(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】災害対策支援サーバ、災害対策支援システムおよび災害対策支援方法
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20241203BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20241203BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20241203BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241203BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241203BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01W1/10 P
G01W1/00 Z
G06Q50/08
E02F9/20 H
E02F9/20 M
E02F9/26 A
G08B31/00 A
(21)【出願番号】P 2023106757
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2020025646の分割
【原出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 真輝
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-237732(JP,A)
【文献】特開2018-132504(JP,A)
【文献】特開2016-149015(JP,A)
【文献】特開2014-098784(JP,A)
【文献】特許第5091212(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0165616(US,A1)
【文献】国際公開第2017/047061(WO,A1)
【文献】特開2009-271628(JP,A)
【文献】特開2018-046318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00- 1/18
E02F 3/42- 3/43
3/84- 3/85
9/00- 9/28
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B23/00-31/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の被災可能性に関する情報を提供する災害対策支援システムであって、
入力インターフェースを通じた複数の作業機械のうちから一の作業機械を指定する第1指定操作において指定された前記一の作業機械の位置情報を認識する測位装置と、
前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置に基づいた気象情報を認識し、前記位置情報および前記気象情報に基づいて前記第1指定操作において指定された前記一の作業機械の被災可能性の予測結果を予測する処理装置と、
クライアントに備えられており、前記被災可能性の予測結果を出力する出力インターフェースと、
を備えている災害対策支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記クライアントは、前記一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置により構成されている災害対策支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記入力インターフェースを通じた複数の作業機械のうちから遠隔操作を意図する一の作業機械を指定するための第2指定操作において指定された前記一の作業機械が、前記遠隔操作装置の遠隔操作機構の操作態様に応じて遠隔操作され得るように構成されている災害対策支援システム。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記処理装置は、前記位置情報が示す前記第1指定操作において指定された前記一の作業機械の存在位置を包含する第2指定エリアとは異なるエリアであって、前記第2指定エリアにおける被災可能性に影響を与える第1指定エリアにおける前記気象情報を認識し、前記位置情報および前記気象情報に基づいて前記第1指定操作において指定された前記一の作業機械の被災可能性の予測結果を予測する災害対策支援システム。
【請求項5】
一の作業機械の位置情報を認識するための測位装置と、
前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置を包含する第2指定エリアとは異なるエリアであって、前記第2指定エリアにおける被災可能性に影響を与える第1指定エリアにおける気象情報を認識するための処理装置と、
前記第1指定エリアにおける前記気象情報の時系列パターンと、前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンと、が関連付けられて登録されているデータベースと、
前記位置情報および前記気象情報に基づいて予測された前記一の作業機械の被災可能性の予測結果を出力する出力インターフェースと、
を備え、
前記処理装置により前記データベースが参照されることで、前記第1指定エリアにおける最近の前記気象情報の時系列パターンに最も関連性の高い前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンが前記処理装置に認識され、認識された前記被災状態に基づいて前記予測結果が前記出力インターフェースに出力される、
