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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241203BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241203BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241203BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241203BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20241203BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6568
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021155389
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046670
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 伸一郎
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543239(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118597(WO,A1)
【文献】特開2018-005984(JP,A)
【文献】特開2014-191916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有するロアケースと、
前記底部の下方に配置され、前記底部に対向する上面を有する冷却器と、
前記底部と前記上面との間に設けられた熱伝導層と、を備え、
前記上面は、互いに間隔をあけて設けられ上記底部に向けて隆起する一対の隆起部と、前記一対の隆起部の間に配置され、前記底部に向けて突出する突起部とを含み、
前記底部は、前記一対の隆起部の間に向けて凹む凹部を有し、
前記上面は、前記一対の隆起部の間に配置された第1平面部を有し、
前記一対の隆起部の各々は、前記第1平面部よりも前記底部側に位置する第2平面部と、前記第2平面部と前記第1平面部とを接続する接続面部とを含み、
前記凹部は、前記第1平面部に対向し、前記第1平面部に平行な底板部と、前記接続面部に対向し、前記接続面部に平行な側壁部とを含み、
前記突起部は、前記底板部に向かい合う上端部を有し、かつ、前記第1平面部から前記底板部に向けて突出しており、
前記上端部から前記底板部までの距離は、前記第1平面部から前記底板部までの距離よりも短く、
前記一対の隆起部が並ぶ方向と直交する直交方向における前記上端部の幅は、前記直交方向における前記熱伝導層の幅よりも短い、蓄電装置。
【請求項2】
第1方向に配列された複数の蓄電セルを含む蓄電スタックを備え、
前記蓄電スタックは、前記底部に対して前記冷却器が配置されている側とは反対側に配置され、前記底部に熱的に接触しており、
前記冷却器は、前記第1方向に延在し、前記蓄電スタックを冷却するための冷却部と、前記第1方向に間隔をあけて配置され、前記冷却部を保持する一対の保持部と、前記一対の保持部を接続する接続部とを含み、
前記一対の保持部の各々は、前記第1方向に直交する第2方向の一方側に一方側端部を有し、
前記接続部は、前記一対の保持部の各々が有する前記一方側端部を接続しており、
前記一対の隆起部および前記突起部は、前記接続部に設けられている、請求項1に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、特開2020-053148号公報(特許文献1)には、収容ケース内に蓄電スタックと冷却器とが配置されており、蓄電スタックと冷却器との間に熱伝導材が設けられた構造が開示されている。熱伝導材は、ゲル状のグリスで構成されている。蓄電スタックに含まれる複数の蓄電セルの外形寸法(より特定的には高さ寸法)がばらついた場合であっても、ゲル状のグリスが当該ばらつきに追従するように変形することで、冷却器と蓄電スタックとの密着性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-053148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、冷却器は収容ケース内に配置されているが、このような構成とは異なり、冷却器を収容ケースの外部に配置する構成について検討されている。このような場合には、熱伝導層を介して、ロアケースの底部と冷却器の上面とを熱的に密着させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、冷却器の上面に隆起部が形成される場合には、隆起部の端部において熱伝導層が広がりにくく、その厚さが小さくなってしまう。このような場合には、冷却器と蓄電スタックとの間に空隙が形成され、冷却器と蓄電スタックとの間を密閉することが困難となる。冷却器をロアケースの外部に配置する場合には、上記隙間に水等の液体が浸入しやすくなり、当該液体によって冷却器あるいはロアケースが錆びやすくなってしまう。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、ロアケースの外部に配置された冷却器とロアケースとの間に配置される熱伝導層の充填性を高めることができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電装置は、底部を有するロアケースと、上記底部の下方に配置され、上記底部に対向する上面を有する冷却器と、上記底部と上記上面との間に設けられた熱伝導層と、を備える。上記上面は、互いに間隔をあけて設けられ上記底部に向けて隆起する一対の隆起部と、上記一対の隆起部との間に配置され、上記底部に向けて突出する突起部とを含む。
