デジタルI/Oモード(第2モード)を選択する。デジタルI/O信号は所定パターンを含んでいないため、制御部25Aは、デジタルI/Oモードを選択する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオン状態であり、かつ、作動体20Aがセンシング部22Aに近接している場合、制御部25Aは、デジタルI/O信号をオン状態に維持する。送信部24Aは、制御部25Aの制御に従い、信号線4Bを介してスイッチ2Bにオン状態であるデジタルI/O信号を送信する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオン状態であり、かつ、作動体20Aがセンシング部22Aに近接していない場合、制御部25Aは、デジタルI/O信号をオフ状態に変更する。送信部24Aは、制御部25Aの制御に従い、信号線4Bを介してスイッチ2Bにオフ状態であるデジタルI/O信号を送信する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオフ状態である場合、制御部25Aは、デジタルI/O信号をオフ状態に維持する。送信部24Aは、制御部25Aの制御に従い、信号線4Bを介してスイッチ2Bにオフ状態であるデジタルI/O信号を送信する。
【0033】
スイッチ2Bの受信部23Bは、信号線4Bを介してスイッチ2AからデジタルI/O信号を受信し、デジタルI/O信号を処理して制御部25Bに伝達する。制御部25Bは、受信したデジタルI/O信号に所定パターンが含まれているか否かを判定する。デジタルI/O信号は所定パターンを含んでいないため、制御部25Bは、デジタルI/Oモードを選択する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオン状態であり、かつ、作動体20Bがセンシング部22Bに近接している場合、制御部25Bは、デジタルI/O信号をオン状態に維持する。送信部24Bは、制御部25Bの制御に従い、信号線4Cを介してスイッチ2Cにオン状態であるデジタルI/O信号を送信する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオン状態であり、かつ、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していない場合、制御部25Bは、デジタルI/O信号をオフ状態に変更する。送信部24Bは、制御部25Bの制御に従い、信号線4Cを介してスイッチ2Cにオフ状態であるデジタルI/O信号を送信する。デジタルI/Oモードにおいて、デジタルI/O信号がオフ状態である場合、制御部25Bは、デジタルI/O信号をオフ状態に維持する。送信部24Bは、制御部25Bの制御に従い、信号線4Cを介してスイッチ2Cにオフ状態であるデジタルI/O信号を送信する。
【0034】
スイッチ2Cについてもスイッチ2Bと同様の処理が行われた後、送信部24Cは、制御部25Cの制御に従い、信号線4Dを介してコントローラ1にオン状態又はオフ状態であるデジタルI/O信号を送信する。コントローラ1は、スイッチ2Cから受信したデジタルI/O信号がオン状態又はオフ状態であるかを判定する。デジタルI/O信号がオン状態である場合、コントローラ1は、全てのスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接していると判定する。デジタルI/O信号がオフ状態である場合、コントローラ1は、複数のスイッチ2の少なくとも一つの作動体20がセンシング部22に近接していないと判定する。
【0035】
コントローラ1は、スイッチ2Cから受信したデジタルI/O信号を解析することで、全てのスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接していること、又は、複数のスイッチ2の少なくとも一つの作動体20がセンシング部22に近接していないこと、を判定することができる。また、複数のドアにスイッチ2A~2Cのそれぞれを取り付けることで、コントローラ1は、全てのドアが閉じた状態であること、又は、複数のドアの少なくとも一つが開いた状態であること、を判定することができる。
【0036】
コントローラ1は、各ドアの開閉状態を個別に判定する場合、所定パターンを含むパルス信号をスイッチ2Aに送信し、スイッチ2Cから近接情報を含むパルス信号を受信する
