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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】車線逸脱防止装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241203BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20241203BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20241203BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241203BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/12
B60W30/095
B60W50/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021172130
(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公開番号】P2023062260
(43)【公開日】2023-05-08
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永江 元
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-022134(JP,A)
【文献】特開2020-038726(JP,A)
【文献】特開2016-151864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が車線から逸脱することを防止するための車線逸脱防止制御を実行する制御装置を備えた車線逸脱防止装置において、
前記制御装置は、前記自車両が走行している車線である自車線を区画している両側の区画線をそれぞれ基準としてこれら区画線に沿ってそれぞれ延びるように設定したラインに前記自車両が達した場合、前記車線逸脱防止制御を実行するように構成されており、
前記制御装置は、前記自車線を区画している一方の側の前記区画線上又はその近傍に構造物が存在する場合、前記自車線を区画している他方の側の前記区画線に沿って設定された前記ラインを前記自車両から離れる方向へずらして設定するように構成されており、
前記制御装置は、前記一方の側の前記区画線上又はその近傍に構造物が存在するときに前記他方の側の前記区画線を越えたところに前記自車両が接触する可能性のある物体が存在する場合、前記物体が存在しない場合に比べ、前記自車線を区画している他方の側の前記区画線に沿って設定された前記ラインを前記自車両から離れる方向へずらす量を小さくするように構成されている、
車線逸脱防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線逸脱防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両が車線から逸脱することを防止するための車線逸脱防止制御を実行する車線逸脱防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、自車両が走行している車線(自車線)を区画している白線等の区画線を基準にした所定の位置にそれら区画線に沿って延びるラインを車線逸脱防止制御の実行の要否を判断するための制御開始ラインとして設定し、自車両がその制御開始ラインに達したときに車線逸脱防止制御を開始するように構成されている車線逸脱防止装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100078号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、自車線の右側区画線上にポールのような一定の高さのある構造物が設置されていることがあり、その場合、運転者が自車両をその構造物から離れるように左側に寄せて走行させることがある。このように自車両が左側に寄って走行している場合、自車線の左側区画線を基準にして設定された制御開始ライン(左側制御開始ライン)に自車両が達しやすく、車線逸脱防止制御が実行されやすくなる。
【0005】
しかしながら、自車両が左側に寄って走行しているのは、運転者の意思によるものであるので、自車両が左側制御開始ラインに達したからといって車線逸脱防止制御が実行されると、不要に車線逸脱防止制御が実行されることになってしまう。
【0006】
こうした車線逸脱防止制御の不要な実行を回避するための対策として、自車線の右側区画線上に構造物が設置されている場合、左側制御開始ラインを自車両から離れる方向へずらして設定することにより自車両が左側に寄って走行しても自車両が左側制御開始ラインに達しづらくするといった対策が考えられる。
【0007】
しかしながら、例えば、左後方から自車両に他車両が接近してきているときに自車両から離れる方向へずらして左側制御開始ラインを設定してしまうと、自車両が更に左側に寄ることができてしまい、その結果、自車両に他車両が接触してしまう可能性があり、好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、自車線の一方の側に構造物が設置されている場合において、自車線の他方の側に存在する物体が自車両に接触することを防止しつつ、車線逸脱防止制御の不要な実行を回避することができる車線逸脱防止装置を提供することにある。
【0009】
本発明に係る車線逸脱防止装置は、自車両が車線から逸脱することを防止するための車線逸脱防止制御を実行する制御装置を備えている。
【0010】
前記制御装置は、前記自車両が走行している車線である自車線を区画している両側の区画線をそれぞれ基準としてこれら区画線に沿ってそれぞれ延びるように設定したラインに前記自車両が達した場合、前記車線逸脱防止制御を実行するように構成されている。又、前記制御装置は、前記自車線を区画している一方の側の前記区画線上又はその近傍に構造物が存在する場合、前記自車線を区画している他方の側の前記区画線に沿って設定された前記ラインを前記自車両から離れる方向へずらして設定するように構成されている。更に、前記制御装置は、前記一方の側の前記区画線上又はその近傍に構造物が存在するときに前記他方の側の前記区画線を越えたところに前記自車両が接触する可能性のある物体が存在する場合、前記物体が存在しない場合に比べ、前記自車線を区画している他方の側の前記区画線に沿って設定された前記ラインを前記自車両から離れる方向へずらす量を小さくするように構成されている。
