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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電子部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20241203BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20241203BHJP
   H01F 17/02 20060101ALI20241203BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20241203BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01F27/00 Q
H01F17/00 C
H01F17/02
H01F27/29 123
H01F41/04 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022121916
(22)【出願日】2022-07-29
(65)【公開番号】P2024018524
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏充
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 勇
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-153745(JP,A)
【文献】特開2022-050298(JP,A)
【文献】特開2018-061008(JP,A)
【文献】特開2019-067954(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0174996(US,A1)
【文献】特開2016-157982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00
H01F 17/00
H01F 17/02
H01F 27/29
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含むガラス本体部と、前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた突起状の結晶化部とを有するガラス基板と、
前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた有色絶縁層と、
前記ガラス本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と
を備え、
前記結晶化部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記底面に平行な第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記結晶化部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される、電子部品。
【請求項2】
前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記結晶化部の存在しない全ての領域に設けられている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記結晶化部の前記第1側面に直交する方向の厚さと、前記有色絶縁層の前記第1側面に直交する方向の厚さとは、同じである、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記結晶化部の前記第2方向の高さは、前記有色絶縁層の前記第2方向の高さよりも小さい、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記結晶化部の前記第2方向の高さh1と前記第1側面の前記第2方向の高さHとの関係は、1/5<h1/H<1/2を満たす、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項6】
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記底面側に配置されている、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項7】
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記天面側に配置されている、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項8】
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記有色絶縁層は、前記結晶化部よりも前記天面側に配置されている第1領域と、前記結晶化部よりも前記底面側に配置されている第2領域とを含む、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項9】
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と
を備える、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項10】
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記マザー基板を結晶化させて、前記第1主面に平行な方向に延在し前記第1主面から前記第2主面に至る結晶化部を形成する工程と、
前記切断領域において、前記結晶化部の一部分を残し、前記結晶化部のその他の部分をエッチングにより除去して、前記第1主面に平行な方向に延在する溝を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記溝内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記結晶化部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記結晶化部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と
を備える、電子部品の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える、請求項10に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品としては、特開2013-98350号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この電子部品は、ガラス体と、ガラス体の内部に設けられた導体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-98350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスは、絶縁性、物理的・化学的安定性などの優位点により、電子部品の絶縁体、構造体として広く用いられている。特に、従来のように、ガラス体の内部に導体が取り込まれた構造を有する電子部品は、非磁性構造が求められる高周波信号用の小型インダクタ部品として好適である。
【0005】
一方、ガラスとして透明性の高いガラスを使用した場合には、透明であることによる課題もある。例えば、近年のマウンタには、レーザセンサやカメラにより電子部品の側面を検出して、電子部品の有無や電子部品の厚み等を検出する機能を有するものが多い。そして、ガラスを使用した透明な電子部品では、マウンタのレーザセンサやカメラで認識が難しいという問題がある。また、カメラを使った外観検査なども難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、レーザセンサやカメラなどの検出装置により容易に検出することができる電子部品およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である電子部品は、
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含むガラス本体部と、前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた突起状の結晶化部とを有するガラス基板と、
前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた有色絶縁層と、
前記ガラス本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と