災害対策支援システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記処理装置は、前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置および前記第1指定エリアにおける複数の地点のそれぞれにおける災害因子を認識し、前記気象情報および前記災害因子に基づいて前記予測結果を予測する
災害対策支援システム。
【請求項7】
請求項4~6のうちいずれか1項に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記第1指定エリアは、前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置よりも地面の高さが高いエリアを包含する
災害対策支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記予測結果は、前記第1指定エリアおよび前記第2指定エリアのうち少なくとも一方の指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける地質を考慮して予測される
災害対策支援システム。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記予測結果は、前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置における土砂災害の被災可能性を示すハザードマップである
災害対策支援システム。
【請求項10】
請求項4~6のうちいずれか1項に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記第1指定エリアは、前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置に近接する河川の上流側を包含する
災害対策支援システム。
【請求項11】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の災害対策支援システムにおいて、
前記予測結果は、前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置における浸水可能性を示すハザードマップである
災害対策支援システム。
【請求項12】
作業機械の被災可能性に関する情報を提供する災害対策支援サーバであって、
入力インターフェースを通じた複数の作業機械のうちから一の作業機械を指定する第1指定操作において指定された前記一の作業機械の位置情報を認識する処理と、
前記位置情報が示す前記一の作業機械の存在位置に基づいた気象情報を認識し、前記位置情報および前記気象情報に基づいて前記第1指定操作において指定された前記一の作業機械の被災可能性の予測結果を予測する処理と、
クライアントの出力インターフェースに前記被災可能性の予測結果を出力させる処理と、
を実行する災害対策支援サーバ。
【請求項13】
作業機械の位置情報を認識する処理と、
前記位置情報が示す前記作業機械の存在位置を包含する第2指定エリアとは異なるエリアであって、前記第2指定エリアにおける被災可能性に影響を与える第1指定エリアにおける気象情報を認識する処理と、
前記第1指定エリアにおける前記気象情報の時系列パターンと、前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンと、が関連付けられて登録されているデータベースを参照し、前記第1指定エリアにおける最近の前記気象情報の時系列パターンに最も関連性の高い前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンを認識する処理と、
認識した前記被災状態に基づいて前記作業機械の被災可能性の予測結果を出力インターフェースに出力させる処理と、
を実行する災害対策支援サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械が災害に遭う可能性に関する情報を当該作業機械のオペレータ等に対して提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
雨量、水位等の河川情報(例えば、雨量レーダ、テレメータなどの観測データ、水位予測データや被災深、被災範囲、破堤幅等の情報)に基づいて、任意河川の破堤点を想定破堤点として指定してリアルタイムに氾濫解析を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。河川の任意破堤点を入力するだけで、現時点での河川情報を利用し、リアルタイムに氾濫解析及び河道水位予測の計算をし、動的に破堤点毎、時系列毎の被災想定区域を表示することができる。
【0003】
災害発生可能性を精度良く算出して、道路管理者などの意思決定を支援診断対象地域の被災リスクの診断において、リアルタイムでの被災リスクの診断と、ユーザにとって分かりやすい診断結果を提供する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
診断対象地域の被災リスクの診断において、リアルタイムでの被災リスクの診断と、ユーザにとって分かりやすい診断結果を提供することとを両立することができる被災リスク診断技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。当該技術によれば、降雨分布情報に基づいて各メッシュの貯留量が算出される。さらに、貯留量が仮想管路の最大貯留量以上であり、かつ、仮想管路の最大貯留量と仮想マンホールの最大貯留量との和である上限貯留量未満であるメッシュの仮想水位が算出される。また、貯留量が上限貯留量以上であるメッシュの仮想水位が算出され、貯留量に応じて算出された仮想水位を用いて各メッシュの被災リスクの評価に必要な諸量が算出される。そして、被災リスクの診断の結果が、リアルタイムのハザードマップまたはリアルタイムで運用される雨水排水設備および雨水貯留設備運用の支援情報として提供される。例えば、貯留量が最大貯留量を超過したメッシュが黄色で表示され、上限貯留量を超過したメッシュが赤色で表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-197554号公報