【0011】
本発明によれば、自車線を区画している一方の側の区画線上又はその近傍に構造物が存在する場合、車線逸脱防止制御の実行の要否の判断に使用されるラインであって自車線を区画している他方の側の区画線に沿って設定されたラインが自車両から離れる方向へずらして設定され、しかも、このとき、自車両が走行している車線を区画している他方の側の区画線を越えたところに自車両が接触する可能性のある物体が存在する場合、そうした物体が存在しない場合に比べ、自車両から離れるように上記ラインがずらされる量が小さい。このため、自車線の一方の側に構造物が設置されている場合において、自車線の他方の側に存在する物体に自車両が接触することを防止しつつ、自車両が自車線の他方の側に寄って走行したときの車線逸脱防止制御の不要な実行を回避することができる。
【0012】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車線逸脱防止装置及びそれが搭載される車両(自車両)を示した図である。
図2図2は、自車両が走行している場面を示した図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る車線逸脱防止装置が実行するルーチンを示した図である。
図4図4の(A)は、警報開始ライン及び操舵開始ラインを示した図であり、図4の(B)は、警報開始ライン距離及び操舵開始ライン距離を示した図である。
図5図5の(A)は、自車両が警報開始ラインに達した場面を示した図であり、図5の(B)は、自車両が操舵開始ラインに達した場面を示した図である。
図6図6は、操作制御により自車両が自律的に操舵されている場面を示した図である。
図7図7は、自車両の右側に構造物としてのポールが設置されている道路を示した図である。
図8図8は、自車両の右側に構造物としてのガードレールが設置されている道路を示した図である。
図9図9は、図7に示した道路を走行している自車両の左後方から他車両が自車両に接近してきている場面を示した図である。
図10図10は、図8に示した道路を走行している自車両の左後方から他車両が自車両に接近してきている場面を示した図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る車線逸脱防止装置が実行するルーチンを示した図である。
図12図12は、構造物距離及び構造物高さを示した図である。
図13図13は、構造物距離、構造物高さ及び構造物仰角を示した図である。
図14図14は、図9に示した場面において設定される警報開始ライン及び操舵開始ラインを示した図である。
図15図15は、図10に示した場面において設定される警報開始ライン及び操舵開始ラインを示した図である。
図16図16は、図7に示した場面において設定される警報開始ライン及び操舵開始ラインを示した図である。
図17図17は、図8に示した場面において設定される警報開始ライン及び操舵開始ラインを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車線逸脱防止装置について説明する。図1に示したように、本発明の実施形態に係る車線逸脱防止装置10は、自車両100に搭載されている。
【0015】
<ECU>
車線逸脱防止装置10は、制御装置としてのECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0016】
<駆動装置等>
又、自車両100には、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23が搭載されている。
【0017】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動トルク(駆動力)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御して駆動装置21から出力される駆動トルクを制御することができる。
【0018】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動トルク(制動力)を出力する装置であり、例えば、油圧ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御して制動装置22から出力される制動トルクを制御することができる。
【0019】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵トルク(操舵力)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御して操舵装置23から出力される操舵トルクを制御することができる。
【0020】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル33、ブレーキペダル操作量センサ34、ハンドル35、ステアリングシャフト36、操舵角センサ37、操舵トルクセンサ38、車速検出装置50、周辺情報検出装置60及び警報装置80が搭載されている。
【0021】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ32は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ32は、検出したアクセルペダル31の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル31の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0022】
ECU90は、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の走行速度(車速)に基づいて要求駆動トルク(要求駆動力)を演算により取得する。要求駆動トルクは、駆動装置21に出力が要求されている駆動トルクである。ECU90は、要求駆動トルクが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0023】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ34は、ブレーキペダル33の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ34は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ34は、検出したブレーキペダル33の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル33の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0024】
