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特許7596893電動車両の給電設備、電動車両、および電動車両の給電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電動車両の給電設備、電動車両、および電動車両の給電方法
(51)【国際特許分類】
   B60M 7/00 20060101AFI20241203BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241203BHJP
   B60L 53/38 20190101ALI20241203BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20241203BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241203BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20241203BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241203BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20241203BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241203BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241203BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20241203BHJP
   B60W 30/165 20200101ALI20241203BHJP
【FI】
B60M7/00 X
B60L53/12
B60L53/38
B60L53/66
G08G1/00 X
G08G1/14 A
H02J50/10
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/40
H02J50/80
B60W30/165
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021057075
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154171
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】前川 峻徳
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢二
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 怜志
(72)【発明者】
【氏名】大村 直輝
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087261(JP,A)
【文献】特開2019-092359(JP,A)
【文献】特開2013-066291(JP,A)
【文献】特開2008-207729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B60M 1/00-7/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隊列走行する複数台の電動車両に無線通信接続され、
先頭側から後尾側に向けて前記複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルと、
前記所定間隔の距離を示す給電コイル間隔情報と、前記複数台の電動車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、前記複数台の電動車両の受電コイルの位置とが正対するように前記複数台の電動車両を駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、を備えた電動車両の給電設備。
【請求項2】
前記車間演算部は、前記複数台の電動車両のいずれか、または前記複数の給電コイルを有する給電回路と前記複数台の電動車両とに通信接続された装置内に設けられる、請求項1に記載の電動車両の給電設備。
【請求項3】
後方に追従する、少なくとも1台の電動車両である従車両とともに隊列走行し、
先頭側から後尾側に向けて複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、自車両および前記従車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、自車両および前記従車両それぞれの受電コイルの位置とが正対するように駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、
算出した車間距離の情報を、前記従車両に無線送信する無線通信部と、を備えた電動車両。
【請求項4】
隊列の先頭で走行する先頭車両に追従して走行し、
先頭側から後尾側に向けて複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、自車両および自車両とともに隊列走行する他の車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、自車両および自車両とともに隊列走行する他の車両それぞれの受電コイルの位置とが正対するように駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、
前記車間演算部で算出された車間距離に基づいて、前方車両との車間距離を自動運転することで調整する運転制御部と、を備えた電動車両。
【請求項5】
