(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20241203BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20241203BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B60W50/00
G05D1/00
H04Q9/00 301B
(21)【出願番号】P 2021158884
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山王堂 真也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄基
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186849(JP,A)
【文献】特開2018-123000(JP,A)
【文献】特開2021-049845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/00
G05D 1/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に位置するユーザが携帯する第1端末によって送信される端末信号を無線で受信可能に構成され、且つ、前記車両に搭載された無線受信機と、
前記ユーザが携帯し且つ前記ユーザの遠隔操作を受け付ける第2端末への前記遠隔操作に応じて前記車両を移動させる遠隔操作制御を実行可能に構成された制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記ユーザが前記車両から所定の許可距離以内の範囲である許可範囲に位置し且つ前記端末信号を受信したとの条件を含む信号条件が成立した場合、前記遠隔操作に応じて前記遠隔操作制御を実行し、
前記遠隔操作制御の実行中に前記信号条件が成立しなくなった場合において、
前記信号条件が成立しなくなった不成立状態が所定の猶予時間継続していなければ、前記ユーザが前記許可範囲に位置していると判定し、前記遠隔操作制御を継続し、
前記不成立状態が前記猶予時間継続していれば、前記ユーザが前記許可範囲の外に位置すると判定し、前記遠隔操作制御を中止する、
ように構成され、
前記無線受信機は、前記無線受信機が前記端末信号を受信可能な可能距離を前記許可距離よりも短くなるように構成された、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記ユーザが前記許可範囲の外に位置する場合に前記遠隔操作制御の実行が禁止されるように定められているように構成された、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記遠隔操作制御においては、前記車両を予め設定された制御車速で走行させ、
前記許可距離から前記可能距離を減じた距離差分を前記制御車速及び前記ユーザの歩行速度のうち早い方の速度で除算した除算値を前記猶予時間に設定する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記遠隔操作制御においては、前記車両を予め設定された制御車速で走行させ、
前記信号条件が成立した場合、前記許可距離から前記端末信号に基いて特定される前記第1端末と前記無線受信機との間の距離である端末距離を減じた距離差分を前記制御車速及び前記ユーザの歩行速度のうち早い方の速度で除算した除算値を前記猶予時間に設定し、
前記信号条件が成立しなくなった場合、前記不成立状態が前記信号条件が最後に成立した場合に設定された猶予時間継続しているか否かを判定する、
するように構成された、
車両制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記第1端末は前記第2端末に実装されている、
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部に位置するユーザの遠隔操作に応じて車両を移動させる遠隔操作制御を実行する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遠隔制御を実行する車両制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両制御装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、「車両の側面からの距離が距離X1から距離X2までの許可範囲」内に端末が位置する場合、端末からの遠隔操作に係る信号に基いて車両を移動させる遠隔操作制御を行う。従来装置は、許可範囲内に端末が位置しない場合には遠隔操作制御を中止して車両を停車させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
従来装置は、端末からの信号(端末信号)に基いて端末が許可範囲内に位置するか否かを判定している。
ところで、許可範囲の周辺の環境により、許可範囲には電波の強い領域と弱い領域とが存在する可能性がある。端末が電波の弱い領域に位置する場合、端末が許可範囲内に位置するにもかかわらず、従来装置は、端末信号を受信できない可能性がある。この場合、従来装置は、許可範囲内に端末が位置しないと判定し、遠隔操作制御を中止してしまう。このような遠隔操作制御の中止は、車両の運転者(ユーザ)に煩わしいと感じさせる可能性がある。
【0005】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、許可範囲内に端末が位置しているにもかかわらず遠隔操作制御が中止されてしまう可能性を低減できる車両制御装置を提供することにある。
【0006】
本発明の車両制御装置(以下、「本発明装置」とも呼称する。)は、
車両(VA)の外部に位置するユーザが携帯する第1端末(23)によって送信される端末信号を無線で受信可能に構成され、且つ、前記車両に搭載された無線受信機(22)と、
前記ユーザが携帯し且つ前記ユーザの遠隔操作を受け付ける第2端末(26)への遠隔操作に応じて前記車両を移動させる遠隔操作制御を実行可能に構成された制御ユニット(20、30、40、50、60)と、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記ユーザが前記車両から所定の許可距離以内の範囲である許可範囲に位置し且つ前記端末信号を受信したとの条件を含む信号条件が成立した場合(ステップ705「Yes」、ステップ720)、前記遠隔操作に応じて前記遠隔操作制御を実行し(ステップ910「Yes」、ステップ915「Yes」、ステップ925)、
前記遠隔操作制御の実行中に前記信号条件が成立しなくなった場合において(ステップ705「No」)、
前記信号条件が成立しなくなった不成立状態が所定の猶予時間(Text)継続していなければ(ステップ745「No」)、前記ユーザが前記許可範囲に位置していると判定し、前記遠隔操作制御を継続し(ステップ910「Yes」、ステップ915「Yes」、ステップ925)、
前記不成立状態が前記猶予時間継続していれば(ステップ745「Yes」)、前記ユーザが前記許可範囲の外に位置していると判定し、前記遠隔操作制御を中止する(ステップ750、ステップ910「No」、ステップ950)、
ように構成され、
前記無線受信機は、前記無線受信機が前記端末信号を受信可能な可能距離(Dkanou)を前記許可距離よりも短くなるように構成されている。
【0007】
遠隔操作制御の実行中に第1端末が「電波の弱い領域」に一時的に位置するようになった場合、端末信号を一時的に受信できなくなることに起因して信号条件が成立しなくなる可能性がある。本発明装置は、このような場合であっても、信号条件が成立しなくなった不成立状態が猶予時間継続していなければ、遠隔操作制御を継続する。このため、信号条件が一時的に成立しなくなった場合であっても、実行中の遠隔操作制御が突然中止され、ユーザに煩わしいと感じさせる可能性を低減できる。
【0008】
本発明装置の一態様において、
前記ユーザが前記許可範囲(Rkyoka)の外に位置する場合に前記遠隔操作制御の実行が禁止されるように定められているように構成されている。
【0009】
