(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ及び外部端末、並びに使用済み二次電池モジュール管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20241203BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20241203BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20241203BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241203BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G06Q10/30
G06Q10/20
G01R31/392
H01M10/48 P
H01M10/42 P
(21)【出願番号】P 2021142270
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2021006532
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠幹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 麻友
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広康
(72)【発明者】
【氏名】山本 信雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰悟
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187539(JP,A)
【文献】特開2020-149789(JP,A)
【文献】特開2018-160072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01R 31/392
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組電池の製造管理をするための使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ(1)であって、
使用済みの二次電池モジュールの識別情報と、上記二次電池モジュールの劣化度に基づいて付与されたランクに関するランク情報と、上記二次電池モジュールの利用状態に関するステータス情報とが記憶されているとともに、上記識別情報と上記ランク情報と上記ステータス情報との対応関係が記憶されている記憶部(2)と、
組電池のリビルト要求に応じて、上記ランクの中から、上記ランクに含まれる上記二次電池モジュールの上記ステータス情報が利用可能であることを示すものである二次電池モジュールの数が、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上であるランクを利用可能ランク(Ra)として抽出する利用可能ランク抽出部(31)と、
上記利用可能ランクを外部端末(9)に送信する利用可能ランク送信部(41)と、
上記ランクが付与された使用済み二次電池モジュール群から上記利用可能ランクに基づいて選出された同一ランク(Rs)の二次電池モジュールの識別情報を外部端末から受信する識別情報受信部(53)と、
上記記憶部に記憶された上記対応関係に基づいて、上記識別情報受信部が受信した上記識別情報が、上記利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する判定部(32)と、
上記判定部の判定結果を外部端末に送信する判定結果送信部(43)と、
を有する、使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項2】
上記判定部は、上記利用可能ランクに基づいて選出された二次電池モジュールの劣化度の診断日時が、所定期間内であるか否かをさらに判定する、請求項1に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項3】
上記判定部は、上記利用可能ランクに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクにおける劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュール(Mo)を含むか否か、または、上記利用可能ランクに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクにおける劣化度の診断日時の古いものから順に選択されたものであるかを、さらに判定する、請求項1又は2に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項4】
上記利用可能ランク抽出部は、各ランクに含まれる二次電池モジュールの劣化度の診断日時の最も古いものの診断日時である特定診断日時が古いランクほど優先的に抽出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項5】
上記利用可能ランクから選択された選択ランクを受信する選択ランク受信部(52)と、
当該選択ランクに属する二次電池モジュールの組付情報を外部端末に送信する組付情報送信部(42)と、
を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項6】
上記記憶部に記憶された情報を更新する更新部(35)、を有しているとともに、
上記記憶部は、上記ランクに含まれる上記二次電池モジュールの上記ステータス情報が利用可能であることを示すものである二次電池モジュールの数を、上記ランクごとの二次電池モジュールの利用可能数として記憶しており、
上記利用可能ランク抽出部は、上記記憶部に記憶された上記利用可能数に基づいて、上記利用可能ランクを抽出し、
上記更新部は、外部端末から上記選択ランクを受信した時に、当該選択ランクにおける二次電池モジュールの利用可能数を、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数を差し引いた数に更新する、請求項5に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項7】
上記更新部は、上記判定部における上記判定結果がすべて肯定である場合に、上記選出された二次電池モジュールの上記ステータス情報を組付済みの状態に更新し、
リビルトを中止すると判断された場合に、上記記憶部に記憶された二次電池モジュールの利用可能数を上記更新前の状態に差し戻して更新するとともに、上記選出された二次電池モジュールの上記ステータス情報を利用可能の状態に更新する、請求項6に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項8】
上記使用済み二次電池モジュールの劣化度を診断する電池診断部(33)と、
該電池診断部の診断結果に基づいて上記ランクを二次電池モジュールに付与するランク付与部(34)と、を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項9】
上記電池診断部は、二次電池モジュールの所定の電圧区間における電池状態の推移に関する電池特性に基づいて当該二次電池モジュールの劣化度を診断する、請求項8に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項10】
上記二次電池モジュールの劣化度の診断結果を受信可能な診断結果受信部(55)と、
上記診断結果受信部から受信された劣化度の診断結果に基づいて上記ランクを二次電池モジュールに付与するランク付与部(34)と、を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項11】
上記診断結果受信部は、上記二次電池モジュールが含まれた組電池が車両に搭載された状態で、該車両に搭載された診断装置により診断された二次電池モジュールの劣化度の診断結果を受信するように構成されている、請求項10に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項12】
上記診断結果が作成されたときの温度情報に基づいて上記診断結果を補正する診断結果補正部(331)を備え、
上記ランク付与部は、補正された上記診断結果に基づいて上記ランクを上記二次電池モジュールに付与する、請求項8~11のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項13】
上記診断結果には上記診断結果が作成された日時に関する診断日情報が含まれており、上記診断結果に基づいて上記診断日情報を上記二次電池モジュールに付与する日時情報付与部(332)を備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項14】
上記識別情報は、上記使用済み二次電池モジュールの製造時に付与されたものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ。
【請求項15】
組電池の製造管理をするための使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末(9)であって、
二次電池モジュールの劣化度に基づいて規定されたランクのうち、リビルトを要求された組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能なランクである利用可能ランク(Ra)を、サーバ(1)から受信する利用可能ランク受信部(951)と、
該利用可能ランク受信部が受信した利用可能ランクを表示する利用可能ランク表示部(961)と、
該利用可能ランク表示部に表示された利用可能ランクに基づいて、予め上記ランクが付与された使用済み二次電池モジュールから選出された二次電池モジュールの識別情報を取得する識別情報取得部(973)と、
上記識別情報取得部が取得した識別情報をサーバに送信する識別情報送信部(943)と、
