(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20241203BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20241203BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
H02G3/16
H01R4/58 C
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021066184
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝瀬 俊介
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-004733(JP,A)
【文献】特開2018-007424(JP,A)
【文献】特開2008-125317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H01R 4/58
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が取り付けられるベース部材と、
前記電気部品に接続される接続部材とを備え、
前記ベース部材は、
前記接続部材を収容する収容空間と、
前記収容空間を前記ベース部材の外面に開口させる開口部
と、
前記電気部品を保持する保持部材と、
前記接続部材が固定される端子台と、を有し、
前記保持部材と前記端子台との間の空間が、前記収容空間として機能し、
前記ベース部材には、前記収容空間内の前記接続部材が前記開口部から離脱することを規制する離脱規制部が形成されている電気接続箱。
【請求項2】
前記保持部材は、前記接続部材よりも多数の前記電気部品を保持可能であり、
前記離脱規制部が前記端子台のみに形成されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
電気部品が取り付けられるベース部材と、
前記電気部品に接続される接続部材と、
基板部と、前記基板部から延出した四半円弧形の曲げ部と、前記曲げ部から前記基板部に対して直角方向へ延出した接続板部とを有するバスバーと、を備え、
前記ベース部材は、前記接続部材を収容する収容空間と、前記収容空間を前記ベース部材の外面に開口させる開口部とを有し、
前記ベース部材には、前記収容空間内の前記接続部材が前記開口部から離脱することを規制する離脱規制部が形成され、
前記バスバーは、前記接続板部を前記接続部材に重ね、前記曲げ部を前記接続部材の外側面と対向させた状態で配置され、
前記離脱規制部は、前記接続部材と前記曲げ部との間に配置されている電気接続箱。
【請求項4】
電気部品が取り付けられるベース部材と、
前記電気部品に接続される接続部材とを備え、
前記ベース部材は、前記接続部材を収容する収容空間と、前記収容空間を前記ベース部材の外面に開口させる開口部と、前記電気部品を収容する部品収容室と、を有し、
前記ベース部材には、前記収容空間内の前記接続部材が前記開口部から離脱することを規制する離脱規制部が形成され、
前記部品収容室は、前記ベース部材の側方へ開放されており、
前記ベース部材には、前記部品収容室の側方への開放面を塞ぐ側壁部材が取り付けられ、
前記側壁部材が、前記収容空間の前記開口部を覆っている電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製の電子部品ブロックにバスバーを取り付けた電気接続箱が開示されている。バスバーを電子部品ブロックに取り付ける際には、面押し治具を用い、バスバーを電子部品ブロックのバスバー組み付け部に押し込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電気接続箱は、面押し治具を用いなければならない程、バスバーをバスバー組み付け部に対して強く押し付ける。強く押し付ける必要があるということは、圧入構造による摩擦抵抗によって、バスバーを組付け状態に保持すると推察される。しかし、面押し治具を用い、摩擦に抗して強く押し付ける作業は、作業者への負担が大きい。
【0005】
この対策としては、電気部品ブロックに形成した溝部に、バスバーを自重によって落とし込み、溝部の開口部を別部材で塞ぐ構造が考えられる。しかし、この構造では、溝部の開口部が別部材で塞がれていない状態で、電気接続箱を上下反転させると、バスバーが重力によって落下するため、作業者が手で開口部を塞いでおく必要があり、依然として組み付け作業性の点で課題が残る。
【0006】
本開示の電気接続箱は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、組付けの作業性に優れた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電気接続箱は、
電気部品が取り付けられるベース部材と、
前記電気部品に接続される接続部材とを備え、
前記ベース部材は、前記接続部材を収容する収容空間と、前記収容空間を前記ベース部材の外面に開口させる開口部とを有し、