隊列走行する複数台の電動車両に無線通信接続された車間演算部が、先頭側から後尾側に向けて前記複数台の電動車両が縦列に駐車することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、前記複数台の電動車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、前記複数台の電動車両の受電コイルの位置とが正対するように前記複数台の電動車両を駐車させるための各車間距離を算出し、
前記複数台の電動車両のうち、先頭車両に追従する従車両が自動運転することで、前記車間演算部で算出された車間距離に基づいて前方に隣接する車両との車間距離を調整し、
前記複数台の電動車両のうちの先頭車両が、当該先頭車両の受電コイルの位置と、前記複数の給電コイルのうち先頭の給電コイルの位置とが正対するように駐車したことにより、すべての車両の受電コイルの位置と前記複数の給電コイルの位置とが正対すると、前記複数の給電コイルそれぞれが、対応する電動車両に給電する、電動車両の給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両の給電設備、電動車両、および電動車両の給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隊列走行する複数台の電動車両の前後に送受電器を設置し、前後の車両間で電力を融通し合う技術が開発されている。この技術を用いることにより、隊列走行する複数台の電動車両の中の一部の車両のみでバッテリの電力不足が発生した場合にも、他の車両から給電を受けて隊列全体での走行を継続することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-70514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような技術を用いても、走行し続けることでバッテリの充電量は尽きてしまうため、路上や路側に設けられた給電装置により各電動車両に給電を行う必要がある。各電動車両が給電装置により給電を行う際には、複数台の電動車両の隊列状態を一旦解除し(第1ステップ)、各々の電動車両が給電装置に接近して位置合わせを行い(第2ステップ)、給電を実行する(第3ステップ)。そして、給電終了後に再度これらの電動車両で隊列を構成して(第4ステップ)、走行を開始する(第5ステップ)。
【0005】
このようにして第1~第5ステップを経て給電処理を行うと、時間と手間を要するとともに、処理が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、隊列走行する複数台の電動車両に対し、隊列状態を保持しつつ簡易な処理で同時に給電可能にするための、電動車両の給電設備、電動車両、および電動車両の給電方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電動車両の給電設備は、隊列走行する複数台の電動車両に無線通信接続され、先頭側から後尾側に向けて前記複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルと、前記所定間隔の距離を示す給電コイル間隔情報と、前記複数台の電動車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、前記複数台の電動車両の受電コイルの位置とが正対するように前記複数台の電動車両を駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、を備える。
【0008】
前記車間演算部は、前記複数台の電動車両のいずれか、または前記複数の給電コイルを有する給電回路と前記複数台の電動車両とに通信接続された装置内に設けるようにしてもよい。
【0009】
また本開示に係る電動車両は、後方に追従する、少なくとも1台の電動車両である従車両とともに隊列走行し、先頭側から後尾側に向けて複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、自車両および前記従車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、自車両および前記従車両それぞれの受電コイルの位置とが正対するように駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、算出した車間距離の情報を、前記従車両に無線送信する無線通信部と、を備える。
【0010】
また本開示に係る他の電動車両は、隊列の先頭で走行する先頭車両に追従して走行し、先頭側から後尾側に向けて複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、自車両および自車両とともに隊列走行する他の車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、自車両および自車両とともに隊列走行する他の車両それぞれの受電コイルの位置とが正対するように駐車させるための車間距離を算出する車間演算部と、前記車間演算部で算出された車間距離に基づいて、前方車両との車間距離を自動運転することで調整する運転制御部と、を備える。
【0011】