。コントローラ1は、近接情報を含む信号を解析することで、複数のスイッチ2のそれぞれについて、作動体20がセンシング部22に近接しているか否かを個別に判定することができる。従って、コントローラ1は、近接情報を含むパルス信号を解析することで、各ドアの開閉状態を個別に判定することができる。コントローラ1は、全てのドアが閉じた状態であるか否かを判定する場合、所定パターンを含まないデジタルI/O信号をスイッチ2Aに送信し、スイッチ2Cからオン状態又はオフ状態であるデジタルI/O信号を受信する。コントローラ1は、オン状態又はオフ状態であるデジタルI/O信号を解析することで、全てのスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接しているか否かを判定することができる。従って、コントローラ1は、全てのドアが閉じた状態であるか否かを判定することができる。
【0037】
各スイッチ2がパルス信号を処理する処理時間は、各スイッチ2がデジタルI/O信号を処理する処理時間よりも長い。コントローラ1が、スイッチ2Aにパルス信号を送信する処理と、スイッチ2AにデジタルI/O信号を送信する処理とを同時に行った場合、コントローラ1は、スイッチ2Cからパルス信号を受信するよりも前にデジタルI/O信号を受信する。コントローラ1は、スイッチ2Aに対して所定パターンを含むパルス信号を送信する前に、スイッチ2Aに対して所定パターンを含まないデジタルI/O信号を送信してもよい。最初に、コントローラ1は、スイッチ2Aに対して所定パターンを含まないデジタルI/O信号を送信し、スイッチ2Cからオン状態又はオフ状態であるデジタルI/O信号を受信することで、全てのドアが閉じた状態であるか否かを判定することができる。そのため、機械設備に対する動作許可制御や動作停止制御などの安全制御を迅速に行うことができる。次いで、コントローラ1は、スイッチ2Aに対して所定パターンを含むパルス信号を送信し、スイッチ2Cから近接情報を含むパルス信号を受信することで、各ドアの開閉状態を個別に判定することができる。このように、デジタルI/O信号を送信するための第2の信号線として信号線4を用いて安全制御を実行することで、安全システム全体の応答処理が向上する。
【0038】
<装置構成>
図1を参照して、コントローラ1及びスイッチ2の構成について説明する。コントローラ1は、複数のスイッチ2のうちの一つにパルス信号を送信し、複数のスイッチ2のうちの一つからパルス信号を受信することで、複数のスイッチ2を監視している。図1に示すように、コントローラ1と複数のスイッチ2とが環状に接続されている。すなわち、コントローラ1と複数のスイッチ2とが直列で接続されている。例えば、コントローラ1と各スイッチ2とをそれぞれ直接接続する場合、コントローラ1は、スイッチ2の接続台数分の端子を有する必要がある。本実施形態のシステム構成では、コントローラ1と複数のスイッチ2とを直列で接続しているので、コントローラ1の端子の数を減らすことができる。
【0039】
コントローラ1は、スイッチ2から受信したパルス信号を解析し、安全制御を行う。複数のドアにスイッチ2A~2Cのそれぞれを取り付けた場合のコントローラ1の安全制御について説明する。
【0040】
まず、コントローラ1がスイッチ2Cから受信したパルス信号に、作動体20Aがセンシング部22Aに近接していることを示す情報と、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していることを示す情報と、作動体20Cがセンシング部22Cに近接していることを示す情報と、が含まれている場合について説明する。この場合、コントローラ1は、複数のドアの全てが閉じていると判定し、産業用ロボットなどの機械設備に対して動作許可信号を送信する。
【0041】
次に、コントローラ1がスイッチ2Cから受信したパルス信号に、作動体20Aがセン
シング部22Aに近接していることを示す情報と、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していることを示す情報と、作動体20Cがセンシング部22Cに近接していないことを示す情報と、が含まれている場合について説明する。この場合、コントローラ1は、スイッチ2Aが取り付けられたドア及びスイッチ2Bが取り付けられたドアが閉じていると判定し、スイッチ2Cが取り付けられたドアが開いていると判定し、機械設備に対して動作停止信号を送信する。
【0042】