【0008】
上記構成によれば、一対の隆起部の間に突起部が設けられることにより、ロアケースの底部と冷却器の上面とによって熱伝導層を挟み込む際に、当該突起部によって熱伝導層が一対の隆起部側に向けて押し広げられる。これにより、突起部側に位置する一対の隆起部の端部とロアケースの底部との間に熱伝導層を充填させることができる。
【0009】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記底部は、上記一対の隆起部の間に向けて凹む凹部を有していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、一対の隆起部の間に配置された熱伝導層を凹部によって押し広げることができるため、突起部側に位置する一対の隆起部の端部とロアケースの底部との間に熱伝導層をより確実に充填させることができる。
【0011】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記上面は、上記一対の隆起部との間に配置された第1平面部を有する。上記一対の隆起部の各々は、上記第1平面部よりも上記底部側に位置する第2平面部と、上記第2平面部と上記第1平面部とを接続する接続面部とを含む。この場合には、上記凹部は、上記第1平面部に対向し、上記第1平面部に平行な底板部と、上記接続面部に対向し、上記接続面部に平行な側壁部とを含むことが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1平面部と底板部との間の間隔、および接続面部と側壁部との間の間隔を一定としつつ、これら第1平面部と底板部との間、および接続面部と側壁部との間に熱伝導層を充填することができる。
【0013】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記突起部は、上記底部に向かい合う上端部を有する。この場合には、上記一対の隆起部が並ぶ方向と直交する直交方向における上記上端部の幅は、上記直交方向における上記熱伝導層の幅よりも短いことが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、熱伝導層をより確実に一対の隆起部側に向けて押し広げることができる。
【0015】
上記本開示に基づく蓄電装置は、第1方向に配列された複数の蓄電セルを含む蓄電スタックを備える。上記蓄電スタックは、上記底部に対して上記冷却器が配置されている側とは反対側に配置され、上記底部に熱的に接触している。この場合には、上記冷却器は、上記第1方向に延在し、上記蓄電スタックを冷却するための冷却部と、上記第1方向に間隔をあけて配置され、上記冷却部を保持する一対の保持部と、上記一対の保持部を接続する接続部とを含んでいもよい。上記一対の保持部の各々は、上記第1方向に直交する第2方向の一方側に一方側端部を有する。この場合には、上記接続部は、上記一対の保持部の各々が有する上記一方側端部を接続していてもよく、上記一対の隆起部および上記突起部は、上記接続部に設けられていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、第2方向の一方側において、冷却器(より特定的には接続部)とロアケースの底部との間に熱伝導層を充填させることができ、第2方向の一方側から液体が冷却器と上記底部との間に浸入することを抑制できる。特に、第2方向の一方側が、車両の前方側となるように、蓄電装置が車両に搭載される場合には、前輪によって跳ね上げられた液体が、第2方向の一方側に位置する上記接続部に掛かりやすい。このような場合であっても、接続部と底部との間に熱伝導層が充填されていることにより、上記液体が冷却器と底部との間に浸入することを抑制することができる。この結果、底部あるいは接続部の腐食を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ロアケースの外部に配置された冷却器とロアケースとの間に配置される熱伝導層の充填性を高めることができる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る蓄電装置を搭載した車両を示す図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電装置の冷却器とロアケースとを当該ロアケースの底部側から見た場合の分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器が有する一対の隆起部34の近傍を拡大して示すロアケースと冷却器の分解斜視図である。
図5】実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器とロアケースとに挟み込まれる前の熱伝導層の様子を示す図である。
図6図5において塗布された熱伝導層をロアケースの底部と冷却器とで挟み込む様子を示す図である。