を備え、
前記結晶化部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記底面に平行な第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記結晶化部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。
【0008】
ここで、第1側面に直交する方向からみて、結晶化部の延在方向は、第1方向に完全に一致しているのみならず、実質的に一致していればよい。例えば、結晶化部の延在方向と第1方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。有色絶縁層の延在方向についても同様である。
【0009】
前記態様によれば、結晶化部および有色絶縁層は、ガラス本体部の第1側面に設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置によりガラス本体部の第1側面側から電子部品を検出するとき、透明度の低い結晶化部および有色絶縁層を容易に認識することができ、電子部品を容易に検出することができる。
【0010】
さらに、結晶化部および有色絶縁層は、第1側面に直交する方向からみて、第1方向に沿って延在するので、検出装置を第1方向に走査して電子部品を検出するとき、結晶化部または有色絶縁層を容易に認識することができ、電子部品を容易に検出することができる。
【0011】
また、結晶化部および有色絶縁層は、ガラス本体部の第1側面に設けられているので、ガラス本体部の露出を少なくでき、外力に対する電子部品の機械的強度を向上できる。
【0012】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記結晶化部の存在しない全ての領域に設けられている。
【0013】
前記実施形態によれば、第1側面の全領域を結晶化部および有色絶縁層で覆うことができる。これにより、検出装置により電子部品をより容易に検出でき、また、電子部品の機械的強度をより向上できる。
【0014】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、前記結晶化部の前記第1側面に直交する方向の厚さと、前記有色絶縁層の前記第1側面に直交する方向の厚さとは、同じである。
【0015】
ここで、厚さとは、平均厚さであり、具体的に述べると、第1側面に直交する方向と第2方向を含む断面において複数点を測定したときの平均値である。
【0016】
前記実施形態によれば、第1側面に直交する方向において結晶化部および有色絶縁層を面一に形成できる。これにより、結晶化部および有色絶縁層の互いの第1側面に直交する方向における段差を無くして、物体の接触による有色絶縁層の剥がれや結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0017】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、前記結晶化部の前記第2方向の高さは、前記有色絶縁層の前記第2方向の高さよりも小さい。
【0018】
ここで、高さとは、最大高さであり、具体的に述べると、第1側面に直交する方向と第2方向を含む断面において測定したときの最大値である。
【0019】
前記実施形態によれば、結晶化部を小さくできるので、物体が結晶化部に接触する可能性を低減して結晶化部の割れ欠けの可能性を低減でき、また、結晶化部に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。また、有色絶縁層を大きくできるので、電子部品の機械的強度をより向上できる。
【0020】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、前記結晶化部の前記第2方向の高さh1と前記第1側面の前記第2方向の高さHとの関係は、1/5<h1/H<1/2を満たす。
【0021】
前記実施形態によれば、h1/H<1/2を満たすので、結晶化部が必要以上に大きくならず、物体が結晶化部に接触する可能性を低減して結晶化部の割れ欠けの可能性を低減でき、また、結晶化部に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。一方、1/5<h1/Hを満たすので、結晶化部が必要以上に小さくならず、結晶化部の機械的強度を確保できる。
【0022】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記底面側に配置されている。
【0023】
前記実施形態によれば、結晶化部を天面側から離隔できるので、天面の上方に外面導体を配置した場合、外面導体の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0024】
また、ガラス本体部の底面側を実装基板に対向するように、電子部品の端子電極を実装基板に実装した後、ガラス本体部の天面側において物体が電子部品に接触し易くなるが、結晶化部は底面側に配置されているため、物体が結晶化部に接触することを低減でき、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0025】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記天面側に配置されている。
【0026】
前記実施形態によれば、結晶化部を端子電極から離隔できるので、端子電極の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0027】
また、マウンタでガラス本体部の天面側を保持して、ガラス本体部の底面側を実装基板に対向するように、電子部品の端子電極を実装基板に実装する際、ガラス本体部の底面側において物体が電子部品に接触し易くなるが、結晶化部は天面側に配置されているため、物体が結晶化部に接触することを低減でき、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0028】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記有色絶縁層は、前記結晶化部よりも前記天面側に配置されている第1領域と、前記結晶化部よりも前記底面側に配置されている第2領域とを含む。
【0029】
前記実施形態によれば、結晶化部を天面側および底面側から離隔できるので、応力集中し易いガラス基板の角部から結晶化部を離隔でき、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0030】
また、結晶化部を天面側から離隔できるので、天面の上方に外面導体を配置した場合、外面導体の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0031】
また、ガラス本体部の底面側を実装基板に対向するように、電子部品の端子電極を実装基板に実装した後、ガラス本体部の天面側において物体が電子部品に接触し易くなるが、結晶化部を天面側から離隔できるので、物体が結晶化部に接触することを低減でき、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0032】
また、結晶化部を端子電極から離隔できるので、端子電極の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0033】
また、マウンタでガラス本体部の天面側を保持して、ガラス本体部の底面側を実装基板に対向するように、電子部品の端子電極を実装基板に実装する際、ガラス本体部の底面側において物体が電子部品に接触し易くなるが、結晶化部を底面側から離隔できるので、物体が結晶化部に接触することを低減でき、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0034】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と
を備える。
【0035】
前記実施形態によれば、保護層は外面導体を覆うので、外面導体を保護することができる。また、保護層はガラス本体部の天面および底面の少なくとも一方の面を覆うので、ガラス本体部を保護することができる。
【0036】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記マザー基板を結晶化させて、前記第1主面に平行な方向に延在し前記第1主面から前記第2主面に至る結晶化部を形成する工程と、
