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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電動車
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241203BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241203BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241203BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241203BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241203BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20241203BHJP
【FI】
H02J7/00 V
H02J7/00 P
H02J7/10 K
H02J7/00 301B
H01M10/44 Q
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022043436
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2023137297
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 史好
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085335(JP,A)
【文献】特開平10-290533(JP,A)
【文献】特開2009-077535(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/10
H01M 10/44
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電可能な充電装置と、前記外部電源を前記充電装置に接続するケーブル装置のケーブル側コネクタと接続可能な車両側コネクタと、前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続の有無を検出する接続検出装置と、外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電する際に前記充電装置を制御すると共に前記外部電源から供給される供給電力に基づいて前記蓄電装置を満充電するまでに要する残充電時間を演算する制御装置と、を備える電動車であって、
前記ケーブル装置は、外部電源から前記充電装置への電力ラインの接続と接続の解除とを行なうと共に外部電源から前記充電装置への電力ラインが接続されている接続状態と接続が解除されている接続解除状態とを示す接続信号を前記制御装置に送信する接続スイッチを有し、
前記制御装置は、前記ケーブル装置を介して前記充電装置が前記外部電源に接続された状態で前記外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電している最中に前記接続スイッチの操作により前記接続解除状態の接続信号を受信した際、前記接続検出装置により前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続が検出されたときには前記接続解除状態の接続信号を受信する前の前記供給電力を保持して前記残充電時間を演算する、
ことを特徴とする電動車。
【請求項2】
請求項1記載の電動車であって、
前記制御装置は、前記蓄電装置の充電中に前記接続解除状態の接続信号を受信した際、前記接続検出装置により前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続の解除が検出されたときには前記供給電力をクリアする、
電動車。
【請求項3】
請求項1または2記載の電動車であって、
前記制御装置は、前記残充電時間を報知する、
電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車に関し、詳しくは、 外部電源からの電力を用いて搭載されている蓄電装置を充電する充電装置を搭載する電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動車としては、外部電源からの電力を用いて搭載している蓄電装置を充電するときには、蓄電装置の必要充電量とユーザにより指定された充電終了予定時刻とに基づいて蓄電装置の充電電流と充電時間についての充電スケジュールを決定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電動車では、外部電源から供給可能な電流の範囲内で現在の時刻から充電終了予定時刻までの充電可能時間内に必要充電量を蓄電装置に供給することができる最小の充電電流である最小充電電流に基づいて充電スケジュールを決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-81324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電動車では、充電中は外部電源から供給される電力を用いて充電完了までの時間(残充電時間)を演算するものが多い。電動車には、ケーブル装置を用いて外部電源と車載された充電装置とを接続して蓄電装置の充電を行なうものがある。ケーブル装置には、外部電源の電源側電力ラインと充電装置が取り付けられた車両側電力ラインとを接続するケーブル側電力ラインにリレーが取り付けられていると共にリレーにより電源側電力ラインと車両側電力ラインとを遮断するスイッチが設けられている場合もある。この場合、外部電源からの電力により蓄電装置を充電している最中にスイッチ操作が行なわれて電源側電力ラインと車両側電力ラインとが遮断されたときには、ユーザがケーブル装置を取り外していないにもかかわらず、供給電力が値0となることから残充電時間がクリアされてしまう。この場合、再度のスイッチ操作により充電が再開したときには新たな充電として処理されてしまい、ユーザに違和感を与える。
