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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20241203BHJP
   A47B 81/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B81/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021112268
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008590
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-04-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月5日に発行された「モダンリビング2021年3月号」により公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-160665(JP,U)
【文献】特開平11-151143(JP,A)
【文献】実公昭39-015545(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3185241(JP,U)
【文献】特開2000-000147(JP,A)
【文献】実開平3-120843(JP,U)
【文献】特開2018-146427(JP,A)
【文献】実公昭39-5175(JP,Y1)
【文献】実開昭60-58080(JP,U)
【文献】特開2005-253548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00-55/06
A47B 81/00
A47F 1/00- 3/14
5/00- 8/02
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、左扉と、右扉と、を備えるキャビネットであって、
上記本体は、
上下方向に沿って延びる背板と、
上記背板から前方へ延びる天板と、
上記天板の下方において上記背板から前方へ延びる底板と、を有しており、
上記背板と上記天板と上記底板とによって区画される内部空間は、前方、左方、及び右方に相互に連続して開口しており、
上記左扉及び右扉は、透光性であって、上記内部空間の開口を閉塞する閉位置と、上記内部空間の開口を開放する開位置とに回動可能である、キャビネット。
【請求項2】
上記天板と上記底板との間に位置する透光性の棚と、
上記天板に取り付けられて下方へ光を照射する第1ライト及び第2ライトと、をさらに備えており、
上記第1ライトは、上記第2ライトより光を照射する角度が広く、
上記第1ライトと上記第2ライトとが左右方向に並んで位置する、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
上記左扉は、
上記閉位置において上記本体の内部空間の左方の開口に位置する第1平面部と、
上記閉位置において上記本体の内部空間の前方の開口の左部に位置する第2平面部と、
上記第1平面部及び上記第2平面部との間に位置する第1湾曲部と、を有しており、
上記右扉は、
上記閉位置において上記本体の内部空間の右方の開口に位置する第3平面部と、
上記閉位置において上記本体の内部空間の前方の開口の右部に位置する第4平面部と、
上記第3平面部及び上記第4平面部との間に位置する第2湾曲部と、を有する、請求項1又は2に記載のキャビネット。
【請求項4】
上記背板及び上記左扉の後端部に固着された左蝶番と、
上記背板及び上記右扉の後端部に固着された右蝶番と、を備える請求項1から3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
上記本体は、
金属フレームと、
上記金属フレームを覆う化粧材と、を有する、請求項1から4のいずれかに記載のキャビネット。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を備えるキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、本体及び左右の扉を備えるキャビネットを開示する。本体は、天板及び底板と、背板と、柱部材とを有する。背板及び柱部材は、天板及び底板を連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3017339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柱部材は、本体の強度を高め、天板と底板との離間距離を一定に保つ。しかしながら、柱部材は、外部からのキャビネット内の視認を阻害する。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部の視認が容易なキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るキャビネットは、本体と、左扉と、右扉と、を備え、上記本体は、上下方向に沿って延びる背板と、上記背板から前方へ延びる天板と、上記天板の下方において上記背板から前方へ延びる底板と、を有する。上記背板と上記天板と上記底板とによって区画される内部空間は、前方、左方、及び右方に相互に連続して開口している。上記左扉及び右扉は、透光性であって、上記内部空間の開口を閉塞する閉位置と、上記内部空間の開口を開放する開位置とに回動可能である。