前記ベース部材には、前記収容空間内の前記接続部材が前記開口部から離脱することを規制する離脱規制部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、組付けの作業性に優れた電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の電気接続箱の斜視図である。
【
図2】
図2は、電気接続箱をベース部材と側壁部材とに分離した状態をあらわす斜視図である。
【
図3】
図3は、ベース部材に電気部品を取り付けた状態をあらわす斜視図である。
【
図4】
図4は、ベース部材を保持部材と端子台と接続部材とに分離した状態をあらわす斜視図である。
【
図5】
図5は、側壁部材を側壁本体とバスバーとに分離した状態をあらわす斜視図である。
【
図6】
図6は、離脱規制部によって接続部材の離脱を規制している状態をあらわす部分拡大側面図である。
【
図7】
図7は、離脱規制部によって接続部材の離脱を規制している状態をあらわす部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
(1)電気部品が取り付けられるベース部材と、前記電気部品に接続される接続部材とを備え、前記ベース部材は、前記接続部材を収容する収容空間と、前記収容空間を前記ベース部材の外面に開口させる開口部とを有し、前記ベース部材には、前記収容空間内の前記接続部材が前記開口部から離脱することを規制する離脱規制部が形成されている。本開示の構成によれば、ベース部材が開口部を下向きにする姿勢になっても、接続部材は、離脱規制部によって収容空間内に収容された状態に保持されるので、ベース部材や接続部材に他部材を組み付ける際の作業性に優れている。
【0011】
(2)前記ベース部材は、前記電気部品を保持する保持部材と、前記接続部材が固定される端子台とを備え、前記保持部材と前記端子台との間の空間が、前記収容空間として機能することが好ましい。この構成によれば、保持部材と端子台を組み付ける際に、保持部材と端子台との間で接続部材を挟むことによって、接続部材を収容空間に収容することができる。ベース部材の組付けと、ベース部材に対する接続部材の組付けを、一工程で同時に行うことができるので、組み付け作業性に優れている。
【0012】
(3)(2)において、前記保持部材は、前記接続部材よりも多数の前記電気部品を保持可能であり、前記離脱規制部が前記端子台のみに形成されていることが好ましい。保持部材は、複数の電気部品を保持するための構造が必要なので形状が複雑である。そこで、離脱規制部を、保持部材よりも形状がシンプルな端子台に形成した。これにより、離脱規制部を形成することに起因して保持部材の形状が複雑化することを回避し、保持部材を成型するための金型コストを低減することができる。
【0013】
(4)基板部と、前記基板部から延出した四半円弧形の曲げ部と、前記曲げ部から前記基板部に対して直角方向へ延出した接続板部とを有するバスバーを備え、前記バスバーは、前記接続板部を前記接続部材に重ね、前記曲げ部を前記接続部材の外側面と対向させた状態で配置され、前記離脱規制部は、前記接続部材と前記曲げ部との間に配置されていることが好ましい。この構成によれば、接続部材と曲げ部との間のデッドスペースに離脱規制部を配置したので、離脱規制部を配置するための専用スペースが不要である。
【0014】
(5)前記ベース部材は、前記電気部品を収容する部品収容室を有し、前記部品収容室は、前記ベース部材の側方へ開放されており、前記ベース部材には、前記部品収容室の側方への開放面を塞ぐ側壁部材が取り付けられ、前記側壁部材が、前記収容空間の前記開口部を覆っていることが好ましい。この構成によれば、接続部材が収容空間から離脱することを、側壁部材によって確実に防止することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示の電気接続箱を具体化した実施例1を、
図1~
図7を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、電気接続箱Aの前後の方向については、
図1~5における斜め左下方、及び
図6の左方を前方と定義する。上下の方向については、
図1~7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図6の紙面と直交する方向を左右方向と定義し、
図7にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0016】
<電気接続箱Aの概要>
図1,2に示すように、本実施例1の電気接続箱Aは、1つのベース部材10と左右対称な一対の側壁部材11を備えている。一対の側壁部材11は、ベース部材10に対して左右から挟むように組み付けられている。
図1に示すように、電気接続箱Aは、ベース部材10と一対の側壁部材11とによって区画された部品収容室12を有している。部品収容室12は、電気接続箱Aの上面に開放されている。部品収容室12内には、ヒュージブルリンク等の複数の電気部品58(
図3参照)が収容されるようになっている。
【0017】