ECU90は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて要求制動トルク(要求制動力)を演算により取得する。要求制動トルクは、制動装置22に出力が要求されている制動トルクである。ECU90は、要求制動トルクが出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0025】
<操舵角センサ>
操舵角センサ37は、中立位置に対するステアリングシャフト36の回転角度を検出するセンサである。操舵角センサ37は、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ37は、検出したステアリングシャフト36の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト36の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0026】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ38は、自車両100の運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルクを検出するセンサである。操舵トルクセンサ38は、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ38は、検出したトルクの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルク(ドライバー入力トルクTQd)を取得する。
【0027】
<車速検出装置>
車速検出装置50は、自車両100の走行速度(車速)を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置50は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置50は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の車速Vを取得する。
【0028】
ECU90は、取得した操舵角θ、ドライバー入力トルクTQd及び車速Vに基づいて要求操舵トルクを演算により取得する。要求操舵トルクは、操舵装置23に出力が要求されている操舵トルクである。ECU90は、後述する車線逸脱防止制御を実行する場合を除き、要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0029】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、画像センサ61及び電波センサ62を備えている。画像センサ61は、例えば、カメラである。電波センサ62は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)である。尚、周辺情報検出装置60は、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサやレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサを備えていてもよい。
【0030】
<画像センサ>
画像センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ61は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0031】
<電波センサ>
電波センサ62は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ62は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ62は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ62は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報)に基づいて自車両100の周辺に存在する構造物等の物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0032】
<警報装置>
警報装置80は、自車両100が自車線LNから逸脱する可能性があることを運転者に知らせるための装置であり、本例においては、表示装置81、音響装置82及び振動装置83を備えている。
【0033】
<表示装置>
表示装置81は、画像を表示する装置であり、例えば、コンビネーションメータやヘッドアップディスプレイ(HUD)等のヒューマンマシーンインターフェース(HMI)である。表示装置81は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、表示装置81に各種画像を表示させることができる。
【0034】
<音響装置>
音響装置82は、アナウンス等の音声やブザー音等の電子音を出力する装置であり、例えば、スピーカーやブザーである。音響装置82は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、音響装置82から各種音声又は各種電子音を出力させることができる。
【0035】
<振動装置>
振動装置83は、運転者に対して振動を与える装置であり、例えば、ハンドル35や運転席の座席に内蔵されたバイブレータである。振動装置83は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、振動装置83を作動させることにより運転者に振動を与えることができる。
【0036】
<車線逸脱防止装置の作動>
次に、車線逸脱防止装置10の作動について説明する。車線逸脱防止装置10は、図2に示したように自車両100が走行しているときに、自車両100が自車線LNから逸脱する可能性があると判断した場合、自車両100が自車線LNから逸脱することを防止するために車線逸脱防止制御を実行するようになっている。本例において、車線逸脱防止制御は、警報制御及び操舵制御を含んでいる。