上記送信した識別情報と、上記利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報が一致するか否かの判定結果を受信する判定結果受信部(953)と、
該判定結果受信部が受信した判定結果を出力する判定結果出力部(963)と、
を有する、使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末。
【請求項16】
上記利用可能ランク表示部は、各ランクに含まれる二次電池モジュールの劣化度の診断日時の最も古いものの診断日時としてランクごとに特定された特定診断日時が古いランクほど優先的に表示する、請求項15に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末。
【請求項17】
上記利用可能ランク表示部に表示された利用可能ランクから選択された選択ランクをサーバに送信する選択ランク送信部(942)と、
当該選択ランクに属する二次電池モジュールの組付情報をサーバから受信する組付情報受信部(952)と、
上記組付情報受信部が受信した上記組付情報を出力する組付情報出力部(962)と、
を有する、請求項15又は16に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末。
【請求項18】
上記識別情報取得部は、二次電池モジュールの識別情報として、当該二次電池モジュールの製造時に付与された識別情報を取得する、請求項15~17のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ(1)と、請求項15~18のいずれか一項に記載の使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末(9)とを備える、使用済み二次電池モジュール管理システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み二次電池モジュール管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の二次電池モジュールを組み合わせてなる組電池が広く用いられている。そして、組電池の使用に伴って二次電池モジュールは劣化するが、その劣化度には二次電池モジュールごとにバラツキがある。そのため、組電池内の一部の二次電池モジュールの劣化度が基準を超えた場合でも組電池全体として使用できなくなる。かかる場合に、当該組電池から劣化度の低い使用可能な二次電池モジュールを取り出して再利用することが行われている。そして、使用済みの二次電池モジュールを用いて組電池を再構成、すなわちリビルトする場合には、個々の二次電池モジュールの劣化度を考慮して二次電池モジュールを組み合わせる必要があり、長寿命化の観点から劣化度が同等の二次電池モジュールを組み合わせることが考えられる。例えば、特許文献1に開示の構成では、複数の二次電池モジュールの劣化度を測定して劣化度に応じたランク付けをし、当該付与したランクに関する情報を二次電池モジュールごとに記憶させたデータベースを構築している。当該データベースを用いて、組電池の二次電池モジュールの交換や組電池のリビルトを図るユーザの要求に応じた劣化度のランクの二次電池モジュールの情報を提供可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、組電池を構成する二次電池モジュールは同一規格であって、その劣化状態や劣化状態に基づいて付与されたランクを二次電池モジュールの外観から判別することは極めて困難である。そのため、特許文献1に開示の構成では、ユーザが予めランク分けされた複数の使用済み二次電池モジュール群から取り出す際に、データベースから提供された情報に基づいた二次電池モジュールとは異なるものを誤って取り出してしまうおそれがあり、ユーザがこの誤りに気付くことは難しい。その結果、ユーザの要求を満たさない劣化度の二次電池モジュールが組電池に組み付けられるという誤組付が生じることとなる。そして、二次電池モジュールのランク数が多くなるほど誤組付のリスクは高まることとなる。すなわち、ランク付けした使用済み二次電池モジュールから所望のランクの二次電池モジュールを選出して組み付けて組電池をリビルトすると、上述の誤組付が発生するという新たな課題が生じることとなる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、使用済み二次電池モジュールの誤組付を防止することができる使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ及び外部端末、管理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、組電池の製造管理をするための使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ(1)であって、
使用済みの二次電池モジュールの識別情報と、上記二次電池モジュールの劣化度に基づいて付与されたランクに関するランク情報と、上記二次電池モジュールの利用状態に関するステータス情報とが記憶されているとともに、上記識別情報と上記ランク情報と上記ステータス情報との対応関係が記憶されている記憶部(2)と、
組電池のリビルト要求に応じて、上記ランクの中から、上記ランクに含まれる上記二次電池モジュールの上記ステータス情報が利用可能であることを示すものである二次電池モジュールの数が、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上であるランクを利用可能ランク(Ra)として抽出する利用可能ランク抽出部(31)と、
上記利用可能ランクを外部端末(9)に送信する利用可能ランク送信部(41)と、
上記ランクが付与された使用済み二次電池モジュール群から上記利用可能ランクに基づいて選出された同一ランク(Rs)の二次電池モジュールの識別情報を外部端末から受信する識別情報受信部(53)と、
上記記憶部に記憶された上記対応関係に基づいて、上記識別情報受信部が受信した上記識別情報が、上記利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する判定部(32)と、
上記判定部の判定結果を外部端末に送信する判定結果送信部(43)と、
を有する、使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバにある。
【0007】
本発明の他の態様は、組電池の製造管理をするための使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末(9)であって、
二次電池モジュールの劣化度に基づいて規定されたランクのうち、リビルトを要求された組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能なランクである利用可能ランク(Ra)を、サーバ(1)から受信する利用可能ランク受信部(951)と、
該利用可能ランク受信部が受信した利用可能ランクを表示する利用可能ランク表示部(961)と、
該利用可能ランク表示部に表示された利用可能ランクに基づいて、予め上記ランクが付与された使用済み二次電池モジュールから選出された二次電池モジュールの識別情報を取得する識別情報取得部(973)と、
上記識別情報取得部が取得した識別情報をサーバに送信する識別情報送信部(943)と、
上記送信した識別情報と、上記利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報が一致するか否かの判定結果を受信する判定結果受信部(953)と、
該判定結果受信部が受信した判定結果を出力する判定結果出力部(963)と、
を有する、使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末にある。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、上記使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ(1)と、上記使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末(9)とを備える、使用済み二次電池モジュール管理システム(100)にある。
【発明の効果】
【0009】
上記使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバにおいては、組電池のリビルト要求に応じて、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能である利用可能ランクを抽出する。そして、ランクが付与された使用済み電池モジュール群から利用可能ランクに基づいて選出された同一ランクの二次電池モジュールの識別情報が、利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する。これにより、使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールが同一の正しいランクに属するものであるか否かを判定することにより二次電池モジュールの誤組付を防止することができ、上述の新たな課題を解決することができる。
【0010】
また、上記使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末においては、リビルトを要求された組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能なランクである利用可能ランクをサーバから受信し、当該利用可能ランクを表示する。そして、表示された利用可能ランクに基づいて、予めランクが付与された使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールの識別情報を取得してサーバに送信し、送信した識別情報が利用可能ランクにおける同一ランクに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かの判定結果を受信し、判定結果を出力する。これにより、使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールが同一の正しいランクに属するものであるか否かを外部端末においてユーザが確認することにより、二次電池モジュールの誤組付を防止することができ、上述の新たな課題を解決することができる。
