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  • 特許-内燃機関のシリンダヘッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】内燃機関のシリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/24 20060101AFI20241203BHJP
   F01L 1/04 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F02F1/24 R
F02F1/24 J
F01L1/04 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021176534
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2023066044
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】勝本 晃広
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-148149(JP,A)
【文献】特開2013-079623(JP,A)
【文献】実開平04-107404(JP,U)
【文献】特開2004-300931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/24
F01L 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された第1カムシャフトと、第2カムシャフトとを、カムシャフトハウジングに複数のカムキャップを締結して支持している内燃機関のシリンダヘッドであり、
複数の挿通孔のそれぞれにインジェクタを挿通させて前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトとの間に、先端が各燃焼室に臨むように複数のインジェクタを固定するインジェクタホルダを備え、
各々の前記カムキャップが、前記第1カムシャフトのジャーナルを支持する第1軸受部と前記第2カムシャフトのジャーナルを支持する第2軸受部とを備えており、
前記複数のカムキャップが、前記第1カムシャフト及び前記第2カムシャフトにおいて軸方向に間隔をあけて配置されている複数のジャーナルの位置に合わせて前記軸方向において間隔を空けて前記カムシャフトハウジングに締結されており、
前記インジェクタホルダが、前記各カムキャップに対して1箇所ずつ締結されており、前記各カムキャップとの締結箇所は、前記軸方向の一方から他方に向かう方向における順番において奇数番目の前記締結箇所が前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトの中間点よりも前記第1カムシャフト側に位置し、偶数番目の前記締結箇所が前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトの中間点よりも前記第2カムシャフト側に位置している
内燃機関のシリンダヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内燃機関のシリンダヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関におけるカムシャフトの保持構造が開示されている。この保持構造においては、シリンダヘッドに、カムシャフトのジャーナルを支持する半円状の軸受部が設けられている。カムキャップにもカムシャフトのジャーナルを支持する半円状のキャップ側軸受部が設けられている。この軸受部内にジャーナルが位置するようにカムシャフトが載置される。軸受部にカムシャフトを載置した状態で、シリンダヘッドに、カムキャップを締結する。これにより、軸受部とキャップ側軸受部とでカムシャフトのジャーナルを保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-024980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各燃焼室内での燃焼ガスの膨張により、吸気バルブ及び排気バルブに荷重が作用する。そして、吸気バルブ及び排気バルブを介してカムシャフトに荷重が伝わる。カムシャフトに伝わった荷重は、カムシャフトを支持しているカムキャップにも作用する。この荷重によってカムキャップが傾くと、ジャーナルが摩耗しやすくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための内燃機関のシリンダヘッドは、平行に配置された第1カムシャフトと、第2カムシャフトとを、カムシャフトハウジングに複数のカムキャップを締結して支持している。