【0005】
本発明の電動車は、車載された蓄電装置を充電する充電装置と外部電源とを接続するケーブル装置のスイッチの操作により充電が中断されたときに、より適正に対処することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電動車は、
蓄電装置と、外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電可能な充電装置と、前記外部電源を前記充電装置に接続するケーブル装置のケーブル側コネクタと接続可能な車両側コネクタと、前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続の有無を検出する接続検出装置と、外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電する際に前記充電装置を制御すると共に前記外部電源から供給される供給電力に基づいて前記蓄電装置を満充電するまでに要する残充電時間を演算する制御装置と、を備える電動車であって、
前記ケーブル装置は、外部電源から前記充電装置への電力ラインの接続と接続の解除とを行なうと共に外部電源から前記充電装置への電力ラインが接続されている接続状態と接続が解除されている接続解除状態とを示す接続信号を前記制御装置に送信する接続スイッチを有し、
前記制御装置は、前記ケーブル装置を介して前記充電装置が前記外部電源に接続された状態で前記外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電している最中に前記接続スイッチの操作により前記接続解除状態の接続信号を受信した際、前記接続検出装置により前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続が検出されたときには前記接続解除状態の接続信号を受信する前の前記供給電力を保持して前記残充電時間を演算する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の電動車では、蓄電装置と、外部電源からの電力を用いて蓄電装置を充電可能な充電装置と、外部電源を充電装置に接続するケーブル装置のケーブル側コネクタと接続可能な車両側コネクタと、車両側コネクタとケーブル側コネクタとの接続の有無を検出する接続検出装置と、外部電源からの電力を用いて蓄電装置を充電する際に充電装置を制御すると共に外部電源から供給される供給電力に基づいて蓄電装置を満充電するまでに要する残充電時間を演算する制御装置と、を備える。ケーブル装置は、外部電源から充電装置への電力ラインの接続と接続の解除とを行なうと共に外部電源から充電装置への電力ラインが接続されている接続状態と接続が解除されている接続解除状態とを示す接続信号を制御装置に送信する接続スイッチを有する。制御装置は、ケーブル装置を介して充電装置が外部電源に接続された状態で外部電源からの電力を用いて蓄電装置を充電している最中に接続スイッチの操作により接続解除状態の接続信号を受信した際、接続検出装置により車両側コネクタとケーブル側コネクタとの接続が検出されたときには接続解除状態の接続信号を受信する前の供給電力を保持して残充電時間を演算する。この場合の残充電時間も保持されることになる。これにより、再度の接続スイッチの操作により接続状態とされて充電が再開されたときに継続して残充電時間を演算することができる。この結果、車載された蓄電装置を充電する充電装置と外部電源とを接続するケーブル装置の接続スイッチの操作により充電が中断されたときに、より適正に対処することができる。
【0009】
本発明の電動車において、前記制御装置は、前記蓄電装置の充電中に前記接続解除状態の接続信号を受信した際、前記接続検出装置により前記車両側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続の解除が検出されたときには前記供給電力をクリアするものとしてもよい。これにより、より適正に残充電時間もクリアすることができる。
【0010】
本発明の電動車において、前記制御装置は、前記残充電時間を報知するものとしてもよい。これにより、ユーザに残充電時間を知らせることができる。報知としては、ディスプレイに残充電時間を表示するものとしてもよいし、充電時間を音声出力するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】電力変換回路52の一例を示す回路図である。
図3】電子制御ユニット70により実行される残充電時間演算処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0013】
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、昇圧コンバータ40と、高電圧側電力ライン42と、低電圧側電力ライン44と、システムメインリレー38と、充電器50と、充電用電力ライン51と、車両側インレット54と、電子制御ユニット70と、を備える。車両側インレット54には、充電用ケーブル装置120を介して商用電源220のコネクタ254が接続される。
【0014】
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
【0015】
インバータ34は、モータ32に接続されると共に高電圧側電力ライン42に接続されている。このインバータ34は、6つのトランジスタと、6つのダイオードと、を有する周知のインバータ回路として構成されている。
