(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】制御装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241203BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241203BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241203BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20241203BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20241203BHJP
【FI】
H02J13/00 301
H02J7/00 P
H02J3/00 130
B60L53/30
B60L53/68
(21)【出願番号】P 2021110122
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 汐美
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-009488(JP,A)
【文献】特開2013-229992(JP,A)
【文献】特開2019-033564(JP,A)
【文献】国際公開第2013/171844(WO,A1)
【文献】特開2012-023872(JP,A)
【文献】特開2017-028826(JP,A)
【文献】特開2017-192256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 3/00-5/00
H02J 9/00-11/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(5)に搭載された蓄電装置(51)の充放電を実行可能な充放電器(2)を制御可能な制御装置(1)であって、
ネットワークを介して気象情報を取得するように構成された気象情報取得部(12)と、
前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させるように構成された充電指示部(S101,S106)と、
所定の周期を設定するように構成された設定部(S108)と、
前記移動体の位置情報を取得するように構成された位置情報取得部(S102)と、
を備え、
前記充電指示部は、
所定の気象情報が取得されていない場合、所定の時刻条件を満たすことを条件に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の気象情報が取得された場合、前記所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、
前記所定の周期で、前記蓄電装置の充電開始条件を充足させるための所定の操作を前記充放電器に実行させるとともに前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の操作とは、前記移動体と前記充放電器とが接続された状態を物理的にロックするロック操作であり、
前記設定部は、
前記所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、前記所定の周期の長さを前記時間帯である場合よりも長く設定し、
前記位置情報に基づき、前記移動体と前記充放電器との距離が所定の距離以上である場合、前記所定の周期の長さを前記所定の距離未満である場合よりも長く設定する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記充電指示部は、前記所定の気象情報が取得された場合、充電を開始する制御信号を前記所定の周期で前記充放電器に送信することで、前記所定の周期で前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させる、制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の制御装置であって、
前記充電指示部は、前記所定の気象情報が取得された場合、周期的な充電の開始を前記充放電器に実行させる制御信号を前記充放電器に送信することで、前記所定の周期で前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させる、制御装置。
【請求項4】
請求項1から
請求項3までのいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記移動体の走行を制御する車載装置(53)と無線通信可能に構成されており、
前記所定の気象情報が取得された場合、前記移動体から前記蓄電装置の充放電に係る情報を含む移動体情報を取得するように構成された移動体情報取得部(S102)と、
前記移動体情報に基づき、前記移動体の走行モードを前記蓄電装置の電力を用いて走行する第1モードから前記蓄電装置の電力を用いずに走行する第2モードに切り替える走行制御信号を前記移動体に送信するように構成された走行信号送信部(S105)と、を更に備える、制御装置。
【請求項5】
蓄電装置(51)を搭載する移動体(5)の走行を制御する車載装置(53)と無線通信可能に構成されており、前記蓄電装置の充放電を実行可能な充放電器(2)を制御可能な制御装置(1)であって、
ネットワークを介して気象情報を取得するように構成された気象情報取得部(12)と、
前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させるように構成された充電指示部(S101,S106)と、
所定の周期を設定するように構成された設定部(S108)と、
前記移動体の位置情報を取得するように構成された位置情報取得部(S102)と、
所定の気象情報が取得された場合、前記移動体から前記蓄電装置の充放電に係る情報を含む移動体情報を取得するように構成された移動体情報取得部(S102)と、
前記移動体情報に基づき、前記移動体の走行モードを前記蓄電装置の電力を用いて走行する第1モードから前記蓄電装置の電力を用いずに走行する第2モードに切り替える走行制御信号を前記移動体に送信するように構成された走行信号送信部(S105)と、
を備え、
前記充電指示部は、