前記切断領域において、前記結晶化部の一部分を残し、前記結晶化部のその他の部分をエッチングにより除去して、前記第1主面に平行な方向に延在する溝を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記溝内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記結晶化部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記結晶化部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と
を備える。
【0037】
前記実施形態によれば、切断領域に沿って有色絶縁層および結晶化部を切断してマザー基板を分割するので、感光性ガラスを切断する場合に比べて、切断し易くなる。また、結晶化部は有色絶縁層に接触しているため、結晶化部は有色絶縁層に固定され、有色絶縁層および結晶化部を切断する際、結晶化部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0038】
また、有色絶縁層をマザー基板の状態で設けているため、マザー基板を分割した後に個々の部品に有色絶縁層を塗布する場合と比べて、容易かつ低コストで実現できる。これに対して、分割した個々の部品のそれぞれに有色絶縁層を塗布する場合、作業手間および作業コストが増大する。
【0039】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える。
【0040】
前記実施形態によれば、保護層は外面導体を覆うので、外面導体を保護することができる。また、保護層はガラス本体部の天面および底面の少なくとも一方の面を覆うので、ガラス本体部を保護することができる。
【発明の効果】
【0041】
本開示の一態様である電子部品およびその製造方法によれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置により容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】電子部品としてのインダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】インダクタ部品の分解斜視図である。
図3】インダクタ部品の断面図である。
図4A】インダクタ部品のコイルを天面側からみた天面図である。
図4B】インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
図5A】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
図5B】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
図5C】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
図5D】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5E】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5F】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5G】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5H】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5I】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5J】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図5K】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図6】電子部品としてのインダクタ部品の第2実施形態を示す拡大断面図である。
図7】電子部品としてのインダクタ部品の第3実施形態を示す拡大断面図である。
図8A】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図8B】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
図9】電子部品としてのインダクタ部品の第4実施形態を示す拡大断面図である。
図10】電子部品としてのコンデンサ部品の第5実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本開示の一態様である電子部品およびその製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0044】
<第1実施形態>
(構成)
第1実施形態では、本発明に係る電子部品は、インダクタ部品を例として説明する。図1は、インダクタ部品を天面側から見た斜視図である。図2は、インダクタ部品を天面側から見た分解斜視図である。図3は、インダクタ部品の断面図である。図4Aは、インダクタ部品のコイルを天面側からみた天面図であり、図4Bは、インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
【0045】
インダクタ部品1は、例えば、高周波信号伝送回路に用いられる表面実装型のインダクタ部品である。図1図2図3図4A図4Bに示すように、インダクタ部品1は、ガラス基板10と、ガラス基板10に設けられたコイル110と、ガラス基板10の天面側に設けられコイル110の一部を覆う第1保護層15と、ガラス基板10の底面側に設けられコイル110の一部を覆う第2保護層16と、ガラス基板10の側面側に設けられた有色絶縁層30と、第2保護層16に設けられ、コイル110に電気的に接続された第1端子電極121および第2端子電極122とを備える。
【0046】
ガラス基板10は、ガラス本体部100と、ガラス本体部100に設けられた突起状の結晶化部101とを有する。ガラス本体部100は、長さ、幅および高さを有する直方体である。ガラス本体部100は、長さ方向の両端側にある第1側面100s1および第2側面100s2と、幅方向の両端側にある第3側面100s3および第4側面100s4と、高さ方向の両端側にある底面100bおよび天面100tとを有する。つまり、ガラス本体部100の外面は、第1側面100s1および第2側面100s2と、第3側面100s3および第4側面100s4と、底面100bおよび天面100tとを含む。底面100bは、インダクタ部品1を実装基板に実装する際に、実装基板側を向く面である。
【0047】
なお、図面に示すように、以下では、説明の便宜上、ガラス本体部100の長さ方向(長手方向)であって、第1側面100s1から第2側面100s2に向かう方向をX方向とする。また、ガラス本体部100の幅方向であって、第3側面100s3から第4側面100s4に向かう方向をY方向とする。また、ガラス本体部100の高さ方向であって、底面100bから天面100tに向かう方向をZ向とする。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する方向であって、X,Y,Zの順に並べたとき、左手系を構成する。
【0048】
この明細書では、ガラス本体部100の外面は、単にガラス本体部100の外周側を向く面という意味ではなく、ガラス本体部100の外側と内側との境界となる面である。また、「ガラス本体部100の外面(天面、底面、側面)の上方」とは、重力方向に規定される鉛直上方のような絶対的な一方向ではなく、外面を基準に、当該外面を境界とする外側と内側とのうち、外側に向かう方向を指す。したがって、「外面の上方」とは外面の向きによって定まる相対的な方向である。また、ある要素に対して「上方(above)」には、当該要素とは離れた上方、すなわち当該要素上の他の物体を介した上側の位置や間隔を空けた上側の位置だけではなく、当該要素と接する直上の位置(on)も含む。
【0049】
ガラス基板10は、絶縁性を有する。ガラス基板10は、例えば、FoturanII(SchottAG社登録商標)に代表される感光性を有するガラス基板が好ましい。特に、ガラス基板10は、セリウム酸化物(セリア:CeO)を含有していることが好ましく、この場合、セリウム酸化物が増感剤となって、フォトリソグラフィによる加工がより容易となる。
【0050】
ただし、ガラス基板10は、ドリル、サンドブラストなどの機械加工、フォトレジスト・メタルマスクなどを用いたドライ/ウェットエッチング加工、レーザ加工などによって加工できることから、感光性を有さないガラス板であってもよい。また、ガラス基板10は、ガラスペーストを焼結させたものであってもよいし、フロート法などの公知の方法よって形成されていてもよい。
【0051】
