(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】振動減衰構造
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
F16F15/08 E
(21)【出願番号】P 2021055954
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 健史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 達
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-144375(JP,A)
【文献】実開昭56-168546(JP,U)
【文献】実開昭47-033021(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
E02D 27/34
E02D 27/44
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造に設けられる振動構造の振動を減衰する振動減衰構造であって、
前記支持構造は、前記振動構造の下に設けられる水平部と、
前記水平部から立ち上がる立ち上がり部と、
を有し、
前記振動構造は、前記立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する対向部を有し、
前記水平部の上に防振部を介して設けられており、
前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定され、前記立ち上がり部と前記対向部との相対変位を減衰する相対変位減衰機構を有し、
前記相対変位減衰機構は、
前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定される粘弾性部を有していることを特徴とする振動減衰構造。
【請求項2】
請求項1に記載の振動減衰構造であって、
前記振動構造は、前記対向部から前記立ち上がり部の側に向かって突出する軸、及び、前記立ち上がり部と間隔を空けて対面し前記粘弾性部が固定される対向部面材と、前記対向部面材から横方向に延出される腕部と、前記腕部の先端に設けられ、前記軸に回動自在に支持される回動部と、が一体をなす回動体、を有し、
前記支持構造は、前記水平部から立設し、前記腕部が載置された頂部にて前記回動体を支持する支持部を有し、
前記腕部は、前記頂部から前記対向部面材の側の長さの方が、前記頂部から前記回動部の側の長さより長いことを特徴とする振動減衰構造。
【請求項3】
請求項2に記載の振動減衰構造であって、
前記立ち上がり部は、前記対向部面材と間隔を空けて対面する立ち上がり部面材を有し、
前記粘弾性部は、前記立ち上がり部面材と前記対向部面材とに各々固定されていることを特徴とする振動減衰構造。
【請求項4】
支持構造に設けられる振動構造の振動を減衰する振動減衰構造であって、
前記支持構造は、前記振動構造の下に設けられる水平部と、
前記水平部から立ち上がる立ち上がり部と、
を有し、
前記振動構造は、前記立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する対向部を有し、
前記水平部の上に防振部を介して設けられており、
前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定され、前記立ち上がり部と前記対向部との相対変位を減衰する相対変位減衰機構を有し、
前記振動構造は、
作動の際に振動を伴う装置が設置される機械基礎であることを特徴とする振動減衰構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動減衰構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作動時に振動をともなう設備機械などは振動を低減するために、例えば、スラブの上面にゴム状弾性板を載置し、ゴム状弾性板の上に厚板状基礎を重ねて、厚板状基礎とゴム状弾性板とを連結し、厚板状基礎の上に設備機械などを載置する防振構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような防振構造は、設備機械などが載置された厚板状基礎の固有振動数と地盤の固有振動数との共振のピークをずらすことに留まり、振動を減衰させる効果は小さく、減衰性能を十分に確保することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、振動構造における振動の減衰性能がより高い振動減衰構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明の振動減衰構造構造は、
