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  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図1
  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図2
  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図3
  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図4
  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図5
  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図6
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  • 特許-半導体パッケージ及び通電用ソケット 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】半導体パッケージ及び通電用ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20241203BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01L23/48 P
H01R33/76 504Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021181364
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069479
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯盛 寛良
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207312(JP,A)
【文献】実開昭58-123579(JP,U)
【文献】特開昭62-024158(JP,A)
【文献】特開昭58-223274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、
前記ステムの上面に実装された半導体素子と、
前記ステムを貫通し、前記半導体素子に電気的に接続された複数のリード端子とを備え、
前記ステムの下面から引き出された前記複数のリード端子の先端が球面状であり、
前記複数のリード端子の先端は球面状のガラスであることを特徴とする半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体パッケージ及び通電用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
CANパッケージなどの半導体パッケージでは、ステムの下面から複数のリード端子が引き出されている。半導体パッケージの電気的特性を測定する際に、半導体パッケージの複数のリード端子を通電用ソケットに挿入する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-313586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リード端子は所望の長さにカットされるため、リード端子の先端は平坦加工されている。従って、リード端子の先端と通電用ソケットのテーパー状の誘い込み部又は平坦部との接触でリード端子に負荷がかかってリード端子が曲がる。通電用ソケットの誘い込み部も摩耗してしまう。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的はリード端子の曲がりと通電用ソケットの摩耗を抑制することができる半導体パッケージ及び通電用ソケットを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体パッケージは、ステムと、前記ステムの上面に実装された半導体素子と、前記ステムを貫通し、前記半導体素子に電気的に接続された複数のリード端子とを備え、前記ステムの下面から引き出された前記複数のリード端子の先端が球面状であり、前記複数のリード端子の先端は球面状のガラスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、ステムから引き出されたリード端子の先端が球面状である。これにより、リード端子を通電用ソケットに挿入する際にリード端子の先端が通電用ソケットの誘い込み部に引っ掛かり難くなる。従って、リード端子への負荷を減らし、リード端子が曲がるのを抑制することができる。また、リード端子の先端と誘い込み部との接触面積が減少するため、通電用ソケットの誘い込み部の摩耗も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体パッケージを示す側面図である。
図2】実施の形態1に係る通電用ソケットを示す断面図である。
図3】半導体パッケージのリード径と通電用ソケットのスリーブの開口径の関係を示す断面図である。
図4】半導体パッケージの電気特性の測定方法を示す側面図である。
図5】半導体パッケージの電気特性の測定方法を示す下面図である。
図6】半導体パッケージの電気特性の測定方法を示す側面図である。
図7】実施の形態2に係る半導体パッケージを示す側面図である。
図8】実施の形態3に係る通電用ソケットを示す上面図である。
図9図8のI-IIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る半導体パッケージ及び通電用ソケットについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体パッケージを示す側面図である。この半導体パッケージはCANパッケージである。レーザーダイオードなどの半導体素子1が金属製のステム2の上面に実装されている。複数のリード端子3がステム2を貫通し、封止ガラスによってステム2に固定されている。半導体素子1はリード端子3にワイヤ等により接続されている。レンズ4付きのキャップ5が半導体素子1を覆うようにステム2の上面に接合されている。
