(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/04 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B60S3/04
(21)【出願番号】P 2022013677
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】徳永 良二
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-169361(JP,A)
【文献】特開平08-169311(JP,A)
【文献】特開平07-117635(JP,A)
【文献】特開2006-205932(JP,A)
【文献】米国特許第06358330(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と、前記台車上に設けられた、格納位置と傾斜位置との間を起伏可能な荷台と、を有する車両を洗浄する洗車機であって、
前記車両の前後方向へ移動する基部と、
前記基部に支持され、前記格納位置にあるときよりも高い位置にある前記荷台の有無を検出するためのセンサと、
前記基部に支持されるノズルであって、洗浄位置と、前記傾斜位置にある前記荷台との前記基部の移動に伴う干渉を回避する退避位置と、の間を移動可能であり、かつ、前記洗浄位置において前記傾斜位置にある前記荷台に向けて液体を噴射するノズルと、
前記洗車機の各部を制御する制御部と、を備えた洗車機。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサが、前記荷台を検知しない状態から検知する状態に変化すると、前記ノズルを前記洗浄位置から前記退避位置に移動させる、請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサが、前記荷台を検知する状態から検知しない状態に変化すると、
前記ノズルを前記退避位置から前記洗浄位置に移動させる、請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記センサは、第1センサと、前記第1センサよりも前記車両の前後方向の何れかの側に位置する第2センサとを含み、
前記制御部は、前記第1センサおよび前記第2センサのいずれもが前記荷台を検知しない状態から、前記第1センサおよび前記第2センサの一方が前記荷台を検知する状態に変化すると、前記ノズルを前記退避位置から前記洗浄位置に移動させる、請求項1に記載の洗車機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1センサおよび前記第2センサの一方が前記荷台を検知する状態から、前記第1センサおよび前記第2センサの双方が前記荷台を検知する状態に変化すると、前記ノズルを前記洗浄位置から前記退避位置に移動させる、請求項4に記載の洗車機。
【請求項6】
前記センサは、下側センサと、前記下側センサよりも上方に位置する上側センサとを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗車機。
【請求項7】
前記基部は、
上下方向に延伸する支柱と、
前記支柱の延伸方向と異なる方向に延伸し、かつ、前記支柱に固定された上下軸の回りに回動可能な、ノズルアームと、を有し、
前記ノズルは前記ノズルアームに支持され、かつ、前記ノズルアームの回動によって前記洗浄位置と前記退避位置との間を移動する、請求項1から6のいずれか1項に記載の洗車機。
【請求項8】
前記基部は、
前記支柱から前記基部の移動方向に延伸するセンサアームをさらに有し、
前記センサは前記センサアームに支持される、請求項7に記載の洗車機。
【請求項9】
地面に対して固定され、前記基部の移動方向に延伸し、前記支柱を案内する下部レールと、
前記下部レールに平行かつ前記下部レールの上方に配置され、前記支柱を案内する上部レールと、
地面に対し少なくとも前記上部レールを固定するレール固定部と、をさらに備えた、請求項7または8の何れか1項に記載の洗車機。
【請求項10】
前記傾斜位置にある前記荷台から流出する前記液体を受け入れて排出する、地面に設置された排出部と、
前記荷台の後端が前記排出部に一致する位置に、前記車両があることを検出するための、前記台車の有無を検出する、地面に対して固定された固定台車センサと、
前記固定台車センサが、前記荷台の後端が前記排出部に一致する位置に、前記車両があることを検出した場合に、その旨を報知する報知部と、をさらに備えた、請求項1から9のいずれか1項に記載の洗車機。
【請求項11】
前記基部に支持され、前記台車に向けて液体を噴射する複数の台車ノズルを備え、
少なくとも2つの前記台車ノズルは、鉛直方向から前記傾斜位置にある前記荷台が傾斜する方向に向かって傾斜した傾斜方向に沿って整列する、請求項1から10のいずれか1項に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を洗浄する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に対し相対移動しつつ当該車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された洗車機は、ダンプカー等、台車に対し起伏可能な荷台を備えた車両を、当該荷台を上げた状態において洗浄することを想定していない。例えば、特許文献1に記載された洗車機では、荷台を上げた車両を、当該車両との干渉を低減しつつ洗浄することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗車機は、台車と、前記台車上に設けられた、格納位置と傾斜位置との間を起伏可能な荷台と、を有する車両を洗浄する洗車機であって、前記車両の前後方向へ移動する基部と、前記基部に支持され、前記格納位置にあるときよりも高い位置にある前記荷台の有無を検出するためのセンサと、前記基部に支持されるノズルであって、洗浄位置と、前記傾斜位置にある前記荷台との前記基部の移動に伴う干渉を回避する退避位置と、の間を移動可能であり、かつ、前記洗浄位置において前記傾斜位置にある前記荷台に向けて液体を噴射するノズルと、前記洗車機の各部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
荷台との干渉を回避しつつ、荷台を傾斜位置に上げた状態において車両をより効率的に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る洗車機によって車両を洗浄する様子を示す、洗車機および車両の概略側面図である。
【
図5】実施形態に係る洗車機によって車両を洗浄する様子を示す、洗車機および車両の概略背面図である。
【
図6】実施形態に係る洗車機による洗車方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る洗車機による車両案内工程を説明するためのフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る洗車機による第1洗浄工程を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る洗車機による第2洗浄工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態〕
<被洗浄車両の概要>
はじめに、
図2を参照し、本実施形態に係る洗車機によって洗浄される被洗浄車両について説明する。
図2は、被洗浄車両である車両Xの概略側面X1および概略背面X2を示す図である。
【0009】
本実施形態に係る被洗浄車両である車両Xは、台車Tと、当該台車T上に設けられた荷台Cとを有する。荷台Cは、後述する格納位置C1と傾斜位置C2との間を起伏可能である。なお、
図2は、車両Xの概略側面X1および概略背面X2について、荷台Cが格納位置C1と傾斜位置C2とのそれぞれに位置する場合を重ねて図示している。
【0010】
台車Tは、複数のタイヤTTの回転駆動により荷台Cと共に移動可能であり、前方側に運転台TSを有している。台車Tは、後述する荷台Cを起伏させるための不図示の動力部を備えている。運転台TS内の操縦者は、当該運転台TSの操作部を操作することにより、上記動力部を動作させて荷台Cを起伏させることが可能である。
【0011】