【文献】特開2017-194344号公報
【文献】特開2019-139455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外水氾濫または内水氾濫によって建設機械等の作業機械が被災した場合、当該作業機械が故障するなどの事態を招く。
【0007】
そこで、本発明は、作業機械の被災可能性に関する情報を、当該作業機械の関係者に対してリアルタイムで提供することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の災害対策支援サーバは、降水量の多少によって作業機械の存在位置を包含する第2指定エリアにおける被災可能性に影響を与える第1指定エリアを認識し、かつ、前記第1指定エリアにおける降水量を認識する第1支援処理要素と、前記第1支援処理要素により認識された前記作業機械の存在位置と前記第1指定エリアにおける降水量とに基づき、前記第2指定エリアにおける前記作業機械の被災可能性を予測し、前記第2指定エリアにおける前記作業機械の被災可能性の予測結果を示すハザードマップを作成し、クライアントとの通信に基づき、前記クライアントの出力インターフェースに前記ハザードマップを出力させる第2支援処理要素と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
当該構成の災害対策支援サーバによれば、作業機械の存在位置を含む第2指定エリアにおける当該作業機械の被災可能性が、第1指定エリアにおける降水量に基づいて予測される。あるエリアにおける降水量の多少が、作業機械が存在する第2指定エリアにおける被災可能性の高低に影響を与える場合、当該エリアが第1指定エリアとして認識される。
【0010】
そして、第2指定エリアにおける作業機械の被災可能性の予測結果を示すハザードマップがクライアントの出力インターフェースに出力される。このため、当該クライアントのユーザに対して、ハザードマップを通じて第2指定エリアに存在する当該作業機械の被災可能性の高低を認識させることができる。これに応じて、当該ユーザは作業機械を現在位置から移動させるために関係者に連絡する等、作業機械の被災可能性を低減させるための措置をとることができる。
【0011】
本発明の災害対策支援サーバにおいて、前記第1支援処理要素が、前記第1指定エリアおよび前記第2指定エリアのうち少なくとも一方の指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける地面の高さおよび地質のうち少なくとも一方を災害因子としてさらに認識し、前記第2支援処理要素が、前記第1支援処理要素により認識された前記作業機械の存在位置と前記第1指定エリアにおける降水量と前記第1指定エリアおよび前記第2指定エリアのうち少なくとも一方の指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける前記災害因子とに基づき、前記ハザードマップを作成することが好ましい。
【0012】
当該構成の災害対策支援サーバによれば、第1指定エリアおよび第2指定エリアのうち少なくとも一方の指定エリアにおける複数の地点のそれぞれにおける災害因子、すなわち、地面の高さおよび地質のうち少なくとも一方が勘案された形で、第2指定エリアにおける作業機械の被災可能性が予測される。例えば、地面が比較的低い場所のほうが、地面が比較的高い場所よりも作業機械の浸水可能性が高いこと、または、地面が比較的低くても地面が比較的高い場所により囲繞されているために作業機械の浸水可能性が低いこと等が勘案される。また、地質が比較的脆い場所のほうが、地質が比較的堅い場所よりも作業機械の土砂災害の被災可能性が高いこと、または、第1指定エリアにおけるある箇所の地質が比較的脆く、かつ、第2指定エリアにおける作業機械の存在地点よりも地面が比較的高いために当該作業機械の土砂災害の被災可能性が高いこと等が勘案される。これにより、第2指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける作業機械の被災可能性の予測精度の向上が図られ、作業機械の被災可能性を低減させる観点から、より有用性が高いハザードマップがクライアントのユーザに対して提示されうる。
【0013】
本発明の災害対策支援サーバにおいて、前記第1支援処理要素が、前記第1指定エリアにおける降雨量の時系列パターンを認識し、前記第1指定エリアにおける降雨量の過去の時系列パターンと、前記第2指定エリアの各地点における過去の被災状態の時系列パターンとを関連付けて記憶しているデータベースを参照することにより、前記第1指定エリアにおける降雨量の時系列パターンに最も関連性が高い前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンを認識し、前記第2支援処理要素が、前記第1支援処理要素により認識された前記第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンに基づき、前記作業機械の被災可能性の時系列パターンを予測し、前記作業機械の被災可能性の時系列パターンの予測結果を示す前記第2指定エリアにおけるハザードマップを作成することが好ましい。
【0014】
