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  • 特許-交換装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】交換装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 9/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B23C9/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021143207
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036258
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古田 則人
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-155626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 9/00
B23Q 3/155
B25H 1/00
F16M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライス刃具の交換装置であって、
一方の面側にボールキャスターを有する板状の受け台と、
前記ボールキャスターが載置されるスペーサーを有し、前記受け台を、前記受け台の面に平行方向に移動自在に支持するカバーと、
前記カバーを支持する支持部と、
前記支持部と、前記カバーと、に接続され、前記支持部と前記カバーの相対的な動作をガイドするガイド機構と、
前記受け台の下面と、前記支持部の上面と、を連結し、引っ張り力を発生させる引っ張りバネと、を備える、
交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライス刃具の交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フライス刃具を搭載する受け台の下面に、緩衝器付きのガイドバーを設け、ガイドバーを固定する可動プレートにベアリングを設けてベースプレート上に載置することで、可動プレートがベースプレート上で水平面上の移動と回転動作を自在に行う交換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-155626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された交換装置では、可動プレートは、ベースプレートに締結された規制片を用いて脱落を規制している。しかしながら、交換治具をフライス刃具の下に設置する際には、可動プレートは所定方向に可動し、規制片により規制された状態で設置された状態となる。すなわち交換装置では、所定の可動方向について可動プレートの可動範囲が不足する場合があり、この可動範囲が不足した方向に可動プレートを動作させたい場合には、交換装置の置き直しが必要となる虞がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、フライス刃具を載置する受け台の可動範囲が確保された交換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる交換装置は、フライス刃具の交換装置であって、一方の面側にボールキャスターを有する板状の受け台と、前記ボールキャスターが載置されるスペーサーを有し、前記受け台を、前記受け台の面に平行方向に移動自在に支持するカバーと、前記カバーを支持する支持部と、前記支持部と、前記カバーの前記スペーサーと、に接続され、前記支持部と前記カバーの相対的な動作をガイドするガイド機構と、前記受け台の下面と、前記支持部の上面と、を連結し、引っ張り力を発生させる引っ張りバネと、を備える。
これにより、力が加えられた場合に、ボールキャスターとガイド機構により受け面が面と平行方向に自由移動できることを確保しつつ、力が加わっていない場合の受け台の位置を、引っ張りバネにより調整できる。
【発明の効果】
【0007】
これにより、フライス刃具を載置する受け台の可動範囲を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】交換装置の外観を示した側面図である。
図2】交換装置の内部の断面を示した斜視断面図である。
図3】交換装置の内部の断面を側面方向から示した側断面図である。
図4】受け台の位置がXY方向にずれた状態の交換装置の断面の一例を示す側断面図である。