前記所定の気象情報が取得されていない場合、所定の時刻条件を満たすことを条件に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の気象情報が取得された場合、前記所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、
前記所定の周期で、前記蓄電装置の充電開始条件を充足させるための所定の操作を前記充放電器に実行させるとともに前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の操作とは、前記移動体と前記充放電器とが接続された状態を物理的にロックするロック操作であり、
前記設定部は、
前記所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、前記所定の周期の長さを前記時間帯である場合よりも長く設定し、
前記位置情報に基づき、前記移動体と前記充放電器との距離が所定の距離以上である場合、前記所定の周期の長さを前記所定の距離未満である場合よりも長く設定する、
制御装置。
【請求項6】
移動体(5)に搭載された蓄電装置(51)の充放電を実行可能な充放電器(2)と、前記充放電器を制御可能な制御装置(1)と、を備える制御システム(100)であって、
前記制御装置は、
ネットワークを介して気象情報を取得するように構成された気象情報取得部(12)と、
前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させるように構成された充電指示部(S101,S106)と、
所定の周期を設定するように構成された設定部(S108)と、
前記移動体の位置情報を取得するように構成された位置情報取得部(S102)と、
を備え、
前記充電指示部は、
所定の気象情報が取得されていない場合、所定の時刻条件を満たすことを条件に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の気象情報が取得された場合、前記所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、
前記所定の周期で、前記蓄電装置の充電開始条件を充足させるための所定の操作を前記充放電器に実行させるとともに前記充放電器に前記蓄電装置への充電を開始させ、
前記所定の操作とは、前記移動体と前記充放電器とが接続された状態を物理的にロックするロック操作であり、
前記設定部は、
前記所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、前記所定の周期の長さを前記時間帯である場合よりも長く設定し、
前記位置情報に基づき、前記移動体と前記充放電器との距離が所定の距離以上である場合、前記所定の周期の長さを前記所定の距離未満である場合よりも長く設定し、
前記充放電器は、
前記蓄電装置への充電を開始可能な状態にある場合、前記蓄電装置への充電を開始する開始部(S402
)を備える、制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内やオフィスなどに配置される様々な電気機器へ電力を供給可能な蓄電装置と、電力需要の平準化及び電力料金の抑制を考慮しつつ、当該蓄電装置の蓄電及び放電を制御する制御装置と、を備える制御システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、停電の可能性のある気象情報がサーバから送信されたときに、車両等の移動体に搭載された蓄電装置が充電可能なエリア外に居る場合に、蓄電装置の近傍のユーザに対して充電を促すメッセージが送信される制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した制御システムでは、気象情報に基づき移動体に搭載された蓄電装置への充電をユーザに促すにとどまっている。このため、発明者の詳細な検討の結果、移動体が充電可能なエリア内に移動したときに、メッセージが通知されたユーザが充電のための操作を忘れた場合、停電時に備えた必要な充電が行われず、電力の確保が行われない場合があるという課題が見出された。
【0006】
本開示の1つの局面は、気象情報に基づき、移動体に搭載される蓄電装置への停電時に備えた電力の確保を促進する制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、移動体(5)に搭載された蓄電装置(51)の充放電を実行可能な充放電器(2)を制御可能な制御装置(1)であって、気象情報取得部(12)と、充電指示部(S101,S106)と、を備える。気象情報取得部は、ネットワークを介して気象情報を取得するように構成される。充電指示部は、充放電器に蓄電装置への充電を開始させるように構成される。また、充電指示部は、所定の気象情報が取得されていない場合、所定の時刻条件を満たすことを条件に蓄電装置への充電を開始させる。また、充電指示部は、所定の気象情報が取得された場合、所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、所定の周期で充放電器に蓄電装置への充電を開始させる。
【0008】
このような構成では、所定の気象情報が取得された場合、所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、所定の周期で充放電器によって蓄電装置への充電が開始される。これにより、所定の気象情報が取得されたときに、所定の時間を待たずして蓄電装置への充電が開始される。また充電を充放電器に周期的に開始させることから、所定の気象情報が取得されたときには移動体の蓄電装置が充放電器と接続されていなくても、その後に蓄電装置が充放電器と接続されれば、上記の周期となったタイミングで充電が開始される。したがって、気象情報に基づき、移動体に搭載される蓄電装置への停電時に備えた電力の確保を促進することができる。
【0009】