当該構成の災害対策支援サーバによれば、第1指定エリアにおける降雨量の過去の時系列パターンと、第2指定エリアにおける被災状態の過去の時系列パターンとの相関関係が勘案された形で、第2指定エリアにおける作業機械の被災可能性が予測される。被災状態は、第2指定エリアにおける家屋または車両等の被災の有無および被災深により定義される。例えば、第1指定エリアの降水量の時系列パターンに対して最も近似している、当該第1指定エリアの降水量の過去の時系列パターンに対応する、第2指定エリアにおける被災状態の過去の時系列パターンが、最も関連性が高い第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンとして認識される。当該最も関連性の第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンに基づき、被災があった時間帯に対応する時間帯には被災可能性が高く評価される。これにより、第2指定エリアにおける作業機械の被災可能性の予測精度の向上が図られ、作業機械の被災可能性を低減させる観点から、より有用性が高い動的なまたは時系列的なハザードマップがクライアントのユーザに対して提示されうる。
【0015】
本発明の災害対策支援サーバにおいて、前記第1支援処理要素が、前記クライアントとの通信に基づき、前記クライアントの入力インターフェースを通じて指定された、前記出力インターフェースに出力されている前記ハザードマップにおける2地点を結ぶ指定線分を認識し、前記第1支援処理要素により認識された前記指定線分に沿った指定地形断面図を作成し、前記クライアントとの通信に基づき、前記クライアントの出力インターフェースに前記指定地形断面図を出力させることが好ましい。
【0016】
当該構成の災害対策支援サーバによれば、クライアントのユーザは、出力インターフェースに表示されているハザードマップにおいて、入力インターフェースを通じて2地点を結ぶ指定線分を指定し、当該指定線分における第2指定エリアの指定地形断面図を出力インターフェースにおいて認識することができる。これにより、異なる地点の地面の高低差と、河川等における水位の高さまたは浸水深などをより直感的にユーザに把握させることができ、作業機械の被災可能性を低減させるための適当な措置をユーザに促すことができる。
【0017】
本発明の災害対策支援サーバにおいて、前記クライアントが、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置により構成されていることが好ましい。
【0018】
当該構成の災害対策支援サーバによれば、遠隔操作装置を用いて作業機械を遠隔操作するオペレータに対して、当該遠隔操作装置の出力インターフェースを通じて第2指定エリアに存在する当該作業機械の被災可能性の高低を認識させることができる。これに応じて、オペレータは遠隔操作装置を用いて作業機械を移動させる、あるいは、作業機械を現在位置から移動させるために関係者に連絡する等、作業機械の被災可能性を低減させるための措置をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態としての災害対策支援システムの構成に関する説明図。
【
図4】災害対策支援システムの機能に関する説明図。
【
図5】第1指定エリアにおける降水量の時系列パターンおよび第2指定エリアにおける被災深の時系列パターンに関する説明図。
【
図7】ハザードマップにおける指定線分に関する説明図。
【
図8A】
図7の指定線分P1-P2に沿った指定地形断面図に関する説明図。
【
図8B】
図7の指定線分Q1-Q2に沿った指定地形断面図に関する説明図。
【
図9】災害対策支援システムの機能に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(災害対策支援システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての災害対策支援システムは、災害対策支援サーバ10と、作業機械40を遠隔操作するための遠隔操作装置20と、により構成されている。災害対策支援サーバ10、遠隔操作装置20、作業機械40および管理用クライアント60は相互にネットワーク通信可能に構成されている。災害対策支援サーバ10および遠隔操作装置20の相互通信ネットワークと、災害対策支援サーバ10および作業機械40の相互通信ネットワークと、は同一であってもよく相違していてもよい。
【0021】
(災害対策支援サーバの構成)
災害対策支援サーバ10は、データベース102と、第1支援処理要素121と、第2支援処理要素122と、を備えている。データベース102は、撮像画像データ等を記憶保持する。データベース102は、災害対策支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。各支援処理要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0022】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222と、を備えている。
【0023】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0024】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0025】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一の操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0026】
画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212により構成されている。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0027】
図2に示されているように、中央画像出力装置2210の画面および左側画像出力装置2211の画面が傾斜角度θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側画像出力装置2211の右縁が、中央画像出力装置2210の左縁に隣接している。