図5】カバー13が支持部12に対して相対的に下方に動作した状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るフライス刃具の交換装置について説明する。図1は、交換装置1の外観を示した側面図である。さらに、図2は、交換装置1の内部の断面を示した断面斜視図であり、図3は、交換装置1の内部の断面を側面方向から示した断面図である。
【0010】
以下では、フライス刃具とは、ホルダーに保持されるカッターであるものとして説明する。また、図1に記載されたカッター及びホルダーは、それぞれ一方に設けられたキーと、他方に設けられたキー溝に合致させて、相対的に回転させることで、互いに固定されるとものとする。さらに、交換装置1において、上下方向を、Z方向として説明するとともに、後述する受け台14の板面の延在方向である水平方向を、XY方向として説明することがある。
【0011】
図2及び図3に示すように、交換装置1は、ベース部11と、ベース部11上に設けられた支持部12と、支持部12の上部付近に配され、支持部12より外径が広い外径で形成されたカバー13と、カバー13の上方に配された受け台14と、カバー13の内部に配されるガイド機構15と、カバー13の内部に配される引っ張りバネ16と、を備える。ここで図2及び図3は、カバー13の下端と支持部12の上端がZ方向に揃っている状態を示している。以下ではこの状態を、初期状態として説明する。
【0012】
ベース部11は、下面が接地する板状である。ベース部11は、支持部12に比べて広径で形成されている。また、ベース部11の上面には、支持部12が載置された状態で連結されている。また、ベース部11のXY方向の径は、後述する支持部12のベース本体部21及び平板部22に比べて長く形成されている。
【0013】
支持部12は、カバー13を上下動可能である状態で支持している。支持部12は、円筒状のベース本体部21と、ベース本体部21の上部において、XY方向に広がるように形成された平板部22と、を有する。
【0014】
ベース本体部21は、上下方向に貫通する中空部21aが形成された筒状である。なお中空部21aを形成する壁面を壁部21bとする。中空部21a内には、Z方向に薄く形成された板状の蓋部23が配されている。なお、蓋部23はXY方向に径を有する円板状である。
【0015】
中空部21aは、Z方向からの両視点においてそれぞれ円形状に形成されているとともに、上部側の内径に比べて、下部側に配される内径が広径であるように形成されている。ここで上部側の短い内径の箇所を小内径部21c、下部側の長い内径の箇所を大内径部21dとする。また、小内径部21cの下部と、大内径部21dの上部の接続する部分に、段が形成されている。
【0016】
平板部22は、ベース本体部21の壁部21bの上端部から、ベース本体部21の径方向に広がるフランジ状である。
【0017】
蓋部23は、中空部21a内の大内径部21dに配置されている。ここで蓋部23は、径方向であるXY方向の長さが大内径部21dの径より僅かに短く、かつ、小内径部21cの径より僅かに長く形成されている。
【0018】
蓋部23は、中空部21a内のうち大内径部21dである下部領域において、上下方向に移動可能である。なお、図2及び図3に示す初期状態において、蓋部23は上方向に動作した状態である。このとき蓋部23は、小内径部21cと大内径部21dとの間に形成された段にかかることによって、上死点まで動作した状態となる。
【0019】
また、蓋部23は、後述する受け台保持部32に対して連結されている。典型的には、蓋部23を面の下方からボルトが貫通しているとともに、このボルトの先端部が受け台保持部32に挿入されて固定されることにより、蓋部23と受け台保持部32が固定される。
【0020】
蓋部23のXY方向における中央部には、上方に延びる第1のフック24が配されている。この第1のフック24は、蓋部23に対し、Z方向に相対的に動作しないように支持されている。一方で、第1のフック24の上方に延びる延在部は、後述するカバー13の受け台保持部32に対して、ベアリングを介してXY方向から支持されている。したがって、第1のフック24は、蓋部23が上下動した場合に連動して上下動を行うとともに、Z軸周りには回動可能に支持されている。
【0021】
ここで、ベース本体部21の壁部21bには、上下方向に貫通する複数の孔部21eが形成されている。孔部21eには、カバー13の内部に配され上下方向に延在するガイド機構15の下部が、上方から挿入されている。より具体的には、孔部21eには、後述するガイド機構15のロッド15aの下部が、上下動自在な状態で配されている。
【0022】
なお典型的には、壁部21bには2つの孔部21eが、交換装置1の中心軸を挟んで対向するように配されており、夫々にガイド機構15が挿入されるが、孔部21eやガイド機構15の個数や配置はこれに限られない。
【0023】