このシリンダヘッドは、複数の挿通孔のそれぞれにインジェクタを挿通させて前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトとの間に、先端が各燃焼室に臨むように複数のインジェクタを固定するインジェクタホルダを備えている。そして、各々の前記カムキャップが、前記第1カムシャフトのジャーナルを支持する第1軸受部と前記第2カムシャフトのジャーナルを支持する第2軸受部とを備えている。また、前記複数のカムキャップが、前記第1カムシャフト及び前記第2カムシャフトにおいて軸方向に間隔をあけて配置されている複数のジャーナルの位置に合わせて前記軸方向において間隔を空けて前記カムシャフトハウジングに締結されている。前記インジェクタホルダが、前記各カムキャップに対して1箇所ずつ締結されている。そして、前記各カムキャップとの締結箇所は、前記軸方向の一方から他方に向かう方向における順番において奇数番目の前記締結箇所が前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトの中間点よりも前記第1カムシャフト側に位置し、偶数番目の前記締結箇所が前記第1カムシャフトと前記第2カムシャフトの中間点よりも前記第2カムシャフト側に位置している。
【0006】
上記構成では、第1カムシャフト及び第2カムシャフトの軸方向に間隔をあけて複数のカムキャップが配置されている。そして、各カムキャップは、インジェクタホルダによって連結されている。そのため、第1カムシャフト及び第2カムシャフトを介して作用する荷重に対して各カムキャップが傾きにくくなる。なお、上記構成では、各カムキャップとインジェクタホルダとの締結箇所を一箇所ずつにしている。そして、複数の締結箇所を第1カムシャフトと第2カムシャフトとの中間点を跨ぐようにジグザグに配置している。
【0007】
これにより、締結箇所の数を最小限に絞って全てのカムキャップを連結している。また、締結箇所を一直線に並べる場合と比較してより広い範囲に荷重を分散させることを実現している。
【0008】
すなわち、上記構成によれば、インジェクタホルダを利用して、重量やコストの増大を避けながら、カムキャップの傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態にかかるシリンダヘッドを備えたエンジンの正面図である。
図2図2は、実施形態のシリンダヘッドにおけるカムシャフトハウジング及びインジェクタホルダの上面図である。
図3図3は、カムシャフトハウジングとインジェクタホルダとの分解斜視図である。
図4図4は、カムシャフトハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、内燃機関のシリンダヘッドの一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
<エンジン100の構成>
図1はシリンダヘッド20を備えたエンジン100の正面図である。なお、このエンジン100は、直列4気筒エンジンである。図1に示すように、シリンダヘッド20は、シリンダブロック10の上部に固定されている。そして、シリンダブロック10の下部には、オイルパン30が固定されている。また、シリンダブロック10の下部には、クランクシャフト11が収容されている。クランクシャフト11の一端には、スプロケット12が固定されている。シリンダヘッド20の上部には、シリンダヘッド20の上部の開口を覆うヘッドカバー40が固定されている。
【0011】
<シリンダヘッド20の構成>
シリンダヘッド20は、シリンダヘッド本体21と、カムシャフトハウジング22と、を組み合わせて構成されている。シリンダヘッド本体21は、吸気バルブと排気バルブを収容している。シリンダヘッド本体21は、シリンダブロック10の上部に固定されている。これにより、シリンダヘッド本体21は、エンジン100の各気筒の燃焼室の天井を構成する。
【0012】
カムシャフトハウジング22には、吸気カムシャフト23と、排気カムシャフト25と、が収容されている。吸気カムシャフト23の端部には吸気側バルブタイミング変更機構27が取り付けられている。排気カムシャフト25の端部には排気側バルブタイミング変更機構28が取り付けられている。吸気側バルブタイミング変更機構27及び排気側バルブタイミング変更機構28は、それぞれがスプロケットになっている。
【0013】
図1に示すように、これらバルブタイミング変更機構27,28と、スプロケット12と、にはタイミングチェーン50が巻き掛けられている。これにより、クランクシャフト11が回転すると、クランクシャフト11の回転に連動して吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト25も回転する。なお、このエンジン100においては、タイミングチェーン50が設けられている面がエンジン100の正面になっている。そして、このエンジン100においては、この正面をエンジン100のフロントと称し、背面をエンジン100のリヤと称する。すなわち、図1は、エンジン100を、フロント側からリヤ側に向かって見た正面図である。このエンジン100では、機関運転に伴い、タイミングチェーン50が図1における反時計回りに回転する。すなわち、クランクシャフト11及び吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト25も反時計回りに回転する。
