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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】学習支援装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/14 20060101AFI20241203BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241203BHJP
【FI】
G09B19/14
G06Q50/20 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021163819
(22)【出願日】2021-10-05
(65)【公開番号】P2023054871
(43)【公開日】2023-04-17
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】樫村 貴士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友樹
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/240062(WO,A1)
【文献】特開2007-086698(JP,A)
【文献】特開2019-204241(JP,A)
【文献】特開2020-052454(JP,A)
【文献】特開2020-030718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0304625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全を確保する行動を学習する学習者が携帯する学習支援装置において、
前記学習者が指定エリア内にいることを前記学習者に報知する報知部と、
前記学習者が前記指定エリア内で前記行動を行ったか否かを判定する判定部とを有し、
前記報知部は、前記学習者が前記行動を行ったと前記判定部が判定した場合、該報知を制限し、前記報知の制限後、所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記報知の制限を解除する、
学習支援装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記学習者が移動を開始したことに応じて前記報知の制限を解除する、
請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内で停止している場合、前記報知の制限を解除する、
請求項1または2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まり、前記学習者が前記行動を行っていないと前記判定部が判定した場合、前記報知の制限を解除する、
請求項1乃至3の何れかに記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記報知の制限を解除した後、前記学習者が前記指定エリア外に出た場合、前記報知を制限する、
請求項1乃至4の何れかに記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記学習者が前記行動を行ったと前記判定部が判定した場合、前記報知を停止し、前記報知の停止後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記報知を再開する、
請求項1乃至5の何れかに記載の学習支援装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記学習者が前記指定エリア内で交通安全を確保する前記行動を行ったか否かを判定する、
請求項1乃至6の何れかに記載の学習支援装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば登下校時の子供の交通事故の増加に伴い、子供に安全を教育する効果的な手段が求められている。例えば交通安全に関し、例えば特許文献1には、子供が携帯する端末が子供の登下校時の行動に関する検出値を検出してデータセンタに送信し、データセンタが検出値に基づき行動を評価するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2019/240070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムにおいて、端末は、子供が交差点などに近づくとバイブレータを動作させることによりその接近を報知して子供に周囲への注意を喚起する。報知は、子供が交通安全のために必要な行動を行った後に停止する。
【0005】