支持構造に設けられる振動構造の振動を減衰する振動減衰構造であって、
前記支持構造は、前記振動構造の下に設けられる水平部と、
前記水平部から立ち上がる立ち上がり部と、
を有し、
前記振動構造は、前記立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する対向部を有し、
前記水平部の上に防振部を介して設けられており、
前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定され、前記立ち上がり部と前記対向部との相対変位を減衰する相対変位減衰機構を有し、
前記相対変位減衰機構は、
前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定される粘弾性部を有していることを特徴とする。
【0007】
このような振動減衰構造によれば、振動構造は、支持構造の水平部の上に防振を介して設けられており、支持構造の立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する振動構造の対向部との間には相対変位減衰機構が設けられているので、防振部により振動構造の固有振動数と支持構造の固有振動数との共振のピークをずらすとともに、相対変位減衰機構により、支持構造に対する振動構造の変位を減衰させて振動を減衰させることが可能である。このため、振動構造における振動の減衰性能がより高い振動減衰構造を提供することが可能である。
【0009】
また、立ち上がり部の側と対向部の側との間に固定される粘弾性部により、支持構造に対する振動構造の変位を減衰させて振動をより確実に減衰させることが可能である。
【0010】
かかる振動減衰構造であって、前記振動構造は、前記対向部から前記立ち上がり部の側に向かって突出する軸、及び、前記立ち上がり部と間隔を空けて対面し前記粘弾性部が固定される対向部面材と、前記対向部面材から横方向に延出される腕部と、前記腕部の先端に設けられ、前記軸に回動自在に支持される回動部と、が一体をなす回動体、を有し、前記支持構造は、前記水平部から立設し、前記腕部が載置された頂部にて前記回動体を支持する支持部を有し、前記腕部は、前記頂部から前記対向部面材の側の長さの方が、前記頂部から前記回動部の側の長さより長いことを特徴とする。
【0011】
このような振動減衰構造によれば、回動体は、横方向に延出された腕部を介して対向部に回動自在に軸支されており、腕部は支持構造の水平部から立設された支持部の頂部にて支持されている。このため、振動構造が支持構造に対して、下方に変位すると腕部は支持部により上方に押し上げられる。このとき、回動体は軸回りに回動し対向部面材は上方に変位する。また、振動構造が支持構造に対して、上方に変位すると腕部は支持部とともに相対的に下方に変位する。このとき、回動体が軸回りに回動し対向部面材は下方に変位する。
【0012】
このため、振動構造と支持構造とが上下方向に相対変位することにより、立ち上がり部と対向部面材との間に介在された粘弾性部により振動が減衰される。このとき、支持部に載置されている腕部は、支持部の頂部から対向部面材の側の長さの方が、支持部の頂部から回動部の側の長さより長いので、てこの作用により、対向部面材は、振動構造と支持構造との相対変位より大きく変位する。このため、立ち上がり部と対向部との間に粘弾性部が直接設けられている場合よりも大きく変位させて減衰力をより高めることが可能である。
【0013】
かかる振動減衰構造であって、前記立ち上がり部は、前記対向部面材と間隔を空けて対面する立ち上がり部面材を有し、前記粘弾性部は、前記立ち上がり部面材と前記対向部面材とに各々固定されていることを特徴とする。
【0014】
このような振動減衰構造によれば、立ち上がり部面材と対向部面材との間に介在された
粘弾性部により、振動を減衰させることが可能である。