図2に示されているように、中央画像出力装置2210の画面および右側画像出力装置2212の画面が傾斜角度θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側画像出力装置2212の左縁が、中央画像出力装置2210の右縁に隣接している。当該傾斜角度θ1およびθ2は同じであっても相違していてもよい。
【0028】
中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。画像出力装置2210~2212は、スピーカ(音声出力装置)をさらに備えていてもよい。
【0029】
(作業機械の構成)
作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース41と、実機出力インターフェース42と、作動機構440と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0030】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、
図2に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ424(運転室)が設けられている。上部旋回体220の前方中央部には作業機構440が設けられている。
【0031】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、測位装置414と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。測位装置414は、GPSおよび必要に応じてジャイロセンサ等により構成されている。
【0032】
実機出力インターフェース42は、実機無線通信機器422を備えている。
【0033】
図3に示されているように、作動機構としての作業機構440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業機構440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0034】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0035】
(管理用クライアントの構成)
管理用クライアント60は、スマートホンまたはタブレット端末などの端末装置であり、制御装置600と、管理用入力インターフェース610と、管理用出力インターフェース620と、を備えている。制御装置600は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0036】
管理用入力インターフェース610は、タッチパネル方式のボタンおよびスイッチなどにより構成されている。管理用出力インターフェース620は、画像出力装置と、無線通信機器と、を備えている。
【0037】
(第1機能)
前記構成の遠隔操作支援システムの機能について
図4に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0038】
遠隔操作装置20(または管理用クライアント60)において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第1指定操作の有無が判定される(
図4/STEP210)。「第1指定操作」は、例えば、複数の作業機械40のそれぞれの存在位置を示すマップにおいて、一の作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP210‥NO)、第1指定操作の有無の判定以降の処理が繰り返される。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP210‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、災害対策支援サーバ10に対してハザードマップ要求が送信される(
図4/STEP212)。当該要求には、遠隔操作装置20との通信が確立している作業機械40または遠隔入力インターフェース210を通じて指定された作業機械40を識別するための作業機械識別子が含まれている。
【0039】
災害対策支援サーバ10において、ハザードマップ要求が受信された場合(
図4/C10)、第1支援処理要素121により当該ハザードマップに含まれている作業機械識別子により識別される作業機械40に対して位置情報要求が送信される(
図4/STEP110)。
【0040】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて位置情報要求が受信された場合(
図4/C40)、実機制御装置400が測位装置414を通じて、当該作業機械40の位置情報(緯度および経度、または、緯度、経度および高度により特定される。)が認識される(
図4/STEP410)。実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて、当該位置情報またはこれを表わす位置データが遠隔操作装置10に対して送信される(
図4/STEP412)。
【0041】
災害対策支援サーバ10において、第1支援処理要素121により位置情報が認識された場合(
図4/C11)、第2支援処理要素122により第1指定エリアが認識される(
図4/STEP111)。エリアの降水量の多少が、作業機械40の存在位置を含む第2指定エリアにおける被災可能性の高低に影響を与える場合、当該エリアが第1指定エリアとして認識される。第1指定エリアおよび第2指定エリアは関連付けられてデータベース102に登録されている。
【0042】