【0011】
また、上記使用済み二次電池モジュール管理システムにおいては、上記使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバと上記使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末とを備えるため、使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールが同一の正しいランクに属するものであるか否かをサーバで判定し、外部端末においてユーザが確認することにより、二次電池モジュールの誤組付を防止することができ、上述の新たな課題を解決することができる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、使用済み二次電池モジュールの誤組付を防止することができる使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ及び外部端末、管理システムを提供することができる。
【0013】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【
図2】実施形態1における、保管場所の構成を示す概念図。
【
図3】実施形態1における、記憶部に記憶された情報を示す概念図。
【
図4】実施形態1における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す他の概念図。
【
図5】実施形態1における、使用済み二次電池モジュールの受入の工程を説明するフロー図。
【
図6】実施形態1における、組電池のリビルトの工程を説明するフロー図。
【
図7】実施形態2における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【
図8】実施形態3における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【
図9】実施形態4における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【
図10】実施形態5における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【
図11】実施形態6における、使用済み二次電池モジュール管理システムの構成を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
上記使用済み二次電池モジュール管理システム及び当該管理システム用サーバ、当該管理システム用外部端末の実施形態について、
図1~
図6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態1における、組電池の製造管理をするための使用済み二次電池モジュール管理システム100は、使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ1(以下、本明細書では「サーバ1」ともいう)と、使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末9(以下、本明細書では「外部端末9」ともいう)とを含む。
【0016】
まず、
図1に示すように、実施形態1のサーバ1は、記憶部2、利用可能ランク抽出部31、利用可能ランク送信部41、識別情報受信部53、判定部32、判定結果送信部43を有する。
【0017】
図1に示す記憶部2には、使用済みの二次電池モジュールの識別情報と、二次電池モジュールの劣化度に基づいて付与されたランクと、二次電池モジュールの利用状態に関するステータス情報とが記憶されているとともに、識別情報とランク情報とステータス情報との対応関係が記憶されている。
利用可能ランク抽出部31は、組電池のリビルト要求に応じて、上記ランクの中から、上記ランクに含まれる二次電池モジュールのステータス情報が利用可能であることを示すものである二次電池モジュールの数が、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上であるランクを利用可能ランクRaとして抽出する。
利用可能ランク送信部41は、利用可能ランクRaを外部端末9に送信する。
識別情報受信部53は、ランクが付与された使用済み電池モジュール群から利用可能ランクRaに基づいて選出された同一ランクRsの二次電池モジュールMの識別情報を外部端末9から受信する。
判定部32は、記憶部2に記憶された対応関係に基づいて、識別情報受信部53が受信した識別情報が、利用可能ランクRaにおける同一ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する。
判定結果送信部43は、判定部32の判定結果を外部端末9に送信する。
【0018】
以下、本実施形態1のサーバ1について、詳述する。
本実施形態1におけるサーバ1は、
図1に示すように、記憶部2、処理部3、送信部4及び受信部5を備える。
【0019】
図1に示す記憶部2は書き換え可能な不揮発性メモリからなり、識別情報記憶部21、診断日時記憶部22、ランク情報記憶部23、ステータス情報記憶部24、対応関係記憶部25、利用可能数記憶部26を含む。識別情報記憶部21は、収集された使用済み二次電池モジュールの識別情報を記憶する。当該識別情報の形態は限定されず、二次電池モジュールが製造されたときに当該二次電池モジュールに個別に付与された製造番号や二次元コードを採用することができる。本実施形態1では、識別情報として高い読み取り精度や表示の安定性を確保しやすい二次元コードを採用している。識別情報記憶部21は、使用済み二次電池モジュールが収集されたときにその識別情報を記憶するようにすることができる。なお、本実施形態1では、
図2に示すように、収集された二次電池モジュールMは、後述のランクR1~Rx毎に区分けされて保管場所Rに保管することができる。
【0020】
図1に示す診断日時記憶部22は、二次電池モジュールの劣化度が診断された日時を二次電池モジュールごとに記憶する。本実施形態1では、後述の処理部3に備えられた電池診断部33により、収集された使用済み二次電池モジュールの劣化度が診断され、ランク付与部34により二次電池モジュールごとにランクが付与されるとともに、診断された日時が診断日時記憶部22に記憶される。そして、
図2に示すように、二次電池モジュールMは、保管場所Rにおいて、ランク毎に二次電池モジュールの診断日時が古いものが優先的に取り出しやすいように、診断日時が古い二次電池モジュールMoから取り出されるように配置されている。
【0021】
図1に示すランク情報記憶部23は、後述のランク付与部34により、使用済み二次電池モジュールの劣化度に応じて二次電池モジュールごとに付与されたランクに関する情報が記憶する。本実施形態では、
図3に示すように、劣化度に応じてランクR1~Rxが設定されており、当該ランクR1~Rxがランク情報として記憶されている。また、ランク情報として、ランク毎に二次電池モジュールの診断日時が最も古い二次電池モジュールMoの診断日時を特定診断日時として記憶されている。
【0022】
図1に示すステータス情報記憶部24は、二次電池モジュールの利用状態に関するステータス情報を記憶する。ステータス情報は、二次電池モジュールがどのような状態にあるかを示すものであって、例えば、二次電池モジュールが保管場所に保管された状態である利用可能の状態、後述の選択ランクに含まれる二次電池モジュール群から選出された状態である仮予約の状態、組電池に組み付けられた状態である組付済みの状態、などを示すものとすることができる。
【0023】
図1に示す対応関係記憶部25は、識別情報記憶部21に記憶された二次電池モジュールの識別情報と、ランク情報記憶部23に記憶されたランク情報と、ステータス情報記憶部24に記憶されたステータス情報との対応関係を記憶する。本実施形態では、
図3に示すように、対応関係記憶部25は、ランク情報Rnと、識別情報Mnと、ステータス情報Stとの対応関係を記憶している。また、本実施形態1では、対応関係記憶部25は、全ての二次電池モジュールの診断日時を記憶している。
【0024】
図1に示す利用可能数記憶部26は、
図3に示すように、各ランクR1~Rxに属する二次電池モジュールの数をランク毎に利用可能数(An)として記憶している。
【0025】
図1に示す処理部3は所定の演算装置からなり、利用可能ランク抽出部31、判定部32、電池診断部33、ランク付与部34、更新部35を含む。利用可能ランク抽出部31は、後述のリビルト要求に応じて、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能である利用可能ランクRaを抽出する。すなわち、利用可能ランク抽出部31は、利用可能数記憶部26に記憶された
図3に示す利用可能数Anを参照して、利用可能数Anが組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上であるランクを利用可能ランクRaとして抽出する。利用可能ランク抽出部31は、後述の特定診断日時が古いランクほど優先的に抽出することが好ましい。なお、「特定診断日時が古いランクほど優先的に抽出する」とは、ランクを順次抽出する際にランクの特定診断日時が古いほど先に抽出することをいう。なお、組電池は、複数の二次電池モジュールを組み合わせてなるものであって、電池パックともいう。また、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数は、予め組電池ごとに設定されている。
【0026】
図1に示す判定部32は、対応関係記憶部25に記憶された対応関係に基づいて、後述の識別情報受信部53が受信した識別情報が、