ガラス本体部100は、ガラス基板10のうちの結晶化されていないアモルファス状態の部分である。ガラス本体部100は、高い透明度を有する。結晶化部101は、ガラス基板10のうちの結晶化されている部分である。結晶化部101の透明度は、ガラス本体部100の透明度よりも低い。結晶化部101を設けることによって、ガラス基板10の実効的な誘電率を調整することが可能となる。つまり、導体11b,11t,13,14、端子電極121,122及び実装基板の配線パターンのいずれかの間において形成される浮遊容量を増加減でき、特に、インダクタ部品1の自己共振周波数を調整できる。例えば、上記FoturanIIの場合、ガラス本体部100の誘電率が6.4であるのに対し、結晶化部101の誘電率を5.8に減少できる。これによって、結晶化部101付近の、導体間の浮遊容量を減少させることができる。
【0052】
結晶化部101は、ガラス本体部100の第1側面100s1から第4側面s4の周囲を囲むように設けられている。具体的に述べると、結晶化部101は、第1側面100s1に直交する方向からみて、底面100bに平行なY方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」の一例に相当)に沿って延在している。同様に、結晶化部101は、第2側面100s2に直交する方向からみて、底面100bに平行なY方向に沿って延在している。また、結晶化部101は、第3側面100s3に直交する方向からみて、底面100bに平行なX方向に沿って延在し、第4側面100s4に直交する方向からみて、底面100bに平行なX方向に沿って延在している。
【0053】
なお、結晶化部101は、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。このとき、当該少なくとも1つの側面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、結晶化部101は、1本であるが、複数本あってもよい。
【0054】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、結晶化部101は、Y方向の左右両端に渡って連続的に延在しているが、Y方向(左右方向)において部分的に存在していてもよい。つまり、結晶化部101のY方向の長さは、第1側面100s1の左右両端の長さよりも短くてもよい。
【0055】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1に直交する方向からみて、結晶化部101の延在方向は、Y方向に完全に一致しているが、実質的に一致していればよい。例えば、結晶化部101の延在方向とY方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。
【0056】
また、ガラス本体部100は、直方体であるが円柱であってもよく、このとき、円柱の周面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。そして、結晶化部101は、円柱の周面の少なくとも一部に設けられる。
【0057】
コイル110は、軸AXに沿って螺旋状に巻回される。コイル110の軸AXは、底面100bに平行に配置される。コイル110は、複数の底面導体11bと、複数の天面導体11tと、複数の第1貫通導体13と、複数の第2貫通導体14とを含む。底面導体11bおよび天面導体11tは、特許請求の範囲に記載の「外面導体」の一例に相当する。
【0058】
複数の底面導体11bは、底面100bの上方に配置されている。複数の底面導体11bは、底面100bに接して軸AXに沿って配列されている。複数の天面導体11tは、天面100tの上方に配置されている。複数の天面導体11tは、天面100tに接して軸AXに沿って配列されている。
【0059】
複数の第1貫通導体13は、ガラス本体部100内に設けられ底面100bと天面100tを貫通する。複数の第1貫通導体13は、底面導体11bから天面導体11tに向かって延在し、軸AXに沿って配列されている。
【0060】
複数の第2貫通導体14は、ガラス本体部100内に設けられ底面100bと天面100tを貫通する。複数の第2貫通導体14は、底面導体11bから天面導体11tに向かって延在し、軸AXに沿って配列されている。第2貫通導体14は、軸AXに対して第1貫通導体13と反対側に設けられている。底面導体11bと、第1貫通導体13と、天面導体11tと、第2貫通導体14とは、この順に接続されて電気的に接続され、螺旋状のコイル110の少なくとも一部を構成する。
【0061】
天面導体11tは、ややX方向に傾いてY方向に延伸している。全ての天面導体11tは、X方向に沿って平行に配置されている。底面導体11bは、Y方向に延びる形状である。全ての底面導体11bは、X方向に沿って平行に配置されている。
【0062】
第1貫通導体13は、ガラス本体部100の貫通孔内で、軸AXに対して第3側面100s3側に配置され、第2貫通導体14は、ガラス本体部100の貫通孔内で、軸AXに対して第4側面100s4側に配置されている。第1貫通導体13および第2貫通導体14は、それぞれ、底面100bおよび天面100tに直交する方向に延伸している。全ての第1貫通導体13および全ての第2貫通導体14は、それぞれ、X方向に沿って平行に配置されている。
【0063】
底面導体11bおよび天面導体11tは、銅、銀,金又はこれらの合金などの導体材料からなる。底面導体11bおよび天面導体11tは、めっき、蒸着、スパッタリングなどによって形成された金属膜であってもよいし、導体ペーストを塗布、焼結させた金属焼結体であってもよい。また、第1貫通導体13および第2貫通導体14の材料は、底面導体11bおよび天面導体11tの材料と同じである。
【0064】
底面導体11bおよび天面導体11tは、セミアディティブ法によって形成することが好ましく、これにより、低電気抵抗、高精度及び高アスペクトな底面導体11bおよび天面導体11tを形成することができる。第1貫通導体13および第2貫通導体14は、ガラス本体部100に予め形成された貫通孔内に、底面導体11bおよび天面導体11tで例示した材料、製法を用いて形成することができる。
【0065】
第1保護層15は、天面配線11tを覆うように天面100tの上方に配置されている。第1保護層15は、天面100tと天面配線11tに接する。第1保護層15は、天面導体11tを覆うことで、天面導体11tを外力から保護して、天面導体11tの損傷を防止する。また、第1保護層15は、ガラス本体部100の天面100tを覆うので、ガラス本体部100を保護することができる。
【0066】
第2保護層16は、底面配線11bを覆うように底面100bの上方に配置されている。第2保護層16は、底面100bと底面配線11bに接する。第2保護層16は、底面導体11bを覆うことで、底面導体11bを外力から保護して、底面導体11bの損傷を防止する。また、第2保護層16は、ガラス本体部100の底面100bを覆うので、ガラス本体部100を保護することができる。
【0067】
第1保護層15および第2保護層16は、絶縁性を有し、例えば、エポキシやポリイミドなどの樹脂から構成される。
【0068】
第1端子電極121は、底面100bの上方に配置されコイル110の第1端部に接続される。第2端子電極122は、底面100bの上方に配置されコイル110の第2端部に接続される。第1端子電極121は、第2保護層16上で、ガラス基板10のX方向の中心に対して第1側面100s1側に設けられている。第2端子電極122は、第2保護層16上で、ガラス基板10のX方向の中心に対して第2側面100s2側に設けられている。
【0069】
第1端子電極121は、第2保護層16に埋め込まれた第1ビア導体121vを介して、底面導体11bに接続される。第2端子電極122は、第2保護層16に埋め込まれた第2ビア導体122vを介して、底面導体11bに接続される。
【0070】
第1端子電極121は、下地層と、下地層を覆うめっき層とを有する。下地層は、AgやCuなどの導電材料を含む。めっき層は、NiやSn、Pd、Auなどの導電材料を含む。同様に、第2端子電極122は、下地層と、下地層を覆うめっき層とを有する。なお、第1端子電極121および第2端子電極122は、単層の導電体材料から構成されていてもよい。
【0071】
有色絶縁層30は、ガラス本体部100の第1側面100s1から第4側面s4の周囲を囲むように設けられている。具体的に述べると、有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、底面100bに平行なY方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」の一例に相当)に沿って延在し、かつ、結晶化部101に対してY方向に直交するZ方向(特許請求の範囲に記載の「第2方向」の一例に相当)に隣接して配置される。つまり、有色絶縁層30は、結晶化部101にY方向に沿って接触している。同様に、有色絶縁層30は、第2側面100s2に直交する方向からみて、底面100bに平行なY方向に沿って延在し、かつ、結晶化部101に対してY方向に直交するZ方向に隣接して配置される。