また、 支持構造に設けられる振動構造の振動を減衰する振動減衰構造であって、前記支持構造は、前記振動構造の下に設けられる水平部と、前記水平部から立ち上がる立ち上がり部と、を有し、前記振動構造は、前記立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する対向部を有し、前記水平部の上に防振部を介して設けられており、前記立ち上がり部の側と前記対向部の側とに各々固定され、前記立ち上がり部と前記対向部との相対変位を減衰する相対変位減衰機構を有し、前記振動構造は、作動の際に振動を伴う装置が設置される機械基礎であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振動構造における振動の減衰性能がより高い振動減衰構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態にかかる振動減衰構造を示す縦断面図である。
【
図3】本実施形態にかかる振動減衰構造が備える相対変位減衰機構を示す縦断面図である。
【
図4】相対変位減衰機構の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】振動構造が上方に変位した状態を示す図である。
【
図6】振動構造が下方に変位した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る振動減衰構造について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る振動減衰構造は、
図1に示すように、例えば輪転機など、作動の際に振動を伴う装置(不図示)が設置される振動構造としての機械基礎1と、機械基礎1が配置されるピット2aを有する支持構造としての耐圧版2と、ピット2aの底をなす水平部2bと機械基礎1との間に介在される防振部3と、ピット2aの側面(以下、ピット側面という)2cと機械基礎1の側面(以下、基礎側面という)1aとの間に設けられる相対変位減衰機構4と、を有している。
【0019】
機械基礎1は、装置が載置される平面を有する直方体状の基礎であり、耐圧版2は、地盤に設けられたコンクリート製の構造体である。
【0020】
耐圧版2に設けられたピット2aは、平面視における形状が長方形状をなして機械基礎1が収容可能な大きさを有している。機械基礎1は、ピット2aの水平部2bに設けられた、たとえば防振ゴムなどのシート状の防振部3の上に固定されている。
【0021】
機械基礎1は、水平面内においてピット2aの中央に配置されており、水平部2bに防振部3を介して配置されると、機械基礎1の4つの基礎側面1aと、ピット2aの4つのピット側面2cとが各々、ほぼ同じ間隔を空けて対面する。ここで、ピット側面2cが、水平部から立ち上がる立ち上がり部に相当し、基礎側面1aが、立ち上がり部と水平方向に間隔を空けて対向する対向部に相当する。
【0022】
本実施形態においては、機械基礎1の上面と耐圧版2の上面とがほぼ同一の水平面をなして設置されている。相対変位減衰機構4は、平面視における形状が長方形状をなす機械基礎1の長辺側となる基礎側面1aに
図2に示すように2つ並べて配置されている。なお、以下の説明においては、水平方向のうち、平面視において機械基礎1の長辺に沿う方向を左右方向、機械基礎1の短辺に沿う方向を奥行き方向として説明する。
【0023】
各相対変位減衰機構4は、
図3、
図4に示すように、基礎側面1aに設けられる基礎側部材5と、ピット側面2cに設けられるピット側部材6と、基礎側部材5とピット側部材6との間に介在される粘弾性部7と、ピット2aの水平部2bから立設されている支持部としての支持柱8と、を有している。
【0024】
基礎側部材5は、基礎側面1aに対面した状態で固定される基礎ベース板50と、基礎側面1aから、対面するピット側面2cに向かって水平に突出し基礎ベース板50を貫通する軸51と、軸51に回動自在に支持される回動体52と、を有している。
【0025】
回動体52は、基礎側面1a及びピット側面2cとほぼ平行に配置され、互いに対向する2枚の対向部面材53、54と、2枚の対向部面材53、54の上端を繋ぎ基礎ベース板50側に延出された延出部55aを有する上面材55と、上面材55から左右方向に延出された腕部56と、腕部56の延出された先端に設けられ軸51が貫通する回動部57と、を有している。
【0026】
回動体52は、回動部57に軸51が挿通されて回動自在に支持された状態で、基礎ベース板50と基礎ベース板50側の対向部面材53とが間隔を空けて配置されており、延出部55aの下に空間が形成されている。
【0027】