しかし、例えば子供が交差点で左右確認を行った後に信号機が赤に変わることよって立ち止まった場合、端末が報知を停止するため、交差点の交通状況が変化しているにも関わらず、安全に対する注意が疎かになるおそれがある。このため、上記のシステムによると、子供に安全のための行動を十分に学習させることが難しい。なお、この問題は、交通安全のための行動の学習に限られず、例えば通学路の地形に起因による事故を避けるために必要な他の安全行動の学習についても存在する。
【0006】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、安全のための行動の学習効果を向上した学習支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の学習支援装置は、安全を確保する行動を学習する学習者が携帯する学習支援装置において、前記学習者が指定エリア内にいることを前記学習者に報知する報知部と、前記学習者が前記指定エリア内で前記行動を行ったか否かを判定する判定部とを有し、前記報知部は、前記学習者が前記行動を行ったと前記判定部が判定した場合、該報知を制限し、前記報知の制限後、所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記報知の制限を解除する。
【0008】
上記の構成において、前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記学習者が移動を開始したことに応じて前記報知の制限を解除してもよい。
【0009】
上記の構成において、前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内で停止している場合、前記報知の制限を解除してもよい。
【0010】
上記の構成において、前記報知部は、前記報知の制限後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まり、前記学習者が前記行動を行っていないと前記判定部が判定した場合、前記報知の制限を解除してもよい。
【0011】
上記の構成において、前記報知部は、前記報知の制限を解除した後、前記学習者が前記指定エリア外に出た場合、前記報知を制限してもよい。
【0012】
上記の構成において、前記報知部は、前記学習者が前記行動を行ったと前記判定部が判定した場合、前記報知を停止し、前記報知の停止後、前記所定期間中、前記学習者が前記指定エリア内に留まっている場合、前記報知を再開してもよい。
【0013】
上記の構成において、前記判定部は、前記学習者が前記指定エリア内で交通安全を確保する前記行動を行ったか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安全のための行動の学習効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】交通安全学習支援システムの一例を示す構成図である。
図2】学習支援装置の一例を示す構成図である。
図3】制御部の一例を示す構成図である。
図4】安全行動管理テーブルの一例を示す図である。
図5】判定結果履歴テーブルの一例を示す図である。
図6】情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図7】安全行動の判定の指示処理の一例を示すフローチャートである。
図8】安全行動判定処理及び報知処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
図9】安全行動判定処理及び報知処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(交通安全学習支援システムの構成及び機能)
図1は、交通安全学習支援システム(以下、「システム」と表記)7の一例を示す構成図である。システム7は、学習支援装置1、スマートフォン2、及び記録サーバ3を含む。学習支援装置1、スマートフォン2、及び記録サーバ3は、例えばインターネットなどのネットワーク9に接続されており、ネットワーク9を介して互いに通信することができる。学習支援装置1及びスマートフォン2は例えばLTE(Long Term Evolution)などに基づく無線通信機能により通信する。
【0017】
学習支援装置1は、例えば登下校時の子供に、交通安全を確保する行動(以下、「安全行動」と表記)を学習させる携帯型の装置である。符号Gaは、学習支援装置1を携帯した子供の概略図である。学習支援装置1は、例えば略矩形のバッジタイプのデバイスであり、子供の通学用帽子Hに取り付けられる。このため、子供は、登下校時に簡便に学習支援装置1を携帯することができる。
【0018】