遠隔操作制御の実行中に第1端末と無線受信機との間の距離が可能距離よりも長くなった場合、無線受信機は端末信号を受信できないため、信号条件が成立しなくなる。この場合、不成立状態が猶予時間継続するまでは遠隔操作制御が継続される。このため、可能距離を超えても遠隔操作制御の実行が可能となる。
【0010】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記遠隔操作制御においては、前記車両を予め設定された制御車速(Vc)で走行させ、
前記許可距離から前記可能距離を減じた距離差分(ΔD)を前記制御車速及び前記ユーザの歩行速度(Vw)のうち早い方の速度で除算した除算値を前記猶予時間に設定するように構成されている。
【0011】
許可距離から可能距離を減じた距離差分に基いて猶予時間が予め設定されることにより、不成立状態が猶予時間継続したときに第1端末が許可範囲の外に位置している可能性を低減でき、第1端末が許可範囲の外に位置しているにもかかわらず遠隔操作制御が実行される可能性を低減できる。
【0012】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記遠隔操作制御においては、前記車両を予め設定された制御車速(Vc)で走行させ、
前記信号条件が成立した場合(
図12に示したステップ705「Yes」)、前記許可距離(Dkyoka)から前記端末信号に基いて特定される前記第1端末と前記無線受信機との間の距離である端末距離(D)を減じた距離差分(ΔD)
を前記制御車速及び前記ユーザの歩行速度のうち早い方の速度で除算した除算値を前記猶予時間に設定し(ステップ1220)、
前記信号条件が成立しなくなった場合(
図12に示したステップ705「No」)、前記不成立状態が前記信号条件が最後に成立した場合に設定された猶予時間継続しているか否かを判定する(
図12に示したステップ745)、
ように構成されている。
【0013】
信号条件が成立している場合には、許可距離から端末距離を減じた距離差分に基いて猶予時間が設定される。そして、信号条件が成立しなくなった場合には、不成立状態が「信号条件が最後に成立した場合に設定された猶予時間」継続したか否かを判定する。これにより、不成立状態が猶予時間継続したときに第1端末が許可範囲の外に位置している可能性を低減でき、第1端末が許可範囲の外に位置しているにもかかわらず遠隔操作制御が実行される可能性を更に低減できる。
【0017】
本発明装置の一態様において、前記第1端末は前記第2端末に実装されている。
【0018】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係る車両制御装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は許可範囲及び可能範囲を表した図である。
【
図3】
図3は本発明の作動の概要を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】
図4は電子キー、車両制御装置及び携帯端末のシーケンス図である。
【
図5A】
図5Aは、携帯端末に表示される開始画面の説明図である。
【
図5B】
図5Bは、携帯端末に表示される確認画面の説明図である。
【
図5C】
図5Cは、携帯端末に表示される操作画面の説明図である。
【
図6】
図6は、照合ECUのCPUが実行する応答信号受信ルーチンを表すフローチャートである。
【
図7】
図7は、駐車ECUのCPUが実行する許可条件判定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図8】
図8は、駐車ECUのCPUが実行する開始条件判定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図9】
図9は、駐車ECUのCPUが実行する遠隔操作制御ルーチンを表すフローチャートである。
【
図10】
図10は、駐車ECUのCPUが実行する終了条件判定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態の第2変形例に係る照合ECUのCPUが実行する応答信号受信ルーチンを表すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態の第2変形例に係る駐車ECUのCPUが実行する許可条件判定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態の第3変形例に係る駐車ECUのCPUが実行する許可条件判定ルーチンを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<構成>
図1に示したように、本実施形態に係る車両制御装置10(以下、「本制御装置10」と称呼する。)は、車両VAに搭載(適用)されている。本制御装置10は、照合ECU20、駐車ECU30、駆動ECU40、ブレーキECU50及びステアリングECU60を備える。これらのECU20、30、40、50及び60は、CAN(Controller Area Network)70を介して互いにデータを送受信可能となるように接続されている。
【0021】
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。ECUを「制御ユニット」又は「コントローラ」と称呼する場合もある。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。上記ECU20、30、40、50及び60の総て又は幾つかは、一つのECUに統合されてもよい。
【0022】
本制御装置10は、複数の車外送信アンテナ21(21L、21R及び21RR)、複数の車外受信アンテナ22(22L、22R及び22RR)及びデータ通信ユニット(以下、「DCU」と称呼する。)23を備える。これらは、照合ECU20に接続されている。
【0023】
車外送信アンテナ21は、車両VAの外部(車外)に向けて所定の無線信号(例えば、要求信号)を送信するためのアンテナである。車外受信アンテナ22は、車外に位置する装置から送信された無線信号(例えば、応答信号)を受信するためのアンテナである。以下では、車外受信アンテナ22を「無線受信機」と称呼する場合がある。
図2に示したように、車両VAの左側面には車外送信アンテナ21L及び車外受信アンテナ22Lが配設されている。車両VAの右側面には車外送信アンテナ21R及び車外受信アンテナ22Rが配設されている。車両VAの後端部には車外送信アンテナ21RR及び車外受信アンテナ22RRが配設されている。以下では、車外送信アンテナ21L、21R、21RRを互いに区別する必要がない場合には「車外送信アンテナ21」と称呼し、車外受信アンテナ22L、22R及び22RRを互いに区別する必要がない場合には「車外受信アンテナ22」と称呼する。
【0024】
電子キー23は、車両VAの運転者(ユーザ)が携帯している車両VAのキーであり、車両VAの図示しないドアの解錠/施錠を行う場合等において使用される。以下では、電子キー23を「第1端末」と称呼する場合がある。電子キー23は、本制御装置10と無線通信可能に構成されている。電子キー23は、車両VAからの要求信号を無線通信により受信した場合、電子キー23に予め設定されている識別子であるキーIDを含む応答信号を無線通信により送信する。電子キー23が車外に位置している場合、電子キー23は、車外送信アンテナ21の無線信号の送信範囲内に位置しているとき、車外送信アンテナ21から送信された要求信号を受信する。車外受信アンテナ22は、電子キー23が送信した応答信号(以下、「端末信号」と称呼する場合がある。)を受信する。
【0025】
照合ECU20は、車外送信アンテナ21を介して車外に上記要求信号を送信するようになっている。更に、照合ECU20は、電子キー23からの応答信号を受信可能になっている。車外受信アンテナ22が電子キー23から応答信号を受信した場合、照合ECU20は、受信した応答信号に含まれているキーIDが、車両VAに対して予め設定されている識別子である車両固有IDと一致するか否かを判定する。即ち、照合ECU20は、キー照合を行い、その結果をCAN70を介して駐車ECU30に送信する。
【0026】
DCU25は、ユーザが携帯する通信機器である携帯端末(例えば、スマートフォン及びタブレット端末等)26との間で無線接続を確立可能に構成されている。なお、携帯端末26を「第2端末」と称呼する場合がある。DCU25は、周知の近距離無線通信(例えば、ブルートゥース(登録商標))により携帯端末26とデータ通信を行う。
