(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】自動運搬システム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20241203BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022039113
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111160(JP,A)
【文献】特開2002-127895(JP,A)
【文献】特開2011-240781(JP,A)
【文献】特開2019-148871(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03865451(EP,A1)
【文献】中国実用新案第209796498(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B65G 1/00
B62D 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の下方に自律移動ロボットが進入することにより、前記荷台を搬送する自動運搬システムであって、
前記荷台は、底面のサイドに複数の脚部を有し、
前記複数の脚部の少なくとも一つは、U字型部材を有し、
前記U字型部材は、前記U字型部材の開口側の2つの端部が鉛直方向に並ぶように設置され
、
前記自律移動ロボットは、前記U字型部材に挿入されるプレートを有する
自動運搬システム。
【請求項2】
前記U字型部材を有する前記脚部が、前記底面の両サイドにそれぞれ設けられている
請求項1に記載の自動運搬システム。
【請求項3】
前記底面の両サイドの2つの前記U字型部材は、開口する方向が同じとなるように設けられている
請求項2に記載の自動運搬システム。
【請求項4】
前記底面の両サイドの2つの前記U字型部材は、開口する方向が逆になるように設けられている
請求項2に記載の自動運搬システム。
【請求項5】
前記底面の一方のサイドに前記U字型部材を有する前記脚部が設けられ、前記底面の他方のサイドにリング型部材を有する前記脚部が設けられている
請求項1に記載の自動運搬システム。
【請求項6】
前記プレートの端部にセンサが設けられている
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自動運搬システム。
【請求項7】
前記自律移動ロボットは
、前記プレートの端に立設された
他のプレー
トを有する
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の自動運搬システム。
【請求項8】
前記プレートの端部の下方に、前記自律移動ロボットの車輪が設けられている
請求項3に記載の自動運搬システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は自動運搬システムに関し、特に自律移動ロボットによる運搬に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や倉庫などにおいて、自律移動ロボットにより物を運搬するための技術が開発されている。例えば、特許文献1は、周囲の空間をセンシングしてセンサデータを取得するための外界センサを備えたAGVが、荷台の下に潜り込んで、荷台を運搬する技術について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、特許文献1に開示されているように、荷台を運搬するためにロボットが荷台の下に潜り込む場合、荷台の脚の間隔よりも狭い幅のロボットを用いる必要がある。
【0005】
本開示は、上記した事情を背景としてなされたものであり、荷台の脚の間隔よりも大きい幅を有する自律移動ロボットを荷台に潜り込ませることができる自動運搬システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本開示の一態様は、荷台の下方に自律移動ロボットが進入することにより、前記荷台を搬送する自動運搬システムであって、前記荷台は、底面のサイドに複数の脚部を有し、前記複数の脚部の少なくとも一つは、U字型部材を有し、前記U字型部材は、前記U字型部材の開口側の2つの端部が鉛直方向に並ぶように設置されている自動運搬システムである。
この自動運搬システムによれば、荷台にU字型部材が設けられているため、荷台の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボットを荷台に潜り込ませることができる。このため、使用するロボットの選択における自由度が向上する。