制御部11は、コントローラ1の各部の制御、信号処理、演算処理などを行う。制御部11は、例えば、MPU又はCPU(プロセッサ)、RAM、不揮発性の記憶装置(例えばROM、フラッシュメモリなど)などを有するコンピュータにより構成してもよい。コンピュータの形態は問わない。制御部11が提供する機能の全部又は一部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。制御部11は、記憶装置に格納された通信プログラムをRAMに展開し、複数のスイッチ2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。
【0043】
スイッチ2は、磁気検知方式の非接触スイッチであってもよいし、電磁誘導方式の非接触スイッチであってもよい。磁気検知方式では、作動体20から出ている磁気をセンシング部22で検出することで、センシング部22が、作動体20の離隔及び近接を検知する。電磁誘導方式では、センシング部22が、電磁結合度の変化に基づいて作動体20の存在を検出し、作動体20の離隔及び近接を検知する。スイッチ2の受信部23及び送信部24は、自己診断処理を行ってもよい。自己診断処理は、例えば、自ユニットに異常があるか否かを診断する処理である。受信部23及び送信部24は、自ユニットに異常がある場合、自ユニットに異常あることを制御部25に伝達する。
【0044】
スイッチ2の制御部25は、スイッチ2の各部の制御、信号処理、演算処理などを行う。制御部25は、例えば、MPU又はCPU(プロセッサ)、RAM、不揮発性の記憶装置(例えばROM、フラッシュメモリなど)などを有するコンピュータにより構成してもよい。コンピュータの形態は問わない。制御部25は、複数のMPU又は複数のCPUを有してもよく、複数のMPU又は複数のCPUによって相互監視を行ってもよい。制御部25が提供する機能の全部又は一部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。
【0045】
<通信プロトコル>
スイッチシステムが採用する通信プロトコルについて説明する。まず、図2を参照して、起動時の通信プロトコルについて説明する。起動時とは、例えば、コントローラ1と複数のスイッチ2とを接続し、コントローラ1及び複数のスイッチ2の電源をONしたときのスタートアップ処理が行われる間や、スタートアップ処理の後の所定時間などである。図2の(A-1)は、起動時の通信プロトコルのフォーマットの一例である。図2の(A-2)は、起動時にスイッチ2Bが受け取る信号の波形(通信波形)の一例である。図2に示すように、データの先頭にデータ送信開始の情報(start部)と、データの末尾にデ
ータ送信終了の情報(stop部)が付加されている。type部は、起動時モード又は通常時モードを決定するための情報である。図2では、パルス信号におけるtype部の部分がHighレベルであるため、スイッチ2Bは、現在のモードが起動時モードであることを認識する。
【0046】
ID setting data部は、複数のスイッチ2のID番号を決定するための情報である。各
スイッチ2は、ID setting data部のHighレベルの部分に対応する番号が自身のID
番号であることを認識する。図2では、ID setting data部の2番目の部分がHighレ
ベルであるため、スイッチ2Bは、自身のID番号が“2”であることを認識する。ID setting data部のデータ長は、固定長であり、システムにおけるスイッチ2の許容最大接
続台数に依存する。
【0047】
スイッチ2Bは、スイッチ2Aからstart部を含むパルス信号を受け取るまで、ID setting data部が全てLowレベルであって、ID番号が不定であることを示すパルス信号を出力し続ける。スイッチ2Bは、スイッチ2Aからstart部を含むパルス信号を受け取り
、パルス信号のtype部の部分がHighレベルであることを認識する。スイッチ2Bの制御部25Bは、パルス信号のID setting data部の2番目の部分をLowレベルへ変化さ
せ、パルス信号のID setting data部の3番目の部分をHighレベルへ変化させる。そ
して、スイッチ2Bの送信部24Bは、図2に示すstart部からstop部までを含むパルス
信号をスイッチ2Cに送信する。図2に示すように、パルス信号は、error部及びparity
部を有してもよい。error部は、エラーの発生時に用いられる情報である。例えば、各ス
イッチ2は、自身に異常が発生した場合、パルス信号のerror部の部分をLowレベルか