荷台Cは、例えば、底部Uと当該底部Uの周囲から立設する側壁Wとを備える。例えば、側壁Wのうち、車両Xの後方側に位置する後方側壁WBは、車両Xの左側および右側のそれぞれに位置する左右側壁WSのそれぞれの上側に回動可能に連結されてもよい。また、後方側壁WBは、底部Uと結解可能に連結してもよい。後方側壁WBと底部Uとが連結している場合、後方側壁WBと底部Uとは密着し、車両Xは後方側壁WBと底部Uとの間からの資材の流出を防止する。一方、後方側壁WBと底部Uとの連結が解除されている場合、後方側壁WBは、左右側壁WSに対し回動することにより、底部Uから離脱可能となり、車両Xは後方側壁WBと底部Uとの間からの資材を流出させることができる。
【0012】
荷台Cが格納位置C1にある場合、荷台Cは、底部Uの主面の法線方向が地面Gの法線方向と略一致する位置にある。このため、地面Gの法線方向が鉛直方向と略一致する場合、荷台Cは、底部U上の側壁Wに囲まれた空間に資材を蓄積することができる。このため、車両Xは、荷台Cが格納位置C1にある場合、上記資材を運搬することができる。
【0013】
荷台Cが傾斜位置C2にある場合、荷台Cは、前方側が後方側よりも上方に位置するように傾斜する。換言すれば、傾斜位置C2は、格納位置C1から荷台Cの前方側を上方に起こした位置である。荷台Cが傾斜位置C2にあり、かつ、後方側壁WBと底部Uとの連結が解除されている場合、後方側壁WBは重力にしたがって左右側壁WSに対し回動し、底部Uから離脱する。これにより、車両Xは、荷台Cが傾斜位置C2にある場合に、後方側壁WBと底部Uとの連結を解除することにより、荷台Cに蓄積された資材を車両Xの後方側に下すことができる。
【0014】
<洗車機の概要>
次に、本実施形態において車両Xを洗浄する洗車機2について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は洗車機2の概略側面図であり、
図4は洗車機2の概略背面図である。なお、本実施形態においては、後に詳述するが、洗車機2の洗車場に車両Xが進入する際の入口側を、洗車機2の背面側とする。このため、後に詳述するように、車両Xは洗車機2の背面側を後方側として洗車機2により洗浄される。ただし、本実施形態においては、これに限られず、洗車機2は、洗車機2の背面側に車両Xの前方側を向けた状態において、車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0015】
洗車機2は、基部4と、センサ6と、ノズル8と、台車ノズル10と、可動台車センサ12と、排出部14と、固定台車センサ16と、報知部18と、下部レール20と、上部レール22と、レール固定部24と、制御部26と、を備える。なお、
図3および
図4については、後述するように、地面Gより下方に位置する排出部14および制御部26を透過して示している。
【0016】
<基部>
基部4は、後述する下部レール20および上部レール22に沿って、移動方向Dに沿って移動する。移動方向Dは、洗車機2による車両Xの洗浄の間における、車両Xの前後方向と略一致する。特に、洗車機2は、左右一対の基部4を備え、2つの基部4は互いに連動し、車両Xの前後方向において略同一の位置にある。ただし、本実施形態においては、これに限られず、各基部4は連動せずに独立して移動してもよい。なお、本実施形態において、移動方向Dに沿った方向のうち、洗車機2の背面側から正面側への方向を前進方向D1、洗車機2の正面側から背面側への方向を後進方向D2とする。
【0017】
各基部4は、例えば、上下方向に延伸する支柱28と、支柱28の延伸方向と異なる方向に延伸するノズルアーム30と、各基部4の移動方向Dに沿って支柱28を挟んで延伸するセンサアーム32とを有する。特に、ノズルアーム30は、下側ノズルアーム34と、下側ノズルアーム34よりも上下方向上側に位置する上側ノズルアーム36と、を含む。また、センサアーム32は、下側センサアーム38と、下側センサアーム38よりも上下方向上側に位置する上側センサアーム40と、を含む。
【0018】
ここで、各ノズルアーム30は、支柱28に固定された上下軸42の回りに回動可能である。特に、各ノズルアーム30は、上下軸42の回りに回動することにより、
図3に示す基部4の移動方向Dに沿って延伸する位置と、
図4に示す基部4の移動方向Dと直交する方向に延伸する位置との間を回動可能である。また、下側ノズルアーム34と上側ノズルアーム36とは、互いに独立して回動することができる。本実施形態において、各ノズルアーム30は、
図3に示す各支柱28から後進方向D2に沿って延伸する位置と、
図4に示す各支柱28から他方の支柱28に向かって延伸する位置との間を移動する。
【0019】
また、各基部4は、複数の車輪44と、上下方向の端部に形成され、移動方向Dに沿って延伸する車輪アーム46とを有する。各車輪44は、車輪アーム46に形成され、不図示の動力部による回転駆動により後述する下部レール20または上部レール22に沿って移動することにより、移動方向Dに沿って基部4を移動させる。
【0020】
<センサ>
センサ6は、基部4に支持され、例えば、一方の基部4に形成された受光素子と、当該受光素子に向かって光等を照射する、他方の基部4に形成された発光素子とを含む光軸センサである。当該発光素子は、例えば、レーザ素子、またはLED(Light Emitting Diode)素子等を含む。この場合、センサ6は、発光素子からの光が受光素子によって検出されたか否かにより、受光素子と発光素子との間における物体の有無を検出する。特に、本実施形態において、センサ6は、格納位置C1にあるときよりも高い位置にある荷台Cの有無を検出する。
【0021】
なお、各基部4が独立して移動する場合には、センサ6は、基部4ごとに受光素子と発光素子とを備えていてもよい。この場合、センサ6は、発光素子からの光が車両Xにて反射した光を受光素子にて検出することにより、車両Xを検出してもよい。さらに、この場合、センサ6は、発光素子からの光の出射から受光素子における当該光の検出までの時間に基づき、各基部4から車両Xまでの距離を測定し、車両Xの車形の一部を割り出してもよい。
【0022】
センサ6は、例えば、下側センサアーム38に形成された下側センサ48と、上側センサアーム40に形成された上側センサ50と、を含む。このため、上側センサ50は下側センサ48よりも上下方向上側に位置する。
【0023】
さらに、下側センサ48は、下側センサアーム38の一端に形成された第1センサとしての第1下側センサ52と、下側センサアーム38の他端に形成された第2センサとしての第2下側センサ54と、を含む。加えて、上側センサ50は、上側センサアーム40の一端に形成された第1センサとしての第1上側センサ56と、上側センサアーム40の他端に形成された第2センサとしての第2上側センサ58と、を含む。換言すれば、下側センサ48と上側センサ50とのそれぞれは、第1センサと、第1センサよりも車両Xの前後方向の何れかの側に位置する第2センサとを含む。なお、本実施形態において、第1下側センサ52は第2下側センサ54よりも洗車機2の正面側に位置する。また、本実施形態において、第1上側センサ56は第2上側センサ58よりも洗車機2の正面側に位置する。
【0024】
<ノズル>
ノズル8は、基部4に支持され、例えば、接続された不図示のポンプからの液体の供給を受けて、当該液体を噴射する。特に、ノズル8は鉛直方向下方に液体を噴射するように方向付けられている。このため、ノズル8は、車両Xの上方から液体を噴射して、車両Xを洗浄するためのノズルである。ただし、各ノズル8は、ある一定の範囲に向かって液体を拡散して噴射してもよく、または、ある一定の範囲において噴射方向を変更することが可能であってもよい。また、ノズル8が噴射する液体は、例えば、市水または洗剤を含んでいてもよく、ノズル8が噴射する液体は切り替え可能であってもよい。
【0025】
ノズル8は、例えば、下側ノズルアーム34に支持された下側ノズル60と、上側ノズルアーム36に支持された上側ノズル62とを含む。このため、下側ノズル60および上側ノズル62のそれぞれは、下側ノズルアーム34および上側ノズルアーム36のそれぞれの回動に伴って移動する。
【0026】
特に、本実施形態において、
図3に示すように、下側ノズルアーム34および上側ノズルアーム36のそれぞれが、各支柱28から後進方向D2に向かって延伸する位置にある場合、下側ノズル60および上側ノズル62のそれぞれは退避位置P1にある。また、
図4に示すように、下側ノズルアーム34および上側ノズルアーム36のそれぞれが、各支柱28から他方の支柱28に向かって延伸する位置にある場合、下側ノズル60および上側ノズル62のそれぞれは洗浄位置P2にある。換言すれば、下側ノズル60および上側ノズル62のそれぞれは、下側ノズルアーム34および上側ノズルアーム36のそれぞれの回動に伴って、退避位置P1と洗浄位置P2との間を移動する。
【0027】