また本開示に係る電動車両の給電方法では、隊列走行する複数台の電動車両に無線通信接続された車間演算部が、先頭側から後尾側に向けて前記複数台の電動車両が縦列に駐車することが可能になるように所定間隔で設置された複数の給電コイルの間隔ごとの距離を示す給電コイル間隔情報と、前記複数台の電動車両それぞれの車体全長の情報および車体内に設置された受電コイル位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、前記複数の給電コイルの位置と、前記複数台の電動車両の受電コイルの位置とが正対するように前記複数台の電動車両を駐車させるための各車間距離を算出し、前記複数台の電動車両のうち、先頭車両に追従する従車両が自動運転することで、前記車間演算部で算出された車間距離に基づいて前方に隣接する車両との車間距離を調整し、前記複数台の電動車両のうちの先頭車両が、当該先頭車両の受電コイルの位置と、前記複数の給電コイルのうち先頭の給電コイルの位置とが正対するように駐車したことにより、すべての車両の受電コイルの位置と前記複数の給電コイルの位置とが正対すると、前記複数の給電コイルそれぞれが、対応する電動車両に給電する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の電動車両の給電設備、電動車両、および電動車両の給電方法によれば、隊列走行する複数台の電動車両に対し、隊列状態を保持しつつ簡易な処理で同時に給電可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る給電設備の構成を示すブロック図である。
図2】(a)、(b)は、第1~第3実施形態に係る給電設備の給電装置の設置例を示す図である。
図3】(a)は、第1~第3実施形態に係る給電設備で給電を行う電動車両を横から見た図であり、(b)は、第1~第3実施形態に係る給電設備の給電装置内の給電部の間隔を示す図である。
図4】第1実施形態に係る給電設備で複数台の電動車両に給電する際に給電設備および各電動車両で実行される処理を示すシーケンス図である。
図5】第1~第3実施形態に係る給電設備の各給電部に対応する位置に各電動車両が駐車した状態を横から見た図である。
図6】第2実施形態に係る給電設備の構成を示すブロック図である。
図7】第2実施形態に係る給電設備で複数台の電動車両に給電する際に給電設備および各電動車両で実行される処理を示すシーケンス図である。
図8】第3実施形態に係る給電設備の構成を示すブロック図である。
図9】第3実施形態に係る給電設備で複数台の電動車両に給電する際に給電設備および各電動車両で実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、隊列走行する複数台の電動車両に、この走行形態を維持したまま給電するため給電設備の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。下記の実施形態で説明する給電設備は、電動車両のバッテリに非接触で給電する設備である。
【0015】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による電動車両の給電設備の構成〉
第1実施形態による給電設備の構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による給電設備100Aは、隊列走行する複数台の電動車両(先頭車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30A)に、この走行形態を維持したまま給電するため給電設備である。給電設備100Aは、電動車両の走行路の一部または走行路に連結したエリアに設置された給電装置40Aを備える。
【0016】
本実施形態で給電対象とする先頭車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30Aの構成について説明する。先頭車両10Aは、後方に追従する少なくとも1台の電動車両である従車両(本実施形態では第1従車両20Aおよび第2従車両30Aの2台)とともに隊列走行し、運転手が乗車して運転操作を行う車両である。先頭車両10Aは、車載器11Aと、受電回路部12と、バッテリ13とを備える。車載器11Aは、無線通信部111と、運転制御部112と、車間演算部113とを有する。
【0017】
無線通信部111は、給電装置40Aおよび隊列走行で隣接する車両である第1従車両20Aとの無線通信を行う。運転制御部112は、自車両10Aの運転制御を行う。車間演算部113は、先頭車両10Aと第1従車両20Aとの車間距離、および第1従車両20Aと第2従車両30Aとの車間距離を算出する。受電回路部12は受電コイル121を有し、先頭車両10Aの下面に設けられ、給電装置40Aから非接触で電力供給を受ける。バッテリ13は、受電回路部12で受けた電力を充電する。
【0018】
第1従車両20Aは、先頭車両10Aを自動運転で追従して走行する無人車両であり、車載器21Aと、受電回路部22と、バッテリ23とを備える。車載器21Aは、無線通信部211と、距離センサ部212と、運転制御部213とを有する。無線通信部211は、隊列走行で隣接する車両である先頭車両10Aおよび第2従車両30Aと無線通信を行う。距離センサ部212は、隊列走行で前方に隣接する先頭車両10Aとの車間距離を計測する。運転制御部213は、自車両20Aの運転制御を行う。受電回路部22は受電コイル221を有し、第1従車両20Aの下面に設けられ、給電装置40Aから非接触で電力供給を受ける。バッテリ23は、受電回路部22で受けた電力を充電する。
【0019】
第2従車両30Aは、第1従車両20Aを自動運転で追従して走行する無人車両であり、車載器31Aと、受電回路部32と、バッテリ33とを備える。車載器31Aは、無線通信部311と、距離センサ部312と、運転制御部313とを有する。無線通信部311は、隊列走行で隣接する車両である第1従車両20Aと無線通信を行う。距離センサ部312は、隊列走行で前方に隣接する第1従車両20Aとの車間距離を計測する。運転制御部313は、自車両30Aの運転制御を行う。受電回路部32は受電コイル321を有し、第2従車両30Aの下面に設けられ、給電装置40Aから非接触で電力供給を受ける。バッテリ33は、受電回路部22で受けた電力を充電する。
【0020】
給電装置40Aは、例えば図2(a)または(b)に示すように、電動車両の走行ルートに沿って走行路R1またはR2に所定間隔で設置された複数の給電部(第1給電部41、第2給電部42、および第3給電部43)と、統括制御部44Aとを有する。図2(a)、(b)中で、41aは、第1給電部41で給電するときに該当する車両が駐車する給電スペースを示す。また、42aは、第2給電部42で給電するときに該当する車両が駐車する給電スペースを示す。また、41cは、第3給電部43で給電するときに該当する車両が駐車する給電スペースを示す。