【0072】
また、有色絶縁層30は、第3側面100s3に直交する方向からみて、底面100bに平行なX方向に沿って延在し、かつ、結晶化部101に対してX方向に直交するZ方向に隣接して配置される。有色絶縁層30は、第4側面100s4に直交する方向からみて、底面100bに平行なX方向に沿って延在し、かつ、結晶化部101に対してX方向に直交するZ方向に隣接して配置される。
【0073】
有色絶縁層30は、絶縁性を有し、例えば、エポキシやポリイミドなどの樹脂から構成される。有色絶縁層30は、例えば、緑色または青色などの有色であり、有色絶縁層30の透明度は、ガラス本体部100の透明度よりも低い。
【0074】
なお、有色絶縁層30は、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。このとき、当該少なくとも1つの側面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。つまり、有色絶縁層30の少なくとも一部は、第1側面に直交する方向からみて、底面100bに平行な第1方向に沿って延在し、かつ、結晶化部101に対して第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、有色絶縁層30は、複数の領域に分割されていてもよい。
【0075】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、有色絶縁層30は、Y方向の左右両端に渡って連続的に延在しているが、Y方向(左右方向)において部分的に存在していてもよい。つまり、有色絶縁層30のY方向の長さは、第1側面100s1の左右両端の長さよりも短くてもよい。
【0076】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1に直交する方向からみて、有色絶縁層30の延在方向は、Y方向に完全に一致しているが、実質的に一致していればよい。例えば、有色絶縁層30の延在方向とY方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。
【0077】
また、ガラス本体部100は、直方体であるが円柱であってもよく、このとき、円柱の周面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。そして、有色絶縁層30は、円柱の周面の少なくとも一部に設けられる。
【0078】
上記構成によれば、結晶化部101および有色絶縁層30は、ガラス本体部100の第1側面100s1に設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置によりガラス本体部100の第1側面100s1側からインダクタ部品1を検出するとき、透明度の低い結晶化部101および有色絶縁層30を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0079】
さらに、結晶化部101および有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、第Y方向に沿って延在するので、検出装置をY方向に走査してインダクタ部品1を検出するとき、結晶化部101または有色絶縁層30を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0080】
また、結晶化部101および有色絶縁層30は、ガラス本体部100の第1側面100s1に設けられているので、ガラス本体部100の露出を少なくでき、外力に対するインダクタ部品1の機械的強度を向上できる。ここで、結晶化されているガラスの機械的強度は、結晶化されていないガラスの機械的強度に比べて高い。
【0081】
なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の効果と同様の効果を有する。
【0082】
好ましくは、第1側面100s1において、有色絶縁層30は、結晶化部101の存在しない全ての領域に設けられている。上記構成によれば、第1側面100s1の全領域を結晶化部101および有色絶縁層30で覆うことができる。これにより、検出装置によりインダクタ部品1をより容易に検出でき、また、インダクタ部品1の機械的強度をより向上できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0083】
好ましくは、図3に示すように、第1側面100s1において、結晶化部101の第1側面100s1に直交する方向(X方向)の厚さt1と、有色絶縁層30の第1側面100s1に直交する方向(X方向)の厚さt2とは、同じである。ここで、厚さとは、平均厚さであり、具体的に述べると、第1側面100s1に直交する方向(X方向)と第2方向(Z方向)を含む断面において複数点を測定したときの平均値である。
【0084】
上記構成によれば、第1側面100s1に直交する方向において結晶化部101および有色絶縁層30を面一に形成できる。これにより、結晶化部101および有色絶縁層30の互いの第1側面100s1に直交する方向における段差を無くして、物体の接触による有色絶縁層30の剥がれや結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0085】
好ましくは、図3に示すように、第1側面100s1において、結晶化部101の第2方向(Z方向)の高さh1は、有色絶縁層30の第2方向(Z方向)の高さh2よりも小さい。ここで、高さとは、最大高さであり、具体的に述べると、第1側面100s1に直交する方向と第2方向(Z方向)を含む断面において測定したときの最大値である。
【0086】
上記構成によれば、結晶化部101を小さくできるので、物体が結晶化部101に接触する可能性を低減して結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減でき、また、結晶化部101に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。また、有色絶縁層30を大きくできるので、インダクタ部品1の機械的強度をより向上できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0087】
好ましくは、図3に示すように、第1側面100s1において、結晶化部101の第2方向(Z方向)の高さh1と第1側面100s1の第2方向(Z方向)の高さHとの関係は、1/5<h1/H<1/2を満たす。
【0088】
上記構成によれば、h1/H<1/2を満たすので、結晶化部101が必要以上に大きくならず、物体が結晶化部101に接触する可能性を低減して結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減でき、また、結晶化部101に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。一方、1/5<h1/Hを満たすので、結晶化部101が必要以上に小さくならず、結晶化部101の機械的強度を確保できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0089】
好ましくは、図2図3に示すように、第1側面100s1において、結晶化部101は、有色絶縁層30よりも、底面100b側に配置されている。
【0090】
上記構成によれば、結晶化部101を天面100t側から離隔できるので、天面100tに配置された天面導体11bの近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0091】
また、ガラス本体部100の底面100b側を実装基板に対向するように、インダクタ部品1の端子電極121,122を実装基板に実装する。その状態で、ガラス本体部100の天面100t側において物体がインダクタ部品1に接触し易くなるが、結晶化部101は底面100b側に配置されているため、物体が結晶化部101に接触することを低減でき、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0092】