【0007】
上記の一態様において、前記U字型部材を有する前記脚部が、前記底面の両サイドにそれぞれ設けられていてもよい。
このような構成によれば、両サイドにおいて自律移動ロボットが荷台からはみ出ることが可能であるため、より大きい幅を有する自律移動ロボットを荷台に潜り込ませることができる。
【0008】
上記の一態様において、前記底面の両サイドの2つの前記U字型部材は、開口する方向が同じとなるように設けられていてもよい。
このような構成によれば、開口の方向が同じであるため、開口する方向が同じでない場合に比べて、自律移動ロボットは容易に荷台に潜り込むことができる。
【0009】
上記の一態様において、前記底面の両サイドの2つの前記U字型部材は、開口する方向が逆になるように設けられていてもよい。
このような構成によれば、自律移動ロボットは2つの方向から荷台に潜り込むことができる。
【0010】
上記の一態様において、前記底面の一方のサイドに前記U字型部材を有する前記脚部が設けられ、前記底面の他方のサイドにリング型部材を有する前記脚部が設けられていてもよい。
このような構成によれば、両サイドにおいて自律移動ロボットが荷台からはみ出ることが可能であるため、より大きい幅を有する自律移動ロボットを荷台に潜り込ませることができる。
【0011】
上記の一態様において、前記自律移動ロボットは、前記U字型部材に挿入されるプレートを有し、前記プレートの端部にセンサが設けられていてもよい。
このような構成によれば、センサの位置を、荷台の外側にすることができる。このため、荷台によるセンサの死角の発生を抑制することができる。
【0012】
上記の一態様において、前記自律移動ロボットは、前記U字型部材に挿入される第1のプレートと、前記第1のプレートの端に立設された第2のプレートとを有してもよい。
このような構成によれば、第2のプレートにセンサを設けることができるため、高い位置にセンサを備え、広範な範囲を検知することができる。
【0013】
上記の一態様において、前記自律移動ロボットは、前記U字型部材に挿入されるプレートを有し、前記プレートの端部の下方に、前記自律移動ロボットの車輪が設けられていてもよい。
このような構成によれば、U字型部材に自律移動ロボットのプレートが挿入された際に、自律移動ロボットの車輪の位置をU字型部材の外側にすることができる。このため、車輪の間隔が大きい自律移動ロボットを用いて、荷台を搬送することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、荷台の脚の間隔よりも大きい幅を有する自律移動ロボットを荷台に潜り込ませることができる自動運搬システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる荷台の模式的な斜視図である。
【
図2】実施の形態1にかかる自律移動ロボットの模式的な斜視図である。
【
図3】実施の形態1にかかる自律移動ロボットの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】自律移動ロボットが荷台の下に潜り、自律移動ロボットと荷台が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図5】
図4における切断線V-Vによる自律移動ロボット及び荷台の模式的な断面図である。
【
図6】実施の形態2にかかる荷台の模式的な斜視図である。
【
図7】自律移動ロボットが荷台の下に潜り、自律移動ロボットと荷台が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図8】実施の形態3にかかる荷台の模式的な斜視図である。
【
図9】実施の形態4にかかる自律移動ロボットの模式的な斜視図である。
【
図10】自律移動ロボットが荷台の下に潜り、自律移動ロボットと荷台が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図11】実施の形態5にかかる自律移動ロボットの模式的な斜視図である。
【
図12】自律移動ロボットが荷台の下に潜り、自律移動ロボットと荷台が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態にかかる自動運搬システムは、荷台10と、自律移動ロボット20とを含み、荷台10の下方に自律移動ロボット20が進入することにより、荷台10を搬送するシステムである。以下、図面を参照しつつ、荷台10及び自律移動ロボット20について具体的に説明する。
【0017】
まず、荷台10について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる荷台10の模式的な斜視図である。