なお、学習支援装置1の取り付け位置は、これに限定されず、例えば子供のランドセルの肩紐に取り付けられてもよいし、子供の衣服に取り付けられてもよい。また、学習支援装置1の形状についても限定はなく、例えば子供の腕に取り付けられるように腕時計タイプの形状としてもよい。
【0019】
学習支援装置1は、例えば通学路上の複数の指定位置において子供の安全行動の有無を判定する。指定位置は、交差点や曲がり角などの交通安全上の注意が必要な場所である。学習支援装置1は、指定位置ごとの子供の安全行動の有無の判定履歴を記録し、例えば定期的に履歴情報として記録サーバ3に送信する。
【0020】
記録サーバ3は、学習支援装置1が記録した安全行動の判定履歴を履歴データベース(DB)30に保存する。履歴データベース30は記録サーバ3のハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブなどに格納されている。
【0021】
スマートフォン2は、学習支援装置1を携帯する子供の親が所有する端末である。スマートフォン2は、学習支援装置1に対応する専用のアプリケーション(APP)20がインストールされている。スマートフォン2は、アプリケーション20の機能に基づき、例えば学習支援装置1に対し安全行動の指定位置を設定する。このとき、スマートフォン2から学習支援装置1には指定位置の情報が送信される。
【0022】
また、スマートフォン2は、アプリケーション20の機能に基づき、記録サーバ3から安全行動の履歴情報を取得する。アプリケーション20は、スマートフォン2のタッチパネルに子供の安全行動の判定結果を地図上の子供の移動経路とともに表示する。
【0023】
符号Gbは、アプリケーション20が表示したタッチパネルの画面の一例を示す。画面には、子供の登下校の経路(点線)を示す地図80、子供の現在位置Po、安全行動の指定位置P#1~#3、及び各指定位置P#1~#3での判定結果81~83が表示されている。なお、本例では安全行動として交通安全の確認行動を挙げるが、これに限定されない。
【0024】
例えば、指定位置P#1はT字路のエリアに該当し、安全行動として左右確認が必要である。子供が左右確認を行った場合、指定位置P#1の判定結果81は「OK」となる。
【0025】
また、指定位置P#2はT字路のエリアに該当し、安全行動として右方向の確認が必要である。子供が確認を行わなかった場合、指定位置P#2の判定結果82は「NG」となる。
【0026】
また、指定位置P#3は十字路のエリアに該当し、安全行動として左右確認が必要である。子供が左右確認を行った場合、指定位置P#3の判定結果83は「OK」となる。
【0027】
このため、親はスマートフォン2の画面を通じて子供の安全行動の結果を確認することができる。なお、本例では安全行動の学習者として子供を挙げるが、これに限定されず、例えば、病院に通う老人であってもよい。
【0028】
(学習支援装置の構成)
図2は、学習支援装置1の一例を示す構成図である。学習支援装置1は、制御部40、RTC(Real Time Clock)モジュール41、GPS(Global Positioning System)モジュール42、モーションセンサ部43、スピーカ44、及び通信処理部45を有する。
【0029】
RTCモジュール41はカレンダ及び時計の機能を有する。RTCモジュール41は、安全行動の判定履歴を生成するための年月日情報及び時刻情報を、制御部40からの要求に従って制御部40に出力する。
【0030】
GPSモジュール42はGPS衛星から受信した電波により学習支援装置1の現在位置、つまり学習者の現在位置Poを検出する。GPSモジュール42は、検出した現在位置の位置情報を制御部40からの要求に従って制御部40に出力する。なお、GPSモジュール42は、学習者の位置を検出する位置検出手段である。
【0031】
モーションセンサ部43は、1以上のセンサを含み、学習者の動作を検出する。モーションセンサ部43には、例えば、加速度センサ及び角速度センサなどが含まれる。モーションセンサ部43は、加速度及び角速度などの各センサの検出値を制御部40からの要求に従って制御部40に出力する。なお、モーションセンサ部43は、学習者の動作を検出する動作検出手段である。
【0032】
スピーカ44は、制御部40から入力される報知信号に応じたブザーや音声(「安全行動が必要な場所です。」などのメッセージ)などの報知音を出力する。制御部40は、学習者の現在位置Poが指定位置P#1~#3を中心とし、半径が距離Dのエリア(以下、「指定エリア」と表記)内にあるとき、報知信号をスピーカ44に出力する。このため、学習者は、指定エリア内に到達したとき、スピーカ44からの報知音を聞くことによって、安全行動が必要であることを認識することができる。
【0033】