【0021】
第1給電部41と、第2給電部42と、第3給電部43とは、先頭側から後尾側に向けて複数台の電動車両が縦列に駐車して給電することが可能になるように所定間隔で設置されている。第1給電部41と第2給電部42との間隔、および第2給電部42と第3給電部43との間隔は、電動車両が縦列に駐車できる距離、具体的には、電動車両の前後方向の長さ+余裕長を有する。第1給電部41と第2給電部42との間隔と、第2給電部42と第3給電部43との間隔は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】
図2(a)は、駐車レーンRL1と走行レーンRL2とを有する走行路R1の駐車レーンRL1に給電装置40Aが設置されている場合を示している。このように給電装置40Aが設置されているときには、走行レーンRL1を走行していた車両10A、20A、30Aは、給電装置40Aの設置場所が近づくと矢印で示すように走行車線を駐車レーンRL1に変更する。そして、それぞれ給電スペース41a、42a、43aに駐車して給電する。給電が終了すると、車両10A、20A、30Aは、矢印で示すように走行車線を走行レーンRL1に変更しながら走行を開始する。
【0023】
図2(b)は、走行路R2の一部区間に走行レーンRL3と縁石または壁Wで仕切られた給電スペースSが設けられ、この給電スペースSに給電装置40Aが設置されている場合を示している。このように給電装置40Aが設置されているときには、走行レーンRL3を走行していた車両10A、20A、30Aは、給電装置40Aの設置場所が近づくと矢印で示すように給電スペースSに進入する。そして、それぞれ給電スペース41a、42a、43aに駐車して給電する。給電が終了すると、車両10A、20A、30Aは、矢印で示すように給電スペースSから退出し走行レーンRL3に戻って走行を開始する。
【0024】
第1給電部41は、給電回路部411と、給電制御部412とを有する。給電回路部411は給電コイル411cを有し、当該給電コイル411cが給電対象の電動車両に搭載された受電回路部の受電コイルと磁気的に結合して、給電制御部412の制御により非接触で電力を供給する。給電制御部412は、後述する統括制御部44Aからの指示に従って、給電回路部411の給電オン/オフを切り替える。第2給電部42および第3給電部43は、第1給電部41と同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0025】
統括制御部44Aは、給電管理部441と、無線通信部442とを有する。給電管理部441は、給電装置40A内の第1給電部41の給電コイル411cの中心と第2給電部42の給電コイル421cの中心との間の距離、および第2給電部42の給電コイル421cの中心と第3給電部43の給電コイル431cの中心との間の距離を示す給電コイル間隔情報を保持している。給電コイル411cの中心と給電コイル421cの中心との間の距離と、給電コイル421cの中心と給電コイル431cの中心との間の距離とは、同じでも異なっていてもよい。これらの距離が同じ場合には、給電コイル間隔情報は単一情報となり、異なっている場合には、給電コイル間ごとの距離情報が配列された情報となる。
【0026】
また給電管理部441は、給電対象の電動車両から給電コイル間隔情報の要求を受けると、保持した給電コイル間隔情報を提供する。また給電管理部441は、第1給電部41、第2給電部42、および第3給電部43の動作を制御する。無線通信部442は、給電対象の先頭車両10Aとの無線通信を行う。
【0027】
〈第1実施形態による電動車両の給電設備で実行される動作〉
次に、本実施形態による給電設備100Aで実行される動作として、先頭車両10A、第1従車両20A、第2従車両30Aの順に並んで隊列走行しているこれらの車両に給電処理を行う場合について説明する。
【0028】
本実施形態において、先頭車両10Aの車載器11Aの車間演算部113は、予め、自車両10Aを含む隊列走行する車両の台数「3台」の情報、および図3(a)に示す各車両10A、20A、30Aの車体全長X[n]、および車体の前端から受電コイル121、221、321の中心位置までの距離Y[n]の情報を保持している。ここで、nは各車両に関する隊列走行における先頭車両10Aからの並び順を示し、先頭車両10Aはn=1、第1従車両20Aはn=2、第2従車両はn=3である。
【0029】
また、給電装置40Aの給電管理部441は、予め給電コイル間隔情報として、図3(b)に示す第1給電部41の給電コイル411cの中心と第2給電部42の給電コイル421cの中心との距離L1、および、第2給電部42の給電コイル421cの中心と第3給電部43の給電コイル431cの中心との距離を示す情報L2を保持している。
【0030】
これらの車両10A、20A、および30Aに給電を行う際には、隊列走行を保持した状態で先頭車両10Aの運転手が給電装置40Aの設置場所に向かって運転し、第1従車両20Aおよび第2従車両30Aがこれに追従して走行する。これらの車両10A、20A、および30Aが、給電装置40Aがあるエリアに進入して給電する際に、各車両10A、20A、30A、および給電装置40Aで実行される処理について、図4のシーケンス図を参照して説明する。
【0031】
まず、先頭車両10Aが給電装置40Aに近づくと、車載器11Aの車間演算部113が無線通信部111を介して給電装置40Aに給電コイル間隔情報の要求を送信する(S1)。このとき車間演算部113は、予め保持している隊列走行する車両の台数「3台」の情報を、給電対象の車両の台数の情報として、併せて送信する。給電装置40Aでは、無線通信部442を介して給電管理部441が給電コイル間隔情報の要求および給電対象の車両の台数の情報を取得する。