図7】実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器とロアケースとによって熱伝導層が挟み込まれた状態を示す断面図である。
図8】実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器とロアケースとによって熱伝導層が挟み込まれた状態を示す平面図である。
図9】冷却器とロアケースとによって熱伝導層が挟み込まれた状態の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置を搭載した車両を示す図である。図1を参照して、実施の形態に係る車両100について説明する。
【0021】
実施の形態に係る車両100は、蓄電装置1を備え、蓄電装置1に蓄電された電力を使って走行することができる。また車両100は、フロアパネル2、前輪3および後輪4を備える。蓄電装置1は、フロアパネル2の下方に搭載されている。蓄電装置1の前端は、前輪3側に位置する。蓄電装置1の前端は、車両の幅方向から見た場合に、前輪3に重なるように配置されていてもよい。
【0022】
図2は、実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。図2を参照して、実施の形態に係る蓄電装置1について説明する。
【0023】
図2に示すように、実施の形態に係る蓄電装置1は、複数の蓄電スタック10と、収容ケース20と、冷却器30と、熱伝導層40と、シェアパネル50と、内側熱伝導層60とを含む。
【0024】
複数の蓄電スタック10の各々は、第1方向(DR1方向)に配列する複数の蓄電セル11を含む。第1方向は、蓄電装置1が車両100に搭載された搭載状態において、車両の幅方向と平行となる。
【0025】
蓄電セル11は、たとえば、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。蓄電セル11は、たとえば、角型形状を有する。蓄電セル11は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。また、蓄電セル11は、蓄電可能に構成された単位キャパシタであってもよい。
【0026】
複数の蓄電スタック10の各々は、上下方向および第1方向と直交する第2方向(DR2方向)に並んで配置されている。第2方向は、上記搭載状態において、車両の前後方向と平行となる。
【0027】
収容ケース20は、複数の蓄電スタック10を収容している。収容ケース20は、アッパーケース21とロアケース22とを含む。
【0028】
アッパーケース21は、下方に向けて開放された略箱形形状を有する。アッパーケース21は、金属材料で構成されていてもよい。また、軽量化のために、アッパーケース21は、樹脂材料で構成されていてもよい。
【0029】
ロアケース22は、上方に向けて開放された略箱形形状を有する。ロアケース22は、金属材料によって構成されている。ロアケース22は、良好な熱伝導性を有することが好ましい。
【0030】
ロアケース22は、底部23を有する。底部23には、複数の蓄電スタック10が載置される。底部23は、互いに相対する内表面23aおよび外表面23bを有する。内表面23aは、複数の蓄電スタック10側を向く。外表面23bは、複数の蓄電スタック10が位置する側とは反対側を向く。
【0031】
底部23には、下方に向けて突出する複数の突出部25が設けられている。複数の突出部25は、第2方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数の突出部25は、所定の位置において、互いに隣り合う後述の冷却部32の間の隙間に入り込む。複数の突出部25は、第1方向に沿って延在する。
【0032】
内側熱伝導層60は、各蓄電スタック10と、内表面23aとの間に配置されている。内側熱伝導層60は、接着層としても機能し、各蓄電スタック10を底部23に接着固定している。各蓄電スタック10は、内側熱伝導層60によって内表面23aに熱的に接触している。
【0033】
内側熱伝導層60は、熱伝導性を有する樹脂部材によって構成されている。内側熱伝導層60としては、たとえば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、または、エポキシ樹脂等を含む接着剤を採用することができる。
【0034】
冷却器30は、複数の蓄電スタック10を冷却するための装置である。冷却器30の内部には、冷媒が流れる冷媒流路が設けられている。当該冷媒流路は、冷媒導入部61および冷媒排出部62に接続されている。冷媒導入部61から冷媒流路に導入された冷媒は、複数の蓄電スタック10を冷却して、冷媒排出部62から排出される。
【0035】
冷却器30は、ロアケース22の底部23の下方に配置されている。冷却器30は、底部23に対向する上面30aを有する。冷却器30は、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。冷却器30の詳細な構造については、図3を用いて後述する。
【0036】
熱伝導層40は、底部23の外表面23bと冷却器30の上面30aとの間に配置されている。当該熱伝導層40、底部23、および内側熱伝導層60を介して、複数の蓄電スタック10は、冷却器30によって冷却される。熱伝導層40は、底部23と冷却器30とを接着する接着層としても機能する。熱伝導層40としては、たとえば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、または、エポキシ樹脂等を含む接着剤を採用することができる。