【0016】
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン44に接続されている。
【0017】
昇圧コンバータ40は、高電圧側電力ライン42と低電圧側電力ライン44とに接続されており、2つのトランジスタと、2つのダイオードと、リアクトルと、を有する周知の昇降圧コンバータ回路として構成されている。
【0018】
高電圧側電力ライン42の正極母線と負極母線とには高電圧側コンデンサ46が接続されている。低電圧側電力ライン44の正極母線と負極母線とには低電圧側コンデンサ48が取り付けられている。低電圧側電力ライン44には、システムメインリレー38が取り付けられている。このシステムメインリレー38は、低電圧側電力ライン44の正極母線に設けられた正極側リレーSMRBと、低電圧側電力ライン44の負極母線に設けられた負極側リレーSMRGと、負極側リレーSMRGをバイパスするようにプリチャージ用抵抗Rとプリチャージ用リレーSMRPとが直列接続されたプリチャージ回路と、を有する。低電圧側電力ライン44には、補機バッテリ86や図示しない補機が接続された補機用電力ライン84との間で電力をやりとりするDC/DCコンバータ82が接続されている。
【0019】
充電器50は、一端は低電圧側電力ライン44のシステムメインリレー38より昇圧コンバータ40側(モータ32側)に接続されていると共に他端は車両側インレット54に接続された充電用電力ライン51と、充電用電力ライン51に取り付けられた電力変換回路52とを備える。電力変換回路52は、商用電源20からの交流電力をバッテリ35を充電可能な所望の電圧の直流電力に変換する周知の電力変換回路である。電力変換回路52は、例えば、図2に示すように、商用電源220からの交流電力を所望の電圧の直流電力に変換する商用電源側AC/DC変換回路52aと、平滑コンデンサ52bと、直流電力を交流電力に変換するDC/AC変換回路52cと、トランス52dと、交流電力を直流電力に変換するバッテリ側AC/DC変換回路52eと、を備えるものを用いることができる。
【0020】
車両側インレット54には、充電用電力ライン51の他に、他端が接地された車両側接地ライン57と、他端が電子制御ユニット70に接続された車両側接続ライン58と、他端が電子制御ユニット70に接続された車両側通信ライン60と、車両側インレット54に取り付けられたリッドセンサ56に接続されると共に他端が電子制御ユニット70に接続されたリッド信号ライン62と、が接続されている。車両側接地ライン57と車両側接続ライン58とは抵抗を介して接続されている。リッドセンサ56は、車両側インレット54を覆うリッド(蓋)が開状態であるか閉状態であるかを検出するセンサである。
【0021】
充電器50は、車両側インレット54に充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aが接続されると共に充電用ケーブル装置120の電源用コネクタ154bが商用電源220側の電源側コネクタ254に接続されている状態で、商用電源220の電力によりバッテリ36を充電する。
【0022】
充電用ケーブル装置120は、ケーブル用電子制御ユニット(以下、ケーブルECUという)130と、電源回路132と、コントロールパイロット回路134と、車両用コネクタ154aと、電源用コネクタ154bと、ケーブル側電力ライン151と、ケーブル側電力ライン151に取り付けられた充電用リレー152と、ケーブル側接地ライン157と、ケーブル側接続ライン158と、接続スイッチ158aと、ケーブル側温度検出ライン162と、を備える。充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aを車両側インレット54に接続すると共に充電用ケーブル装置120の電源用コネクタ154bを商用電源220側の電源側コネクタ254に接続すると、充電用電力ライン51はケーブル側電力ライン151を介して商用電源220の電源側電力ライン251に接続される。そして、車両側接地ライン57はケーブル側接地ライン157に接続され、車両側接続ライン58はケーブル側接続ライン158に接続され、車両側通信ライン60はケーブル側通信ライン160に接続される。また、ケーブル側温度検出ライン162は、電源側コネクタ254に取り付けられた温度センサ256に接続された電源側温度検出ライン262に接続される。電源回路132は、ケーブル側電力ライン151に接続されており、充電用ケーブル装置120の電源用コネクタ154bが商用電源220側の電源側コネクタ254に接続され、ケーブル側電力ライン151が商用電源220の電源側電力ライン251に接続された状態としたときに、商用電源220から供給された交流電力を所定電圧の直流電力に変換してケーブルECU130などに供給する。コントロールパイロット回路134は、図示しない発振回路を有しており、発振回路からの発信信号をケーブルECU130からの制御信号によりデューティを変更してケーブル側通信ライン160に出力する。接続スイッチ158aは、一端が車両側接地ライン57に接続され、他端が車両側接続ライン58に接続されるケーブル側接続ライン158に抵抗を介して接続され、接続スイッチ158aの両端は抵抗を介して接続されている。接続スイッチ158aは、車両用コネクタ154a近傍に押し下げたときにオフとなる押し下げスイッチとして構成されている。ケーブルECU130は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートなどを備える。ケーブルECU130には、ケーブル側温度検出ライン142が接続されており、電源側コネクタ254に取り付けられた温度センサ240からの電源コネクタ温度が入力されている。ケーブルECU130には、ケーブル側電力ライン151に取り付けられた図示しない漏電検出回路からの信号も入力されている。ケーブルECU130からは、充電用リレー152への駆動信号が出力されている。また、ケーブルECU130は、コントロールパイロット回路134と通信している。ケーブルECU130は、商用電源220のから得られる情報(例えば定格電流や電源コネクタ温度など)に基づいて充電可能な電流を定格電流に対するデューティとしての制御信号をコントロールパイロット回路134に送信する。コントロールパイロット回路134は、ケーブルECU130から受信した制御信号に基づいて発振回路からの発信信号をディーティ制御してケーブル側通信ライン160と車両側通信ライン60を介して電子制御ユニット70に送信する。ケーブルECU130は、接続スイッチ158aが押し下げられてオフとされたときには、接続スイッチ158aがオフとされたことを検知した電子制御ユニット70からの信号に基づいて充電用リレー152をオフとする。