本開示の一態様は、蓄電装置(51)を搭載する移動体(5)の走行を制御する車載装置(53)と無線通信可能に構成されており、蓄電装置の充放電を実行可能な充放電器(2)を制御可能な制御装置(1)であって、気象情報取得部(12)と、充電指示部(S101,S106)と、移動体情報取得部(S102)と、走行信号送信部(S105)と、を備える。気象情報取得部は、ネットワークを介して気象情報を取得するように構成される。充電指示部は、充放電器に蓄電装置への充電を開始させるように構成される。移動体情報取得部は、所定の気象情報が取得された場合、移動体から移動体情報を取得するように構成される。走行信号送信部は、移動体情報に基づき、移動体の走行モードを蓄電装置の電力を用いて走行する第1モードから蓄電装置の電力を用いずに走行する第2モードに切り替える走行制御信号を移動体に送信するように構成される。充電指示部は、所定の気象情報が取得されていない場合、所定の時刻条件を満たすことを条件に蓄電装置への充電を開始させる。また、充電指示部は、所定の気象情報が取得された場合、所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、所定の周期で充放電器に蓄電装置への充電を開始させる。
【0010】
このような構成によれば、所定の気象情報が取得されたときに移動体が第1モードで走行している場合、移動体の走行モードを第2モードに切り替える走行制御信号が送信されるため、蓄電装置に蓄えられている電力がそれ以上減少することが抑制される。つまり、所定の気象情報が取得されたときに、蓄電装置に蓄えられている電力の消費が抑制され、電力が確保される。そして、移動体が充電可能なエリア内に移動して蓄電装置が充放電器と接続されて蓄電装置への充電が開始可能な状態になれば、所定の時間を待たずして蓄電装置への充電が開始される。したがって、気象情報に基づき、移動体に搭載される蓄電装置への停電時に備えた電力の確保を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】制御装置、充放電器、第1サーバ、第2サーバ及び車両を備える制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】制御装置が実行する警報時の充電制御処理のフローチャートである。
【
図3】充放電器が実行するモード切替処理のフローチャートである。
【
図4】充放電器が実行するロック処理のフローチャートである。
【
図5】充放電器が実行する緊急モードによる充電処理のフローチャートである。
【
図6】本実施形態の制御装置が実行する警報時の制御による蓄電装置のSOCの変化及び通常時の制御による蓄電装置のSOCの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す制御システム100は、異常である気象が予想されるときに、車両5等の移動体に搭載された蓄電装置51の充電量をなるべく多い状態とするように制御可能なシステムである。制御システム100は、制御装置1と、充放電器2と、第1サーバ3と、第2サーバ4と、蓄電装置51が搭載された車両5と、を備える。第1サーバ3は、気象情報を定期的に配信するためのサーバである。第2サーバ4は、制御装置1が第1サーバ3又は車両5と通信するための中継ぎをする。第2サーバ4の詳細は後述する。
【0013】
制御装置1は、HEMSコントローラとも呼ばれる。なお、HEMSとは、Home Energy Management Systemの略である。HEMSは、家庭で使用されるエネルギーを管理するための管理システムである。制御装置1は、家庭内に配置される様々な電気機器等の電力使用量を測定して可視化したり、節電のために電気機器を自動制御したり、蓄電装置51等の充放電を実行可能な充放電器2の制御をしたりする。制御装置1は、通信部11と、制御部12と、を備える。
【0014】
通信部11は、第2サーバ4及び充放電器2と通信を行うためのインターフェースである。通信部11は、第2サーバ4及び充放電器2とネットワークを介した通信を行う。通信部11は無線通信により第2サーバ4と通信を行ってもよい。通信部11は、第2サーバ4を介して車両5と無線通信可能である。
【0015】
制御部12は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、制御部12は、当該プログラムに従い、後述する
図2に示す警報時の充電制御処理を実行する。
【0016】
制御部12は、後述する第1サーバ3から定期的に配信される気象情報を、後述する第2サーバ4から取得する。制御部12は、第2サーバ4を介して車両5から、車両5の位置を示す位置情報と、蓄電装置51の充放電に係る情報を含む車両情報と、を取得する。車両情報には、例えば、蓄電装置51の充電状態を示すSOC、車両5の走行モードの情報、車両5と充放電器2との接続の有無を示す情報等が含まれる。なお、SOCとは、State Of Chargeの略である。制御部12は、車両5に当該車両5の走行モードを制御するための走行制御信号を送信する。制御部12は、充放電器2に各種制御信号を送信する。ここで、各種制御信号には、蓄電装置51の充電開始条件を充足させるための所定の操作を実行する制御信号、蓄電装置51の充電を開始する制御信号、及び、蓄電装置51の放電を開始する制御信号等が含まれる。本実施形態では、所定の操作として、充放電器2と車両5との接続された状態を物理的にロックするロック操作が充放電器2により実行される。
【0017】
制御装置1は、充放電器2に蓄電装置51の充電を開始する制御信号を送信する。制御装置1は、当該制御信号に基づいて、充放電器2を制御する。制御装置1が充放電器2を制御することによって実現される制御態様として、通常制御と、特殊制御と、がある。通常制御とは、所定の気象情報が取得されていない場合に実行される制御である。所定の気象情報とは、停電等が発生する可能性のある気象情報であって、例えば、大雨警報や暴風警報が発令されるような気象が該当する。
【0018】
通常制御では、所定の時刻条件を満たすことを条件に蓄電装置51への充電が開始される。通常制御では、例えば、夜間などの電気料金が安い時間帯に充電が開始される。特殊制御とは、所定の気象情報が取得された場合に実行される制御である。
【0019】
特殊制御では、所定の時刻条件を満たすか否かに関わらず、所定の周期で充放電器2による蓄電装置51への充電開始の動作が繰り返される。充電開始の動作とは、上述したロック操作を実行して、ロック操作が成功すれば充電を開始する動作である。充電開始の動作が実行されたとき、車両5と充放電器2とが接続されていれば、ロック操作が成功して蓄電装置51への充電が開始可能な状態となり、充電が開始される。一方、車両5と充放電器2とが接続されていなければ、ロック操作が成功せず、蓄電装置51への充電が開始可能な状態にないので、充電自体は開始されずに充電開始の動作が終了する。その場合、所定の周期を経過した後に充電開始の動作が再度行われる。なお、特殊制御によって蓄電装置51の充電が開始された後に停電が発生した場合には、家庭内に配置される様々な電子機器に電力が供給されるように、蓄電装置51からの放電が開始されてもよい。