図3に示す利用可能ランクRaにおける同一ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報Mnと一致するか否かを判定する。
【0027】
本実施形態1では、
図1に示す判定部32は、利用可能ランクに基づいて選出された二次電池モジュールの劣化度の診断日時が、所定期間内であるか否かをさらに判定する。当該所定期間は、適宜設定することができ、例えば、使用済み二次電池モジュールの保管中に、自己放電により過放電される恐れがある期間や、保管中の電池性能劣化によりランクが変更される恐れがある期間等に基づいて設定することができる。
【0028】
また、本実施形態1では、
図1に示す判定部32は、利用可能ランクRaに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクRsにおける劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュールMoを含むか否かをさらに判定する。なお、判定部32は、これに替えて、利用可能ランクRaに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクRsにおける劣化度の診断日時の古い順に選出されているか否かをさらに判定することとしてもよい。
【0029】
図1に示す電池診断部33は、収集された二次電池モジュールの劣化度を診断する。診断方法は限定されず、公知の方法を用いることができる。本実施形態1では、電池診断部33は、二次電池モジュールの所定の電圧区間における電池状態の推移に関する電池特性に基づいて当該二次電池モジュールの劣化度を診断する。二次電池モジュールの電池特性は、例えば、所定の電圧区間における二次電池モジュールの電圧推移や温度推移に基づく特性とすることができる。当該電圧推移は、例えば、所定の電圧区間における二次電池モジュールの区間容量、所定の電圧区間における二次電池モジュールの容量変化に対する二次電池モジュールの電圧変化の割合、所定の電圧区間における経過時間に対する二次電池モジュールの電圧変化の割合などの電池情報の少なくとも一つに基づいて算出することができる。所定の電圧区間は、二次電池モジュールの劣化度と電池状態の推移とが相関関係を示す電圧区間とすることができる。かかる電圧区間は、二次電池モジュールの種類や構成に基づいて設定したり、予め取得した訓練データに基づいて機械学習により作成したりすることができる。二次電池モジュールの電池特性を取得する所定の電圧区間は、二次電池モジュールごとに設定したり、適宜変更したりすることができ、全容量となる区間としてもよい。また、電池特性として放電電圧特性を用いてもよいし充電電圧特性を用いてもよい。
【0030】
そして、本実施形態1において電池診断部33は、上記電池特性に基づいて、全容量を推定する。全容量の推定は、電池特性と全容量との対応関係を用いて行うことができる。当該対応関係は、予め取得した訓練データに基づいて機械学習により作成した回帰式、マップ、グラフ、表などの形態とすることができる。回帰式を予測モデルとして用いる場合は、例えば、線形回帰、LASSO回帰、Ridge回帰、決定木、サポートベクター回帰などを利用することができる。そして、本実施形態1における電池診断部33は、上記電池特性に基づく使用済み二次電池モジュールの全容量の推定結果と、予め記憶された二次電池モジュールの全容量を推定する推定式から導出される推定値とを比較して、使用済み二次電池モジュールの劣化度を判定する。
【0031】
なお、電池診断部33による二次電池モジュールの劣化度の診断はこれに限定されず、組電池の形態で車両等に搭載されたままの状態で、車両等に備えられた装置により又は車両外に設けられた充放電機により充放電させて行うこととしてもよいし、車両等から降ろされた組電池の形態又は組電池から取り出されて個々の二次電池モジュールの形態で車両外に設けられた充放電機により充放電させても行うこととしてもよい。
【0032】
図1に示すランク付与部34は、電池診断部33の診断結果に基づいて、二次電池モジュールにランクを付与する。本実施形態1では、
図3に示すように、二次電池モジュールごとに、ランクR1~Rxを付与する。ランクの数やランク分けの基準は特に限定されず、適宜設定することができる。
【0033】
図1に示す更新部35は、後述の外部端末9から選択ランクRsを受信した時に、
図3に示すように、利用可能数記憶部26に記憶された当該選択ランクRsにおける二次電池モジュールの利用可能数を、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数を差し引いた数に更新する。また、更新部35は、後述の外部端末9より、選択ランクRsから選出された二次電池モジュールの識別情報を受信した場合には、対応関係記憶部25に記憶された識別情報とステータス情報との対応関係に基づいて、
図3に示すようにステータス情報記憶部24に記憶された対応するステータス情報を仮予約中の状態に更新する。さらに、更新部35は、判定部32における判定結果がすべて肯定である場合には、ステータス情報記憶部24に記憶された上記選出された二次電池モジュールのステータス情報を組付済みの状態に更新する。また、更新部35は、後述の中止指示受信部54が外部端末9からリビルトを中止する中止指示を受信した場合、利用可能数記憶部26に記憶された二次電池モジュールの利用可能数を更新前の状態に差し戻して更新し、ステータス情報記憶部24に記憶された上記選出された二次電池モジュールのステータス情報を利用可能の状態に差し戻して更新する。
【0034】
図1に示す送信部4及び受信部5は、通信ネットワーク200に有線又は無線で接続してデータの送受信が可能な演算装置からなる。送信部4は、利用可能ランク送信部41、組付情報送信部42、判定結果送信部43を含む。利用可能ランク送信部41は、
図2に示す、利用可能ランク抽出部31が抽出した利用可能ランクRa及びランク情報記憶部23に記憶された特定診断日時を外部端末9に送信する。組付情報送信部42は、選択ランクRsに属する二次電池モジュールの組付情報を外部端末9に送信する。組付情報には、組付対象の二次電池モジュールのランク、組電池を構成する二次電池モジュール以外の部品、組付手順などの情報が含まれる。判定結果送信部43は、判定部32による判定結果を外部端末9に送信する。
【0035】
図1に示す受信部5は、リビルト要求受信部51、選択ランク受信部52、識別情報受信部53、中止指示受信部54を含む。リビルト要求受信部51は、外部端末9に入力された組電池のリビルト要求を外部端末9から受信する。選択ランク受信部52は、外部端末9において、利用可能ランクRaから選択されたランクである選択ランクRsを外部端末9から受信する。識別情報受信部53は、外部端末9から二次電池モジュールの識別情報を受信する。中止指示受信部54は、外部端末9から組電池の組付中止の指示を受信する。
【0036】
次に、本実施形態1における外部端末9について説明する。
図1に示すように外部端末9は通信ネットワーク200を介してサーバ1と有線又は無線で接続される。そして、複数の外部端末9が同時にサーバ1に接続することができる。
【0037】
図1に示すように、外部端末9は、利用可能ランク受信部951、利用可能ランク表示部961、識別情報取得部973、識別情報送信部943、判定結果受信部953、判定結果出力部963を有する。
そして、利用可能ランク受信部951は、二次電池モジュールの劣化度に基づいて規定されたランクのうち、リビルトを要求された組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能なランクである利用可能ランクRaを、サーバから受信する。
利用可能ランク表示部961は、利用可能ランク受信部951が受信した利用可能ランクRaを表示する。
識別情報取得部973は、利用可能ランク表示部961に表示された利用可能ランクRaに基づいて、予め上記ランクが付与された使用済み二次電池モジュールから選出された二次電池モジュールの識別情報を取得する。
識別情報送信部943は、識別情報取得部973が取得した識別情報をサーバ1に送信する。
判定結果受信部953は、識別情報送信部943が送信した識別情報と、上記利用可能ランクRaにおける同一ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報とが一致するか否かの判定結果を受信する。
判定結果出力部963は、判定結果受信部953が受信した判定結果を出力する。
【0038】
以下、外部端末9の構成について詳述する。
図1に示すように、外部端末9は、送信部94、受信部95、表示出力部96、取得入力部97を備える。
送信部94及び受信部95は、通信ネットワーク200に有線又は無線で接続してデータの送受信が可能な演算装置からなる。本実施形態1では、送信部94は、上述の識別情報送信部943に加え、リビルト要求送信部941、選択ランク送信部942及び中止指示送信部944を含む。リビルト要求送信部941は、後述のリビルト要求入力部971に入力されたリビルト要求をサーバ1に送信する。選択ランク送信部942は、利用可能ランク表示部961に表示された利用可能ランクRaから選択された選択ランクRsをサーバに送信する。リビルト要求の入力及び選択ランクRsの選択は当該外部端末9を介してユーザが行うことができる。中止指示送信部944は、ユーザによる組電池のリビルトを中止するとの判断に基づき、サーバ1に中止指示を送信する。
【0039】
図1に示す受信部95は、上述の利用可能ランク受信部951及び判定結果受信部953に加え、組付情報受信部952を含む。組付情報受信部952は、選択ランクRsに属する二次電池モジュールの組付情報をサーバ1から受信する。なお、送信部94及び受信部95は、サーバ1と外部端末9との間のすべての情報の送受信が可能であってよい。
【0040】