【0014】
<カムシャフトハウジング22の構成>
図2図4に示すように、カムシャフトハウジング22は、リヤ側の側壁である後壁227と、一対の側壁228,229を備えている。一対の側壁228,229のうち、フロント側からリヤ側に向かってエンジン100を見たときに右側に位置する側壁229が右側壁229である。そして、一対の側壁228,229のうち、フロント側からリヤ側に向かってエンジン100を見たときに左側に位置する側壁228が左側壁228である。
【0015】
図4に示すように、カムシャフトハウジング22の右側壁229と左側壁228との間には、5本の横フレーム221~225が掛け渡されている。5本の横フレーム221~225は、フロント側からリヤ側に向かって順に、第1横フレーム221、第2横フレーム222、第3横フレーム223、第4横フレーム224、第5横フレーム225である。横フレーム221~225の各々には、第1軸受部237と、第2軸受部238と、が設けられている。
【0016】
第1軸受部237は、第1カムシャフトである排気カムシャフト25のジャーナルを支持する半円状の窪みである。そして、第2軸受部238は、第2カムシャフトである吸気カムシャフト23のジャーナルを支持する半円状の窪みである。
【0017】
図3及び図4に示すように、排気カムシャフト25には、各気筒に対して2つずつ合計8つの排気カム26が設けられている。排気カム26は、気筒毎に対にして、排気カムシャフト25の軸方向に間隔をあけて設けられている。同様に、吸気カムシャフト23には、各気筒に対して2つずつ合計8つの吸気カム24が設けられている。吸気カム24は、気筒毎に対にして、吸気カムシャフト23の軸方向に間隔をあけて設けられている。また、図2に示すように、吸気カムシャフト23には、吸気カム24の他に、高圧燃料ポンプを駆動するポンプカム29が設けられている。
【0018】
第1気筒に対応する2つの吸気カム24及び2つの排気カム26が第1横フレーム221と第2横フレーム222との間に位置している。そして、第2気筒に対応する2つの吸気カム24及び2つの排気カム26が第2横フレーム222と第3横フレーム223との間に位置している。第3気筒に対応する2つの吸気カム24及び排気カム26が第3横フレーム223と第4横フレーム224との間に位置している。第4気筒に対応する2つの吸気カム24及び2つの排気カム26が第4横フレーム224と第5横フレーム225との間に位置している。このように、気筒毎に対になった2つの吸気カム24及び2つの排気カム26を挟むように、5本の横フレーム221~225は、ほぼ等間隔に設けられている。
【0019】
また、図4に示すように、カムシャフトハウジング22には、縦フレーム226が設けられている。縦フレーム226は、吸気カムシャフト23と排気カムシャフト25との間に、これら吸気カムシャフト23と排気カムシャフト25と平行に延びるように設けられている。縦フレーム226は、後壁227から第1横フレーム221まで延びており、後壁227と横フレーム221~225を繋いでいる。これによりカムシャフトハウジング22が補強されている。
【0020】
図2図4に示すように、横フレーム221~225には、5つのカムキャップ241~245がボルト250で固定されている。5つのカムキャップ241~245は、フロント側からリヤ側に向かって順に、第1カムキャップ241、第2カムキャップ242、第3カムキャップ243、第4カムキャップ244、第5カムキャップ245である。カムキャップ241~245の各々には、第1キャップ側軸受部247と、第2キャップ側軸受部248と、が設けられている。
【0021】
第1キャップ側軸受部247は、第1軸受部237と組み合わされて、排気カムシャフト25のジャーナルを支持する半円状の窪みである。そして、第2キャップ側軸受部248は、第2軸受部238と組み合わされて、吸気カムシャフト23のジャーナルを支持する半円状の窪みである。
【0022】
第1横フレーム221には、第1カムキャップ241がボルト250で締結されている。第2横フレーム222には、第2カムキャップ242がボルト250で締結されている。第3横フレーム223には、第3カムキャップ243がボルト250で締結されている。第4横フレーム224には、第4カムキャップ244がボルト250で締結されている。そして、第5横フレーム225には、第5カムキャップ245がボルト250で締結されている。すなわち、カムキャップ241~245は、排気カムシャフト25及び吸気カムシャフト23のジャーナルの位置に合わせて間隔を空けてカムシャフトハウジング22に締結されている。こうしてカムシャフトハウジング22には、吸気カムシャフト23と排気カムシャフト25とが平行に並べて支持されている。