【0032】
給電管理部441は、取得した給電コイル間隔情報の要求に応答して、保持している給電コイル間隔情報を先頭車両10Aに送信する(S2)。先頭車両10Aでは、給電装置40Aから送信された給電コイル間隔情報を車載器11Aの車間演算部113が取得し、先頭車両10Aと第1従車両20Aとの車間距離CL1、および第1従車両20Aと第2従車両30Aとの車間距離CL2を算出する(S3)。これらの車間距離CL1、CL2は、給電コイル411c、421c、431cと、複数台の電動車両10A、20A、30Aの受電コイル121、221、321とがそれぞれ正対するように位置を合わせて車両10A、20A、30Aを駐車させるための情報である。
【0033】
車間演算部113で実行される車間距離の演算について、詳細に説明する。車間演算部113は、予め保持している情報(各車両のX[n]およびY[n])と、取得した給電コイル間隔情報(L1およびL2)とに基づいて各車両間隔CL1、CL2を演算する。
【0034】
先頭車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30Aがすべて同一形状である場合、つまりX[1] = X[2] = X[3] 、且つY[1] = Y[2] = Y[3] の場合には、以下のように各車間距離CL1、CL2を演算する。先頭車両10Aと第1従車両20Aとの車間距離CL1は、先頭車両10Aの後端と第1従車両20Aの前端との間隔であり、L1 - X[1] ( = X[2] = X[3] )で算出する。また、第1従車両20Aと第2従車両30Aとの車間距離CL2は、第1従車両20Aの後端と第2従車両30Aの前端との間隔であり、L2 - X[1] ( = X[2] = X[3] )で算出する。
【0035】
また、先頭車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30Aの形状が異なる場合、つまりX[1] ≠ X[2] ≠ X[3] 、またはY[1] ≠ Y[2] ≠ Y[3] の場合には、以下のように各車間距離を演算する。先頭車両10Aと第1従車両20Aとの車間距離CL1、つまり先頭車両10Aの後端と第1従車両20Aの前端との間隔は、L1 - X[1] + Y[1] - Y[2] で算出する。また、第1従車両20Aと第2従車両30Aとの車間距離CL2、つまり第1従車両20Aの後端と第2従車両30Aの前端との間隔は、L2 - X[2] + Y[2] - Y[3] で算出する。
【0036】
車間距離CL1、CL2の情報を算出すると、車間演算部113は、この車間距離CL1、CL2の情報を、受電準備指示とともに無線通信部111から第1従車両20Aに無線送信する(S4)。また、運転制御部112が受電回路部12を起動して、受電準備処理を実行する(S5)。
【0037】
第1従車両20Aは、先頭車両10Aから車間距離CL1、CL2の情報を取得すると、これらの情報のうち、隊列走行している車両(10A、20A、30A)の中の自車両20Aの並び順(2番目)に対応する車間距離CL1の情報を抽出する。そして、運転制御部213が距離センサ部212で計測された情報に基づいて、走行スピードを自動運転で変更することで、先頭車両10Aとの車間距離がCL1になるように調整する。具体的には、走行スピードを上げれば車間距離が縮まり、走行スピードを下げれば車間距離が伸びる。
【0038】
また、取得した受電準備指示に従って、運転制御部213が受電回路部22を起動して受電準備処理を実行する(S6)。また、運転制御部213は、取得した車間距離CL1、CL2の情報を、受電準備指示とともに無線通信部211から第2従車両30Aに無線送信する(S7)。
【0039】
第2従車両30Aは、車間距離CL1、CL2の情報を取得すると、これらの情報のうち、隊列走行している車両(10A、20A、30A)の中の自車両30Aの並び順(3番目)に対応する車間距離CL2の情報を抽出する。そして、運転制御部313が距離センサ部312で計測された情報に基づいて、走行スピードを自動運転で変更することで、第1従車両20Aとの車間距離がCL2になるように調整する。
【0040】
また、取得した受電準備指示に従って、運転制御部313が受電回路部32を起動して受電準備処理を実行する(S8)。そして運転制御部313は、受電回路部32の受電準備処理が完了したことを検知すると、受電準備完了通知を第1従車両20Aに送信する(S9)。
【0041】
第1従車両20Aでは、第2従車両30Aから送信された受電準備完了通知が運転制御部213で取得される。運転制御部213は、自車両20Aの受電回路部22の受電準備処理が完了したことを検知すると、第2従車両30Aおよび第1従車両20Aの受電準備完了通知を、先頭車両10Aに送信する(S10)。
【0042】
また、上述したステップS1~S10処理と並行して、先頭車両10Aの運転手が、先頭車両10Aの受電回路部12の受電コイル121が、第1給電部41の給電回路部411の給電コイル411cに正対するように位置を合わせて、先頭車両10Aを給電スペース41aに駐車させる(S11)。ここで、給電スペース41aに対応する路面には、給電対象の電動車両が適切に受電できる位置に駐車するための目印の一例である枠線が描かれている。先頭車両10Aの運転手は、この枠線に先頭車両10Aの所定位置(例えば車体の前端)を合わせて駐車することで、受電コイル121が給電コイル411cに正対した位置で駐車させることができる。
【0043】
本実施形態では、ステップS8で第2従車両30Aが第1従車両20Aとの車間距離CL2を調整した後に、先頭車両10Aが給電スペース41aに駐車したものとする。このとき、先頭車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30Aは隊列状態が保たれ、先頭車両10Aと第1従車両20Aとの車間距離がCL1に保たれ、第1従車両20Aと第2従車両30Aとの車間距離がCL2に保たれている。これにより、図5に示すように、第1従車両20Aの受電コイル221が第2給電部42の給電コイル421cに合うように第1従車両20Aが自動駐車される。また、第2従車両30Aの受電コイル321が第3給電部43の給電コイル431cに合うように第2従車両30Aが自動駐車される。