カバー13は、円筒状であるカバー本体部31と、カバー本体部31内に配される受け台保持部32と、を有する。
【0024】
カバー本体部31は、上下方向に貫通する中空部31aと、中空部31aを形成している壁部31bと、を備える。中空部31aは、Z方向からの両視点においてそれぞれ円形状に形成されているとともに、中空部31aにおける上部側の内径に比べて、下部側の内径が長く形成されている。ここで、上部側の短い内径の箇所を小内径部31c、下部側の長い内径の箇所を大内径部31dとする。
【0025】
ここで、下部の大内径部31dの径の長さは、支持部12のベース本体部21に形成された平板部22より僅かに長く形成されている。したがって、カバー13に下降する力が加えられた場合には、カバー13は、大内径部31d内の下方から支持部12が挿入される状態で、下降することができる。
【0026】
小内径部31cには、円板状のスペーサー33が配されている。このスペーサー33の板面上には、後述する受け台14のボールキャスター43が載置される。また、スペーサー33の中央部には上下方向に貫通する、所定の径を有する孔が形成されている。また、スペーサー33は、受け台保持部32の上部に載置される。
【0027】
また、壁部31bには、上下方向に貫通する複数の孔が形成されている。この孔には、カバー本体部31と、受け台保持部32とを固定するためのボルトが挿入される。
【0028】
受け台保持部32は、上下方向に長く形成された円筒状の受け台保持本体部32aと、受け台保持本体部32aの上部からXY方向の外側に延びたフランジ状の平板部32bと、を備える。ここで、受け台保持本体部32aでは、壁部32dが外周を形成することによって、中空部32cが形成されている。
【0029】
受け台保持本体部32aの外径の長さは、支持部12の中空部21aの小内径部21cの径より僅かに短く形成されている。そして、受け台保持本体部32aの下部は、この支持部12の中空部21aの小内径部21c内に、上方から挿入された状態で配される。
【0030】
ここで、受け台保持本体部32aの壁部32dの下端部は、支持部12の中空部21aにおいて、蓋部23の上面に当接する。また、受け台保持本体部32aの壁部32dの下端部は、蓋部23とボルト止めにより固定されている。
【0031】
さらに、受け台保持本体部32aの下端近傍の壁部32dの内壁側には、複数のベアリング34が配されている。第1のフック24は、このベアリング34を介して、Z軸周りに回動可能に支持される。
【0032】
平板部32bには、カバー本体部31の壁部31bに設けられた孔を貫通するボルトの先端部が上方から挿入され、固定される。これにより、受け台保持部32は、カバー本体部31に対して固定されている。
【0033】
ここで、ガイド機構15は、上下に延びるロッド15aと、ロッド15aの上部近傍に設けられたフランジ状の平板部15bと、平板部15bの下方において、ロッド15aを中心としてロッド15aを巻くように配されているバネ15cと、を有する。なお、ロッド15aの上端部は、平板部15bより上方に突出している。
【0034】
受け台保持本体部32aの平板部32bには、ガイド機構15のロッド15aの上端部が下方から挿入されている。さらに、平板部32bの下面は、ガイド機構15の平板部15bの上面に当接している。
【0035】
また、バネ15cの上端部は平板部15bの下面に接続されており、バネ15cの下端部は、支持部12の孔部21eの挿入口近傍に接続されている。
【0036】
カバー13のカバー本体部31に下降する力が加わった場合には、カバー本体部31に固定されている受け台保持部32も同時に下降する。このとき、受け台保持部32は、ロッド15aにより、XY方向のズレが発生しないようにガイドされながら下降することから、カバー13全体として、XY方向のズレが発生しないように下降することができる。
【0037】
受け台14は、円板状の第1の受け台41と、第1の受け台41とカバー13との間に配されている第2の受け台42と、第2の受け台42の下方に突出して設けられているボールキャスター43と、を有する。
【0038】
第1の受け台41は、例えばゴム製であり、フライス刃具が接触することによる傷防止のクッションとして働く。典型的には、第1の受け台41の下面には、第2の受け台42の上面が接着されている。そのため、第1の受け台41と第2の受け台42は、一体の受け台として扱うことができる。
【0039】
第2の受け台42は、下面側にボールキャスター43を有する板である。第2の受け台42は、例えばアルミ製であり、フライス刃具の荷重を受けて回転を行う。また、第2の受け台42には、XY方向における中央部を中心として、所定の径で下方に突出した厚肉部42aが形成されている。なお、第2の受け台42において、厚肉部42aより薄く形成された箇所を薄肉部42bとする。
【0040】