【0007】
左扉及び右扉が透光性であり、かつ本体は、背板と天板と底板とを有し天板と底板とを繋ぐ柱を有さないから、ユーザは、柱に視線を遮られることなく、透明な左扉及び右扉を通じてキャビネット内を視認することができる。
【0008】
(2) 本発明に係るキャビネットは、上記天板と上記底板との間に位置する透光性の棚と、上記天板に取り付けられて下方へ光を照射する第1ライト及び第2ライトと、をさらに備えていてもよい。上記第1ライトは、上記第2ライトより光を照射する角度が広い。上記第1ライトと上記第2ライトとは、左右方向に並んで位置している。
【0009】
例えば第1ライトは棚の後部を照明し、第2ライトは棚の前部及び底板を照明する。照射する光の角度の異なる2種類のライトが設けられることにより、本発明に係るキャビネットは、棚及び底板の照度差を低減して内部を照明することができる。
【0010】
(3) 上記左扉は、上記閉位置において上記本体の内部空間の左方の開口に位置する第1平面部と、上記閉位置において上記本体の内部空間の前方の開口の左部に位置する第2平面部と、上記第1平面部及び上記第2平面部との間に位置する第1湾曲部と、を有しており、上記右扉は、上記閉位置において上記本体の内部空間の右方の開口に位置する第3平面部と、上記閉位置において上記本体の内部空間の前方の開口の右部に位置する第4平面部と、上記第3平面部及び上記第4平面部との間に位置する第2湾曲部と、を有していてもよい。
【0011】
例えば、第1平面部と第2平面部とが直接繋がっていてエッジが形成されていると、当該エッジによってキャビネット内の視認が妨げられる。第1湾曲部が左扉に設けられ、第2湾曲部が右扉に設けられることにより、キャビネット内の視認がさらに容易になる。
【0012】
(4) 本発明に係るキャビネットは、上記背板及び上記左扉の後端部に固着された左蝶番と、上記背板及び上記右扉の後端部に固着された右蝶番と、を備えていてもよい。
【0013】
左蝶番が左扉の後端部に固着され、右蝶番が右扉の後端部に固着されることにより、左蝶番及び右蝶番がユーザによって視認され難くなる。その結果、キャビネットのデザイン性が向上する。
【0014】
(5) 上記本体は、金属フレームと、上記金属フレームを覆う化粧材と、を有していてもよい。
【0015】
本体が金属フレームを有することにより、柱を用いなくても、天板の前端と底板の前端との間の距離を経時変化に寄らず一定に維持可能なだけの強度が確保される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るキャビネットは、ユーザによる内部の視認を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、キャビネット10の正面図である。
図2図2は、キャビネット10の平面図であり、(A)は扉12、13が閉じた状態であり、(B)は扉12、13が開いた状態である。
図3図3は、キャビネット10の垂直断面図である。
図4図4は、扉12、13を外した状態のキャビネット10の正面図である。
図5図5は、キャビネット10の水平断面の一部の拡大図である。
図6図6は、第1ライト75及び第2ライト76の照明範囲を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
本実施形態では、図1に示されるキャビネット10が説明される。キャビネット10は、住宅の室内に設置されて使用される家具である。
【0020】
キャビネット10は、本体11と、一対の扉12、13と、複数の脚14と、を備える。扉12、13は、いわゆる観音開きの扉である。本実施形態では、キャビネット10が住宅に設置された状態において、鉛直方向が上下方向7と称され、キャビネット10を正面から見て奥側へ向かう方向が前後方向8と称され、キャビネット10を正面から見て左右に沿う方向が左右方向9と称される。
【0021】
図1から図3に示されるように、本体11は、垂直断面形状がコ字状であって、背板21と、天板22と、底板23と、を備える。
【0022】
背板21は、上下方向7及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、前後方向8を厚みとし、上下方向7に長い矩形板状である。天板22は、前後方向8及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、上下方向7を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。天板22は、背板21の上端部から前向きに延びている。底板23は、前後方向8及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、上下方向7を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。底板23は、背板21の下端部から前向きに延びており、上下方向7において天板22と対向している。背板21、天板22、及び底板23の左右方向9における長さ(幅)は、ほぼ同一である。