各ノズル8が退避位置P1にある場合、各ノズル8は荷台Cとの干渉を回避することができる。また、各ノズル8が洗浄位置P2にある場合、各ノズル8は荷台Cに向かって液体を噴射し荷台Cを洗浄することができる。退避位置P1と洗浄位置P2とにある各ノズル8の機能の詳細については後述する。
【0028】
なお、下側ノズルアーム34は下側センサアーム38よりも上方に位置し、上側ノズルアーム36は上側センサアーム40よりも上方に位置する。このため、下側ノズル60は下側センサ48よりも上方に位置し、上側ノズル62は上側センサ50よりも上方に位置する。
【0029】
<台車ノズル>
台車ノズル10は、基部4に支持され、例えば、接続された不図示のポンプからの液体の供給を受けて、当該液体を噴射する。台車ノズル10は、例えば、複数が各支柱28に直接形成されており、他方の支柱28に向かって液体を噴射する。換言すれば、各台車ノズル10は、2つの基部4の間に向かって液体を噴射する。上述した構成を除き、各台車ノズル10はノズル8の何れかと同一の構成を備えていてもよい。
【0030】
台車ノズル10は、洗車機2により車両Xを洗浄している間、少なくとも台車Tに向けて液体を噴射することにより、台車Tを含む車両Xの表面を洗浄する。より具体的に、台車ノズル10は、後述するように、台車Tのみならず、荷台Cの側表面等、車両Xの側面を洗浄するためのノズルであってもよい。台車ノズル10による車両Xの表面の洗浄については詳細を後述する。
【0031】
なお、本実施形態において、台車ノズル10は、支柱28に対し、前進方向D1側と後進方向D2側とのそれぞれに形成されている。また、台車ノズル10は、支柱28の異なる高さのそれぞれに形成されている。特に、少なくとも2つの台車ノズル10は、鉛直方向DVから傾斜した傾斜方向DTに沿って整列する。傾斜方向DTは、鉛直方向DVに対し、上方側が洗車機2の正面側となるように傾斜している。
【0032】
<可動台車センサ>
可動台車センサ12は、例えば、各支柱28に形成され、センサ6よりも鉛直方向下側に位置する。このため、可動台車センサ12は、基部4の移動に伴って移動し、特に、可動台車センサ12は、基部4を横切る台車Tを検出する。上述した構成を除き、可動台車センサ12はセンサ6の何れかと同一の構成を備えていてもよい。
【0033】
<排出部>
排出部14は、地面Gのうち、2つの基部4の間、かつ、基部4の移動範囲の後方側に設置される。排出部14は、上方側に開口64を有し、上方から流入した液体および異物等を受け入れて排出する。排出部14は図示しない下水道等と接続してもよい。また、開口64には、複数の空孔を有する蓋66が嵌合し、排出部14の内部に流入する物体が、液体または車両Xから離脱した異物等に制限されている。
【0034】
<固定台車センサ>
固定台車センサ16は、例えば、地面Gに形成され、基部4の移動に関わらず地面Gに対する位置が固定されている。特に、固定台車センサ16は、洗車機2により車両Xを洗浄している間、停止している車両Xの台車Tを検出する。
【0035】
固定台車センサ16は、第1固定台車センサ68と、第1固定台車センサ68よりも洗車機2の背面側に位置する第2固定台車センサ70とを含む。特に、第1固定台車センサ68と第2固定台車センサ70とは、第1固定台車センサ68が台車Tを検出し、第2固定台車センサ70が台車Tを検出しない場合に、荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置となるように形成されている。
【0036】
このため、固定台車センサ16は、第1固定台車センサ68と第2固定台車センサ70とのうち、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出する場合に、荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置に車両Xがあることを検出できる。なお、本実施形態において、荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置となる車両Xの位置は、洗車機2による洗車が実行される停車位置である。
【0037】
<報知部>
報知部18は、例えば、地面Gの洗車機2の正面側に形成される。報知部18は、例えば、個々に点灯および消灯可能な3つのランプ72を有している。報知部18は、ランプ72のそれぞれの点灯および消灯を通じて、洗車機2のユーザに、車両の前進、停止、または後退を行うよう案内を行う。荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置に車両Xが位置している場合、後述する方法により、報知部18は洗車機2のユーザに車両Xの停止を案内する。これにより、報知部18は、荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置に車両Xが位置していることを、洗車機2のユーザに報知する。
【0038】
<レール>
下部レール20および上部レール22は、支柱28に形成された各車輪44の回転駆動に伴う支柱28の移動を案内することにより、支柱28を案内する。このため、下部レール20および上部レール22は、基部4の移動方向に延伸している。また、上部レール22は、下部レール20に平行かつ下部レール20の上方に配置されている。
【0039】
下部レール20および上部レール22は、レール固定部24によってそれぞれ固定されている。特に、レール固定部24は地面Gに形成されているため、下部レール20および上部レール22は、レール固定部24によって地面Gに対し位置を固定されている。ただし、本実施形態においては、下部レール20が地面Gに直接形成され、下部レール20に対する上部レール22の位置をレール固定部24が固定することにより、下部レール20および上部レール22の地面Gに対する位置が固定されてもよい。
【0040】
基部4は、レール固定部24によって地面に対し固定された下部レール20および上部レール22によって移動を案内される。したがって、洗車機2は、下部レール20、上部レール22、およびレール固定部24により、基部4をより安定させることができ、また、より確実に基部4の移動を案内することができる。
【0041】
<制御部>
制御部26は、例えば、地面G中に設置され、洗車機2の各部を制御する。制御部26は、例えば、CPU等のプロセッサにより構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上において実行されることにより、各制御が実現される。例えば、制御部26は、不図示の通信手段により洗車機2の各部から送信された信号を受信してもよい。また、制御部26は、当該信号に基づき、洗車機2の各部を制御するための制御信号を生成し、上記通信手段により洗車機2の各部に制御信号を送信して、洗車機2の各部を制御してもよい。なお、本実施形態において、制御部26は、基部4の移動を阻害しない位置、洗車機2の洗車場に対する車両Xの入退を阻害しない位置等、洗車機2による車両Xの洗浄を阻害しない限り、どの位置に設置されていてもよい。制御部26による洗車機2の各部の制御方法については、洗車機2による洗車方法の説明を通じて後述する。
【0042】
<洗車方法の概要>
次いで、洗車機2による洗車方法について、
図1、および
図5から
図9を参照して説明する。なお、本実施形態においては、車両Xの荷台Cを格納位置C1とした状態において車両Xを洗車機2の洗車場に進入させ、車両Xの荷台Cを傾斜位置C2とした状態において洗浄する方法を例に挙げて説明する。
【0043】
図1および
図5は、洗車機2によって車両Xの洗浄している間における、洗車機2および車両Xの概略側面図および概略背面図である。特に、
図1および
図5は、それぞれ
図3および
図4に示す洗車機2の概略側面および概略背面と同一の位置を示す。また、
図1および
図5は、洗車機2によって洗浄される車両Xの荷台Cが、格納位置C1と傾斜位置C2とのそれぞれにある場合を重ねて図示している。
【0044】
さらに、
図1については、基部4が、車両Xの後方側の第1洗浄開始位置4Aと、車両の前方側の第2洗浄開始位置4Bとのそれぞれに位置している様子を同一の図面に示している。加えて、
図5については、後述する方法により、洗車機2が各ノズル8により荷台Cを洗浄する様子を示す。
【0045】
図6は、洗車機2による洗車方法を説明するためのフローチャートである。洗車機2による洗車方法においては、はじめに、洗車機2が、車両Xの運転者等を含む洗車機2のユーザから洗車を受け付ける(ステップS2)。洗車の受付は、例えば、制御部26が不図示のリモートパネル等の操作部を制御し、ユーザによる当該操作部の操作の情報を取得することにより実行される。当該情報には、洗車方法に関する情報、または洗車料金の支払い情報等が含まれていてもよい。