図1に示すように、荷台10は、載置部100を有する。また、荷台10は、荷台10(載置部100)の底面のサイドに、荷台10(載置部100)を支持する複数の脚部を有する。
図1に示した例では、荷台10は、2つの脚部を有し、そのいずれもがU字型部材110を有している。すなわち、
図1に示した例では、荷台10は、2つのU字型部材110を脚部として有している。また、
図1に示した例では、脚部の構成として、さらに、U字型部材110の下方には車輪120が設けられている。載置部100は、荷台10において荷物が載せられる部分であり、図に示した例では、水平に配置された矩形のプレートにより構成されている。
【0018】
図に示すように、荷台10の底面、すなわち載置部100の底面に、底面の幅の方向に所定の間隔で2つのU字型部材110が脚部として設けられている。具体的には、U字型部材110(すなわち、U字型部材110を有する脚部)が、荷台10の底面の両サイド(図において荷台10の左側と右側)にそれぞれ設けられている。図に示されるU字型部材110は、具体的には、水平方向に延在する第1のバー111a及び第2のバー111bと、第1のバー111aと第2のバー111bとが間隔をあけて平行に並ぶように接続するポール112とにより構成されている。各U字型部材110は、U字型部材の開口側の2つの端部(第1のバー111aの端部と第2のバー111bの端部)が鉛直方向に並ぶように設置されている。すなわち、U字型部材110は、立設されている。このように、各U字型部材110は、水平方向に向けて開口している。換言すると、U字型部材110は、荷台10の水平方向外側に向けて開口している。特に、本実施の形態では、荷台10の底面の両サイドの2つのU字型部材110は、開口する方向が同じとなるように設けられている。つまり、2つのU字型部材110は、開口側の端部の向きが同じである。
【0019】
ここで、本実施の形態におけるU字型部材110の配置について、より詳細に説明する。図に示すように、U字型部材110は、荷台10の底面の外周の一部(矩形の底面の一辺)に沿うように設けられている。換言すると、U字型部材110は、荷台10の奥行き方向に沿って設けられている。つまり、U字型部材110は、荷台10の側面を形成するように設けられている。本実施の形態では、荷台10の一方のサイドに沿って第1のU字型部材110が設けられ、このサイドと反対のサイドである他方のサイドに沿って第2のU字型部材110が設けられている。このように、2つのU字型部材110は、荷台10の底面において、平行に並んで設置されている。
【0020】
各U字型部材110には、荷台10の複数の車輪120の少なくとも1つが設けられている。図に示した例では、各U字型部材110にはそれぞれ2つの車輪120が設けられている。本実施の形態では、車輪120は、例えばキャスターであり、車輪の水平方向の向きは自由自在に変更可能である。このため、任意の方向に荷台10は移動可能である。ただし、車輪120の向きは変動可能でなくてもよい。この場合、荷台10は、車輪120の向きの方向だけに、直線的に移動することとなる。なお、車輪120は省略されてもよく、また、車輪120の代わりに、荷台10が地面又は床面と接触するための任意の構成が設けられていてもよい。すなわち、荷台10は、必ずしも走行可能でなくてもよい。この場合、例えば、後述する自律移動ロボット20は、荷台10を下から持ち上げて、荷台10を浮かせることにより、荷台10を搬送する。
【0021】
車輪120は、U字型部材110の下側に設けられており、具体的には、U字型部材110を構成する二本のバーのうちの下側のバーである第2のバー111bに設けられている。図に示す構成では、U字型部材110には、2つの車輪120が設けられている。具体的には、U字型部材110の開口側の端部の付近と、その逆側の端部(U字の折り返し部分に相当する端部)の付近とにそれぞれ車輪120が設けられている。なお、全てのU字型部材110に必ずしも2つの車輪120が設けられていなくてもよい。例えば、荷台10が3点で支持される場合には、設けられる車輪120が1つだけであるU字型部材110が存在してもよい。
【0022】
次に、自律移動ロボット20について説明する。
図2は、本実施の形態にかかる自律移動ロボット20の模式的な斜視図である。また、