【0037】
警報制御は、自車両100が自車線LNを逸脱する可能性があることを自車両100の運転者に知らせるための警報を行う制御である。本例において、警報制御による警報は、自車両100が自車線LNから逸脱する可能性があることを表す画像の表示装置81での表示及び/又はランプの表示装置81での点灯、自車両100が自車線LNから逸脱する可能性があることを表す音声の音響装置82からの出力及び/又はブザー音の音響装置82からの出力、並びに、振動装置83によるハンドル35及び/又は運転席の座席の振動の少なくとも1つによりなされる。
【0038】
又、操舵制御は、ハンドル35に対する運転者による操舵操作がなくても、自車両100を自律的に操舵して自車両100が自車線LNから逸脱することを防止する自律操舵を行う制御である。
【0039】
これら警報制御及び操舵制御について、図3に示したフローチャートを参照しながら、より詳細に説明する。車線逸脱防止装置10は、図3に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車線逸脱防止装置10は、図3に示したルーチンのステップ300から処理を開始し、その処理をステップ305に進め、警報開始ライン距離DA及び操舵開始ライン距離DSを取得する。
【0040】
図4の(A)に示したように、車線逸脱防止装置10は、警報制御を開始するか否か(警報制御の実行の要否)を判定するために用いる警報開始ラインLAを設定し、又、操舵制御を開始するか否か(操舵制御の実行の要否)を判定するために用いる操舵開始ラインLSを設定する。
【0041】
警報開始ラインLAは、左側警報開始ラインLAL及び右側警報開始ラインLARであり、左側警報開始ラインLALは、自車線LNの左側の端(例えば、左側区画線200L)に沿って延びるラインであり、右側警報開始ラインLARは、自車線LNの右側の端(例えば、右側区画線200R)に沿って延びるラインである。図4の(A)に示した警報開始ラインLAは、左側警報開始ラインLALである。
【0042】
尚、車線逸脱防止装置10は、周辺検出情報ISに基づいて左側区画線200L及び右側区画線200Rを取得する。
【0043】
本例においては、自車線LNの端(区画線200)から内側に所定の距離を開けたラインが基準警報開始ラインLAbaseとして予め定められている。より具体的には、自車線LNの左側の端(左側区画線200L)から内側に所定の距離を開けたラインが基準左側警報開始ラインLALbaseとして予め定められており、自車線LNの右側の端(右側区画線200R)から内側に所定の距離を開けたラインが基準右側警報開始ラインLARbaseとして予め定められている。
【0044】
車線逸脱防止装置10は、基準警報開始ラインLAbaseを基準として警報開始ラインLAを設定する。より具体的には、車線逸脱防止装置10は、基準左側警報開始ラインLALbaseを基準として左側警報開始ラインLALを設定し、基準右側警報開始ラインLARbaseを基準として右側警報開始ラインLARを設定する。警報開始ラインLAの設定については、後に詳しく説明する。図4の(A)に示した左側警報開始ラインLALは、基準左側警報開始ラインLALbaseをそのまま左側警報開始ラインLALとして設定したときのものである。
【0045】
警報開始ライン距離DAは、図4の(B)に示したように、自車両100と警報開始ラインLAとの間の距離である。より具体的には、警報開始ライン距離DAは、左側警報開始ライン距離DAL及び右側警報開始ライン距離DARであり、左側警報開始ライン距離DALは、自車両100の左前端部と左側警報開始ラインLALとの間の距離であり、右側警報開始ライン距離DARは、自車両100の右前端部と右側警報開始ラインLARとの間の距離である。
【0046】
操舵開始ラインLSは、左側操舵開始ラインLSL及び右側操舵開始ラインLSRであり、左側操舵開始ラインLSLは、自車線LNの左側の端(例えば、左側区画線200L)に沿って延びるラインであり、右側操舵開始ラインLSRは、自車線LNの右側の端(例えば、右側区画線200R)に沿って延びるラインである。図4の(A)に示した操舵開始ラインLSは、左側操舵開始ラインLSLである。
【0047】
本例においては、自車線LNの端(区画線200)上のラインが基準操舵開始ラインLSbaseとして予め定められている。より具体的には、自車線LNの左側の端(左側区画線200L)上のラインが基準左側操舵開始ラインLSLbaseとして予め定められており、自車線LNの右側の端(右側区画線200R)上のラインが基準右側操舵開始ラインLSRbaseとして予め定められている。
【0048】
車線逸脱防止装置10は、基準操舵開始ラインLSbaseを基準として操舵開始ラインLSを設定する。より具体的には、車線逸脱防止装置10は、基準左側操舵開始ラインLSLbaseを基準として左側操舵開始ラインLSLを設定し、基準右側操舵開始ラインLSRbaseを基準として右側操舵開始ラインLSRを設定する。操舵開始ラインLSの設定については、後に詳しく説明する。図4の(A)に示した左側操舵開始ラインLSLは、基準左側操舵開始ラインLSLbaseをそのまま左側操舵開始ラインLSLとして設定したときのものである。
【0049】
操舵開始ライン距離DSは、図4の(B)に示したように、自車両100と操舵開始ラインLSとの間の距離である。より具体的には、操舵開始ライン距離DSは、左側操舵開始ライン距離DSL及び右側操舵開始ライン距離DSRであり、左側操舵開始ライン距離DSLは、自車両100の左前端部と左側操舵開始ラインLSLとの間の距離であり、右側操舵開始ライン距離DSRは、自車両100の右前端部と右側操舵開始ラインLSRとの間の距離である。
【0050】
次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ310に進め、警報開始条件が成立しているか否かを判定する。警報開始条件は、警報開始ライン距離DAがゼロ以下であるとの条件である。従って、図5の(A)に示したように、自車両100が警報開始ラインLAに達したとき、車線逸脱防止装置10は、警報開始条件が成立したと判定し、その後、自車両100が警報開始ラインLAを越えている間、警報開始条件が成立していると判定する。
【0051】