この薄肉部42bの下面の一部と、カバー13におけるカバー本体部31の壁部31bの上端が対向した状態である。また、薄肉部42bと、壁部31bの上端との隙間の長さは十分に短く、作業者の指が入らない距離とする。
【0041】
また、第2の受け台42のXY方向における中央部には、下方に突出する第2のフック44が設けられている。
【0042】
ボールキャスター43は、下部に設けられたボールがスペーサー33の上部に載置され、第2の受け台42をXY方向に移動自在に支持する。典型的には、3つのボールキャスター43が、第2の受け台42の厚肉部42aから下方に突出して設けられている。
【0043】
なお、このように3つのボールキャスター43が、受け台14の下面を3点で支持することにより、受け台14を安定して支持することができる。これにより初期状態において受け台14は、上面が略水平の状態で支持される。これにより、受け台14は、カバー13に設けられたスペーサー33とボールキャスター43を介して、受け台14の上面に平行方向に、移動自在に支持されている。
【0044】
なお典型的には、第2の受け台42のXY方向の動作は、厚肉部42aのXY方向の端部が、カバー13の小内径部31cの内壁面に当接することで規制される。これにより、ボールキャスター43は、スペーサー33の中央部に設けられた孔以外の平板の箇所で、スペーサー33に載置された状態を維持する。
【0045】
引っ張りバネ16は、所定の方向に延びる延在部16aを有し、延在部16aの両端がフックに引っかけられて引っ張り力を発生させるバネである。初期状態では、引っ張りバネ16の延在部16aは、上下方向に延在している。
【0046】
より具体的には、引っ張りバネ16の延在部16aは、受け台保持本体部32aの中空部32c内に配されているとともに、延在部16aの上部近傍が、スペーサー33のXY方向における中央部に設けられた孔を貫通するように配されている。また、引っ張りバネ16の下端は、支持部12の蓋部23に設けられた第1のフック24に引っかけられている。さらに、引っ張りバネ16の上端は、受け台14に連結された第2のフック44に引っかけられている。これにより、引っ張りバネ16は、受け台14の下面と支持部12の上面とを連結して、引っ張り力を発生させる。
【0047】
ここで、引っ張りバネ16は、受け台14の下面のXY方向における中心部と、支持部12の上面のXY方向における中心部と、を連結している。そのため、引っ張りバネ16は、受け台14がXY方向にずれた場合に、支持部12の中心部と受け台14の中心部のXY方向の位置が揃うように、引っ張り力を発生させる。
【0048】
次に、交換装置1の動作及び作用について説明する。最初に、ホルダーに対して、受け台14に載置されたカッターの位置を合わせる動作について説明する。
【0049】
図1に示すように、ホルダーにカッターを取り付ける際には、交換装置1の受け台14にカッターを載置するとともに、ホルダーを下降させる。ここで、ホルダーの位置に合わせてカッターの位置合わせが必要となる。
【0050】
ここで、カッターが載置されている受け台14は、XY方向に移動自在である。例えば図4は、受け台14の位置がXY方向にずれた状態の交換装置1の断面の一例を示す側断面図である。
【0051】
さらに、第1のフック24がZ軸周りに回動可能であることから引っ張りバネ16も回動可能であり、第2のフック44を介して引っ張りバネ16が接続されている受け台14も、Z軸周りにおいて回転自在である。
【0052】
これにより、受け台14に載置されたカッターと、ホルダーとの位置合わせや、キー溝の位置合わせは、受け台14のXY方向の位置やZ軸周りの回転により、容易に実行できる。
【0053】
なお典型的には、引っ張りバネ16は、このように受け台14をXY方向に動作させた場合であっても、延在部16aは受け台保持本体部32aの壁部32dや、スペーサー33には当接しないように配されている。
【0054】
ここで次に、交換装置1において、受け台14のXY方向における移動方向の可動範囲を確保する作用について説明する。
【0055】
受け台14にカッターを載置させていない状態である初期状態では、受け台14は、引っ張りバネ16のバネ力により、交換装置1のXY方向における中心に引き寄せられる。そのため例えば、交換装置1の移動を行う際に交換装置1の傾きが生じた場合であっても、受け台14のXY方向における位置は、端に寄った状態とはならず、引っ張りバネ16のバネ力により中心に引き寄せられる。
【0056】
そのため交換装置1の移動後に利用環境内に設置し、受け台14にカッターを載置してホルダーとの軸合わせをする際には、受け台14の位置はXY方向において、いずれの方向にも移動可能であるように配された状態となる。言い換えると、交換装置1では、受け台14における可動範囲の不足を防ぐことができ、カッターとホルダーの軸ずれ方向によらずに、位置合わせを行うことができる。