ベース部材10の前端部には左右一対の前側嵌合部13が形成され、ベース部材10の後端部には左右一対の後側嵌合部14が形成されている。
図2,5に示すように、側壁部材11の前端部には左右一対の前側嵌込み部15が形成され、側壁部材11の後端部には左右一対の後側嵌込み部16が形成されている。前側嵌合部13と前側嵌込み部15との嵌合、及び後側嵌合部14と後側嵌込み部16との嵌合によって、ベース部材10と側壁部材11が組付け状態に保持されている。
【0018】
<ベース部材10>
ベース部材10は、合成樹脂製の保持部材17と、保持部材17とは別体の部品である合成樹脂製の端子台21と、左右対称な一対の接続部品としてのプレート28とを備えている。ベース部材10に取り付けられる電気部品58の数は、プレート28の数よりも多い。保持部材17は、長辺を前後方向に向けた直方形をなす本体部18と、本体部18の前端縁から上方へ延出した前板部19と、本体部18の後端縁から上方へ延出した後板部20とを有する単一部品である。本体部18の上面と、前板部19の後面と、後板部20の前面とで囲まれた空間は、部品収容室12として機能する。ベース部材10に側壁部材11を組み付けいない状態では、部品収容室12が、ベース部材10の上面及びベース部材10の左右両側面においてベース部材10の外部へ開放されている。後板部20の左右両端部には、一対の後側嵌合部14が形成されている。
【0019】
図4に示すように、端子台21は、板厚方向を前後方向に向けた支持板部22と、板厚方向を上下方向に向けた受け板部23とを有する単一部品である。受け板部23には、上下に貫通するボルト孔24が形成されている。端子台21の左右両端部には、一対の前側嵌合部13が形成されている。端子台21は、支持板部22で前板部19の前面を覆うようにして、保持部材17に組み付けられている。
【0020】
図6に示すように、保持部材17の前板部19と端子台21の支持板部22との間には、左右一対の収容空間25が形成されている。一対の収容空間25は、隔壁部26(
図4参照)を挟んで左右に並ぶように配置されている。収容空間25は、ベース部材10の左右両外側面において上下方向のスリット状の開口部27として開放されている。収容空間25の上端部は、ベース部材10の前方へ左右方向のスリット状に開放されている。
【0021】
図4に示すように、プレート28は、細長い金属板材を直角に曲げ加工して成形された単一部品である。プレート28は、互いに直角をなして連なる板状給電部29と板状取付部30を有する。板状給電部29は、板厚方向を前後方向に向けた平板状をなす。板状給電部29の正面視形状は、長辺を上下方向に向けた長方形である。板状給電部29には、前後方向に貫通する給電用接続孔31が形成されている。板状取付部30は、板厚方向を上下方向に向けた平板状をなし、板状給電部29の上端縁から前方へ延出している。板状取付部30の平面視形状は方形である。板状取付部30には、上下方向に貫通する取付孔32が形成されている。
【0022】
図6に示すように、プレート28は、板状給電部29を収容空間25内に収容した状態でベース部材10に組み付けられている。プレート28をベース部材10に組み付けた状態では、板状取付部30が、収容空間25の上端から前方外部へ露出し、端子台21の受け板部23に載置されている。これにより、プレート28は、ベース部材10、即ち端子台21に対して下方へ相対移動することが規制されている。板状給電部29の上端部、即ち板状取付部30の後端部には、前板部19から突出した抑え突部33が当接している。これにより、プレート28は、端子台21に対して上方へ相対移動することを規制されている。
【0023】
板状給電部29のうち給電用接続孔31の孔縁部は、支持板部22の前面において端子台21の外部へ露出している。板状給電部29には、バッテリー(図示省略)に接続された給電端子(図示省略)が、給電用接続孔31を利用して接続されている。
【0024】
収容空間25の開口部27においては、板状給電部29の外側面の全体が露出している。そのため、収容空間25内のプレート28が、左右方向へスライドしつつ開口部27からベース部材10の外部へ離脱することが懸念される。その対策として、板状取付部30が載置されている受け板部23に、離脱規制部34が設けられている。
図4,6,7に示すように、離脱規制部34は、受け板部23の左右両側縁のうち開口部27側の側縁に配置され、前後方向に細長いリブ状をなしている。離脱規制部34は、受け板部23の上方へ突出し、板状取付部30に対して左右方向外側から対向するように配置されている。収容空間25内の板状給電部29が開口部27から左右方向外方へ離脱しようとしても、板状取付部30が離脱規制部34に当接することによって、板状給電部29の離脱が防止される。これにより、プレート28は、ベース部材10に組み付けられた状態に保持される。
【0025】
<側壁部材11>
側壁部材11は、合成樹脂製の側壁本体40と、金属製のバスバー41とを組み付けて構成されている。側壁本体40は、平面視形状が前後方向に細長く、壁厚方向を左右方向に向けた単一部品である。側壁本体40の内部には、1つのバスバー収容室(図示省略)と、複数のキャビティ(図示省略)と、複数のヒューズ収容室42とが形成されている。バスバー収容室は、前後寸法及び上下寸法に対して左右寸法の小さい幅狭の空間である。側壁本体40の下面において、バスバー収容室は前後方向のスリット状に開口している。バスバー収容室にはバスバー41が取り付けられている。