らHighレベルに変化させる。parity部は、誤り検出に用いられるコマンドである。例えば、各スイッチ2は、受信したパルス信号の誤り検出を行い、受信したパルス信号の誤りを検出した場合、パルス信号のerror部の部分をLowレベルからHighレベルに変
化させる。
【0048】
スイッチ2Bからパルス信号を受信したスイッチ2Cは、パルス信号のID setting data部の3番目の部分をLowレベルへ変化させ、パルス信号のID setting data部の4番目の部分をHighレベルへ変化させた後、コントローラ1にパルス信号を送信する。このように、パルス信号を受信した各スイッチ2は、パルス信号のID setting data部の自身
のID番号に対応する部分をLowレベルへ変化させ、パルス信号のID setting data部
の後段スイッチ(下流側スイッチ)のID番号に対応する部分をHighレベルへ変化させた後、パルス信号を送信する。
【0049】
コントローラ1は、スイッチ2Cから受信したパルス信号のID setting data部のHi
ghレベルの部分がスイッチ2の接続台数に1を加算した番号に対応しているかを判定する。パルス信号のID setting data部のHighレベルの部分がスイッチ2の接続台数に
1を加算した番号に対応していない場合、コントローラ1は、通信が異常であると判定し、機械設備に対して動作停止信号を送信する。また、スイッチ2Cから受信したパルス信号のtype部の部分がLowレベルである場合や、スイッチ2Cから受信したパルス信号のerror部の部分がHighレベルである場合、コントローラ1は、通信又はスイッチ2が
異常であると判定し、機械設備に対して動作停止信号を送信する。
【0050】
次に、図3を参照して、通常時の通信プロトコルについて説明する。通常時とは、例えば、コントローラ1と複数のスイッチ2との間で起動時の通信プロトコルに従った通信が実行された後の期間である。図3の(B-1)は、通常時の通信プロトコルのフォーマットの一例である。図3の(B-2)は、通常時にコントローラ1が受け取る信号の波形の一例である。図3の(B-2)に示すように、通常時モードの場合、パルス信号のtype部の部分をLowレベルにする。
【0051】
通常時モードの場合、各スイッチ2は、パルス信号のopen/close data部の自身のID
番号に対応する部分に近接情報を含ませると共に、parity部を更新した後、後段のスイッチ2又はコントローラ1にパルス信号を送信する。パルス信号のopen/close data部のデ
ータ長は、固定長であり、システムにおけるスイッチ2の許容最大接続台数に依存する。起動時モードと同様に、各スイッチ2は、自身に異常が発生した場合、パルス信号のerror部の部分をLowレベルからHighレベルに変化させる。また、例えば、各スイッチ
2は、受信したパルス信号の誤り検出を行い、受信したパルス信号の誤りを検出した場合、パルス信号のerror部の部分をLowレベルからHighレベルに変化させる。
【0052】
図3のパルス信号は、1番目のスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接していることを示す情報と、3番目のスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接していることを示す情報と、それら以外のスイッチ2の作動体20がセンシング部22に近接していないことを示す情報とを含んでいる。すなわち、作動体20がセンシング部22に近接していることを示す情報は、パルス信号のopen/close data部のHighレベルの部
分であり、作動体20がセンシング部22に近接していないことを示す情報は、パルス信号のopen/close data部のLowレベルの部分である。
【0053】
ここで、スイッチ2Aの作動体20Aがセンシング部22Aに近接し、スイッチ2Cの作動体20Cがセンシング部22Cに近接し、かつ、スイッチ2Bの作動体20Bがセンシング部22Bに近接していない場合について説明する。スイッチ2Aの制御部25Aは、作動体20Aがセンシング部22Aに近接している場合、パルス信号におけるスイッチ2Aに対応する部分(open/close data部の1番目の部分)をHighレベル(第1の値
)にする。スイッチ2Cの制御部25Cは、作動体20Cがセンシング部22Cに近接している場合、パルス信号におけるスイッチ2Cに対応する部分(open/close data部の3