警報開始条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ310にて「Yes」と判定し、処理をステップ315に進め、警報制御を実行する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ320に進め、操舵開始条件が成立しているか否かを判定する。操舵開始条件は、操舵開始ライン距離DSがゼロ以下であるとの条件である。従って、図5の(B)に示したように、自車両100が操舵開始ラインLSに達したとき、車線逸脱防止装置10は、操舵開始条件が成立したと判定し、その後、自車両100が自車線LNに戻されるまでの間、操舵開始条件が成立していると判定する。
【0052】
操舵開始条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ320にて「Yes」と判定し、処理をステップ325に進め、操舵制御を実行する。これにより、図6に示したように、自車両100が自律的に操舵されて自車線LN内に戻される。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0053】
一方、操舵開始条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ320にて「No」と判定し、処理をステップ330に進め、その時点で操舵制御を実行している場合、操舵制御を終了する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0054】
又、警報開始条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ310にて「No」と判定し、処理をステップ335に進め、その時点で警報制御を実行している場合、警報制御を終了する。又、車線逸脱防止装置10は、その時点で操舵制御を実行している場合、操舵制御も終了する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0055】
尚、車線逸脱防止装置10は、操舵制御を実行しているとき、警報制御も実行するように構成されているが、操舵制御を開始したときに警報制御を終了するように構成されてもよい。
【0056】
<警報開始ライン及び操舵開始ラインの設定>
次に、警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSの設定について説明する。図7に示したように、自車線LNの右側区画線200R上にポールのような一定の高さのある構造物250が設置されていることがあり、その場合、運転者が自車両100をその構造物250から離れるように左側に寄せて走行させることがある。同様に、図8に示したように、自車線LNの右側区画線200Rの右側近傍に中央分離帯を区画するガードレールのような一定の高さのある構造物250が設置されていることもあり、その場合も、運転者が自車両100をその構造物250から離れるように左側に寄せて走行させることがある。
【0057】
このように自車両100が左側に寄って走行している場合、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseがそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定されていると、自車両100が左側警報開始ラインLALや左側操舵開始ラインLSLに達しやすく、車線逸脱防止制御が実行されやすくなる。
【0058】
しかしながら、自車両100が左側に寄って走行しているのは、運転者の意思によるものであるので、図7及び図8に示した状況において自車両100が左側警報開始ラインLALや左側操舵開始ラインLSLに達したからといって車線逸脱制御が実行されると、不要に車線逸脱某地制御が実行されることになってしまう。
【0059】
こうした車線逸脱防止制御の不要な実行を回避するための対策として、自車線LNの右側区画線200R上又はその近傍に一定の高さのある構造物250が設置されている場合、左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLを自車両100から離れる方向へずらして設定することにより自車両100が左側に寄って走行しても左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLに達しづらくするといった対策が考えられる。
【0060】
即ち、自車線LNの左側区画線200L上又はその近傍に一定の高さのある構造物が設置されている場合を含めて一般化して言えば、車線逸脱防止制御の不要な実行を回避するための対策として、自車線LNの一方の側の区画線200上又はその近傍に一定の高さのある構造物が設置されている場合、警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSを自車線LNの他方の側へ自車両100から離れるようにずらして設定することにより自車両100が自車線LNの他方の側に寄って走行しても自車両100が警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSに達しづらくするといった対策が考えられる。
【0061】
しかしながら、例えば、図9に示したように、左後方から自車両100に他車両150が接近してきているときに自車両100から離れる方向へずらして左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLを設定してしまうと、自車両100が更に左側に寄ることができてしまい、その結果、自車両100に他車両150が接触してしまう可能性があり、好ましくない。同様に、図10に示したように、自車線LNの左側の車線を走行している他車両150が後方から自車両100に接近していているときにも自車両100から離れる方向へずらして警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSを設定してしまうと、自車両100が更に左側に寄ることができてしまい、その結果、自車両100に他車両150が接触してしまう可能性があり、好ましくない。
【0062】
即ち、自車線LNの左側区画線200L上又はその近傍に一定の高さのある構造物が設置されている場合を含めて一般化して言えば、自車線LNの他方の側の後方から自車両100に接近してきている他車両150等の物体が存在するときに自車線LNの他方の側に自車両100から離れる方向へずらして警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSを設定してしまうと、自車両100に物体が接触してしまう可能性があり、好ましくない。