図1に示す表示出力部96は、ユーザが情報を取得し理解できる形態で提供するものであって、情報を表示して出力するディスプレイや紙等に印刷して出力するプリンタなどからなる。表示出力部96は、上述の利用可能ランク表示部961及び判定結果出力部963に加え、組付情報出力部962を有する。利用可能ランク表示部961、組付情報出力部962及び判定結果出力部963はディスプレイによる表示であってもよいし、プリンタによる印刷であってもよい。本実施形態1では、利用可能ランク表示部961はディスプレイによる表示を行い、組付情報出力部962及び判定結果出力部963はプリンタによる印刷を行う。
【0041】
本実施形態1では、利用可能ランク表示部961は、各ランクR1~Rxに含まれる二次電池モジュールの劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュールMoの診断日時をランクR1~Rxごとに特定し、当該特定した診断日時が古いランクほど優先的に表示するように構成されている。上記特定診断日時は、利用可能ランク抽出部31により、利用可能ランクRaとともに抽出された上記特定診断日時を受信してこれを利用することができる。利用可能ランク表示部961において、「特定した診断日時が古いランクほど優先的に表示する」とは、ユーザが、特定した診断日時が古いランクを理解しやすいように表示することをいうものであって、例えば、特定した診断日時が最も古いランクを先頭に表示して、特定した診断日時が古いランクから順にこれ以降に表示することができる。また、特定した診断日時が最も古いランクのみをまず表示し、ユーザが特定した診断日時が最も古いランク以外のランクを表示するための操作を行った場合にその他のランクを特定した診断日時が古いランクから順に表示するようにしてもよい。なお、表示出力部96は、その他の情報を表示する表示部を備えていてもよい。
【0042】
図1に示す取得入力部97は、ユーザが情報を入力可能な装置からなる。取得入力部97は、上述の識別情報取得部973の他に、リビルト要求入力部971及び選択ランク入力部972を有する。リビルト要求入力部971は、ユーザがリビルト要求を入力可能に構成されており、リビルト要求にはリビルトの対象となる組電池の情報が含まれている。リビルト要求入力部971の形態は限定されず、例えば組電池の型番や識別情報などが入力可能な入力装置とすることができる。
【0043】
図1に示す選択ランク入力部972は、利用可能ランク表示部961に表示された利用可能ランクRaから、ユーザが一つのランクを選択ランクRsとして選択できるように構成されている。上述のように利用可能ランク表示部961には、特定した診断日時が最も古いランクが優先的に表示されるため、通常、ユーザは表示された利用可能ランクRaから特定した診断日時が最も古いランクを選択ランクRsとして選択することを促されることとなる。
【0044】
図1に示す識別情報取得部973は、利用可能ランクRaのうちの選択ランクRsに基づいて、保管場所Rにおいて当該選択ランクRsと一致するランクに区分けされた二次電池モジュール群から必要数取り出された二次電池モジュールの識別情報を取得する。当該識別情報は上述の通り、例えば二次元コードとすることができ、この場合、識別情報の取得は、二次元コード読取装置により行うことができる。
【0045】
なお、使用済みの組電池から利用可能な二次電池モジュールを取り出して保管するにあっては、
図4に示すように、サーバ1と接続された受入用端末8を用いることができる。受入用端末8は、
図4に示すように、受入情報送信部81、受入検査部82、作業手順書受信部83、モジュール情報送信部84、ランク情報受信部85、モジュール検査部86、検査結果表示部87を備える。
【0046】
図4に示す受入情報送信部81は、使用済みの組電池の受入情報をサーバ1に送信する。受入処理としては、組電池に関する情報をサーバ1に送信する。組電池に関する情報としては、組電池の識別情報や、当該組電池が搭載されていた装置の情報や、当該組電池が車両に搭載されていた場合はその車両情報とすることができる。車両情報は当該車両の型式、走行情報、故障履歴、使用された地域などを含むことができる。サーバ1は受信した組電池に関する情報を図示しない所定の記憶部に記憶する。
【0047】
図4に示す受入検査部82は、受け入れた組電池の検査を行い、検査結果をサーバ1に送信する。当該検査では、組電池に外傷や部品の欠損などの損傷がある否かを検査する。損傷がないと判定された組電池について、作業手順書受信部83がサーバ1から受信した手順書に従って組電池の分解を行う。そして、モジュール情報送信部84は、二次電池モジュールの情報をサーバ1に送信する。サーバ1では電池診断部33において劣化度を診断してランク付与部34においてランク分けを行う。ランク情報受信部85は、サーバ1からランクを含むランク情報を受信する。モジュール検査部86は、ランクが付与された二次電池モジュールに不具合がないか検査する。検査結果表示部87はモジュール検査部86の検査結果を表示する。ユーザは検査結果を参照して、二次電池モジュールを保管場所Rにおいて該当するランクR1~Rxに区分けして保管する。
【0048】
次に、本実施形態1の使用済み二次電池モジュール管理システムにおける使用済み二次電池モジュールの受け入れ及び保管のフローについて、以下に説明する。
まず、
図5に示すように、ステップS1において、使用済みの電池パックの受入を行う。使用済みの電池パックは例えば、車両に搭載されたものとすることができる。次いで、ステップS2において、受入用端末8の受入情報送信部81により、受入情報をサーバ1に送信し、サーバ1において受入情報を記憶する。
【0049】
その後、
図5のステップS3において、受入用端末8の受入検査部82により、組電池の受入検査を行う。ステップS3において受入不能と判定された場合は、ステップS3のNoに進み、ステップS4において受け入れた組電池を破棄する。一方、ステップS3において受入可能と判定された場合は、ステップS3のYesに進み、ステップS5において、作業手順書受信部83によりサーバ1から作業手順書を受信する。そして、ステップS6において、作業手順書に従って受け入れた組電池を分解し二次電池モジュールを取り出し、ステップS7において、モジュール情報送信部84により、当該二次電池モジュールの情報をサーバ1に送信する。サーバ1では受信した二次電池モジュールの情報のうち識別情報を識別情報記憶部21に記憶し、その他の部品に関する情報は図示しない記憶部に記憶する。
【0050】
次いで、
図5に示すステップS8において、サーバ1の電池診断部33において二次電池モジュールの劣化度を診断してランク付与部34においてランク分けを行う。その後、二次電池モジュールを充電する。そして、ステップS9において、受入用端末8のランク情報受信部85がサーバ1からランクを含むランク情報を受信する。その後、ステップS10において、モジュール検査部86により二次電池モジュールの検査を行い、検査結果をサーバ1に送信する。二次電池モジュールに損傷がある場合は受け入れ不可と判断し、ステップS10のNoに進み、ステップS11において、当該二次電池モジュールを破棄する。一方、二次電池モジュールに損傷がない場合は受け入れ可能と判断し、ステップS10のYesに進み、ステップS12において、
図2に示すように、二次電池モジュールを保管場所Rにおいて該当するランクR1~Rxに区分けして保管する。保管場所Rにおいて、二次電池モジュールはランク毎に二次電池モジュールの診断日時が古い二次電池モジュールMoが優先的に取り出しやすいように配置されている。なお、破棄された組電池及び二次電池モジュールを分解して利用可能な部品を取り出して再利用することとしてもよい。
【0051】
また、
図5に示すステップS12において、サーバ1では、受け入れ可能と判断された二次電池モジュールの識別情報とランクとの対応関係を対応関係記憶部25に記憶し、二次電池モジュールの劣化度の診断日時を診断日時記憶部22に記憶する。また、利用可能数記憶部26に記憶されたランク毎の二次電池モジュールの利用可能数に対して受け入れ数を加算して更新する。
【0052】
次に、本実施形態1の使用済み二次電池モジュール管理システム100における組電池のリビルトのフローについて、以下に説明する。
まず、
図6に示すように、組電池のリビルトの要求が生じると、ステップS20において、外部端末9のリビルト要求入力部971にユーザがリビルト要求を入力する。そして、外部端末9のリビルト要求送信部941からリビルト要求が送信され、サーバ1のリビルト要求受信部51で受信される。ステップS21に進み、サーバ1において受信したリビルト要求に応じて、利用可能ランク抽出部31により、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能である利用可能ランクRaを抽出する。例えば、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数が5である場合は、利用可能ランクRaとして、
図3に示すランクR1~R4が抽出される。当該利用可能ランクRaの抽出は、ランク情報記憶部23に記憶された特定診断日時の古いものほど順に抽出される。抽出された利用可能ランクRa及び特定診断日時は、サーバ1の利用可能ランク送信部41により、外部端末9に送信される。
【0053】
そして、
図6に示すステップS22において、外部端末9の利用可能ランク受信部951が利用可能ランクRa及び特定診断日時を受信して、利用可能ランク表示部961により利用可能ランクRaを表示する。利用可能ランク表示部961において、利用可能ランクRaに含まれるランクR1~R4は、特定診断日時の古いものから順に表示される。ステップS23において、当該表示に基づきユーザは利用可能ランクRaから、特定診断日時の古いランクR1を選択ランクRsとして選択することができる。
【0054】
その後、
図6に示すステップS24において、ユーザが利用可能ランクRaから選択したランクである選択ランクRsを外部端末9の選択ランク送信部942によりサーバ1に送信し、サーバ1の選択ランク受信部52において選択ランクを受信する。そして、ステップS25において、サーバ1の更新部35が利用可能数記憶部26に記憶された選択ランクRsの二次電池モジュールの利用可能数を、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数を差し引いた数に更新する。すなわち、