【0020】
充放電器2は、蓄電装置51の充放電を実行可能な機器である。充放電器2は、制御装置1から受信した蓄電装置51への充放電を開始する制御信号に基づき、通常制御又は特殊制御によって蓄電装置51への充放電を実行する。充放電器2は、通信部21と、制御部22と、を備える。
【0021】
通信部21は、制御装置1と通信を行うためのインターフェースである。
制御部22は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、制御部22は、当該プログラムに従い、後述する
図3に示すモード切替処理、
図4に示すロック処理及び
図5に示す緊急モードによる充電処理を実行する。
【0022】
制御部22は、車両5のユーザによる操作、又は、制御装置1から出力される各種制御信号の入力を受け付けることによって、蓄電装置51への充放電を実行する。
ユーザによる操作とは、ユーザが充電を開始させるボタンを押すなどの操作を行うことであり、この操作がなされると、他の状況に関わらず、充電が実行される。
【0023】
制御装置1からの制御信号に基づく動作は、充放電器2が制御装置1と通信が可能であるか否かによって変化する。通信が可能であれば、原則、充放電器2によるロック操作や充電の開始並びに停止は、制御装置1が制御する。一方、上記通信が不能であれば、充放電器2は予め定められた動作を行う。詳細は後述する。
【0024】
第2サーバ4は、各家庭の電力状況を管理するためのサーバである。第2サーバ4は、通信部41と、制御部42と、を備える。
通信部41は、制御装置1及び車両5と通信を行うためのインターフェースである。通信部41は、制御装置1及び車両5とネットワークを介した無線通信を行う。
【0025】
制御部42は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。制御部42は、第1サーバ3から定期的に配信される気象情報を受信し、制御装置1へ送信する。
【0026】
車両5は、電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車であり、蓄電装置51が搭載される。車両5は、蓄電装置51に溜まった電力を用いて走行するEVモード、及び、蓄電装置51からの電力を用いずに、例えばガソリンによって走行するガソリンモードのいずれかの走行モードでの走行が可能である。車両5の蓄電装置51は、充放電器2と図示しないコネクタによって接続される。車両5は、蓄電装置51の他に、通信部52と、制御部53と、を備える。
【0027】
蓄電装置51は、電力を蓄えたり、蓄えられた電力を車両5又は家庭内に配置される様々な電気機器等に供給したりすることが可能な蓄電池である。
通信部52は、第2サーバ4を介して制御装置1と通信を行うためのインターフェースである。通信部52は、第2サーバ4とネットワークを介した無線通信を行う。
【0028】
制御部53は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。制御部53は、制御装置1から受信した走行制御信号に基づき、車両5の走行モードを制御する。
【0029】
[2.処理]
[2-1.通常の充電制御処理]
第2サーバ4を介して取得された気象情報が所定の気象情報でない場合には、制御部12は、車両5と充放電器2とが接続された状態において、深夜などの所定の時間にロック操作を実行させて充電を開始させるような通常の充電制御処理を実行する。そして、この通常の充電制御処理が実行されることによって、充放電器2に通常制御による蓄電装置51の充電を実行させる。
[2-2.警報時の充電制御処理]
次に、制御装置1の制御部12が実行する警報時の充電制御処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。この警報時の充電制御処理は、第2サーバ4を介して取得された気象情報が所定の気象情報である場合、すなわち、例えば大雨警報や暴風警報が発令された場合に実行される。そして、この警報時の充電制御処理が実行されることによって、充放電器2に特殊制御による蓄電装置51の充電を実行させる。
【0030】
まず、S101で、制御部12は、予備の緊急充電指示を充放電器2に送信する。予備の緊急充電指示は、例えば異常な気象状態に起因して制御装置1と充放電器2との間で通信が行えない状態となってしまった場合において、制御装置1からの制御信号を受信できる場合と同様の動作を充放電器2に実行させるための制御信号である。この予備の緊急充電指示には、後述するS106で送信される緊急充電指示に含まれる第1制御信号及び第2制御信号を受信した場合と同様に特殊制御による充電を充放電器2に行わせるための制御信号である第3制御信号が含まれる。第1制御信号は、蓄電装置51の充電開始条件を充足させるために、充放電器2にロック操作を実行させるための制御信号である。第2制御信号は、充放電器2に蓄電装置51への充電を実行させるための制御信号である。第3制御信号は、充放電器2に、周期的な充電の開始を実行させる、具体的には周期的な充電開始の動作を実行させるための制御信号である。制御装置1と充放電器2との間で通信が行えない状態では、充放電器2は、第3制御信号に基づき、蓄電装置51への充電が開始可能な状態になるまで所定の周期でロック操作を実行し、その後充電を実行する。
【0031】
続いて、S102で、制御部12は、第2サーバ4を介して車両5から位置情報及び車両情報を取得する。
続いて、S103で、制御部12は、車両情報に基づき、車両5が充放電器2に接続されている否かを判定する。制御部12は、S103で車両5が充放電器2に接続されていないと判定した場合には、処理をS104へ移行する。なお、車両5が充放電器2に接続されていない場合とは、車両5が、充放電器2が設置されている場所以外の場所で駐車中又は走行中である場合が想定される。
【0032】
S104で、制御部12は、車両情報に基づき、車両5がEVモードで走行中であるか否かを判定する。制御部12は、S104で車両5がEVモードで走行中であると判定した場合には、処理をS105へ移行する。