図3は、本実施の形態にかかる自律移動ロボット20の概略的なシステム構成を示すブロック図である。自律移動ロボット20は、例えば、住宅、施設、倉庫、工場、屋外などの移動環境内を自律的に移動するロボットである。特に、自律移動ロボット20は、荷台10の下に進入して(すなわち、荷台10の下に潜り込んで)、荷台10とともに移動することによって、荷台10を運搬する。本実施の形態では、自律移動ロボット20は、本体部200と、プレート210とを有する。本体部200は、自律移動ロボット20に必要とされる機器を収容する筐体である。本体部200には、例えば、後述する制御部250、駆動部230、及び無線通信部260などが搭載されるが、これらのうち少なくとも一部が本体部200以外に搭載されていてもよい。図に示した構成では、本体部200の形状は直方体であるが、その形状は直方体に限らず任意の形状であってもよい。また、図に示した構成では、プレート210は、本体部200の上に設けられており、形状は荷台10の形状と対応する矩形であるが、その形状は矩形に限られず、円形(楕円形)などであってもよい。なお、プレート210は、本体部200と一体的に設けられていてもよい。プレート210は、水平に設けられており、自律移動ロボット20におけるプレート210の地面又は床面からの位置は、荷台10のU字型部材110の第1のバー111a及び第2のバー111bの間の隙間の位置に対応している。なお、以下の説明では、U字型部材110の第1のバー111a及び第2のバー111bの間の隙間のことを、U字型部材110の隙間と称すこととする。
【0023】
また、自律移動ロボット20は、さらに、車輪220と、駆動部230と、センサ240と、自律移動ロボット20の制御を行う制御部250と、無線通信部260とを備えている。
【0024】
本実施の形態では、車輪220は、例えば、メカナムホイールであるが、自律移動ロボット20は、これに限らず、車輪220として任意の構成の車輪を有してもよい。また、図に示した構成では、自律移動ロボット20は、図における前面と後面に、2個ずつの車輪220を備えているが、車輪220の搭載位置及びその数は、図に示した構成に限られない。駆動部230は、モータなどのアクチュエータを有し、制御部250からの制御信号に応じて、車輪220を回転させることで、自律移動ロボット20の任意の方向への移動と、回転とを可能にする。これにより、自律移動ロボット20は、任意の位置に移動することができる。また、プレート210が上昇及び降下が可能である場合、駆動部230は、制御部250からの制御信号に応じて、さらに、プレート210の上昇及び降下についての駆動を行ってもよい。
【0025】
センサ240は、自律移動ロボット20の移動環境についての情報である環境情報(例えば、自律移動ロボット20の周辺の任意の物体についての距離情報、画像情報など)を検出するセンサである。センサ240は、例えば、ライダー(LiDAR:light detection and ranging)センサであるが、カメラ(RGB-Dカメラ、ステレオカメラ)などであってもよい。センサ240は、自律移動ロボット20が移動するために必要となる環境情報を検出し、検出した環境情報を制御部250に出力する。制御部250は、センサ240により検出された環境情報、移動環境の地図情報などの情報に基づいて制御信号を生成し、自律移動ロボット20を自律的に移動させる。本実施の形態では、センサ240は、プレート210の端部に設けられている。なお、後述するように、荷台10によってセンサ240の視界が遮られないように、センサ240はプレート210の端部に設けることが好ましいが、自律移動ロボット20の他の位置に設けられていてもよい。なお、図に示した構成では、センサ240は、プレート210の先端の側面に設けられているが、プレートの上面や下面に設けられていてもよい。
【0026】
無線通信部260は、必要に応じてサーバ又は他のロボットなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。なお、自律移動ロボット20が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部260が省略されてもよい。
【0027】
制御部250は、自律移動ロボット20を制御する装置であり、プロセッサ251、メモリ252、及びインタフェース253を備える。プロセッサ251、メモリ252、及びインタフェース253は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0028】
インタフェース253は、センサ240、駆動部230、無線通信部260などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0029】
メモリ252は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ252は、プロセッサ251により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び自律移動ロボット20の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0030】