【0023】
垂直断面形状がコ字状である本体11の内部空間は、前方、左方、及び右方に相互に連続して開口している。
【0024】
本体11は、金属フレーム24と、金属フレーム24を覆う複数の板材25、26、27と、板材25、26、27を覆う複数の化粧板28、29、30とで主に構成されている。化粧板28、29、30、或いは板材25、26、27及び化粧板28、29、30は、本発明の化粧材の一例である。
【0025】
金属フレーム24は、金属製の複数の第1棒材31、第2棒材32、及び第3棒材33を有している。第1棒材31は、上下方向7に沿って延びる角筒状である。第2棒材32は、左右方向9に沿って延びる角筒状である。第3棒材33は、前後方向8に沿って延びる角筒状である。第1棒材31と、第2棒材32及び第3棒材33とは、溶接等によって相互に固着されている。棒材31、32、33は、例えばステンレス製である。なお、棒材31、32、33は、角筒状の他、角柱状や円筒状や円柱状など、他の形状であってもよい。
【0026】
本体11の背板21における金属フレーム24は、複数の第1棒材31及び第2棒材32によって構成されている。図示例では、背板21における金属フレーム24は、5つの第1棒材31(図2参照)及び4つの第2棒材32(図3参照)によって構成されている。
【0027】
本体11の背板21の第1棒材31及び第2棒材32の前後にそれぞれ第1板材25が位置している。2つの第1板材25は、上下方向7及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、前後方向8を厚みとし、上下方向7に長い矩形板状である。2つの第1板材25は、前後方向8において相互に対向している。前後一対の第1板材25は、ネジなどによって第1棒材31と第2棒材32との少なくとも一方に取り付けられている。前後一対の第1板材25は、第1棒材31及び第2棒材32を覆っている。第1板材25は、例えば金属製、樹脂製、木製である。
【0028】
第1化粧板28が、ネジなどを用いて2つの第1板材25にそれぞれ取り付けられている。一方の第1化粧板28は、前側の第1板材25の前面に取り付けられており、当該第1板材25の前面を覆っている。他方の第1化粧板28は、後側の第1板材25の後面に取り付けられており、当該第1板材25の後面を覆っている。前側の第1化粧板28は、キャビネット10の内部空間を区画する。第1化粧板28は、例えば樹脂製、木製、金属製である。なお、前側の第1化粧板28は、後述の第1ライト75が照射した光を反射しないように、光の反射率が低い暗色系の色とされることが望ましい。
【0029】
図5に示されるように、化粧部材34が、左右方向9において並ぶ複数の第1棒材31のうち、両端に位置する2つの第1棒材31に、複数のネジ91によってそれぞれ取り付けられている。化粧部材34は、上下方向7及び前後方向8に沿って2つの主面が拡がり、左右方向9を厚みとし、上下方向7に長い矩形板状である。上下方向7における化粧部材34及び第1棒材31の長さは、ほぼ同じである。化粧部材34は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0030】
本体11の天板22における金属フレーム24は、図1から図3に示されるように、複数の第2棒材32及び第3棒材33によって構成されている。図示例では、天板22における金属フレーム24は、3つの第2棒材32及び3つの第3棒材33によって構成されている。
【0031】
図3に示されるように、本体11の天板22の第2棒材32及び第3棒材33の上下にそれぞれ第2板材26が配置されている。2つの第2板材26は、前後方向8及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、上下方向7を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。2つの第2板材26は、上下方向7において相互に対向している。上下一対の第2板材26は、ネジなどによって第2棒材32と第3棒材33との少なくとも一方に取り付けられている。上下一対の第2板材26は、第2棒材32及び第3棒材33の上側及び下側を覆っている。第2板材26は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0032】
化粧部材35が、上下一対の第2板材26の前端部に取り付けられている。化粧部材35は、左右方向9に沿って延びる角柱状であり、天板22の第2棒材32及び第3棒材33の前側を覆っている。化粧部材35は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0033】
支持部材36が、化粧部材35の下に位置している。支持部材36は、左右方向9に沿って延びる角柱状である。左右方向9における支持部材36及び化粧部材35の長さは、ほぼ同一である。支持部材36は、ネジなどによって化粧部材35に取り付けられている。支持部材36は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0034】