好ましくは、図3に示すように、第1側面100s1において、第1保護層15は、有色絶縁層30に接触し、第2保護層16は、結晶化部101に接触する。具体的に述べると、Z方向上側からみて、第1保護層15は、有色絶縁層30を覆う。第1保護層15のZ方向に直交する方向に位置する側面と、有色絶縁層30のZ方向に直交する方向に位置する側面とは、同一面に位置する。Z方向下側からみて、第2保護層16は、結晶化部101を覆う。第2保護層16のZ方向に直交する方向に位置する側面と、結晶化部101のZ方向に直交する方向に位置する側面とは、同一面に位置する。
【0093】
上記構成によれば、有色絶縁層30および結晶化部101は第1保護層15および第2保護層16に固定され、有色絶縁層30および結晶化部101を切断する際、有色絶縁層30の剥がれや結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。第1保護層15および第2保護層16を有色絶縁層30および結晶化部101の一方に接触させてもよい。
【0094】
好ましくは、第1保護層15および第2保護層16の少なくとも一方は、有色絶縁層30と同様に、有色である。これによれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置によりガラス本体部100の天面100t側や底面100b側からインダクタ部品1を検出するとき、保護層15,16を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0095】
(インダクタ部品1の製造方法)
図5Aに示すように、感光性ガラスからなり第1主面200aおよび第2主面200bを含むマザー基板200を準備する。第1主面200aは、天面11tに相当し、第2主面200bは、底面100bに相当する。マザー基板200としては、例えば、FoturanIIを用いることができる。マザー基板200は一般的に、珪素、リチウム、アルミニウム、セリウム等の酸化物を含むことによって、高精度なフォトリソグラフィに対応可能となる。
【0096】
第1主面201の貫通導体形成用領域201に紫外線を照射し、その後の熱処理(例えば、焼成)でマザー基板200を結晶化させて、第1主面200aから第2主面200bに至る結晶化部を形成する。貫通導体形成用領域201とは、貫通導体を形成する領域であり、図5Aにおいてハッチングにて示す。具体的に述べると、波長約310nmの紫外光をマザー基板200に照射する。上記紫外光の照射により、例えば、感光性ガラス中のセリウムイオンなどの金属イオンが光エネルギーにより酸化され、電子を放出する。ここで、最終的にマザー基板200において得られる加工深さは、上記紫外光の照射量をマザー基板200の厚みに応じて調整することで、制御することができる。
【0097】
上記紫外光の照射に用いる露光装置としては、波長約310nmの紫外光を得られるコンタクトアライナー又はステッパーを利用できる。その他、フェムト秒レーザを含む、レーザ照射装置を光源として利用することもできる。なお、フェムト秒レーザを用いた場合、マザー基板200の内部でレーザ光を集光することで、集光部でのみ金属酸化物から電子を放出させることができる。すなわち、マザー基板200のレーザ光照射部表面は感光させず、内部のみを感光させることが可能である。
【0098】
図5Bに示すように、貫通導体形成用領域201において、結晶化部の全てをエッチングにより除去して、Z方向に延在し第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する貫通孔202を形成する。例えば、エッチングにはフッ酸水溶液を用いる。フッ酸水溶液の濃度は、例えば、5~10%であることが好ましい。エッチング工程では、フッ酸水溶液にマザー基板200全体を浸漬させる。これにより、基板内の結晶相のみがエッチングされ、貫通孔202が形成される。
【0099】
その後、第1主面201の切断領域203に紫外線を照射し、その後の熱処理(例えば、焼成)でマザー基板200を結晶化させて、第1主面200aから第2主面200bに至る結晶化部を形成する。切断領域203とは、溝を形成する領域であり、図5Bにおいてハッチングにて示す。切断領域203は、マザー基板200を分割して個片化する際のカットラインに一致する。
【0100】
図5C図5Dに示すように、切断領域203において、結晶化部の一部分を残し、結晶化部のその他の部分をエッチングにより除去して、第1主面200aに平行な方向に延在する溝204を形成する。除去されないで残存した結晶化部101は、第2主面200b側に位置し、溝204の底部を構成する。マザー基板200のうちの結晶化部101以外の部分は、図1のガラス本体部100に相当する。図5Cでは、結晶化部101をドットのハッチングにて示す。図5Dは、図5CのA-A断面図である。以下、図5Eから図5Hも同様に図5CのA-A断面に対応する。
【0101】
結晶化部の一部分(結晶化部101)を残すようにエッチングする場合、例えば、結晶化部101とする部分について、フッ酸水溶液が結晶相に浸漬しないように、フッ酸水溶液に耐性のある保護膜205で第2主面200b側から覆えばよい。図5Dでは、保護膜205を二点鎖線にて示す。
【0102】
なお、貫通導体形成用領域201と切断領域203とを同時に結晶化して、結晶化部101とする部分のみに保護膜205を設け、不要な結晶化部を同時にエッチングしてもよい。これにより、貫通孔202と溝204を同時に形成することができる。
【0103】
図5Eに示すように、マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する貫通導体13,14を形成する。具体的に述べると、例えばセミアディティブ法によって、貫通孔202に第1貫通導体13および第2貫通導体14を形成する。貫通導体13,14は、単一のシード層から形成してもよいし、別々の工程で形成してもよい。
【0104】
図5Fに示すように、溝204内に有色絶縁層30を埋め込み有色絶縁層30を結晶化部101に接触させる。具体的に述べると、例えばスピンコートによって、溝204内に有色絶縁層30を形成する。なお、有色絶縁層30を溝204内に設けつつ1主面200a上に設け、その後、第1主面200a上の有色絶縁層30を研磨などにより取り除いてもよい。
【0105】
図5Gに示すように、第1主面200aに貫通導体13,14に電気的に接続された天面導体11tを形成し、第2主面200bに貫通導体13,14に電気的に接続された底面導体11bを形成する。天面導体11tおよび底面導体11bは、例えば、貫通導体13,14と同様に、セミアディティブ法によって形成する。
【0106】
図5Hに示すように、天面導体11tを覆うように第1主面200aの上方に第1保護層15を形成し、底面導体11bを覆うように第2主面200bの上方に第2保護層16を形成する。具体的に述べると、第1保護層15および第2保護層16は、樹脂フィルムをラミネートするか、ペースト状の樹脂を塗布、熱硬化するなどによって形成される。
【0107】
図5Iに示すように、第2保護層16にビア孔を形成し、ビア孔に第1ビア導体121vを形成し、第2保護層16の上方に第1ビア導体121vに接続する第1端子電極121を形成する。第1ビア導体121vおよび第1端子電極121は、同時に形成してもよく、または、別々に形成してもよい。第1ビア導体121vおよび第1端子電極121は、例えばセミアディティブ法によって形成する。図5Iは、図5CのB-B断面に対応する。以下、図5J図5Kも同様に図5CのB-B断面に対応する。
【0108】
図5Jに示すように、切断領域203に沿って有色絶縁層30および結晶化部101を切断して、図5Kに示すように、マザー基板200を分割し、図1に示す複数のインダクタ部品1を得る。具体的に述べると、ダイシングブレード300を、第1保護層15から第2保護層16に向かって移動しつつ溝204に沿って移動する。なお、ダイシングブレード300の代わりにレーザにて切断してもよい。
【0109】
これによれば、切断領域203に沿って有色絶縁層30および結晶化部101を切断してマザー基板200を分割するので、感光性ガラスを切断する場合に比べて、切断し易くなる。また、結晶化部101は有色絶縁層30に接触しているため、結晶化部101は有色絶縁層30に固定され、有色絶縁層30および結晶化部101を切断する際、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0110】
また、有色絶縁層30をマザー基板200の状態で設けているため、マザー基板200を分割した後に個々の部品に有色絶縁層30を塗布する場合と比べて、容易かつ低コストで実現できる。これに対して、分割した個々の部品のそれぞれに有色絶縁層30を塗布する場合、作業手間および作業コストが増大する。
【0111】
<第2実施形態>