【0027】
更に、本制御装置10は、複数のソナー32を備える。ソナー32は駐車ECU30に接続されている。
【0028】
複数のソナー32は、前方ソナー、後方ソナー、左側方ソナー及び右側方ソナーを含む。前方ソナー、後方ソナー、左側方ソナー及び右側方ソナーは、車両VAの前方の領域、車両VAの後方の領域、車両VAの左側方の領域及び車両VAの右側方の領域にそれぞれ音波を送信し、その音波が物体によって反射された反射波を受信する。複数のソナー32のそれぞれは、所定時間が経過する毎に、送信した音波及び受信した反射波に関する情報(即ち、ソナーデータ)を駐車ECU30に送信する。
【0029】
駆動ECU40は、アクセルペダル操作量センサ41及び駆動源アクチュエータ42と接続されている。
【0030】
アクセルペダル操作量センサ41は、アクセルペダル41aの操作量であるアクセルペダル操作量APを検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を発生する。駆動ECU40は、アクセルペダル操作量センサ41が発生する信号に基いてアクセルペダル操作量APを取得する。
【0031】
駆動源アクチュエータ42は、車両VAに付与される駆動力を発生する駆動源(電動機及び内燃機関等)42aと接続されている。駆動ECU40は、駆動源アクチュエータ42を制御することにより駆動源42aの運転状態を変更する。これにより、駆動ECU40は、車両VAに付与される駆動力を調整できる。駆動ECU40は、アクセルペダル操作量APが大きいほど車両VAに付与される駆動力が大きくなるように、駆動源アクチュエータ42を制御する。
【0032】
ブレーキECU50は、ブレーキペダル操作量センサ51及びブレーキアクチュエータ52と接続されている。
【0033】
ブレーキペダル操作量センサ51は、ブレーキペダル51aの操作量であるブレーキペダル操作量BPを検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を発生する。ブレーキECU50は、ブレーキペダル操作量センサ51が発生力する信号に基いてブレーキペダル操作量BPを取得する。
【0034】
ブレーキアクチュエータ52は、周知の油圧式の制動装置52aと接続されている。ブレーキECU50はブレーキアクチュエータ52を制御することにより、制動装置52aが発生する摩擦制動力を変更する。これにより、ブレーキECU50は、車両VAに付与される制動力を調整できる。ブレーキECU50は、ブレーキペダル操作量BPが大きいほど車両VAに付与される制動力が大きくなるように、ブレーキアクチュエータ52を制御する。
【0035】
ステアリングECU60は、操舵角センサ61、操舵トルクセンサ62及び操舵モータ63に接続されている。
【0036】
操舵角センサ61は、ステアリングホイール61aの中立位置からの回転角度を操舵角θsとして検出し、操舵角θsを表す信号を発生する。ステアリングECU60は、操舵角センサ61が発生する信号に基いて操舵角θsを取得する。
【0037】
操舵トルクセンサ62は、ステアリングホイール61aに連結されたステアリングシャフト62aに作用するトルクを表す操舵トルクTrを検出し、操舵トルクTrを表す信号を発生する。ステアリングECU60は、操舵トルクセンサ62が発生する信号に基いて操舵トルクTrを取得する。
【0038】
操舵モータ63は、車両VAの「ステアリングホイール61a、ステアリングシャフト62a及び操舵用ギア機構等を含む操舵機構63a」に「発生したトルク」を伝達可能に組み込まれている。操舵モータ63は、ステアリングECU60によって向き及び大きさ等が制御される「図示しない車両バッテリから供給される電力」に応じたトルクを発生する。このトルクによって、操舵アシストトルクが発生され、或いは、左右の操舵輪が操舵(転舵)される。
【0039】
ステアリングECU60は、通常時においては、操舵トルクTrに応じた操舵アシストトルクを操舵モータ63を用いて発生させる。更に、ステアリングECU60は、「目標操舵角を含む操舵指令」を駐車ECU30から受信した場合、操舵角θsが「受信した操舵指令に含まれる目標操舵角」に一致するように操舵モータ63を制御し、それにより操舵輪を自動的に転舵する。
【0040】
(作動の概要)
本制御装置10は、車外に位置するユーザの携帯端末26に対する操作(以下、「遠隔操作」と称呼する。)に応じて車両VAを移動させる制御(以下、「遠隔操作制御」と称呼する。)を実行する。
車両VAから所定の許可距離Dkyoka以内の範囲である許可範囲Rkyoka(
図2を参照。)の外にユーザが位置する場合には、遠隔操作制御の実行が禁止されるように定められている(規定されている)。
この規定は、ユーザが許可範囲Rkyokaの外に位置する場合には、ユーザが車両VAの周辺を視認しにくくなるとの観点、及び、第三者が遠隔操作制御中の車両VAに乗り込んで車両VAが盗難される可能性が高くなるという観点から導入されている。
【0041】
本実施形態では、車外受信アンテナ22が電子キー23によって送信された応答信号を受信可能な距離である可能距離Dkanouは、許可距離Dkyokaよりも短い。即ち、車外受信アンテナ22が応答信号を受信可能な可能範囲Rkanouは、許可範囲Rkyokaよりも狭い。本制御装置10は、車外受信アンテナ22が応答信号を受信したとの条件を含む信号条件が成立した場合、ユーザが許可範囲Rkyoka内に位置するとの許可条件が成立したと判定し、遠隔操作制御の実行を許可する。
【0042】
可能範囲Rkanouには、周辺環境によっては「電波が弱くなる弱領域Awk(
図2を参照。)」が存在する可能性がある。弱領域Awkに電子キー23が位置する場合、電子キー23が許可範囲Rkyoka内に位置するにもかかわらず車外受信アンテナ22が応答信号を受信できなくなる可能性がある。従来装置は、このような事態が生じた場合、実行していた遠隔操作制御を中止してしまっていた。
【0043】
この問題を解決するため、本制御装置10は、車外受信アンテナ22が応答信号を受信しない状態(即ち、信号条件が成立しない不成立状態)が所定の猶予時間Text継続していなければ、許可条件が成立していると判定し、遠隔操作制御を中止せずに継続する。一方、上記不成立状態が猶予時間Text継続している場合、本制御装置10は、許可条件が成立しないと判定し、遠隔操作制御を中止し、車両VAを停車させるべく減速制御を実行する。
【0044】
これによって、可能範囲Rkanouの弱領域Awkに電子キー23が一時的に位置して車外受信アンテナ22が一時的に応答信号を受信できない場合であっても、本制御装置10は、遠隔操作制御を中止することなく継続できる。従って、ユーザに違和感を抱かせることを防止できる。
【0045】
更に、可能範囲Rkanou外に電子キー23が位置するようになって車外受信アンテナ22が応答信号を受信できなくなった場合、不成立状態が猶予時間Text継続するまでは、本制御装置10は、遠隔操作制御を中止することなく継続する。これにより、可能範囲Rkanouの外にユーザが位置する場合であっても、遠隔操作制御を継続することができる。
【0046】
例えば、図3に示した時点t1よりも前の時点では、車外受信アンテナ22が応答信号を受信している。このため、本制御装置10は、許可条件が成立していると判定し、遠隔操作制御を実行している。時点t1にて、車外受信アンテナ22が応答信号を受信しなくなり、「信号条件が成立している成立状態」から「信号条件が成立していない不成立状態」へと変化する。この時点t1から「時点t1から猶予時間Textが経過した時点t2」までの期間において、本制御装置10は、車外受信アンテナ22が応答信号を受信しなくても許可条件が成立していると判定し、遠隔操作制御を継続する。図3に示した例では、時点t2よりも前の時点t3にて車外受信アンテナ22が応答信号を再び受信し始め、不成立状態から成立状態へと変化する。従って、不成立状態が猶予時間Text継続しないため、本制御装置10は、許可条件は成立していると判定し続け、遠隔操作制御を継続する。
【0047】
時点t4以降、車外受信アンテナ22が応答信号を受信しなくなる。「時点t4から猶予時間Textが経過した時点t5」にて、不成立状態が猶予時間Text継続するので、本制御装置10は、許可条件が成立しないと判定し、遠隔操作制御を中止する。