【0063】
そこで、車線逸脱防止装置10は、自車線LNの一方の側の区画線200上又はその近傍に一定の高さのある構造物が設定されている場合、自車線LNの他方の側に存在する物体に自車両100が接触することを防止しつつ、自車両100が自車線LNの他方の側に寄って走行しても、警報制御及び操作制御の不要な実行を回避することができるように警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSを設定するようになっている。
【0064】
次に、車線逸脱防止装置10による警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSの設定について、図11に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
車線逸脱防止装置10は、図11に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車線逸脱防止装置10は、図11に示したルーチンのステップ1100から処理を開始し、その処理をステップ1105に進め、構造物条件が成立しているか否かを判定する。
【0066】
構造物条件は、構造物距離Wが所定の距離(構造物距離閾値Wth)以下であり且つ構造物高さHが所定の高さ(構造物高さ閾値Hth)以上であるとの条件であるが、構造物距離Wが構造物距離閾値Wth以下であり且つ構造物仰角θeが所定の仰角(構造物仰角閾値θe_th)以上であるとの条件であってもよい。
【0067】
構造物距離Wは、構造物250から自車線LNまでの距離であり、より具体的には、自車線LN側の構造物250の壁面と構造物250側の区画線200の端部との間の距離である。従って、構造物距離Wは、図12に示したように、構造物250が自車線LNの右側に存在する場合、自車線LN側の構造物250の壁面と右側区画線200Rの右端部ERとの間の距離であり、構造物250が自車線LNの左側に存在する場合、自車線LN側の構造物250の壁面と左側区画線200Lの左端部との間の距離である。
【0068】
又、構造物高さHは、構造物250の高さであり、本例においては、図12に示したように、自車両100が走行する道路の路面からの構造物250の高さである。
【0069】
又、構造物仰角θeは、自車線LNからの構造物250の上端部EUの仰角であり、より具体的には、自車両100の進行方向に対して垂直な鉛直平面で見たときに、「自車両100が走行している道路の路面に沿ったライン」と「構造物250側の区画線200の構造物250側の端部と自車両100が走行している道路側の構造物250の壁面の上端部EUとを結ぶライン」とがなす角度である。例えば、図13に示した例においては、構造物仰角θeは、「自車両100が走行している道路の路面に沿ったラインL1」と「右側区画線200Rの右端部ERと自車両100が走行している道路側の構造物250の壁面の上端部EUとを結ぶラインL2」とがなす角度である。尚、本例において、構造物仰角θeは、構造物距離W及び構造物高さHに基づいて取得される。
【0070】
車線逸脱防止装置10は、周辺検出情報ISに基づいて構造物250を検出し、周辺検出情報ISに基づいて構造物距離W、構造物高さH及び構造物仰角θeを取得する。
【0071】
構造物条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ1105にて「Yes」と判定し、処理をステップ1110に進め、反対側注意条件が成立しているか否かを判定する。
【0072】
反対側注意条件は、自車両100に対して構造物が設定されている側とは反対側の区画線200を越えたところに自車両100が接触する可能性のある物体が存在するとの条件である。車線逸脱防止装置10は、周辺検出情報ISに基づいて物体を検出する。
【0073】
反対側注意条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ1110にて「Yes」と判定し、処理をステップ1115に進め、オフセット量ΔDを比較的小さい所定の量(小オフセット量ΔDsmall)に設定する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1130に進め、基準警報開始ラインLAbase及び基準操舵開始ラインLSbaseをオフセット量ΔDだけ構造物250が設置されている側とは反対側に自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSとして設定する。
【0074】
より具体的には、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1130に進めると、自車線LNの右側区画線200R上又はその近傍に設置されている場合には、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseをオフセット量ΔDだけ自車両100から左側に自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定する。一方、車線逸脱防止装置10は、自車線LNの左側区画線200L上又はその近傍に設置されている場合には、基準右側警報開始ラインLARbase及び基準右側操舵開始ラインLSRbaseをオフセット量ΔDだけ自車両100から右側に自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ右側警報開始ラインLAR及び右側操舵開始ラインLSRとして設定する。
【0075】
従って、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1115からステップ1130に進めた場合、基準警報開始ラインLAbase及び基準操舵開始ラインLSbaseを小オフセット量ΔDsmallだけ構造物250が設置されている側とは反対側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSとして設定する。
【0076】