第2化粧板29が、支持部材36の下に位置している。第2化粧板29は、ネジなどによって支持部材36及び第2棒材32に取り付けられている。第2化粧板29は、キャビネット10の内部空間を区画する。第2化粧板29は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0035】
化粧部材37が、支持部材36の前に位置している。化粧部材37は、上下方向7及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、前後方向8を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。化粧部材37は、ネジなどによって支持部材36に取り付けられている。化粧部材37は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0036】
本体11の底板23における金属フレーム24は、図2及び図3に示されるように、複数の第2棒材32及び第3棒材33によって構成されている。例えば、底板23における金属フレーム24は、天板22と同様に3つの第2棒材32及び3つの第3棒材33によって構成されている。
【0037】
図3に示されるように、本体11の底板23の第2棒材32及び第3棒材33の上下にそれぞれ第3板材27が位置している。2つの第3板材27は、前後方向8及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、上下方向7を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。2つの第3板材27は、上下方向7において相互に対向している。上下一対の第3板材27は、ネジなどによって第2棒材32及び第3棒材33に取り付けられている。上下一対の第3板材27は、第2棒材32及び第3棒材33の上側及び下側を覆っている。第3板材27は、例えば金属製、樹脂製、木製である。
【0038】
第3化粧板30が、上側の第3板材27の上に位置している。第3化粧板30は、前後方向8及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、上下方向7を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。第3化粧板30は、例えば樹脂製、木製、金属製である。第3化粧板30は、キャビネット10の内部空間を区画する。なお、第3化粧板30は、後述の第2ライト76が照射した光を反射しないように、光の反射率が低い暗色系の色とされることが望ましい。
【0039】
化粧部材38が、上下一対の第3板材27の前に位置している。化粧部材38は、上下方向7及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、前後方向8を厚みとし、左右方向9に長い矩形板状である。化粧部材38は、ネジなどによって第2棒材32に取り付けられている。化粧部材38は、例えば樹脂製、木製、金属製である。
【0040】
複数の脚14が、ネジなどによって、本体11の底板23に取り付けられている。図1及び図3に示す例では、4つの脚14が底板23に取り付けられている。脚14は、底板23の下面から下向きに突出している。脚14の下端を住宅の床に当接させてキャビネット10が床に設置される。
【0041】
図5に示されるように、本体11と扉12とを連結する左の蝶番40、及び本体11と扉13とを連結する右の蝶番40が本体11に取り付けられている。右の蝶番40と左の蝶番40とは同形状であるから、左の蝶番40について説明がされる。なお、図5は、扉12が閉じられている状態でのキャビネット10の水平断面図の一部を拡大した図である。以下では、図5に示される状態、すなわち扉12が閉じられた状態であるものとして説明がされる。
【0042】
蝶番40は、第1板部41と、第2板部42と、軸部43とを備えている。第1板部41と第2板部42とは、軸部43の中心線周りに相対的に回動可能に軸部43と連結されている。本実施形態では、蝶番40が、上下方向7に長いピアノ蝶番である例が説明される。但し、ピアノ蝶番に代えて、上下方向7において相互に離間して配置された複数の蝶番が用いられてもよい。
【0043】
第1板部41は、上下方向7及び左右方向9に沿って2つの主面が拡がり、前後方向8を厚みとし、上下方向7に長い矩形板状である。第1板部41は、複数のネジ92によって、第1棒材31に取り付けられている。
【0044】
第2板部42は、上下方向7及び前後方向8に沿って2つの主面が拡がり、左右方向9を厚みとし、上下方向7に長い矩形板状である。第2板部42は、ネジや接着剤などによって、扉12の取付部材52に固着されている。左の蝶番40は、図2(A)の破線で示された閉位置と、図2(B)の実線で示された開位置との間で回動可能に扉12を支持する。なお、扉12は、図2(B)の実線で示された開姿勢からさらに開くことができてもよい。例えば、扉12は、後述の第1平面部54の主面が本体11の背板21の後面と面一となる姿勢まで開くことが可能であってもよい。