番目の部分)をHighレベル(第1の値)にする。スイッチ2Bの制御部25Bは、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していない場合、パルス信号におけるスイッチ2Bに対応する部分(open/close data部の2番目の部分)をLowレベル(第2の値)に
する。
【0054】
スイッチ2Aの制御部25Aは、作動体20Aがセンシング部22Aに近接している場合、パルス信号におけるスイッチ2Aに対応する部分(open/close data部の1番目の部
分)をLowレベル(第1の値)にしてもよい。スイッチ2Cの制御部25Cは、作動体20Cがセンシング部22Cに近接している場合、パルス信号におけるスイッチ2Cに対応する部分(open/close data部の3番目の部分)をLowレベル(第1の値)にしても
よい。スイッチ2Bの制御部25Bは、作動体20Bがセンシング部22Bに近接していない場合、パルス信号におけるスイッチ2Bに対応する部分(open/close data部の2番
目の部分)をHighレベル(第2の値)にしてもよい。
【0055】
次いで、図4を参照して、コントローラ1がスイッチ2のステータス情報を取得する場合の通信プロトコルについて説明する。ステータス情報は、スイッチ2の状態を示す情報であり、例えば、スイッチ2に通電された時間を累積した累積通電時間である。図4の(C-1)は、コントローラ1がスイッチ2のステータス情報を取得する場合の通信プロトコルのフォーマットの一例である。図4の(C-2)は、コントローラ1が送信する信号の波形の一例である。図4の(C-3)は、コントローラ1が受け取る信号の波形の一例である。図4に示すように、open/close data部の次にrequest ID部とstatus buffer部が付加されている。図4は、19番目のスイッチ2に対してステータス情報を要求する例を示している。例えば、コントローラ1は、通常時の通信プロトコルに代えて、ステータス情報を取得する場合の通信プロトコルに従って通信を実行する。
【0056】
request ID部は、コントローラ1がステータス情報を要求するスイッチ2のID番号を特定するために用いる部である。19(10進数)=0x13(16進数)=00010011(2進数)であるため、図4の(C-2)のrequest ID部は、Low,Low,Low,High,Low,Low,High,Highで構成される。各スイッチ2に送信されるパルス信号のstatus buffer部は、ステータス情報の内容を特定するために用い
る部である。例えば、累積通電時間を示す番号を、2(10進数)=0x02(16進数)=00000010(2進数)とする場合、図4の(C-2)のstatus buffer部は、
Low,Low,Low,Low,Low,Low,High,Lowで構成される。
【0057】
コントローラ1は、19番目のスイッチ2に対して累積通電時間を要求する場合、図4
の(C-2)に示すパルス信号を1番目のスイッチ2に送信する。各スイッチ2は、受信したパルス信号のrequest ID部を確認し、request ID部によって特定されるID番号と自身のID番号とが一致するか否かを判定する。各スイッチ2は、パルス信号のrequest ID部によって特定されるID番号と自身のID番号とが一致しない場合、パルス信号のopen/close data部の自身のID番号に対応する部分に近接情報を含ませると共に、パルス信
号のparity部の部分を更新した後、後段のスイッチ2又はコントローラ1にパルス信号を送信する。この場合、各スイッチ2は、パルス信号のstatus buffer部の部分を変化させ
ずに後段のスイッチ2又はコントローラ1にパルス信号を送信する。
【0058】
一方、パルス信号のrequest ID部によって特定されるID番号と自身のID番号とが一致する場合、スイッチ2(図4に示す例では19番目のスイッチ2)は、パルス信号のstatus buffer部の部分を要求されたデータ(図4に示す例では累積通電時間)に更新する
。例えば、19番目のスイッチ2は、図4の(C-3)の示すように、パルス信号のstatus buffer部の部分を要求された累積通電時間に更新する。累積通電時間が57時間であ
る場合、57(10進数)=0x39(16進数)=00111001であるので、図4の(C-3)のパルス信号のstatus buffer部の部分は、Low,Low,High,H
igh,High,Low,Low,Highで構成される。そして、19番目のスイッチ2は、パルス信号のopen/close data部の自身のID番号に対応する部分に近接情報を