【0057】
次に、カッターをホルダーに組み付ける際に、さらに受け台14に対して下降する力が加わった場合の交換装置1の動作について説明する。
【0058】
受け台14に載置されたカッターに対してホルダーを下降させて組付けを行う際に、カッターとホルダーが完全に組み付けられるとともに、受け台14には、下向きの力が加わる状態となる。
【0059】
ここでカバー13は、受け台14を介して下向き力が加わることにより下降動作を行う。ここで図5は、図2及び図3に示したカバー13の下端部と支持部12の上端がZ方向に揃った初期状態から、カバー13が支持部12に対して相対的に下方に動作した状態を示す側断面図である。具体的には、ガイド機構15のロッド15aの下端部は、支持部12の孔部21eにおいて、さらに下降するように動作する。なお、蓋部23は、受け台保持部32の下降に応じて、大内径部21d内を下降する。
【0060】
言い換えると、ガイド機構15は、支持部12と、カバー13のスペーサー33と、に接続され、支持部12とカバー13の相対的な動作をガイドする。
【0061】
さらに、ガイド機構15のバネ15cは、カバー13の下降動作と同時にZ方向に撓んだ状態となる。すなわち、撓んだバネ15cは、受け台保持部32ごとカバー13を上昇させる方向の反力を発生させる。
【0062】
これにより交換装置1では、ガイド機構15のバネ15cの反力により、過度な動作を抑制するとともに、過度な力がかかることが抑制される。
【0063】
次に、交換装置1において、作業者の指が挟まれることが防止される作用について説明する。
【0064】
交換装置1は、受け台14に下向きの力が加わることによって、カバー13が下死点まで動作した場合であっても、カバー本体部31の壁部31bの下端部と、ベース部11の上面との間に20mm程度の隙間が生じる構成とすることができる。
【0065】
これにより、交換装置1を移動させる際に誤って受け台14に下向きの力が加わり、かつ、カバー本体部31の壁部31bの下端部とベース部11の上面との間に作業者の指が配されていた場合であっても、作業者の指が挟まれることを防止できる。
【0066】
さらに、受け台14では、第1の受け台41と第2の受け台42が接着されていることにより、これらの間に作業者の指が入ることは無い。また、第2の受け台42の薄肉部42bと、カバー本体部31の壁部31bの上端部の間にも作業者の指が入ることは無い。
【0067】
したがって、交換装置1では、全ての可動箇所において、作業者の指が挟まることが防止される。
【0068】
なお上記では、交換装置1を用いて、受け台14に設置したカッターに対してホルダーを取り付けることについて説明したが、カッターが取り付けられたホルダーから、カッターを取り外す際にも、交換装置1を用いることが可能である。
【0069】
具体的には、交換装置1の受け台14に向けて、組付け時と同様にカッターが取り付けられたホルダーを下降させ、カッターを受け台14に着地させる。その後、ガイド機構15のバネ15cが十分に撓んだ状態となるまで、受け台14ごとカバー13を下降動作させる。これにより、カッターが受け台14に対して、十分に嵌った状態となる。
【0070】
その後、ホルダーを回転動作させることにより、カッターとの固定が緩み、カッターのみを交換装置1に残した状態として、ホルダーからカッターを取り外すことができる。
【0071】
したがって、交換装置1では、受け台14に載置されるカッターの可動範囲を確保しつつ、過度な動作を防止し、作業者の安全をはかることができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。すなわち上記の記載は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされており、当業者であれば、実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 交換装置
11 ベース部
12 支持部
13 カバー
14 受け台
15 ガイド機構
15a ロッド
15b 平板部
15c バネ
16 引っ張りバネ
16a 延在部
21 ベース本体部
21a 中空部
21b 壁部
21c 小内径部
21d 大内径部
21e 孔部
22 平板部
23 蓋部
24 第1のフック
31 カバー本体部
31a 中空部
31b 壁部
31c 小内径部
31d 大内径部
32 受け台保持部
32a 受け台保持本体部
32b 平板部
32c 中空部
32d 壁部
33 スペーサー
34 ベアリング
41 第1の受け台
42 第2の受け台
42a 厚肉部
42b 薄肉部
43 ボールキャスター
44 第2のフック
図1
図2
図3
図4
図5