【0046】
<車両案内工程>
図6に示すように、洗車の受付に次いで、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、車両案内工程を実行する(ステップS4)。車両案内工程について、
図7を参照しより詳細に説明する。
図7は車両案内工程について説明するためのフローチャートである。
【0047】
車両案内工程において、洗車機2は、はじめに、制御部26に固定台車センサ16からの台車Tの検出結果を取得させることにより、全ての固定台車センサ16が台車Tを検出したかを判定する(ステップS4-2)。本実施形態において、「全ての固定台車センサ16が台車Tを検出する」とは、固定台車センサ16が含む第1固定台車センサ68と第2固定台車センサ70との双方が車両Xの台車Tを検出することを指す。なお、固定台車センサ16は、洗車の受付の直後においては台車Tを検出しない位置に配置される。
【0048】
ステップS4-2において、洗車機2が何れかの固定台車センサ16による台車Tの検出がないと判定した場合、洗車機2はユーザに車両Xの前進を案内する(ステップS4-4)。例えば、洗車機2は、制御部26により報知部18のランプ72の点灯および消灯の制御、または不図示のスピーカからの音声案内等を制御することにより、ユーザに車両Xを前進させるように促す。特に、本実施形態において、洗車機2はユーザに、車両Xを洗車機2の背面側から正面側に向かって、基部4の間に車両Xを前進させるように案内する。
【0049】
ステップS4-2およびステップS4-4は、ステップS4-2において、全ての固定台車センサ16が台車Tを検出したと洗車機2が判定するまで繰り返される。ステップS4-2において、全ての固定台車センサ16が台車Tを検出したと洗車機2が判定した場合、次いで、洗車機2は、制御部26がステップS4-2と同一の方法により、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出したかを判定する(ステップS4-6)。換言すれば、ステップS4-6において、洗車機2は、第1固定台車センサ68が台車Tを検出し、第2固定台車センサ70が台車Tを検出していない状態となっているかを判定する。
【0050】
上述した通り、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出する場合、車両Xは荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する停車位置にある。本実施形態において、洗車機2は当該停車位置に車両Xが位置している状態において洗車を行う。このため、ステップS4-6において、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出している状態ではないと洗車機2が判定する判定した場合、洗車機2は車両Xのさらなる案内が必要であると判断する。この場合、洗車機2はステップS4-2と同一の方法により、第2固定台車センサ70が台車Tを検出しているかを判定する(ステップS4-8)。
【0051】
ステップS4-8にて、第2固定台車センサ70が台車Tを検出していると洗車機2が判定したとする。この場合、第1に、まだ全ての固定台車センサ16が台車Tを検出している状態であることが考えられる。また、第2に、全ての固定台車センサ16が一旦台車Tを検出したのち、車両Xが後進し、第2固定台車センサ70のみが台車Tを検出している状態であることが考えられる。したがって、上述の場合、洗車機2は車両Xのさらなる前進が必要であると判断し、ステップS4-4と同一の方法により、ユーザに車両Xの前進を案内する(ステップS4-10)。
【0052】
一方、ステップS4-8にて、第2固定台車センサ70が台車Tを検出していないと洗車機2が判定したとする。この場合には、ステップS4-6において第1固定台車センサのみが台車Tを検出している状態ではないと洗車機2が判定したことを踏まえると、何れの固定台車センサ16も台車Tを検出していない状態であると考えられる。換言すれば、上述した場合には、車両Xが前進し続けて第1固定台車センサ68を通り過ぎたことが考えられる。したがって、上述の場合、洗車機2は車両Xの後進が必要であると判断し、ユーザに車両Xの後進を案内する(ステップS4-12)。例えば、洗車機2は、制御部26により、点灯および消灯するランプ72の変更、または音声案内の変更等を制御することにより、ユーザに車両Xを後進させるように促す。
【0053】
ステップS4-6からステップS4-12は、ステップS4-6において、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出したと洗車機2が判定するまで繰り返される。ステップS4-6において、第1固定台車センサ68のみが台車Tを検出したと洗車機2が判定することにより、洗車機2は、荷台Cの後端が平面視において排出部14に一致する位置に、換言すれば停車位置に車両Xがあるかを判定する。ここで、洗車機2は、制御部26により、点灯および消灯するランプ72の変更等を制御することにより、報知部18によってユーザに車両Xが当該位置にあることを報知する。
【0054】
上述の場合、次いで、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、ユーザに荷台Cの操作および車両Xからの退出を案内し、ユーザからの洗浄開始の操作を受け付ける(ステップS4-14)。ステップS4-14においては、例えば、はじめに、制御部26により、点灯および消灯するランプ72の変更、または音声案内の変更等を制御する。これにより、洗車機2は、ユーザに車両Xの荷台Cを傾斜位置C2まで傾斜させるとともに、車両Xから退出するように促す。次いで、制御部26が操作部を制御し、ユーザによる当該操作部の操作の情報を取得することにより、ユーザからの洗車開始の操作を受け付ける。本実施形態に係るステップS4-14において、洗車機2はユーザに後方側壁WBと底部Uとの連結の解除をさらに案内してもよい。
【0055】
本実施形態に係る車両案内工程において、基部4は
図1に示す第1洗浄開始位置4Aにあるとする。ここで、車両Xが停車位置にあり、基部4が第1洗浄開始位置4Aにあり、荷台Cが格納位置C1にある場合、センサ6は何れも荷台Cを検出しない。一方、車両Xが停車位置にあり、基部4が第1洗浄開始位置4Aにあり、荷台Cが傾斜位置C2にある場合、センサ6のうち、第1下側センサ52の間のみを荷台Cが横切るため、第1下側センサ52のみが荷台Cを検出する。
【0056】
このため、洗車機2は、車両Xが停車位置にある場合、第1下側センサ52による荷台Cの検出の有無を確認することにより、荷台Cが格納位置C1から傾斜位置C2に移動したか否かを判定することができる。なお、車両Xが停車位置にあり、基部4が第1洗浄開始位置4Aにある場合、可動台車センサ12は車両Xの台車Tを検出する。
【0057】
ステップS4-14に次いで、洗車機2は、制御部26による第1下側センサ52の制御を通じて、第1下側センサ52が荷台Cを検出したかを判定する(ステップS4-16)。ステップS4-16において、第1下側センサ52が荷台Cを検出していないと洗車機2が判定した場合には、洗車機2は、荷台Cが傾斜位置C2にないと判断する。この場合、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、ユーザに荷台Cの操作を案内する(ステップS4-18)。ステップS4-18におけるユーザへの荷台Cの操作の案内は、ステップS4-14から引き続いて実行されてもよい。
【0058】
本実施形態において、例えば、ステップS4-18に次いで、洗車機2は再びステップS4-6を実行する。これにより、ステップS4-14を実行した後に車両Xが正しい洗浄位置から移動した場合においても、洗車機2は改めて車両Xの前進または後進を案内することが可能となる。なお、ステップS4-14を一回でも実行した後に車両Xの移動を案内する場合、洗車機2は、ユーザに荷台Cを一旦格納位置C1に戻してから車両Xを移動させるように案内してもよい。
【0059】
ステップS4-16において、第1下側センサ52が荷台Cを検出していると洗車機2が判定した場合には、洗車機2は、荷台Cが傾斜位置C2にあると判断する。この場合、洗車機2は、制御部26による洗車機2の操作部の制御を通じて、制御部26に、ユーザによる洗浄開始の操作を行われたかを判定させる(ステップS4-20)。ステップS4-20において制御部26がユーザによる洗浄開始の操作を確認していない場合、洗車機2は再びステップS4-6を実行する。