【0023】
電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に、処理プログラムを記憶するROM74やデータを一時的に記憶するRAM76,図示しないフラッシュメモリ,図示しない入出力ポート、図示しない通信ポートなどを備える。
【0024】
電子制御ユニット70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット70に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θm,バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧VB,バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流IBを挙げることができる。また、高電圧側コンデンサ46の端子間に取り付けられた電圧センサ46aからの高電圧側コンデンサ46(高電圧側電力ライン42)の電圧VH,低電圧側コンデンサ48の端子間に取り付けられた電圧センサ48aからの低電圧側コンデンサ48(低電圧側電力ライン44)の電圧VLも挙げることができる。充電用電力ライン51に取り付けられた電圧センサ51aからの供給電圧Vinや電圧センサ51bからの充電電圧Vchg、電流センサ51bからの充電電流Ichg、電力変換装置52内の平滑コンデンサ52bの端子間電圧を検出する電圧センサからの電圧も入力されている。また、電子制御ユニット70の入力ポートには車両側インレット54に接続された車両側接続ライン58や、車両側インレット54に取り付けられたリッドセンサ56からのリッド信号ライン62が接続されている。なお、電子制御ユニット70は、車両の駆動制御装置としても機能するため、システム起動に必要な情報や走行制御に必要な情報も入力されている。これらの情報としては、例えば、スタートスイッチ77からのスタート信号や,図示しないシフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサからのシフトポジション,図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサからのアクセル開度,図示しないブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサからのブレーキペダルポジション,図示しない車速センサからの車速などを挙げることができる。
【0025】
電子制御ユニット70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタへのスイッチング制御信号,昇圧コンバータ40のトランジスタへのスイッチング制御信号、システムメインリレー38への駆動制御信号、充電用リレー52への駆動制御信号、運転席前方のインストルパネルに配置されたディスプレイ78への表示信号、レディランプ79への点灯信号、DC/DCコンバータ82のトランジスタへのスイッチング制御信号などを挙げることができる。
【0026】
電子制御ユニット70は、通信ポートに接続された通信ライン60がケーブル側通信ライン160に接続されることにより、充電用ケーブル装置120のコントロールパイロット回路134と通信を行なう。電子制御ユニット70は、コントロールパイロット回路134からのデューティ制御された発信信号に基づいて商用電源220からバッテリ36を充電するのに供給可能な充電可能電流Iinを演算すると共に、充電可能電流Iinと電圧センサ51aからの供給電圧Vinとに基づいて充電可能電力(インフラ電力)Pinを演算している。また、電子制御ユニット70は、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36から放電可能な電力量の割合(百分率)である。
【0027】
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に商用電源220からの電力を用いてバッテリ36を充電している最中のバッテリ36の充電を終了するまでに要する時間(残充電時間)を演算する際の動作について説明する。図3は、商用電源220からの電力を用いてバッテリ36を充電している最中に電子制御ユニット70により実行される残充電時間演算処理の一例を示すフローチャートである。この残充電時間演算処理は、車両側インレット54に充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aを接続すると共に商用電源220側の電源側コネクタ254に充電用ケーブル装置120の電源用コネクタ154bを接続して商用電源220からの電力によりバッテリ36の充電を開始したときに実行される。
【0028】
残充電時間演算処理を実行すると、電子制御ユニット70は、まず、商用電源220側(インフラ側)に停電が生じているか否かを判定する(ステップS100)。この判定は、電源回路132への電力供給が行なわれているか否かにより判定することができる。