通信処理部45は、例えばLTEに準ずる無線通信回路であり、ネットワーク9を介した制御部40と記録サーバ3及びスマートフォン2の通信を処理する。通信処理部45は、制御部40から入力されたデータ信号をネットワーク9に送信し、ネットワーク9から入力されたデータ信号を制御部40に出力する。
【0034】
制御部40は、現在位置Poが指定エリア内にある場合、スピーカ44に報知信号を出力し、指定位置P#1~#3ごとに学習者が安全行動を行った否かを判定する。ここで、制御部40は、学習者の現在位置PoをGPSモジュール42から取得して、現在位置Poが指定エリア内であるか否かを判定する。また、制御部40は、学習者の動作をモーションセンサ部43から取得して安全行動の判定に用いる。
【0035】
図3は、制御部40の一例を示す構成図である。制御部40は、例えばマイクロコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージメモリ13、及び入出力ポート14を有する。CPU10は、互いに信号の入出力ができるように、ROM11、RAM12、ストレージメモリ13、及び入出力ポート14と、バス19を介して接続されている。なお、制御部40はコンピュータの一例である。
【0036】
ROM11は、CPU10を駆動するプログラムが格納されている。RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして機能する。入出力ポート14は、例えばRTCモジュール41、GPSモジュール42、モーションセンサ部43、スピーカ44、及び通信処理部45との間でそれぞれ各種の信号を送受信する。CPU10は入出力ポート14を介してRTCモジュール41、GPSモジュール42、モーションセンサ部43、スピーカ44、及び通信処理部45との間で信号を入出力する。
【0037】
CPU10は、ROM11からプログラムを読み込むと、機能として、管理部100、設定処理部101、情報取得部102、安全行動判定部103、エリア報知部104、及び履歴送信部105を形成する。また、ストレージメモリ13には、安全行動管理テーブル(TBL)130及び判定結果履歴テーブル(TBL)131が格納されている。ストレージメモリ13としてはフラッシュメモリが挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
管理部100は学習支援装置1の全体の動作を管理する。管理部100は、プログラムに設定されたシーケンスに従って設定処理部101、情報取得部102、安全行動判定部103、エリア報知部104、及び履歴送信部105に対して動作を指示する。
【0039】
設定処理部101は、スマートフォン2から入出力ポート14を介して指定位置P#1~#3の設定情報を受信する。設定情報には、指定位置P#1~#3だけでなく、指定位置P#1~#3ごとの安全行動の種別(左右確認など)が含まれていてもよい。設定処理部101は設定情報に従って安全行動管理テーブル130を設定する。
【0040】
図4は、安全行動管理テーブル130の一例を示す図である。安全行動管理テーブル130には、指定位置P#1~#3、及び必要な安全行動、つまり学習者が指定位置P#1~#3で行うべき安全行動として左右確認及び右方向確認などが互いに対応付けられて登録されている。ここで指定位置P#1~#3は、GPSに基づく経度及び緯度の値である。安全行動管理テーブル130は、学習者の現在位置Poが指定エリアに到達したときに参照され、安全行動の判定に用いられる。
【0041】
再び図3を参照すると、情報取得部102は、RTCモジュール41、GPSモジュール42、及びモーションセンサ部43から入出力ポート14を介して各種の情報を取得する。情報取得部102はRTCモジュール41から年月日情報及び時刻情報を取得する。また、情報取得部102は、学習者の現在位置Poを示す位置情報として緯度及び経度の情報をGPSモジュール42から取得し、モーションセンサ部43から学習者の動作に関する各種の検出値を取得する。
【0042】
安全行動判定部103は、判定部の一例であり、学習者の現在位置Poが指定位置P#1~#3の近傍のエリア内に到達したとき、学習者が指定エリア内で安全行動を行ったか否かをモーションセンサ部43の検出結果に基づき判定する。例えば安全行動判定部103は、角速度センサの検出値が正方向及び負方向に所定値を超えて連続的に変動した場合、学習者が左右確認を行ったと判定する。また、安全行動判定部103は、加速度センサの検出値が所定値以下である場合、学習者が停止中であると判定する。
【0043】