【0048】
(作動例)
図4を参照しながら、本制御装置10、電子キー23及び携帯端末26の作動について具体的に説明する。
本制御装置10は、所定時間が経過する毎に車外送信アンテナ21から要求信号を送信している(ステップ402)。電子キー23は、要求信号を受信すると、キーIDを含む応答信号を送信する(ステップ404)。
【0049】
車外受信アンテナ22が応答信号を受信すると、本制御装置10は、キーIDが車両固有IDと一致するか否かを判定するキー照合を行う(ステップ406)。
本制御装置10は、キーIDと車両固有IDとが一致する場合(即ち、キー照合が成功した場合)、信号条件が成立したと判定し、キーIDと車両固有IDとが一致しない場合(即ち、キー照合が失敗した場合)、信号条件が成立していないと判定する。
本実施形態における信号条件は、応答信号を受信したとの条件、及びキー照合が成功したとの条件の何れもが成立したときに成立する。
【0050】
ユーザが携帯端末27を操作して遠隔操作制御アプリを起動させる(ステップ408)。遠隔操作制御アプリが起動すると、携帯端末27は、ディスプレイ270(
図5A乃至
図5Cを参照。)に
図5Aに示した開始画面500を表示する(ステップ410)。なお、ディスプレイ270はタッチパネル式の表示装置である。
【0051】
図5Aに示したように、開始画面500は、スライド操作領域502を含む。開始画面500の初期状態では、スライド操作領域502の左端には操作用表示エレメント504が位置する。ユーザが操作用表示エレメント504をスライド操作領域502の右端へとスライドさせた場合、携帯端末26は目標位置要求信号をDCU25へ送信する(ステップ412)。
【0052】
本制御装置10は、目標位置要求信号を受信すると、ソナーデータに基いて目標停車位置及び目標経路を決定する(ステップ414)。目標停車位置は遠隔操作制御における車両VAの目標位置であり、車両VAが目標停車位置に到達したときに車速Vsがゼロとなる。目標経路は、遠隔操作制御において車両VAの左後輪及び右後輪の中間点が通過する経路である。
【0053】
その後、本制御装置10は、確認要求信号を携帯端末26に送信する(ステップ416)。確認要求信号は、確認画像に関する画像データを含む。確認画像は、確認画像は、車両VAと目標停車位置及び目標経路との位置関係を表す画像である。
【0054】
携帯端末27は、確認要求信号を受信すると、ディスプレイ270に
図5Bに示した確認画面510を表示する。確認画面510は、
図5Bに示したように、停車位置表示領域512及び長押しボタン514を含む。停車位置表示領域512には、上記確認画像が表示される。ユーザは、停車位置表示領域512に表示された確認画像を見て、目標停車位置及び目標経路に同意した場合、長押しボタン514をタッチする。携帯端末26は、長押しボタン514が所定時間以上タッチされた場合、所定の開始操作が行われたと判定し、確認応答信号(開始信号)をDCU25へ送信する(ステップ420)。
【0055】
DCU25が確認応答信号(開始信号)を受信した場合、本制御装置10は、所定の開始条件が成立したと判定して遠隔操作制御を開始する(ステップ422)。携帯端末26は、確認画面510にて開始操作が行われた場合、操作画面520(
図5Cを参照。)をディスプレイ270に表示する(ステップ424)。
図5Cに示したように、操作画面520は操作領域522を含む。ユーザが操作領域522におけるタッチ位置を変化させる操作(遠隔操作)を行っている場合、携帯端末26は、所定時間が経過する毎に操作信号をDCU25へ送信し続ける(ステップ426)。
【0056】
本制御装置10は、遠隔操作制御を一旦開始すると、許可条件が成立し且つ操作信号を受信している限り、車両VAが目標停車位置に到達するまで目標経路に沿って車両VAを走行させ続ける。本制御装置10は、車両VAが目標停車位置よりも目標経路に沿って所定距離だけ手前の位置である減速開始位置に到達すると、車両VAを減速させ始め、目標停車位置で車両VAを停車させる。
【0057】
なお、信号条件が成立しなくなった状態が猶予時間Text継続した場合、本制御装置10は、許可条件が成立しないと判定し、車両VAを停車させるべく減速させる減速制御を行う(即ち、遠隔操作制御を中止する。)。
【0058】
本制御装置10は、車両VAが目標停車位置に到達したと判定すると(ステップ428)、終了信号を携帯端末26に送信する(ステップ430)。携帯端末26は、終了信号を受信すると、図示しない終了画面をディスプレイ270に表示する。携帯端末26は、終了画面のOKボタン(不図示)が操作されると、遠隔操作制御アプリを終了する。
【0059】
(具体的作動)
<応答信号受信ルーチン>
照合ECU20のCPU(以下、「第1CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、照合ECU20のCPUを指す。)は、
図6にフローチャートにより示した応答信号受信ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0060】
従って、所定のタイミングになると、第1CPUは、
図6のステップ600から処理を開始し、ステップ605に進み、本ルーチンが前回実行された時点から現時点までの期間において電子キー23から応答信号を受信したか否かを判定する。
【0061】
上記期間に応答信号を受信している場合、第1CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定し、ステップ610に進む。ステップ610にて、第1CPUは、キーIDが車両固有IDと一致するか否かを判定する。
【0062】
キーIDが車両固有IDと一致する場合、第1CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定し、ステップ615に進む。ステップ615にて、第1CPUは、キーIDと車両固有IDとが一致することを表すID一致情報を含む受信通知を駐車ECU30に送信する。その後、第1CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0063】
一方、キーIDが車両固有IDと一致しない場合、第1CPUは、ステップ610にて「No」と判定し、ステップ620に進む。ステップ620にて、第1CPUは、キーIDと車両固有IDとが一致しないことを表すID不一致情報を含む受信通知を駐車ECU30に送信する。その後、第1CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0064】
第1CPUがステップ605に進んだときに上記期間に応答信号を受信していない場合、第1CPUは、ステップ605にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
<許可条件判定ルーチン>
駐車ECU30のCPU(以下、「第2CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、駐車ECU30のCPUを指す。)は、
図7にフローチャートにより示した許可条件判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0066】
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、
図7のステップ700から処理を開始し、ステップ705に進み、本ルーチンが前回実行された時点から現時点までの期間において照合ECU20から受信通知を受信したか否かを判定する。
【0067】
上記期間において受信通知を受信した場合、第2CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定し、ステップ710に進む。ステップ710にて、第2CPUは、受信した受信通知にID一致情報が含まれているか否かを判定する。
【0068】
受信通知にID一致情報が含まれている場合、第2CPUは、信号条件が成立していると判定する。この場合、第2CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定し、ステップ715に進む。ステップ715にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「0」であるか否かを判定する。