【0045】
右の蝶番40は、左の蝶番40とは上下を反対にして本体11に取り付けられている。右の蝶番40は、閉位置と開位置との間で回動可能に右の扉13を支持する。
【0046】
図2に示されるように、左の扉12は、扉本体51、取付部材52(図5参照)、及び取手53を備えている。扉本体51は、透光性を有する材料からなる。例えば、扉本体51は、ガラス製や合成樹脂製である。ユーザは、キャビネット10の外部から扉本体51を通じてキャビネット10内を視認することができる。扉12は、本発明の左扉の一例である。
【0047】
扉本体51は、第1平面部54及び第2平面部55と、第1湾曲部56と、を有している。第1湾曲部56は、第1平面部54と第2平面部55との間に位置している。扉本体51がガラス製である場合、扉本体51は、例えばガラス製の板材を加熱して曲げることによって製造される。
【0048】
第1平面部54は、キャビネット10の左方の開口を開閉する部分である。キャビネット10の左方の開口とは、背板21の左端、天板22の左端、及び底板23の左端によって区画された開口である。
【0049】
第2平面部55は、キャビネット10の内部空間の前面開口の左部を開閉する部分である。前面開口の左部とは、天板22の前端の左部及び底板23の前端の左部によって区画された開口である。
【0050】
図5に示されるように、取付部材52は、水平断面形状がコ字状であり、かつ上下方向7に長い部材である。取付部材52は、扉本体51の後端部に接着剤などを用いて固着されている。また、取付部材52は、接着剤などを用いて左の蝶番40の第2板部42を固着されている。すなわち、取付部材52は、扉本体51を左の蝶番40の第2板部42に固着する部材である。
【0051】
図2に示されるように、取手53は、扉本体の第2平面部55の右端に取り付けられている。取手53の形状は、ユーザが把持可能であれば、どのような形状であってもよい。なお、取手53の高さ位置は、後述の棚板60の視認を阻害しない位置とされることが望ましい。
【0052】
右の扉13は、扉12と左右対称の形状であり、扉本体81と、取付部材52(図5参照)と、取手83とを備えている。扉本体81は、扉12の扉本体51と同様に、ガラス製や合成樹脂製などであり、透光性を有している。扉13は、本発明の右扉の一例である。
【0053】
扉本体81の形状と扉本体51の形状とは、左右対称である。扉本体81は、第3平面部84及び第4平面部85と、第2湾曲部86と、を有している。第2湾曲部86は、第3平面部84と第4平面部85との間に位置している。扉本体81は、例えば扉本体51と同様にガラス製の板材を加熱して曲げることによって製造される。
【0054】
扉13の取手83の形状と、扉12の取手53の形状とは、左右対称である。取手83は、扉12、13が閉位置にある場合に、左右方向9において隣接する。
【0055】
図4は、扉12、13が取り外された状態のキャビネット10の正面図である。図3及び図4に示されるように、複数の棚板60がキャビネット10内に取り付けられている。図示例では、2つの棚板60がキャビネット10内に取り付けられている。棚板60は、透光性を有する材料からなる。棚板60は、例えばガラス製や合成樹脂製である。棚板60は、本発明の棚の一例である。なお、棚板60に代えて、網状や格子状などの棚が用いられていてもよい。すなわち、本発明の棚は、形状による透光性を有していてもよい。
【0056】
複数の棚支持部材61が、溶接やネジや接着剤などによって本体11の背板21に固着されている。棚支持部材61は、背板21の前面から前向きに突出している。複数の棚支持部材61は、左右方向9に沿って相互に離間して並んでおり、かつ上下2列で並んでいる。左右方向9に沿って並ぶ各列の棚支持部材61の上に棚板60がそれぞれ載置されている。なお、棚板60は、棚支持部材61に載置されるだけでもよいし、接着剤等によって棚支持部材61に固着されていてもよい。
【0057】
キャビネット10は、電源装置71と、電源プラグ72と、ケーブル73と、複数のダウンライトセット74と、をさらに備えている。
【0058】
電源装置71は、ネジなどを用いて底板23の下面に取り付けられている。電源装置71は、交流電圧を直流電圧に変換して出力する、いわゆるAC/DCアダプタである。電源装置71には、電源プラグ72がケーブルを通じて接続されている。電源プラグ72は、住宅の商用交流電源と接続される。
【0059】
ケーブル73の一端が、電源装置71の出力端に接続されている。ケーブル73は、背板21内及び天板22内を通じてダウンライトセット74まで延出されている。ケーブル73の他端は、ダウンライトセット74と接続されている。すなわち、各ダウンライトセット74に直流電圧がそれぞれ供給される。なお、図3及び図4には示されていないが、ケーブル73の中間に、スイッチが配設されていてもよい。スイッチは、例えば背板21の前面に開設された開口に取り付けられ、ユーザが操作可能とされている。スイッチは、ダウンライトセット74への直流電圧の供給をオンオフする。このスイッチは、調光機能を有していてもよい。