図3に示すように、選択ランクRsであるランクR1の利用可能数である10から組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数である5を差し引いた数に更新する。
【0055】
そして、ステップS26において、サーバ1の組付情報送信部42が二次電池モジュールの組付情報を外部端末9に送信し、外部端末9の組付情報受信部952が当該組付情報を受信する。その後、ステップS27において、外部端末9の組付情報出力部962が組付情報を印刷して出力する。そして、ステップS28において、保管場所Rから選択ランクRs(すなわち、ランクR1)に属する二次電池モジュールを最上位から順に必要数選出して取り出す。
【0056】
その後、
図6に示すステップS29において、組付情報に従って、二次電池モジュールの仮組付を行う。なお、仮組付とは、二次電池モジュールを互いに組付けて組電池のケースに収容する前の状態にすることをいう。仮組付の状態であれば、二次電池モジュールを組電池のケースに収容した後の状態に比べて二次電池モジュールの差し替えが容易である。
【0057】
そして、ステップS30において、外部端末9の識別情報取得部973が選出された(すなわち、仮組付された)二次電池モジュールの識別情報である二次元コードを読み取り、識別情報送信部943が読み取った識別情報をサーバ1に送信する。そして、ステップS31において、サーバ1の識別情報受信部53が当該識別情報を受信する。これに基づいて、更新部35が、当該識別情報に対応するステータス情報記憶部24に記憶されたステータス情報を利用可能の状態から仮予約中の状態に更新する。その後、ステップS32において、サーバ1の判定部32が、識別情報受信部53が受信した上記識別情報と、対応関係記憶部25を参照して上記利用可能ランクRaにおける同一ランク(すなわち、選択ランクRs)に属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する。さらに判定部32は、仮組付された二次電池モジュールの劣化度の診断日時が所定期間内であるか否かを判定する。さらに判定部32は、仮組付された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクRsにおける劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュールを含むか否かを判定する。なお、これに替えて、当該二次電池モジュールが属するランクRsにおける劣化度の診断日時の古い順に使用されているかさらに判定しても良い。
【0058】
図6に示すステップS32における判定結果が全て肯定である場合、すなわち、識別情報受信部53が受信した識別情報と選択ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報と一致し、かつ、仮組付された二次電池モジュールの劣化度の診断日時が所定期間内であり、かつ、仮組付された二次電池モジュールが当該二次電池モジュールの属するランクRsにおける劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュールを含むか又は診断日時の古い順に使用されていると判定された場合、ステップS32のYesに進む。
【0059】
そして、ステップS33において、サーバ1の更新部35が、当該識別情報に対応するステータス情報記憶部24に記憶されたステータス情報を仮予約中の状態から組付済みの状態に更新する。その後、ステップS34において、サーバ1の判定結果送信部43により判定結果を外部端末9に送信し、外部端末9の判定結果受信部953により判定結果を受信する。そして、外部端末9の判定結果出力部963により判定結果を印刷して出力する。
【0060】
次いで、
図6に示すステップS35において、組付情報に従って、仮組付した二次電池モジュールを組電池のケースに収容するとともに、その他の部品を取り付けて組電池を作成する。その後、ステップS36に進み、完成した組電池の完成検査を行う。当該完成検査は図示しない検査装置で行うことができる。そして、当該完成検査をクリアした場合は、ステップS36のYesに進み、ステップS37において検査結果をサーバ1に送信してこのフローを終了する。ステップS36の完成検査をクリアしなかった場合は、ステップS36のNoに進み、再度ステップS35を行う。
【0061】
一方、
図6に示すステップS32において、上記判定結果に否定が含まれる場合は、ステップS32のNoに進み、ステップS38において、サーバ1の判定結果送信部43により判定結果を外部端末9に送信し、外部端末9の判定結果受信部953により判定結果を受信する。そして、外部端末9の判定結果出力部963により、判定結果を印刷して出力して、選出された二次電池モジュールに不適切なものが含まれていたことをユーザに示す。これに応じて、ステップS39において、ユーザが組電池の組付を中止する否かを判断する。ステップS39において、組電池の組付を中止しないと判断した場合は、ステップS39のYesに進み、再度ステップS28においてユーザが選択ランクRsから二次電池モジュールを選出し、以降のステップを実施する。
【0062】
一方、
図6に示すステップS39において、ユーザが組電池のリビルトを中止すると判断した場合は、外部端末9の中止指示送信部944からサーバ1にリビルトの中止指示を送信し、サーバ1の中止指示受信部54が当該中止指示を受信する。そして、ステップS40において、更新部35は利用可能数記憶部26に記憶された二次電池モジュールの利用可能数を上記更新前の状態に差し戻して再更新するとともに、当該二次電池モジュールに対応するステータス情報記憶部24に記憶されたステータス情報を仮予約中の状態から利用可能の状態に差し戻して再更新し、二次電池モジュールを保管場所Rに戻して当該フローを終了する。
【0063】
次に、本実施形態1の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ1における作用効果について、詳述する。
本実施形態1のサーバ1によれば、組電池のリビルト要求に応じて、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能である利用可能ランクRaを抽出する。そして、ランクが付与された使用済み電池モジュール群から利用可能ランクRaに基づいて選出された同一ランクRsの二次電池モジュールの識別情報が、利用可能ランクにおける同一ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かを判定する。これにより、使用済み電池モジュール群から選出された二次電池モジュールが同一の正しいランクRsに属するものであるか否かを判定することができ、二次電池モジュールの誤組付を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態1のサーバ1では、判定部32は、利用可能ランクRaに基づいて選出された二次電池モジュールの劣化度の診断日時が、所定期間内であるか否かをさらに判定する。これにより、二次電池モジュールの自己放電により保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態となったものを使用しないようにすることができ、組電池に過放電状態の二次電池モジュールが含まれることを防止して組電池の性能を維持することができる。また、二次電池モジュールの保管期間中の劣化により、ランクが変化した二次電池モジュールを組み付けられないようにすることができる。
【0065】
また、本実施形態1のサーバ1では、判定部32は、利用可能ランクRaに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクRsにおける劣化度の診断日時の最も古い二次電池モジュールを含むか否か、または、上記利用可能ランクに基づいて選出された二次電池モジュールが、当該二次電池モジュールが属するランクにおける劣化度の診断日時の古いものから順に選択されたものであるかを、さらに判定する。これにより、診断日時の最も古い二次電池モジュールから優先的に再利用することができ、保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態なることを抑制できる。特に、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数が多いと必要数の二次電池モジュールが揃うまでに時間がかかる場合があり、かかる場合には、保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態や保管中に劣化した状態になりやすいが、上記構成を採用することにより、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数が多い場合であっても保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態なることや保管中に劣化した状態となることを抑制でき、コスト削減を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態1のサーバ1では、ランク情報記憶部23は、ランク毎にランクRaに含まれる二次電池モジュールの劣化度の診断日時の最も古いものの診断日時である特定診断日時を記憶しており、利用可能ランク抽出部31は、特定診断日時が古いランクほど優先的に抽出する。これにより、診断日時の古い二次電池モジュールから順に再利用することができ、上述と同様に、保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態なることや保管中に劣化した状態となることを抑制できる。
【0067】
また、本実施形態1のサーバ1では、利用可能ランクRaから選択された選択ランクRsを受信する選択ランク受信部52と、選択ランクRsに属する二次電池モジュールの組付情報を外部端末9に送信する組付情報送信部42と、を有する。これにより、二次電池モジュールを組み付ける際に必要な情報をユーザに適切なタイミングで提示することができ、組付作業の効率化が図られる。