図6は、電子部品としてのインダクタ部品の第2実施形態を示す拡大断面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、結晶化部の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0112】
図6に示すように、第2実施形態のインダクタ部品1Aでは、第1側面100s1において、結晶化部101は、有色絶縁層30よりも、天面100t側に配置されている。
【0113】
上記構成によれば、結晶化部101を底面100b側に配置された端子電極121,122から離隔できるので、端子電極121,122の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0114】
また、マウンタでガラス本体部100の天面100t側を保持して、ガラス本体部100の底面100b側を実装基板に対向するように、インダクタ部品1Aの端子電極121,122を実装基板に実装する際、ガラス本体部100の底面100b側において物体がインダクタ部品1Aに接触し易くなるが、結晶化部101は天面100t側に配置されているため、物体が結晶化部101に接触することを低減でき、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0115】
また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。なお、第1から第4側面100s1~100s4の内の少なくとも1つの面において、上述の構成を満たしていればよい。
【0116】
<第3実施形態>
図7は、電子部品としてのインダクタ部品の第3実施形態を示す拡大断面図である。第3実施形態は、第1実施形態とは、結晶化部の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0117】
図7に示すように、第3実施形態のインダクタ部品1Bでは、第1側面100s1において、有色絶縁層30は、結晶化部101よりも天面100t側に配置されている第1領域31と、結晶化部101よりも底面100b側に配置されている第2領域32とを含む。図3に示す有色絶縁層30のZ方向の高さh2とは、第1領域31のZ方向の高さと第2領域32のZ方向の高さとの合計をいう。
【0118】
上記構成によれば、結晶化部101を天面100t側および底面100b側から離隔できるので、応力集中し易いガラス基板10の角部から結晶化部101を離隔でき、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0119】
また、結晶化部101を天面100t側から離隔できるので、天面100tの上方に配置された天面導体11tの近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0120】
また、ガラス本体部100の底面100b側を実装基板に対向するように、インダクタ部品1Bの端子電極121,122を実装基板に実装した後、ガラス本体部100の天面100t側において物体がインダクタ部品1Bに接触し易くなるが、結晶化部101を天面100t側から離隔できるので、物体が結晶化部101に接触することを低減でき、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0121】
また、結晶化部101を端子電極121,122から離隔できるので、端子電極121,122の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0122】
また、マウンタでガラス本体部100の天面100t側を保持して、ガラス本体部100の底面100b側を実装基板に対向するように、インダクタ部品1Bの端子電極121,122を実装基板に実装する際、ガラス本体部100の底面100b側において物体がインダクタ部品1Bに接触し易くなるが、結晶化部101を底面100b側から離隔できるので、物体が結晶化部101に接触することを低減でき、結晶化部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0123】
また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。なお、第1から第4側面100s1~100s4の内の少なくとも1つの面において、上述の構成を満たしていればよい。
【0124】
インダクタ部品1Bの製造方法について説明する。
【0125】
まず、第1実施形態の図5A図5Bに示す製造方法と同じ方法で製造する。その後、図8Aに示すように、図5Dに示す保護膜205を設けないで、マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bからエッチングを行う。これにより、除去されないで残存する結晶化部101を第1主面200aと第2主面200bの間のZ方向の中央部に位置することができる。つまり、結晶化部101を挟んでZ方向の両側に溝204を設けることができる。
【0126】
その後、図8Bに示すように、マザー基板200の貫通孔202に第1貫通導体13および第2貫通導体14を形成し、溝204内に有色絶縁層30を埋め込み有色絶縁層30を結晶化部101に接触させる。その後、図5Gから図5Kに示す製造方法と同じ方法で製造して、インダクタ部品1Bを製造する。
【0127】
<第4実施形態>
図9は、電子部品としてのインダクタ部品の第4実施形態を示す拡大断面図である。第4実施形態は、第1実施形態とは、第1保護層および第2保護層の大きさが相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0128】
図9に示すように、第4実施形態のインダクタ部品1Cでは、第1側面100s1において、第1保護層15は、Z方向からみて、有色絶縁層30に重ならず、第2保護層16は、Z方向からみて、結晶化部101に重ならない。具体的に述べると、Z方向上側からみて、第1保護層15は、有色絶縁層30から離隔している。第1保護層15のZ方向に直交する方向に位置する側面と、有色絶縁層30のZ方向に直交する方向に位置する側面との間に、段差を有する。Z方向下側からみて、第2保護層16は、結晶化部101から離隔している。第2保護層16のZ方向に直交する方向に位置する側面と、結晶化部101のZ方向に直交する方向に位置する側面との間に、段差を有する。
【0129】
上記構成によれば、インダクタ部品1Cの製造において、図5Jに示すように切断領域203(溝204)に沿って有色絶縁層30および結晶化部101を切断する際、Z方向からみて、第1保護層15および第2保護層16は、有色絶縁層30および結晶化部101に重ならないので、ダイシングブレード300は、第1保護層15および第2保護層16に接触しない。したがって、ダイシングブレード300による切断時に、第1保護層15および第2保護層16がガラス基板10(マザー基板200)から剥がれるのを抑制できる。
また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。なお、Z方向からみて、第1保護層15および第2保護層16の一方を有色絶縁層30および結晶化部101に重なるように配置してもよい。また、第1から第4側面100s1~100s4の内の少なくとも1つの面において、上述の構成を満たしていればよい。
【0130】
<第5実施形態>
第5実施形態では、本発明に係る電子部品は、コンデンサ部品を例として説明する。図10は、コンデンサ部品の断面図である。コンデンサ部品2は、例えば、高周波信号伝送回路に用いられる表面実装型のコンデンサ部品である。
【0131】
図10に示すように、コンデンサ部品2は、ガラス基板10と、ガラス基板10に設けられた第1平板電極21および第2平板電極22と、ガラス基板10に設けられ、第1平板電極21および第2平板電極22を覆う第1保護層15と、ガラス基板10の側面側に設けられた有色絶縁層30と、ガラス基板10に設けられた第1端子電極221および第2端子電極222とを備える。第1平板電極21および第2平板電極22は、特許請求の範囲に記載の「外面導体」の一例に相当する。
【0132】
ガラス基板10の材料は、第1実施形態のガラス基板10の材料と同じである。つまり、ガラス基板10は、ガラス本体部100と結晶化部101とを有する。第1保護層15の材料は、第1実施形態の第1保護層15の材料と同じである。有色絶縁層30の材料は、第1実施形態の有色絶縁層30の材料と同じである。第1平板電極21および第2平板電極22の材料は、第1実施形態の天面導体11tおよび底面導体11bの材料と同じである。第1端子電極221および第2端子電極222の材料は、第1実施形態の第1端子電極121および第2端子電極122の材料と同じである。
【0133】