【0069】
許可フラグXkyokaの値は、許可条件が成立していない場合に「0」に設定され、許可条件が成立している場合に「1」に設定される。なお、許可フラグXkyokaの値は、イニシャルルーチンにて「0」に設定される。イニシャルルーチンは、図示しないイグニッションスイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたときに第2CPUによって実行される。
【0070】
許可フラグXkyokaの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ715にて「Yes」と判定し、ステップ720及びステップ725を順に実行する。
ステップ720:第2CPUは、許可フラグXkyokaの値を「1」に設定する。
ステップ725:第2CPUは、猶予タイマTMextの値を「0」に設定する。
猶予タイマTMextは、許可条件が成立している期間において「不成立状態が継続した時間」をカウントするためのタイマである。
第2CPUは、ステップ725の実行後、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0071】
第2CPUがステップ715に進んだときに許可フラグXkyokaの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ715にて「No」と判定し、ステップ725を実行する。その後、第2CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0072】
第2CPUがステップ705に進んだときに受信通知を受信していない場合、車外受信アンテナ22が応答信号を受信していないので、信号条件は成立しない。この場合、第2CPUは、ステップ705にて「No」と判定し、ステップ730に進む。ステップ730にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「1」であるか否かを判定する。
【0073】
許可フラグXkyokaの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ730にて「Yes」と判定し、ステップ735に進む。ステップ735にて、第2CPUは、実行フラグXexeの値が「1」であるか否かを判定する。
実行フラグXexeの値は、遠隔操作制御の開始条件が成立した場合に「1」に設定され、遠隔操作制御の終了条件が成立した場合に「0」に設定される。
【0074】
実行フラグXexeの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ735にて「No」と判定し、ステップ740及びステップ745を順に実行する。
ステップ740:第2CPUは、猶予タイマTMextに「1」を加算する。
ステップ745:第2CPUは、猶予タイマTMextの値が閾値TMth以上であるか否かを判定する。
閾値TMthは、猶予タイマTMextの値が閾値TMthに到達したときに不成立状態が猶予時間Text継続するような値に予め設定されている。
【0075】
猶予タイマTMextの値が閾値TMth未満である場合、即ち、不成立状態が猶予時間Text継続していない場合、第2CPUは、ステップ745にて「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
一方、猶予タイマTMextの値が閾値TMth以上である場合、即ち、不成立状態が猶予時間Text継続した場合、第2CPUは、ステップ745にて「Yes」と判定し、ステップ750に進む。ステップ750にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値を「0」に設定するとともに範囲外タイマTMgの値を「0」に設定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
範囲外タイマTMgは、許可条件が成立しなくなった時点からの経過時間をカウントするためのタイマである。
【0077】
第2CPUがステップ735に進んだときに実行フラグXexeの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ735にて「Yes」と判定し、ステップ755に進む。ステップ755にて、第2CPUは、第1範囲外報知指令をDCU25から携帯端末27へ送信する。その後、第2CPUは、ステップ740以降の処理を実行する。携帯端末27は、第1範囲外報知指令を受信すると、ディスプレイ270に「車両に近づいて下さい。」とのメッセージを表示する。
【0078】
第2CPUがステップ730に進んだときに許可フラグXkyokaの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ730にて「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
第2CPUがステップ710に進んだときに受信通知にID一致情報が含まれない場合(即ち、受信通知にID不一致情報が含まれる場合)、第2CPUは、信号条件が成立しないと判定する。この場合、第2CPUは、ステップ710にて「No」と判定し、ステップ730に進む。
【0080】
<開始条件判定ルーチン>
第2CPUは、
図8にフローチャートにより示した開始条件判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0081】
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、
図8のステップ800から処理を開始し、ステップ805に進み、実行フラグXexeの値が「0」であるか否かを判定する。
【0082】
実行フラグXexeの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定し、ステップ810に進む。ステップ810にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「1」であるか否かを判定する。許可フラグXkyokaの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ810にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0083】
許可フラグXkyokaの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定し、ステップ815に進む。ステップ815にて、第2CPUは、DCU25が確認応答信号を受信したとの開始条件が成立したか否かを判定する。
【0084】
開始条件が成立していない場合、第2CPUは、ステップ815にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、開始条件が成立している場合、第2CPUは、ステップ815にて「Yes」と判定し、ステップ820に進む。ステップ820にて、第2CPUは、実行フラグXexeの値を「1」に設定する。その後、第2CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0085】
第2CPUがステップ805に進んだときに実行フラグXexeの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ805にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0086】
<遠隔操作制御ルーチン>
第2CPUは、
図9にフローチャートにより示した遠隔操作制御ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0087】
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、