【0068】
また、本実施形態1のサーバ1では、記憶部2に記憶された情報を更新する更新部35を有している。そして、記憶部2は、各ランクに含まれる二次電池モジュールのステータス情報が利用可能であることを示すものである二次電池モジュールの数を、ランクごとの二次電池モジュールの利用可能数として記憶する利用可能数記憶部26を有している。また、利用可能ランク抽出部31は、利用可能数記憶部26に記憶された利用可能数に基づいて、利用可能ランクRaを抽出し、更新部35は、外部端末9から選択ランクRsを受信した時に、選択ランクRsにおける二次電池モジュールの利用可能数を、組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数を差し引いた数に更新する。これにより、組電池が完成する前の選択ランクRsが決定されたタイミングで、二次電池モジュールの利用可能数が更新されることとなる。その結果、複数の外部端末9がサーバ1に接続されている場合に、例えば、第1の外部端末9で選択ランクRsの利用可能数が更新されれば、第2の外部端末9においても当該ランクの利用可能数が更新されるため、第2の外部端末9において利用可能数を正確に表示することができる。
【0069】
また、本実施形態1のサーバ1では、更新部35は、判定部32における判定結果がすべて肯定である場合に、選出された二次電池モジュールのステータス情報を組付済みの状態に更新する。一方、リビルトを中止すると判断された場合には、利用可能数記憶部26に記憶された二次電池モジュールの利用可能数を上記更新前の状態に差し戻して更新するとともに、上記選出された二次電池モジュールの上記ステータス情報を利用可能の状態に更新する。これにより、二次電池モジュールが組電池に再利用されることが確定した時点で二次電池モジュールのステータス情報を更新し、組電池のリビルトが中止される場合は利用可能数を更新前の状態に戻すとともにステータス情報を更新することで、実際に利用可能な二次電池モジュールを最新の状態に保つことができる。
【0070】
また、本実施形態1のサーバ1では、使用済み二次電池モジュールの劣化度を診断する電池診断部33と、電池診断部33の診断結果に基づいてランクR1~Rxを二次電池モジュールに付与するランク付与部34とを有する。これにより、別途、診断装置を用意することなく、二次電池モジュールのランク付けを行うことができる。
【0071】
また、本実施形態1のサーバ1では、電池診断部33は、二次電池モジュールの所定の電圧区間における電池状態の推移に関する電池特性に基づいて当該二次電池モジュールの劣化度を診断する。これにより、二次電池モジュールの劣化度を短時間で高精度に診断することができる。
【0072】
また、本実施形態1のサーバ1では、上記識別情報は、使用済み二次電池モジュールの製造時に付与されたものである。これにより、識別情報を新たに作成する必要がないため、作業性が向上する。
【0073】
また、本実施形態1における使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末9による作用効果を以下に詳述する。
本実施形態1の外部端末9では、リビルトを要求された組電池を構成するのに要する二次電池モジュール数以上の二次電池モジュールが利用可能なランクである利用可能ランクRaをサーバ1から受信し、当該利用可能ランクRaを表示する。そして、表示された利用可能ランクRaに基づいて、予めランクが付与された使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールの識別情報を取得してサーバ1に送信し、送信した識別情報が利用可能ランクRaにおける同一ランクRsに属する二次電池モジュールの識別情報と一致するか否かの判定結果を受信し、判定結果を出力する。これにより、使用済み二次電池モジュール群から選出された二次電池モジュールが同一の正しいランクRsに属するものであるか否かを外部端末9においてユーザが確認することができ、二次電池モジュールの誤組付を防止することができる。
【0074】
また、本実施形態1の外部端末9では、利用可能ランク表示部961は、各ランクR1~Rxに含まれる二次電池モジュールの劣化度の診断日時の最も古いものの診断日時をランクごとに特定し、当該特定した診断日時が古いランクほど優先的に表示する。これにより、診断日時の最も古い二次電池モジュールを優先的に再利用することができ、保管期間中に二次電池モジュールが過放電の状態になったり、保管中の電池性能劣化によってランクが変更されたりすることを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態1の外部端末9では、利用可能ランク表示部961に表示された利用可能ランクRaから選択された選択ランクRsをサーバ1に送信する選択ランク送信部942と、選択ランクRsに属する二次電池モジュールの組付情報をサーバ1から受信する組付情報受信部952と、組付情報受信部952が受信した組付情報を出力する組付情報出力部962とを有する。これにより、二次電池モジュールを組み付ける際に必要な情報をユーザに適切なタイミングで提示することができ、組付作業の効率化が図られる。
【0076】
また、本実施形態1の外部端末9では、識別情報取得部973は、二次電池モジュールの識別情報として、当該二次電池モジュールの製造時に付与された識別情報を取得する。これにより、新たな識別情報を用いる必要がないため、作業性が向上する。
【0077】
また、本実施形態1の使用済み二次電池モジュール管理システム100は、上述の使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ1と、上述の使用済み二次電池モジュール管理システム用外部端末9とを備える。これにより、上述したサーバ1による作用効果と外部端末9による作用効果との両方を奏することができ、二次電池モジュールの誤組付を防止することができる。
【0078】
なお、本実施形態1では、
図6に示すステップS36において完成検査をクリアしなかった場合は、ステップS36のNoに進み、再度ステップS35を行うこととしたが、これに替えて、ステップS36において完成検査をクリアしなかった場合に、ユーザがリビルトを中止するか否か判断し、中止すると判断した場合にはステップS36のNoからステップS35には進まずに、ステップS40に進んで利用可能数を差し戻すとともに、ステータス情報を利用可能の状態に差し戻して、二次電池モジュールを保管場所Rに戻すこととしてもよい。
【0079】
また、本実施形態1では、
図6に示すように、ステップS29において仮組付した後、ステップS30において識別情報の読取と送信とを行い、ステップS32以降を行うこととした。これにより、当該識別情報の送信後に二次電池モジュールが誤って別の二次電池モジュールに取り換えられてしまうことを抑制でき、誤組付の防止を一層図ることができる。なお、これに替えて、ステップS29における仮組付を行わずにステップS30~S34を実施して、ステップS35において組電池を作成することとしてもよい。この場合は、仮組付を行わないため、ステップS32において判定結果に否定が含まれる場合にステップS28において二次電池モジュールを選出しなおす際に、仮組付を解除する必要がないため作業性の向上が期待できる。
【0080】
なお、上記サーバ1及び外部端末9は各構成を有する個々の装置を組み合わせて構成することとしてもよく、個々の装置が異なる場所に配置されていてもよい。例えば、サーバ1において、電池診断部33、ランク付与部34及び記憶部2が別個の装置により構成されており、異なる場所に配置されていることとしてもよい。例えば、車両販売店等で組電池からなるバッテリを車両に搭載した状態で、電池診断部33によりバッテリの劣化度を診断した後、当該診断結果とバッテリ本体とを別の拠点に送付し、当該別の拠点でバッテリを分解してランク付与部34により二次電池モジュールごとにランクを付与し、二次電池モジュールの識別情報とランクとの対応関係を記憶部2に記憶させることとしてもよい。
【0081】
以上のごとく、本実施形態1によれば、使用済み二次電池モジュールの誤組付を防止することができる使用済み二次電池モジュール管理システム用サーバ1及び外部端末9、管理システム100を提供することができる。
【0082】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、サーバ1が使用済み二次電池モジュールの劣化度を診断する電池診断部33と、電池診断部33の診断結果に基づいてランクR1~Rxを二次電池モジュールに付与するランク付与部34とを備えることとしたが、これに替えて、本実施形態2では、
図7に示すように、サーバ1は電池診断部33を有さず、診断結果受信部55を備える。そして、外部端末9が電池診断部933と、診断結果送信部945と、電池情報取得部974とを備える。
【0083】
そして、実施形態2では、
図7に示す電池情報取得部974は、二次電池モジュールを充放電させたときの電池情報を取得する。電池情報取得部974による電池情報の取得は、二次電池モジュールが組電池の形態で車両等に搭載されたままの状態で車両等に備えられた装置により又は車両外に設けられた外部装置である充放電機により充放電させて行ってもよい。また、車両等から降ろされた組電池の形態又は組電池から取り出されて個々の二次電池モジュールの形態で車両外に設けられた充放電機により充放電させて行ってもよい。また、外部端末9が上記充放電機の構成を有していてもよい。
【0084】
図7に示す外部端末9は処理部93を備える。処理部93は所定の演算装置からなり、電池診断部933を含む。電池診断部933は、実施形態1における電池診断部33と同様の構成とすることができる。そして、電池診断部933は使用済み二次電池モジュールの劣化度を診断し、当該診断結果を診断結果送信部945によりサーバ1に送信する。サーバ1の診断結果受信部55は当該診断結果を受信し、ランク付与部34において、実施形態1の場合と同様にランクを付与する。なお、その他の構成について実施形態1と同一の構成は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