安全行動判定部103の判定手法は、上記に限定されず、モーションセンサ部43のセンサ類の種別や学習支援装置1の取り付け位置に応じて適切な手法が採用される。例えばモーションセンサ部43として小型カメラが設けられてもよく、この場合、モーションセンサ部43は、小型カメラが撮像した画像に基づいて安全行動を判定する。また、GPSモジュール42をモーションセンサ部43とともに動作検出手段として安全行動の判定に用いてもよく、この場合、安全行動判定部103は、GPSモジュール42が検出した現在位置Poの時刻に応じた変位から学習者が停止していると判定することができる。
【0044】
安全行動判定部103は、指定位置P#1~#3ごとに安全行動の判定結果を判定結果履歴テーブル131に記録する。安全行動判定部103は、RTCモジュール41から入出力ポート14を介して年月日情報及び時刻情報を取得して日時として判定結果履歴テーブル131に記録する。
【0045】
図5は、判定結果履歴テーブル131の一例を示す図である。判定結果履歴テーブル131には、日時、指定位置、安全行動、及び判定結果が記録されている。日時は、上記のようにRTCモジュールから取得される。指定位置及び安全行動は、安全行動管理テーブル130から取得される。
【0046】
判定結果は、指定位置P#1~#3に該当する指定エリア内で学習者が安全行動を行ったと判定された場合、「OK」を示し、指定位置P#1~#3に該当する指定エリア内で学習者が安全行動を行っていないと判定された場合、「NG」を示す。
【0047】
履歴送信部105は、例えば定期的にストレージメモリ13かから判定結果履歴テーブル131を読み出して、入出力ポート14を介して通信処理部45に出力する。通信処理部45は、判定結果履歴テーブル131を履歴情報として記録サーバ3に送信する。
【0048】
エリア報知部104は、報知部の一例であり、スピーカ44に報知信号を出力することにより、学習者が指定エリア内にいることを学習者に報知する。このため、学習者は、指定エリア内に到達したとき、スピーカ44からの報知音を聞くことによって、安全行動が必要であることを認識することができる。
【0049】
エリア報知部104は、例えば学習者の現在位置Poが指定エリア内に到達したとき、報知を開始する。このとき、エリア報知部104は、GPSモジュール42の情報に基づいて学習者の現在位置Poが指定エリア内に到達したことを判定する。これにより、学習者は、安全行動が必要なエリアに入ったことを知ることができる。
【0050】
管理部100は、安全行動判定部103から安全行動の判定結果を取得してエリア報知部104に通知する。エリア報知部104は、学習者が安全行動を行ったと安全行動判定部103が判定した場合、報知を制限する。例えばエリア報知部104は、報知信号の出力を停止することにより報知を停止する。このため、学習者は、安全行動により安全を確保した後、報知によるわずらわしさを感じることが抑制される。なお、報知の制限手段は、これに限定されず、エリア報知部104は、例えば報知の音量や頻度などを低下させるように報知信号を出力してもよい。
【0051】
しかし、例えば学習者が交差点で左右確認を行った後に信号機が赤に変わることよって立ち止まった場合、報知を停止するため、交差点の交通状況が変化しているにも関わらず、学習者の安全に対する注意が疎かになるおそれがある。
【0052】
このため、エリア報知部104は、報知の制限後、所定の監視期間中、学習者が指定エリア内に留まっている場合、報知の制限を解除する。エリア報知部104は、例えば報知の停止後の経過時刻をカウンタにより計時し、カウンタ値が所定値に達したときに報知を再開する。
【0053】
したがって、学習者は、安全行動の後も監視期間中、指定エリア内に留まっている場合、報知が再開することにより再び注意を喚起され、再度の安全行動が必要であることを学習することができる。例えば学習者が交差点で左右確認を行った後に信号が赤に変わることよって立ち止まった場合、報知の停止後から数分が経過すると報知が再開されるため、信号が青に変わったときに再度の左右確認を促される。これにより、学習者は、所定期間の経過により交差点の交通状況が変化しても、安全行動を行うことにより安全を確保することができる。
【0054】
このように学習支援装置1は安全行動の学習効果を向上することができる。なお、エリア報知部104は、上述したように報知の音量及び頻度などを低下させることにより報知を制限している場合、音量及び頻度などを元の値に戻すことにより制限を解除してもよい。
【0055】
また、エリア報知部104は、報知の制限後、監視期間中、学習者が指定エリア内に留まり、学習者が安全行動を行っていないと安全行動判定部103が判定した場合、報知の制限を解除する。このとき、エリア報知部104は、学習者が安全行動を行った場合、監視期間の計時するカウンタ値を所定値に達しないようにリセットする。
【0056】