図9のステップ900から処理を開始し、ステップ905に進む。ステップ905にて、第2CPUは、実行フラグXexeの値が「1」であるか否かを判定する。実行フラグXexeの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ905にて「No」と判定し、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0088】
実行フラグXexeの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定し、ステップ910に進む。ステップ910にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「1」であるか否かを判定する。
【0089】
許可フラグXkyokaの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定し、ステップ915に進む。ステップ915にて、第2CPUは、本ルーチンが前回実行された時点から現時点までの期間においDCU25が操作信号を受信したか否かを判定する。
【0090】
上記期間にDCU25が操作信号を受信している場合、第2CPUは、ステップ915にて「Yes」と判定し、ステップ920及びステップ925を順に実行する。
ステップ920:第2CPUは、無操作タイマTMnの値を「0」に設定する。
無操作タイマTMnは、遠隔操作制御の開始後に操作領域522に対して操作がなされていない時間(以下、「無操作時間」と称呼する。)をカウントするためのタイマである。
ステップ925:第2CPUは、車両VAが目標経路に沿って予め設定された制御車速Vcで走行するように走行制御を実行する。
その後、第2CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0091】
走行制御を具体的に説明する。第2CPUは、図示しない車速センサから現時点の車両VAの速度を表す車速Vsを取得し、車両VAが所定の減速開始位置に到達していなければ車速Vsを上記制御車速Vcと一致させるための目標加速度Gtを演算する。第2CPUは、目標加速度Gtを駆動ECU40及びブレーキECU50に送信する。
減速開始位置は目標停車位置よりも所定距離だけ手前の位置である。車両VAが目標停車位置に到達すると、車両VAが目標停車位置に到達したときに停車するように所定の第1減速度での減速が開始される。このため、車両VAが減速開始位置に到達していれば、第2CPUは、上記第1減速度を目標加速度Gtとして駆動ECU40及びブレーキECU50に送信する。
【0092】
駆動ECU40は車両VAの加速度Gが受信した目標加速度Gtと一致するように駆動源アクチュエータ42を制御し、ブレーキECU50は車両VAの加速度Gが受信した目標加速度Gtに基いてブレーキアクチュエータ52を制御する。なお、車両VAの加速度は、車速Vsを時間微分することにより取得される。
【0093】
更に、第2CPUは、車両VAが目標経路に沿って走行するための目標操舵角を演算し、その目標操舵角をステアリングECU60に送信する。ステアリングECU60は、操舵角θsを目標転舵角と一致させるように操舵モータ63を制御する。
【0094】
第2CPUがステップ915に進んだときに上記期間においてDCU25が操作信号を受信していない場合、第2CPUは、ステップ915にて「No」と判定し、ステップ930乃至ステップ940を実行する。
【0095】
ステップ930:第2CPUは、無操作タイマTMnの値に「1」を加算する。
ステップ935:第2CPUは、操作報知指令をDCU25から携帯端末27へ送信する。
携帯端末27は、操作報知指令を受信すると、携帯端末27は、ディスプレイ270に表示されている操作画面520の操作領域522の上方に「操作領域を指でタップして指を移動させ続けて下さい。まもなく遠隔操作制御が終了します。」とのメッセージを表示する。
【0096】
ステップ940:第2CPUは、所定の第2減速度で車両VAを減速させる減速制御を実行する。第2減速度の大きさは第1減速度の大きさよりも小さな値に予め設定されることが望ましいが、第2減速度の大きさは第1減速度の大きさと同じ値に設定されていてもよい。
その後、第2CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0097】
第2CPUがステップ910に進んだときに許可フラグXkyokaの値が「0」である場合、開始条件の成立後に不成立状態が猶予時間Text継続している。この場合、第2CPUは、ステップ910にて「No」と判定し、ステップ945及びステップ950を順に実行する。
ステップ945:第2CPUは、範囲外タイマTMgの値に「1」を加算する。
ステップ950:第2CPUは、第2範囲外報知指令をDCU25から携帯端末27へ送信する。携帯端末27は、第2範囲外報知指令を受信すると、ディスプレイ270に「車両に近づいて下さい。まもなく遠隔操作制御が終了します。」とのメッセージを表示する。
ステップ950の実行後、第2CPUは、ステップ940に進んで上記減速制御を実行し、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0098】
<終了条件判定ルーチン>
第2CPUは、
図10にフローチャートにより示した終了条件判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。終了条件は、以下の条件1乃至条件3の何れか成立したときに成立する。
条件1:車両VAが目標停車位置に到達したこと。
条件2:無操作タイマTMnの値が無操作閾値TMnth以上となったこと。
条件3:範囲外タイマTMgの値が範囲外閾値TMgth以上となったこと。
【0099】
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、
図10のステップ1000から処理を開始し、ステップ1005に進む。ステップ1005にて、第2CPUは、実行フラグXexeの値が「1」であるか否かを判定する。実行フラグXexeの値が「0」である場合、第2CPUは、ステップ1005にて「No」と判定し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
実行フラグXexeの値が「1」である場合、第2CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定し、ステップ1010に進む。ステップ1010にて、第2CPUは、車両VAが目標停車位置に到達したか否かを判定する。より詳細には、第2CPUは、車速Vsと操舵角θsとに基いて特定した目標経路における車両VAの現在位置が目標停車位置と一致した場合、車両VAが目標停車位置に到達したと判定する。
【0101】
車両VAが目標停車位置に到達した場合(即ち、上記条件1が成立した場合)、第2CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定し、ステップ1015及びステップ1020を順に実行する。
ステップ1015:第2CPUは、実行フラグXexeの値を「0」に設定する。
ステップ1020:第2CPUは、図示しないパーキングブレーキアクチュエータを作動させるとともに、シフトポジションをパーキングに変更する。
パーキングブレーキアクチュエータが作動すると、車輪に摩擦制動力が付与されることにより、車両VAの停車状態が維持される。
その後、第2CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0102】
第2CPUがステップ1010に進んだときに車両VAが目標停車位置に未だ到達してない場合、第2CPUは、ステップ1010にて「No」と判定し、ステップ1025に進む。ステップ1025にて、第2CPUは、無操作タイマTMnの値が所定の無操作閾値Tnth以上であるか否かを判定する。
【0103】
無操作タイマTMnの値が無操作閾値TMnth未満である場合、第2CPUは、ステップ1025にて「No」と判定し、ステップ1030に進む。ステップ1030にて、第2CPUは、範囲外タイマTMgの値が所定の範囲外閾値TMgth以上であるか否かを判定する。
【0104】
範囲外タイマTMgの値が範囲外閾値TMgth未満である場合、第2CPUは、ステップ1030にて「No」と判定し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