プロセッサ251は、メモリ252からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、制御部250の後述する処理を行う。
【0031】
プロセッサ251は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ251は、複数のプロセッサを含んでもよい。
このように、制御部250は、コンピュータとして機能する装置である。
【0032】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0033】
ここで、自律移動ロボット20が備えるプレート210の詳細について説明する。プレート210は、荷台10の幅よりも長い幅を有する。換言すると、プレート210の幅は、荷台10の脚の間隔(荷台10の一方のサイドのU字型部材110と、その反対サイドのU字型部材110との間隔)よりも長い幅を有する。なお、プレート210において、本体部200より水平方向外側に突出している部分は凸部とも称されうる。また、プレート210の厚さは、U字型部材110の隙間よりも薄い。このため、プレート210をU字型部材110の隙間に挿入することが可能である。すなわち、自律移動ロボット20が移動することにより、プレート210がU字型部材110に挿入される。この場合、制御部250は、自律移動ロボット20がU字型部材110の延在する方向にU字型部材110の開口側から進むように制御する。なお、人が荷台10を移動させることによって、自律移動ロボット20を荷台10の下に潜り込ませてもよい。
【0034】
図4は、自律移動ロボット20が荷台10の下に潜り、自律移動ロボット20と荷台10が連結した状態を示す模式的な斜視図である。また、
図5は、
図4における切断線V-Vによる自律移動ロボット20及び荷台10の模式的な断面図である。
図4及び
図5に示すように、プレート210の端部(すなわち、凸部)が、U字型部材110の隙間に挿入され、プレート210の幅方向の先端が荷台10の外側に突出することが可能である。このように、本実施の形態によれば、荷台10にU字型部材110が設けられているため、荷台10の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボット20を荷台10に潜り込ませることができる。これにより、大きいプレート210により荷台10を支持することができる。特に、本実施の形態では、荷台10の両サイドにU字型部材110が設けられている。このため、両サイドにおいて自律移動ロボット20が荷台10からはみ出ることが可能であるため、より大きい幅を有する自律移動ロボット20を荷台に潜り込ませることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、上述の通り、センサ240は、U字型部材110よりも水平方向外側に飛び出ることになる部分である、プレート210の端部に設けられている。このため、荷台10の下に自律移動ロボット20が潜った状態においても、センサ240の視界が荷台10によって遮られることが抑制される。つまり、センサ240の位置を、荷台10の外側にすることができるため、荷台10によるセンサ240の死角の発生を抑制することができる。したがって、自律移動ロボット20が荷台10に潜った場合であっても、センサ240は適切に周辺の情報を取得することができる。
【0036】
なお、自律移動ロボット20は、荷台10の下に潜り込んだ後、荷台10と連結する。すなわち、自律移動ロボット20の移動にともなって荷台10が移動するよう、自律移動ロボット20と荷台10との相対的な位置関係が固定される。この連結は、任意の方法により行うことが可能である。例えば、連結は、自律移動ロボット20のロック部材と荷台10のロック部材とが機械的に接続することにより行われてもよいし、制御部250がプレート210を上昇させて荷台10を持ち上げることにより行われてもよいし、制御部250の制御により磁力を発生させることで行われてもよい。
【0037】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、荷台10の2つのU字型部材110は、開口する方向が同じとなるように設けられている。これに対し、本実施の形態では、2つのU字型部材110の開口する方向が異なる点で、実施の形態1と異なっている。以下、上述した実施の形態と異なる点について説明し、重複する構成及び機能については適宜説明を省略する。
【0038】