遠隔操作装置20(または管理用クライアント60)の遠隔出力インターフェース220に作業機械40の位置を表わすマップが表示され、遠隔入力インターフェース210を通じてある地点が指定または選択され、当該地点に存在するまたは最も近くにある作業機械40の位置を表わす位置データが遠隔操作装置20から水害対策支援サーバ10に対して送信されることにより、第1支援処理要素121により当該位置情報が認識されてもよい。
【0043】
例えば、外水氾濫に関しては、第2指定エリアが河川の下流側を含むエリアである場合、当該河川の上流側を包含するエリアが第1指定エリアとして認識される。また、内水氾濫に関しては、第2指定エリアに含まれている排水路に連続する雨水貯水施設が存在するエリアが第1指定エリアとして認識される。第1指定エリアおよび第2指定エリアは同一であってもよく、異なっていてもよい。第1指定エリアおよび第2指定エリアは相互に離れていてもよく、隣接していてもよく、一部が重複していてもよい。第1指定エリアが第2指定エリアを包含していてもよい。
【0044】
遠隔操作装置20(または管理用クライアント60)の遠隔出力インターフェース220に作業機械40の位置を表わすマップが表示され、遠隔入力インターフェース210を通じてあるエリアが指定され、当該指定エリアを表わす指定エリアデータが遠隔操作装置20から水害対策支援サーバ10に対して送信されることにより、第1支援処理要素121により当指定エリアが第1指定エリアとして認識されてもよい。
【0045】
第1支援処理要素121により、気象情報源である気象情報データベースとの通信に基づき、第1エリアにおける降水量(単位時間ごとの降水量)が認識される(
図4/STEP112)。
【0046】
第2支援処理要素122により、第2指定エリアにおける作業機械40の浸水可能性が被災可能性として予測される(
図4/STEP114)。例えば、
図5上段に示されているような第1指定エリアの降水量の時系列パターンと、
図5下段に示されているような第2指定エリアにおける家屋等の浸水深(または浸水の有無)の時系列パターンとが関連付けられてデータベース102に登録されている。データベース102が参照されることにより、第1指定エリアにおける最近の降雨量の時系列パターンに最も関連性(パターンの近似度)が高い第2指定エリアにおける浸水状態または被災状態の時系列パターンが認識され、第2支援処理要素122により、第2指定エリアにおける被災状態の時系列パターンに基づき、作業機械40の被災可能性の時系列パターンが予測され、作業機械40の被災可能性の時系列パターンの予測結果を示すハザードマップが作成されてもよい。
【0047】
外水氾濫に関しては、第1指定エリアまたは第2指定エリアに含まれるまたは近接する河川の水位が勘案されて第2指定エリアにおける被災可能性が予測されてもよい。内水氾濫に関しては、各エリアにおける線番号、流入線番号、面積、流出係数、流達時間、流速、延長および断面の各項目が勘案されることにより、降雨量および管路の流量および水位等がリアルタイムで算出され、当該算出結果に基づいて第2指定エリアにおける被災可能性が予測されてもよい(特許文献2参照)。
【0048】
第2支援処理要素122により、第2指定エリアにおける被災可能性の予測結果を示すハザードマップが作成され、当該ハザードマップが遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP116)。これにより、例えば、
図6に示されているように、第2指定エリアを構成する矩形状のエリアであるメッシュSij(i,j=1,2,‥)のそれぞれにおいて、被災可能性の高低が濃淡により表わされているハザードマップが作成される。このハザードマップには、作業機械40を表わすアイコンR1およびR2が当該作業機械40の存在位置に示されている。被災可能性が「20%」、「50%」等と数値化され、当該数値がハザードマップに示されていてもよい。
【0049】
第1支援処理要素121により、データベース102に記憶保持されているマップ情報の参照によって第2指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける地面の高さが災害因子としてさらに認識され、第2支援処理要素122により、作業機械40の存在位置と第1指定エリアにおける降水量と第2指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける地面の高さ(災害因子)とに基づき、ハザードマップが作成されてもよい。
【0050】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200によりハザードマップが受信され(
図4/C21)、遠隔出力インターフェース220を構成する画像出力装置221に当該ハザードマップが出力される(
図4/STEP212)。これにより、オペレータは、比較的濃い色が付されたメッシュS21、ひいてはそこに含まれているアイコンR1により表わされている第1の作業機械40の被災可能性が比較的高いことを把握することができる。さらに、オペレータは、比較的薄い色が付されたメッシュS22、ひいてはそこに含まれているアイコンR2により表わされている第2の作業機械40の被災可能性が比較的低いことを把握することができる。
【0051】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により、遠隔入力インターフェース210を通じて、ハザードマップにおいて2つの地点または当該2つの地点を結ぶ指定線分が指定されたか否かが判定される(
図4/STEP214)。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP214‥NO)、一連の処理が終了する。当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP214‥YES)、当該指定線分を表わすデータが災害対策支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP216)。