【0060】
図4に示す例では、3つのダウンライトセット74がキャビネット10に設けられている。各ダウンライトセット74は、第1ライト75及び第2ライト76をそれぞれ有している。第1ライト75及び第2ライト76は、第2化粧板29の前端部にネジなどを用いて取り付けらている。すなわち、ダウンライトセット74は、天板22の前端側に位置している。また、第1ライト75と第2ライト76とは、左右方向9において並んでいる。
【0061】
第1ライト75の配光(照射角度範囲)は24度であり、第2ライト76の配光(照射角度範囲)は16度である。すなわち、第1ライト75は、いわゆる広角ダウンライトであり、第2ライト76は、いわゆる挟角ダウンライトである。
【0062】
第1ライト75及び第2ライト76は、概ね後方斜め下向きに光を照射する向きに配設されている。図6を参照して、第1ライト75及び第2ライト76による照明について説明する。なお、図6(A)は、第2ライト76の照明範囲を説明する説明図であり、図6(B)は、第1ライト75の照明範囲を説明する説明図である。
【0063】
図6(B)に示されるように、広角ダウンライトである第1ライト75は、上側の棚板60の前端部より後側と、下側の棚板60の後部と、を照明する。図6(A)に示されるように、挟角ダウンライトである第2ライト76は、底板23に向けられており、底板23の上面の全部と、下側の棚板60の前部と、上側の棚板60の前端部と、を照明する。すなわち、ダウンライトセット74は、上側の棚板60、下側の棚板60、及び底板23の上面の全てを照明する。
【0064】
[実施形態の作用効果]
扉12、13が透光性を有し、かつ本体11は、背板21と天板22と底板23とで構成されて天板22と底板23とを繋ぐ柱を有さないから、ユーザは、柱に視線を遮られることなく、扉12、13を通じてキャビネット10内を視認することができる。すなわち、キャビネット10は、ユーザによる内部の視認が容易である。
【0065】
第1ライト75は、棚板60の後部を照明する。第2ライト76は、棚板60の前部及び底板23を照明する。照射する光の角度範囲の異なる第1ライト75と第2ライト76とがセットで設けられることにより、キャビネット10は、棚板60及び底板23における照度差を低減して内部を照明することができる。
【0066】
第1湾曲部56が左の扉12に設けられ、第2湾曲部86が右の扉13に設けられており、扉12、13にエッジがないから、当該エッジによってユーザの視線が遮られることがなく、ユーザによるキャビネット10内の視認がさらに容易になる。
【0067】
左の蝶番40が左の扉12の後端部に固着され、右の蝶番40が右の扉13の後端部に固着されているから、蝶番40がユーザによって視認され難い。したがって、蝶番が容易に視認されるキャビネットに比べ、キャビネット10のデザイン性が良い。
【0068】
本体11が金属フレーム24を有することにより、柱を用いなくても、天板22の前端と底板23の前端との間の距離を経時変化に寄らず一定に維持可能なだけの強度が確保される。
【0069】
本体11が金属フレーム24、板材25、26、27、及び化粧板28、29、30からなることにより、本体11の重量が軽減される。その結果、重量を軽減したキャビネット10が実現される。
【0070】
第1ライト75及び第2ライト76が天板22の前端部に設けられているから、第1ライト75及び第2ライト76が照射した光が扉12、13を通じてキャビネット10から漏れ出すことが抑制される。
【0071】
[変形例]
上述の実施形態では、蝶番40を用いて扉12、13が本体11に回動可能に支持された例が説明された。しかしながら、蝶番40以外のヒンジ構造によって扉12、13が本体11に回動可能に支持されていてもよい。例えば、扉12、13と本体11との一方に軸が設けられ、他方に軸受けが設けられる。
【0072】
上述の実施形態では、扉12、13が湾曲している例が説明された。しかしながら、扉12、13は、第1平面部54と第2平面部55とが直交し、第3平面部84と第4平面部85とが直交し、湾曲部56、86を有していなくてもよい。すなわち、扉12、13は、直角に曲がっていてもい。
【0073】
上述の実施形態では、キャビネット10がダウンライトセット74を有する例が説明された。しかしながら、キャビネット10は、ダウンライトセット74を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10・・・キャビネット
11・・・本体
12、13・・・扉
21・・・背板
22・・・天板
23・・・底板
24・・・金属フレーム
25、26、27・・・板材
28、29、30・・・化粧板
31、32、33・・・棒材
40・・・蝶番
51・・・扉本体
54・・・第1平面部
55・・・第2平面部
56・・・第1湾曲部
60・・・棚板
61・・・棚支持部材
71・・・電源装置
73・・・ケーブル
74・・・ダウンライトセット
75・・・第1ライト
76・・・第2ライト
81・・・扉本体
84・・・第3平面部
85・・・第4平面部
86・・・第2湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6