図6は、実施の形態2にかかる荷台11の模式的な斜視図である。荷台11は、上述の通り、開口する方向が逆になるように2つのU字型部材110が設けられている点で、実施の形態1にかかる荷台10と異なっている。また、
図7は、自律移動ロボット20が荷台11の下に潜り、自律移動ロボット20と荷台11が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
図7に示すように、このような構成でも、プレート210をU字型部材110に挿入することで、荷台11の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボット20を荷台11に潜り込ませることができる。すなわち、自律移動ロボット20が荷台11の真下に位置した状態で、プレート210の先端を荷台11の外側に突出させることが可能である。
【0039】
本実施の形態では、制御部250は、自律移動ロボット20が一方のU字型部材110の延在する方向にこの一方のU字型部材110の開口側から進むように制御し、自律移動ロボット20が荷台11の下まで進んだ後、自律移動ロボット20が他方のU字型部材110に向かって進むように制御する。すなわち、制御部250は、U字型部材110の延在する方向に自律移動ロボット20を進ませた後、U字型部材110の延在する方向と直交する方向に自律移動ロボット20を進ませる。このように、制御部250は、自律移動ロボット20がLの字を描くように進むように制御することで、プレート210の両サイドがU字型部材110に挿入されるようにする。なお、本実施の形態では、このような二段階の移動が行われるが、実施の形態1に示した荷台10によれば、2つのU字型部材110の開口の方向が同じであるため、U字型部材110の延在する方向に自律移動ロボット20を進ませるだけで、プレート210の両サイドがU字型部材110に挿入される。したがって、実施の形態1では、開口する方向が同じでない場合に比べて、自律移動ロボット20が容易に荷台10に潜り込むことができるという利点もある。なお、実施の形態2でも、人が荷台11を移動させることによって、自律移動ロボット20を荷台11の下に潜り込ませてもよい。
【0040】
実施の形態1では、2つのU字型部材110は、開口する方向が同じとなるように設けられていたため、自律移動ロボット20が荷台10に潜り込むことが可能な方向は一つに限られていた。これに対して、本実施の形態では、荷台11の底面の両サイドの2つのU字型部材110は、開口する方向が逆になるように設けられているため、自律移動ロボット20は2つの方向から荷台11に潜り込むことができる。また、U字型部材110の開口の向きが逆となっていることで、実施の形態1のように2つのU字型部材110の向きを同じにする場合に比べて、鉛直方向にかかる荷重に対するU字型部材110の強度を得ることができる。すなわち、荷台に対して鉛直方向の力がかかった際のU字型部材110の変形(U字型部材110の開口が閉じるような変形)を抑制することができる。
【0041】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態1では、荷台10は2つのU字型部材110を有した。これに対し、本実施の形態では、荷台12が1つのU字型部材110と1つのリング型部材130を有する点で、実施の形態1と異なっている。すなわち、実施の形態3は、2つのU字型部材110のうちの1つがリング型部材130に置き換わった点で、実施の形態1と異なっているが、その他については実施の形態1と同様である。このように、本実施の形態にかかる荷台12は、荷台12の底面の一方のサイドにU字型部材110を有する脚部が設けられ、当該底面の他方のサイドにリング型部材130を有する脚部が設けられている。以下、上述した実施の形態と異なる点について説明し、重複する構成及び機能については適宜説明を省略する。
【0042】
図8は、実施の形態3にかかる荷台12の模式的な斜視図である。図に示すように、荷台12の底面、すなわち載置部100の底面に、底面の幅の方向に所定の間隔でU字型部材110とリング型部材130が設けられている。具体的には、U字型部材110が、底面の両サイドのうちの一方のサイド(図において荷台12の左側)に設けられ、リング型部材130が、他方のサイド(図において荷台12の右側)に設けられている。このように、本実施の形態では、荷台12は、U字型部材110とリング型部材130をそれぞれ脚部として有している。図に示されるリング型部材130は、具体的には、矩形の環状の部材である。リング型部材130は、立設されている。より詳細には、リング型部材130は、リング型部材130の内側の閉曲線からなる平面が鉛直方向と平行になるように設けられている。このように、リング型部材130は、他の物体が水平方向に貫通可能に設けられている。リング型部材130の内側の空間の鉛直方向の長さは、U字型部材110の隙間の大きさと略同じである。また、リング型部材130の内側の空間の地面又は床面からの位置は、U字型部材110の隙間の地面又は床面からの位置と略同じである。リング型部材130の内側の空間は水平方向に広がっており、リング型部材130の長手方向は水平方向と一致する。そして、リング型部材130の内側の空間の奥行き方向の長さは、プレート210の奥行き方向の長さよりも大きい。なお、以下の説明では、リング型部材130の内側の空間を、リング型部材130の隙間と称すこととする。