本実施形態2によれば、実施形態1の場合と同等の作用効果を奏する。さらに、サーバ1が電池診断部33を備える必要がないため、サーバ1の構成を簡素化できる。
【0086】
(実施形態3)
上述の実施形態1のサーバ1では、使用済み二次電池モジュールの劣化度を診断する電池診断部33と、電池診断部33の診断結果に基づいてランクR1~Rxを二次電池モジュールに付与するランク付与部34とを備えることとしたが、これに替えて、本実施形態3のサーバ1は、
図8に示すように、電池診断部33を有さず、診断結果受信部55を備える。そして、車両500が、電池診断部501、通信部502を有する。電池診断部501は、実施形態1における電池診断部33と同様の構成とすることができる。車両500の通信部502は、通信ネットワーク200を介してサーバ1と有線又は無線で接続される。
【0087】
そして、
図8に示す車両500に搭載された電池診断部501は、当該車両500に搭載された装置を用いて車両500に搭載された組電池を充放電して当該組電池を構成する二次電池モジュール(図示せず)の劣化度を診断する。そして、車両500に搭載された通信部502を介してサーバ1に劣化度の診断結果を送信する。サーバ1は、当該診断結果を診断結果受信部55により受信する。なお、診断結果の受信は、これに替えて、通信部502から外部端末9を介してサーバ1の診断結果受信部55が受信することとしてもよい。そして、ランク付与部34は、診断結果受信部55が受信した劣化度の診断結果に基づいて上記ランクを二次電池モジュールに付与する。本実施形態において、車両500に搭載された電池診断部501は、車両外に設けられた充放電機を使用して、組電池を車両500に搭載したままの状態で充放電させて二次電池モジュールの劣化度を診断することとしてもよい。なお、実施形態3において、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
上述のように、本実施形態3のサーバ1は、二次電池モジュールの劣化度の診断結果を受信可能な診断結果受信部55と、診断結果受信部55が受信した劣化度の診断結果に基づいて上記ランクを二次電池モジュールに付与するランク付与部34とを有する。これにより、サーバ1の外部において取得された二次電池モジュールの劣化度を用いてランクを付与することができるため、サーバ1が電池診断部33を備える必要がなくサーバ1の構成を簡素化できる。
【0089】
また、本実施形態3のサーバ1においては、診断結果受信部55は、二次電池モジュールが含まれた組電池が車両500に搭載された状態で、該車両に搭載された電池診断部501により診断された二次電池モジュールの劣化度の診断結果を受信するように構成されている。これにより、車両500に搭載された組電池を構成する二次電池モジュールの再利用に適した構成とすることができる。
【0090】
(実施形態4)
また、
図9に示す実施形態4では、上述の実施形態1の外部端末9とは異なる外部装置であるスキャンツール98を利用する。実施形態4では、サーバ1は、実施形態3のサーバ1と同様に、
図9に示すように電池診断部33を有さず、診断結果受信部55を備えている。そして、スキャンツール98は、電池情報受信部981、電池診断部982、診断結果送信部983及び診断結果表示部984を備える。なお、スキャンツール98は、ユーザが当該スキャンツール98を操作するための操作部を有していてもよい。車両500は、スキャンツール98と通信可能な通信部503を有する。スキャンツール98の電池情報受信部981は車両の通信部503と有線又は無線で接続され、スキャンツール98の診断結果送信部983は、通信ネットワーク200を介してサーバ1と有線又は無線で接続される。
【0091】
実施形態4では、車両500に搭載された装置を用いて車両500に搭載された組電池を充放電して得られた電池情報を、通信部503によりスキャンツール98に送信する。スキャンツール98の電池情報受信部981が当該電池情報を受信して、スキャンツール98に備えられた電池診断部982により当該組電池を構成する二次電池モジュールの劣化度を診断する。そして、当該診断結果を診断結果送信部983によりサーバ1に送信する。なお、診断結果はスキャンツール98に備えられた診断結果表示部984に表示してユーザが確認できるようにしてもよい。また、スキャンツール98に備えられた電池診断部982は、車両外に設けられた充放電機を使用して、組電池を車両500に搭載したままの状態で充放電させて二次電池モジュールの劣化度を診断することとしてもよい。
【0092】
また、本実施形態4のサーバ1においては、組電池が車両500に搭載された状態で、二次電池モジュールの劣化度を診断してサーバ1に診断結果を送信することができる。これにより、車両500に搭載された組電池を構成する二次電池モジュールの再利用に適した構成とすることができる。
【0093】
(実施形態5)
また、
図10に示す実施形態5では、サーバ1は、二次電池モジュールの診断結果が作成されたときの温度情報に基づいて診断結果を補正する診断結果補正部331を備える。そして、ランク付与部34は、補正された診断結果に基づいて二次電池モジュールにランクを付与するように構成されている。なお、本実施形態5では、サーバ1は、
図9に示す実施形態4のサーバ1と同様の構成を有するサーバ1aと、診断結果補正部331を有するサーバ1bとから構成されている。サーバ1aとサーバ1bとは互いに異なる場所に設置されており、両者は通信ネットワーク200を介して接続されている。
【0094】
本実施形態5では、
図9に示す実施形態4と同様に、
図10に示すスキャンツール98に備えられた電池診断部982により、車両500に備えられた組電池を構成する二次電池モジュールの劣化度を診断して診断結果を作成する。当該診断結果には、当該診断結果が作成されたときの温度情報が含まれている。そして、スキャンツール98に備えられた診断結果送信部983により当該診断結果をサーバ1bに送信する。当該診断結果を受信したサーバ1bは、診断結果補正部331により、診断結果に含まれた温度情報に基づき、診断結果を補正する。診断結果の補正は、例えば、温度情報と予め設定された基準温度とを比較して、温度情報が基準温度と異なる場合には、当該診断結果が基準温度において診断されたものとなるように所定の方法で補正するようにすることができる。その後、補正された診断結果は、サーバ1bに備えられた図示しない送信部を介してサーバ1aに送信される。サーバ1aでは、ランク付与部34により、補正された上記診断結果に基づいてランクを上記二次電池モジュールに付与する。その他の構成及び処理は実施形態4の場合と同様である。
【0095】
本実施形態5においては、診断結果が作成されたときの温度情報に基づいて補正された診断結果により上記ランクの付与が行われる。そのため、診断がなされた温度環境の違いによる診断結果への影響を排除することができ、ランク付与の精度を高めることができる。さらに、電池診断を実施する場所と、電池分解・保管・修理・組付けを実施する場所とが互いに異なるようにすることができる。これにより、顧客への効率的かつ迅速な修理サービスの提供が可能となる。例えば、顧客は近くの車両販売店等で診断を実施することができるため移動時間削減に繋がるとともに、車両販売店等で電池診断結果が判明するため修理費用をその場で把握することができる。また、修理実施場所を集中させることで人員配置・設備保有も効率的に行うことができる。
【0096】
なお、本実施形態5では、電池診断部982は、サーバ1aが設置された場所とは異なる車両販売店等に設けられたスキャンツール98に備えられており、サーバ1bもサーバ1aとは異なる拠点に設置されているものとしたが、これに限らず、サーバ1aが電池診断部及び診断結果補正部の一方又は両方を備えていてもよい。
【0097】
(実施形態6)
また、
図11に示す実施形態6では、サーバ1は、上述の実施形態4の場合と同様の構成を有するとともに、診断結果に含まれた診断日情報を二次電池モジュールに付与する日時情報付与部332をさらに備える。本実施形態6では、スキャンツール98は車両販売店等に設けられており、スキャンツール98に備えられた電池診断部982による診断結果が作成された日時が日時情報として診断結果に含まれる。
【0098】
本実施形態6においては、二次電池モジュールの劣化度の診断結果が作成された日時が日時情報として二次電池モジュールに付与されているため、組付情報に従って二次電池モジュールを組み付ける際に日時情報を参照することで、誤組み付けの防止を一層図ることができる。さらに、実施形態5の場合と同様に、電池診断を実施する場所と、電池分解・保管・修理・組付けを実施する場所とが互いに異なるようにすることができ、これにより、顧客への効率的かつ迅速な修理サービスの提供が可能となるとともに、修理実施場所を集中させることで人員配置・設備保有も効率的に行うことができる。
【0099】
なお、本実施形態6では、日時情報付与部332は、サーバ1に備えられることとしたが、これに替えて、サーバ1とは異なる場所にある車両販売店等に設けられたスキャンツール98に備えられていてもよい。
【0100】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 二次電池モジュール管理システム用サーバ、9 二次電池モジュール管理システム用外部端末、100 二次電池モジュール管理システム、21 識別情報記憶部、22 診断日時記憶部、23 ランク情報記憶部、24 ステータス情報記憶部、25 対応関係記憶部、26 利用可能数記憶部、31 利用可能ランク抽出部、32 判定部、33 電池診断部、331 診断結果補正部、332 日時情報付与部、34 ランク付与部、35 更新部、41 利用可能ランク送信部、42 組付情報送信部、43 判定結果送信部、52 選択ランク受信部、53 識別情報受信部、55 診断結果受信部、942 選択ランク送信部、943 識別情報送信部、951 利用可能ランク受信部、952 組付情報受信部、953 判定結果受信部、961 利用可能ランク表示部、962 組付情報出力部、963 判定結果出力部、972 選択ランク入力部、973 識別情報取得部