【0044】
先頭車両10Aでは、第1従車両20Aから送信された第2従車両30Aの受電準備完了通知および第1従車両20Aの受電準備完了通知が、運転制御部112で取得される。運転制御部112は、自車両10Aの受電準備処理が完了し、給電スペース41aへの駐車が完了し、第1従車両20Aから従車両20Aおよび30Aの受電準備完了通知を受信すると、全車両受電準備完了通知を給電装置40Aに送信する(S12)。この全車両受電準備完了通知は、すべての車両10A、20A、30Aが所定位置に駐車して受電準備が完了したことを示している。
【0045】
給電装置40Aでは、先頭車両10Aから送信された全車両受電準備完了通知が給電管理部441で取得される。給電管理部441は、全車両受電準備完了通知を取得すると、給電部41、42、43のうち、先頭から給電対象の車両の台数分の給電部に対し、給電開始指示を送出する。ここでは、給電対象の車両の台数が3台であるため、第1給電部41の給電制御部412、第2給電部42の給電制御部422、および第3給電部43の給電制御部432に給電開始指示を送出する。給電部の数(m)よりも給電対象の車両の台数の方が多い場合には、隊列する複数台の電動車両のうち先頭のm台の車両にのみ、給電が実行される。給電開始指示を取得した給電制御部412は給電回路部411を起動して給電処理を開始させる。また給電制御部422は、給電回路部421を起動して給電処理を開始させる。また給電制御部432は、給電回路部431を起動して給電処理を開始させる(S13)。
【0046】
給電回路部411で給電処理が開始されると、先頭車両10Aの受電回路部12で受電が開始され、バッテリ13に充電される。また、給電回路部421で給電処理が開始されると、第1従車両20Aの受電回路部22で受電が開始され、バッテリ23に充電される。また、給電回路部431で給電処理が開始されると、第2従車両30Aの受電回路部32で受電が開始され、バッテリ33に充電される。
【0047】
その後、所定の条件(例えば一定時間が経過した、または先頭車両10Aのバッテリ13が満充電になった等)が成立すると、統括制御部44Aの給電管理部441は、各給電部41、42、43の給電制御部412、422、432に対して給電停止を指示する。給電制御部412、422、432は、給電停止の指示を受けると、給電処理を停止させる。
【0048】
給電処理の停止後、車両10Aの運転手が走行を開始させると、第1従車両20Aおよび第2従車両30Aがこれに追従して走行を開始し、車両10A、第1従車両20A、および第2従車両30Aの順の隊列状態を保ったまま走行する。走行開始後は、これらの車両同士の車両間隔はステップS3で算出された間隔にする必要はなく、走行に適した間隔になるように調整して走行する。例えば、高速道路を走行する場合には、車両同士の車両間隔が長めになるように調整する。
【0049】
以上の第1実施形態で説明した給電設備100Aと先頭車両10Aと従車両20A,30Aとにより、隊列走行する先頭車両10Aおよび従車両20A,30Aに、この走行形態を維持したまま給電設備100Aで適切に給電する給電システムを構築することができる。
【0050】
以上の第1実施形態によれば、隊列走行する複数台の電動車両に、隊列を保持した状態で同時に給電可能に構成することで、給電のために車両の隊列を解除したり、再度構築したりする工程を必要とせず、これらに要する時間を省くことができる。また、各車両が給電のために駐車する際には、先頭車両のみが給電スペースに対する駐車位置の位置決め処理を行えば良く、他の従車両は先頭車両に所定の車間距離で追従するのみで給電部に対応して適切に駐車することができる。これにより、簡易な処理で、複数台の電動車両が適切な給電位置に同時に駐車することができる。
【0051】
また、本実施形態では電動車両の給電に非接触給電を用いており給電時にケーブル接続作業を必要としないため、給電の際に、人が運転する電動車両においては運転手が降車する必要がなく、また無人の電動車両においては人が出向く必要がない。そのため、複数台の電動車両すべてに対し、無人状態のままで給電処理を行うことができる。
【0052】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による電動車両の給電設備の構成〉
第2実施形態による給電設備の構成について、図6を参照して説明する。本実施形態による給電設備100Bは、先頭車両10Aの車間演算部113に替えて、給電装置40Bの統括制御部44Bに車間演算部443が設けられている他は、第1実施形態で説明した給電設備100Aの構成と同様である。そのため、給電設備100Aと同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0053】
〈第2実施形態による電動車両の給電設備で実行される動作〉
本実施形態による給電設備100Bで実行される動作として、先頭車両10B、第1従車両20B、第2従車両30Bの順に並んで隊列走行しているこれらの車両に給電処理を行う場合について説明する。
【0054】
本実施形態による給電設備100Bで実行される動作について、図7のシーケンス図を参照して説明する。本実施形態において、先頭車両10Bの車載器11Aの運転制御部112は、予め、隊列走行する車両の台数「3台」の情報、および各車両10B、20B、30Bの全長X[n]、および前端から各受電コイル121、221、321の中心位置までの距離Y[n]の情報を保持している。
【0055】