したがって、学習者は、監視期間が経過する前に自発的に再び安全行動を行った場合、報知が解除されないため、わずらわしさを感じることが抑制される。なお、エリア報知部104は、これとは異なり、監視期間、学習者が指定エリア内に留まり、学習者が安全行動を行ったと安全行動判定部103が判定した場合でも、学習者の安全に対する意識を高めるように報知の制限を解除してもよい。
【0057】
このように学習者は、安全行動を行った後、信号機が赤である場合、横断歩道の手前で立ち止まるが、監視期間の経過後に報知が再開される。一方、信号機が青である場合、学習者は立ち止まらずに横断歩道を渡る。この場合、横断中に監視期間が経過したときに仮に報知が再開すると、学習者はわずらわしさを感じるおそれがある。
【0058】
そこで、エリア報知部104は、報知の制限後、監視期間中、学習者が指定エリア内で停止している場合、報知の制限を解除する。このとき、エリア報知部104は、例えばモーションセンサ部43の検出結果から学習者の移動を検知した場合、監視期間を計時するカウンタ値を所定値に達しないようにリセットする。
【0059】
このため、エリア報知部104は、学習者の移動中に報知の制限を解除しないので、学習者が横断歩道を横断中でも報知が再開されず、学習者がわずらわしさを感じることが抑制される。なお、エリア報知部104は、これとは異なり、学習者が指定エリア内で移動している場合でも、監視期間が経過したとき、学習者にさらなる注意を喚起するため、報知の制限を解除してもよい。
【0060】
また、エリア報知部104は、報知の制限後、監視期間中、学習者が指定エリア内に留まっている場合、学習者が移動を開始したことに応じて報知の制限を解除する。このとき、エリア報知部104は、カウンタ値が所定値に達した後、例えばモーションセンサ部43の検出結果から学習者の移動を検知した場合、報知の制限を解除する。
【0061】
このため、学習者は、赤信号に従って立ち止まってから監視期間が経過した後、青信号に従って横断歩道を横断開始したときに報知を受ける。したがって、学習者は、動き始めたときに適時に安全に対する注意を喚起されて再度の安全行動を促される。なお、エリア報知部104は、これとは異なり、学習者に早期に安全行動を促すため、監視期間が経過した直後に報知の制限を解除してもよい。
【0062】
また、エリア報知部104は、報知の制限を解除した後、学習者が指定エリア外に出た場合、報知を制限する。このため、学習者は、安全行動が不要な指定エリア外に出たことを知ることができる。
【0063】
(制御部の動作)
次に制御部40の動作を説明する。制御部40において、管理部100は、設定処理部101に安全行動管理テーブル130の設定処理を指示した後、情報取得部102に対しRTCモジュール41、GPSモジュール42、及びモーションセンサ部43から各種の情報を取得する処理を指示するとともに、安全行動判定部103及びエリア報知部104に安全行動の判定処理及び報知処理をそれぞれ指示する。
【0064】
図6は、情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。本処理は例えば所定の周期で繰り返し実行される。
【0065】
情報取得部102はRTCモジュール41から年月日情報及び時刻情報を取得する(ステップSt1)。次に情報取得部102はGPSモジュール42から学習者の現在位置Poを取得する(ステップSt2)。現在位置Poは例えば緯度及び経度で示される。
【0066】
次に情報取得部102はモーションセンサ部43から学習者の動作に関する各種の検出値を取得する(ステップSt3)。検出値としては加速度及び角加速度が挙げられるが、これに限定されず、学習支援装置1の取り付け位置や判定対象の安全行動の種類に応じて適宜に決定される。なお、管理部100は、情報取得部102が取得した各種の情報を必要に応じて安全行動判定部103及びエリア報知部104に出力する。
【0067】
図7は、安全行動の判定の指示処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば、学習者である子供の登下校の開始時に起動され、その終了時に停止する。
【0068】
管理部100はストレージメモリ13から安全行動管理テーブル130を読み出す(ステップSt11)。安全行動管理テーブル130は事前に親のスマートフォン2から設定されている。
【0069】
次に管理部100は安全行動管理テーブル130から指定位置P#1~#3の1つを選択する(ステップSt12)。次に管理部100は、選択中の指定位置P#1~#3における安全行動の判定処理及び報知処理を安全行動判定部103及びエリア報知部104にそれぞれ指示する(ステップSt13)。
【0070】
次に管理部100は、安全行動管理テーブル130の全ての指定位置P#1~#3を選択済みであるか否か判定する(ステップSt14)。未選択の指定位置P#1~#3が存在する場合(ステップSt14のNo)、管理部100は次の指定位置P#1~#3を選択する(ステップSt12)。その後、ステップSt13及びSt14の処理が再び実行される。ここで、管理部100は例えば子供の登下校の経路に沿った順番に従って指定位置P#1~#3を選択する。