【0060】
ステップS4-20において制御部26がユーザによる洗浄開始の操作を確認した場合に、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、後述する第1洗浄工程に移行する(ステップS4-22)。換言すれば、洗車機2は、ステップS4-16にて第1下側センサ52が荷台Cを検出していると洗車機2が判定するまでは、制御部26がユーザによる洗浄開始の操作を確認していたとしても、洗車機2は第1洗浄工程への移行を実行しない。
【0061】
以上の車両案内工程により、洗車機2は、荷台Cの後端が平面視において排出部14と一致する位置に車両Xを移動させるようにユーザを誘導し、荷台Cを傾斜位置C2に移動させた状態において、後述する第1洗浄工程に移行することができる。
【0062】
<第1洗浄工程>
図6に示すように、車両案内工程に次いで、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、第1洗浄工程を実行する(ステップS6)。第1洗浄工程について、
図8を参照しより詳細に説明する。
図8は第1洗浄工程について説明するためのフローチャートである。
【0063】
第1洗浄工程において、洗車機2は、はじめに、
図5に示すように、下側ノズル60を洗浄位置P2に移動させ、下側ノズル60から液体を噴射させる(ステップS6-2)。例えば、洗車機2は、制御部26による基部4の制御により、各下側ノズルアーム34を上下軸42の回りに回動させて各支柱28から他方の支柱28に延伸する方向に移動させることにより、下側ノズル60を洗浄位置P2に移動させる。また、洗車機2は、下側ノズル60と接続する不図示のポンプの制御により、下側ノズル60から液体を噴射させる。これにより、下側ノズル60から荷台Cの内部等へ液体を噴射することにより、下側ノズル60を用いた荷台Cの洗浄が実行される。
【0064】
第1洗浄工程において、荷台Cは後端より前端が上方に位置する傾斜位置C2にある。このため、荷台Cの内側に液体が噴射された場合、当該液体は傾斜位置C2にある荷台Cの底部U上を荷台Cの前端側から後端側に向かって流れ、荷台Cの後端から荷台Cの外部に流出する。
【0065】
ここで、車両案内工程によって、車両Xは、荷台Cの後端が平面視において排出部14と一致する停車位置に案内されている。このため、第1洗浄工程において荷台Cの内側に噴射された液体は、荷台Cの後端から排出部14に流入し、排出部14によって洗車機2の洗車場から排出される。同様の理由から、第1洗浄工程における荷台Cの内側への液体の噴射に伴い、荷台Cから離脱した異物は、液体と共に荷台Cの後端から排出部14に流入する。
【0066】
これにより、洗車機2は、ステップS6-2以降において、荷台Cの内部に滞留する液体および異物等を、傾斜した荷台Cの後端から排出部14に排出させつつ、荷台Cの内側を洗浄することができる。このため、洗車機2は、荷台Cの洗浄により洗い流された異物を含む液体を、洗車機2の洗車場から効果的に排出できる。特に、車両案内工程の完了までに、後方側壁WBと底部Uとの連結が解除されている場合、第1洗浄工程以降において、荷台C内部の液体および異物等は、荷台Cの後端から排出部14により効果的に排出される。
【0067】
ステップS6-2に次いで、洗車機2は、制御部26による基部4の制御により、基部4の前進を開始する(ステップS6-4)。換言すれば、洗車機2は、制御部26により各基部4の不図示の動力部を制御して車輪44を回転駆動させることにより、各基部4を第1洗浄開始位置4Aから前進方向D1に向かって移動させる。このため、各基部4の前進に伴って下側ノズルアーム34および下側ノズル60が移動し、下側ノズル60からの液体の荷台Cにおける噴射位置を変更しつつ、下側ノズル60を用いた荷台Cの内側の洗浄が実行される。
【0068】
なお、ステップS6-4以降、第1洗浄工程においては、特に言及がない限り、基部4を前進させつつ台車ノズル10からの液体の噴射を行う。上述の通り、各台車ノズル10は、2つの基部4の間に向かって液体を噴射する。このため、2つの基部4の間に車両Xが存在する場合、各台車ノズル10からの液体は車両Xに噴射される。したがって、第1洗浄工程において、台車ノズル10は、基部4が前進する間液体を噴射することにより、車両Xの後端側から前端側にかけて車両Xに液体を噴射し、当該液体によって車両Xを洗浄できる。
【0069】
特に、台車ノズル10は、台車Tの外表面に液体を噴射することにより、台車Tを洗浄する。また、台車ノズル10は、荷台Cの側表面等、荷台Cの外表面に液体を噴射することにより、荷台Cの一部を洗浄してもよい。制御部26は、第1洗浄工程の間、各台車ノズル10の制御を通じて各台車ノズル10を搖動させ、液体が噴射される範囲を拡大してもよい。
【0070】
本実施形態に係る洗浄工程において、車両Xは前方側を洗車機2の正面に向けて停止している。また、上述した通り、傾斜方向DTは、鉛直方向DVに対し、上方側が洗車機2の正面側となるように傾斜している。したがって、傾斜方向DTは、鉛直方向DVよりも傾斜位置C2にある荷台Cの傾斜する方向に向かって傾斜している。このため、洗車機2は、傾斜方向DTに沿って整列する少なくとも2つの台車ノズル10を用いて、傾斜した荷台Cの側面をより効率的に洗浄することができる。例えば、傾斜方向DTは、荷台Cの傾斜する方向と平行であってもよい。
【0071】
なお、洗車機2は、傾斜方向DTに沿って配置されていない台車ノズル10を備えていてもよく、例えば、2つの台車ノズル10が鉛直方向DVに沿って配置されていてもよい。また、車両Xの荷台Cが格納位置C1と傾斜位置C2との何れにあるかに関わらず、洗車機2は、何れかの台車ノズル10から液体を噴射させて、当該台車ノズル10による車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0072】
ステップS6-4に次いで、洗車機2は、制御部26に可動台車センサ12からの台車Tの検出結果を取得させることにより、可動台車センサ12が台車Tを検出しているかを判定する(ステップS6-6)。上述した通り、車両案内工程の完了時点において、車両Xが停車位置にあり、基部4が第1洗浄開始位置4Aにある場合、可動台車センサ12は車両Xの台車Tを検出する。また、第1洗浄工程の開始時点において、基部4は第1洗浄開始位置4Aにあるため、第1洗浄工程の開始時点において、可動台車センサ12は台車Tの後端付近を検出する。
【0073】
したがって、第1洗浄工程において、各基部4が車両Xの前端より車両Xの前方側に移動するまで、可動台車センサ12は台車Tを検出し続ける。ゆえに、洗車機2は、可動台車センサ12が台車Tを検出している間、基部4の間に車両Xが位置しており、第1洗浄工程における車両Xの後端から前端までの車両Xの洗浄が完了していないと判断する。一方、洗車機2は、可動台車センサ12が台車Tを検出しなくなった時点において、基部4が車両Xの前端より前方まで移動し、第1洗浄工程における車両Xの後端から前端までの車両Xの洗浄が完了したと判断する。なお、洗車機2は、下部レール20または上部レール22の前端まで基部4が前進した場合に、第1洗浄工程における車両Xの後端から前端までの車両Xの洗浄が完了したと判断してもよい。
【0074】
ステップS6-6において、可動台車センサ12が台車Tを検出していると洗車機2が判定した場合、洗車機2は、下側ノズル60が洗浄位置P2かつ第2下側センサ54が荷台Cを検出したかを判定する(ステップS6-8)。例えば、洗車機2は、制御部26に基部4からの下側ノズルアーム34の位置に関する情報を取得させることにより、下側ノズル60が洗浄位置P2かを判定する。また、洗車機2は、制御部26に第2下側センサ54からの荷台Cの検出情報を取得させることにより、第2下側センサ54が荷台Cを検出したかを判定する。
【0075】
第2下側センサ54は、第1下側センサ52よりも車両Xの後方側に位置する。このため、基部4の前進に伴い第2下側センサ54が荷台Cを検出した場合、洗浄位置P2に位置する下側ノズル60は、ステップS6-2の完了時点と比較して荷台Cに接近している。ただし、下側ノズル60は第2下側センサ54よりも上方に位置し、傾斜位置C2にある荷台Cは、下方側よりも上方側の方が車両Xの前方側に位置している。このため、第2下側センサ54が荷台Cを検出した時点においては、下側ノズル60と荷台Cとの間に距離が十分にある。
【0076】