例えば、図14に示したように、自車線LNの右側区画線200R上に構造物250(ポール)が設定されていて構造物条件が成立しており且つ自車両100の左後方から他車両150が自車両100に接近してきていて反対側注意条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseを小オフセット量ΔDsmallだけ自車両100から左側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定する。
【0077】
同様に、図15に示したように、自車線LNの右側区画線200Rの右側近傍に構造物250(ガードレール)が設定されていて構造物条件が成立しており且つ自車両100の左後方から他車両150が自車両100に接近してきていて反対側注意条件が成立している場合、車線逸脱防止装置10は、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseを小オフセット量ΔDsmallだけ自車両100から左側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定する。
【0078】
車線逸脱防止装置10は、ステップ1130の処理を実行すると、処理をステップ1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0079】
一方、反対側注意条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ1110にて「No」と判定し、処理をステップ1120に進め、オフセット量ΔDを比較的大きい所定の量、即ち、小オフセット量ΔDsmallよりも大きい所定の量(大オフセット量ΔDlarge)に設定する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1130に進め、基準警報開始ラインLAbase及び基準操舵開始ラインLSbaseをオフセット量ΔDだけ構造物が設置されている側とは反対側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSとして設定する。
【0080】
従って、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1120からステップ1130に進めた場合、基準警報開始ラインLAbase及び基準操舵開始ラインLSbaseを大オフセット量ΔDlargeだけ構造物250が設置されている側とは反対側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSとして設定する。
【0081】
例えば、図16に示したように、自車線LNの右側区画線200R上に構造物250(ポール)が設定されていて構造物条件が成立しており且つ自車両100の左側に自車両100が接触する可能性のある物体が存在せず、反対側注意条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseを大オフセット量ΔDlargeだけ左側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定する。
【0082】
同様に、図17に示したように、自車線LNの右側区画線200Rの右側近傍に構造物250(ガードレール)が設定されていて構造物条件が成立しており且つ自車両100の左側に自車両100が接触する可能性のある物体が存在せず、反対側注意条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、基準左側警報開始ラインLALbase及び基準左側操舵開始ラインLSLbaseを大オフセット量ΔDlargeだけ左側へ自車両100から離れる方向へずらしたラインをそれぞれ左側警報開始ラインLAL及び左側操舵開始ラインLSLとして設定する。
【0083】
車線逸脱防止装置10は、ステップ1130の処理を実行すると、処理をステップ1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0084】
又、構造物条件が成立していない場合、車線逸脱防止装置10は、ステップ1105にて「No」と判定し、処理をステップ1125に進め、オフセット量ΔDをゼロに設定する。次いで、車線逸脱防止装置10は、処理をステップ1130に進め、警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSを設定するが、このとき、処理をステップ1125からステップ1130に進めており、オフセット量ΔDがゼロである。従って、車線逸脱防止装置10は、基準警報開始ラインLAbase及び基準操舵開始ラインLSbaseをそれぞれ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSとして設定する。
【0085】
車線逸脱防止装置10は、ステップ1130の処理を実行すると、処理をステップ1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0086】
<効果>
車線逸脱防止装置10によれば、自車線LNの一方の側に構造物が設置されている場合、警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSが自車線LNの他方の側に自車両100から離れる方向へずらされて設定され、しかも、このとき、自車線LNの他方の側の区画線200を越えたところに自車両100が接触する可能性のある物体が存在する場合、そうした物体が存在しない場合に比べ、自車線LNの他方の側に自車両100から離れる方向へ警報開始ラインLA及び操舵開始ラインLSがずらされる量(オフセット量ΔD)が小さい。このため、自車線LNの一方の側に構造物が設置されている場合において、自車線LNの他方の側に存在する物体に自車両100が接触することを防止しつつ、自車両100が自車線LNの他方の側に寄って走行したときの車線逸脱某地制御の不要な実行を回避することができる。
【0087】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0088】
10…車線逸脱防止装置、23…操舵装置、60…周囲情報検出装置、61…画像センサ、62…電波センサ、80…警報装置、81…表示装置、82…音響装置、83…振動装置、90…ECU、100…自車両、200…区画線、250…構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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