【0043】
また、本実施の形態においても、脚部の構成として、さらに、車輪120が設けられている。具体的には、U字型部材110及びリング型部材130には、荷台12の複数の車輪120の少なくとも1つが設けられている。図に示した例では、U字型部材110及びリング型部材130にはそれぞれ2つの車輪120が設けられている。リング型部材130の車輪120は、リング型部材130の下側に設けられており、具体的には、リング型部材130を構成する矩形の環状の部材の底辺に設けられている。具体的には、リング型部材130の底辺の両端の付近にそれぞれ車輪120が設けられている。
【0044】
本実施の形態にかかる自律移動ロボット20は、実施の形態1と同様の構成を備えるが、特に以下のような特徴を有している。プレート210の厚さは、U字型部材110の隙間及びリング型部材130の隙間よりも薄い。このため、プレート210をU字型部材110の隙間及びリング型部材130の隙間に挿入することが可能である。すなわち、自律移動ロボット20が移動することにより、プレート210がU字型部材110及びリング型部材130に挿入される。
【0045】
上述したように、本実施の形態にかかる荷台12では、底面の一方のサイドにU字型部材110を有する脚部が設けられ、底面の他方のサイドにリング型部材130を有する脚部が設けられている。このような構成でも、プレート210をU字型部材110及びリング型部材130に挿入することで、荷台12の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボット20を荷台12に潜り込ませることができる。すなわち、自律移動ロボット20が荷台12の真下に位置した状態で、プレート210の先端を荷台12の外側に突出させることが可能である。特に、本実施の形態によれば、両サイドにおいて自律移動ロボット20が荷台12からはみ出ることが可能であるため、より大きい幅を有する自律移動ロボット20を荷台12に潜り込ませることができる。
【0046】
本実施の形態では、制御部250は、自律移動ロボット20がU字型部材110の延在する方向にこのU字型部材110の開口側から進むように制御し、自律移動ロボット20が荷台12の下まで進んだ後、自律移動ロボット20がリング型部材130に向かって進むように制御する。すなわち、制御部250は、U字型部材110の延在する方向に自律移動ロボット20を進ませた後、U字型部材110の延在する方向と直交する方向に自律移動ロボット20を進ませる。このように、制御部250は、自律移動ロボット20がLの字を描くように進むように制御することで、プレート210がU字型部材110及びリング型部材130に挿入されるようにする。なお、本実施の形態でも、人が荷台12を移動させることによって、自律移動ロボット20を荷台12の下に潜り込ませてもよい。
【0047】
本実施の形態では、2つのU字型部材110のうちの一つがリング型部材130に置き換わっているため、実施の形態1のように2つのU字型部材110を用いる場合に比べて、鉛直方向にかかる荷重への強度を得ることができる。すなわち、荷台に対して鉛直方向の力がかかった際のU字型部材110の変形(U字型部材110の開口が閉じるような変形)を抑制することができる。
【0048】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態は、自律移動ロボットの構成が異なる点で、実施の形態1と異なる。
図9は、実施の形態4にかかる自律移動ロボット21の模式的な斜視図である。実施の形態4にかかる自律移動ロボット21は、鉛直方向にそびえ立つプレート215が追加されている点で、実施の形態1にかかる自律移動ロボット20と異なる。なお、自律移動ロボット21に対して例えば荷台10が用いられるが、荷台11又は荷台12が用いられてもよい。以下、上述した実施の形態と異なる点について説明し、重複する構成及び機能については適宜説明を省略する。
【0049】