【0033】
S105で、制御部12は、車両5の走行モードをEVモードからガソリンモードに切り替える走行制御信号を車両5に送信する。その後、処理をS106へ移行する。
一方、制御部12は、S103で車両5が充放電器2に接続されていると判定した場合には、S104及びS105をスキップし、処理をS106へ移行する。
【0034】
また、制御部12は、S104で車両5がEVモードで走行中でないと判定した場合には、S105をスキップし、処理をS106へ移行する。なお、車両5がEVモードで走行中でない場合とは、車両5が、充放電器2が設置されている場所以外の場所で駐車中又はガソリンモードで走行中である場合が想定される。
【0035】
S106で、制御部12は、緊急充電指示を充放電器2に送信する。本実施形態では、緊急充電指示に含まれる第1制御信号により、充放電器2に、後述するS301の処理、具体的には、ロック操作を実行させる。また、緊急充電指示に含まれる第2制御信号により、充放電器2に、後述するS401~S403の処理、具体的には、蓄電装置51への充電を実行させる。本実施形態では、S106で送信される緊急充電指示に含まれる第1制御信号及び第2制御信号は、ロック操作が実行されて充放電器2による蓄電装置51への充電が開始されるまで、又は、発令された警報が解除されるまで、所定の周期で繰り返し送信される。所定の周期として、例えば1時間に1回の周期で緊急充電指示が送信される。
【0036】
なお、ロック操作が過剰に頻繁に実行されることを抑制するために、ロック操作を行わせる第1制御信号は上述した所定の周期で送信される。一方、緊急充電指示に含まれる第2制御信号は、常に第1制御信号に併せて送信されてもよいし、送信されなくてもよい。例えば、最初の緊急充電指示が送信されるときに第2制御信号が1度送信されていることにより、充放電器2がロック操作の成功時に充電を開始するように構成されていれば、所定の周期で繰り返し送信されなくてもよい。なお、第1制御信号も、車両5と充放電器2とのコネクタによる接続がロックされている場合には、所定の周期で再度送信されなくてもよい。
【0037】
続いて、S107で、制御部12は、ロック操作が実行された後に充放電器2への充電が開始されたか否かを判定する。制御部12は、S107でロック操作が実行された後に充放電器2への充電が開始されていないと判定した場合には、処理をS108へ移行する。なお、ロック操作が実行された後に充放電器2への充電が開始されていない場合とは、蓄電装置51への充電を開始可能な状態にない場合が想定される。具体的には、充放電器2が設置されている場所以外の場所で車両5が駐車中又は走行中であり、車両5と充放電器2とが接続されていないために、充放電器2によりロック操作が実行されるが当該接続がロックされない状態が想定される。
【0038】
S108で、制御部12は、緊急充電指示を送信する所定の周期の長さを決定する。例えば、充放電器2が通常制御によって蓄電装置51への充電を実行する所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、所定の周期の長さを当該時間帯である場合よりも長く設定してもよい。また、蓄電装置51と充放電器2とが接続している蓋然性が高い時間帯には、それ以外の時間帯よりも所定の周期の長さを短くしてもよい。ここでいう時間帯とは、例えば、車両5のドライバが帰宅している蓋然性が高い時間帯であって、学習により取得したり、ユーザの入力により取得したりしてもよい。
【0039】
また、例えば、位置情報に基づき、車両5と充放電器2との距離が所定の距離以上である場合、所定の周期の長さを当該所定の距離未満である場合よりも長く設定してもよい。なお、位置情報に基づき特定される車両5の存在するエリアに応じて、所定の周期を設定してもよい。例えば、車両5が自宅周辺を含む所定のエリアの外側に居る場合、所定の周期の長さを車両5が所定のエリアの内側に居る場合よりも長く設定してもよい。
【0040】
続いて、S109で、制御部12は、S108で決定された周期における所定の時間が経過したか否かを判定する。制御部12は、S109で所定の時間が経過したと判定した場合には、処置をS106へ戻す。
【0041】
一方、制御部12は、S109で所定の時間が経過していないと判定した場合には、処理をS110へ移行する。
S110では、制御部12は、車両5のユーザによるロック操作が実行されたか否かを判定する。ユーザが車両5と充放電器2とをコネクタにより接続した後に、ロック操作が実行されるボタン操作を行うことでもロック操作は実行される。制御部12は、S110でユーザによるロック操作の制御が実行されていないと判定した場合には、処理をS111へ移行する。なお、ユーザによるロック操作の制御が実行されていないとは、車両5が、充放電器2が設置されている場所以外の場所で駐車中又は走行中である場合、若しくは、車両5と充放電器2との接続後にユーザによるボタン操作が行われなかった場合が想定される。
【0042】
S111で、制御部12は、発令された警報が解除されたか否かを判定する。制御部12は、S111で警報が解除されていないと判定した場合には、処理をS109へ戻す。
一方、制御部12は、S111で警報が解除されたと判定した場合には、
図2の警報時の充電制御処理を終了する。
【0043】
また、制御部12は、S110でユーザによるロック操作の制御が実行されたと判定した場合にも、
図2の警報時の充電制御処理を終了する。
また、制御部12は、S107でロック操作が実行されて充放電器2への充電が開始されたと判定した場合にも、
図2の警報時の充電制御処理を終了する。
【0044】
[2-3.モード切替処理]
次に、充放電器2の制御部22が実行するモード切替処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。このモード切替処理は、周期的に実行される。なお、このモード切替処理では、充放電器2が制御装置1と通信が可能であるか否かによって、充電制御の主体を制御装置1と充放電器2のいずれかに設定する。
【0045】
まず、S201で、制御部22は、制御装置1と通信が可能であるか否かを判定する。警報が発令されて停電が発生していない状態であっても、機器間の通信のみが不通になることが想定される。制御部22は、S201で制御装置1と通信が可能であると判定した場合には、処理をS202へ移行する。