【0052】
例えば、
図7に示されているように、ハザードマップにおいて、2つの地点P1およびP2を結ぶ指定線分P1-P2、ならびに、2つの地点Q1およびQ2を結ぶ指定線分Q1-Q2が指定される。指定線分P1-P2は、第1の作業機械40を表わすアイコンR1またはその近傍を通過している。指定線分Q1-Q2は、第2の作業機械40を表わすアイコンR2またはその近傍を通過している。ハザードマップが示されているタッチパネルにおいて2か所がタップされることにより当該2つの箇所に相当する2つの地点が指定線分の両端点としてされてもよい。ハザードマップが示されているタッチパネルにおいてスワイプされることにより当該スワイプの軌道にしたがった線分が指定線分として指定されてもよい。
【0053】
災害対策支援サーバ10において、第2支援処理要素122により、指定線分を表わすデータが受信または認識された場合(
図4/C12)、指定線分に沿った指定地形断面図が作成され、かつ、遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP118)。例えば、
図7に示されている指定線分P1-P2に沿って、
図8Aに示されているような指定地形断面図が作成される。さらに、
図7に示されている指定線分Q1-Q2に沿って、
図8Bに示されているような指定地形断面図が作成される。ハザードマップと同様に、被災可能性の予測結果を表わす数値または色彩が指定地形断面図に施されてもよい。
【0054】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により指定地形断面図が受信された場合(
図4/C22)、遠隔出力インターフェース220を構成する画像出力装置221に指定地形断面図が出力される(
図4/STEP218)。例えば、オペレータは、
図8Aに示されている指定地形断面図を通じて、アイコンR1により表わされている第1の作業機械40が存在する地面の高さが河川の水位よりも低く、かつ、第1の作業機械40が河川に隣接する堤防に対して比較的近い場所にあること、さらにはこの状況が第1の作業機械40を含むメッシュS21の被災可能性が比較的高く評価されていること等を把握することができる。さらに、オペレータは、
図8Bに示されている指定地形断面図を通じて、アイコンR2により表わされている第2の作業機械40が存在する地面の高さが河川の水位よりも低いものの、堤防との間に比較的高い丘が介在する場所にあること、さらにはこの状況が第2の作業機械40を含むメッシュS22の被災可能性が比較的低く評価されていること等を把握することができる。
【0055】
(第2機能)
前記構成の災害対策支援システムのさらなる機能について
図9に示されているフローチャートを用いて説明する。当該機能は、水害対策支援サーバとは別個のサーバ(遠隔操作支援サーバ)により発揮されてもよい。
【0056】
遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第2指定操作の有無が判定される(
図9/STEP220)。「第2指定操作」は、例えば、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図9/STEP220‥NO)、指定操作の有無の判定以降の処理が繰り返される。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図9/STEP220‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、災害対策支援サーバ10に対して環境確認要求が送信される(
図9/STEP222)。
【0057】
災害対策支援サーバ10において、環境確認要求が受信された場合、第1支援処理要素121により当該環境確認要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図9/C13)。
【0058】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて環境確認要求が受信された場合(
図9/C41)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて撮像画像を取得する(
図9/STEP420)。実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて、当該撮像画像を表わす撮像画像データが遠隔操作装置10に対して送信される(
図9/STEP422)。
【0059】
災害対策支援サーバ10において、第1支援処理要素121により撮像画像データが受信された場合(
図9/C14)、第2支援処理要素122により撮像画像に応じた環境画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図9/STEP102)。環境画像データは、撮像画像データそのもののほか、撮像画像に基づいて生成された模擬的な環境画像を表わす画像データである。
【0060】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて環境画像データが受信された場合(
図9/C24)、遠隔制御装置200により、環境画像データに応じた環境画像が画像出力装置221に出力される(
図9/STEP224)。
【0061】
これにより、例えば、
図10に示されているように、作業機構440の一部であるブーム441、アーム443およびバケット445が映り込んでいる環境画像が画像出力装置221に出力される。
【0062】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され(