【0011】
ステム2の下面から引き出されたリード端子3の先端に球面状のガラス6が設けられている。ガラス6の球面加工の方法は特に限定されず、例えば切削加工又は金型を用いてもよい。また、リード端子3の先端が球面状に加工されていればよく、リード端子3の先端自体を球面加工してもよい。リード端子3の球面加工の方法は特に限定されず、例えば、切削加工又はプレス加工でもよいし、先端の角部を落とすように面取りしてもよい。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る通電用ソケットを示す断面図である。ソケット本体7は絶縁物からなる。ソケット本体7に複数のスリーブ8が設けられている。スリーブ8は筒状の金属物である。半導体パッケージの電気的特性を測定するための測定機器(不図示)がスリーブ8に電気的に接続されている。ソケット本体7の上面には、複数のスリーブ8の挿入口の周囲にそれぞれテーパー状の誘い込み部9が設けられている。即ち、ソケット本体7の上面において、すり鉢状に凹んだ誘い込み部9の底部にスリーブ8の挿入口が配置されている。ソケット本体7の上面には、隣接する誘い込み部9同士の間に平坦部10が設けられている。
【0013】
半導体パッケージの電気的特性を測定する際に、半導体パッケージの複数のリード端子3を通電用ソケットのスリーブ8に挿入する。図3は、半導体パッケージのリード径と通電用ソケットのスリーブの開口径の関係を示す断面図である。各リード端子3をスリーブ8に挿入して電気的にコンタクトさせるため、リード端子3の直径Dとスリーブ8の開口径Dとの差であるクリアランスはあまりない。そこで、以下に説明するような位置合わせを行う。
【0014】
図4及び図6は、半導体パッケージの電気特性の測定方法を示す側面図である。図5は、半導体パッケージの電気特性の測定方法を示す下面図である。複数のリード端子3の先端の位置は、リード端子3の湾曲によりバラツキがあり、そのままでは通電用ソケットのスリーブ8の位置と合わない。そこで、図4及び図5に示すように、複数のリード端子3の間隔でザグリを入れたリード矯正櫛歯11,12を左右方向よりリード端子3の根本部分に挿入する。
【0015】
次に、図6に示すように、リード矯正櫛歯11,12をリード端子3の先端まで移動させる。これにより、複数のリード端子3の広がり量を抑えることができる。この状態で複数のリード端子3を通電用ソケットのスリーブ8に挿入する。
【0016】
リード矯正櫛歯11,12の間隔A,B,C,Dを狭くすることでリード端子3の位置バラツキを抑制させ、スリーブ8へ挿入しやすくすることができる。しかし、リード矯正櫛歯11,12とリード端子3の間隔が減少すると、ステム2の根本にリード矯正櫛歯11,12を挿入した際にリード端子3に接触する可能性が高くなる。リード矯正櫛歯11,12が接触するとリード端子3が削れて不良品となってしまう。よって、リード矯正櫛歯11,12によるリード矯正には限界がある。これを補うために、ソケット本体7の上面に誘い込み部9が設けられている。
【0017】
従来はリード端子3の先端が平坦加工されていた。このため、リード端子3の先端の角部分が誘い込み部9又は平坦部10に引っ掛かっていた。従って、リード端子3は負荷がかかって湾曲していた。これに対して、本実施の形態では、ステム2から引き出されたリード端子3の先端が球面状である。これにより、リード端子3を通電用ソケットに挿入する際にリード端子3の先端が通電用ソケットの誘い込み部9及び平坦部10に引っ掛かり難くなる。従って、リード端子3への負荷を減らし、リード端子3が曲がるのを抑制することができる。また、リード端子3の先端と誘い込み部9との接触面積が減少するため、通電用ソケットの誘い込み部9の摩耗も抑制することができる。この結果、通電用ソケットの破損を防止することができる。
【0018】
また、リード端子3の先端に樹脂を設けると摩擦によりくずが発生しやすい。従って、リード端子3の先端は球面状のガラス6であることが好ましい。
【0019】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る半導体パッケージを示す側面図である。本実施の形態では、ステム2の下面から引き出された複数のリード端子3の先端が斜めにカットされている。これにより、複数のリード端子3の先端と通電用ソケットの誘い込み部9との接触面積を減らすことができる。従って、リード端子3への負荷を減らし、リード端子3が曲がるのを抑制することができる。また、通電用ソケットの誘い込み部9の摩耗も抑制することができる。この結果、通電用ソケットの破損を防止することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0020】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る通電用ソケットを示す上面図である。図9図8のI-IIに沿った断面図である。複数のスリーブ8がソケット本体7に設けられている。複数のスリーブ8には、半導体パッケージの複数のリード端子3がそれぞれ挿入される。ソケット本体7の上面には、複数のスリーブ8の挿入口の周囲にそれぞれテーパー状の誘い込み部9が設けられている。
【0021】
本実施の形態では、ソケット本体7の上面において、隣接する誘い込み部9同士の間に平坦部10が設けられていない。これにより、誘い込み部9の領域を拡大することができるため、リード端子3が誘い込み部9に接触してスリーブ8に誘い込まれやすくなる。従って、リード端子3への負荷を減らし、リード端子3が曲がるのを抑制することができる。また、通電用ソケットの誘い込み部9の摩耗も抑制することができる。この結果、通電用ソケットの破損を防止することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1又は2と同様である。なお、半導体パッケージのリード端子3の先端は平坦でもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 半導体素子、2 ステム、3 リード端子、6 ガラス、7 ソケット本体、8 スリーブ、9 誘い込み部、10 平坦部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9