また、給電装置40Bの車間演算部443は、予め給電コイル間隔情報として、第1給電部41の給電コイル411cの中心と第2給電部42の給電コイル421cの中心との距離L1、および、第2給電部42の給電コイル421cの中心と第3給電部43の給電コイル431cの中心との距離を示す情報L2を保持している。
【0056】
本実施形態において、隊列走行する先頭車両10B、第1従車両20B、および第2従車両30Bが給電を行う際には、先頭車両10Bの運転手が給電装置40Bの設置場所に向かって運転し、第1従車両20Bおよび第2従車両30Bがこれに追従して走行する。
【0057】
これらの車両10B、20B、および30Bが給電装置40Bに近づくと、先頭車両10Bの車載器11Bの運転制御部112が、無線通信部111を介して給電装置40Bに車間距離情報の要求を送信する(S21)。このとき運転制御部112は、予め保持している隊列走行する車両の台数「3台」の情報、および各車両10B、20B、30Bの全長X[n]、および各車両の前端から各受電コイル121、221、321の中心位置までの距離Y[n]の情報を併せて送信する。
【0058】
給電装置40Bでは、先頭車両10Bから送信された情報が無線通信部442を介して車間演算部443で取得される。車間演算部443は、先頭車両10Bから取得した情報、および予め保持した給電コイル間隔情報に基づいて、先頭車両10Bと第1従車両20Bとの車間距離CL1、および第1従車両20Bと第2従車両30Bとの車間距離CL2を算出する。そして、算出した車間距離CL1およびCL2を先頭車両10Bに送信する(S22)。
【0059】
車間演算部443で実行される車間距離の演算処理および先頭車両10Bが車間距離CL1、CL2の情報を取得した後に実行されるステップS23~S32の処理は、第1実施形態で説明したステップS4~S13の処理と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0060】
以上の第2実施形態で説明した給電設備100Bと先頭車両10Bと従車両20B,30Bとにより、隊列走行する先頭車両10Aおよび従車両20A,30Aに、この走行形態を維持したまま給電設備100Bで適切に給電する給電システムを構築することができる。
【0061】
以上の第2実施形態によれば、先頭車両10Bにおける演算処理負荷を低減させつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による電動車両の給電設備の構成〉
第3実施形態による給電設備の構成について、図8を参照して説明する。本実施形態による給電設備100Cは、第1実施形態で説明した給電設備100Aの先頭車両10Aの車間演算部113に替えて、第1従車両20Cの車載器21Cおよび第2従車両30Cの車載器31Cにそれぞれ、車間演算部214、314が設けられている。他の構成については、給電設備100Aと同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0063】
〈第3実施形態による電動車両の給電設備で実行される動作〉
本実施形態による給電設備100Cで実行される動作として、先頭車両10C、第1従車両20C、第2従車両30Cの順に並んで隊列走行しているこれらの車両に給電処理を行う場合について説明する。
【0064】
本実施形態による給電設備100Cで実行される動作について、図9のシーケンス図を参照して説明する。先頭車両10Cの車載器11Cの運転制御部112は、予め、隊列走行する車両の台数「3台」の情報を保持している。また、第1従車両20Cの車間演算部214は、自車両20Cが隊列走行の2台目に位置することを示す情報、前方に隣接する先頭車両10Cの全長X[1]、先頭車両10Cの前端から受電コイル121の中心位置までの距離Y[1]、および自車両20Cの前端から受電コイル221の中心位置までの距離Y[2]の情報を保持している。また、第2従車両30Cの車間演算部314は、自車両30Cが隊列走行の3台目に位置することを示す情報、前方に隣接する第1従車両20Cの全長X[2]、第1従車両20Cの前端から受電コイル221の中心位置までの距離Y[2]、および自車両30Cの前端から受電コイル321の中心位置までの距離Y[3]の情報を保持している。
【0065】
また、給電装置40Cの給電管理部441は、予め給電コイル間隔情報として、第1給電部41の給電コイル411cの中心と第2給電部42の給電コイル421cの中心との距離L1、および、第2給電部42の給電コイル421cの中心と第3給電部43の給電コイル431cの中心との距離を示す情報L2を保持している。
【0066】
本実施形態において、隊列走行する先頭車両10C、第1従車両20C、および第2従車両30Cが給電を行う際には、先頭車両10Cの運転手が給電装置40Cの設置場所に向かって運転し、第1従車両20Cおよび第2従車両30Cがこれに追従して走行する。
【0067】
これらの車両10C、20C、および30Cが給電装置40Cに近づくと、先頭車両10Cの車載器11Cの運転制御部112が、無線通信部111を介して給電装置40Cに給電コイル間隔情報の要求を送信する(S41)。このとき車間演算部113は、予め保持している隊列走行する車両の台数「3台」の情報を、給電対象の車両の台数の情報として、併せて送信する。給電装置40Cでは、無線通信部442を介して給電管理部441が給電コイル間隔情報の要求および給電対象の車両の台数の情報を取得する。
【0068】
給電管理部441は、取得した給電コイル間隔情報の要求に応答して、保持している給電コイル間隔情報を先頭車両10Cに送信する(S42)。先頭車両10Cでは、給電装置40Cから送信された給電コイル間隔情報を車載器11Cの運転制御部112が取得し、受電準備指示とともに無線通信部111から第1従車両20Cに無線送信する(S43)。また、運転制御部112が受電回路部12を起動して受電準備処理を実行する(S44)。
【0069】