【0023】
<インジェクタホルダ260の構成>
図2に示すように、カムシャフトハウジング22の上部には、インジェクタホルダ260が取り付けられている。インジェクタホルダ260には、インジェクタを挿通させて固定する4つのインジェクタ挿通孔268が設けられている。インジェクタ挿通孔268に挿入されたインジェクタは、吸気カムシャフト23と排気カムシャフト25の間を通って先端がシリンダヘッド本体21に到達する。そして、先端が燃焼室に臨むように、インジェクタホルダ260に固定される。インジェクタホルダ260は、こうして4つのインジェクタを、各気筒の燃焼室に臨むようにシリンダヘッド20に固定するホルダである。
【0024】
図3に示すように、インジェクタホルダ260は、6つのボルト251~256によってカムシャフトハウジング22に締結されている。インジェクタホルダ260には、インジェクタホルダ260を貫通している6つのボルト挿通孔261~266が設けられている。カムキャップ241~245には、ボルト251~255が螺合するボルト孔231~235が設けられている。
【0025】
インジェクタホルダ260を取り付ける際には、第1ボルト251を第1ボルト挿通孔261に挿通させ、第1カムキャップ241の第1ボルト孔231に螺合させる。これにより、第1カムキャップ241とインジェクタホルダ260とが締結される。以下、この第1ボルト251による第1カムキャップ241とインジェクタホルダ260との締結箇所を第1締結箇所X1と称する。
【0026】
インジェクタホルダ260を取り付ける際には、第2ボルト252を第2ボルト挿通孔262に挿通させ、第2カムキャップ242の第2ボルト孔232に螺合させる。これにより、第2カムキャップ242とインジェクタホルダ260とが締結される。以下、この第2ボルト252による第2カムキャップ242とインジェクタホルダ260との締結箇所を第2締結箇所X2と称する。
【0027】
インジェクタホルダ260を取り付ける際には、第3ボルト253を第3ボルト挿通孔263に挿通させ、第3カムキャップ243の第3ボルト孔233に螺合させる。これにより、第3カムキャップ243とインジェクタホルダ260とが締結される。以下、この第3ボルト253による第3カムキャップ243とインジェクタホルダ260との締結箇所を第3締結箇所X3と称する。
【0028】
インジェクタホルダ260を取り付ける際には、第4ボルト254を第4ボルト挿通孔264に挿通させ、第4カムキャップ244の第4ボルト孔234に螺合させる。これにより、第4カムキャップ244とインジェクタホルダ260とが締結される。以下、この第4ボルト254による第4カムキャップ244とインジェクタホルダ260との締結箇所を第4締結箇所X4と称する。
【0029】
インジェクタホルダ260を取り付ける際には、第5ボルト255を第5ボルト挿通孔265に挿通させ、第5カムキャップ245の第5ボルト孔235に螺合させる。これにより、第5カムキャップ245とインジェクタホルダ260とが締結される。以下、この第5ボルト255による第5カムキャップ245とインジェクタホルダ260との締結箇所を第5締結箇所X5と称する。
【0030】
また、後壁227には、第6ボルト256が螺合するボルト孔236が設けられている。
第6ボルト256を第6ボルト挿通孔266に挿通させ、後壁227の第6ボルト孔236に螺合させることにより、後壁227とインジェクタホルダ260とが締結されている。以下、この第6ボルト256による後壁227とインジェクタホルダ260との締結箇所を第6締結箇所X6と称する。
【0031】
このように、インジェクタホルダ260は、6箇所の締結箇所X1~X6においてカムシャフトハウジング22と締結されている。
図2には、カムシャフトハウジング22に取り付けられた排気カムシャフト25の中心軸が一点鎖線C1で示されている。また、吸気カムシャフト23の中心軸が一点鎖線C2で示されている。
【0032】
6箇所の締結箇所X1~X6は、一点鎖線C1、C2の延伸方向に沿ってフロント側からリヤ側に向かう方向において、第1、第2、第3、第4、第5、第6の順に並んでいる。
【0033】
図2には、一点鎖線C1及び一点鎖線C2と等しい距離にある仮想線を二点鎖線C3で示している。すなわち、二点鎖線C3は、排気カムシャフト25と吸気カムシャフト23との中間点を結んだ線である。
【0034】
図2に示すように、このシリンダヘッド20において、第1締結箇所X1と第3締結箇所X3と第5締結箇所X5は、二点鎖線C3よりも右側壁229側に位置している。すなわち、第1カムキャップ241における第1ボルト孔231は、第1キャップ側軸受部247側に偏った位置に設けられている。そして、第3カムキャップ243における第3ボルト孔233も、第5カムキャップ245における第5ボルト孔235も、同様に第1キャップ側軸受部247側に偏った位置に設けられている。