【0046】
S202で、制御部22は、制御モードを指示待機モードとする。この制御モードは、ロック操作及び充電の開始並びに停止について、制御装置1からの制御信号に従って動作するモードである。制御装置1と通信が可能である場合には、この制御モードとなる。
【0047】
一方、制御部22は、S201で制御装置1と通信が可能でないと判定した場合には、処理をS203へ移行する。この場合、充放電器2は、制御装置1からの制御信号を待たずに動作する制御モードへ移行する。
S203で、制御部22は、予備の緊急充電指示のフラグがONであるか否かを判定する。制御部22は、制御装置1から予備の緊急充電指示を受信すると、予備の緊急充電指示のフラグをONにする。つまり、予備の緊急充電指示に含まれる第3制御信号が受信されることによって、予備の緊急充電指示のフラグはONになる。制御部22は、S203で予備の緊急充電指示のフラグがONであると判定した場合には、処理をS204へ移行する。
【0048】
S204で、制御部22は、蓄電装置51への充電を開始するための制御モードを緊急モードに決定する。その後、
図3のモード切替処理を終了する。緊急モードとは、上述した特殊制御による充電を、制御装置1の制御信号を受信せずに行う制御モードである。緊急モードの具体的な制御内容は、予め充放電器2がメモリに保持していてもよいし、予備の緊急充電指示に伴って制御装置1から受信してもよい。
【0049】
また、制御部22は、S203で予備の緊急充電指示のフラグがONでないと判定した場合には、処理をS205へ移行する。
S205で、制御部22は、蓄電装置51への充電を開始するための制御モードを通常モードに決定する。通常モードとは、上述した通常制御による充電を、制御装置1の制御信号を受信せずに行う制御モードである。言い換えると、予め定められた時間となったときに、充放電器2がロック操作と充電開始を実行するモードである。通常モードの具体的な制御内容は、予め充放電器2がメモリに保持していてもよい。その後、
図3のモード切替処理を終了する。つまり、予備の緊急充電指示のフラグがONでない場合は、警報が発令されていない又は警報が解除されたということであるため、蓄電装置51への充電を開始するための制御モードは通常モードに決定される。
【0050】
なお、制御装置1との通信が可能となることで指示待機モードとなったとき、気象情報の変更により、現在の充電動作と、本来の充電動作と、が相違する場合がある。制御装置1は、充放電器2との通信が復帰したときに、その時点での適切な制御信号を充放電器2に出力し、充電動作を適切なものとする。
【0051】
[2-4.ロック処理]
次に、充放電器2の制御部22が実行するロック処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。このロック処理は、指示待機モードにおいて、制御装置1から緊急充電指示を受信した場合、具体的には第1制御信号を受信した場合に実行される。
【0052】
S301で、制御部22は、ロック操作を実行する。ロック操作では、ロック操作を実行するためにアクチュエータが作動する。その後、
図4のロック処理を終了する。なお、ロック操作が実行されるボタン操作を車両5のユーザが行った場合も、上記S301の処理と同様に、アクチュエータが作動する。また、通常制御による蓄電装置51の充電が通常モードにおいて実行されるとき、及び、特殊制御による蓄電装置51の充電が緊急モードにおいて実行されるときにも、上記S301の処理と同様に、アクチュエータが作動する。なお、ロック操作は、車両5と充放電器2との接続の有無に関わらず実行されてもよいし、車両5と充放電器2との接続が確認された上で実行されてもよい。
【0053】
[2-5.緊急モードによる充電処理]
次に、充放電器2の制御部22が実行する緊急モードによる充電処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。この緊急モードによる充電処理は制御装置1との通信が確立しない場合に、周期的に実行される。
【0054】
まず、S401で、制御部22は、車両5と充放電器2との接続がロック操作によりロックされているか否かを判定する。車両5と充放電器2とがコネクタにより接続された後に、ロック操作が実行されると、車両5と充放電器2との接続がロックされる。車両5と充放電器2との接続がロックされると、蓄電装置51への充電を開始可能な状態となる。制御部22は、S401で車両5と充放電器2との接続がロックされていると判定した場合には、処理をS402へ移行する。
【0055】
S402で、制御部22は、蓄電装置51への充電を開始する。
続いて、S403で、制御部22は、蓄電装置51への充電が開始されたことを示す制御信号を制御装置1に送信する。その後、
図5の緊急モードによる充電処理を終了する。
【0056】
一方、制御部22は、S401で車両5と充放電器2との接続がロックされていないと判定した場合には、
図5の緊急モードによる充電処理を終了する。なお、特殊制御による蓄電装置51の充電が指示待機モードにおいて実行されるときにも、上記S401~S403の処理と同様な処理が実行される。
【0057】
[2-6.充放電器の充電による蓄電装置のSOCの変化について]
図6を用いて、車両5の蓄電装置51におけるSOCの変化の一例を説明する。
図6に示す例では、蓄電装置51が朝方にフル充電された状態、つまりSOCが100%の状態を基本とする。警報発令後に制御装置1から走行制御信号及び緊急充電指示が送信されることで実行される、走行モードの切替えと、警報発令後の充放電器2の特殊制御による充電と、警報解除後の通常制御による充電と、に基づく本実施形態のSOCの変化を実線で示す。そして、警報が発令されない場合における充放電器2の通常制御による充電に基づくSOCの変化を点線で示す。なお、従来技術では、警報発令時に、走行制御信号は送信されず、緊急充電指示は周期的に送信されない。このような従来技術において、警報発令時に車両5と充放電器2とが接続されていない場合も、点線のようなSOCの変化となり得る。
【0058】
図6に示す例では、車両5のユーザが朝8時に家を出て会社まで移動するためにEVモードで走行すると、蓄電装置51のSOCは60%まで減少する。そして、会社に到着するとユーザが退社するまで車両5は駐車された状態にあり、蓄電装置51の電力は消費されないため、SOCは変化しない。その後、ユーザが18時に退社して家まで移動するために車両5をEVモードで走行すると、SOCは減少する。