第1従車両20Cでは、先頭車両10Cから送信された情報が、無線通信部211を介して車間演算部214で取得される。車間演算部214は、先頭車両10Cから取得した給電コイル間隔情報と、予め保持した情報(X[1]、Y[1]、およびY[2])とに基づいて、先頭車両10Cと第1従車両20Cとの車間距離CL1を算出する(S45)。
【0070】
次に、運転制御部213が車間演算部214で算出された車間距離CL1を取得し、距離センサ部212で計測された情報に基づいて、走行スピードを自動運転で変更することで、先頭車両10Cとの車間距離がCL1になるように調整する。
【0071】
また、取得した受電準備指示に従って、運転制御部213が受電回路部22を起動して受電準備処理を実行する(S46)。また、運転制御部213は、先頭車両10Cから取得した給電コイル間隔情報を、受電準備指示とともに無線通信部211から第2従車両30Cに無線送信する(S47)。
【0072】
第2従車両30Cでは、第1従車両20Cから送信された情報が、無線通信部311を介して車間演算部314で取得される。車間演算部314は、第1従車両20Cから取得した給電コイル間隔情報と、予め保持した情報(X[2]、Y[2]、およびY[3])とに基づいて、第1従車両20Cと第2従車両30Cとの車間距離CL2を算出する(S48)。
【0073】
次に、運転制御部313が車間演算部314で算出された車間距離CL2を取得し、距離センサ部312で計測された情報に基づいて、走行スピードを自動運転で変更することで、第1従車両20Cとの車間距離がCL2になるように調整する。
【0074】
また、取得した受電準備指示に従って、運転制御部313が受電回路部32を起動して受電準備処理を実行する(S49)。そして運転制御部313は、受電回路部32の受電準備処理が完了したことを検知すると、受電準備完了通知を第1従車両20Cに送信する(S50)。
【0075】
第1従車両20Cでは、第2従車両30Cから送信された受電準備完了通知が運転制御部213で取得される。運転制御部213は、自車両20Cの受電回路部22の受電準備処理が完了したことを検知すると、第2従車両30Cおよび第1従車両20Cの受電準備完了通知を、先頭車両10Cに送信する(S51)。以降に、ステップS52~S54で実行される処理は、第1実施形態で説明したステップS11~S13の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
以上の第3実施形態で説明した給電設備100Cと先頭車両10Cと従車両20C,30Cとにより、隊列走行する先頭車両10Cおよび従車両20C,30Cに、この走行形態を維持したまま給電設備100Cで適切に給電する給電システムを構築することができる。
【0077】
以上の第3実施形態によれば、先頭車両10Cにおける演算処理負荷を低減させつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
上述した第1~第3実施形態では、先頭車両10A、10B、10Cと給電装置40Aとが直接無線通信を行う場合について説明したが、Webアプリケーション等を用いて通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上述した第1~第3実施形態においては、複数台の電動車両を複数の給電装置それぞれに対応して駐車させる際に、車両間の車間距離を調整してから先頭車両が所定の給電スペースに駐車する場合について説明した。しかしこれには限定されず、先頭車両が所定の給電スペースに駐車し、各従車両も先頭車両の後方で停車している状態で、各従車両が車間距離の調整を行ってもよい。
【0080】
また、上述した第1~第3実施形態においては、隊列走行する車両が3台の場合について説明したが、この台数には限定されず、2台または4台以上であってもよい。隊列走行する車両が4台以上の場合には、上述した第1従車両と第2従車両との間で送受信された情報が、第3以降の従車両との間でも順次送受信される。
【0081】
また、上述した第1~第3実施形態においては、受電コイルを有する受電回路部が電動車両の下面に設置され、給電コイルを有する給電装置の給電部が走行路上に設置された場合について説明したが、この設置形態には限定されない。例えば、受電コイルと給電コイルとが正対するように、受電コイルを有する受電回路部が電動車両の側面に設置され、給電コイルを有する給電装置の給電部が走行路に沿う壁面に設置されていてもよい。また、受電回路部と受電コイル、および、給電回路部と給電コイルは、それぞれ一体構造でなくてもよい。これらが一体構造ではない場合には、受電コイルと給電コイルとが正対する形態であれば、受電回路部の設置位置は電動車両内で限定されず、給電回路部の設置位置は給電部内で限定されない。
【0082】
また、上述した第1~第3実施形態においては、先頭車両には運転手が乗車して運転操作を行う場合について説明したが、先頭車両も従車両のように、無人で自動運転するようにしてもよい。先頭車両が自動運転を行う場合には、当該先頭車両が、給電スペースの所定の目印(枠線等)を認識し、当該目印に車体の所定位置を合わせて駐車する機能を有する。
【0083】
また、上述した第1実施形態では車間演算部が先頭車両に設けられた場合について説明し、第2実施形態では給電装置に設けられた場合について説明し、第3実施形態では各従車両に設けられた場合について説明した。しかしこれには限定されず、車間演算部を、先頭車両および給電装置と通信可能な他の装置内に設けてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10A、10B、10C 先頭車両
113、214、314、443 車間演算部
20A、20B、20C 第1従車両
30A、30B、30C 第2従車両
121、221、321 受電コイル
40A、40B、40C 給電装置
41、42、43 給電部
411c、421c、431c 給電コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9