【0071】
また、全ての指定位置P#1~#3が選択済みである場合(ステップSt14のYes)、管理部100は処理を終了する。
【0072】
図8及び図9は、安全行動判定処理及び報知処理の一例を示すフローチャートである。図8及び図9の各フローチャートは、図8中の符号A,Bと図9の符号A,Bがそれぞれ互いに連結されることにより一連の処理を示す。
【0073】
エリア報知部104は、現在位置Poと選択中の指定位置P#1~#3の間の距離Dを算出する(ステップSt21)。次にエリア報知部104は距離Dと閾値Dthを比較する(ステップSt22)。これによりエリア報知部104は学習者の現在位置Poが指定エリア内に到達したか否かを判定する。なお、閾値Dthは、例えば指定位置P#1~#3ごとの個別の値であり、交差点の大きさなどの指定位置P#1~#3の各種の条件に応じて決定される。
【0074】
エリア報知部104は、距離Dが閾値Dthより大きい場合(ステップSt22のNo)、再びステップSt21の処理を実行する。また、エリア報知部104は、距離Dが閾値Dth以下である場合(ステップSt22のYes)、報知を開始する(ステップSt23)。これにより、学習者は、安全行動が必要な指定エリア内に到達したことを知り、安全に対する注意を喚起される。
【0075】
次に安全行動判定部103は、モーションセンサ部43の各検出値に基づき学習者の動作を解析する(ステップSt24)。次に安全行動判定部103は、動作解析の結果から、学習者が選択中の指定位置P#1~#3に応じた安全行動を行ったか否かを判定する(ステップSt25)。例えば安全行動判定部103は、指定位置P#1の指定エリア内において、学習者が左右確認を行ったか否かを加速度及び角加速度から判定する。
【0076】
学習者が安全行動を行っていないと安全行動判定部103が判定した場合(ステップSt25のNo)、安全行動判定部103は、現在位置Poと選択中の指定位置P#1~#3の間の距離Dを算出する(ステップSt27)。次に安全行動判定部103は距離Dと閾値Dthを比較する(ステップSt28)。これにより安全行動判定部103は、学習者の現在位置Poが指定エリア内に留まっているか否かを判定する。
【0077】
距離Dが閾値Dth以下である場合(ステップSt28のYes)、再びステップSt24以降の各処理が実行される。また、距離Dが閾値Dthより大きい場合(ステップSt28のNo)、エリア報知部104は、学習者が指定エリア外に出たと判定し、報知を停止して(ステップSt29)、処理を終了する。このとき、安全行動判定部103は判定結果履歴テーブル131に安全行動の判定結果を記録する。
【0078】
また、学習者が安全行動を行ったと安全行動判定部103が判定した場合(ステップSt25のYes)、エリア報知部104は報知を停止する(ステップSt26)。このため、学習者は、安全行動後に報知が継続することによるわずらわしさを感じること抑制される。なお、本例では報知の制限の一例として報知の停止を挙げるが、これに限定されず、上述したようにエリア報知部104は音量や頻度が低下するように報知を制限してもよい。
【0079】
次にエリア報知部104は、監視期間を計時するためにカウントを開始する(ステップSt30)。このようにエリア報知部104は、報知の停止後の経過時刻を計時する。
【0080】
次にエリア報知部104は、現在位置Poと選択中の指定位置P#1~#3の間の距離Dを算出する(ステップSt31)。次にエリア報知部104は距離Dと閾値Dthを比較する(ステップSt32)。これによりエリア報知部104は学習者の現在位置Poが指定エリア内に留まっているか否かを判定する。
【0081】
エリア報知部104は、距離Dが閾値Dthより大きい場合(ステップSt32のNo)、学習者が指定エリア外に出たと判定し、カウントを停止して(ステップSt36)、本処理を終了する。例えば学習者の子供が、交差点の信号機が青であるときに横断歩道の手前で左右確認を行い(このとき、報知は停止)、信号機が赤に変わる前に横断歩道を横断し終わって交差点から離れた場合、後述するステップSt24にて報知が再開されることなく、本処理は終了する。このとき、安全行動判定部103は判定結果履歴テーブル131に安全行動の判定結果を記録する。
【0082】
また、距離Dが閾値Dth以下である場合(ステップSt32のYes)、安全行動判定部103は、学習者が指定エリア内に留まっていると判定し、モーションセンサ部43の各検出値に基づき学習者の動作を解析する(ステップSt33)。次に安全行動判定部103は、動作解析の結果から、学習者が選択中の指定位置P#1~#3に応じた安全行動を行ったか否かを判定する(ステップSt34)。