【0059】
ここで、車両5が家に到着する前の19時に警報が発令された場合、制御装置1から車両5に走行制御信号が送信され、制御装置1から充放電器2に緊急充電指示が送信される。このため、走行制御信号に基づき、車両5の走行モードはガソリンモードに切り替わるため、走行モードの切り替わり後からはSOCは減少しない。一方、19時に警報が発令されなかった場合、走行モードが切り替わらずにEVモードでの走行が継続されるため、SOCは減少し続ける。また、警報が発令された場合、緊急充電指示に基づき、充放電器2によって特殊制御が実行されるため、ユーザが帰宅して車両5と充放電器2が接続された後に、通常制御による充電が開始される時間である深夜2時を待たずに蓄電装置51への充電が開始され、SOCは増加する。ただし、
図6に示すように、22時に警報が解除された場合は、緊急充電指示に基づく充電が中止される。一方、警報が発令されなかった場合は、充放電器2によって通常制御が実行されるため、所定の時刻条件を満たすまで(例えば、
図6に示す例では深夜2時まで)充電は実行されない。このため、警報が解除された22時において、本実施形態では、SOCは80%まで増加しているのに対して、比較例では、SOCは20%と減ったままである。そのため、警報が発令されたか否かに応じて、
図6の矢印で示すようなSOCの変化の差が発生する。なお、本実施形態では、警報解除後に、SOCが100%でない場合には、充放電器2によって通常制御が実行されて、深夜2時からフル充電まで充電が実行される。
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0060】
(3a)本実施形態では、所定の周期で緊急充電指示が制御装置1から充放電器2に送信される。このため、緊急充電指示に含まれる第1制御信号に従って、ロック操作が充放電器2により複数回実行される。これにより、所定の気象情報が取得されたときに、車両5が充電可能なエリア外に居て蓄電装置51が充放電器2と接続されていない状態であっても、その後に車両5が充電可能なエリア内に移動して当該蓄電装置51が充放電器2と接続されれば、上記の周期となったタイミングでロック操作が実行されて蓄電装置51への充電が開始される。例えば、
図6に示すように、外出先から充放電器2が設置された家に車両5が到着する前の19時に警報が発令された場合でも、車両5が家に帰還した後にロック操作が実行されて蓄電装置51と充放電器2との接続がロックされれば、その直後から蓄電装置51への充電が開始される。したがって、気象情報に基づき制御装置1から送信される緊急充電指示により、車両5に搭載される蓄電装置51への停電時に備えた電力の確保を促進することができる。
【0061】
(3b)本実施形態では、所定の気象情報が取得されたときに車両5がEVモードで走行中である場合、車両5の走行モードをEVモードからガソリンモードに切り替える走行制御信号が送信される。例えば、
図6に示すように、18時に外出先から充放電器2が設置された家に向かって車両5が走行中である途中の19時に警報が発令された場合、それまでEVモードで走行していた場合には、走行制御指示に従ってガソリンモードへの走行に切り替わる。このため、蓄電装置51に蓄えられている電力がそれ以上減少することが抑制される。つまり、所定の気象情報が取得されたときに、蓄電装置51に蓄えられている電力の消費が抑制され、電力が確保される。したがって、気象情報に基づき制御装置1から送信される走行制御信号により、車両5に搭載される蓄電装置51への停電時に備えた電力の確保を促進することができる。
【0062】
(3c)本実施形態では、発令された警報が解除されたときに特殊制御による充電中の場合であって、当該警報が解除された時間が通常制御による蓄電装置51への充電を実行する所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合は、充電が中止される。例えば、
図6に示すように、通常制御による蓄電装置51への充電が開始される時間が深夜2時である場合において、警報が22時に解除されたときは、22時に一旦特殊制御による充電が中止される。そして、蓄電装置51の充電が満タンでない場合は、その後、通常制御による残りの充電が深夜2時に実行される。このため、警報が発令されたときは、電力の確保のために特殊制御による蓄電装置51へ充電を行いつつ、警報が解除されてからは、電気料金の安い時間帯に充電が実行されるようにすることで、電気料金が高額になることを抑制することができる。
【0063】
(3d)本実施形態では、充放電器2が通常制御によって蓄電装置51への充電を実行する所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、緊急充電指示を送信する所定の周期の長さが当該時間帯である場合よりも長く設定される。このため、充電が開始可能な状態にない可能性が高い時間帯、例えば、車両5のユーザの通常の帰宅時間よりも早い時間帯においては、所定の周期を長くすることができる。これにより、充電が開始可能な状態にない可能性が高い時間帯の緊急充電指示を送信する回数を減らすことができるため、制御装置1の処理負担を軽減することができる。特に、緊急充電指示に含まれる第1制御信号に従ってロック操作が実行される場合、所定の周期を長くすることによって、アクチュエータ等の部品の消耗を抑制することができる。
【0064】
(3e)本実施形態では、車両5と充放電器2との距離が所定の距離以上である場合、緊急充電指示を送信する所定の周期の長さが当該所定の距離未満である場合よりも長く設定される。このため、充電を開始するまでに時間を要する可能性が高い場合、例えば、充放電器2が設置された家から離れた場所に車両5がある場合、所定の周期を長くすることができる。これにより、充電を開始するまでに時間を要する可能性が高い状況下の緊急充電指示を送信する回数を減らすことができるため、制御装置1の処理負担を軽減することができる。特に、緊急充電指示に含まれる第1制御信号に従ってロック操作が実行される場合、所定の周期を長くすることによって、アクチュエータ等の部品の消耗を抑制することができる。
【0065】