【0026】
バスバー41は、所定形状に打ち抜いた金属製の平板に、曲げ加工を施して成形された単一部品である。
図5に示すように、バスバー41は、板厚方向を左右方向に向けた1枚の平板状の基板部43と、1枚の平板状の放熱板部44と、複数のタブ45と、1つの接続板部46とを有する。バスバー41を左右方向から見た側面視において、基板部43と放熱板部44は長方形をなす。放熱板部44は、基板部43の内側面に重なるように配置されている。基板部43の下端と放熱板部44の下端は、U字形断面の折返部47を介して繋がっている。複数のタブ45は、基板部43の上端縁から上方へ突出し、前後方向に間隔を空けて並ぶように配置されている。
【0027】
基板部43は、基板部43の前端縁から前方へ面一状に突出した支持部48を含む。接続板部46は、平板状をなし、曲げ部49を介して支持部48の上端縁に支持されている。バスバー41を前方から見た正面視において、曲げ部49は四半円弧形をなす。曲げ部49の下端部と支持部48の上端部は接線状に連なっている。曲げ部49は、支持部48から基板部43よりも内側、即ち左右方向において基板部43よりもベース部材10側へ突出している。接続板部46は、曲げ部49の突出端部から、内側へ接線状に延出している。接続板部46は、水平な向きに支持され、基板部43に対して直角をなしている。接続板部46には、上下方向に貫通する貫通孔50が形成されている。
【0028】
バスバー41は、基板部43と放熱板部44とタブ45をバスバー収容室内に収容した状態で、側壁本体40に組み付けられている。バスバー41の接続板部46は、側壁本体40の外部に露出し、左右方向において側壁本体40よりも内側、即ちベース部材10側へ突出している。接続板部46は、プレート28の板状取付部30の上面に載置されている。
【0029】
側壁本体40の上端部には、幅広の拡幅部51が形成されている。拡幅部51内には、側壁本体40の上面に開口する複数のヒューズ収容室42が、前後方向に一列に並ぶように配置されている。複数のヒューズ収容室42の下端部は、バスバー収容室と連通している。ヒューズ収容室42には、側壁部材11の上方からヒューズ52が取り付けられる。ヒューズ52の一方のリード53は、バスバー41のタブ45に接続される。拡幅部51の下端側領域内には、側壁本体40の下面に開口する複数のキャビティが、前後方向に一列に並ぶように配置されている。複数のキャビティの上端は、複数のヒューズ収容室42の下端に対して個別に連通している。各キャビティ内には、ワイヤーハーネスを構成する複数の電線54に個別に接続されたハーネス端子55が収容されている。ハーネス端子55は、ヒューズ52の他方のリード53に接続される。
【0030】
<電気接続箱Aの組み付け手順>
電気接続箱Aを組み付ける際には、
図4に示すように、保持部材17と端子台21を分離した状態にしておく。この状態で、板状取付部30を受け板部23に載置し、端子台21の後面に板状給電部29を重ねた状態で、プレート28を端子台21に仮保持させる。次に、端子台21とプレート28を、保持部材17に対して下から圧入することによって組み付ける。端子台21を保持部材17に組み付けることによって収容空間25が構成されるとともに、収容空間25内にプレート28の板状給電部29が収容され、ベース部材10の組付けが完了する。
【0031】
ベース部材10を組み付けた後、電気部品58を、ベース部材10の上方から部品収容室12に収容するようにして保持部材17に取り付ける。
図3に示すように、部品収容室12は、ベース部材10の左右両側方へ開放されているので、作業者が電気部品58を左右から摘むようにすれば、電気部品58を摘んでいる指がベース部材10と干渉することはない。したがって、
電気部品58を取付る際の作業性が良い。電気部品58を自動機で取り付ける場合も、自動機のフィンガーで電気部品58を左右から挟むように保持すれば、フィンガーがベース部材10と干渉することはない。
【0032】
ベース部材10に側壁部材11が組み付けられていない状態では、ベース部材10の外側面において収容空間25の全領域が開口部27として開放されている。そのため、ベース部材10を側面が下向きになるように姿勢に傾けたときに、開口部27から板状給電部29が抜け落ちることが懸念される。しかし、端子台21には、板状取付部30が左右方向へ位置ずれすることを規制する離脱規制部34が形成されているので、ベース部材10を傾けても、プレート28が保持部材17及び端子台21から離脱することはない。
【0033】
この後、ベース部材10に一対の側壁部材11を組み付けると、部品収容室12が側壁部材11によって左右両側から覆われ、電気接続箱Aの組付けが完了する。部品収容室12は、前後方向及び左右方向から全周に亘って囲まれた状態になる。
【0034】