第2CPUがステップ1025に進んだときに無操作タイマTMnの値が無操作閾値TMnth以上である場合(即ち、上記条件2が成立した場合)、第2CPUは、ステップ1025にて「Yes」と判定し、ステップ1015及びステップ1020を実行する。その後、第2CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0106】
第2CPUがステップ1030に進んだときに範囲外タイマTMgの値が範囲外閾値TMgth以上である場合(即ち、上記条件3が成立した場合)、第2CPUは、ステップ1030にて「Yes」と判定し、ステップ1015及びステップ1020を実行する。その後、第2CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0107】
以上説明したように、本制御装置10によれば、信号条件が成立しない場合であっても(ステップ705「No」、ステップ710「No」)、不成立状態が猶予時間Text継続していなければ(ステップ745「No」)、許可フラグXkyokaの値を「1」に維持する。これにより、信号条件が成立しなくなると即座に許可フラグXkyokaの値が「0」に設定され、減速制御が実行されることにより(ステップ910「No」、ステップ940)遠隔操作制御が中止されることを防止できる。
【0108】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0109】
(第1変形例)
第1変形例に係る車両制御装置10の第2CPUは、次のように猶予時間Text(即ち閾値TMth)を予め設定している。
【0110】
第2CPUは、許可距離Dkyoka(
図2を参照。)から可能距離Dkanou(
図2を参照。)を減じることにより、距離差分ΔDを取得する。
【0111】
第2CPUは、上記距離差分ΔDを制御車速Vc及び歩行速度Vwのうち早い方の速度で除算することにより、距離差分ΔDの移動に必要な時間を表す必要時間Tnを取得する。
第2CPUは、猶予時間Textを必要時間Tn以下の所定値に予め設定している。
【0112】
これにより、電子キー23が許可範囲Rkyoka外に位置するために不成立状態が猶予時間Text継続したときに、電子キー23が許可範囲Rkyoka外に位置している可能性を低減できる。よって、電子キー23が許可範囲Rkyoka外に位置しているにもかかわらず、車両制御装置10が、許可条件が成立していると判定して遠隔操作制御を実行してしまう可能性を低減できる。
【0113】
例えば、以下の仮定下においては、猶予時間Textは2.0sに設定される。
許可距離Dkyoka:6.0m
可能距離Dkanou:3.0m
制御車速Vc:0.55m/s
歩行速度Vw:1.1m/s
【0114】
この場合、距離差分ΔDは「3.0m」となり、歩行速度Vwが制御車速Vcよりも速い。よって、必要時間Tnは2.7s(=3.0/1.1)となる。猶予時間Texetは、2.7s以下の2.0sに設定される。
【0115】
(第2変形例)
第2変形例に係る車両制御装置10は、応答信号に基いて電子キー23の車両VA(詳細には車外受信アンテナ22の配設位置)からの距離D(以下、「端末距離」と称呼する場合もある。)を取得し、距離Dに基いて猶予時間Text(即ち、閾値Tmth)を設定する。
【0116】
<応答信号受信ルーチン>
第2変形例の照合ECU20の第1CPUは、
図6に示した応答信号受信ルーチンの代わりに
図11に示した応答信号受信ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
なお、
図11では、
図6に示したステップと同じ処理を行うステップには、
図6にて使用した符号と同じ符号を付与して説明を省略する。
【0117】
第1CPUは、所定のタイミングになると、
図11に示したステップ1100から処理を開始し、
図11に示したステップ605に進む。車外受信アンテナ22が応答信号を受信していない場合、第1CPUは、
図11に示したステップ605にて「No」と判定し、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0118】
車外受信アンテナ22が応答信号を受信した場合、第1CPUは、
図11に示したステップ605にて「Yes」と判定し、
図11に示したステップ610に進む。
キーIDと車両固有IDとが一致していない場合、第1CPUは、
図11に示したステップ610にて「No」と判定し、
図11に示したステップ620にてID不一致情報を含む受信通知を送信する。その後、第1CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0119】
キーIDと車両固有IDとが一致している場合、第1CPUは、
図11に示したステップ610にて「Yes」と判定し、ステップ1105及びステップ1110を順に実行する。
【0120】
ステップ1105:第1CPUは、応答信号の電波強度に基いて距離Dを特定する。
ステップ1110:第1CPUは、ID一致情報及び「距離Dを表す距離情報」を含む受信通知を駐車ECU30に送信する。
その後、第1CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0121】
第2変形例の駐車ECU30の第2CPUは、
図7に示した許可条件判定ルーチンの代わりに
図12に示した許可条件判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行し、
図8乃至
図10に示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
なお、
図12では、
図7に示したステップと同じ処理を行うステップには、
図7にて使用した符号と同じ符号を付与して説明を省略する。
【0122】
<許可条件判定ルーチン>
第2CPUは、所定のタイミングになると、
図12に示したステップ1200から処理を開始し、
図12に示したステップ705に進む。受信通知を受信し、且つ、受信した受信通知にID一致情報が含まれる場合、第2CPUは、
図12に示したステップ705及び
図12に示したステップ710にてそれぞれ「Yes」と判定する。その後、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「0」である場合には
図12に示したステップ720にて許可フラグXkyokaの値を「1」に設定した上で、
図12に示したステップ725にて猶予タイマTMextの値を「0」に設定する。第2CPUは、許可フラグXkyokaの値が「1」であれば、
図12に示したステップ725に進む。
【0123】
第2CPUは、
図12に示したステップ725の実行後、ステップ1205乃至ステップ1220を順に実行する。
ステップ1205:第2CPUは、受信通知に含まれる距離情報が表す距離Dを特定し、特定した距離Dを駐車ECU30のRAMに記憶する。具体的には、RAMには距離Dを記憶するための距離記憶領域が複数設定されており、第2CPUは、ステップ1205にて特定した距離Dを、最も古い距離Dが記憶されている距離記憶領域に上書きする。
ステップ1210:第2CPUは、許可距離Dkyokaから上記距離Dを減じることにより距離差分ΔDを取得する。
ステップ1215:第2CPUは、上記距離差分ΔDを制御車速Vc及び歩行速度Vwのうち早い方の速度で除算することにより必要時間Tnを取得する。
ステップ1220:第2CPUは、猶予時間Textが必要時間Tn以下の所定の値となるように閾値TMthを設定し、当該閾値TMthを駐車ECU30のRAMに記憶する。具体的には、RAMには閾値TMthを記憶するための閾値記憶領域が一つ設定されており、第2CPUは、ステップ1220にて設定した閾値TMthをRAMの閾値記憶領域に上書きする。
その後、第2CPUは、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0124】
第2CPUは、
図12に示したステップ705にて「No」と判定した場合、又は、
図12に示したステップ710にて「No」と判定した場合、
図12に示したステップ730以降の処理に進む。第2CPUは、
図12に示したステップ745に進むと、RAMの閾値記憶領域から閾値TMthを読み込み、猶予タイマTMextの値が読み込んだ閾値TMth以上であるか否かを判定する。