ステップS6-8において、下側ノズル60が洗浄位置P2にあり、かつ、第2下側センサ54が荷台Cを検出したと洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、制御部26による制御を通じて、下側ノズル60からの液体の噴射を停止させ、下側ノズル60を退避位置P1に移動させる(ステップS6-10)。
【0077】
例えば、洗車機2は、制御部26に下側ノズル60と接続するポンプを制御させ、下側ノズル60への液体の供給を停止させることにより、下側ノズル60からの液体の噴射を停止させる。また、洗車機2は、制御部26に下側ノズルアーム34の上下軸42回りの回動を制御させ、下側ノズルアーム34が支柱28から車両Xの後方側に延伸する位置まで下側ノズルアーム34を移動させることにより、下側ノズル60を退避位置P1に移動させる。
【0078】
換言すれば、洗車機2は、第2下側センサ54が荷台Cを検知しない状態から検知する状態に変化した際に、ステップS6-10を実行する。特に、洗車機2は、第1下側センサ52および第2下側センサ54の一方が荷台Cを検知する状態から、第1下側センサ52および第2下側センサ54の双方が荷台Cを検知する状態に変化した際に、ステップS6-10を実行する。また、ステップS6-10にて、洗車機2は、下側ノズル60を洗浄位置P2から退避位置P1に移動させ、下側ノズル60から液体を噴射させる。
【0079】
ステップS6-10が実行された場合、下側ノズル60は退避位置P1に移動するため、ステップS6-10以降、下側ノズル60および下側ノズルアーム34は、基部4の前進に関わらず、傾斜位置C2にある荷台Cとの干渉を回避することができる。一方、ステップS6-2以降、ステップS6-10が実行されるまで、洗車機2は、洗浄位置P2にある下側ノズル60から荷台Cの内側への液体の噴射を実行する。したがって、洗車機2は、下側ノズル60による荷台Cの洗浄を行いつつ、下側ノズル60および下側ノズルアーム34と傾斜位置C2にある荷台Cとの干渉を回避することができる。
【0080】
ステップS6-10に次いで、洗車機2は、上側ノズル62が退避位置P1かつ上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出したかを判定する(ステップS6-12)。例えば、洗車機2は、制御部26に基部4からの上側ノズルアーム36の位置に関する情報を取得させることにより、上側ノズル62が退避位置P1かを判定する。また、洗車機2は、制御部26に第1上側センサ56からの荷台Cの検出情報を取得させることにより、第1上側センサ56が荷台Cを検出したかを判定する。
【0081】
ステップS6-12において、上側ノズル62が退避位置P1にあり、かつ、第1上側センサ56が荷台Cを検出したと洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、制御部26による制御を通じて、上側ノズル62を洗浄位置P2に移動させ、上側ノズル62から液体を噴射させる(ステップS6-14)。
【0082】
例えば、洗車機2は、制御部26に上側ノズルアーム36の上下軸42回りの回動を制御させ、各上側ノズルアーム36が各支柱28から他方の支柱28に向かって延伸する位置まで上側ノズルアーム36を移動させる。これにより、洗車機2は、上側ノズル62を洗浄位置P2に移動させる。また、洗車機2は、制御部26に上側ノズル62と接続するポンプを制御させ、上側ノズル62へ液体を供給させることにより、上側ノズル62から液体を噴射させる。
【0083】
換言すれば、洗車機2は、第1上側センサ56および第2上側センサ58のいずれもが荷台Cを検知しない状態から、第1上側センサ56および第2上側センサ58の一方が荷台Cを検知する状態に変化した際に、ステップS6-14を実行する。また、ステップS6-14にて、洗車機2は、上側ノズル62を洗浄位置P2から退避位置P1に移動させ、上側ノズル62から液体を噴射させる。
【0084】
上側ノズル62は下側ノズル60と比較して上方側に位置する。このため、第1洗浄工程の開始時点において、上側ノズル62と荷台Cの底部Uを含む内側の表面との距離は、下側ノズル60と当該表面との距離よりも長くなる。さらに、第1上側センサ56は、第1下側センサ52よりも上方側に位置する。このため、基部4の前進に伴い第1上側センサ56が荷台Cを検出した時点における上側ノズル62と荷台Cの内表面との距離は、第1洗浄工程の開始時点における当該距離よりも短くなっている。
【0085】
本実施形態において、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの距離が比較的長い第1洗浄工程の開始時点においては、上側ノズル62からの液体の噴射を停止させる。また、洗車機2は、ステップS6-14の実行時点、換言すれば、第1上側センサ56が荷台Cを検出し、上側ノズル62と荷台Cとの距離が十分に近づいた時点から、上側ノズル62からの液体の噴射を開始させる。
【0086】
このため、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの距離が比較的長く、上側ノズル62から噴射された液体による荷台Cの洗浄の効率が比較的低い期間において、上側ノズル62からの液体の噴射を停止できる。また、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの距離が十分近接し、上側ノズル62から噴射された液体による荷台Cの洗浄が効率よく実行できるようになった時点から、上側ノズル62からの液体の噴射を開始できる。したがって、洗車機2は、荷台Cをより適切に洗浄しつつ、使用する液体の量を低減し、コストを削減できる。
【0087】
ステップS6-14に次いで、洗車機2は、上側ノズル62が洗浄位置P2かつ第2上側センサ58が荷台Cを検出したかを判定する(ステップS6-16)。例えば、洗車機2は、制御部26に基部4からの上側ノズルアーム36の位置に関する情報を取得させることにより、上側ノズル62が洗浄位置P2かを判定する。また、洗車機2は、制御部26に第2上側センサ58からの荷台Cの検出情報を取得させることにより、第2上側センサ58が荷台Cを検出したかを判定する。
【0088】
ステップS6-16において、上側ノズル62が洗浄位置P2にあり、かつ、第2上側センサ58が荷台Cを検出したと洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、制御部26による制御を通じて、上側ノズル62からの液体の噴射を停止させ、上側ノズル62を退避位置P1に移動させる(ステップS6-18)。上側ノズル62からの液体の噴射の停止、および上側ノズル62の退避位置P1への移動は、下側ノズル60からの液体の噴射の停止、および下側ノズル60の退避位置P1への移動と同様の方法によって実施されてもよい。
【0089】
ステップS6-18が実行された場合、上側ノズル62は退避位置P1に移動するため、ステップS6-18以降、上側ノズル62および上側ノズルアーム36は、基部4の前進に関わらず、傾斜位置C2にある荷台Cとの干渉を回避することができる。一方、ステップS6-14以降、ステップS6-18が実行されるまで、洗車機2は、洗浄位置P2にある上側ノズル62から荷台Cの内側への液体の噴射を実行する。したがって、洗車機2は、上側ノズル62による荷台Cの洗浄を行いつつ、上側ノズル62および上側ノズルアーム36と傾斜位置C2にある荷台Cとの干渉を回避することができる。
【0090】
ステップS6-18に次いで、洗車機2は、再度ステップS6-6の判定を実行する。このため、洗車機2は、ステップS6-4の実行以降、ステップS6-6において可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなるまで、ステップS6-6からステップS6-18を繰り返す。
【0091】
なお、ステップS6-8において、下側ノズル60が洗浄位置P2にない、または第2下側センサ54が荷台Cを検出していない場合、洗車機2はステップS6-10の実行を省略しステップS6-12の判定を行う。また、ステップS6-12において、上側ノズル62が退避位置P1にない、または上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出している状態ではない場合、洗車機2はステップS6-14の実行を省略しステップS6-16の判定を行う。さらに、ステップS6-16において、上側ノズル62が洗浄位置P2にない、または第2上側センサ58が荷台Cを検出していない場合、洗車機2はステップS6-18の実行を省略しステップS6-6の判定を行う。
【0092】