第1平板電極21および第2平板電極22は、ガラス基板10の天面100tに設けられる。第1平板電極21は、ガラス基板10の天面100tに接触し、第2平板電極22は、第1平板電極21の上方に位置する。第1平板電極21と第2平板電極22の間には、誘電膜25が設けられている。第1平板電極21と第2平板電極22と誘電膜25は、コンデンサ素子を構成する。
【0134】
第1端子電極221および第2端子電極222は、ガラス基板10の底面100bに接触する。第1端子電極221および第2端子電極222は、互いに離隔している。
【0135】
コンデンサ部品2は、さらに、ガラス基板10を貫通する第1貫通導体23および第2貫通導体24を有する。第1貫通導体23は、第1端子電極221と第1平板電極21の間に接続される。第2貫通導体24は、第2端子電極222と第2平板電極22の間に接続される。
【0136】
結晶化部101および有色絶縁層30は、第1実施形態と同様に、ガラス本体部100の第1側面100s1から第4側面100s4のそれぞれに設けられている。なお、結晶化部101および有色絶縁層30は、それぞれ、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。
【0137】
上記構成によれば、結晶化部101および有色絶縁層30は、ガラス本体部100の第1側面100s1に設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置によりガラス本体部100の第1側面100s1側からコンデンサ部品2を検出するとき、透明度の低い結晶化部101および有色絶縁層30を容易に認識することができ、コンデンサ部品2を容易に検出することができる。
【0138】
さらに、結晶化部101および有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、第Y方向に沿って延在するので、検出装置をY方向に走査してコンデンサ部品2を検出するとき、結晶化部101または有色絶縁層30を容易に認識することができ、コンデンサ部品2を容易に検出することができる。
【0139】
また、結晶化部101および有色絶縁層30は、ガラス本体部100の第1側面100s1に設けられているので、ガラス本体部100の露出を少なくでき、外力に対するコンデンサ部品2の機械的強度を向上できる。ここで、結晶化されているガラスの機械的強度は、結晶化されていないガラスの機械的強度に比べて高い。
【0140】
また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。なお、第1から第4側面100s1~100s4の内の少なくとも1つの面において、上述の構成を満たしていればよい。
【0141】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第5実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。前記第1から第4実施形態では、電子部品としてインダクタ部品を用い、前記第5実施形態では、電子部品としてコンデンサ部品を用いたが、抵抗部品などのその他の電子部品を用いてもよく、または、それらの部品を組み合わせた複合部品を用いてもよい。
【0142】
前記第1実施形態から前記第4実施形態では、ガラス本体部の天面および底面のそれぞれに外面導体(底面導体および天面導体)を設け、外面導体を覆うように天面および底面のそれぞれに保護層(第1保護層および第2保護層)を設けているが、ガラス本体部の天面および底面の少なくとも一方の面に外面導体を設け、外面導体を覆うように少なくとも一方の面に保護層を設けてもよい。または、天面および底面のそれぞれに保護層を設けなくてもよい。
【0143】
本開示は以下の態様を含む。
<1>
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含むガラス本体部と、前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた突起状の結晶化部とを有するガラス基板と、
前記ガラス本体部の前記第1側面に設けられた有色絶縁層と、
前記ガラス本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と
を備え、
前記結晶化部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記底面に平行な第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記結晶化部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される、電子部品。
<2>
前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記結晶化部の存在しない全ての領域に設けられている、<1>に記載の電子部品。
<3>
前記結晶化部の前記第1側面に直交する方向の厚さと、前記有色絶縁層の前記第1側面に直交する方向の厚さとは、同じである、<1>または<2>に記載の電子部品。
<4>
前記結晶化部の前記第2方向の高さは、前記有色絶縁層の前記第2方向の高さよりも小さい、<1>から<3>の何れか一つに記載の電子部品。
<5>
前記結晶化部の前記第2方向の高さh1と前記第1側面の前記第2方向の高さHとの関係は、1/5<h1/H<1/2を満たす、<1>から<4>の何れか一つに記載の電子部品。
<6>
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記底面側に配置されている、<1>から<5>の何れか一つに記載の電子部品。
<7>
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記結晶化部は、前記有色絶縁層よりも、前記天面側に配置されている、<1>から<5>の何れか一つに記載の電子部品。
<8>
さらに、前記底面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された端子電極を備え、
前記有色絶縁層は、前記結晶化部よりも前記天面側に配置されている第1領域と、前記結晶化部よりも前記底面側に配置されている第2領域とを含む、<1>から<5>の何れか一つに記載の電子部品。
<9>
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と
を備える、<1>から<8>の何れか一つに記載の電子部品。
<10>
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記マザー基板を結晶化させて、前記第1主面に平行な方向に延在し前記第1主面から前記第2主面に至る結晶化部を形成する工程と、
前記切断領域において、前記結晶化部の一部分を残し、前記結晶化部のその他の部分をエッチングにより除去して、前記第1主面に平行な方向に延在する溝を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記溝内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記結晶化部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記結晶化部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と
を備える、電子部品の製造方法。
<11>
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える、<10>に記載の電子部品の製造方法。
【符号の説明】
【0144】
1,1A,1B,1C インダクタ部品(電子部品)
2 コンデンサ部品(電子部品)
10 ガラス基板
11b 底面導体(外面導体)
11t 天面導体(外面導体)
13,23 第1貫通導体
14,24 第2貫通導体
15 第1保護層
16 第2保護層
21 第1平板電極(外面導体)
22 第2平板電極(外面導体)
25 誘電膜
30 有色絶縁層
31 第1領域
32 第2領域
100 ガラス本体部
100b 底面
100t 天面
100s1~100s4 第1から第4側面
101 結晶化部
110 コイル
121,221 第1端子電極
122,222 第2端子電極
200 マザー基板
200a 第1主面
200b 第2主面
201 貫通導体形成用領域
202 貫通孔
203 切断領域
204 溝
205 保護膜
300 ダイシングブレード
AX 軸
t1 結晶化部の厚さ
t2 有色絶縁層の厚さ
h1 結晶化部の高さ
h2 有色絶縁層の高さ
H 第1側面の高さ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10