【0029】
ステップS100でインフラ側に停電は生じていないと判定したときには、ユーザにより接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフとされたか否かを判定する(ステップS110)。接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフとされたときには、上述したように、ケーブルECU130は充電用リレー152をオフとする。なお、通常の充電中にはユーザによる接続スイッチ158aの操作は行なわれない。
【0030】
ステップS100でユーザによる接続スイッチ158aの押し下げ(スイッチオフ)は行なわれていないと判定したときには、電圧センサ51aからの供給電圧Vinとコントロールパイロット回路134からの発信信号に基づく充電可能電流Iinとを入力し(ステップS120)、供給電圧Vinと充電可能電流Iinとの積として充電可能電力(インフラ電力)Pinを計算する(ステップS130)。続いて、バッテリ36の空き容量を充電可能電力(インフラ電力)Pinで除して残充電時間Tchgを計算する(ステップS160)。バッテリ36の空き領域は、バッテリ36の全容量に(100-蓄電割合SOC)/100を乗じることにより計算することができる。そして、残充電時間Tchgをディスプレイ78に表示することにより報知し(ステップS170)、バッテリ36の充電をしている最中であるか否かを判定し(ステップS200)、充電中であると判定したときにはステップS100のインフラ側に停電が生じているか否かの判定する処理に戻る。インフラ側に停電が生じておらず、ユーザによる接続スイッチ158aの操作が行なわれていないときには、充電中はステップS100~S130,S160,S170,S200の処理が繰り返し実行される。なお、バッテリ36の充電中か否かの判定は、バッテリ36の蓄電割合SOCが100%になったときや残充電時間Tchgが値0となったとき、車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとの接続が解除されたときなどに充電を終了したと判定することにより行なうことができる。
【0031】
ステップS110で充電中にユーザにより接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされたと判定したときには、車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとの接続が継続されているか解除されている(抜去されている)かを判定する(ステップS140)。電子制御ユニット70では、図1に示すように、車両側接続ライン58の電圧により、車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとが接続され且つ接続スイッチ158aがオンの状態と、車両側インレット54と車両用コネクタ154aとが接続され且つ接続スイッチ158aがオフの状態と、車両側インレット54と車両用コネクタ154aとの接続が解除されている状態と、を判定することができる。車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとの接続が継続されていると判定したときには、接続スイッチ158aが操作される前の充電可能電力(インフラ電力)Pinを保持し(ステップS150)、保持した充電可能電力(インフラ電力)Pinを用いて残充電時間Tchgを計算する(ステップS160)。接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされると、これを検知した電子制御ユニット70からの信号に基づいてケーブルECU130により充電用リレー152がオフとされることから電圧センサ51aからの供給電圧Vinが値0となり、この値0の供給電圧Vinを用いて充電可能電力(インフラ電力)Pinを計算すると充電可能電力(インフラ電力)も値0となり、残充電時間Tchgを計算することができなくなる。実施例では、接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされたときでも車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとの接続が継続されているときには、再度接続スイッチ158aの操作などによりスイッチがオンとされて充電を再開するまで違和感なく残充電時間Tchgを表示し続けるために接続スイッチ158aの操作によりスイッチがオフされる前の充電可能電力(インフラ電力)Pinを保持して残充電時間Tchgを計算するのである。こうして残充電時間Tchgを計算すると、計算した残充電時間Tchgをディスプレイ78に表示することにより報知し(ステップS170)、バッテリ36の充電をしている最中であるか否かを判定し(ステップS200)、充電中であると判定したときにはステップS100のインフラ側に停電が生じているか否かの判定する処理に戻る。インフラ側に停電が生じておらず、ユーザによる接続スイッチ158aの操作が行なわれてスイッチがオフされたときには、ユーザにより再度の接続スイッチ158aの操作などによりスイッチがオンされるまで或いは車両側インレット54と車両用コネクタ154aとの接続が解除(抜去)されるまでステップS100,S110,S140~S170,S200の処理が繰り返し実行される。なお、接続スイッチ158aの操作によりスイッチがオフされる前の充電可能電力(インフラ電力)Pinを用いて計算される残充電時間Tchgは、、バッテリ36の空き容量も充電可能電力(インフラ電力)Pinも変化しないから同じ値が計算されることになる。
【0032】