【0035】
そして、第2締結箇所X2と第4締結箇所X4は、二点鎖線C3よりも左側壁228側に位置している。すなわち、第2カムキャップ242における第2ボルト孔232は、第2キャップ側軸受部248側に偏った位置に設けられている。そして、第4カムキャップ244における第4ボルト孔234も、同様に第2キャップ側軸受部248側に偏った位置に設けられている。
【0036】
このように、このシリンダヘッド20においては、インジェクタホルダ260が、カムキャップ241~245に対して1箇所ずつ締結されている。そして、締結箇所X1~X5は、フロント側からリヤ側に向かう方向における順番において奇数番目の締結箇所X1、X3、X5が二点鎖線C3よりも排気カムシャフト25側に位置している。そして、偶数番目の締結箇所X2、X4が二点鎖線C3よりも吸気カムシャフト23側に位置している。
【0037】
<作用>
カムキャップ241~245は、排気カムシャフト25及び吸気カムシャフト23の軸方向に間隔をあけて配置されている。そして、カムキャップ241~245は、インジェクタホルダ260によって連結されている。そのため、排気カムシャフト25及び吸気カムシャフト23を介して作用する荷重に対して各カムキャップが傾きにくくなっている。
【0038】
なお、上記の構成では、各カムキャップとインジェクタホルダ260との締結箇所の数を一箇所ずつにしている。そして、締結箇所X1~X5が、排気カムシャフト25と吸気カムシャフト23との中間点を跨ぐようにジグザグに配置されている。
【0039】
<効果>
・締結箇所の数を最小限に絞って全てのカムキャップ241~245を連結している。また、締結箇所X1~X5を一直線に並べる場合と比較してより広い範囲に荷重を分散させることを実現している。
【0040】
すなわち、上記構成によれば、インジェクタホルダ260を利用して、重量やコストの増大を避けながら、カムキャップ241~245の傾きを抑制することができる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
・カムシャフトハウジング22の構成は、適宜変更可能である。例えば、横フレームの数はエンジン100の気筒の数に合わせて変更してよい。すなわち、カムキャップの数も気筒の数に合わせて変更してよい。カムキャップの数を変更した場合であっても、各カムキャップとインジェクタホルダ260の締結箇所が、ジグザグに配置されていれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、カムシャフトの軸方向の一方から他方に向かう方向における順番において奇数番目の締結箇所が一方のカムシャフト側に位置し、偶数番目の締結箇所が他方のカムシャフト側に位置していればよい。すなわち、上記の実施形態と同様の構成は、4気筒エンジンに限らず、3気筒エンジンや、5気筒以上のエンジンにも適用できる。また、V型エンジンなどのマルチバンクエンジンの各バンクにおいて、上記の実施形態と同様の構成を適用することもできる。
【0042】
・上記実施形態では、第1カムシャフトが排気カムシャフト25であり、第2カムシャフトが吸気カムシャフト23である例を示した。第1カムシャフトが吸気カムシャフト23であり、第2カムシャフトが排気カムシャフト25であってもよい。この場合でも、カムシャフトの軸方向の一方から他方に向かう方向における順番において奇数番目の締結箇所が一方のカムシャフト側に位置し、偶数番目の締結箇所が他方のカムシャフト側に位置していれば、締結箇所はジグザグに配置されることになる。
【0043】
・上記実施形態では、フロント側からリヤ側に向かう方向における順番で締結箇所の順番を決定したが、リヤ側からフロント側に向かう方向における順番で締結箇所の順番を決定してもよい。この場合でも、カムシャフトの軸方向の一方から他方に向かう方向における順番において奇数番目の締結箇所が一方のカムシャフト側に位置し、偶数番目の締結箇所が他方のカムシャフト側に位置していれば、締結箇所はジグザグに配置されることになる。
【符号の説明】
【0044】
20…シリンダヘッド
21…シリンダヘッド本体
22…カムシャフトハウジング
23…吸気カムシャフト
25…排気カムシャフト
231…第1ボルト孔
232…第2ボルト孔
233…第3ボルト孔
234…第4ボルト孔
235…第5ボルト孔
236…第6ボルト孔
237…第1軸受部
238…第2軸受部
241…第1カムキャップ
242…第2カムキャップ
243…第3カムキャップ
244…第4カムキャップ
245…第5カムキャップ
247…第1キャップ側軸受部
248…第2キャップ側軸受部
251…第1ボルト
252…第2ボルト
253…第3ボルト
254…第4ボルト
255…第5ボルト
256…第6ボルト
260…インジェクタホルダ
図1
図2
図3
図4