【0037】
シェアパネル50は、上記複数の突出部25および冷却器30を下方側から覆うように配置される。シェアパネル50は、冷却器30を保護するとともに、冷却器30の被水を抑制する。シェアパネル50は、金属材料によって構成されている。
【0038】
図3は、実施の形態に係る蓄電装置の冷却器とロアケースとを当該ロアケースの底部側から見た場合の分解斜視図である。図3においては、上下方向が反転している。
【0039】
図3に示すように、冷却器30は、一対の保持部31と、複数の冷却部32と、接続部33とを含む。これら、一対の保持部31、複数の冷却部32、および接続部33の内部には、上記冷媒流路が配索されている。
【0040】
一対の保持部31は、第2方向に沿って延在する。一対の保持部31は、第2方向の一方側に、一方側端部31aを有する。一対の保持部31は、第1方向に互いに離れて配置されている。一対の保持部31は、複数の冷却部32を保持する。
【0041】
複数の冷却部32は、複数の蓄電スタック10に1対1で対応する位置に配置されている。複数の冷却部32は、複数の蓄電スタック10の個数に応じて設けられている。複数の冷却部32の各々は、第1方向に一対の保持部31を接続するように設けられている。複数の冷却部32は、第2方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0042】
接続部33は、一対の保持部31を接続する。具体的には、接続部33は、一対の保持部31の各々が有する一方側端部31aを接続している。接続部33は、冷却器30の一方側の端部を構成している。接続部33は、略C字型形状を有する。複数の冷却部32のうち第2方向の一方側に位置する冷却部32と接続部33との間には隙間が形成されている。当該接続部33には、上述の冷媒導入部61および冷媒排出部62が設けられている。
【0043】
ロアケース22の底部23は、上記接続部33に対向する対向部23cを有する。対向部23cには、後述する一対の隆起部34(図4参照)の間に向けて凹む凹部24が設けられている。
【0044】
図4は、実施の形態に係る蓄電装置において、一対の隆起部34の近傍を拡大して示すロアケースと冷却器の分解斜視図である。
【0045】
冷却器30の上面30aは、一対の隆起部34および突起部35を有する。一対の隆起部34は、上記接続部33に設けられている。一対の隆起部34は、第1方向に互いに間隔をあけて設けられている。一対の隆起部34は、底部23に向けて隆起している。一対の隆起部34の内部は空洞となっており、当該空洞によって上述の冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。
【0046】
上記冷却器30の上面30aは、一対の隆起部34の間に配置された第1平面部331を有する。第1平面部331は、第1方向および第2方向に略平行となっている。
【0047】
一対の隆起部34は、第2平面部341および接続面部342を有する。第2平面部341は、上記第1平面部331よりも底部23側に位置する。第2平面部341の高さ位置は、第1平面部331よりも高い。第2平面部341は、第1方向および第2方向に略平行となっている。接続面部342は、第2平面部341と第1平面部331とを接続する。具体的には、接続面部342は、突起部35側に位置する第2平面部341の端部と第1平面部331とを接続する。接続面部342は、突起部35側に向いている。接続面部342は、略テーパ形状を有する。
【0048】
突起部35は、接続部33に設けられている。突起部35は、一対の隆起部34の間に設けられている。突起部35は、底部23に向けて突出する。突起部35は、底部23(より特定的には底壁部241)に対向する上端部35aを有する。上端部35aは、平坦に形成されている。
【0049】
上記対向部23cは、板状部26と凹部24とを含む。板状部26は、上記第2平面部341に対向するように設けられている。板状部26は、第2平面部341に略平行となっている。
【0050】
凹部24は、底板部241と一対の側壁部242とを含む。底板部241は、第1平面部331に対向する。底板部241は、第1平面部331に平行となっている。一対の側壁部242は、底板部241と板状部26とを接続する。より特定的には、一対の側壁部242のうち第1方向の一方側に位置する側壁部は、第1方向における底板部241の一端と板状部26とを接続する。一対の側壁部242のうち第1方向の他方側に位置する側壁部は、第1方向における底板部241の他端と板状部26とを接続する。一対の側壁部242は、一対の隆起部34が有する接続面部342に対向する。一対の側壁部242は、一対の隆起部34が有する接続面部342に平行となっている。
【0051】
図5は、実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器とロアケースとに挟み込まれる前の熱伝導層の様子を示す図である。
【0052】
図5に示すように、冷却器30とロアケース22とに挟み込まれる前の熱伝導層40は、接続部33では、第2平面部341、第1平面部331、および突起部35の上端部35aに重なるように第1方向に沿って塗布される。熱伝導層40は、冷却器30の上面30aに塗布されてもよいし、当該上面30aに対応する部分の底部23の外表面23bに塗布されてもよい。挟み込まれる前において、第2方向における熱伝導層40の幅は、第2方向における一対の隆起部34の幅および突起部35の幅よりも小さくてもよい。より特定的には、挟み込まれる前において、熱伝導層40の上記幅は、突起部35の上端部35aの幅よりも小さくてもよい。