【0125】
なお、ステップ1215にて、第2CPUは、RAMの複数の距離記憶領域に記憶されている距離Dに基いて電子キー23の車両VAに対する相対速度を取得し、距離差分ΔDをこの相対速度で除算することにより必要時間Tnを取得してもよい。
【0126】
第2変形例によれば、電子キー23の車両VAまでの距離Dに基いて猶予時間Textが設定されるので、不成立状態が猶予時間Text継続したときに電子キー23が許可範囲Rkyoka外に位置する可能性を低減できる。これにより、電子キー23が許可範囲外に位置するにもかかわらず遠隔操作制御が実行される可能性を更に低減できる。
【0127】
(第3変形例)
第3変形例の許可範囲Rkyokaは可能範囲Rkanouよりも狭い。即ち、第3変形例に係る車外受信アンテナ22の受信可能距離Dkanouは、許可距離Dkyoriよりも長くなる。
【0128】
第3変形例に係る車両制御装置10は、信号条件が成立した場合、応答信号に基いて特定された距離Dが許可距離Dkyoka以下であれば、距離フラグXkyokaの値を「1」に設定し、距離Dが許可距離Dkyokaよりも長ければ、距離フラグXkyokaの値を「0」に設定する。
【0129】
更に、第3変形例に係る車両制御装置10は、信号条件が成立しなくなった場合、信号条件が成立していた最後の応答信号に基いて特定された距離Dが許可距離Dkyokaよりも短い閾値距離Dth以上であれば、不成立状態が猶予時間Text継続したか否かにかかわらずに即座に許可フラグXkyokaの値を「0」に設定する。
【0130】
第3変形例の照合ECU20の第1CPUは、
図11に示した応答信号受信ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
第3変形例の駐車ECU30の第2CPUは、
図7に示した許可条件判定ルーチンの代わりに
図13に示した許可条件判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行し、
図8乃至
図10に示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
なお、
図13では、
図7に示したステップと同じ処理を行うステップには、
図7にて使用した符号と同じ符号を付与して説明を省略する。
【0131】
<許可条件判定ルーチン>
第2CPUは、所定のタイミングになると、
図13に示したステップ1300から処理を開始し、
図13に示したステップ705に進む。信号条件が成立している場合(受信通知を受信し、且つ、受信した受信通知にID一致情報が含まれる場合)、第2CPUは、
図13に示したステップ705にて「Yes」と判定し、
図13に示したステップ710にて「Yes」と判定する。その後、第2CPUは、ステップ1305及びステップ1310を順に実行する。
【0132】
ステップ1305:第2CPUは、受信通知に含まれる距離情報が表す距離Dを駐車ECU30のRAMに記憶する。具体的には、RAMには距離Dを記憶するための距離記憶領域が一つ設定されており、第2CPUは、ステップ1305にて特定した距離Dを距離記憶領域に上書きする。
ステップ1310:第2CPUは、距離Dが許可距離Dkyoka以下であるか否かを判定する。
【0133】
距離Dが許可距離Dkyoka以下である場合、第2CPUは、ステップ1310にて「Yes」と判定し、
図13に示したステップ715以降の処理に進む。
一方、距離Dが許可距離Dkyokaよりも長ければ、第2CPUは、ステップ1310にて「No」と判定し、
図13に示したステップ750に進んで許可フラグXkyokaの値を「0」に設定するとともに範囲外タイマTMgの値を「0」に設定する。その後、第2CPUは、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0134】
信号条件が成立していない場合、第2CPUは、
図13に示したステップ705及びステップ710の何れかで「No」と判定し、
図13に示したステップ730に進む。許可フラグXkyokaの値が「0」である場合、第2CPUは、
図13に示したステップ730にて「No」と判定し、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0135】
許可フラグXkyokaの値が「1」である場合、第2CPUは、
図13に示したステップ730にて「Yes」と判定し、ステップ1315に進む。ステップ1315にて、第2CPUは、信号条件が成立していた最後の応答信号に基いて特定された距離D(即ち、RAMの距離記憶領域に記憶された距離D)を取得し、距離Dが所定の閾値距離Dth以下であるか否かを判定する。閾値距離Dthは、許可距離Dkyokaよりも短くなる値に予め設定されている。
【0136】
距離Dが閾値距離Dth以下である場合、第2CPUは、ステップ1315にて「Yes」と判定し、
図13に示したステップ735以降の処理に進む。不成立状態が猶予時間Text継続していれば、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値を「0」に設定し、範囲外タイマTMgの値を「0」に設定する。その後、第2CPUは、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0137】
距離Dが閾値距離Dthよりも長い場合、第2CPUは、ステップ1315にて「No」と判定し、不成立状態が猶予時間Text継続しているか否かにかかわらずに、
図13に示したステップ750に進む。このステップ750にて、第2CPUは、許可フラグXkyokaの値を「0」に設定し、範囲外タイマTMgの値を「0」に設定する。その後、第2CPUは、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0138】
第3変形例によれば、許可範囲Rkyokaが可能範囲Rkanouよりも狭い場合、電子キー23が許可範囲Rkyoka内の弱領域Awkに位置したとしても遠隔操作制御が中止される可能性を低減できる。
【0139】
更に、信号条件が成立しなくなって、且つ、信号条件が成立していた最後の応答信号に基いて特定された距離Dが閾値距離Dthよりも長い場合には、不成立状態が猶予時間Text継続したか否かにかかわらず、許可フラグXkyokaの値が「0」に設定される。これにより、電子キー23が許可範囲Rkyoka外に位置しているにもかかわらず遠隔操作制御が実行される可能性を低減できる。
【0140】
(第4変形例)
上記実施形態では、遠隔操作制御を「ユーザの遠隔操作に応じて、目標経路に沿って車両VAを目標停車位置まで移動させる制御」と説明したが、遠隔操作制御はこれに限定されない。例えば、遠隔操作制御は、ユーザの遠隔操作に応じて、車両VAを前進又は更新させる制御であってもよい。
【0141】
(第5変形例)
上記実施形態では、ユーザは、携帯端末26に表示された操作画面520の操作領域522に操作することにより遠隔操作を行ったが、ユーザは、電子キー23に対して遠隔操作を行ってもよい。例えば、電子キー23はタッチパネル式のディスプレイを備えており、ユーザは、このディスプレイに表示された操作画面520の操作領域522に操作を行ってもよい。
【0142】
更に、電子キー23の機能が携帯端末26に実装されてもよい。この携帯端末26は、要求信号を受信した場合、応答信号(端末信号)を送信する。この場合、要求信号はDCU25から送信されてもよいし、応答信号はDCU25が受信してもよい。
【0143】
(第6変形例)
車外送信アンテナ21及び車外受信アンテナ22の数及び配置位置は、上記実施形態に限定されない。
【0144】
(第7変形例)
車両制御装置10は、エンジン自動車、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)及び電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等の車両に搭載可能である。
【符号の説明】
【0145】
10…車両制御装置、20…照合ECU、22…車外受信アンテナ、23…電子キー、25…DCU、26…携帯端末、30…駐車ECU、40…駆動ECU、50…ブレーキECU、60…ステアリングECU。