ステップS140で車両側インレット54と充電用ケーブル装置120の車両用コネクタ154aとの接続が解除(抜去)されていると判定したときには、保持していた充電可能電力(インフラ電力)Pinを値0にクリアし(ステップS180)、残充電時間Tchgの表示を解除し(ステップS190)、バッテリ36の充電をしている最中であるか否かを判定する(ステップS200)。この場合、車両側インレット54と車両用コネクタ154aとの接続が解除(抜去)されているため、充電は終了しており充電中ではないと判定されるから、本処理を終了する。
【0033】
なお、ステップS100でインフラ側に停電が生じていると判定したときには、計算した充電可能電力(インフラ電力)Pinを値0にクリアし(ステップS180)、残充電時間Tchgの表示を解除し(ステップS190)、バッテリ36の充電をしている最中であるか否かを判定する(ステップS200)。この場合、充電中と判定するものとしてもよいし、充電を終了したと判定するものとしてもよい。
【0034】
実施例の電気自動車20では、充電中にユーザにより接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされた際に、車両側インレット54と車両用コネクタ154aとの接続が継続されているときには、接続スイッチ158aの操作によりスイッチがオフされる前の充電可能電力(インフラ電力)Pinを保持して残充電時間Tchgを計算する。これにより、計算した残充電時間Tchgをディスプレイ78に表示することによりユーザに報知することができ、残充電時間Tchgが計算されずにディスプレイ78に表示されないことによってユーザに違和感を与えるのを抑制することができる。これらの結果、充電中にユーザにより接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされた際に、より適正に対処することができる。
【0035】
実施例の電気自動車20では、充電中にユーザにより接続スイッチ158aが押し下げられてスイッチがオフされた際に、車両側インレット54と車両用コネクタ154aとの接続が解除(抜去)されたときには、保持している充電可能電力(インフラ電力)Pinを値0にクリアし、残充電時間Tchgの表示を解除する。これにより、充電を終了しても残充電時間Tchgが表示されることによってユーザに違和感を与えるのを抑制することができる。
【0036】
実施例の電気自動車20では、充電用ケーブル装置120を用いて電気自動車20の車両側インレット54に商用電源220を接続して外部充電を行なうものとした。しかし、充電用ケーブル装置120を用いずに外部電源側のコネクタを電気自動車20の車両側インレット54に接続して外部充電を行なうものとしてもよい。
【0037】
実施例の電気自動車20では、外部電源として交流電力を提供する商用電源220を用いるものとしたが、外部電源として直流電力を提供する直流電源を用いるものとしてもよい。この場合、充電器50には電力変換回路52に代えて外部電源からの電力を所望の電圧の電力に変換する回路を備えるものとすればよい。
【0038】
実施例の電気自動車20では、蓄電装置として、バッテリ36を用いるものとしたが、蓄電可能な装置であればよく、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。実施例の電気自動車20では、昇圧コンバータ40を備えるものとしたが、昇圧コンバータ40を備えないものとしてもよい。
【0039】
実施例では、モータ32を備える電気自動車20の形態とした。しかし、モータ32に加えてエンジンも備えるハイブリッド自動車の形態としてもよいし、燃料電池を搭載する自動車の形態としてもよい。
【0040】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、充電リレー52や車両側インレット54などが「充電器」に相当し、電子制御ユニット70が「制御装置」に相当する。
【0041】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、電動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、36b 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、36a,46a,48a 電圧センサ、38 システムメインリレー、40 昇圧コンバータ、42 高電圧側電力ライン、44 低電圧側電力ライン、46 高電圧側コンデンサ、48 低電圧側コンデンサ、50 充電器、51 充電用電力ライン、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、52 電力変換回路、52a 商用電源側AC/DC変換回路、52b 平滑コンデンサ、52c DC/AC変換回路、52d トランス、52e バッテリ側AC/DC変換回路、54 車両側インレット、56 リッドセンサ、57 車両側接地ライン、58 車両側接続ライン、60 車両側通信ライン、62 リッド信号ライン、70 電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、77 スタートスイッチ、78 ディスプレイ、82 DC/DCコンバータ、84 補機用電力ライン、86 補機バッテリ、120 充電用ケーブル装置、130 ケーブル用電子制御ユニット(ケーブルECU)、132 電源回路、134 コントロールパイロット回路、151 ケーブル側電力ライン、充電用リレー152、154a 車両用コネクタ、154b 電源用コネクタ、157 ケーブル側接地ライン、158 ケーブル側接続ライン、158a スイッチ、160 ケーブル側通信ライン、162 ケーブル側温度検出ライン、220 商用電源、251 電源側電力ライン、254 電源側コネクタ、257 電源側接地ライン、256 温度センサ、262 電源側温度検出ライン、R プリチャージ用抵抗、SMRB 正極側リレー、SMRG 負極側リレー、SMRP プリチャージ用リレー。
図1
図2
図3