【0083】
学習者が安全行動を行ったと安全行動判定部103が判定した場合(ステップSt34のYes)、エリア報知部104は、監視期間を計時するカウンタ値を0にリセットする(ステップSt35)。このため、報知の停止後、学習者が自発的に安全行動を行っている限り、監視期間は経過しないため、後述するステップSt40にて報知が再開されることがない。
【0084】
また、学習者が安全行動を行っていないと安全行動判定部103が判定した場合(ステップSt34のNo)、エリア報知部104は、モーションセンサ部43の各検出値に基づき学習者が停止中であるか否かを判定する(ステップSt37)。このとき、例えばエリア報知部104は、加速度センサの検出値が閾値未満であれば停止中であると判定してもよい。これにより、エリア報知部104は、例えば学習者の子供が赤信号に従って立ち止まっている状態であるのか、移動中であるのかを判別することができる。
【0085】
学習者が停止中であると判定した場合(ステップSt37のYes)、再びステップSt31以降の各処理が行われる。この場合、カウンタ値はリセットされることなく、増加する。
【0086】
また、学習者が移動中であると判定した場合(ステップSt37のNo)、エリア報知部104はカウンタ値と所定値Tを比較する(ステップSt38)。エリア報知部104は、カウンタ値が所定値T未満である場合(ステップSt38のNo)、カウンタ値を0にリセットする(ステップSt41)。その後、再びステップSt31以降の各処理が行われる。
【0087】
また、エリア報知部104は、カウンタ値が所定値T以上である場合(ステップSt38のYes)、カウンタを停止して(ステップSt39)、報知を再開する(ステップSt40)。その後、ステップSt24以降の各処理が行われる。
【0088】
このようにエリア報知部104は、報知の停止後、監視期間中、学習者が指定エリア内に留まっている場合、学習者が移動を開始したことに応じて報知を再開する。このため、例えば学習者の子供は、赤信号に従って立ち止まってから監視期間が経過した後、青信号に従って横断歩道を横断開始したときに報知を受けるため、適時に再度の左右確認を促される。
【0089】
また、エリア報知部104は、上記のステップSt37~41の各処理により、報知の停止後、監視期間中、学習者が指定エリア内で停止している場合、報知を再開する。例えば学習者の子供が、赤信号に従って横断歩道の手前で立ち止まり左右確認を行った後(このとき、報知は停止)、監視期間が経過すると報知が再開するため、再度の左右確認が促される。また、子供が、横断歩道の手前で立ち止まり左右確認を行った後、青信号に従って横断を始めた場合、監視期間が経過しても報知は再開しないため、横断中にわずらわしさを感じることが抑制される。
【0090】
また、エリア報知部104は、上記のステップSt31~41の各処理により、報知の制限後、監視期間中、学習者が指定エリア内に留まり、学習者が安全行動を行っていないと安全行動判定部103が判定した場合、報知を再開する。例えば学習者の子供が、赤信号に従って交差点の横断歩道の手前で立ち止まっている間、繰り返し左右確認を行っていれば、報知は再開されない。このため、子供は、再度の左右確認を行うことにより報知の再開によるわずらわしさを感じることが抑制されるため、時間をおいて左右確認を繰り返す習慣を身に着けることができる。
【0091】
また、エリア報知部104は、上記のステップSt27~29の各処理により、報知の制限を解除した後、学習者が指定エリア外に出た場合、報知を制限する。このため、学習者は、安全行動が不要な指定エリア外に出たことを知ることができる。
【0092】
これまで述べたように、本例の学習支援装置1によると、子供などの学習者が交通安全を確保する安全行動の学習を効果的に支援することができる。しかし、学習支援装置1は、交通安全に限定されず、例えば通学路の地形に起因による事故に対して安全を確保する行動の学習を支援する装置であってもよい。この場合、指定位置P#1~P#3としては、急斜面の近傍の道などが指定され、安全行動判定部103は、その指定エリア内で学習者が安全を確認したか否かを判定してもよい。このように、学習支援装置1の用途は限定されることはない。
【0093】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 学習支援装置
40 制御部
42 GPSモジュール
43 モーションセンサ部
44 スピーカ
10 CPU
100 管理部
103 安全行動判定部(判定部)
104 エリア報知部(報知部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9