ピット側部材6は、ピット側面2cに対面させて固定されるピットベース板60と、ピットベース板60と間隔を空けて対面する第一対面材61と、第一対面材61と間隔を空けて対面する第二対面材62と、ピットベース板60の基礎側面1a側の面から突出し、第一対面材61及び第二対面材62の下端を繋ぐ下面材63とを有している。
【0028】
基礎側部材5が機械基礎1の基礎側面1aに設けられ、ピット側部材6が耐圧版2のピット側面2cに固定された状態では、
図3に示すように、基礎ベース板50と基礎ベース板50側の対向部面材53との間に第二対面材62が配置され、2枚の対向部面材53、54の間に第一対面材61が配置される。ここで、第一対面材61及び第二対面材62が、対向部面材と間隔を空けて対面する立ち上がり部面材に相当する。
【0029】
第二対面材62の第一対面材61側の面62aと、基礎ベース板50側の対向部面材53との間に粘弾性部7が介在されており、第一対面材61の両面61aと2枚の対向部面材53、54との間にそれぞれ粘弾性部7が介在されている。
【0030】
支持柱8は、
図2に示すように、耐圧版2の水平部2bから立設し、軸51に支持された回動体52の腕部56の下に位置している。支持柱8は、平面視における形状が、軸51に沿う方向に長い長方形状をなしており、上端部に軸51と平行な軸回りに回動するローラー8aを備えている。軸51に支持された回動体52は、腕部56が支持柱8上に載置される。腕部56が支持柱8上に載置されて支持柱8の頂部8bに支持された回動体52は、腕部56が水平になるように設定されている。このため、相対変位減衰機構4は、機械基礎1と耐圧版2との相対変位が生じていない状態では、腕部56が水平となる状態で回動体52が支持されて設置されている。
【0031】
機械基礎1上に設置された装置の振動により、機械基礎1が上方に変位すると、機械基礎1に突設された軸51に支持されている回動部57は機械基礎1と共に上方に変位する。このとき、
図5に示すように、軸51に回動自在に支持されている回動部57は、腕部56が支持されている支持柱8の頂部8bよりも高くなるので、回動体52は、軸51を中心に対向部面材53、54側が支持柱8の頂部8bより低くなるように回動する。
【0032】
このとき、支点となる支持柱8の頂部8bからの距離が長い対向部面材53側の上下方向の変位量は、支持柱8の頂部8bからの距離が短い回動部57側の上下方向の変位量より大きくなる。すなわち、機械基礎1と耐圧版2との上下方向の相対変位量L1よりも、対向部面材53の中央における上下方向の相対変位量L2、または、対向部面材53と第一対面材61及び第二対面材62との間に介在された粘弾性部7における軸51とは反対側の上縁角部7aの変位量L3の方が大きくなる。
【0033】
また、機械基礎1上に設置された装置の振動により、機械基礎1が下方に変位すると、機械基礎1に突設された軸51に支持されている回動部57も機械基礎1と共に下方に変位する。このとき、
図6に示すように、軸51に回動自在に支持されている回動部57は、腕部56が載置されて支持されている支持柱8の頂部8bよりも低くなるので、回動体52は、軸51を中心に対向部面材53側が支持柱8の頂部8bより高くなるように回動する。
【0034】
このとき、支点となる支持柱8の頂部8bからの距離が長い対向部面材53側の上下方向の移動量は、支持柱8の頂部8bからの距離が短い回動部57側の上下方向の変位量より大きくなる。すなわち、機械基礎1と耐圧版2との上下方向の相対変位量L1よりも、対向部面材53の中央における上下方向の相対変位量L2、または、対向部面材53と第一対面材61及び第二対面材62との間に介在された粘弾性部7における軸51とは反対側の上縁角部7aの変位量L3の方が大きくなる。
【0035】
このように、機械基礎1と耐圧版2との上下方向の相対変位量L1よりも、対向部面材53と第一対面材61及び第二対面材62とが大きく変位することにより、対向部面材53と第一対面材61及び第二対面材62との間に設けられている粘弾性部7がより大きく変形するので、単純に機械基礎1と耐圧版2との間に粘弾性部が設けられている場合よりも振動減衰効果が高められる。
【0036】
本実施形態の振動減衰構造によれば、耐圧版2の水平部2bと機械基礎1との間には防振部3が設けられており、耐圧版2のピット側面2cと奥行き方向に間隔を空けて対向する機械基礎1の基礎側面1aとの間には相対変位減衰機構4が設けられているので、防振部3により装置を含む機械基礎1の固有振動数を共振領域からずらすとともに長周期化し、相対変位減衰機構4により、耐圧版2に対する機械基礎1の変位を減衰させて振動を減衰させることが可能である。