(3f)本実施形態では、所定の気象情報が取得された場合、緊急充電指示とは別に、予備の緊急充電指示が充放電器2に送信される。このため、例えば異常な気象状態に起因して停電は発生していないが機器間の通信のみが不通になり、制御装置1から所定の周期で送信される第1制御信号を受信できない状況においても、先に受信している第3制御信号に従って、周期的な充電の開始を実行させることができる。したがって、機器間の通信が不通の場合でも、気象情報に基づき制御装置1から通信可能な間に送信された予備の緊急充電指示により、車両5に搭載される蓄電装置51への停電時に備えた電力の確保を促進することができる。
【0066】
なお、車両5が移動体に相当し、車両情報が移動体情報に相当し、EVモードが第1モードに相当し、ガソリンモードが第2モードに相当し、制御部53が車載装置に相当し、制御部12が気象情報取得部に相当する。また、S101及びS106が充電指示部としての処理に相当し、S102が位置情報取得部及び移動体情報取得部としての処理に相当し、S105が走行信号送信部としての処理に相当する。また、S108が設定部としての処理に相当し、S402が開始部としての処理に相当する。
【0067】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0068】
(4a)上記実施形態では、所定の気象情報が取得された場合に、走行制御信号と、緊急充電指示に含まれる第1制御信号及び第2制御信号と、予備の緊急充電指示に含まれる第3制御信号と、が制御装置1から送信される構成を例示した。しかし、所定の気象情報が取得された場合に制御装置1から送信される制御信号はこれに限定されるものではなく、上記3つの制御信号のうちいずれか1つ又は2つであってもよい。例えば、緊急充電指示が制御装置1から充放電器2に送信され、予備の緊急充電指示及び走行制御信号が送信されない構成であってもよい。また、例えば、緊急充電指示及び予備の緊急充電指示が制御装置1から充放電器2に送信され、走行制御信号は送信されない構成であってもよい。また、例えば、走行制御信号が制御装置1から車両5に送信され、緊急充電指示及び予備の緊急充電指示が送信されない構成であってもよい。また、例えば、走行制御信号が制御装置1から車両5に送信され、緊急充電指示が制御装置1から充放電器2に送信され、予備の緊急充電指示が送信されない構成であってもよい。
【0069】
(4b)上記実施形態では、緊急充電指示が送信される所定の周期の長さが、時間帯や車両5と充放電器2との距離に基づき決定される構成を例示した。しかし、緊急充電指示が送信される所定の周期の長さは、例えば、他の条件に基づき決定されてもよいし、予め設定された長さから変更できない構成であってもよい。
【0070】
(4c)上記実施形態では、通常制御によって蓄電装置51への充電を実行する所定の時刻条件を満たす時間帯以外である場合、緊急充電指示が送信される所定の周期の長さを当該時間帯である場合よりも長く設定していたが、例えば、当該時間帯以外である間は、緊急充電指示を所定の周期で送信しない構成であってもよい。また、上記実施形態では車両5と充放電器2との距離が所定の距離以上である場合、緊急充電指示が送信される所定の周期の長さを所定の距離未満である場合よりも長く設定していたが、例えば、所定の距離以上である間は、緊急充電指示を所定の周期で送信しない構成であってもよい。
【0071】
(4d)上記実施形態では、S104で車両5がEVモードで走行中であると判定された場合、車両5の走行モードをEVモードからガソリンモードに切り替える走行制御信号を送信する構成を例示した。しかし、例えば、EVモードからガソリンモードへの切り替えに対し、SOCに応じた条件を設けてもよい。具体的には、例えば、SOCにより充電の所定の残量まではEVモードの継続を維持し、充電が所定の残量以下となる場合にガソリンモードに切り替えるような走行制御信号を送信してもよい。
【0072】
(4e)上記実施形態では、制御装置1と充放電器2との通信が可能な場合は、制御装置1が主体で充放電器2に指示に基づき蓄電装置51を通常制御又は特殊制御による充電を実行させ、上記通信が不能な場合は、制御装置1の指示を受けずに充放電器2が主体で充電を実行する構成を例示した。しかしながら、上記通信が可能な場合であっても、制御装置1は充放電器2に通常制御又は特殊制御のいずれかのみを指示し、蓄電装置51への充電を実行させるように充放電器2を操作してもよい。
【0073】
(4f)上記実施形態では、特殊制御において繰り返される充電開始の動作にロック操作が含まれる構成を例示したが、充電開始の動作はこれに限定されるものではなく、例えば、受電開始の動作にロック操作が含まれなくてもよい。つまり、緊急充電指示に第1制御信号が含まれなくてもよい。ロック操作が行われない場合において、緊急充電指示が送信される所定の周期の長さが条件により長く設定される場合でも、緊急充電指示が送信される回数が減るため、充放電器2における処理開始の起動時の処理負担を軽減することができる。
【0074】
(4g)本開示に記載の制御装置1の制御部12及びその手法、及び、本開示に記載の充放電器2の制御部22及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置1の制御部12及びその手法、及び、本開示に記載の充放電器2の制御部22及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置1の制御部12及びその手法、及び、本開示に記載の充放電器2の制御部22及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。
【0075】
(4h)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0076】
(4i)本開示は、上述した制御装置1の制御部12の他、当該制御装置1の制御部12を構成要素とするシステム、当該制御装置1の制御部12としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、警報時の充電を制御する方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0077】
1…制御装置、2…充放電器、3…第1サーバ、4…第2サーバ、5…車両、11,21,41,52…通信部、12,22,42,53…制御部、51…蓄電装置、100…制御システム。