含ませると共に、パルス信号のparity部の部分を更新した後、後段のスイッチ2又はコントローラ1にパルス信号を送信する。コントローラ1は、受信したパルス信号のstatus buffer部の部分を解析し、要求したデータ(図4に示す例では累積通電時間)を取得する
【0059】
コントローラ1は、スイッチ2Aに送信するパルス信号にスイッチ2の状態を示すステータス情報を要求するための要求情報を含ませて、パルス信号をスイッチ2Aに送信する。各スイッチ2の制御部25は、パルス信号に含まれるrequest ID部に基づいてステータス情報が要求されているか否かを判定し、ステータス情報が要求されている場合、ステータス情報をパルス信号に含ませる。コントローラ1は、スイッチ2Cから受信したパルス信号を解析し、パルス信号に含まれるステータス情報を確認することで、スイッチ2のステータス情報を取得することが可能である。
【0060】
図4に示す例では、コントローラ1が19番目のスイッチ2に対してステータス情報を要求する場合について説明したが、この例に限定されず、コントローラ1が複数のスイッチ2に対してステータス情報を要求してもよい。コントローラ1は、複数のスイッチ2に対してステータス情報を要求する場合、複数のrequest ID部及び複数のstatus buffer部
を含むパルス信号を生成する。例えば、コントローラ1は、17番目のスイッチ2に対してステータス情報を要求するためのrequest ID部及びstatus buffer部と、19番目のス
イッチ2に対してステータス情報を要求するためのrequest ID部及びstatus buffer部と
、を含むパルス信号を生成する。
【0061】
コントローラ1は、例えば、図5に示す機能を有するファンクションブロックの演算を実行してもよい。図5は、ファンクションブロックの機能の説明図である。ファンクションブロック(FB)は、信号線3Dを介して受信したパルス信号の入力を受け付ける入力部101と、信号線4Dを介して受信したパルス信号の入力を受け付ける入力部102と、直列連結されるスイッチ2の数の入力を受け付ける入力部103と、出力部104、105とを備える。
【0062】
出力部104、105の出力について説明する。ここでは、作動体20がセンシング部22に近接しているときにパルス信号における各スイッチ2に対応する部分をHighレベルの値にする場合について説明する。コントローラ1が受信したパルス信号のopen/clo
se data部が全てHighレベルの値で構成されている場合、出力部104からHigh
レベルの値が出力される。コントローラ1が受信したパルス信号のopen/close data部が
Lowレベルの値を含む場合、出力部104からLowレベルの値が出力される。出力部105からbyteデータが出力される。例えば、スイッチ2の最大接続数が30である場合、4byte(32bit)データの各bitで各スイッチ2の近接情報を表現する。また、出力部
105A(Output Enable(No.1))、出力部105B(Output Enable(No.2))、・・・としてもよい。各スイッチ2の近接情報を個別に出力することで、ユーザはBit演算する必
要がなく、使い勝手が向上する。
【0063】
<付記>
コントローラ(1)と、複数のスイッチ(2)と、前記コントローラ(1)と複数のスイッチ(2)とを環状に接続する信号線(3、4)と、を備え、前記コントローラ(1)から前記複数のスイッチ(2)のうちの一つである第1のスイッチ(2A)に対して送信される信号が前記複数のスイッチ(2)を順に経由し、前記複数のスイッチ(2)のうちの一つである第2のスイッチ(2C)から前記コントローラ(1)に戻されるスイッチシステムであって、
前記複数のスイッチ(2)のそれぞれは、作動体(20)と、前記作動体(20)の近接を検知する検知部(22)と、前記信号線(3、4)を介して前記信号を受信する受信部(23)と、前記作動体が前記検知部に近接しているか否かを示す近接情報を前記信号に含ませる制御部(25)と、前記信号線を介して前記近接情報を含ませた前記信号を送信する送信部(24)とを有し、
前記コントローラ(1)が前記第2のスイッチ(2C)から受信する前記信号は、前記複数のスイッチ(2)のそれぞれの前記近接情報を含む
スイッチシステム。
【符号の説明】
【0064】
1:コントローラ
2、2A、2B、2C:スイッチ
3:信号線
4:信号線
20:作動体
21:センサ部
22:センシング部
23:受信部
24:送信部
25:制御部
図1
図2
図3
図4
図5