【0053】
図6は、図5において塗布された熱伝導層をロアケースの底部と冷却器とで挟み込む様子を示す図である。
【0054】
図6に示すように、板状部26、側壁部242、および底板部241が、それぞれ第2平面部341、接続面部342、および第1平面部331に対向するように、ロアケース22と冷却器30とを配置し、ロアケース22と冷却器30とが互いに近づくようにロアケース22を相対的に移動させる。これにより、熱伝導層40を底部23と冷却器30の上面30aとで挟み込む。
【0055】
図7および図8は、実施の形態に係る蓄電装置において、冷却器とロアケースとによって熱伝導層が挟み込まれた状態を示す断面図および平面図である。なお、図8においては、便宜上、ロアケースを省略して図示している。冷却器30とロアケース22とによって挟み込まれることにより、底部23と冷却器30の上面30aとの間に熱伝導層40が形成される。
【0056】
図7に示すように、熱伝導層40がロアケース22の底部23と冷却器30の上面30aとによって挟み込まれる際には、一対の隆起部34の間に突起部35が設けられることにより、図中矢印に示すように、熱伝導層40が突起部35によって一対の隆起部34の接続面部342側に向けて押し広げられる。これにより、突起部35側に位置する一対の隆起部34の端部とロアケース22の底部23との間に熱伝導層40を充填させることができる。
【0057】
この際、一対の隆起部34の間に向けて凹む凹部24が底部23に設けられていることより、一対の隆起部34の間に配置された熱伝導層40を凹部24によってさらに押し広げることができる。これにより、突起部35側に位置する一対の隆起部34の端部とロアケース22の底部23との間に熱伝導層40をより確実に充填させることができる。
【0058】
加えて、凹部24の底板部241が、第1平面部331と平行となるように第1平面部331に対向しており、凹部の側壁部242が、接続面部342と平行となるように接続面部342に対向していることにより、第1平面部331と底板部241との間の間隔、および接続面部342と側壁部242との間の間隔を一定としつつ、これら第1平面部331と底板部241との間、および接続面部342と側壁部242との間に熱伝導層40を充填することができる。すなわち、熱伝導層40の厚さを一定にすることができる。
【0059】
図8に示すように、熱伝導層40が挟み込まれた状態においては、一対の隆起部34が並ぶ方向(第1方向)と直交する直交方向(第2方向)における上端部30aの幅W1は、上記直交方向における熱伝導層W2の幅よりも短い。このような長さ関係となるように突起部35を形成することにより、熱伝導層40をより確実に一対の隆起部34側に向けて押し広げることができる。
【0060】
さらに、熱伝導層40が挟み込まれた状態においては、上記直交方向における突起部35の幅W3は、上記直交方向における熱伝導層40の幅W2よりも長くなっていてもよい。このような幅W3と幅W2との関係とする場合には、熱伝導層40の塗布量を少なくしつつも、冷却器30と底部23との間の熱伝導層40の充填性を高めることができる。この結果、製造コストも削減することができる。
【0061】
図9は、冷却器とロアケースとによって熱伝導層が挟み込まれた状態の変形例を示す平面図である。
【0062】
図9に示すように、熱伝導層40が挟み込まれた状態においては、上記突起部35の幅W3は、上記熱伝導層40の幅W2よりも小さくなっていてもよい。この場合には、熱伝導層40の塗布量を増加させることで、熱伝導層40をより確実に一対の隆起部34側に向けて押し広げることができ、冷却器30と底部23との間の熱伝導層40の充填性をより確実に高めることができる。
【0063】
上述のように、蓄電装置1は、第2方向の一方側に位置する上記接続部33が車両の前方側に位置するように、車両100に搭載される。この状態において、接続部33は、車両の前輪3の近傍に配置され、前輪によって跳ね上げられた液体が掛かりやすくなっている。このような場合であっても、上述のように接続部33と底部23との間に熱伝導層40が充填されていることにより、上記液体が冷却器30と底部23との間に浸入することを抑制することができる。この結果、底部23あるいは接続部33の腐食を抑制することができる。
【0064】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 蓄電装置、2 フロアパネル、3 前輪、4 後輪、10 蓄電スタック、11 蓄電セル、20 収容ケース、21 アッパーケース、22 ロアケース、23 底部、23a 内表面、23b 外表面、23c 対向部、24 凹部、25 突出部、26 板状部、30 冷却器、30a 上面、31 保持部、31a 一方側端部、32 冷却部、33 接続部、34 隆起部、35 突起部、35a 上端部、40 熱伝導層、50 シェアパネル、60 内側熱伝導層、61 冷媒導入部、62 冷媒排出部、100 車両、241 底板部、242 側壁部、331 第1平面部、341 第2平面部、342 接続面部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9