したがって、第1洗浄工程において、洗車機2は、ステップS6-6からステップS6-18の実行の繰り返しにおいて、ステップS6-10、ステップS6-14、およびステップS6-18のそれぞれを1回のみ必ず実行する。また、ステップS6-10、およびステップS6-18の実行以降、各ノズル8は第1洗浄工程の完了時点まで退避位置P1にある。
【0093】
第1洗浄工程において、基部4が車両Xの前端のさらに前方まで移動した場合、可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなる。このため、ステップS6-6において、可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなったと洗車機2が判定した場合、洗車機2は、基部4を前進させつつ車両Xを洗浄する工程が完了したと判断する。したがって、ステップS6-6において、可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなったと洗車機2が判定した場合、洗車機2は、制御部26の洗車機2の各部の制御を通じて、後述する第2洗浄工程に移行する(ステップS6-20)。
【0094】
ステップS6-20において、洗車機2は、制御部26による各基部4の制御を通じて、各基部4を第2洗浄開始位置4Bまで移動させてもよい。なお、車両Xが停車位置にあり、基部4が第2洗浄開始位置4Bにある場合、可動台車センサ12は車両Xの台車Tを検出する。換言すれば、ステップS6-20、洗車機2は、制御部26による各基部4の制御を通じて、可動台車センサ12が車両Xの台車Tを検出する位置まで後進方向D2に向かって移動させてもよい。
【0095】
<第2洗浄工程>
図6に示すように、第1洗浄工程に次いで、洗車機2は、制御部26による洗車機2の各部の制御を通じて、第2洗浄工程を実行する(ステップS8)。第2洗浄工程について、
図9を参照しより詳細に説明する。
図9は第2洗浄工程について説明するためのフローチャートである。
【0096】
第2洗浄工程において、洗車機2は、はじめに、制御部26による基部4の制御により、基部4の後進を開始する(ステップS8-2)。換言すれば、洗車機2は、制御部26により各基部4の不図示の動力部を制御して車輪44を回転駆動させることにより、各基部4を第2洗浄開始位置4Bから後進方向D2に向かって移動させる。
【0097】
なお、ステップS8-2以降、第2洗浄工程においては、特に言及がない限り、基部4を後進させつつ台車ノズル10からの液体の噴射を行う。台車ノズル10からの液体の噴射による車両Xの洗浄は、第1洗浄工程において説明した方法と同一の方法により実行してもよい。
【0098】
ステップS8-2に次いで、洗車機2は、制御部26に可動台車センサ12からの台車Tの検出結果を取得させることにより、可動台車センサ12が台車Tを検出しているかを判定する(ステップS8-4)。第2洗浄工程の開始時点において、基部4は第2洗浄開始位置4Bにあるため、第2洗浄工程の開始時点において、可動台車センサ12は台車Tの前端付近を検出する。したがって、ステップS8-4において、洗車機2は、ステップS6-6と同様の方法によって、第2洗浄工程における車両Xの前端から後端までの車両Xの洗浄の完了を判定できる。なお、洗車機2は、下部レール20または上部レール22の後端まで基部4が後進した場合に、第2洗浄工程における車両Xの前端から後端までの車両Xの洗浄が完了したと判断してもよい。
【0099】
ステップS8-4において、可動台車センサ12が台車Tを検出していると洗車機2が判定した場合、洗車機2は、上側ノズル62が退避位置P1かつ上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出しているかを判定する(ステップS8-6)。以降、洗車機2は、第1洗浄工程における、各ノズル8の位置の判定、および各センサ6による荷台Cの検出の判定と同一の方法により、第2洗浄工程における、各ノズル8の位置の判定、および各センサ6による荷台Cの検出の判定を行ってもよい。
【0100】
ステップS8-6において、上側ノズル62が退避位置P1にあり上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出していると洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、上側ノズル62を洗浄位置P2に移動させ、上側ノズル62から液体を噴射させる(ステップS8-8)。以降、洗車機2は、第1洗浄工程における、各ノズル8の位置の制御、および各ノズル8からの液体の噴射の制御と同一の方法により、第2洗浄工程における、各ノズル8の位置の制御、および各ノズル8からの液体の噴射の制御とを行ってもよい。
【0101】
換言すれば、洗車機2は、第2上側センサ58が荷台Cを検知する状態から検知しない状態に変化した際に、ステップS8-8を実行する。また、ステップS8-8にて、洗車機2は、上側ノズル62を退避位置P1から洗浄位置P2に移動させ、上側ノズル62から液体を噴射させる。
【0102】
上述した通り、第1洗浄工程の完了時点において、上側ノズル62を含む各ノズル8は退避位置P1にある。このため、第2洗浄工程の開始時点からステップS8-8の実行時点まで、基部4の移動に関わらず、各ノズル8は荷台Cとの干渉を回避することができる。
【0103】
また、本実施形態において、上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出する位置まで基部4が後進した場合、支柱28のうち上側ノズルアーム36が形成された高さにおける部分は、移動方向Dにおいて荷台Cの後方まで移動している。このため、ステップS8-8により、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの干渉を回避しつつ、上側ノズル62から噴射された液体による荷台Cの内側の洗浄が可能である。
【0104】
なお、第2洗浄工程の開始時点からステップS8-8の実行時点までにおいては、上側センサ50による荷台Cの検出がなされていても、第2上側センサ58による荷台Cの検出がなされている場合には、上側ノズル62の洗浄位置P2への移動は生じない。このため、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの干渉をより確実に回避できる位置まで基部4が後進するまで、上側ノズル62の位置を退避位置P1に維持できるため、上側ノズル62と荷台Cとの干渉をより確実に低減する。
【0105】
ステップS8-8に次いで、洗車機2は、下側ノズル60が退避位置P1かつ下側センサ48のうち第1下側センサ52のみが荷台Cを検出しているかを判定する(ステップS8-10)。ステップS8-8において、下側ノズル60が退避位置P1にあり下側センサ48のうち第1下側センサ52のみが荷台Cを検出していると洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、下側ノズル60を洗浄位置P2に移動させ、下側ノズル60から液体を噴射させる(ステップS8-12)。ステップS8-8について説明した理由と同一の理由により、ステップS8-12において、洗車機2は、下側ノズル60と荷台Cとの干渉を回避しつつ、下側ノズル60から噴射された液体による荷台Cの内側の洗浄が可能である。
【0106】
ステップS8-12に次いで、洗車機2は、上側ノズル62が洗浄位置P2かつ上側センサ50の何れもが荷台Cを検出していない状態かを判定する(ステップS8-14)。ステップS8-14において、上側ノズル62が洗浄位置P2にあり上側センサ50の何れもが荷台Cを検出していないと洗車機2が判定したとする。この場合、洗車機2は、上側ノズル62からの液体の噴射を停止させ、上側ノズル62を退避位置P1に移動させる(ステップS8-16)。
【0107】
上側センサ50の何れもが荷台Cを検出しない位置まで基部4が後進した場合、第1上側センサ56が荷台Cを検出している場合と比較して、上側ノズル62と荷台Cとの距離が比較的長い。したがって、洗車機2は、上側ノズル62と荷台Cとの距離が長くなり上側ノズル62からの液体の噴射による荷台Cの洗浄効果が低下する期間において、上側ノズル62からの液体の噴射を停止できる。ゆえに、洗車機2は、荷台Cをより適切に洗浄しつつ、使用する液体の量を低減し、コストを削減できる。
【0108】
ステップS8-16に次いで、洗車機2は、再度ステップS8-4の判定を実行する。このため、洗車機2は、ステップS8-2の実行以降、ステップS8-4において可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなるまで、ステップS8-4からステップS8-16を繰り返す。