図9/STEP226)、かつ、遠隔無線通信機器222を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が災害対策支援サーバ10に対して送信される(
図9/STEP228)。
【0063】
災害対策支援サーバ10において、第2支援処理要素122により当該遠隔操作指令が受信された場合、第1支援処理要素121により、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図9/C15)。
【0064】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図9/C42)、作業機構440等の動作が制御される(
図9/STEP424)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の土をすくい、上部旋回体410を旋回させたうえでバケット445から土を落とす作業が実行される。
【0065】
(効果)
当該構成の災害対策支援システム、ならびに、これを構成する災害対策支援サーバ10および遠隔操作装置20によれば、作業機械40の存在位置を含む第2指定エリアにおける当該作業機械の被災可能性が、第1指定エリアにおける降水量に基づいて予測される(
図4/STEP111→STEP112→STEP114参照)。そして、第2指定エリアにおける作業機械40の被災可能性の予測結果を示すハザードマップが遠隔操作装置20(クライアント)の遠隔出力インターフェース220(または管理用クライアント60の出力インターフェース620)に出力される(
図4/STEP116→C21→STEP212および
図6参照)。このため、当該遠隔操作装置20のユーザに対して、ハザードマップを通じて第2指定エリアに存在する当該作業機械40の被災可能性の高低を認識させることができる。これに応じて、当該ユーザは作業機械40を現在位置から移動させるために関係者に連絡する等、作業機械の被災可能性を低減させるための措置をとることができる。
【0066】
データベース102に登録されている第1指定エリアにおける降雨量の過去の時系列パターンと、第2指定エリアにおける被災状態の過去の時系列パターンとの相関関係が勘案された形で、第2指定エリアにおける作業機械40の被災可能性が予測される。これにより、第2指定エリアにおける作業機械40の被災可能性の予測精度の向上が図られ、作業機械の被災可能性を低減させる観点から、より有用性が高い動的なまたは時系列的なハザードマップが遠隔操作装置20または管理用クライアント60のユーザに対して提示されうる。
【0067】
遠隔操作装置20(クライアント)のユーザは、遠隔出力インターフェース220に表示されているハザードマップにおいて、遠隔入力インターフェース210を通じて2地点を結ぶ指定線分を指定し、当該指定線分における第2指定エリアの指定地形断面図を遠隔出力インターフェース220において認識することができる(
図4/STEP214→STEP216→STEP218、
図7、
図8Aおよび
図8B参照)。これにより、異なる場所の地面の高低差と、河川等における水位の高さまたは被災深などをより直感的にユーザに把握させることができ、作業機械の被災可能性を低減させるための適当な措置をユーザに促すことができる。
【0068】
(本発明の他の実施形態)
第1支援処理要素121により、第2指定エリアに代えてまたは加えて第1指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける災害因子が認識され、第2支援処理要素122により、作業機械40の存在位置と第1指定エリアにおける降水量と第1指定エリアおよび第2指定エリアのうち少なくとも一方の指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける災害因子とに基づき、ハザードマップが作成されてもよい。災害因子として、地面の高さに代えてまたは加えて地質が認識されてもよい。「地質」は、火成岩、堆積岩および変成岩などの岩石の分類により定義されていてもよく、より上位概念化された埋立地、現河床堆積物、旧河道堆積物、自然堤防堆積物、岩脈類、花崗岩類などの分類によって定義されていてもよい。
【0069】
地質が比較的脆い場所のほうが、地質が比較的堅い場所よりも作業機械の土砂災害の被災可能性が高いことが考慮されたハザードマップが遠隔制御装置20(または管理用クライアント60)のユーザに対して提示される(
図6および
図7参照)。これにより、第2指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける作業機械の被災可能性の予測精度の向上が図られ、作業機械40の土砂災害の被災可能性を低減させる観点から、当該ハザードマップの有用性の向上が図られる。
【0070】
また、第1指定エリアにおけるある地点(作業機械40の存在地点に近接する地点)の地質が比較的脆く、かつ、第2指定エリアにおける作業機械40の存在地点よりも地面が比較的高いために当該作業機械40の土砂災害の被災可能性が高いことが考慮されたハザードマップが遠隔制御装置20(または管理用クライアント60)のユーザに対して提示される(
図6および
図7参照)。これにより、第2指定エリアの複数の地点のそれぞれにおける作業機械の被災可能性の予測精度の向上が図られ、作業機械40の土砂災害の被災可能性を低減させる観点から、当該ハザードマップの有用性の向上が図られる。
【符号の説明】
【0071】
10‥災害対策支援サーバ、20‥遠隔操作装置、40‥作業機械、102‥データベース、121‥第1支援処理要素、122‥第2支援処理要素、200‥遠隔制御装置、210‥遠隔入力インターフェース、211‥遠隔操作機構、220‥遠隔出力インターフェース、221‥画像出力装置、400‥実機制御装置、410‥実機入力インターフェース、420‥実機出力インターフェース、424‥キャブ(運転室)、440‥作業機構(作動機構)、445‥バケット(作業部)。