側壁部材11をベース部材10に組み付けた状態では、側壁部材11の前端部が、収容空間25の開口部27を覆うように位置する。バスバー41の接続板部46は、プレート28の板状取付部30の上面に重ねられる。貫通孔50と取付孔32とボルト孔24にはボルト(図示省略)が貫通されている。ボルトを、受け板部23の下面に設けたナット(図示省略)にねじ込んで締め付けることによって、プレート28とバスバー41が端子台21に固定されている。
図7に示すように、接続板部46から斜め下方へ延出する曲げ部49と支持部48の上端部は、離脱規制部34の全体を上方及び側方から覆うように位置する。
【0035】
<実施例の作用及び効果>
本実施例の電気接続箱Aは、電気部品58が取り付けられるベース部材10と、電気部品58に接続されるプレート28とを備えている。ベース部材10は、プレート28の少なくとも一部を収容する収容空間25と、収容空間25をベース部材10の外面に開口させる開口部27とを有する。ベース部材10には、収容空間25内のプレート28が開口部27から離脱することを規制する離脱規制部34が形成されている。ベース部材10が開口部27を下向きにする姿勢になっても、プレート28は、離脱規制部34によって収容空間25内に収容された状態に保持される。したがって、本実施例の電気接続箱Aは、ベース部材10やプレート28に他部材を組み付ける際の作業性に優れている。
【0036】
ベース部材10は、電気部品58を保持する保持部材17と、前記プレート28が固定される端子台21とを備えている。保持部材17と端子台21との間の空間は、収容空間25として機能する。保持部材17と端子台21を組み付ける際に、保持部材17と端子台21との間でプレート28を挟むことによって、プレート28を収容空間25に収容することができる。ベース部材10の組付けと、ベース部材10に対するプレート28の組付けを、一工程で同時に行うことができるので、組み付け作業性に優れている。
【0037】
保持部材17は、プレート28よりも多数の電気部品58を保持可能である。離脱規制部34は、保持部材17には形成されておらず、端子台21のみに形成されている。保持部材17は、プレート28よりも多数の電気部品58を保持するための構造が必要なので、端子台21よりも形状が複雑である。そこで、離脱規制部34を、保持部材17よりも形状がシンプルな端子台21のみに形成した。これにより、離脱規制部34を形成することに起因して保持部材17の形状が複雑化することを回避し、保持部材17を成型するための金型コストを低減することができる。
【0038】
バスバー41は、基板部43と、基板部43から延出した四半円弧形の曲げ部49と、曲げ部49から基板部43に対して直角方向へ延出した接続板部46とを有する。バスバー41は、接続板部46をプレート28の板状取付部30の上面に重ね、曲げ部49をプレート28の外側面に対して左右方向に間隔を空けて対向させた状態で配置されている。離脱規制部34は、プレート28の板状取付部30と曲げ部49との間に配置されている。プレート28と曲げ部49との間のデッドスペースに離脱規制部34を配置したので、離脱規制部34を配置するための専用スペースが不要である。
【0039】
ベース部材10は、電気部品58を収容する部品収容室12を有している。部品収容室12は、ベース部材10の左右両側方へ開放されている。ベース部材10には、部品収容室12の側方への開放面を塞ぐ一対の側壁部材11が取り付けられている。側壁部材11は、収容空間25の開口部27を覆っている。この構成によれば、プレート28が収容空間25から離脱することを、側壁部材11によっても確実に防止することができる。
【0040】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、ベース部材の組付けと、ベース部材に対する接続部材の組付けを、一工程で同時に行うが、ベース部材を組み付けた後に、接続部材をベース部材に組み付けてもよい。
上記実施例1では、離脱規制部を端子台のみに形成したが、離脱規制部は、保持部材のみに形成してもよく、端子台と保持部材の両方に形成してもよい。
上記実施例1では、離脱規制部を接続部材と曲げ部との間のデッドスペースに配置したが、離脱規制部は、接続部材と曲げ部との間のデッドスペース以外の位置に配置してもよい。
上記実施例1では、収容空間の開口部が側壁部材で塞がれているが、収容空間の開口部は開放されたままであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
A…電気接続箱
10…ベース部材
11…側壁部材
12…部品収容室
13…前側嵌合部
14…後側嵌合部
15…前側嵌込み部
16…後側嵌込み部
17…保持部材
18…本体部
19…前板部
20…後板部
21…端子台
22…支持板部
23…受け板部
24…ボルト孔
25…収容空間
26…隔壁部
27…開口部
28…プレート(接続部材)
29…板状給電部
30…板状取付部
31…給電用接続孔
32…取付孔
33…突部
34…離脱規制部
40…側壁本体
41…バスバー
42…ヒューズ収容室
43…基板部
44…放熱板部
45…タブ
46…接続板部
47…折返部
48…支持部
49…曲げ部
50…貫通孔
51…拡幅部
52…ヒューズ
53…リード
54…電線
55…ハーネス端子
58…電気部品