【0109】
なお、ステップS8-6において、上側ノズル62が退避位置P1にない、または上側センサ50のうち第1上側センサ56のみが荷台Cを検出している状態ではない場合、洗車機2はステップS8-8の実行を省略しステップS8-10の判定を行う。また、ステップS8-10において、下側ノズル60が退避位置P1にない、または下側センサ48のうち第1下側センサ52のみが荷台Cを検出している状態ではない場合、洗車機2はステップS8-12の実行を省略しステップS8-14の判定を行う。さらに、ステップS8-14において、上側ノズル62が洗浄位置P2にない、または上側センサ50のいずれかが荷台Cを検出している場合、洗車機2はステップS8-16の実行を省略しステップS8-4の判定を行う。
【0110】
したがって、第2洗浄工程において、洗車機2は、ステップS8-4からステップS8-16の実行の繰り返しにおいて、ステップS8-8、ステップS8-12、およびステップS8-16のそれぞれを1回のみ必ず実行する。なお、ステップS8-16の実行以降から第1洗浄工程の完了時点まで、上側ノズル62は退避位置P1にあるものの、下側ノズル60は洗浄位置P2にあってもよく、下側ノズル60からの液体の噴射が継続してもよい。
【0111】
第2洗浄工程において、基部4が車両Xの後端のさらに後方まで移動した場合、可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなる。このため、ステップS8-4において、可動台車センサ12が台車Cを検出しなくなったと洗車機2が判定した場合、洗車機2は、基部4を後進させつつ車両Xを洗浄する工程が完了したと判断する。この場合、洗車機2は、制御部26の洗車機2の各部の制御を通じて、ノズル8からの液体の噴射を停止させ、荷台Cの操作および車両Xの退出を案内する(ステップS8-18)。
【0112】
例えば、洗車機2は、制御部26にまだ液体の噴射を継続している下側ノズル60への液体の供給を停止させることにより、各ノズル8からの液体の噴射を停止させる。また、洗車機2は、制御部26により、点灯および消灯するランプ72の変更、または音声案内の変更等を制御することにより、ユーザに荷台Cを操作させて、例えば、荷台Cを傾斜位置C2から格納位置C1に降下させるように案内する。加えて、洗車機2は、ユーザに車両Xを前進させて、洗車機2の洗車場から車両Xを退出させるように促す。
【0113】
以上により、第2洗浄工程が完了し、洗車機2による車両Xの洗浄が完了する。なお、ステップS8-18の実行後、洗車機2は、固定台車センサ16による車両Xの検出がなされなくなったことを確認し、他の車両Xの洗車を受け付ける準備を行ってもよい。
【0114】
<まとめ>
本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの前後方向へ移動する基部4に支持されたセンサ6およびノズル8を備える。また、ノズル8は、センサ6による、格納位置C1にあるときよりも高い位置にある車両Xの荷台Cの有無の検出結果に基づいて、荷台Cとの干渉を回避する退避位置P1と、荷台Cに向かって液体を噴射する洗浄位置P2との間を移動する。このため、洗車機2は、荷台Cとノズル8との干渉を回避しつつ、荷台Cを傾斜位置C2に挙げた状態において、車両Xをより効率的に洗浄できる。
【0115】
特に、洗車機2は、制御部26により、センサ6による荷台Cの検出結果の変化に応じて、ノズル8を退避位置P1または洗浄位置P2に移動させる。このように、センサ6の検出結果に応じてノズル8を移動させることにより、洗車機2は、ノズル8と荷台Cとの干渉を適切に回避できる。
【0116】
ここで、センサ6は、第1センサと、当該第1センサよりも車両Xの後方側に位置する第2センサとを含む。洗車機2は、制御部26により、第1センサと第2センサとのそれぞれによる荷台Cの検出結果の変化に応じて、ノズル8を退避位置P1または洗浄位置P2に移動させる。このように、前後方向に配置された第1センサと第2センサとのそれぞれによる荷台Cの検出結果を利用することにより、洗車機2は、ノズル8の移動のタイミングをより適切に決定できる。
【0117】
さらに、センサ6は、下側センサ48と、下側センサ48よりも上方に位置する上側センサ50とを含む。洗車機2は、制御部26により、下側センサ48と上側センサ50とのそれぞれによる荷台Cの検出結果の変化に応じて、ノズル8を退避位置P1または洗浄位置P2に移動させる。このように、互いに異なる高さに形成された下側センサ48と上側センサ50とのそれぞれによる荷台Cの検出結果を利用することにより、洗車機2は、ノズル8の移動のタイミングをより適切に決定できる。
【0118】
特に、ノズル8は、下側ノズル60と、下側ノズル60よりも上方に位置する上側ノズル62とを含む。また、洗車機2は、下側センサ48による荷台Cの検出結果の変化に応じて、下側ノズル60を移動させ、上側センサ50による荷台Cの検出結果の変化に応じて、上側ノズル62を移動させる。
【0119】
これにより、洗車機2は、より荷台Cと下側ノズル60または上側ノズル62との距離が十分近接した期間においてのみ、下側ノズル60または上側ノズル62から液体を噴射させ、荷台Cを洗浄するように設計できる。当該設計により、洗車機2は、荷台Cをより適切に洗浄しつつ、使用する液体の量を低減し、コストを削減できる。特に、洗車機2は、市水または洗剤等を無駄に消費することを低減するため、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」および目標12「つくる責任つかう責任」の達成に貢献できる。
【0120】
洗車機2は、上下方向に延伸する支柱28に支持されて、上下軸42回りに回動するノズルアーム30に、ノズル8を形成して備える。上記構成により、洗車機2は、ノズル8の退避位置P1と洗浄位置P2との移動を、ノズルアーム30の回動によって実現できるため、退避位置P1と洗浄位置P2とを移動できるノズル8を簡素な構成により実現できる。
【0121】
また、洗車機2は、上下方向に延伸する支柱28に支持され、基部4の移動方向に延伸するセンサアーム32に、センサ6を形成して備える。上記構成により、洗車機2は、基部4の支柱28よりも基部4の移動方向の前方側または後方側にセンサ6を設置することが容易となる。したがって、洗車機2は、より簡素な構成により、ノズル8の移動のタイミングをより適切に決定できる設計が可能である。
【0122】
なお、本実施形態に係る洗車機2は、さらに、基部4に支持されるブロアを備えていてもよい。また、洗車機2は、当該ブロアによって、2つの基部4の間に位置する車両Xに対し送風することにより、車両Xの乾燥を行ってもよい。この場合、洗車機2は、制御部26による制御を通じて、ブロアの位置を調節可能であってもよい。また、洗車機2は、センサ6による荷台Cの検出結果に応じて、制御部26による制御を通じ、ブロアの位置の調節、およびブロアからの送風の有無の変更を行ってもよい。
【0123】
車両Xに対し相対移動しつつ車両Xを洗浄する洗車機の比較形態として、車両Xの左右両側にそれぞれ位置する2つのフレームと、当該2つのフレーム同士を上方にて接続する天井部とを有する洗車機本体を備えた洗車機の形態が考えられる。本実施形態に係る洗車機2は、上述した比較形態に係る洗車機と比較して、傾斜位置C2にある荷台Cと天井部との干渉を防止することができる。また、本実施形態に係る洗車機2は、上述した比較形態に係る洗車機と比較して、車両Xの高さの上限を増大させることができる。このため、本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの荷台Cの長さ、および傾斜位置C2にある荷台Cの傾斜角度に関わらず、荷台Cとの干渉を低減しつつ車両Xを洗浄できる。
【0124】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
2 洗車機
4 基部
6 センサ
8 ノズル
14 排出部
16 固定台車センサ
18 報知部
20 下部レール
22 上部レール
24 レール固定部
26 制御部
28 支柱
30 ノズルアーム
32 センサアーム
42 上下軸
48 下側センサ
50 上側センサ
52 第1下側センサ(第1センサ)
54 第2下側センサ(第2センサ)
56 第1上側センサ(第1センサ)
58 第2上側センサ(第2センサ)
68 第1固定台車センサ
70 第2固定台車センサ
X 車両
C 荷台
C1 格納位置
C2 傾斜位置
T 台車
P1 退避位置
P2 洗浄位置