【0037】
より具体的には、例えば機械基礎1上に設置される装置からは、2~50Hzの様々な振動が発生しており、装置を機械基礎1に固定することにより固有振動数は約30Hzとなり、機械基礎1の下に防振部3を介在させることにより固有振動数を約19Hzとして、粘弾性部7の効果を発揮し易い帯域まで固有振動を下げたうえで、相対変位減衰機構4により、振動自体を減衰させることができる。すなわち、機械基礎1における振動の減衰性能がより高い振動減衰構造を提供することが可能である。
【0038】
また、対向部面材53、54は、横方向に延出された腕部56を介して基礎側面1aに回動自在に軸支されており、腕部56は耐圧版2の水平部2bから立設された支持柱8に支持されている。このため、機械基礎1が耐圧版2に対して、下方に変位すると腕部56は支持柱8により上方に押し上げられる。このとき、軸51に軸支されている回動体52が軸51回りに回動し対向部面材53、54は上方に変位する。
【0039】
また、機械基礎1が耐圧版2に対して、上方に変位すると腕部56は支持柱8とともに相対的に下方に変位する。このとき、回動体52が軸51回りに回動し対向部面材53、54は下方に変位する。このため、機械基礎1と耐圧版2とが上下方向に変位することにより、ピット側面2cと基礎側面1aとの間に介在された粘弾性部7により振動が減衰される。
【0040】
このとき、支持柱8に載置されている腕部56は、載置位置となる支持柱8の頂部8bから対向部面材53、54側の長さL4の方が、支持柱8の頂部8bから軸51側の長さL5より長いので、てこの作用により、機械基礎1と耐圧版2との相対変位より大きく、対向部面材53、54が変位する。このため、ピット側面2cと基礎側面1aとの間に粘弾性部7が直接設けられている場合よりもより効率よく振動を減衰させることが可能である。
【0041】
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0042】
上記実施形態においては、ピット側面2cと基礎側面1aとの間に、回動自在に設けられた基礎側部材5と、ピット側面2cに固定されたピット側部材6との間に粘弾性部7が介在された相対変位減衰機構4が備えられている例について説明したが、これに限らず、例えば、基礎ベース板と対向部面材とが一体に形成された基礎側部材が基礎側面に固定されており、この対向部面材と、ピット側部材の第一対面材及び第二対面材との間に粘弾性部が設けられている、または、基礎側面とピット側面との間に粘弾性部が直接設けられている形態であっても構わない。
【0043】
上記実施形態においては、相対変位減衰機構4が、機械基礎1の左右方向に沿う基礎側面1aとピット側面2cとの間に設けられている例について説明したが、機械基礎1の奥行き方向に沿う基礎側面1aとピット側面2cとの間に設けられていてもよい。また、機械基礎1の左右方向に沿う基礎側面1aとピット側面2cとの間、及び、機械基礎1の奥行き方向に沿う基礎側面1aとピット側面2cとの間に各々設けられていても構わない。
【0044】
また、ピット側面と基礎側面との間に設ける相対変位減衰機構は、例えば、オイルダンパなど振動を減衰可能なダンパであれば構わない。
また、上記実施形態においては、振動構造を機械基礎1とし、支持構造を耐圧版2とした例について説明したがこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 機械基礎(振動構造に相当)
1a 基礎側面(対向部に相当)
2 耐圧版(支持構造に相当)
2a ピット
2b 水平部
2c ピット側面(立ち上がり部に相当)
3 防振部
4 相対変位減衰機構
5 基礎側部材
6 ピット側部材
7 粘弾性部
7a 上縁角部
8 支持柱(支持部に相当)
8a ローラー
8b 頂部
50 基礎ベース板
51 軸
52 回動体
53 対向部面材
54 対向部面材
55 上面材
55a 延出部
56 腕部
57 回動部
60 ピットベース板
61 第一対面材(立ち上がり部面材に相当)
61a 第一対面材の両面
62 第二対面材(立ち上がり部面材に相当)
62a 第二対面材の第一対面材側の面
63 下面材
L1 相対変位量
L2 相対変位量
L3 変位量
L4 腕部における支持柱の頂部から対向部面材の側の長さ、
L5 腕部における支持柱の頂部からから回動部の側の長さ、