プレート215は、プレート210の端に立設されている。より詳細には、プレート215は、プレート210の端においてプレート210に垂直に設けられている。また、プレート215の上部の側面には、センサ240が設けられている。なお、
図9に示した例では、プレート215の前後左右の4つの側面にセンサ240が設けられているが、これらの側面のうちの一部だけにセンサ240が設けられていてもよい。また、プレート215の上側の先端にセンサ240が設けられていてもよい。
【0050】
図10は、自律移動ロボット21が荷台10の下に潜り、自律移動ロボット21と荷台10が連結した状態を示す模式的な斜視図である。
図10に示すように、このような構成でも、プレート210をU字型部材110に挿入することで、荷台10の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボット21を荷台10に潜り込ませることができる。そして、自律移動ロボット21と荷台10が連結した状態において、プレート215は荷台10の上側に飛び出ている。このため、自律移動ロボット21と荷台10が連結した状態においても、プレート215に設けられたセンサ240により、広範な領域を検知することが可能となる。このように、自律移動ロボット21がプレート210の端に立設されたプレート215を有することにより、プレート215にセンサ240を設けることができるため、高い位置にセンサ240を備え、広範な範囲を検知することができる。
【0051】
<実施の形態5>
次に、実施の形態5について説明する。本実施の形態も、自律移動ロボットの構成が異なる点で、実施の形態1と異なる。
図11は、実施の形態5にかかる自律移動ロボット22の模式的な斜視図である。また、
図12は、自律移動ロボット22が荷台10の下に潜り、自律移動ロボット22と荷台10が連結した状態を示す模式的な斜視図である。実施の形態5にかかる自律移動ロボット22は、車輪220が設けられている位置が異なる点で、実施の形態1にかかる自律移動ロボット20と異なる。以下、上述した実施の形態と異なる点について説明し、重複する構成及び機能については適宜説明を省略する。
【0052】
本実施の形態では、自律移動ロボット22の車輪220は、プレート210の端部の下方に設けられている。具体的には、車輪120は、荷台10との連結時に、U字型部材110よりも水平方向外側に飛び出ることになる端部の下方に設けられている。図に示した例では、より詳細には、プレート210の端部の下方に設けられ下方に延在する車輪接続部材225に車輪220が設けられている。また、図に示した構成では、自律移動ロボット22は、図における前面と後面に、2個ずつの車輪220を備えているが、車輪220の搭載位置及びその数は、図に示した構成に限られない。なお、図に示すように、プレート210の端部に設けられた車輪220の内側には、U字型部材110の第2のバー111bが挿入されるための空間(車輪接続部材225と本体部200との間の空間)が設けられている。
図12に示すように、このような構成でも、プレート210をU字型部材110に挿入することで、荷台10の脚の間隔より大きい幅を有する自律移動ロボット22を荷台10に潜り込ませることができる。また、本実施の形態にかかる構成によれば、U字型部材110に自律移動ロボット22のプレート210が挿入された際に、自律移動ロボット22の車輪220の位置をU字型部材110の外側にすることができる。このため、車輪220の間隔が大きい自律移動ロボット22を用いて、荷台を搬送することができる。つまり、自律移動ロボット22の車輪220の間隔を長くすることができるため、支持多角形を大きくすることができる。よって、自律移動ロボット22の安定性を向上することができる。すなわち、自律移動ロボット22の転倒の発生を抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した例では、自律移動ロボット20は、荷台の両サイドにおいて、はみ出ることが可能であった。しかしながら、自律移動ロボット20が必ずしも荷台の両サイドからはみ出なくてもよい。この場合、荷台の片方のサイドだけに、U字型部材110が用いられていてもよい。すなわち、荷台は、底面の少なくとも一つのサイドにU字型部材110を有すればよい。
【符号の説明】
【0054】
10 荷台
11 荷台
12 荷台
20 自律移動ロボット
21 自律移動ロボット
22 自律移動ロボット
100 載置部
110 U字型部材
111a 第1のバー
111b 第2のバー
112 ポール
120 車輪
130 リング型部材
200 本体部
210 プレート
215 プレート
225 車輪接続部材
220 車輪
230 駆動部
240 センサ
250 制御部
251 プロセッサ
252 メモリ
253 インタフェース
260 無線通信部